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裁判文書及び司法行政文書がA4判・横書きとなった時期(AIリライト)

裁判関係文書と司法行政文書では,横書き化とA判化の時期が同じではない。

裁判所の事件記録に関する文書は平成13年1月1日から原則としてA4判・横書き・左とじに移行したのに対し,司法行政文書は先に昭和61年1月1日から原則として左横書きとなり,用紙規格は平成7年1月1日から原則としてA列となった。

第1 結論と時系列

文書の区分左横書き化A判化補足
裁判所の事件記録に関する文書平成13年1月1日平成13年1月1日原則としてA4判・縦置き・横書き・左とじとなった。
司法行政文書昭和61年1月1日平成7年1月1日横書き化が先行し,A列化は後から実施された。

いずれにも例外又は経過措置があるため,「すべての文書がその日に初めて同じ様式になった」という意味ではない。

第2 裁判所の事件記録に関する文書

1 平成13年1月1日からの取扱い

裁判所の事件に関する記録その他の書類は,平成13年1月1日から,原則として日本工業規格(現在の日本産業規格)A4判の用紙を縦長に用い,横書き・左とじで作成する取扱いとなった。

当時の解説である「裁判文書A4判横書き化の紹介と東京簡易裁判所における訴状等の書式について」判例タイムズ1042号29頁~30頁によれば,民事事件,刑事事件,家事事件及び少年事件の各事件記録について,裁判所が作成する文書だけでなく,当事者その他の者が提出する文書も対象とされた。

平成12年以前に受け付けた事件についても,平成13年1月1日以後に作成し,又は提出する文書からA4判・横書きに切り替える取扱いであった。

したがって,この日付は新規事件だけの開始日ではなく,既存事件を含む事件記録の取扱いを一斉に切り替えた日である。

2 旧民事訴訟規則と様式の法的性質

昭和31年最高裁判所規則第2号である旧民事訴訟規則6条は,訴訟書類について,できる限りB4判の用紙を二つ折りにしたもの又はB5判の用紙を使用するよう定めていた。

同条が定めていたのは用紙規格であり,縦書きそのものではないため,旧規則を根拠に「B判・縦書きが義務付けられていた」と説明するのは正確でない。

旧民事訴訟規則は平成10年1月1日に廃止され,現行の民事訴訟規則には同様の用紙規格の定めが置かれなかったが,平成12年末までは従前のB5判等の慣行が続いた。

A4判・横書き化は裁判所の運用上の標準を変更したものであり,文字数,行数,文字の大きさ及び余白が法令によって一律の受理要件とされたわけではない。

判例タイムズ1042号29頁~30頁も,東京簡易裁判所が用意した各種書式を,必要事項を漏れなく記載し,効率的な審理に資するための望ましい参考例として説明している。

3 移行当時の標準的な書式

平成12年9月20日日弁連企第186号及び平成12年11月16日日弁連企第231号に関する日弁連と最高裁判所事務総局との照会結果並びに当時の実務書によれば,おおむね次の設定が推奨された。

① 用紙はA4判を縦長に用い,横書き・片面印刷とする。

② A3判の袋とじは用いない。

③ 複数枚の文書は左とじとし,左余白内の2か所をホチキスでとめる。

④ 文字は12ポイントを標準とし,1行37文字,1頁26行とする。

⑤ 余白は,上35mm,下27mm~30mm,左30mm,右15mm~20mmを目安とする。

この設定に準拠することは読みやすさと事務処理の統一に資するが,個別事件で裁判所から別の指示がある場合はその指示によることになる。

4 平成29年の判決書の標準設定

判決書の書式等の標準的な設定についてによれば,平成29年4月12日の最高裁判所裁判官申合せは,最高裁判所の裁判書について,A4判・縦長・左横書き・左とじ,12ポイント,1行37字,1頁26行,上余白35mm,下余白27mm,左余白30mm及び右余白20mmを標準とし,同年5月1日から実施した。

同申合せは,図表等を作成する場合その他特に必要がある場合等の例外も定めている。

平成29年7月24日の下級裁判所向け書簡は,判決書について同様の標準を示しつつ,13ポイント・1行34字とすることも妨げないとした。

5 平成13年より前の横書き文書

平成13年1月1日より前にも,知的財産関係事件の一部の判決書や速記反訳書等には横書きの例があったとされる。

そのため,「同日にすべての裁判文書が初めて横書きになった」とするのではなく,「同日から事件記録に関する文書を原則としてA4判・横書きに統一した」と理解すべきである。

