裁判官の号別在職状況

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目次
1 裁判官の号別在職状況に関する最高裁の開示文書
2 裁判官の報酬月額,号別在職状況等の推移
3 裁判官に対する期末手当及び勤勉手当の支給月数表
4 裁判官の給料と指定職俸給表の比較(令和2年9月9日追加)
5 元裁判官がブログで公表している4号棒適用の実例
6 裁判官の号別在職状況に関する国会での質疑応答例
7 昭和62年当時の裁判官の昇給差別に関する国会での質疑応答例(令和3年3月16日追加)
8 裁判官の配置定員と裁判官の号別在職状況の数字が異なる理由
9 関連記事その他

1 裁判官の号別在職状況に関する最高裁の開示文書
(1) 裁判官の号別在職状況に関する最高裁の開示文書は,以下のとおりです。
・ 令和 2年7月1日及び同年12月1日
・ 令和 元年7月1日及び同年12月1日
・ 平成30年7月1日及び同年12月1日
・ 平成29年7月1日及び同年12月1日
・ 平成28年7月1日及び同年12月1日
・ 平成27年7月1日及び同年12月1日
・ 平成24年12月1日から平成26年12月1日までの分
・ 平成14年7月1日から平成23年12月1日までの分(平成27年11月26日付で開示されたもの)
→ 平成26年7月28日付の司法行政文書不開示通知書によれば,同日当時は最高裁判所に存在しなかった文書です。

(2) 平成30年度(最情)答申第78号(平成31年3月15日答申)には以下の記載があります。
 最高裁判所においては,毎年12月1日現在の判事及び判事補の現在員を算出しており,12月1日以外の基準日の現在員を算出する必要が生じた場合には,直近に算出した12月1日時点の数値をもとに,同日以降の任官者数,退官者数等を集計して算出する
(3) 平成28年度(最情)答申第4号(平成28年4月14日答申)によれば,①裁判官の号別定数が分かる文書,②下級裁判所における指定職相当の裁判官の内訳が分かる文書,及び③下級裁判所におけるその他の裁判官1160人の内訳が分かる文書は存在しません。

平成14年7月1日現在の,裁判官の号別在職状況(判事の合計として401人とあるのは,1401人の誤記と思います。)

2 裁判官の報酬月額,号別在職状況等の推移
(1)ア 平成14年7月1日以降の,裁判官の報酬月額,号別在職状況等の推移については,裁判官の報酬月額・号別在職状況等の推移表(平成14年7月1日以降)のとおりです。
イ 判事1号ないし判事3号の合計人数が減って,判事4号の人数が増えていますから,昔と異なり,任官21年目の時点,つまり,判事に再任された時点で判事3号に昇給する人はほとんどいない気がします。
 また,平成25年12月1日からの1年間,56期の昇給がなく,平成27年12月1日からの1年間,54期の昇給がなかったみたいです。
(2) 自由と正義2017年4月号28頁において,39期の田口紀子裁判官(弁護士任官者)が,「昇給は,以前に比べ遅くなり,退職金も減ってはいるものの,必要経費は少なく,生活に困ることはなく,特に不満はありません。」と書いています。
(3) 裁判官の年収及び退職手当(推定計算)を見れば,修習期及び勤務地別の裁判官の推定年収が分かります。
(4) IT mediaビジネスONLINE「エリート集団の裁判所が、「ブラック企業」と呼ばれても仕方がない理由 (2/5)」には,「相撲の番付表にも似た細かい裁判官のヒエラルキーが存在しているんですよね。時によって順序が少し変わることもありますが、基本的には同じ。」とか,「最高裁長官と事務総長の意を受けた最高裁判所事務総局人事局は、人事を一手に握っています。だから、いくらでも裁判官を支配することできるんですよ。」などと書いてあります。
(5) 判事特号(高裁長官と判事1号の間の報酬)は,裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律(平成17年11月7日法律第116号。平成18年4月1日施行)によって廃止されました。
令和元年12月1日現在の,裁判官の号別在職状況

裁判官・検察官の給与月額表(平成31年4月1日現在)


