弁護士会副会長経験者に対する懲戒請求事件について,日弁連懲戒委員会に定型文で棄却された体験談(私が情報公開請求を開始した経緯も記載しています。)

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目次
第1 本件事案の概要,及び日弁連懲戒委員会の定型文の棄却裁決

1 本件事案の概要
2 日弁連懲戒委員会の定型文の棄却裁決
第2 本件事案における懲戒請求事由の要旨等
1 本件事案における懲戒請求事由の要旨
2 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書の認定の骨子
3 対象弁護士が関与した裁判例は判例秘書に掲載されていること
第3 本件事案における「異議申出の理由」の骨子
1 懲戒請求事由①が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子
2 懲戒請求事由②が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子
3 懲戒請求事由③が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子
第4 私が異議申出人の事件に関与するようになった経緯等
1 私が異議申出人の事件に関与するようになった経緯
2 私は,とある高検の検事長を経験した弁護士と接触をしたことはないこと
第5 私が情報公開請求を開始した経緯
第6 私が自ら取得した情報公開文書をインターネットで公表し続けている理由
第7 最高裁平成23年7月15日判決の個別意見の説示内容
1 裁判官竹内行夫の補足意見の説示内容
2 裁判官須藤正彦の補足意見の説示内容
3 裁判官千葉勝美の補足意見の説示内容
第8 表現の自由に関する弁護士会の懲戒基準を私が理解することはできないこと等
1 「表現の不自由展・その後」の展示中止
2 展示中止に関する東京弁護士会の会長声明
3 「表現の不自由展・その後」の展示物
4 証人の出自を侮辱する内容の発言をしたことに基づく東京弁護士会の懲戒処分例
5 弁護士会の懲戒基準を私が理解することはできないこと
6 弁護士会の懲戒処分が違法となる場合
第9 弁護士会の懲戒委員会の委員長及び委員の地位等
1 弁護士会の懲戒委員会の委員長及び委員の地位
2 公共の利害に関する場合の特例を定める刑法230条の2第3項
3 最高裁平成17年6月16日判決が判示するところの,名誉毀損の違法性が阻却される場合
4 日弁連懲戒委員会からは,具体的中身を伴う判断をしてもらえなかったこと
5 弁護士懲戒事件議決例集
第10 本件事案における「異議申出の理由」の全文
第11 終わりに

第1 本件事案の概要,及び日弁連懲戒委員会の定型文の棄却裁決
1 本件事案の概要
   兵庫県弁護士会副会長を経験したことがある20期代のベテラン弁護士が破産管財人をした際,①不動産の任意売却で買主から取得した763万円以上の消費税について確定申告をしなかったり,②私が破産債権者代理人として免責意見を提出しているにもかかわらず,全く理由を記載せずに「免責不許可事由はない」とする免責に関する意見書を提出したり,③免責許可決定が出た後,私が破産者を被告として,非免責債権について損害賠償請求訴訟を提起した際に,破産者の訴訟代理人をしたりしたことについて,私が代理人として懲戒請求をしたというものです。
2 日弁連懲戒委員会の定型文の棄却裁決
(1) 弁護士懲戒事件議決例集の匿名化基準,及び情報公開請求における法務省の不開示基準等を参照しながらマスキングをした,本件事案に関する日弁連懲戒委員会の棄却の議決書(令和元年9月9日付)を以下のとおり掲載しています。



(2)ア 掲載している画像データと重複するものの,本件事案に関する日弁連懲戒委員会の議決書(令和元年9月9日付)の本文は以下のとおりです。
   異議申出人の対象弁護士に対する本件懲戒請求の理由及び対象弁護士の答弁の要旨は,いずれも兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書に記載のとおりであり,同弁護士会は同議決書記載の認定と判断に基づき,対象弁護士を懲戒しないこととした。
   本件異議の申出の理由は,要するに,前記認定と判断は誤りであり,同弁護士会の決定には不服であるというにある。
   当委員会が,異議申出人から当委員会に新たに提出された証拠も含め審査した結果,同議決書の認定と判断に誤りはなく,同弁護士会の決定は相当である。
   よって,本件異議の申出は理由がないので棄却するを相当とし,主文のとおり議決する。
イ 異議申出人は日常生活で通称名を使用しているために氏名に関する黒塗り部分が長くなっているものの,日本国籍の日本人です。
ウ 懲戒請求者は取消訴訟を提起することができません(「弁護士の懲戒処分と取消訴訟」参照)から,対象弁護士の不処分は日弁連の定型文の棄却裁決によって確定しました。
(3) 平成22年12月22日発効の日弁連裁決(自由と正義2011年2月号128頁及び129頁)の場合,懲戒委員会委員15人中7人の反対意見も掲載されています。
   そのため,日弁連懲戒委員会の場合,反対意見を表明できると思いますが,本件事案に関してはそのような反対意見は記載されていませんから,全員一致の判断であったと思います。
(4) 懲戒請求事件に関する日弁連会長の判断は,日弁連懲戒委員会の議決に拘束されますから,対象弁護士を懲戒しないという判断には全く関与していないと思っています。
(5) 令和元年6月3日付の審査開始通知書(日弁連)も掲載しています。

