最高裁判所に係属した許可抗告事件一覧表(平成25年分以降),及び許可抗告事件の実情


目次
1 最高裁判所に係属した許可抗告事件一覧表
2 毎年度の「許可抗告事件の実情」
3 許可抗告は5日の不変期間内にする必要があること等
4 許可抗告の制度趣旨
5 「法令の解釈に関する重要な事項」の意義
6 判例委員会において取り上げられた判示事項・判決要旨の位置づけ等
7 関連記事その他

1 最高裁判所に係属した許可抗告事件一覧表
(令和時代)
令和 元年分令和 2年分令和 3年分
令和 4年分令和 5年分
(平成時代)
平成25年分平成26年分平成27年分
平成28年分
平成29年分平成30年分

* 「最高裁判所に係属した許可抗告事件一覧表(令和3年分)」といったファイル名です。

2 毎年度の「許可抗告事件の実情」

(1) 以下のとおり判例時報に掲載されています。
・ 令和4年度分
判例時報2570号(令和5年12月1日号)
・ 令和3年度分:
判例時報2516号(令和4年6月21日号)
・ 令和2年度分:
判例時報2492号(令和3年10月21日号)
・ 令和元年度分:
判例時報2452号(令和2年10月1日号)
・ 平成30年度分:
判例時報2430号(令和2年3月1日号)
・ 平成29年度分:
判例時報2394・2395合併号(平成31年3月11・21日号)
・ 平成28年度分:
判例時報2348号(平成29年12月11日号)
・ 平成27年度分:
判例時報2310号(平成28年12月21日号)
・ 平成26年度分:
判例時報2291号(平成28年 6月11日号)
・ 平成25年度分:
判例時報2255号(平成27年 6月21日号)
・ 平成24年度分:
判例時報2206号(平成26年 2月11日号)
・ 平成23年度分:
判例時報2164号(平成24年12月11日号)
・ 平成22年度分:
判例時報2121号(平成23年10月11日号)
(2) 令和元年12月,判例時報社から,「許可抗告事件の実情 平成10~29年度」が出版されました。


3 許可抗告は5日の不変期間内にする必要があること等
(1)ア 許可抗告は,裁判の告知を受けた日から5日の不変期間内にしなければなりません(民事訴訟法337条6項・336条2項)。
イ 許可抗告の申立期間を依頼者に対して正確に説明しなかった場合,戒告の懲戒処分を受けることがあります(自由と正義2019年4月号70頁)。
(2) 許可抗告理由書は,抗告許可申立て通知書(民事訴訟規則209条・189条1項)の送達を受けた日から14日以内にする必要があります(民事訴訟規則210条2項・210条1項)。
(3) 特別抗告理由は理由書自体に記載すべきであって,原審抗告理由書の記載を引用することは許されない(最高裁大法廷昭和26年4月4日判決)ところ,許可抗告についても同様であると思います。

4 許可抗告の制度趣旨
・ 「許可抗告事件の実情-令和元年度-」には,許可抗告の制度趣旨として以下の記載があります(判例時報2452号4頁。なお,文中で言及されている参考文献は省略していますし,改行を追加しています。)。
    許可抗告(民訴法337条)は、決定に対して法が特に認めた最高裁判所に対する不服申立て方法であって、法令解釈に関する重要な事項を含む事件であると高等裁判所が認めて許可したことを申立ての要件とするものである。
    現行民訴法で許可抗告制度が設けられたのは、民事執行法や民事保全法の制定等に伴い、決定で判断される事項に重要なものが増え,重要な法律問題について高等裁判所の判断が分かれているという状況が生じていたので、最高裁判所の負担が過重にならないように配慮した上で、重要な法律問題についての判断の統一を図ろうとしたものである。 
    上告受理制度のように最高裁判所自らが受理するか否かの判断をする制度が採用されなかったのは、そのような制度を採用すれば最高裁判所の負担が過重になるおそれがあったためであり、その意味においては、許可抗告の制度は、高等裁判所において、適切に許可の判断がされることを信頼して設けられた制度であるということができる。
    そして、最高裁判所が本来許可に値しないと考えたとしても、高等裁判所が許可した以上、最高裁判所は当該論点への応答をする義務を負うことになるのであるから、高等裁判所には、自らの判断に判例と異なる点がある場合又は真に法令解釈に関する重要な事項を含む場合に限って抗告を許可するという制度の趣旨に沿った運用が求められている。