3 裁判官に対する期末手当及び勤勉手当の支給月数表
 裁判官に対する期末手当及び勤勉手当の支給月数表を以下のとおり掲載しています。
・ 令和2年度及び令和3年度
・ 令和元年度及び令和2年度
・ 平成30年度及び平成31年度
・ 平成29年度及び平成30年度

4 裁判官の給料と指定職俸給表の比較
(1) 判事1号(令和元年度の月額は117万5000円)
ア 判事1号は,①一般職である各省庁の事務次官,並びに②特別職である内閣官房副長官補,内閣広報官,内閣情報官,内閣総理大臣補佐官,大臣補佐官,国家公務員倫理審査会委員,公正取引委員会委員,原子力規制委員会委員及び式部官長に適用されている指定職俸給表8号棒と同じです。
イ 司法行政部門では,最高裁判所事務総長について指定職俸給表8号棒が適用されています。
(2) 判事2号(令和元年度の月額は103万5000円)
ア 判事2号は,①一般職である警察庁次長,公安調査庁長官及び財務省主計局長等,並びに②特別職である個人情報保護委員会委員,公害等調整委員会委員,中央労働委員会後衛木医院,運輸安全委員会委員,総合科学技術・イノベーション会議議員,8条機関の委員長及び東宮大夫に適用されている指定職俸給表6号棒と同じです。
イ 司法行政部門では,指定職俸給表6号棒が適用されている官職はありません。
(3) 判事3号及び簡裁判事特号(令和元年度の月額は96万5000円)
ア 判事3号及び簡裁判事特号(裁判官の報酬等に関する法律附則15条)は,法務省の民事局長及び刑事局長等に適用されている指定職俸給表5号棒と同じです。
イ 司法行政部門では,指定職俸給表5号棒が適用されている官職はありません。
(4) 判事4号及び簡裁判事1号(令和元年度の月額は81万8000円)
ア 判事4号及び簡裁判事1号は,公安調査庁次長,関東及び近畿の財務局長,東京及び大阪の税関長等に適用されている指定職俸給表3号棒と同じです。
イ 司法行政部門では,最高裁判所審議官,最高裁大法廷首席書記官,最高裁家庭審議官及び東京高裁事務局次長について指定職俸給表3号棒が適用されています。
 そのため,これらのポストから簡裁判事に就任する場合,簡裁判事特号又は簡裁判事1号にならない限り,年収が減少することとなります。
(5) 判事4号及び判事5号の間に相当する指定職俸給表2号棒(令和元年度の月額は76万1000円)
ア 法務省大臣官房司法法制部長,最高検察庁事務局長,東京及び福岡の高検事務局長,東京及び大阪の矯正管区長,関東地方更生保護委員会委員長,東京拘置所長,東京及び大阪の法務局長,並びに東京,大阪,名古屋及び福岡の地方出入国在留管理局長に適用されている指定職俸給表2号棒
イ 司法行政部門では,最高裁判所小法廷首席書記官,訟廷首席書記官,裁判所職員総合研修所事務局長,東京地裁事務局長,高裁(東京高裁を除く)の事務局次長並びに東京,大阪,名古屋,広島,福岡,仙台及び札幌の家裁の首席調査官について指定職俸給表2号棒が適用されています。
 そのため,これらのポストから簡裁判事に就任する場合,簡裁判事特号又は簡裁判事1号にならない限り,年収が減少することとなります。
ウ 高等検察庁事務局の場合,東京及び福岡の事務局長が指定職俸給表2号棒であり,大阪及び名古屋の事務局長が指定職俸給表1号棒です。
   これに対して高等裁判所事務局の場合,東京高裁の事務局次長が指定職俸給表3号棒に相当し,それ以外の高裁の事務局次長が指定職俸給表2号棒に相当しています。
(6) 判事5号及び簡裁判事2号(令和元年度の月額は70万6000円)
ア 判事5号及び簡裁判事2号は,大阪及び名古屋の高検事務局長,並びに札幌,仙台,名古屋,広島及び福岡の法務局長に適用される指定職俸給表1号棒と同じです。
イ 司法行政部門では,指定職俸給1号棒が適用されている官職はありません。
(7)ア 司法行政部門における指定職俸給表の適用状況については,指定職俸給表の適用を受ける職員の号俸について(平成30年6月6日付の最高裁判所裁判官会議議決)に書いてあります。
イ 会計検査院及び人事院以外の行政機関における指定職俸給表の適用状況については,人事院HP「級別定数等に関する内閣総理大臣への意見」に書いてあります。