6 令和8年5月21日以後の民事訴訟

裁判所の案内によれば,令和8年5月21日に改正後の民事訴訟法及び改正民事訴訟規則が施行され,民事訴訟手続が全面的にデジタル化された。

現在は誰でもオンラインで訴えや準備書面等を提出でき,弁護士等の訴訟代理人にはオンラインによる手続が義務付けられている。

ただし,民事執行,倒産,労働審判,人事訴訟及び家事事件等は,令和8年5月21日に開始した民事訴訟の全面デジタル化の対象外である。

したがって,A4判・横書きという標準は,紙の裁判関係文書の制度史,紙で処理される手続及び紙へ出力する場合の様式として位置付ける必要がある。

第3 司法行政文書

1 昭和61年1月1日の左横書き化

司法行政文書は,昭和61年1月1日から,原則として縦書きに代えて左横書きで作成することとなった。

もっとも,最高裁判所の規則・規程,法令で縦書きの様式が定められている文書,賞状・祝辞等及び刊行物その他の文書には例外があった。

2 平成7年1月1日のA列化

平成6年9月1日付け最高裁秘書第353号事務総長依命通達「司法行政文書の用紙規格及び左横書きについて」は,司法行政文書の用紙規格を原則としてA列とし,平成7年1月1日から実施した。

平成6年9月1日付け最高裁秘書第354号秘書課長通達「司法行政文書の用紙規格及び左横書き実施要領について」は,原則をA4とし,A4により難い場合はできるだけA5又はA6とすること,これらの用紙は原則として縦長に用いることを定めた。

ただし,別に規格の定めがある場合その他特に必要がある場合等には例外がある。

会計関係文書の用紙規格については平成7年4月1日から適用され,同年3月31日までは従前の例によった。

また,実施時に残っていたB4判及びB5判の用紙は,当分の間,適宜使用して差し支えないとされた。

なお,第354号文書は,令和4年4月25日付け最高裁秘書第1273号により,「秘書課長依命通達」ではなく「秘書課長通達」と表示するよう補正されている。

3 実際の文書に現れた変化

最高裁判所裁判官会議資料である「部の事務を総括する裁判官の名簿」は,昭和62年度分からB判・横書きとなり,平成8年度分からA4判・横書きとなった。

この変化は,昭和61年1月1日の左横書き化と平成7年1月1日のA列化という二段階の経過と整合する。

現在の司法行政文書については,司法行政文書の書き方(9訂)の解説も参照されたい。

第4 読点の変更

平成12年の日弁連照会結果では,当時の裁判文書は読点を「,」に統一しているため「,」を使用するものの,「、」を使用した文書も受け付けるとされていた。

既存記事の「『,』の使用する」という記載は誤記であり,「『,』を使用する」とするのが正しい。

もっとも,令和4年1月11日に政府内へ周知された文化庁「公用文作成の考え方」は,読点に「、」を用いることを原則とし,横書きでは「,」を用いることもできるが,一つの文書内では統一するとしている。

公開された最高裁判所の判決書でも令和4年4月以降に読点が「、」へ変わったことが確認されており,次の既存のX投稿はその変更時の観察として関連するため残す。

第5 関連資料

① 新様式判決

② 裁判文書の文書管理に関する規程及び通達

③ 司法行政文書に関する文書管理

④ 公文書の左横書きについて

⑤ 閣議関係文書のA4判化等について

第6 出典

1 公文書・歴史資料

① 最高裁判所事務総長依命通達「司法行政文書の用紙規格及び左横書きについて」(平成6年9月1日付け最高裁秘書第353号)。

② 最高裁判所事務総局秘書課長通達「司法行政文書の用紙規格及び左横書き実施要領について」(平成6年9月1日付け最高裁秘書第354号)。

③ 最高裁判所総務局長等「判決書の書式等の標準的な設定について」(平成29年7月24日付け書簡)及び平成29年4月12日最高裁判所裁判官申合せ。

④ 最高裁判所事務総局秘書課『司法行政文書の書き方(9訂)』令和6年12月,166頁~170頁。

2 文献

① 東京簡易裁判所民事首席書記官・同民事訟廷管理官「裁判文書A4判横書き化の紹介と東京簡易裁判所における訴状等の書式について」判例タイムズ1042号29頁~43頁(2000年12月15日)。

② 司法協会『司法行政文書の書き方(新訂)』平成7年3月,1頁~2頁及び95頁~98頁。

③ 佐藤裕義編著『訴訟類型別 訴状審査をめぐる実務』新日本法規出版,2018年,14頁及び118頁~120頁。

④ 京野哲也・今井隆一『基礎から実務へ 民事執行・保全』日本加除出版,2013年,108頁。

⑤ 園部厚『書式 支払督促の実務〔全訂11版〕』民事法研究会,2024年,弁護士ドットコムライブラリー電子版101頁。

3 ウェブ資料

① 園部正人「『、』と『,』」早稲田大学RCLIP

② 文化庁「公用文作成の考え方」

③ e-Gov法令検索「民事訴訟法」

④ 裁判所「民事裁判手続のデジタル化」

⑤ 裁判所「改正民訴法等で変わる民事訴訟手続の概要」