5 「法令の解釈に関する重要な事項」の意義
・ 「許可抗告事件の実情-令和元年度-」には,「法令の解釈に関する重要な事項」の意義として以下の記載があります(判例時報2452号5頁)。
(1) 法令の解釈自体は既に明確になっている場合に、個別事件における事実認定や要件ないし法理への単純な当てはめの判断は、通常は、法令解釈に関する重要な事項とはいえない。
    また、最高裁判所の判例により示された法例解釈の基準の具体的適用に関わる事項は、当該実務を担当する下級裁における事例集積にこそ意味がある場合が多い。このような場合,下級裁での事例集積、要件の類型化に関する実務的検討が十分にされていない段階で、個別事案に関する案件該当性の争いを法律審である最高裁判所に求めることは、相当ではないことが多い。
(2) 論点自体としては法令解釈に関する重要な事項に当たるが、当該事案の結論に影響しない論点については、許可は不相当となるものと考えられる。許可抗告は、法令の解釈に関する重要な事項について、解釈統一の機能を有する特別な抗告であるが、当該事案の解決を目的とするものであることはいうまでもなく、抽象的な法令解釈のために抗告を許可することは、当事者を具体的事件の解決を離れた論叢に巻き込むことになり、事案の解決を目的とする制度の趣旨に反するからである。
    また、特に移送や文書提出命令などの付随的な決定については、抗告に伴い、本案の手続が事実上進行できなくなることもあり、不相当な抗告により当事者が迷惑を被ることもあり得るので、この点にも留意が必要である。

6 判例委員会において取り上げられた判示事項・判決要旨の位置づけ等
(1) 最高裁平成19年5月29日判決の裁判官上田豊三,同堀籠幸男の補足意見には以下の記載があります(改行を追加しています。)。
   判例委員会において取り上げられた判示事項・判決要旨は,その判決の持つ先例的意義・価値を理解する上で重要な導きをするものであることはいうまでもないが,その判示事項・判決要旨がすべて「判例」となると解すべきではないし,逆に判示事項・判決要旨として取り上げられていないからといって「判例」ではないと解すべきものでもない。
   要するに,その判決が,どのような事案においてどのような法理を述べ,それを具体的事案に当てはめてどのような判断をし,解決をしたのかを理解し,先例としての意義・価値や拘束力があるのはどの部分であるかを探求すべきものである。

(2) 最高裁平成19年5月29日判決の裁判要旨は「飛行場において離着陸する航空機の発する騒音等により周辺住民らが精神的又は身体的被害等を被っていることを理由とする損害賠償請求権のうち事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分は,判決言渡日までの分についても,将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格を有しない。」です。

7 関連記事その他
(1) 原審の訴訟代理人が上告受理申立ての特別委任まで受けていた場合,高裁判決後の委任状を添付することなく,上告受理申立てをすることができます(最高裁昭和23年12月24日判決参照)。
    そのため,原審の訴訟代理人が特別抗告・許可抗告の特別委任まで受けていた場合,高裁決定後の委任状を添付することなく,特別抗告・許可抗告をすることができます。
(2) 特別抗告の理由として形式的には憲法違反の主張があるがそれが実質的には法令違反の主張にすぎない場合であっても,原裁判所が民訴法336条3項,327条2項,316条1項により特別抗告を却下することはできません(最高裁平成21年6月30日決定)。
(3)ア 最高裁判所は「訴訟法において特に定める抗告」のみについて裁判権を有します(裁判所法7条2号)ところ,それは,民事事件についていえば特別抗告及び許可抗告だけを意味します。
    そのため,再抗告(民事訴訟法330条)は,簡易裁判所の決定・命令につき地方裁判所が抗告審として下した決定に対し高等裁判所へ抗告する場合にのみ許されます(結論につき最高裁昭和42年3月29日決定(判例秘書に掲載)参照)。
イ 証拠の採否に関する裁判に対しては,終局判決に対する上訴においてその当否を争うことができるため,特別抗告をすることはできません(鑑定申出却下に対する特別抗告に関する最高裁昭和48年2月15日決定参照)。
(4) 東弁リブラ2022年1月・2月号「元最高裁判所判事 木澤克之」には以下の記載があります。
    制度上,最高裁は,上告事件の全部を蹴っ飛ばすことができる仕組みになっており,そのような多数の事件の中で,「結果の妥当性の観点から結果を見直した方がよい」と思われるものを取り出して,最高裁の審理の対象とするのです。
    ただし,許可抗告だけは,原審が許可すると,最高裁は拘束されてしまいます。
(5) 以下の記事も参照して下さい。
・ 上告審に関するメモ書き
・ 最高裁の破棄判決一覧表(平成25年4月以降の分),及び最高裁民事破棄判決等の実情
・ 2000円の印紙を貼付するだけで上告受理申立てをする方法
・ 最高裁判所裁判部作成の民事・刑事書記官実務必携
・ 最高裁の既済事件一覧表(民事)
 最高裁判所調査官
 最高裁判所判例解説


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