地方裁判所支部及び家庭裁判所支部


目次
第1 総論
第2 地家裁支部の権限
第3 地家裁支部等の統合及び新設,並びに簡易裁判所の廃止及び新設
第3の2 1人支部及び非常駐支部の取扱い
第4 全国の地家裁支部の一覧(都道府県順)
第5 大規模支部及び中規模支部
第6 地家裁支部の設置及び家裁の受付出張所に関する国会答弁
第7 弁護士ゼロ・ワン支部
第8 合議事件取扱支部,労働審判取扱支部及び独立簡易裁判所に関する国会答弁
第9 最高裁判所主催の研修としての支部長研究会の資料
第10 臨時司法制度調査会意見書(昭和39年8月28日付)の記載
第11 裁判所支部に関する日弁連の考え方が分かるHP等
第12 弁護士会連合会(弁連)の要望事項
第13 関連記事その他

第1 総論
1(1) 裁判所法31条2項は「最高裁判所は、地方裁判所の支部に勤務する裁判官を定める。」と定めています。
(2) 支部勤務発令は最高裁判所裁判官会議の決議事項です(「裁判所の人事行政事務の実情について」第1.1(1)ウ)。
2 地方裁判所の支部は,裁判所法施行の際,経過的に裁判所法施行令7条によってその当時設置されていた各区裁判所の所在地に設けたものとされ,地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則(昭和22年12月20日最高裁判所規則第14号)においても原則として,この状態を引き継ぎ,家庭裁判所の支部も同一の地に設けられることとなりました(昭和39年8月28日付の臨時司法制度調査会意見書第八章参照)。
3 地方裁判所の支部は,地方裁判所の事務の一部を取り扱うため,本庁の所在地を離れて設けられたものですが,原則として,独立の司法行政権を与えられていませんから,それ自体司法行政官庁ではなく,司法行政官庁としての本庁に包摂され,外部に対しては本庁と一体をなすものであって,支部の権限,管轄区域は,裁判所内部の事務分配の基準にすぎません(最高裁昭和44年3月25日決定)。
4 地家裁支部に勤務する裁判官が一人のときは,その裁判官が支部長となります(下級裁判所事務処理規則3条1項)。
5(1)   地方裁判所の本庁と支部間,又は支部相互間の事件の回付は,訴訟法上の手続ではありませんから,回付の措置に対しては,当事者は,訴訟法に準拠する不服申立をすることはできません(最高裁昭和44年3月25日決定)。
(2) 一般に管轄とは,官署としての裁判所間の権限分掌の関係をいい,地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則等官署としての裁判所内部における事務分配の定めによる本庁,各支部間の事務分掌の関係をまで意味するものではなく,管轄の合意によって定められる裁判所も官署としての裁判所であると解されています(東京高裁昭和51年11月25日決定(判例秘書に掲載)参照)。
(3) 東弁リブラ2013年8月号「東京地裁書記官に訊く-交通部編-」(末尾4頁及び5頁)には以下の記載があります。

    土地管轄とは異なりますが,当事者双方の住所地及び交通事故発生場所が立川支部管内にあるにもかかわらず,当庁(本庁)に訴訟提起をされることがあります。これについても,当該事件に即して本庁で審理をする必要性を記載した上申書を提出してください(上申書の内容によっては原則どおり回付の措置をとることもあります)。


第2 地家裁支部の権限
1   地家裁支部は,簡裁の民事事件の判決に対する控訴事件(=レ号事件)及び行政訴訟事件を取り扱うことはできません(地家裁支部設置規則1条2項)。

2   レ号事件は必ず合議事件となります(裁判所法26条2項3号)し,行政訴訟事件は通常,合議事件となります(裁判所法26条2項1号参照)。
3 平成2年4月1日,改正後の地家裁支部設置規則1条(地裁)及び2条(家裁)が施行された結果,権限甲号の支部(=合議事件取扱支部)及び権限乙号の支部(=合議事件非取扱支部)の区別が廃止されました。
   しかし,そのときに追加された地家裁支部設置規則3条1項(地裁)又は2項(家裁)に基づき,旧乙号支部における合議事件に関する事務を引き続き本庁又は旧甲号支部に取り扱わせることができるようになりました。
   そのため,合議事件を取り扱う支部であるかどうかは現在,それぞれの地家裁の裁判官会議決議に基づく事務分配という形で決まっています。
4 地家裁支部には庶務課が設置され(下級裁判所事務処理規則24条2項),庶務課長の上司は本庁の事務局長となります(下級裁判所事務処理規則24条8項参照)。


