司法行政文書に関する文書管理

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目次
1 司法行政文書の意義
2 司法行政文書の管理体制
3 文書管理事務の根拠となる通達等
4 司法行政文書へのアクセス権
5 司法行政文書の保存期間
6 文書管理等に関する事務調査報告書
7 公文書管理委員会の配布資料
8 司法行政文書の管理及び開示に関する令和3年6月当時の最高裁判所の認識
9 最高裁判所規則,最高裁判所規程及び通達の違い
10 関連記事その他

1 司法行政文書の意義
(1) 司法行政文書とは,裁判所の職員が職務上作成し,又は取得した司法行政事務に関する文書,図画及び電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)であって,裁判所の職員が組織的に用いるものとして,裁判所が保有しているものをいいます(「司法行政文書の管理について」(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総長通達)第1.2(1))。
(2) 司法行政文書の定義は,行政機関情報公開法2条2項の行政文書の定義と同じです。


2 司法行政文書の管理体制
(1) 「司法行政文書の管理について」(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総長通達)第2が司法行政文書の管理体制について定めています。
(2) 最高裁判所事務総局秘書課長,高等裁判所事務局長,地方裁判所事務局長及び家庭裁判所事務局長は,総括文書管理者となります。
   最高裁判所事務総局秘書課長が指名する者(司法行政文書の管理に関する事務を所管する秘書課参事官),高等裁判所事務局総務課長,地方裁判所事務局総務課長及び家庭裁判所事務局総務課長は,副総括文書管理者となります。
(3)   最高裁判所の事務総局等の課の文書については最高裁判所の事務総局等の課の長が,最高裁判所の裁判部の文書については訟廷首席書記官及び最高裁判所事務総局総務局第一課長が,下級裁判所の課の文書については下級裁判所の課の課長が,下級裁判所の裁判部の文書については首席書記官及び首席家庭裁判所調査官が文書管理者となります。
   また,最高裁判所の事務総局等の課については,審査官等のうち文書管理者が指名する者が文書管理担当者となり,最高裁判所の裁判部については訟廷首席書記官が文書管理担当者となり,下級裁判所の課については企画官等のうち文書管理者が指名する者が文書管理担当者となり,下級裁判所の裁判部については訟廷管理官,主任書記官,主任家庭裁判所調査官等のうち文書管理者が指名する者が文書管理担当者となります。

文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)からの抜粋です。

3 文書管理事務の根拠となる通達等
・ 文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)の「文書管理事務の根拠となる通達等」には以下の記載があります。
【公文書管理法の趣旨・目的】
・ 適切な公文書等の管理体制を確立するため,平成23年4月1日に「公文書等の管理に関する法律」(公文書管理法)が施行された。
・ 公文書管理法第1条では,公文書等が,健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であるとした上で,行政文書等の適正な管理等を図り,もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに,国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的として規定している。
・ 公文書管理法における行政文書の管理についての規定は,裁判所には直接適用されないが,同法附則第13条2項において,裁判所の文書の管理の在り方については,同法の趣旨,裁判所の地位及び権能等を踏まえ検討を行うことと規定されている。
【裁判所における文書管理事務の根拠となる通達等】
(管理通達及び実施通達)
・ 裁判所における司法行政文書の管理については,公文書管理法の趣旨を踏まえて,管理通達,最高裁実施通達及び下級裁実施通達(以下「管理通達等」という。)が定められている。
(実施細目)
・ 下級裁判所において,管理通達及び下級裁実施通達の実施に当たっては,各庁の実情を踏まえた個別具体的な細目を定める必要があるため,下級裁実施通達記第1の2に基づき各庁で実施細目が定められている。
※ 実施細目に関連する下級裁実施通達上の定め・総括文書管理者及び文書管理者がそれぞれ行うこととされている事務について実施細目に定める場合の協議(記第1の2の(1))
    ・ 送付を受けた司法行政文書について,主管課等又は主管係が不明である場合に,当該司法行政文書の受付事務を行う部署(記第2の1の(4))
   ・ 総務課等において他の主管課等宛ての封書(「秘」,「親展」等の表示のあるものを除く。)の開封及び司法行政文書の受理手続を行う場合(記第2の8)
    ・ 決裁の区分及び種別(記第3の1の(2))
    ・ 司法行政文書の閲覧及び借出しの手続(記第6の2)
    ・ 本庁と管内の支部等との間の司法行政文書の取扱い(記第13の2)
(その他の通達等)
・ 文書管理に関する通達としては,管理通達等のほか,人事管理文書等の保存期間等について定めた「人事管理文書等の保存期間等について」と秘密文書(公表しないこととされている情報が記録された司法行政文書のうち秘密保全を要する司法行政文書)について定めた「秘密文書管理要領について」がある。
・ 平成30年6月29日付け秘書課長事務連絡には,管理通達等の運用に当たっての留意事項が記載されている。


文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)からの抜粋です。

4 司法行政文書へのアクセス権
(1) 下級裁判所事務局の場合,事務局長はすべての「課」「係」の文書へのアクセス権を持ちます。
    しかし,課長は自分の属する「課」の「係」の文書にしかアクセス権がありませんし,係長は自分の「係」の文書にしかアクセス権がありません。
    そのため,事務局職員が他の課又は係の文書を利用したい場合,司法行政文書の閲覧又は借り出しの手続(「下級裁判所における司法行政文書の管理の実施等について」(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総局秘書課長通達)第6)をとる必要があります。
(2) 裁判所事務官から見れば,同じ課に属していても,それぞれの係で実際,何がなされているかを知ることは難しいのであって,ピラミッド構造の底辺部に行くほど,横の連絡が取れなくなっているといわれます。
   つまり,隣の「シマ」のことはなかなか分からないといわれています。
(3) 平成26年2月17日,裁判所職員用ポータルサイト(J・NETポータル)における,本庁,支部,簡裁等の間の情報共有を目的とした新規コンテンツ「高地家簡裁掲示板」が利用できることとなりました(「「高地家簡裁掲示板」の運用開始について」(平成26年2月3日付の最高裁判所事務総局情報政策課参事官の事務連絡)参照)。
   そのため,隣の「シマ」のことが以前よりは分かるようになっているのかもしれません。