5 元裁判官がブログで公表している4号棒適用の実例
(1) 元裁判官である森脇淳一弁護士ブログ「裁判官の身分保障について(2)」(2018年12月31日付)には以下の記載があります。
① たしか、上野支部に着任した年であるから、多分、世間で言われているように任官18年目に判事4号俸を頂くようになってから、任官約35年半後に退官するまでずっと4号俸のままであったが、その給与額は、一番多かった時期で、月額額面90万6000円だったから(ご承知のように、裁判官の俸給額もいったん減額され、私が退官した時点では81万8000円。注1)、経営責任や、部下の不祥事について責任を負う必要がある管理職でもない(注2)、単なる「サラリーマン」としては破格の高給取りといえるであろう。
② 裁判官同士で、特に互いの俸給について話題になることはなかったし、司法修習の期(以下、「期」とはその趣旨)が下の者が部総括指名を受けたりして、私より先に3号俸になったとわかったり、同期や、期の下の者が所長や高裁の裁判長になって、2号俸や1号俸になったことがわかっても(同期同士だと、尋ねて教えてもらうこともあった)、その交友関係に何ら差は生じなかった(期が下の者からは、やはり丁寧語を使われた。私の傍若無人な性格のなせる業かもしれないが)。
(2) 35期の森脇淳一 元裁判官は,平成30年9月30日付で大阪高等裁判所判事を依願退官しました(森脇淳一弁護士ブログ「経歴」参照)。