第3 地家裁支部等の統合及び新設,並びに簡易裁判所の廃止及び新設
1 地家裁支部及び家裁出張所の廃止及び新設

(1) 昭和63年5月1日,96庁の家裁出張所のうち37庁が廃止された結果,家裁出張所は59庁となりました。
(2)ア 平成2年4月1日,242庁の地家裁支部のうち,41庁が廃止された(外部ブログの「裁判所~廃止された裁判所」参照)結果,地家裁支部は201庁となりました。
   その反面,20庁の家裁出張所が新設された結果,家裁出張所は79庁となりました。
イ 廃止された乙号支部管内の市町村の数は昭和63年5月1日現在で262であり,管内の人口は昭和62年3月31日現在で約315万人でした(平成2年3月27日の衆議院法務委員会における12期の金谷利廣最高裁判所総務局長の答弁参照)。
ウ 平成2年4月1日付で廃止された地家裁支部に併設されていた簡易裁判所はそのまま存続しました(平成2年3月29日の参議院法務委員会における12期の金谷利廣最高裁判所総務局長の答弁参照)。
エ 日弁連HPに「41庁の地家裁支部の廃止にあたって」(平成元年12月14日付の日弁連会長のコメント)が載っています。
(3) 平成5年4月1日,札幌家裁苫小牧(とまこまい)出張所に代えて,札幌地家裁苫小牧支部が新設されました。
   その結果,地家裁支部は202庁となり,家裁出張所は78庁となりました。
(4) 平成6年4月1日,横浜家裁相模原(さがみはら)出張所に代えて,横浜地家裁相模原支部が新設されました。
   その結果,地家裁支部は203庁となり,家裁出張所は77庁となりました。
2 簡易裁判所の廃止及び新設
(1)ア  下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律(昭和62年9月11日法律第90号)に基づき,昭和63年5月1日,575庁の簡易裁判所のうち,小規模の独立簡易裁判所(略称は「独簡」です。)101庁が廃止され,事務移転庁が21庁廃止されました(外部ブログの「裁判所~廃止された簡易裁判所」参照)。
   ただし,統廃合された簡裁等の管轄区域のうち81か所において出張事件処理が実施されていたものの,平成20年12月18日時点で,そのうち41か所が廃止され,40か所(実施庁数35)の出張事件処理が存続していました(日弁連HPの「簡易裁判所及び家庭裁判所の出張事件処理について(意見)」参照)。
イ 昭和63年5月1日付で廃止された簡易裁判所にいた職員は約280人であり,そのうちの約130人は廃止簡易裁判所の土地管轄を引き継いだ受入簡易裁判所に配置され,約70人は受入簡易裁判所以外の,忙しい簡易裁判所に配置され,約80人は忙しい地家裁支部に配置されました(平成2年3月29日の参議院法務委員会における12期の金谷利廣最高裁判所総務局長の答弁参照)。
ウ 101庁の独立簡易裁判所が廃止された時点で,対応する区検察庁のほとんどは事実上すでに店をたたんでいて,最寄りの区検察庁で事務を処理したり,最寄りの区検察庁から出張して事務を処理したりしていました(「秋霜烈日-検事総長の回想」100頁参照)。
エ 最高裁総務局・人事局各課長,参事官を囲む(昭和61年5月23日開催分)には,小規模簡裁の集約基準に関して,「裁判所が考えております基準は要するに事件数と隣接簡裁への所要時間という二つの要素を基本として一二〇件・六〇分以内、これは民訴、刑訴、調停各事件の年間新受件数ですが、それから六〇件・一二〇分以内、一二件以下のところについては日帰り可能な範囲、以上のようなグループについては集約を検討する」と書いてあります(全国裁判所書記官協議会会報96号・13頁)。
オ 大阪地裁管内の場合,都島簡裁,東淀川簡裁及び西成簡裁は,昭和22年5月3日の設立当初から大阪簡裁に事務移転していました。

(2) 平成4年1月1日,所沢簡裁が新設されました。
(3) 平成5年4月1日,大阪市内の3簡裁(生野簡裁,西淀川簡裁及び阿倍野簡裁)が大阪簡裁に集約されました。
(4) 平成5年4月8日,名古屋市内の2簡裁(愛知中村簡裁及び昭和簡裁)が名古屋簡裁に集約されました。
(5) 平成6年9月1日,都内11簡裁(新宿簡裁,台東簡裁,墨田簡裁,大森簡裁,渋谷簡裁,中野簡裁,豊島簡裁,東京北簡裁,足立簡裁,葛飾簡裁及び江戸川簡裁)が東京簡裁に集約されました。
(6) 平成8年4月1日,町田簡裁が新設されました。
(7) 平成23年4月22日,福島富岡簡裁の事務が当分の間,裁判所法38条に基づき,いわき簡裁及び郡山簡裁に事務移転しました(福島地裁HPの「平成23年4月18日 福島地方裁判所からのお知らせ(福島富岡簡易裁判所の事務移転)」参照)。


3 簡裁及び区検発足時の経緯
・ 「秋霜烈日-検事総長の回想」101頁には以下の記載があります。
    昭和二十二年に簡裁が発足するとき、各種令状請求の便宜を考え、おおむね警察署二署に対して一つあたりの簡裁がつくられた。全く新しい裁判所であるため、建設敷地の多くは、地元市町村の寄付に頼っている。やがて、簡裁のそばに区検をつくることになり、また市町村に寄付を頼みに行ったが、もう寄付したではないかといって断られることが多かったという。戦前は、検事局は裁判所の中に同居していたのだから、裁判所を建てるための寄付といわれれば、当然検察庁も入るものと思われたのであろう。だから、区検の庁舎には、みすぼらしいものが少なくなかった。また、そういう区検に限って過疎地にあり、昭和四十年代の初めには、もう警察がよそに移って、簡裁管内に一つしかない、あるいは一つもないというようなことになっていた。
4 矢口洪一 元最高裁判所長官の回想
・ 最高裁判所とともに(著者は高輪1期の矢口洪一 元最高裁判所長官)121頁には以下の記載があります。
    退官時、大法廷に二つ審理中の事件があったほか、やり残した仕事も多かったが、懸案だった全国の地・家裁支部、簡裁の配置の見直しでも、関係する法律や最高裁規則の改正が実現した。
    明治以来の人口分布や産業配置に対応して設けられた地・家裁支部と戦後そのままの簡裁の配置を見直したのである。地・家裁四一の支部を廃止する一方、苫小牧、相模原に新たに支部が設けられ、一二三の簡裁が統合されて町田、所沢に簡裁が新設されることになった。法曹三者の協力が可能にした事業であったことはいうまでもない。
5 独立簡易裁判所に関する国会答弁
・ 40期の中村慎最高裁判所総務局長は,平成28年3月16日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
 裁判所も国の予算で運営される公的な機関ということで、業務量に見合った人の配置ということを考えていく必要があります。
 これまで書記官、事務官合わせて三人の配置であった独立簡易裁判所につきまして、特に事件の少ない庁につきまして、人員の有効活用の観点から、利用者に対する司法サービスの低下につながるおそれがないかどうか、職員の休暇時や緊急時の応援体制等を的確に組むことができるかどうかといった業務体制の観点も踏まえつつ、事件処理に支障がないよう配慮した上で、二人庁、二人による執務体制をとることとしたものでございます。
 このような二人による執務体制をとっている庁は、全国独立簡裁百八十五庁のうち、昨年四月一日現在で二十八庁でございます。


