目次
1 総論
2 裁判官の再任等に関する運用通達
3 下級裁判所裁判官指名諮問委員会で再任不適当とされた裁判官の数の推移
4 関連記事その他1 総論
(1) 下級裁判所裁判官指名諮問委員会は,平成15年5月1日施行の下級裁判所裁判官指名諮問委員会規則に基づき,最高裁判所に設置されている委員会であり,再任を希望する裁判官の再任が適当かどうか等について,最高裁判所に対して答申をしています。
(2) 日弁連HPの「裁判官制度改革」に,下級裁判所裁判官指名諮問委員会のことが書いてあります。
2 裁判官の再任等に関する運用通達
(1) 最高裁判所勤務の裁判官の再任等については,「裁判官の再任等に関する事務について」(平成16年6月17日付の最高裁判所事務総局人事局長の通達)に基づいて運用されています。
(2) 下級裁判所勤務の裁判官の再任等については,「裁判官の再任等に関する事務について」(平成16年6月17日付の最高裁判所事務総局人事局長の通達)に基づいて運用されています。
3 下級裁判所裁判官指名諮問委員会で再任不適当とされた裁判官の数の推移
・ 下級裁判所裁判官指名諮問委員会で再任不適当とされた裁判官は,再任願いを取り下げたか,又は最高裁判所による再任拒否の対象になったと思われます。
(1) 毎年1月及び4月の再任
・ 平成16年4月における16期,26期及び36期の再任及び46期の新任を含む181人中 6人が不適当(平成15年12月2日の議事要旨3頁)
・ 平成17年4月における17期,27期及び37期の再任及び47期の新任を含む179人中 4人が不適当(平成16年12月3日の議事要旨3頁)
・ 平成18年4月における18期,28期及び38期の再任及び48期の新任を含む189人中 4人が不適当(平成17年12月9日の議事要旨3頁及び4頁)
→ このとき,48期の井上薫横浜地裁判事が再任拒否されました(外部ブログの「裁判官4人再任拒否」参照)。
・ 平成19年4月における19期,29期及び39期の再任及び49期の新任を含む193人中 4人が不適当(平成18年12月8日の議事要旨4頁)
・ 平成20年4月における20期,30期及び40期の再任及び50期の新任を含む205人中 3人が不適当(平成19年12月7日の議事要旨3頁)
・ 平成21年4月における21期,31期及び41期の再任及び51期の新任を含む166人中 4人が不適当(平成20年12月5日の議事要旨2頁及び3頁)
・ 平成22年4月における22期,32期及び42期の再任及び52期の新任を含む189人中 3人が不適当(平成21年12月1日の議事要旨3頁)
・ 平成23年4月における23期,33期及び43期の再任を含む116人中 3人が不適当(平成22年12月3日の議事要旨3頁)
・ 平成24年4月における24期,34期及び44期の再任を含む101人中 2人が不適当(平成23年12月2日の議事要旨3頁)
・ 平成25年4月における25期,35期及び45期の再任を含む117人中 4人が不適当(平成24年12月10日の議事要旨3頁)
・ 平成26年4月における26期,36期及び46期の再任を含む122人中 2人が不適当(平成25年12月9日の議事要旨2頁及び3頁)
・ 平成27年4月における27期,37期及び47期の再任を含む120人中 2人が不適当(平成26年12月5日の議事要旨3頁)
・ 平成28年4月における28期,38期及び48期の再任を含む121人中 2人が不適当(平成27年12月4日の議事要旨3頁)
・ 平成29年4月における29期,39期及び49期の再任を含む184人中 2人が不適当(平成28年12月2日の議事要旨3頁)
・ 平成30年1月及び4月における30期,40期及び50期の再任並びに新60期の新任を含む154人中 1人が不適当(平成29年12月1日の議事要旨2頁)
・ 平成31年1月及び4月における31期,41期及び51期の再任並びに新61期の新任を含む126人中 1人が不適当(平成30年12月7日の議事要旨2頁)
・ 令和 2年1月及び4月における32期,42期及び52期の再任並びに新62期の新任を含む137人中 4人が不適当(令和元年12月6日の議事要旨2頁)
