裁判官研修実施計画


目次

1 裁判官研修実施計画
2 判事・判事補の合同研修の種類(平成29年度)
3 裁判官の研修に関する,法務・検察行政刷新会議の資料の記載
4 裁判官の研修に関する規約人権委員会の所見
5 裁判官の研修に関する令和3年6月当時の最高裁判所の説明
6 司法研修所情報データベースへの掲載資料
7 関連記事その他

* 「裁判官の合同研修に関する説明文書」も参照してください。

1 裁判官研修実施計画
(1) 裁判官研修実施計画を以下のとおり掲載しています。
(令和時代)
令和2年度分令和3年度分令和4年度分令和5年度分
令和6年度分
(平成時代)
平成27年度分平成28年度分平成29年度分
平成30年度分平成31年度分
(2) 平成29年度以降,司法研修所特別研究会は開催されなくなりました(平成31年4月17日付の「司法行政文書開示請求の補正について」参照)。
(3) 平成30年以降,毎年1月の最高裁判所事務総局会議において「裁判官研修に関する重要な事項」(平成28年度議決)及び「(派遣型研修について(報告対象事項))」の変更の有無を確認した上で,最高裁判所裁判官会議の議決をしています。
(4) 裁判官の合同研修に関する説明文書も参照してください。

2 判事・判事補の合同研修の種類(平成29年度)

・ 平成29年度の場合,判事・判事補の合同研修の種類は以下のとおりです。
(1) 裁判系(事件の分野別の研修)
① 基礎(主たる対象者は,左陪席)
② 基本(主たる対象者は,右陪席)
・ 民事分野,刑事分野及び家裁分野に分かれます。
③ 実務(主たる対象者は,裁判長及び右陪席)
・ 民事分野及び刑事分野に分かれます。
④ 専門(主たる対象者は,テーマに対応した者)
・ 民事分野,刑事分野及び家裁分野に分かれます。
(2) 導入系
① 年次(対象者は,任官時等の節目の年次に到達した者)
② ポスト(対象者は,所長,支部長,部総括等のポストに就任した者)
③ 役割(対象者は,特定のポストに限らず,一定の役割が期待される立場にある者)
(3) 基盤系(一般的資質・能力を涵養するための研修)

裁判官ハンドブック(令和3年3月の最高裁判所事務総局の文書)からの抜粋です。

3 裁判官の研修に関する,法務・検察行政刷新会議の資料の記載

・ 法務・検察行政刷新会議第4回会議(令和2年9月10日)資料3「各組織における「倫理」に係る規律及び研修等の状況」には以下の記載があります。
(研修全般)
○司法研修所において実施している研修のうち,各期の全員が参加して実施される①「新任判事補研究会」(司法修習生から判事補への任命直後),②「判事任官者研究会」(判事補から判事への任命直後)等において,裁判官の倫理の取扱いあり。
(幹部研修)
○一定のポストに就いた者が参加して実施される①「新任部総括裁判官研究会」(部総括の指名直後)
②「部総括裁判官実務研究会」(部総括指名後一定期間経過後)
③「実務協議会」(地家裁所長の任命直後)
等において,裁判官の在り方や組織運営に関する講義・事例研究等を実施。

4 裁判官の研修に関する規約人権委員会の所見

・ 外務省HPの「国際人権規約」に載ってある規約第40条(b)に基づく第7回報告に関する自由権規約委員会の総括所見(2014年7月24日)には以下の記載があります。
国内裁判所による規約上の権利の適用可能性
6.委員会は,締約国によって批准された条約が国内法の効力を有することに留意する一方,規約の下で保護される権利が裁判所によって適用された事例の件数が限られていることを懸念する(第2条)。
委員会は,前回の勧告(CCPR/C/JPN/CO/5, para.7)を繰り返し,締約国に対し,規約の適用及び解釈が下級審を含めあらゆるレベルで弁護士,裁判官及び検察官に対する専門職業的研修の一部となることを確保するよう求める。締約国はまた,実効的な救済が規約の下で保護される権利の侵害に対して利用できることを確保すべきである。締約国は,個人通報制度を規定する規約の選択議定書への加入を検討すべきである。