第3の2 1人支部及び非常駐支部の取扱い
1 1人支部の取扱い

(1) 下級裁判所事務処理規則3条1項は「高等裁判所、地方裁判所又は家庭裁判所の各支部に勤務する裁判官が一人のときは、その裁判官を支部長とし、二人以上のときは、最高裁判所がそのうちの一人に支部長を命ずる。 」と定めています。
(2) 一人支部の場合,最高裁人事において「支部長」という肩書は付いていません。
 支部に勤務する裁判官が一人の場合,その裁判官が当然に支部長となるために最高裁が支部長を命ずる必要がないからかもしれません。
2 非常駐支部の取扱い
・ 例えば,徳島地裁の阿南支部及び美馬支部は裁判官が常駐していない支部であります(日弁連HPの「全国各地に裁判官、検察官の常駐を! 裁判官、検察官ゼロ支部の早期解消を目指して」参照)。
 そして,徳島地裁の平成31年度事務分配の場合,阿南支部の裁判事務も担当している66期の安藤巨騎裁判官,及び美馬支部の裁判事務も担当している60期の園部伸之裁判官は本庁との兼任になっているため,事務分配の上では支部長代理となっていますし,最高裁人事の上では支部勤務とはなっていません。


第4 全国の地家裁支部の一覧(都道府県順)
・ 全国の地家裁支部を都道府県順に並べた場合,以下のとおりです。
1 北海道
札幌地家裁:岩見沢支部・室蘭支部・小樽支部・滝川支部・浦河支部・岩内支部・苫小牧支部
函館地家裁:江差支部
旭川地家裁:名寄支部・紋別支部・留萌支部・稚内支部
釧路地家裁:帯広支部・網走支部・北見支部・根室支部
2 青森県
青森地家裁:弘前支部・八戸支部・五所川原支部・十和田支部
3 岩手県
盛岡地家裁:一関支部・花巻支部・二戸支部・遠野支部・宮古支部・水沢支部
4 宮城県
仙台地家裁:古川支部・石巻支部・大河原支部・登米支部・気仙沼支部
5 秋田県
秋田地家裁:大館支部・横手支部・大曲支部・能代支部・本荘支部
6 山形県
山形地家裁:米沢支部・鶴岡支部・酒田支部・新庄支部
7 福島県
福島地家裁:郡山支部・白河支部・会津若松支部・いわき支部・相馬支部
8 茨城県
水戸地家裁:土浦支部・下妻支部・日立支部・龍ケ崎支部・麻生支部
9 栃木県
宇都宮地家裁:栃木支部・足利支部・真岡支部・大田原支部
10 群馬県
前橋地家裁:桐生支部・高崎支部・沼田支部・太田支部
11 埼玉県
さいたま地家裁:川越支部・熊谷支部・越谷支部・秩父支部
12 千葉県
千葉地家裁:松戸支部・木更津支部・八日市場支部・佐倉支部・一宮支部・館山支部・佐原支部
13 東京都
東京地家裁:立川支部
14 神奈川県
横浜地家裁:川崎支部・横須賀支部・小田原支部・相模原支部
15 新潟県
新潟地家裁:新発田支部・長岡支部・高田支部・三条支部・佐渡支部
16 富山県
富山地家裁:高岡支部・魚津支部
17 石川県
金沢地家裁:七尾支部・小松支部・輪島支部
18 福井県
福井地家裁:武生支部・敦賀支部
19 山梨県
甲府地家裁:都留支部
20 長野県
長野地家裁:上田支部・松本支部・諏訪支部・飯田支部・佐久支部・伊那支部
21 岐阜県
岐阜地家裁:大垣支部・高山支部・多治見支部・御嵩支部
22 静岡県
静岡地家裁:沼津支部・浜松支部・富士支部・下田支部・掛川支部
23 愛知県
名古屋地家裁:一宮支部・岡崎支部・豊橋支部・半田支部
24 三重県
津地家裁:四日市支部・松阪支部・伊賀支部・伊勢支部・熊野支部
25 滋賀県
大津地家裁:彦根支部・長浜支部
26 京都府
京都地家裁:舞鶴支部・園部支部・宮津支部・福知山支部
27 大阪府
大阪地家裁:堺支部・岸和田支部
28 兵庫県
神戸地家裁:尼崎支部・姫路支部・豊岡支部・洲本支部・伊丹支部・明石支部・柏原支部・社支部・龍野支部
29 奈良県
奈良地家裁:葛城支部・五條支部
30 和歌山県
和歌山地家裁:田辺支部・御坊支部・新宮支部
31 鳥取県
鳥取地家裁:米子支部・倉吉支部
32 島根県
松江地家裁:出雲支部・浜田支部・益田支部・西郷支部
33 岡山県
岡山地家裁:津山支部・倉敷支部・新見支部
34 広島県
広島地家裁:呉支部・尾道支部・福山支部・三次支部
35 山口県
山口地家裁:岩国支部・下関支部・周南支部・萩支部・宇部支部
36 徳島県
徳島地家裁:阿南支部・美馬支部
37 香川県
高松地家裁:丸亀支部・観音寺支部
38 愛媛県
松山地家裁:西条支部・宇和島支部・大洲支部・今治支部
39 高知県
高知地家裁:須崎支部・安芸支部・中村支部
40 福岡県
福岡地家裁:飯塚支部・久留米支部・小倉支部・直方支部・柳川支部・大牟田支部・八女支部・行橋支部・田川支部
41 佐賀県
佐賀地家裁:唐津支部・武雄支部
42 長崎県
長崎地家裁:佐世保支部・大村支部・島原支部・平戸支部・壱岐支部・五島支部・厳原支部
43 熊本県
熊本地家裁:八代支部・玉名支部・山鹿支部・阿蘇支部・人吉支部・天草支部
44 大分県
大分地家裁:中津支部・杵築支部・佐伯支部・竹田支部・日田支部
45 宮崎県
宮崎地家裁:都城支部・延岡支部・日南支部
46 鹿児島県
鹿児島地家裁:名瀬支部・加治木支部・知覧支部・川内支部・鹿屋支部
47 沖縄県
那覇地家裁:沖縄支部・平良支部・石垣支部・名護支部