第2 本件事案における懲戒請求事由の要旨等
1 本件事案における懲戒請求事由の要旨
(1) 本件事案の概要と重複するところがありますが,本件事案に関する懲戒請求事由の要旨は以下のとおりです(平成31年3月18日付の兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書4頁参照)。
① 対象弁護士は,会社破産事件において破産管財人として破産財団に属する不動産の任意売却を行ったことについて,消費税の確定申告をしなかったが,これは消費税法に違反する行為であり,弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
② 対象弁護士は,個人破産事件において,破産管財人として,債権者である懲戒請求者の意見を全く無視して,免責不許可事由はない旨の意見書を提出したが,これは破産法第250条第1項(破産管財人の調査及び結果報告義務)等に違反する行為であり,弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
③ 対象弁護士は破産者の破産管財人をした後,懲戒請求者が元破産者を被告として提起した損害賠償請求訴訟において元破産者の訴訟代理人に就任し,同人の訴訟代理人として活動した。対象弁護士は,懲戒請求者の免責意見を無視した免責に関する意見書を提出した等の不正不備を隠匿する等の目的で元破産者の訴訟代理人に就任した可能性が高く,また,対象弁護士は,破産管財人でなければ知り得なかった事実を,元破産者のために利用する等の目的で元破産者の訴訟代理人に就任した可能性も高い。
   そのため,対象弁護士の元破産者訴訟代理人としての訴訟活動は,破産管財人として中立,公正に職務を遂行していたことに重大な疑念を生じさせるものであり,弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
(2) 平成25年2月13日付の日弁連の裁決(自由と正義2013年4月号115頁及び116頁)の以下の判断内容を考慮して,懲戒請求事由3を記載しました。
   成年後見人の職にあった者が一部相続人の代理人となり活動した場合に、非行に該当するか否かについて問題とされる場合は、①成年後見中の行為について、善管注意義務違反や後見報告書の内容の不正不備が存し、一部相続人からの受任が、それを隠匿する等の目的である場合、②相続人間で争いとなった内容について、成年後見人でなければ知り得なかった事実を、依頼相続人のために利用するような場合である。


2 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書の認定の骨子等
(1) 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書の認定の骨子
① 懲戒請求事由1について

   破産管財人の業務の相当性,正当性は裁判所の判断事項であること,裁判所が対象弁護士による消費税の申告の有無を問題にして対象弁護士に指示・指導をした事実は特に認められなかったこと等からすれば,弁護士の品位を失うべき非行に該当しない。
② 懲戒請求事由2について
   破産裁判所・抗告裁判所ともに,結論的に免責不許可事由はないと判断しており,対象弁護士の意見と同じ判断結果となっていること等からすれば,対象弁護士の「免責に関する意見書」は,内容的にも不当な意見の提出にはあたらないし,必要な調査を怠ったとは言えないので,この点でも,弁護士の品位を失うべき非行に該当する余地はない。
 懲戒請求事由3について
   対象弁護士が破産者から損害賠償請求訴訟の訴訟代理人を引き受けたのは,弁護士職務基本規程5条に照らして,安易な受任であったといわざるを得ないものの,破産者が経済的余裕を有しなかった状態を前にして,他の弁護士を紹介するのでなく自ら受任する途を選択したという動機に特に悪意は見受けられないと評価できること等からすれば,弁護士の品位を失うべき非行に該当するとまでは言えない。
(2) 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書に対するコメント
ア 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書における事実認定は全体として,対象弁護士に不利な客観的事実をかなり省略する一方で,懲戒請求者に不利な事実は結論とほぼ関係がなくても記載しています。
   例えば,対象弁護士は,破産裁判所に対し,破産手続開始に至った事情は「申立書記載のとおり」としか記載しませんでした(除斥期間経過につき懲戒請求事由とはしていません。)が,決議書では言及してもらえませんでした。
   これに対して結論とほぼ関係がない懲戒請求者の罰金前科について,略式命令が認定した「罪となるべき事実」(4行だけです。)すら把握せず,破産者が提出した「被害届」に書いてあることをそのまま決議書に記載されており,発生日及び罪名すら間違えられました。
イ 破産管財人が破産法人所有の課税資産の譲渡等(例えば,不動産の任意売却)を行った場合,消費税の納税義務を負うと解されています(名古屋高裁金沢支部平成20年6月16日判決(高裁判決は11頁までであって,12頁以下は福井地裁判決です。))。
ウ 「A運転車両とB運転車両との交通事故に関して, A運転車両の同乗者からBを被告とする損害賠償請求事件を受任して訴訟を提起した審査請求人が,訴訟とは別に,A運転車両の自賠責保険会社に対する自賠責保険金請求を行い, 自賠責保険金を受領しながら,その旨を裁判所やBに告知せずに,受領済みの自賠責保険金を含む金額の和解を成立させた行為は,弁護士職務基本規程37条(法令等の調査)違反に該当するとされた事例」につき,大阪地裁平成29年2月10日判決では,弁護士の言動と相当因果関係のある懲戒請求者の財産的損害はないと判断されていますが,平成29年4月10日付の日弁連懲戒委員会の議決書では,損害そのものの不存在を認定したわけではないということで,業務停止3月の判断が維持されました(弁護士懲戒事件議決例集(第20集)22頁及び23頁参照)。
エ 相続人でもなれる遺言執行者を弁護士がしている場合,遺言執行の公正さを疑わしめる行為があれば直ちに懲戒対象となります「遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する,弁護士会の懲戒例」参照)。
オ 解説「弁護士職務基本規程」(第3版)103頁には以下の記載があります。
   いずれの考え(山中注:利益相反の問題と考えるか,職務の公正さを保ちうるか否かの問題と考えるか)によるかについては,これまで十分な議論がなされているとはいえないが,破産管財人だけではなく,広く官公署から委嘱される職務について適用されるという点では,利益相反の問題とせずに,職務基本規程5条,6条あるいは81条の問題とする考えが相当ではないかと考える。