5 裁判官の研修に関する令和3年6月当時の最高裁判所の説明

・ 裁判所をめぐる諸情勢について(令和3年6月の最高裁判所事務総局の文書)47頁ないし49頁には,「(1) 裁判官の研修・研究会について」として以下の記載があります。
    裁判官には,裁判実務に関する知識,能力や幅広い教養,深い洞察力等が必要であるところ,急速に変化する社会経済情勢やそれを受けて行われる様々な法改正等に的確に対応するためには,これらの知識等の修得を個々の裁判官に委ねるだけでなく,組織的な研修の機会を設け,その体系や内容の充実を図っていく必要がある。
    このような見地から,司法研修所では,裁判官の自己研さんを支援するため,応募制を原則として,各種の研修を行っている。具体的には,合同研修のうち,各裁判分野における裁判事務に関する研究会を「裁判系」,新たなポストに就いた際などの職務導入研修を「導入系」,裁判や組織運営の基盤となる裁判官としての素養の修得を目的とする研究会を「基盤系」として実施している。令和2年度の合同研修は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で中止になったものもあるため例年より少ないが,合計39本(うち応募型28本)を実施し,参加した裁判官は延べ約1220人に及んだ。また,その他の研修として,民間企業等で研修を行う派遣型研修を実施している。
    特に,近年は,先端的な知見が判断に深く関係する事件や事件の背後にある価値の捉え方が難しい事件など困難な判断が求められる事件が増加していることから,裁判系の研究会を中心にカリキュラムの充実に努めているほか,基盤系の研究会において,法律分野にとらわれずに紛争を取り巻く現代的な事象等をテーマとして取り上げ,広範な分野の素養を得られるよう配慮している。また,令和3年度は,個別の研究会において,新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い生ずる審理運営上の問題,新たな紛争類型や法的論点等について議論するカリキュラムを適宜実施する予定である。
    これらに加えて,社会経済情勢の変化に伴って生ずる新たな法的問題について裁判所が適切な判断をしていくために,外国での議論を参考にすることを目的として,令和元年度から外国司法専門研究会を実施している。
    また,裁判官の組織運営能力の向上を図るためのカリキュラムの充実にも取り組んでいる。その一環として,導入系の研究会のカリキュラムを工夫するとともに,書記官及び家裁調査官等の一般職員との連携について議論するため,一部の研究会を裁判所職員総合研修所と合同実施している。
    さらに,令和元年度から「裁判官のワークライフバランス」をテーマとした研究会を,令和2年度から「裁判官の成長支援」をテーマとした研究会を新たに実施しており,令和3年度も継続実施の予定である。
    以上のような研修内容や研修技法については,司法研修所参与や国際司法研修協会(International Organization for Judicial Training,IOJT)など外部の知見等も取り入れながら,その充実を図っている。
    また,様々な事情により合同研修に参加できない裁判官等の自己研さんを支援するためj司法研修所情報データベース(ケンサン)に合同研修における講演録等を掲載するほか,配信にふさわしい講演等を全ての地裁又は家裁にテレビ会議で同時配信し,所属庁等から傍聴できる態勢を整えている。
令和2年度は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の見地から,司法研修所に参集する人数を少なくするため,多くの研究会について,司法研修所の近隣庁に所属する裁判官を除き,所属庁等からテレビ会議により参加する方式で実施した。また,令和3年1月以降は,全ての裁判官がウェブ会議により自宅等から参加する方式で実施した研究会もある。令和3年度は,当初の計画としては,司法研修所に全ての研究員が参集する方式で実施することとしているが,参集が困難な情勢になった場合には,カリキュラムの内容等に応じて,テレビ会議又はウェブ会議による方式に切り替える予定である。
    以上のとおり,これまで司法研修所では,研修内容の拡大と充実に力を入れてきたところであり,今後も,裁判官の研修ニーズに応えられるよう,実施方法の工夫を重ねつつj自己研さん支援の更なる充実を図っていきたいと考えている。

6 司法研修所情報データベースへの掲載資料

・ 参考文献リスト(令和5年6月の開示文書)
→ 民事・行政事件関係としては,医事関係訴訟会社関係・独占禁止法関係訴訟商事非訟関係建築関係訴訟システム開発関係訴訟インターネット関係事件民事訴訟手続のIT化行政事件独占禁止法関係訴訟労働事件交通関係訴訟民事保全関係DV等民事調停関係倒産関係破産関係再生関係会社更生関係民事執行関係借地非訟関係過料国賠事件知財事件簡裁訴訟等支払督促関係公示催告があります。
・ 司法研究リスト(平成27年度まで)
・ 裁判官教材シリーズ一覧(平成29年4月21日現在)
・ 講演録・結果概要等の掲載順一覧(平成28年度まで)

7 関連記事その他

(1) 司法研修所規程7条は,「司法研修所長は、毎年三月末までに、翌年度の研修計画の大綱を定め、これを最高裁判所長官に申し出なければならない。 」と定めています。
(2) 以下の資料を掲載しています。
・ 司法研修所別館で行う裁判官研修における新型コロナウイルス感染症の感染防止策について(令和2年8月3日付の司法研修所の文書)
・ 令和2年度研究会等における司法研修所寮の感染防止対策について(令和2年8月25日付の司法研修所の文書)
(3) 令和3年度(最情)答申第2号(令和3年5月20日答申)には以下の記載があります。
    最高裁判所事務総長の上記説明によれば,司法研修所で実施する裁判官研修において充実した研修を実現するためには,同研修における講演等を依頼している外部講師との信頼関係が極めて重要であり,同研修で使用するレジュメ等の資料や,同研修における講演録については,講師の了承を得て研修に必要な範囲で利用しているものであって,講師の了承を得ない利用方法は,講師との信頼関係を損ね,今後,講師の招へいに応じてもらえなくなるなど,研修事務の適正な遂行に重大な支障を及ぼすおそれがあるとのことである。
(4) アホヲタ元法学部生の日常ブログ「江頭差分が不要になった!? リーガルリサーチの最新「スタンダード」を探る」には「「Googleによって知識はコモディティ化した」という言説がある。しかし、①有料データベースや図書館等にしかない情報があること、②仮にある情報がネット上にあっても、漫然とGoogleで検索しただけでは探し出せないことの2点に留意が必要である。」と書いてあります。
(5) 以下の記事も参照してください。
・ 裁判官の合同研修に関する説明文書
・ 裁判所職員総合研修所の研修実施計画
→ ①裁判所職員総合研修所の研修計画協議会説明要旨,及び②裁判所職員(裁判官以外)研修の実施に関する重要な事項(案)も掲載しています。
・ 新任判事補研修の資料
・ 判事補基礎研究会の資料
・ 判事任官者研究会の資料
・ 弁護士任官者研究会の資料
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
・ 判事補及び検事の弁護士職務経験制度
・ 裁判官の民間企業長期研修等の名簿


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