6 裁判官の号別在職状況に関する国会での質疑応答例
(1) 平成10年10月8日の参議院法務委員会における質疑応答
○松岡滿壽男君 今回の裁判官の報酬と検察官の俸給に関する問題、私も今までの議事録をひもといてみましたら、一、二年前に、昔の仲間でありました志村哲良さんが、報酬と俸給がどうしてこう表現が違うんだという質問をしているんです。それに対して、裁判官の報酬というのは憲法に書いてある、それから検察官の俸給等は法律に書いてあるというような答弁なんです。また同じような答弁をすると、やっぱりこれはどういうことなんだ、同じものじゃないのかという素朴な疑問がある。そういうものにやはりきちっとこたえていくことが必要ではないかと思うんです。
 それで、こういう裁判官の報酬、検察官の俸給は財政民主主義の要請から法定されておって、国民の意思に基づきその代表者で構成されている国会で決定されることになっている。したがって、この給与体系の号俸別の在職状況等の情報は国民に公開されることが原則ですね。情報の公開と謙虚であるということがやっぱり司法を国民に近づける大切な条件だというふうに思うんです。
 ところが、参議院の法務委員会調査室のこの資料を見てみますると、裁判官の号俸別の在職状況については記載されていないんです。検察官の号俸別の在職状況は記載されている。最高裁判所はなぜ裁判官の号俸別の在職状況について国会に報告しないのかということが非常に疑問に思うわけでありまして、これはある面では国民の知る権利を無視するものじゃないかと思うんです。公表しない理由をひとつ明らかにしていただきたい。
 それからまた、先ほど冒頭に申し上げた報酬等と俸給等という言葉、どうしてこれがいつまでも統一されないのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
最高裁判所長官代理者(金築誠志君) それでは、私の方から裁判官の報酬の号俸別現在員の関係について申し上げますと、この号俸別現在員というものにつきましては、人事管理上の問題が実はございまして公表しておらないわけでございます。
 裁判官につきましては、各裁判官の職務の困難、責任度合いに応じまして、同期の裁判官でも報酬の号に違いが生ずることがあるわけでございますけれども、号俸別の現在員を開示いたしますと、例えば裁判官がその現在員数を見ますと、裁判官の報酬については号の刻みの数が非常に少ないものでございますから、およそ同期の裁判官に対して自分がどういうふうに、どこにいるのかということがわかってしまうわけです。
 そういう観点から、裁判官は職務上一人一人独立して判断、職権行使をする、こういう立場にあるものですから、その辺のところに無用な影響を与えてはいけないという懸念から従来公表していないわけでございます。
○松岡滿壽男君 しかし、それはわかってしまつてもやむを得ないことだと私は思います。そういう感覚から正していただきたいと思います。これ以上もう申し上げません。
(2) 平成12年3月28日の参議院法務委員会における質問
○中村敦夫君 これは最後の質問ですけれども、平成十年十月八日の参議院法務委員会で、裁判官の号俸別在職状況、つまり給与の各級別の定数についての質問について、金築人事局長は情報公開を拒否したわけです。その理由は、裁判官に無用の影響を与えるといけないという妙なものであったわけなんです。
 どの年俸に何人いるのかというのを公開するのは予算検討上不可欠のことだと思うんですね。しかも、個人名が特定できる資料ではありませんから、裁判官同士のねたみだとか心理状態だとかを資料公開拒否の理由にするのはちょっとナンセンスだというふうに思っておりました。そして、今回もその要求をしましたが、けさになって初めてこの内容の報告書をいただいて、大変びっくりすると同時にありがたいというふうに思いました。
 裁判所の透明化、民主化というのはどうしても必要なことであり、これは裁判所のためにもなると思いますので、今後もこれでストップしないでどんどん情報公開されることを期待しまして、質問を終わります。
(3) 平成13年3月16日の衆議院法務委員会における質疑応答
金築最高裁判所長官代理者 裁判官の昇給につきましては、これは最高裁の裁判官会議で決めることになっております。
 ただ、実際を申しますと、判事の四号までは、特段の長期病休等がない限りは、大体同じように上がっているというのが実情でございまして、それ以上のところについては、そのポストでありますとか仕事の状況でありますとかその他が勘案されて、これもやはり最高裁の裁判官会議で決められておりますが、この場合には、高等裁判所等の意見を十分に聞きまして、適正なものになるように努めているということでございます。
○植田委員 要するに、内規みたいなものはないわけですね、そういう基準というのは。四号までは年次で決まるけどということですね。いや答弁は結構です、そういうことでうなずいていただければ結構です。
 そこで、私自身、これは平成十一年度のデータしかないんですが、聞くところによると、裁判官の号別在職状況という、この表をいただいたんですが、これもなかなか最高裁は出したがらへんという話も聞いているんですが、ここで判一以上、いわゆる事務次官級以上の報酬をもらっているのは二百人超えておるということなんです。このいわゆる次官級以上で、私が関心を持っているのは、裁判官がたくさん報酬をもらう場合、評価というのは、どんな裁判をやってきたか、裁判官としての経験が問われるだろうと思うんですよ。
 ですから、そこで私がお伺いしたいのは、先ほどの出向とのかかわりで、実は幾つか私が個別に調べてみますと、例えば、九年裁判官をやっていました、二十九年間は出向していました、そういう方がしかるべき職について、判一以上の方でいらっしゃるという場合もあるようです。ですから、これは個々の事例になると個人が抽出されてしまうので問題だと思うわけですけれども、少なくとも判一以上の者が経験した、まさに裁判官としての実務経験数というのは平均すればどれぐらいになるのかということ、また、裁判官としての経験よりもいわゆる司法官僚の方、裁判してへん経験の方がむしろ長くて判一以上になっている人というのはどれぐらいいるのかというのはわかりますでしょうか。
金築最高裁判所長官代理者 御指摘ありましたように、判事一号の裁判官の総数が約二百人もございますので、その経歴を全部出しまして分類、分析する作業というのは結構時間がかかりまして、現在のところそういうデータは持ち合わせておりません。