第5 大規模支部及び中規模支部
1 大規模支部

(1) 大規模支部とは,支部長とは別に部総括が置かれる支部(14支部)をいうものとした場合,大規模支部は以下のとおりです。
東京高裁管内:立川支部,川崎支部,小田原支部,川越支部,松戸支部,沼津支部及び浜松支部(7支部)
大阪高裁管内:堺支部,尼崎支部及び姫路支部(3支部)
名古屋高裁管内:岡崎支部(1支部)
福岡高裁管内:久留米支部,小倉支部及び佐世保支部(3支部)
(2) 本ブログでは,大規模地家裁支部長までを幹部裁判官としています。
(3) 地家裁所長経験者が就任するポストは東京地家裁立川支部長だけです。
(4) 法務省文書決裁規程(平成元年11月14日法務大臣訓令)4条及び別表によれば,検察庁の場合,立川,川崎,沼津,堺,姫路,岡崎及び小倉の地検支部長(7支部)の人事の決裁者は法務大臣であるのに対し,その余の地検支部長の人事の決裁者は法務事務次官です。
2 中規模支部
・ 中規模支部とは,恒常的に部総括経験者が就任する支部(13支部)をいうものとした場合,中規模支部は以下のとおりです。
東京高裁管内:相模原支部,熊谷支部,越谷支部,土浦支部及び高崎支部(5支部)
大阪高裁管内:岸和田支部及び葛城支部(2支部)
名古屋高裁管内:一宮支部,豊橋支部及び四日市支部(3支部)
広島高裁管内:呉支部及び福山支部(2支部)
福岡高裁管内:沖縄支部(1支部)


第6 地家裁支部の設置及び家裁の受付出張所に関する国会答弁
1 地家裁支部の設置に関する国会答弁
・ 40期の中村慎最高裁判所総務局長は,平成27年5月22日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
① 支部の配置を含めました裁判所の配置は、人口動態、交通事情、事件数の動向、あるいはIT技術の進展等も考慮しながら、裁判所へのアクセス、提供する司法サービスの質等を総合した、国民の利便性を確保するという見地から検討していかなければならない問題だと承知しているところでございます。
   現在、委員御指摘のとおり、複数の地域におきまして、裁判所の支部設置の要望が出されていることは承知しているところでございます。
   今申し上げました観点からいたしますと、直ちに新たな支部を設置したり、廃止した支部を復活させなければならないという状況にあるものとは考えておりません。
   もっとも、今後とも、事件動向や、人口、交通事情の変化、IT技術等を注視しながら、必要があれば、支部の新設、統廃合を含めまして、裁判所の配置について見直しを行ってまいりたいというふうに考えております。
② (注:裁判所支部の増設に関する)比較的最近の例を二例お答えいたします。
   昭和四十七年に沖縄県が我が国に復帰したことに伴いまして、那覇地方・家庭裁判所の支部として、コザ支部、名護支部、平良支部、石垣支部の四つの支部が設置されました。コザ支部については、名称は今、沖縄支部と変更されております。
   その次の新設でございますが、平成二年四月に全国的な地家裁支部の配置の見直しを実施いたしました際に、札幌地家裁苫小牧支部、横浜地家裁相模原支部を新設することを決定しました。なお、実際に開庁したのは、苫小牧支部が平成五年、相模原支部が平成六年でございます。
③ 平成二十六年六月に、市川市、船橋市、浦安市の各市議会で、支部の設置を求める意見書が可決されております。京葉地区は、人口が多い地域であるにもかかわらず、司法基盤が人的、物的に不十分、未整備であるという指摘がその意見書の中でされているということは承知しているところでございます。
(中略)
   現時点におきまして、現状の京葉地区の千葉本庁までの交通事情を鑑みますと、他の地域に比較した場合に不便であるという実情にあるとまでは言えないというふうに考えております。
   いずれにいたしましても、最高裁といたしましては、今申し上げましたような観点から諸事情を注視いたしまして、必要があれば、支部の新設等を考慮していくということになろうと思います。
2 家裁の受付出張所に関する国会答弁
(1) 40期の中村慎最高裁判所総務局長は,平成29年3月31日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
① いわゆる受け付け出張所、これは受け付けとそれから家事事件の出張審判、出張調停に限って取り扱っている出張所でございますが、これは全国の家庭裁判所の出張所七十七カ所のうち二十カ所がそういう受け付け出張所ということでございます。
   これらの二十カ所の受け付け出張所は、平成二年の四月に地家裁支部の適正配置を行った際に廃止された家裁支部の一部について、さまざまな要因を考慮してその所在地に新設したものでございまして、その後、数は変わっておりません。
② 具体的な場所について申し上げましょうか。(畑野委員「お願いします」と呼ぶ)
   具体的な二十カ所について申し上げますが、前橋家裁中之条出張所、長野家裁飯山出張所、長野家裁木曾福島出張所、長野家裁大町出張所、新潟家裁村上出張所、新潟家裁柏崎出張所、新潟家裁南魚沼出張所、新潟家裁糸魚川出張所、和歌山家裁妙寺出張所、岐阜家裁郡上出張所、福井家裁小浜出張所、富山家裁砺波出張所、山口家裁柳井出張所、岡山家裁笠岡出張所、松江家裁雲南出張所、福岡家裁甘木出張所、大分家裁豊後高田出張所、熊本家裁御船出張所、宮崎家裁高千穂出張所、そして函館家裁寿都出張所の二十カ所でございます。
③ 委員御指摘のとおり、藤沢市議会など、簡易裁判所に家庭裁判所出張所の設置を求める意見が出されていることは最高裁としても承知しているところでございます。
   家裁の出張所というのは全国七十七カ所あるわけですけれども、一方、全国、簡易裁判所は四百三十八庁あります。この数が違うというところにつきましては、家裁の場合は、簡裁のように簡裁事件のみを行う権限を有する簡裁判事という職種がない関係で、判事、判事補が本庁または支部から出張して事件を処理するということになりますので、出張所の新設ということにつきましては、本庁または支部までのアクセスの困難性を中心に、事件数の動向等を考慮して慎重に検討していく必要があるんだろうというふうに考えております。
   いずれにいたしましても、最高裁といたしましては、限られた人的、物的資源を有効に活用しつつ、利用者の利便を確保し、地方サービスを充実していくことが重要であるというふうに考えておりまして、全国各地域におきまして、人口動態、交通事情、事件数の動向等の観点を注視しつつ、必要な事件処理体制の整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。