・ 令和 3年1月及び4月における33期及び43期の再任並びに新63期の新任を含む87人中 2人が不適当(令和2年12月4日の議事要旨3頁)
・ 令和 4年1月及び4月における34期及び44期の再任並びに新64期の新任を含む62人中 0人が不適当(令和3年12月3日の議事要旨2頁)
(2) 毎年9月及び10月の再任
・ 平成22年10月における53期の新任 75人中 0人が不適当(平成22年7月2日の議事要旨3頁)
・ 平成23年10月における54期の新任 97人中 2人が不適当(平成23年7月8日の議事要旨3頁)
・ 平成24年10月における55期の新任 90人中 2人が不適当(平成24年7月5日の議事要旨3頁)
・ 平成25年10月における56期の新任 94人中 1人が不適当(平成25年7月8日の議事要旨3頁)
・ 平成26年10月における57期の新任102人中 1人が不適当(平成26年6月27日の議事要旨3頁)
・ 平成27年10月における58期の新任107人中 0人が不適当(平成27年7月3日の議事要旨3頁)
・ 平成28年10月における59期の新任104人中 0人が不適当(平成28年7月6日の議事要旨3頁)
・ 平成29年 9月における現行60期(任官時52人)を含む69人中 0人が不適当(平成29年7月7日の議事要旨3頁)
・ 平成30年 9月における現行61期(任官時24人)を含む71人中 0人が不適当(平成30年7月6日の議事要旨3頁)
・ 令和元年9月における現行62期(任官時7人)を含む88人中 0人が不適当(令和元年7月5日の議事要旨3頁)
・ 令和2年9月及び10月における53期の再任及び現行63期(任官時4人)を含む149人中 0人が不適当(令和2年7月3日の議事要旨3頁)
下級裁判所裁判官指名諮問委員会について(令和2年度新任判事補研修の資料)を添付しています。 pic.twitter.com/O25nan3tID
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) April 4, 2021
4 関連記事その他
(1) 平成29年度(最情)答申第48号(平成29年12月1日答申)には以下の記載があります。
下級裁判所裁判官に任命されるべき者として最高裁判所が指名すべき人数については,法令上,特段の定めはない。また,最高裁判所の職員の口頭説明によれば,以前は任命されるべき人数より1名多く指名するのが通例であったが,下級裁判所裁判官指名諮問委員会が設置された現在では任命されるべき人数と等しい人数を指名しており,これらの事務は慣例によって運用しているものであるから,文書を作成する必要はないとのことである。このような説明の内容は,不合理とはいえない。
(2) 38期の井上薫裁判官は,「諸君!」2006年1月号の80頁ないし88頁に,「あの「靖国傍論」判決批判の裁判官がクビ?我、「裁判干渉」を甘受せず」と題する記事を寄稿していますところ,82頁には以下の記載があります。
平成一六年一一月のある日、私は、横浜地裁の浅生重機所長から、「判決の理由が短いので改善せよ」と言われた。執務時間中所長室で二人きりの時のことである。
平成一七年七月一四日、所長面談の時、私は所長から「判決の理由を改善するように言ったのに改善しないので、来年の判事再任は無理である。第二の人生を考えておくように」と言われた。所長面談というのは、所長が裁判官の人事評価をするに先立ち、その裁判官としなければならないものとして制度化された面談であり、公式行事である。余人は立ち会わない。
(3) 以下の記事も参照してください。
・ 下級裁判所裁判官指名諮問委員会委員名簿
・ 平成20年度以降,任期終了により退官した裁判官の一覧
・ 裁判官の再任の予定年月日,及び一斉採用年月日
・ 裁判官の退官情報
・ 裁判官の職務に対する苦情申告方法
1 裁判官再任評価情報の提供https://t.co/HZYXmJynRq
2 令和5年10月16日に再任時期を迎える
松本明子裁判官(56期)の経歴
https://t.co/WuvAuGJWRS— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) February 3, 2023