7 昭和62年当時の裁判官の昇給差別に関する国会での質疑応答例
・ 坂上富男衆議院議員(日本社会党)と11期の櫻井文夫最高裁判所人事局長との間で,昭和62年3月24日の衆議院法務委員会において以下の質疑応答がありました。
○坂上委員 毎日新聞(山中注:昭和61年3月12日付のもの)によりますと、環さん(山中注:環直弥 元大阪高裁判事)は、
 「裁判官の自主的な研修組織の全国裁判官懇話会参加者や、青年法律家協会の元会員だったというだけで意識的に不当な差別を受けている」
 と分析。
  裁判官の報酬は、法で在職十年以上の判事が八ランク、十年未満の判事補が十二、簡易裁判所判事が十七の各ランクの号報酬月額を定めている。
これは去年私たちが決めたことであります。
 さてそこで、同元判事は、
 昨年一月から全国の裁判官のうち昭和三十二年任官の九期から同三十八年任官の十五期まで計十五人の裁判官に回答を求め、他の裁判官にも実情を尋ねた。
  調査の結果、月額報酬七十万九千円(昨年一月一日現在)の判事四号までは、長期の病欠などがない限り昇給差はないが、一ランク上の判事三号(月八十三万一千円)から格差が出始め、一般的には最高裁や高裁勤務者、大都市の地裁裁判長などが任官二十二年目の四月に三号になり、残りの中小都市の裁判長クラスは十月に、地裁支部や家裁勤務者も加え、同期の大半が在職二十三年目の四月には同号になるのに、いつまでたっても昇給しない人も。
  今回、具体的回答を寄せた十五人(うち三人は退官)は全国裁判官懇話会の世話人が三人、青法協元会員が十三人(一人は双方に重複)。
こういうふうなことになりまして、
 この十五人を一般状況と比較すると、全員が同期トップ組より遅れ、いずれも二十二年以上の在職なのに三号への未昇給者は三人。また昇給時期では、最も遅れたのは同期トップより七年六カ月で、五年、四年、三年遅れが各一人など。二年、一年九カ月遅れの各一人は退官前日に昇給。
 こういうふうに昇給格差が言われておりまして、大体月十二万円ぐらいの差があると言われております。
 今度は、昇格といいましょうか、昇進といいましょうか、これについても、
 また①最高裁事務総局や東京、大阪の裁判所の行政、労働部などいわゆる司法行政上の中枢に配置されていない②家裁勤務が著しく長期化し、小規模支部ばかり回らされる――など「報酬の差別は任地の差別に符合している」との実態も明らかになったのであります。そこで同元判事は、「回答を寄せた十五人はいずれも人格、識見、実務に優れており、青法協加入や懇話会活動を理由にした思想差別は明らか」と断定をされておるわけであります。したがいまして、このような司法の差別については、私は、裁判の独立の上からも大変な問題があろうかと思っております。
 きょうは質問事項が多くありますので、そう一問一答論争をするというようなことは避けたいと思いまするので、私の意見を交えながら、的確な御判断を賜りたいし、御意見も申し上げたいと思っておるわけであります。
(以下省略)
◯櫻井最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘ありましたように、環元大阪高裁判事が「法と民主主義」(山中注:民主法律家協会が出している雑誌です。)にお書きになったといいますか、講演されたものの記録でございますが、が載っておりまして、そして今読み上げられました毎日新聞の記事は、大体それに基づいて記載されているわけでございます。「法と民主主義」の記事は、大体正確に毎日新聞にも載っているものと理解いたしております。この毎日新聞には最高裁人事局長としてのコメントも載せてもらっておりますけれども、要するに私たちとしては、結論といたしまして、裁判の内容や思想、信条などによる差別というものは全くないと考えております。
 一体どういうことを基準にして差ができてくるのかということでございますが、この新聞記事にもありますように、判事の四号までといいますのは大体一律にすべての裁判官が昇給してくるわけでございます。二十年以上経過いたしますと、判事三号以上の報酬になってまいります。判事三号と申しますのは、行政職、一般職で申しますと、指定職の八号という非常に高い報酬にランクされているものでございます。したがって、その三号以上の報酬ということになってまいりますと、これはどうしても裁判官一律の昇給という考え方ではなくて、やはり各人の実績あるいは各人の責任の度合いと申しますか、そんなふうなものを考慮して決めていくということにならざるを得ないわけであります。そういった今申しましたような要素を各高裁から意見を聞き、かつ最高裁でも判断をいたしまして、各人の受けるべき報酬というのをそれぞれの昇給期に決めているということでございます。
 この環元裁判官の調査では、十五人の裁判官に回答を求めたというふうにしておられますが、私どもにはこの十五人というのがどなたであるか、これはわからないわけでありますけれども、ただ、ここに書いてあります、例えば同期の者より七年六カ月のおくれがある、あるいは五年、四年、三年のおくれがあるということ、そしてまた、その報酬の差額が相当額になるということ、これはあり得ることであろうと思います。
 例えば三号以上への昇給は一律に行われるものではなくて、各人ごとに決まっていくということになりますと、数年の昇給の開きというものは、これは当然出てまいるわけであります。それに応じまして、例えば三号から一号までの差と申しますのは、これは相当額の差になりますので、それはあるわけでございます。
 ただ、先ほど申しましたように、結局それは各人の今までの仕事の実績というもの、あるいは各人の負担している責任の度合いというもの、そういったものを考慮して決められているものでありまして、それはここにありますように、青法協の元会員であった、あるいは全国裁判官懇話会に出席していた、そんなふうなことが原因でなっているものではないわけであります。私どもでは、そういう裁判官懇話会の出席者であるとか、青法協の元会員であるとか、そういうものが、一体どなたがそうであるのかというのは、これはごく一部の、例えば雑誌などにその名前を出している方を除いてはわからないわけでありますし、そういう方たちでも上がっている方が当然あるはずでございます。それからまた逆に、そういう全国裁判官懇話会には出席していない方、あるいは元青法協会員ではない方でも、やはり上がっていない方があるわけでございます。だから、そういう意味で、そのような要素というものが原因になって、そして昇給等の面で開きが出てきているというものではないということを御理解いただきたいと思うわけでございます。