(2) 42期の村田斉志最高裁判所家庭局長は,平成29年3月31日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
① 受け付けのみを取り扱う家庭裁判所出張所におきましても、成年後見関係事件の申し立てを受理することはできます。
   その後の審理につきましては、個別の事案に応じて裁判官が判断することにはなりますが、一般論として申し上げますと、家庭裁判所において成年後見関係事件を処理する際には、必ず当事者の方などに裁判所にお越しいただかなければならないというわけではございませんで、現に書面のみで審理している事件も少なくないというふうに認識をしております。
② なお、裁判官が、書面による審理のみでは十分ではないということで、直接当事者の方などからお話を伺う必要があると判断した事案におきましては、事件を取り扱う裁判所にお越しいただくということももちろんございますけれども、当事者の方に裁判所にお越しいただくことが困難な事情があるというような場合には、裁判官が出張してお話をお伺いするといった対応も可能でございますので、現在受け付けしか行わない家裁出張所の管内にお住まいの方の事件処理においても、不都合は生じていないというふうに認識をしております。


第7 弁護士ゼロ・ワン支部
1 弁護士ゼロ・ワン支部とは,地家裁支部管轄区域を単位として,登録弁護士が全くいないか,1人しかいない地域をいいますところ,法務省の法曹養成制度改革連絡協議会の第8回協議会(平成29年10月11日開催)資料1-4「弁護士ゼロ・ワン地方裁判所支部数の変遷等」によれば,以下のとおりです。
① 弁護士ゼロ支部数の変遷
平成 5年 7月:50個,平成 8年 4月:47個,平成 9年 4月:40個
平成10年 4月:43個,平成11年 4月:39個,平成12年 4月:35個
平成13年10月:31個,平成14年10月:25個,平成15年10月:19個
平成16年10月:16個,平成17年10月:10個,平成18年10月: 5個
平成19年10月: 3個,平成20年10月: 0個,平成21年10月: 2個
平成22年10月: 0個,平成23年10月: 0個,平成24年10月: 0個
平成25年10月: 0個,平成26年10月: 0個,平成27年10月: 0個
平成28年10月: 0個
② 弁護士ワン支部数の変遷
平成 5年 7月:24個,平成 8年 4月:31個,平成 9年 4月:32個
平成10年 4月:30個,平成11年 4月:34個,平成12年 4月:36個
平成13年10月:33個,平成14年10月:36個,平成15年10月:39個
平成16年10月:35個,平成17年10月:37個,平成18年10月:33個
平成19年10月:24個,平成20年10月:20個,平成21年10月: 9個
平成22年10月: 5個,平成23年10月: 2個,平成24年10月: 2個
平成25年10月: 1個,平成26年10月: 1個,平成27年10月: 1個
平成28年10月: 1個
2 40期の小山太士法務省大臣官房司法法制部長は,平成29年4月11日の参議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
① 委員御指摘の民事訴訟の事件数の増減でございますけれども、訴訟の事件数の増減は、国民が紛争解決のため司法を活用しているかどうかの一つの指標ではあるかとは思いますが、法律的な問題の解決に裁判外の手続などもあるところもございまして、訴訟事件数の増減自体を一定の方向で評価することについては様々な御意見もあるのではないかと思っております。
   このため、政府として民事訴訟の事件数そのものを増加させることを直接の目的とする施策はこれまで講じてはおりませんけれども、一方で、この利用を促進するという意味で、国民の司法アクセスを一層向上させるための取組が必要であるとの観点から施策を講じております。
② 例を挙げさせていただきますと、法テラス、日本司法支援センターの司法過疎地域事務所の設置等による司法アクセスの向上の取組というのがございます。その結果、地方裁判所支部の管轄単位、これは二百三か所全国にございますが、ここで弁護士が全くいないか一人しかいない地域、これは弁護士ゼロワン地域と言われておりますけれども、これが平成十六年十月当時には五十一か所、これはゼロが十六か所、ワンが三十五か所ございましたが、平成二十年十月には合計二十か所、ゼロはゼロか所、ワンが二十か所となりまして、平成二十九年四月には合計二か所、これはゼロがゼロか所、ワンが二か所まで減少しているところでございます。
   政府といたしましては、今後ともこのような司法アクセス向上のための必要な取組を行ってまいりたいと考えております。