3 対象弁護士が関与した裁判例は判例秘書に掲載されていること
(1) 「懲戒請求者が元破産者を被告として提起した損害賠償請求訴訟」に関する大阪地裁判決,大阪高裁判決及び最高裁決定(いわゆる三行半です。)は判例秘書に掲載されています。
(2) 大阪高裁判決の内容がどのようなものであったかについては,平成30年度(最情)答申第65号の別紙記載の開示請求文書を参照してください。

第3 本件事案における「異議申出の理由」の骨子
1 懲戒請求事由1が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子
(1) 対象弁護士は,任意売却の買主から受領した763万円以上の消費税(以下「本件消費税」といいます。)について確定申告をしていない。
(2) 本件消費税のように,破産手続開始決定後に破産管財人が財団帰属の財産を売却した場合の消費税は第3順位の財団債権であり,その他の財団債権は第4順位の財団債権である。
   そして,対象弁護士は,破産会社の破産管財人として,平成27年5月27日付の財団債権弁済報告書によれば,第3順位の財団債権について454万5300円を支払い(全額弁済),同年6月17日付の財団債権弁済報告書によれば,第4順位の財団債権について2631万8073円を支払っている(配当率は90.68%) ことから,相応の報酬を支払って税理士に依頼して本件消費税に関する確定申告を行い,本件消費税を支払うことは十分に可能であった。
2 懲戒請求事由2が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子
(1) 異議申出人が提出した,平成26年6月25日付の免責意見は,免責不許可事由に該当する事情を個別具体的に記載し, 関係資料を添付した極めて詳細なものであった。
   そのため,対象弁護士としては,弁護士職務基本規程5条に基づき,破産管財人として,具体的にどのような理由により免責不許可事由に該当しないかを個別具体的に記載した免責に関する意見書を破産裁判所に提出することは当然の職務であったといえる。
   それにもかかわらず,対象弁護士は,破産裁判所に対し,平成27年5月7日,「免責不許可事由はない。」という記載しかない免責に関する意見書を提出したし,改めて免責意見を出して欲しいという破産裁判所の指示を無視して ,追加の免責意見を提出することはなかった 。




(2) 日弁連人権擁護委員会は,有罪の言渡しをした確定判決が誤判である可能性があるといった条件を満たす場合,人権侵犯事件として取り扱っていることとのバランスからしても,結論として免責不許可事由はないと判断した破産裁判所及び抗告裁判所の判断を絶対視するのは不当である。



3 懲戒請求事由3が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子

(1) 破産管財人の職にあった者が,破産債権者から提起された訴訟において破産者の代理人になることは,その段階においても破産債権者は存在しており,形式的に見て破産者と破産債権者間の利益相反に該当することは明らかであるから,それだけで直ちに中立性・公正さが害されるのであって,その行為の適否は遺言執行者の職にあった者が特定の相続人の代理人になる場合と同列に論じるべきものといえる。
(2)ア 本件では,実質的に見て利益相反の関係が認められるし,破産管財人の職務の公正さを疑われるような事情があることは明らかである。
イ 破産管財人の公正さや中立性に対する疑念を生じさせるものであって, 弁護士職務基本規程5条に違反するとした懲戒事例として,例えば,平成20年3月31日発効の兵庫県弁護士会の戒告処分が存在する。
(3) 異議申出人が破産者(兵庫県○○市在住)を追及したのは,①破産者には様々な免責不許可事由があったこと,②平成24年7月17日に異議申出人から100万円を借りて返さなかったこと,③100万円を借りた後の平成24年7月25日に静岡県○○市の○○ゴルフ倶楽部で一緒にゴルフをする一方で,伯父の同郷の幼なじみである○○○○元○○高検検事長に法律相談をするなどした上で,異議申出人が暴力団関係者として恐喝罪及び恐喝未遂罪を犯したという内容の虚偽告訴を兵庫県灘警察署(神戸市灘区)にすることで, 名古屋市○○在住の異議申出人を,被害届提出の翌日である平成24年8月21日午前8時33分,姫路駅の近くで逮捕させ,接見禁止付で勾留させ,異議申出人の自宅の捜索差押えまで実施させたこと等に基づくものであって,その追及理由は極めて正当なものである。
   そして,対象弁護士は異議申出人の免責意見その他の主張についてまともに対応することがなかったことをも考慮すれば,異議申出人による追及についての相談を破産者から受けたから対象弁護士が破産者の代理人に就任したという事情は,破産管財人の職務の公正さに甚大な疑念を生じさせるものであることは明らかであって,対象弁護士に有利な事情として斟酌すべきものでは全くないといえる。
(4) 対象弁護士が破産者の訴訟代理人をしていることに関する損害賠償請求を追加した,平成28年8月22日付の訴えの変更申立書が提出された後も,対象弁護士は破産者の訴訟代理人であり続けた。
   そのため,対象弁護士は,懲戒請求者から問題視された後も破産者の代理人を継続することによって破産管財人の職務の公正さにより甚大な疑問を生じさせたのであって,その公正さを事後的に回復するための措置すら採らなかった。