8 裁判官の配置定員と裁判官の号別在職状況の数字が異なる理由

(1) 平成31年4月8日付の理由説明書には以下の記載があります。
 最高裁判所において,平成30年度の高等裁判所裁判官及び地方・家庭裁判所裁判官の配置定員の合計と裁判官の号別在職状況(平成30年7月1日現在)における判事及び判事補の合計が異なる理由について説明した文書は作成しておらず,取得もしていない。
 また,本件申出が単に平成30年度の高等裁判所裁判官及び地方・家庭裁判所裁判官の配置定員の合計を裁判官の号別在職状況(平成30年7月1日現在)における判事及び判事補の合計の差の内訳を示す文書を含む趣旨であったとしても,これを作成しておらず,取得もしていない。
(2)   令和元年10月18日付の答申書
の「委員会の判断の理由」には以下の記載があります(改行を追加しました。)。
   当委員会庶務を通じて確認した結果によれば,平成30年度の高等裁判所裁判官及び地方・家庭裁判所裁判官の配置定員は, 当該年度において各庁の裁判事務に従事すべき判事等の数を定めたものであり,一方,裁判官の号別在職状況(平成30年7月1日現在)は,裁判事務に従事していない判事等を含め,当該基準日現在において判事等に発令されている者の数を表したものであるとのことである。
   このことを前提に検討すれば, 司法行政事務を遂行するに当たり,そもそも概念が異なる両者の合計数に差があることにつき,その理由を説明した文書や合計数の差の内訳を示した文書をあえて作成する必要性は乏しいと考えられるから,本件開示申出文書を作成し,又は取得していないという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。
   そのほか,最高裁判所において,本件開示申出文書に該当する文書を保有していることをうかがわせる事情は認められない。

9 関連記事その他
(1) 酒居会計マネーブログ ~税金・転職・起業・株式投資・ふるさと納税~「年収別 手取り金額 一覧 (年収100万円~年収1億円まで対応)」が載っています。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 判検事トップの月収と,行政機関の主な特別職の月収との比較
・ 裁判官の昇給
・ 裁判官の年収及び退職手当(推定計算)
・ 簡易裁判所判事の採用選考に関する国会答弁
・ 任期終了直前の依願退官及び任期終了退官における退職手当の支給月数(推定)
・ 裁判官の「報酬」,検察官の「俸給」及び国家公務員の「給与」の違い
・ 下級裁判所の裁判官の定員配置
・ 戦前の裁判官の報酬減額の適法性に関する国会答弁
・ 裁判官の報酬減額の合憲性に関する国会答弁


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