第8 合議事件取扱支部,労働審判取扱支部及び独立簡易裁判所に関する国会答弁
1 合議事件取扱支部に関する国会答弁
・ 40期の中村慎最高裁判所総務局長は,平成28年3月16日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
①   現在、地方裁判所の支部二百三庁のうち百四十庁につきましては、支部で合議事件を扱っていないというところでございまして、そのような合議事件を扱っていない支部について今議員御指摘のような要望が出ている、これは承知しているところでございます。
   合議事件を支部で扱うかどうかにつきましては、手続上は最高裁判所規則に基づきまして各裁判所が決めるということになりますが、支部において合議事件を取り扱うかどうかは、体制整備あるいは全国的状況を検討する必要があることから、最高裁においても検討しているという状況にございます。
② 最高裁といたしましては、合議を取り扱っていない各支部における事件数の動向、最寄りの合議取り扱い庁へのアクセス等を考慮すれば、合議事件の取り扱いをする支部を増加させる必要は今の時点ではないというふうに考えているところでございます。

2 労働審判取扱支部に関する国会答弁
・ 37期の菅野雅之最高裁判所民事局長は,平成28年3月16日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
① 労働審判事件につきましては、現在、全国の地裁本庁のほか、東京地裁立川支部と福岡地裁小倉支部において取り扱っております。
   最高裁におきましては、日弁連との意見交換を重ねるなどする中で、労働審判事件取り扱い支部拡大の要望を認識してきたところですが、予想される労働審判事件数や本庁に移動するための所要時間等の利便性を基本としつつ、事務処理体制、労働審判事件の運用状況及び労働審判員の安定的な確保を含めた地域的事情、こうしたものを総合的に勘案しながら検討を行いまして、結論といたしまして、静岡地裁浜松支部、長野地裁松本支部、広島地裁福山支部において、平成二十九年四月から労働審判事件の取り扱いを開始することができるよう準備を開始することといたしました。
② 労働審判事件につきまして、委員から今御指摘いただいたとおり、ただいま申し上げた三支部以外の支部での取り扱いを求める要望があることは認識してございます。
   ただ、ただいま申し上げましたとおり、予想される労働審判事件数、それから本庁に移動するための所要時間等を基本としつつ、事務処理体制、労働審判事件の運用状況、それから労働審判員の安定的な確保といった事情を総合的に勘案して、継続的に検討を行った結果として、さきの三支部での取り扱いができるよう準備を開始することとしたものでございます。
   もっとも、労働審判事件を支部で取り扱うかは、新たに労働審判事件を取り扱うことになるさきの三支部における具体的な運用状況ですとか、あるいはその他の庁の運用状況等によるところだと考えております。
   今後、これらの三支部を初めとする各地における労働審判事件の運用状況等を十分に注視してまいりたいというふうに考えております。

3 独立簡易裁判所に関する国会答弁
・ 40期の中村慎最高裁判所総務局長は,平成28年3月16日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
①   裁判所も国の予算で運営される公的な機関ということで、業務量に見合った人の配置ということを考えていく必要があります。
   これまで書記官、事務官合わせて三人の配置であった独立簡易裁判所につきまして、特に事件の少ない庁につきまして、人員の有効活用の観点から、利用者に対する司法サービスの低下につながるおそれがないかどうか、職員の休暇時や緊急時の応援体制等を的確に組むことができるかどうかといった業務体制の観点も踏まえつつ、事件処理に支障がないよう配慮した上で、二人庁、二人による執務体制をとることとしたものでございます。
②   このような二人による執務体制をとっている庁は、全国独立簡裁百八十五庁のうち、昨年四月一日現在で二十八庁でございます。


第9 最高裁判所主催の研修としての支部長研究会の資料
・ 最高裁判所主催の研修としての支部長研究会の資料を以下のとおり掲載しています。
(令和時代)
令和元年度令和2年度令和3年度令和4年度令和5年度
(平成時代)
平成27年度平成29年度平成30年度

