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裁判官の号別在職状況―令和7年12月の人数と過去の開示資料(AIリライト)

第1 号別在職状況の内容と令和7年12月の人数

「裁判官の号別在職状況」は,基準日現在の裁判官を,官種と報酬の号ごとに集計した最高裁判所の資料である。
個々の裁判官の氏名や修習期を示す名簿ではなく,この表だけから特定の裁判官の報酬の号や昇給日を確定することはできない。

令和7年12月1日現在の原表に記載された人数は,次のとおりである。
表の「認証官」は,最高裁判所長官1人,最高裁判所判事14人,東京高等裁判所長官1人及びその他の高等裁判所長官7人の計23人であり,「判事」欄とは別に集計されている。

原表の区分在職人数
認証官23人
判事2,090人
判事補660人
簡易裁判所判事628人
合計3,401人

判事欄を報酬の号ごとに取り出すと,次のようになる。

判事の報酬の号在職人数
1号137人
2号179人
3号390人
4号623人
5号287人
6号258人
7号141人
8号75人
合計2,090人

原表の人数から計算すると,判事1号~3号は137+179+390=706人であり,判事2,090人の約33.8%を占める。
判事4号は623人であり,同じく約29.8%である。

第2 最高裁判所の開示資料一覧

各年の号別在職状況へのリンクを,基準日別に掲げる。
人数を比較する際は,ファイルの掲載年月ではなく,原表に記載された基準日を確認する。

基準年・期間7月1日現在12月1日現在
令和7年7月1日12月1日
令和6年7月1日12月1日
令和5年7月1日12月1日
令和4年7月1日12月1日
令和3年7月1日12月1日
令和2年7月1日12月1日
令和元年7月1日12月1日
平成30年7月1日12月1日
平成29年7月1日12月1日
平成28年7月1日12月1日
平成27年7月1日・12月1日収録資料同左
平成24年12月~平成26年12月この期間の開示資料同左
平成14年7月~平成23年12月この期間の開示資料同左

複数年をまとめた資料には,裁判官の号別在職状況(平成14年7月1日現在から令和6年12月1日現在まで)がある。
報酬月額と人数を併せて参照する資料として,裁判官の報酬月額・号別在職状況等の推移表(平成14年7月1日以降)も掲げておく。

平成14年7月から平成23年12月までの資料は,平成27年11月26日付の開示通知により提供されたものである。
これに先立つ平成26年7月28日付の不開示通知は,平成元年から平成24年11月30日までの号別在職状況が分かる文書について,不存在を理由としていた。
両通知の間に文書の取扱いがどのように変わったかは,これらの通知だけでは明らかでない。

平成26年7月28日付の司法行政文書不開示通知書

第3 判事の号別人数の推移と特号の廃止

1 平成14年・令和元年・令和7年の比較

次の表は,平成14年7月1日令和元年7月1日及び令和7年12月1日の各原表から,判事欄を転記したものである。
認証官,判事補及び簡易裁判所判事は含めていない。

判事の報酬の号平成14年7月1日令和元年7月1日令和7年12月1日
特号21人廃止後廃止後
1号211人154人137人
2号223人159人179人
3号303人366人390人
4号164人532人623人
5号154人284人287人
6号193人306人258人
7号78人98人141人
8号54人83人75人
合計1,401人1,982人2,090人
1号~3号の小計737人679人706人

平成14年から令和元年までの比較では,判事1号~3号の小計は737人から679人へ減少し,4号は164人から532人へ増加している。
他方,令和元年から令和7年12月までの比較では,1号~3号の小計も679人から706人へ増加しており,比較期間によって増減の方向が異なる。

平成14年の原表は判事合計を「401」と印字しているが,特号から8号までを合算すると1,401人になる。
認証官23人,判事補714人及び簡易裁判所判事740人と合わせた総計2,878人とも整合するため,上の比較表では検算による1,401人を用いた。

平成14年7月1日現在の号別在職状況。判事合計の印字と各号の合算値が異なる原表

2 判事特号と簡易裁判所判事の特号

判事特号は,平成17年法律第116号の第2条による改正が平成18年4月1日に施行されたことにより廃止された。
同法附則2条には,施行直前の特号判事について,報酬月額を当分の間1,314,000円とする経過措置が置かれた。

一方,簡易裁判所判事の特号は別の区分であり,裁判官の報酬等に関する法律15条に規定されている。
したがって,古い表の「判事特号」と,現在の表で判事3号と同じ行に置かれている「簡易裁判所判事特号」とを混同しないようにする。

第4 集計表を読む際に区別する事項

1 官種別の人数,休業者及び個人の昇給

原表の右端の「合計」は,判事だけの人数とは限らない。
令和7年12月の判事3号の行では,判事390人と簡易裁判所判事特号10人を合わせて400人となり,判事4号の行では,判事623人と簡易裁判所判事1号20人を合わせて643人となる。