第4 私が異議申出人の事件に関与するようになった経緯等
1 私が異議申出人の事件に関与するようになった経緯
(1) 
 とある高検の検事長を経験した弁護士に法律相談をした,兵庫県某市在住の破産者(本件暴行事件の被害者とされた人物)が提出した被害届(罪名は暴行罪及び強要罪)に基づき,その翌日である平成24年8月21日,兵庫県灘警察署が名古屋市在住の異議申出人を姫路駅の近くで午前8時33分に逮捕し,接見禁止付で勾留された後,私は,知り合いの弁護士の紹介により異議申出人の事件に弁護人として関与するようになりました。
(2) 本件暴行事件については,異議申出人の自宅に関する捜索差押えまで実施された後,暴行罪により,平成24年9月7日に罰金20万円の略式命令となりました。
   その後,神戸簡裁平成25年7月10日判決は罰金20万円の有罪判決でしたし,大阪高裁平成25年11月27日判決(裁判長は29期の川合昌幸 元広島高裁長官です。)で控訴を棄却されました(情状立証として虚偽告訴を立証するために行った証拠調べの請求(控訴提起後の証拠及び原審検察官が証拠調べに同意しなかった証拠がメインです。)を含む,控訴審におけるすべての証拠調べ請求を理由なく却下された上で,「虚偽告訴がされたことをうかがわせる証拠はない」という趣旨の判断をされました。)し,最高裁平成26年2月27日決定で上告を棄却されました。
(3)ア とある高検の検事長を経験した弁護士と親戚関係のある弁護士が,本件事案の破産者が経営していた会社の破産申立てをしたものの,破産手続の途中で辞任しました。
   そのため,本件事案の破産者の破産申立ては,会社の破産申立てとは別の弁護士が担当していました。
イ 本件事案の破産者について損害賠償請求訴訟を提起した際,破産申立てを担当した弁護士が訴訟代理人に付くのかしら?と思っていましたが,対象弁護士が訴訟代理人に付いたので驚きました。
(4) 私は,利益相反を理由に知り合いの弁護士から紹介されて,平成24年8月23日,兵庫県灘警察署に勾留されていた異議申出人に接見し,その直後に弁護人となって以来ずっと,本件事案を含む異議申出人の事件に弁護人又は代理人として関与しつづけてきました。
   そのため,平成18年10月に59期として弁護士登録をした私の弁護士人生にとってもっとも大きな事件です。
2 私は,とある高検の検事長を経験した弁護士と接触をしたことはないこと
   とある高検の検事長を経験した弁護士は平成24年8月頃に破産者の法律相談に応じた後,何らかの働きかけをしたのかも知れない(ただし,この点に関する直接の証拠は一切ありません。)ものの,破産者の代理人として名前が出てきたことはありませんし,私はその弁護士と一切,接触をしたことはありません。

第5 私が情報公開請求を開始した経緯
   私は,異議申出人に対する兵庫県灘警察署及び神戸地検の捜査に疑問を感じたことが直接の原因となって,平成25年2月下旬から情報公開請求を開始しました。
   そのため,名古屋市在住の異議申出人が,静岡県のJR掛川駅構内のそば屋で発生した暴行事件(そば屋のレジの隣の席で発生した事件ですが,発生当時,お店が警察を呼ぶことはありませんでしたし,事件発生後も異議申出人は破産者と一緒にゴルフもしていました。)について,新64期の生田大輔裁判官によって接見禁止付で勾留されていなければ,私が情報公開請求をすることはなかったわけです。

第6 私が自ら取得した情報公開文書をインターネットで公表し続けている理由
1 私は,異議申出人の刑事事件及び民事事件に関して裁判所から理不尽な判断(平成30年度(最情)答申第65号の別紙記載の開示請求文書参照)を下され続けた結果,行政機関ほどにはマスコミで批判的に報道されることがない裁判所の実情を自ら知りたいと思うとともに,広く世間に知ってもらいたいという思うようになったことが,私が自ら取得した情報公開文書をインターネットで公表し続けている大きな理由です(ただし,時の経過に従い,他にも理由は出てきています。)。
2 異議申出人が当事者となった事件を除き,私は裁判所からここまで理不尽な判断を受けたことはないです。