第10 臨時司法制度調査会意見書(昭和39年8月28日付)の記載
   臨時司法制度調査会意見書(昭和39年8月28日付)の決議要目には以下の記載があります。
第八 裁判所の配置等
 一 高等裁判所支部の廃止
   高等裁判所の支部を原則として廃止すること。
 二 地方裁判所・家庭裁判所支部の整理統合
   地方裁判所及び家庭裁判所の支部を整理統合して、甲号、乙号の別を廃し、現在の乙号支部を原則として廃止すること。
 三 簡易裁判所の名称の変更
   簡易裁判所の名称を「区裁判所」(仮称)に改めること。
 四 簡易裁判所の整理統合
   人口、交通事情等の社会事情の著しい変動に伴い、簡易裁判所を整理統合することを考慮すること。
 五 簡易裁判所の事務移転
   最高裁判所は、簡易裁判所の調停を除く事務の全部又は一部を他の簡易裁判所に取り扱わせることができるものとすること。
2 臨時司法制度調査会意見書本文には以下の記載があります。
(156頁及び157頁の記載)
(高等裁判所支部の廃止、地方裁判所・家庭裁判所支部の整理統合)
    高等裁判所の支部は、戦後の交通の不便、当時の経済事情等を考慮し、昭和二三年から昭和二四年にかげて設けられたものであるが、現在(山中注:昭和39年8月時点)においては、すでに社会事情も著しい変化を遂げ、交通事情も好転しているので、なおこれらを存置する必要があるかどうかが問題となる。
    また、地方裁判所の支部は、裁判所法施行の際、経過的に裁判所法施行令によってその当時設置されていた各区裁判所の所在地に設けたものとされ、地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則においても、原則として、この状態を引き継ぎ、家庭裁判所の支部も同一の地に設けられることとなったものであるが現在、これらの支部のうち、特に権限乙号のものについては、事件数が少なく、限られた裁判官数をもつてしては、これにあまねく裁判官を配置することが必ずしも合理的でないため、裁判官が配置されていない庁が相当の数にのぼり、また、合議体を構成するに足りる員数の裁判官が配置されていない権限甲号の支部も相当数ある。その結果、これらの裁判官が配置されていない庁等における事件処理のために、他の庁(本庁又は他の支部)から出張する裁判官の時間的な損失も無視することができず、これらは訴訟を遅延させる原因ともなつている。

    そこで、裁判所全体の配置を適正化し、事務処理の能率、適正化を図る見地から(イ)高等裁判所の支部を廃止すること及び(ロ)地方裁判所及び家庭裁刺所の支部については、権限による区別を廃し、かつ、現在の権限乙号の支部は、一部事件数の多いものを除いて廃止するとともに、権限甲号の支部のうち事件数の少ないものを廃止して、整理統合を図ることが適当ではないかという問題があるが、この問題については、他面、国民の利便を十分考慮して慎重に決定されるべきであるという要請も忘れてはならない。
(161頁の記載)
(地方裁判所。家庭裁判所支部の整理統合)
    審議の過程においては、本項の趣旨に格別の反対意見はなかった。
    簡易裁判所の事物管輔が拡張された暁においては、支部における事件数、ことに権限乙号の支部におけるそれは相当程度減少することが予想される点をも考慮し、当調査会は、前記問題の所在に摘記した趣旨で、本項の結論に従った施策を講ずることを相当と認め、全員の一致した意見により、前記結論のこのとおり決定した。

第11 裁判所支部に関する日弁連の考え方が分かるHP等
1 裁判所支部に関する日弁連の考え方につき,日弁連裁判官制度改革・地域司法計画推進本部の以下のHP等が参考になります。
① 「裁判官・検察官の大幅増員を目指して」と題するHP
② 「地域に根ざした法曹の人的・物的施設の拡充を目指して」と題するHP
③ パンフレット「裁判官を増やそう」
④ パンフレット「全国各地に裁判官,検察官の常駐を!」
⑤ パンフレット「裁判所支部を充実させよう」
2(1) 東京地家裁立川支部の現状については,東弁リブラ2009年10月号の「多摩支部の活動-裁判所本庁化への期待も-」のほか,外部HPの「裁判所の「支部」問題」が参考になります。
(2) 東京三弁護士会多摩支部は,東京地家裁立川支部を「本庁」に昇格させるため,色々な取り組みを行っています。
3 京都弁護士会は,平成20年11月,京都府南部地域の司法アクセス改善のためには地裁家裁の支部の創設が必要であるとの考えに立ち,支部設置を目指して,南部地域における地家裁支部設置推進対策本部を設置しました(京都弁護士会HPの「南部地域における地家裁支部設置推進対策本部」参照)。
4 日本裁判官ネットワークHP「支部の充実を目指して」に,平成22年7月23日の北海道弁護士連合会定期大会記念シンポジウム「地域住民の”裁判を受ける権利”の充実を目指して~司法基盤の整備は進んでいるのか~」にパネリストとして参加した元裁判官の文章が載っています。
(1) 令和2年12月18日付の最高裁判所事務総長の理由説明書には以下の記載があります。
   本件決議は, 日本弁護士連合会から最高裁判所に対して参考として送付されたものであり; また,その内容も最高裁判所に対して何らかの応答を求めるものではないことから, 同決議に関し,最高裁判所としての検討内容を記載した文書は作成していない。
(2) 本件決議は,安心して修習に専念するための環境整備を更に進め,いわゆる谷間世代に対する施策を早期に実現することに力を尽くす決議(平成30年5月25日の日弁連定期総会の決議)のことです。