令和7年7月1日現在の原表には,育児休業取得者及び配偶者同行休業取得者を含まないとの注記がある。
令和7年12月の原表には同じ注記がないが,そのことだけから集計対象の変更があったとは断定できない。

号別の人数は,昇給だけでなく,任官や退官等によっても変動する。
特定の号の人数が前年と同じでも,その号に入った人と出た人がいる場合があるため,全国の集計表だけでは,特定の修習期について昇給がなかったことや,任官何年目に何割が3号へ昇給したかは分からない。

2 配置定員,在職人数及び検事への転官

令和元年度(最情)答申第49号が扱った平成30年度の資料では,高等裁判所と地方・家庭裁判所の配置定員は合計2,376人であったのに対し,同年7月1日の号別在職状況の判事・判事補合計は2,739人であった。
同答申2頁~3頁は,前者が各庁の裁判事務に従事すべき判事等の数であり,後者が裁判事務に従事していない者を含む基準日現在の発令人数であるという,集計対象の違いを説明している。

この答申は,差が生じた理由やその内訳を示す文書を保有していないとする判断を妥当としている。
差の363人をすべて特定の職務の担当者とみなすなど,答申が示していない内訳まで推定することはできない。

裁判官の人事評価の在り方に関する研究会の平成14年報告書第2・1は,法務省等の行政省庁へ出向する際に検事へ転官する場合は,裁判官定員の枠外になると説明している。
これは身分の変更を伴う場合の説明であり,「出向」という呼称だけで,すべての出向者の取扱いを一律に判断することはできない。

3 号別定数と予算資料の内訳

平成28年度(最情)答申第4号は,裁判官の号別定数が分かる文書と,指定職相当の裁判官等の内訳が分かる文書とを区別している。
前者については,号別定数は定められておらず,文書を作成・取得していないとする説明を合理的とした。
後者については,指定職相当の裁判官2,567人及びその他の裁判官1,160人の内訳は公刊された平成26年度一般会計予算から分かるとして,当該予算書は司法行政文書開示手続の対象とならず,それ以外の該当文書も保有していないと判断したものである。

令和7年度(最情)答申第27号も,裁判官の報酬に関する号別定員を書いた文書を作成・取得していないとして不開示とした判断を妥当としている。
もっとも,これらは特定の文書の保有に関する判断であり,裁判官報酬に予算上の制約がないことを示したものではない。

第5 公表と昇給をめぐる国会答弁等

1 号別人数の公表と集計方法

平成10年10月8日の参議院法務委員会では,号別現在員を公表していない理由が問題となった。
最高裁判所長官代理者は,号の区分が少ないため,同期と比較した自己の位置が分かることなど,人事管理上の問題を理由として説明している(発言097~099)。

平成12年3月28日の参議院法務委員会では,委員が同日朝に号別在職状況の資料を受け取った旨を述べている(発言151)。
これは当日の資料提供を示す記録であり,一般向けの公表が始まった日まで確定するものではない。

平成30年度(最情)答申第78号2頁によれば,最高裁判所は毎年12月1日現在の判事・判事補の現在員を算出し,別の基準日の人数が必要な場合には,直近の12月1日の数値に任官・退官等の増減を反映する方法を説明していた。
これは同答申当時の算出方法の説明であり,すべての基準日の表を定期的に公表する義務を述べたものではない。

2 4号までの昇給と3号以上の取扱い

平成13年3月16日の衆議院法務委員会では,最高裁判所長官代理者が,判事4号までは長期の病気休暇等がなければ同様のペースで昇給し,3号以上については職務の困難さや責任の度合い等を踏まえて決める旨を答弁している(発言123)。
研究会の平成14年報告書第2・5(2)も,法曹資格取得後おおむね20年間に相当する判事4号までの取扱いと,3号以上の取扱いとを分けて説明している。

平成27年5月26日の最高裁判所事務総局会議資料2頁は,判事3号以上及び簡易裁判所判事3号以上の昇給を裁判官会議の議決事項とし,それ以外の昇給を最高裁判所長官の決裁事項として挙げている。
個々の昇給については,報酬の号だけでなく,判断する機関と資料の時点を区別して読むことになる。

より前の昭和62年3月24日の衆議院法務委員会では,新聞報道等を踏まえて昇給差別の有無が質問された。
最高裁判所長官代理者は,3号以上では各人の実績や責任の度合い等を考慮するため数年の昇給差が生じ得ると説明する一方,裁判内容や思想・信条等による差別はないと答弁している(発言010・011)。
質問者の指摘と最高裁判所側の説明は,それぞれの立場の発言として区別される。