第7 最高裁平成23年7月15日判決(49期の橋下徹弁護士(元大阪府知事・元大阪市長)が最高裁で逆転勝訴した事件に関するものです。)の個別意見の説示内容
1 裁判官竹内行夫の補足意見の説示内容
① 弁護士法58条1項は,「何人も」懲戒の事由があると思料するときはその事由を添えて懲戒請求ができるとして,広く一般の人に対して懲戒請求権を認めている。これは,弁護士に対する懲戒については,その権限を自治団体である弁護士会及び日本弁護士連合会に付与し国家機関の関与を排除していることとの関連で,そのような自治的な制度の下において,懲戒権の適正な発動と公正な運用を確保するために,懲戒権発動の端緒となる申立てとして公益上重要な機能を有する懲戒請求を,資格等を問わず広く一般の人に認めているものであると解される。これは自治的な公共的制度である弁護士懲戒制度の根幹に関わることであり,安易に制限されるようなことがあってはならないことはいうまでもない。
② 国家機関の関与を排除した自治的な制度としての弁護士懲戒制度が,公正かつ適正に運用されることを担保して国民からの信頼性を維持して行くためには,懲戒請求を広く一般の「何人」にも認めた弁護士法58条1項の趣旨が改めて銘記されることが必要であると考える。
2 裁判官須藤正彦の補足意見の説示内容
① 肝腎なことは,懲戒請求が広く認められるのは,弁護士に「品位を失うべき非行」等の懲戒事由がある場合に,弁護士会により懲戒権限が,いわば「疎にして漏らす」ことなく行使されるようにするためであるということである(綱紀審査会制度(弁護士法71条)もほぼ同様の考え方に基づく。)。
② ある弁護士につき品位を失うべき非行などの懲戒事由が認められるのに弁護士会が懲戒権限を正しく行使しないというような場合,弁護士会の懲戒制度の運用は不当であり,これについても世論などによって厳しく批判されてしかるべきであろう(所属弁護士会の懲戒しないとの結論に不服な懲戒請求者は,日弁連綱紀委員会に異議を申し出て,その審査を受けることができ(弁護士法64条),更にそこでその結論が維持されたことで不服な場合は,非法曹のみによって構成される綱紀審査会に審査請求をすることができる(同法64条の3)。)
③ 弁護士は裁判手続に関わって司法作用についての業務を行うなど,その職務の多くが公共性を帯有し,また,弁護士会も社会公共的役割を担うことが求められている公的団体であるところ,主権者たる国民が,弁護士,弁護士会を信認して弁護士自治を負託し,その業務の独占を認め(弁護士法72条),自律的懲戒権限を付与しているものである以上,弁護士,弁護士会は,その活動について不断に批判を受け,それに対し説明をし続けなければならない立場にあるともいえよう。懲戒制度の運用に関連していえば,前記のとおり,弁護士会による懲戒権限の適正な行使のために広く何人にも懲戒請求が認められ,そのことでそれは国民の監視を受けるのだから,弁護士,弁護士会は,時に感情的,あるいは,無理解と思われる弁護活動批判ないしはその延長としての懲戒請求ないしはその勧奨行為があった場合でも,それに対して,一つ一つ丹念に説得し,予断や偏見を解きほぐすように努めることが求められているといえよう。
3 裁判官千葉勝美の補足意見の説示内容
① 刑事事件の弁護活動といえども,あらゆる批判から自由であるべき領域ではなく(今日の社会において,およそ批判を許さない聖域というものは考え難いところである。),公の批判にさらされるべきものである。その際の批判等に不適切なもの,的外れなものがあったとしても,それが違法なものとして名誉毀損等に当たる場合であれば格別,そこまでのものでない限り,その当否は,本来社会一般の評価に委ねるべきであり,その都度司法が乗り出して,不法行為の成否を探り,損害賠償を命ずるか否かをチェックする等の対応をすべきではない。
② 弁護団としては,社会的な高い地位を有し,また,社会的な耳目を集め,多くの論評の対象象になる著名事件の刑事弁護を担当していることから生ずる避けられない事態等ともいうべきものであり,一種の精神的圧迫感があったであろうことは想像に難くないが,甘受するしかないのではなかろうか。