第12 弁護士会連合会(弁連)の要望事項
1   「東京高等裁判所管内の司法基盤の整備充実を求める決議」(平成23年9月30日の関東弁護士会連合会の決議)によれば,以下の4点は早急に実現すべきとされています。
① 東京地方・家庭裁判所立川支部は,独立した地家裁本庁とすべきである。
② 市川簡易裁判所と千葉家庭裁判所市川出張所の管轄地域に地家裁支部を新設すべきである。
③ 横浜地方裁判所相模原支部において,民事・刑事の合議事件が扱えるようにすべきである。
④ 東京高裁管内に設置されているさいたま地方・家庭裁判所秩父支部,前橋地方・家庭裁判所沼田支部,千葉地方・家庭裁判所館山支部,同佐原支部,水戸地方・家庭裁判所麻生支部,静岡地方・家庭裁判所掛川支部には裁判官が常駐していない。これらの裁判所に,早急に,裁判官が常駐するようにすべきである。
2 「大阪高等裁判所管内の地家裁支部の司法基盤の整備充実を求める決議」(平成23年9月20日の近畿弁護士連合会の決議)によれば,以下の4点は早急に実現すべきとされています。
① 京都地方・家庭裁判所管内の南部地域及び和歌山地方・家庭裁判所管内の橋本市に各支部を新設すること。
② 神戸地方裁判所姫路支部及び神戸地方裁判所尼崎支部において,労働審判を取り扱えるようにすること。
③ 奈良地方裁判所葛城支部において,民事の合議事件をより多く取り扱えるように,裁判官の増員を図ること。
④ 京都地方裁判所園部支部,神戸地方裁判所柏原支部及び和歌山地方裁判所御坊支部には裁判官が常駐していないので,裁判官が常駐するようにすること。
3 「すべての裁判所支部管内における司法の機能充実を求める決議」(平成24年7月6日付の東北弁護士会連合会の決議)には,以下の3点を国に対して要請すると書いてあります。
① すべての地方・家庭裁判所及び地方検察庁において裁判官・検事を速やかに常駐させ,裁判所支部・検察庁支部の人的・物的基盤を整備すること
② 地裁本庁に集約されている労働審判・不動産競売・債権執行事件等を含め支部管内の事件は可能な限り当該支部において取り扱うようにすること
③ 執行官,公証人役場,法務局出張所,検察審査会等の司法関係機関の配置を見直し,これらが不足している地域に当該機関を設置すること
4 「裁判官・検察官非常駐支部の解消に向けた行動をとることの宣言」(平成22年12月11日付の北海道弁護士会連合会の決議)には,「裁判官・検察官が一人も常駐していない支部に少なくとも一人の裁判官・検察官が常駐する体制を早急に実現するため、従前にも増して主導的かつ精力的に運動を行っていくことを決意し、ここに宣言する。」などと書いてあります。


第13 裁判員裁判取扱い支部
1 裁判員裁判取扱い支部は以下の10支部です。
(東京高裁管内)
・ 東京地裁立川支部
・ 横浜地裁小田原支部
・ 静岡地裁沼津支部
・ 静岡地裁浜松支部
・ 長野地裁松本支部
(大阪高裁管内)
大阪地裁堺支部
神戸地裁姫路支部
(名古屋高裁管内)
名古屋地裁岡崎支部
(福岡高裁管内)
福岡地裁小倉支部
(仙台高裁管内)
仙台地裁郡山支部
2 例えば,大阪地裁堺支部は,堺支部管轄区域及び岸和田支部管轄区域の裁判員裁判対象事件を取り扱っています。
3 裁判員制度HPの「裁判員制度の実施状況について【データ】~もっとくわしくお知りになりたい方へ~」には例えば,裁判員制度の実施状況等に関する資料(毎年作成されている文書です。)が載っています。

第14 関連記事その他
1(1) 裁判所HPの「裁判所の管轄区域」を見れば,全国の市町村毎にどの高裁,地家裁及び簡裁の管轄になっているかが分かります。
(2) 裁判所HPの「各地の裁判所の所在地・電話番号等一覧」を見れば,全国の高裁,地家裁及び簡裁の電話番号等が分かります。
(3) 裁判所データブックの「付録」に全国裁判所所在図,各高等裁判所管内裁判図があります。
2 日本全国裁判所めぐりブログに,日本全国の裁判所庁舎の外観写真が載っています。
3 弁護士法人 咲くやこの花法律事務所 企業法務の法律相談サービス「契約書の合意管轄条項(専属的合意管轄)の記載方法、交渉方法」が載っています。
4 ベリーベストグループ採用サイト「ベリーベスト法律事務所での地方勤務について」には「当事務所では、所属弁護士の配偶者が、裁判官、検察官といった転勤を伴う職種の方も多く在籍しております。そういった方については、パートナーの方の転勤に伴い、全国の当事務所のオフィスで継続して勤務を行うことが可能となっております。」と書いてあります。
5 労働審判に対し適法な異議の申立てがあったため訴えの提起があったものとみなされて訴訟に移行した場合(労働審判法22条参照)において,当該労働審判が「前審の裁判」に当たるということはできません(最高裁平成22年5月25日判決)。
6(1) 以下の資料も参照してください。
 下級裁判所事務処理規則(昭和23年8月18日最高裁判所規則第16号)
・ 下級裁判所事務処理規則の運用について(平成6年7月22日付の最高裁判所事務総長依命通達)
・ 裁判所職員の赴任期間について(平成4年4月28日付の最高裁判所事務総長の依命通達)
 裁判所の組織(平成29年度支部長研究会の資料)
・ 大阪地方裁判所堺支部・堺簡易裁判所の庁舎平面図(平成20年12月19日竣工)
・ 大阪地方裁判所岸和田支部・岸和田簡易裁判所の庁舎平面図(平成12年5月12日竣工)
・ 家庭裁判所出張所設置規則(昭和25年12月20日最高裁判所規則第32号)
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 高等裁判所支部
・ 検察庁の支部
・ 裁判統計報告
 最高裁判所が作成している事件数データ
・ 下級裁判所の裁判官の定員配置
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律に関する国会答弁資料等
・ 最高裁判所事務総局総務局の事務分掌


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