5 司法行政文書の保存期間
(1)ア 「司法行政文書の管理について」(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総長通達)は,別表「司法行政文書の保存期間基準」において,司法行政文書の保存期間(1年間から30年間)を定めています。
イ 「司法行政文書の保存期間基準」は,公文書等の管理に関する法律施行令8条及び別表とかなり似ています。
(2) 最高裁判所の司法行政文書について保存期間が到来した場合において保存期間が延長されなかった場合,歴史資料として重要な司法行政文書は国立公文書館に移管され,それ以外の司法行政文書は廃棄されます。
(3) 下級裁判所の司法行政文書について保存期間が到来した場合において保存期間が延長されなかった場合,国立公文書館への移管手続が存在しないことから,すべて廃棄されます。

文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)からの抜粋であり,「開示の申出があった短期保有文書は,開示申出の対象になるものと判断した時点でファイルによる管理を行う。」と書いてあります。

6 文書管理等に関する事務調査報告書
(1) バックナンバーは以下のとおりです。
・ 令和 元年度分
・ 平成30年度分
・ 平成29年度分
(2) 令和3年5月25日付の司法行政文書不開示通知書によれば,令和2年度文書管理等に関する事務調査報告書は存在しません。

文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)からの抜粋

7 公文書管理委員会の配布資料
(1) 2019年1月30日開催の公文書管理委員会(第72回)の配付資料として以下のものがあります。
 電子メールの選別・保存を支援する仕組み(資料2-1)
② 共有フォルダにおける行政文書の体系的保存及び名称付与標準化に関するマニュアル(資料2-3-1)
(2) 2019年7月25日開催の公文書管理委員会(第78回)の配付資料として以下のものがあります。
① 特に厳格な管理を要する行政文書の取扱い等に関するマニュアル案(概要) (資料3-1)
② 電子メールの選別及び保存の手順について案(概要)(資料3-2)

8 司法行政文書の管理及び開示に関する令和3年6月当時の最高裁判所の認識
・ 裁判所をめぐる諸情勢について(令和3年6月の最高裁判所事務総局の文書)44頁及び45頁には,「(10) 司法行政文書の管理及び開示について」として以下の記載があります。
    司法行政文書を適切に管理することは,司法行政事務の適正かつ効率的な運営に不可欠であるとともに,文書開示手続を通じて,国民に対する説明責任を全うする土台となるものであり,それができない場合には裁判所に対する国民の信頼を著しく失墜させることにつながりかねない。平成30年6月には,文書管理に関する関係通達の改正を行い,行政府省と同様にファイル管理簿や標準文書保存期間基準(保存期間表)の公表を始めたところでもあり,司法行政事務に携わる全ての職員が,これまで以上に,関係法令や関係通達等を理解し,司法行政文書の作成,保存,廃棄の各段階における事務を適切に処理することが求められる。
    裁判所の文書開示については,平成27年7月1日に,苦情の申出先が最高裁に一本化されるなど司法行政文書開示手続が再整備された。平成29年度以降,同手続の申出件数は増加し続けているが,その間,相当数の実務例や情報公開.個人情報保護審査委員会の答申も集積されていることから,これらの知見を参考にするなどして,より一層適正・迅速な文書開示事務を実現していくことが求められている。
    なお,裁判所ウェブサイトに司法行政文書の管理に関する通達や開示に関する要綱,情報公開.個人情報保護審査委員会の答申等が掲載されているので,参照されたい。

9 最高裁判所規則,最高裁判所規程及び通達の違い
    最高裁判所規則,最高裁判所規程及び通達の違いは以下のとおりです(文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)参照)。
・ 最高裁判所規則とは,主に訴訟当事者その他一般国民に関係のある事項又は重要な事項について定めるものであって,公布を要するものをいいます。
・ 最高裁判所規程とは,主に裁判所の内部規律等について定めるものであって,公布を要しないものをいいます。
・ 通達とは,上級庁が下級庁に対し,又は上級の職員が下級の職員に対し,職務運営上の細目的事項,法令の解釈,行政運営の方針等を指示し,その他一定の行為を命ずるものをいいます(裁判所法80条参照)。

文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)からの抜粋です。

10 関連記事その他
(1) 市長の代決者である課長を補助し,一定の手続に従つて印鑑証明書の作成にあたつていた補助公務員が,右手続の要求する申請書の提出と手数料の納付をせずに,自己の用に供するため印鑑証明書を作成した行為は,判示の事情のもとにおいては,作成権限に基づくものとして,公文書偽造罪を構成しません(最高裁昭和51年5月6日判決)。
(2)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 一元的な文書管理システム教材の改訂版(令和2年3月24日付の配布文書)
・ 文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)
・ 司法行政文書管理状況の監査の手引(平成30年7月)
イ 以下の記事も参照してください。
 国立公文書館への移管
・ 裁判文書の文書管理に関する規程及び通達

* 平成28年度新任判事補研修の資料からの抜粋です。

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