令和元年9月9日付の日弁連懲戒委員会の議決書

第8 表現の自由に関する弁護士会の懲戒基準を私が理解することはできないこと等
1 「表現の不自由展・その後」の展示中止
(1) 愛知県内で8月1日から開催されている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の実行委員会会長大村秀章愛知県知事は,同月3日,同芸術祭の企画展「表現の不自由展・その後」の展示を,同日をもって中止すると発表しました。
   この企画展では,従軍慰安婦を象徴する「平和の少女像」や,昭和天皇の写真を含む肖像群が燃える映像作品など,過去に展示を拒否される,公開中止となるなどした作品を展示していました(「表現の不自由展・その後」の中止に対する愛知県弁護士会の会長声明(2019年9月3日付)参照)。
(2) NHKクローズアップ現代に「「表現の不自由展・その後」中止の波紋」(2019年9月5日)が載っています。
2 展示中止に関する東京弁護士会の会長声明
(1) 「「表現の不自由展・その後」展示中止を受け、表現の自由に対する攻撃に抗議し、表現の自由の価値を確認する会長声明」東京弁護士会の会長声明(2019年8月29日付)には以下の記載があります。
   憲法21条で保障される表現の自由は、自己の人格を形成・発展させる自己実現の価値を有するとともに、国民が政治的意思決定に関与する自己統治の価値をも有する、極めて重要な基本的人権である。政治的表現が芸術という形をとって行われることも多く、芸術を含む多種多様な表現活動の自由が保障されることは、民主主義社会にとって必要不可欠である。 
   我々は、思想信条のいかんを問わず、表現の自由が保障される社会を守っていくことが重要であるという価値観を共有したい。
   よって、当会は、正当な言論等によらずに展示中止を求める不当な行為や、公権力が表現内容に異議を述べてその中止を求めることに対して、強く抗議するとともに、多種多様な表現活動の自由が保障され、ひいては民主主義社会が維持・発展するよう努力する決意を表明する。
(2) 同趣旨の会長声明として以下のものがあります。
① 「表現の不自由展・その後」展示中止に関する京都弁護士会の会長声明(2019年8月21日付)
② 「表現の不自由展・その後」の中止に対する愛知県弁護士会の会長声明(2019年9月3日付)
③ 「表現の不自由展・その後」の中止に関する仙台弁護士会の会長声明(2019年9月19日付)
3 「表現の不自由展・その後」の展示物
(1) 産経新聞HPの「不自由展、作品に「不快」批判 天皇肖像燃やす表現 来場者「悪意に満ちていた」 愛知の芸術祭、企画展中止」(2019年8月10日付)に以下の記載があります。
① 問題の動画は、先の大戦を連想させる映像や音声が流れる中、コラージュ画に使われた昭和天皇の肖像を大写しにして、ガスバーナーで燃やしていく-という内容。燃え残りの灰を足で踏みつぶすシーンもある。
② 国内最大規模の国際芸術祭で、4回目を迎えたあいちトリエンナーレ(10月14日まで)には、愛知県を中心に多額の公金が投入されている。今回は県が約6億円、名古屋市が約2億円を負担。文化庁の補助金対象事業にも採択され、約7800万円が補助予定額となっているが、国は県の交付申請を改めて精査する意向を示している。
(2) 北口雅章弁護士ブログの
「京都弁護士会に告ぐ。あまりに「軽薄」ではないか。」(2019年8月26日付)に以下の記載があります。
   (山中注:「表現の不自由展・その後」の展示物の中には,)典型的には,昭和天皇の御真影・写真を「バーナー焼き」で「焼毀(しょうき)」するとともに,その燃え殻を靴で踏みつける「足蹴」行為を動画で「表現」するといった「政治的プロパガンダ」であり,このような展示物は,「日本国民の統合の象徴」(天皇)を「暴力」的表現をもって「侮辱」「冒瀆」するもので,「芸術」の名に値しないことは明らかである。
4 証人の出自を侮辱する内容の発言をしたことに基づく東京弁護士会の懲戒処分例
(1) 平成26年12月26日発効の東京弁護士会の「戒告」(自由と正義2015年4月号122頁)における「処分の理由の要旨」は以下のとおりです。
   被懲戒者は、2012年5月28日、公開の法廷において、相手方当事者である懲戒請求者に対する尋問が終了して代理人席に着席した際、証言台にいた懲戒請求者に向かって、出自を侮辱する内容の発言をした。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
イ 弁護士懲戒事件議決例集(第17集)130頁には以下の記載があります。
    (1)当該発言(山中注:懲戒請求者の出自を侮辱する内容の発言のこと。)は公開の法廷でなされた「中国人,バカ」という民族差別的発言であること, (2)対象弁護士は,右陪席裁判官から同発言を現認したと指摘され,裁判長から撤回を求められて初めてこれを撤回したこと,(3)対象弁護士は,その場で同発言を撤回したものの謝罪は行わず,休廷となって廊下に出た後,暫く経ってから初めて謝罪したこと,(4)対象弁護士は,原弁護士会綱紀委員会第1部会及び当部会の審査過程において,当該発言について「表現の自由」などと強弁していることに鑑みると,対象弁護士が当該発言について真撃に自発的な撤回をしたと評価することはできない。
5 弁護士会の懲戒基準を私が理解することはできないこと
(1) 東京弁護士会は,公開の法廷で「中国人,バカ」と発言したものの,その後に撤回及び謝罪をしたり,表現の自由を主張したりした弁護士を懲戒する一方,公共の施設において昭和天皇を侮辱し,その名誉を毀損し続けた「表現の不自由展・その後」の展示については表現の自由に基づいて保護すべきと会長声明をもって主張していますところ,二つの行為の整合性を私は理解することができません。
(2) 侮辱罪(刑法231条)の法定刑は拘留又は科料であって,刑法典で規定されている犯罪において法定刑が最も軽いです。
    そのため,証言台にいた中国人の証人に向かって「中国人,バカ」と発言する行為の方が,本件事案における対象弁護士の行為よりも悪質であると弁護士会が判断した基準を私は理解することはできません。
6 弁護士会の懲戒処分が違法となる場合
    弁護士に対する所属弁護士会及び日弁連による懲戒の制度は,弁護士会の自主性や自律性を重んじ,弁護士会の弁護士に対する指導監督作用の一環として設けられたものであります。
    また,懲戒の可否,程度等の判断においては,懲戒事由の内容,被害の有無や程度,これに対する社会的評価,被処分者に与える影響,弁護士の使命の重要性,職務の社会性等の諸般の事情を総合的に考慮することが必要です。
    そのため,ある事実関係が「品位を失うべき非行」といった弁護士に対する懲戒事由に該当するかどうか,また,該当するとした場合に懲戒するか否か,懲戒するとしてどのような処分を選択するかについては,弁護士会の合理的な裁量にゆだねられているものと解され,弁護士会の裁量権の行使としての懲戒処分は,全く事実の基礎を欠くか,又は社会通念上著しく妥当性を欠き,裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用してされたと認められる場合に限り,違法となります(最高裁平成18年9月14日判決)。