第6 個人の経験談と報酬関係の関連記事

森脇淳一弁護士は,平成30年12月31日付の「裁判官の身分保障について(2)」で,記憶が確かではないとの留保を付しつつ,任官18年目頃から,任官後約35年半で退官するまで判事4号であったと記している。
同記事は,当時の報酬月額が最高で906,000円,退官時には818,000円であったことも述べる一方,報酬の違いが裁判官同士の交友関係に影響したわけではないとしている。

田口紀子裁判官は,「弁護士任官の窓 第112回 13年間の裁判官生活を振り返って」(『自由と正義』平成29年4月号28頁)で,昇給が以前より遅くなり退職金も減ったとする一方,必要経費が少なく,生活に困ることはなく,特に不満はないと記している。
これは機関誌に掲載された本人の経験に基づく記述であり,日本弁護士連合会の制度評価や全裁判官についての統計ではない。

寺西和史インタビューを収録するスローニュースの記事にも,判事4号までの昇給はおおむね平等であったという趣旨の発言がある。
これらの経験談は,集計表に現れない個人の経験や受け止めを知る資料であるが,特定の修習期全体の昇給状況を示すものではない。

報酬の号と報酬月額は,裁判官の報酬等に関する法律2条・3条及び別表により区別され,個々の裁判官が受ける号又は月額は最高裁判所が定める。
同じ号であっても,法改正によって月額が変わるため,過去の経験談に現れる金額を現在の金額として用いることはできない。

人数以外の事項については,次の関連記事を参照されたい。

裁判官・検察官の給与月額表―最新版と平成30年以降の過去資料:基準日ごとの報酬月額
裁判官の年収はいくらか―報酬月額・手当・推定計算及び裁判官に対する期末手当及び勤勉手当の支給月数表:手当を含む年収の検討
裁判官の退職金(退職手当)はいくらか―推定額・計算方法・税金:在職人数とは別に必要となる退職手当の計算条件
裁判官の報酬月額と指定職俸給表の比較―判事1号から5号までの位置付け:他の公務員給与との同額関係
裁判官の昇給及び裁判所の人事行政事務:昇給と人事事務の資料
下級裁判所の裁判官の定員配置及び行政機関等への出向裁判官:配置定員と身分・勤務先の関係
裁判官の「報酬」,検察官の「俸給」及び国家公務員の「給与」の違い:給与関係の用語

第7 出典・参考資料

1 法令

裁判官の報酬等に関する法律(昭和23年法律第75号)2条・3条・15条・別表(e-Gov法令検索)
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律(平成17年法律第116号)第2条・附則1条及び2条(衆議院ウェブサイト掲載の制定法律)

2 号別在職状況と開示手続の資料

①最高裁判所「裁判官の号別在職状況」各基準日の表(第2の資料一覧)。
本文の人数比較は平成14年7月1日表(開示資料PDF3頁),令和元年7月1日表(開示資料PDF2頁)及び令和7年12月1日表(PDF1頁)による。
②最高裁判所事務総長平成26年7月28日付司法行政文書不開示通知書及び平成27年11月26日付開示通知書(第2の平成14年7月~平成23年12月の開示資料PDF1頁)

③情報公開・個人情報保護審査委員会平成28年度(最情)答申第4号(平成28年4月14日)1頁・4頁~5頁
④同委員会平成30年度(最情)答申第78号(平成31年3月15日)2頁
⑤同委員会令和元年度(最情)答申第49号(令和元年10月18日)1頁~3頁
⑥同委員会令和7年度(最情)答申第27号(令和7年7月31日)1頁~2頁

3 国会会議録と司法行政の説明資料

第143回国会参議院法務委員会第4号(平成10年10月8日)発言097~099
第147回国会参議院法務委員会第7号(平成12年3月28日)発言151
第151回国会衆議院法務委員会第5号(平成13年3月16日)発言123
第108回国会衆議院法務委員会第2号(昭和62年3月24日)発言010・011(以上,国立国会図書館国会会議録検索システム)

⑤裁判官の人事評価の在り方に関する研究会「裁判官の人事評価の在り方に関する研究会報告書」第2(平成14年)1・5(2)(裁判所ウェブサイト)
「裁判所の人事行政事務の実情について」(平成27年5月26日最高裁判所事務総局会議資料)2頁

4 個人の執筆記事・インタビュー

森脇淳一「裁判官の身分保障について(2)」(平成30年12月31日,本人の弁護士ブログ)
田口紀子「弁護士任官の窓 第112回 13年間の裁判官生活を振り返って」『自由と正義』68巻4号(日本弁護士連合会,平成29年4月)28頁(原誌PDF30頁)
③木野龍逸・フロントラインプレス取材・執筆「不思議な裁判官人事」中の第4回「『出る杭』として処分を受けた人」(令和4年8月10日,スローニュース。寺西和史への取材部分)