第9 弁護士会の懲戒委員会の委員長及び委員の地位等
1 弁護士会の懲戒委員会の委員長及び委員の地位
   懲戒委員会は弁護士自治の根幹をなす弁護士会の懲戒権の行使について重要な役割を担っています,その活動は公正に行われることが強く要請されます。
   そこで,弁護士法は,懲戒委員会の委員長及び委員を「刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員」としています(弁護士法66条の2第4項)。
   したがって,委員長及び委員は,刑法の適用上公務員として扱われることとなり(刑法7条),委員の職務に関して賄賂の収受,供与,約束等がなされたときは,収賄罪(同法197条)及び贈賄罪(同法198条)が成立します。
   また,委員会で用いられている文書の殴棄は,公用文書段棄罪(同法258条)に該当しますし,その他,虚偽公文書作成罪(同法156条),公務員職権濫用罪(同法193条)等の適用があります(弁護士懲戒手続の研究と実務(第3版)118頁及び167頁参照)。
2 公共の利害に関する場合の特例を定める刑法230条の2第3項
(1) 名誉毀損罪について,公共の利害に関する場合の特例を定める刑法230条の2第3項は,「前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。」と定めています。
   そのため,弁護士会の懲戒委員会の委員長及び委員の職務に関する事実については,それが真実である限り,名誉毀損罪が成立することはないと思います。
(2) 条解刑法(第3版)687頁には以下の記載があります。
   公務員を選定・罷免することは国民固有の権利であり,公務員は全体の奉仕者であるから(憲15),そのあらゆる行動が国民の監視下に置かれるべきであるとする思想に基づき,摘示に係る事実が直接には公共の利害に関しない場合でも,何らかの意味で公務員の適性検討の資料を提供するという意味で公共の利害に関係するし,悪意による摘示であっても結果的に同一目的に資するとすることが本項の設けられている根拠と考えられている。
3 最高裁平成17年6月16日判決が判示するところの,名誉毀損の違法性が阻却される場合
(1) 薬害エイズ関係の報道による名誉毀損事件に関する最高裁平成17年6月16日判決によれば,以下のとおりです。
① 事実を摘示しての名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには,上記行為には違法性がなく,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される(最高裁昭和41年6月23日判決最高裁昭和58年10月20日判決参照)。

② ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,上記意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り,上記行為は違法性を欠くものというべきであり,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される(最高裁平成元年12月21日判決最高裁平成9年9月9日判決参照)。
(2) 同じ日付で出された上告棄却決定としての最高裁平成17年6月16日決定(原判決は別です。)には,名誉毀損の成立を否定すべきとする裁判官島田仁郎の詳細な反対意見が付されています。
4 日弁連懲戒委員会からは,具体的中身を伴う判断をしてもらえなかったこと
(1) 私は,平成17年4月以降の「自由と正義」の懲戒公告,及び平成19年3月発行の弁護士懲戒事件議決例集(第8集)(平成12年から平成17年までの議決例を収録したもの)以降の弁護士懲戒事件議決例集につき,文字検索可能なPDFデータに変換した上で,考えられる限りの検索をして事例を集積することで,令和元年5月30日付の異議申出書を作成しました。
   しかし,冒頭に記載したとおり,日弁連懲戒委員会からは,具体的中身を伴う判断をしてもらえませんでした。
(2) 平成23年2月15日付の日弁連裁決(自由と正義2011年4月号161頁)(業務停止4月を業務停止2月に変更したもの)には,「東京弁護士会懲戒委員会議決書の事実認定に、明白かつ単純な誤記等を除き、誤りはなく、審査請求人には弁護士として品位を失うべき非行があるといわざるを得ない。」と書いてあります。
   しかし,本件事案に関する兵庫県弁護士会懲戒委員会議決書の事実認定は,異議申出人の罰金前科の罪名すら間違っていたにもかかわらず,明白な誤記とすら認定してもらえませんでした。
5 弁護士懲戒事件議決例集
(1) 弁護士懲戒事件議決例集は,毎年3月頃に日弁連から発行されている書籍であり(日弁連HP「出版物 分類:業務-相談・倫理・研修・事故」参照),日弁連懲戒委員会,綱紀委員会及び綱紀審査会の議決例が匿名処理された上で掲載されています。
   そこには,先例として価値があると判断された不処分事例(ただし,当事者を特定できる可能性がある日付であっても抹消されていません。)が掲載されていますが,本件事案のように,定型文で棄却された事案は掲載されていません。
(2) ちなみに,弁護士懲戒事件議決例集(第8集) i 頁の「序文」(当時の日弁連会長が投稿したもの)には,「弁護士自治の根幹である綱紀・懲戒制度を正しく機能させることによって,弁護士自治を維持・発展させていくことが我々の使命である。」という記載があります。

第10 本件事案における「異議申出の理由」の全文
   令和元年5月30日付の異議申出書の「第6 異議申出の理由」の全文は以下のとおりです(書面等によって確実に確認できた事実しか主張していません。)。
1 本件議決書の事実認定には重大な事実誤認があること等
(1) 重大な事実誤認があること
ア 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書(以下「本件議決書」という。)5頁は,破産者の被害届(甲4)(以下,当該被害届に記載された事件を「本件暴行事件」という。)に基づき,異議申出人は, 平成24年6月29日,静岡県のJR掛川駅構内のそば屋において,破産者の頭髪を掴み,押さえつけるようにテーブルに10数回同人の額を叩きつけるなどの暴行を加えと土下座をさせたことに関して,暴行罪及び強要罪により罰金20万円の略式命令を受けたという趣旨の認定をしている。
   しかし,異議申出人は裁判所の判決に全く納得していない(甲15, 甲17及び甲21等参照)とはいえ,裁判所が認定した「罪となるべき事実」を前提としたとしても,本件暴行事件は平成24年7月2日に発生したものであるし,異議申出人が破産者を押さえつけたわけではないし,数回頭部を叩き付けたことになっているだけであるし,土下座を強要したことは犯罪事実とはなっていない(甲9,甲16及び甲87・5頁ないし7頁参照) 。
   また,強要罪の法定刑は3年以下の懲役である(刑法223条1項)から,略式命令を出すことは法律上不可能である(刑事訴訟法461条) 。
イ ところで,確実な証拠があるとはいえない事項について断定的な表現を用いて犯罪の成立を主張することは, 弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる(甲122)。
   また,刑事訴訟法237条の規定を忘れ,起訴後も告訴の取下げができるなどと勘違いをしたこと,及び許可抗告の申立期間を正確に説明することができないことは, いずれも弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる(甲126の1及び甲126の2) 。
   そのため,本件議決書4頁が, 暴行罪の発生日時及びその内容について何らの証拠も引用せずに有罪判決と異なる認定をしたり, 強要罪について略式命令が出たという刑事訴訟法461条の規定を忘れた認定をしたりしたことは, 重大な事実誤認であるといえる。


(2) 著しく不適切な余事記載があること

ア 破産者は伯父の同郷の幼なじみである○○○○元○○高検検事長(甲24)に法律相談するなどしている(甲23)ところ,破産者による虚偽告訴を必死に訴えている異議申出人の主張(懲戒請求者の意見書(3)2頁及び3頁参照)を一切記載することなく本件暴行事件で異議申出人が有罪判決を受けたという要配慮個人情報(個人情報保護法2条3項)だけを記載することは異議申出人の名誉やプライバシーを侵害するものであるし,対象弁護士に懲戒事由があるかどうかを判断する上で無関係かつ不必要である。
イ ところで,訴訟遂行上の必要性と相当性が認められないにもかかわらず,名誉やプライバシーを侵害する表現を含む記載を主張書面で行うことは,弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる(甲124の1) 。
   また, 被害立証とは無関係かつ不必要であって,相手方の名誉を著しく毀損する内容の主張を記載した準備書面を提出して口頭弁論期日で陳述することは,弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる(甲124の2)。
   そのため,本件議決書4頁が本件暴行事件について異議申出人が罰金20万円の有罪判決を受けたという趣旨の事実を記載したことは著しく不適切な余事記載であるといえる。

2 懲戒請求事由1に関する補充主張
(1) 対象弁護士は,任意売却の買主から受領した763万円以上の消費税(以下「本件消費税」という。)について確定申告をしていない(甲42・10頁等) 。
   ところで,本件消費税のように,破産手続開始決定後に破産管財人が財団帰属の財産を売却した場合の消費税は第3順位の財団債権であり,その他の財団債権は第4順位の財団債権である(甲125)。
   そして,対象弁護士は,破産会社の破産管財人として,平成27年5月27日付の財団債権弁済報告書(甲121の1)によれば,第3順位の財団債権について454万5300円を支払い(全額弁済),同年6月17日付の財団債権弁済報告書(甲121の2)によれば,第4順位の財団債権について2631万8073円を支払っている(配当率は90.68%) ことから,相応の報酬を支払って税理士に依頼して本件消費税に関する確定申告を行い,本件消費税を支払うことは十分に可能であった。
   また,京都地裁の平成30年度管財人等協議会では,異時廃止事案であっても, 財団債権として消費税の支払ができる場合,その前提として消費税の申請をする必要があるという見解が協議員(管財人等)から示されている(甲123の2・7頁)。
   そのため,対象弁護士が本件消費税について申告義務を果たすべきであったことは明らかである。
(2) 懲戒請求者の意見書(3)1頁で主張したとおり,対象弁護士において本件消費税についてまで確定申告をしていなかったことが異議申出人代理人に判明したのは,平成27年5月○○日付の異時廃止決定(甲105の1参照)が出た後である。
   そのため,債権者集会において異議申出人代理人が本件消費税の税務申告について質問をしなかったことは,対象弁護士の有利に斟酌すべき事情では全くないといえる。
(3) 日弁連会則11条は, 「弁護士は、常に法令が適正に運用されているかどうかを注意し、いやしくも非違不正を発見したときはその是正に努めなければならない。」と定めているし,兵庫県弁護士会としても,例えば, 平成27年7月22日付の会長声明(甲131)において, 東京高裁平成27年7月9日判決に抗議していることからすれば,裁判所の判断を絶対視するのは不当である。
   また,遺言執行者の場合,相続財産目録を作成してこれを相続人に交付しなくても懲戒事由に該当しないといえるためには,そのような義務はないと解する余地があるといえる必要があること(甲130の2及び甲134)とのバランスを考慮すべきである。
   さらに,最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会は,平成31年2月22日,「破産事件につき, どのような場合に不動産の任意売却で買主から消費税を受領した破産管財人が消費税の確定申告をしなくてもいいことになっているかが分かる裁判官の研修資料その他の文書」は存在しないという答申を出している(平成30年度(最情)答申第65号(甲127)。
   そのため,裁判所が,何ら合理的理由がないにもかかわらず,対象弁護士による本件消費税の申告の有無を問題にして対象弁護士に指示・指導をした事実は特に認められなかったという事情は,それほど対象弁護士の有利に糾酌すべき事情ではないといえる。
(4) よって,従前の主張立証をも考慮すれば,懲戒請求事由1は,弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる。

3 懲戒請求事由2に関する補充主張
(1) 異議申出人が提出した,平成26年6月25日付の免責意見(甲36)は,免責不許可事由に該当する事情を個別具体的に記載し, 関係資料を添付した極めて詳細なものであった。
   そのため,対象弁護士としては,弁護士職務基本規程5条に基づき,破産管財人として,具体的にどのような理由により免責不許可事由に該当しないかを個別具体的に記載した免責に関する意見書を破産裁判所に提出することは当然の職務であったといえる。
   それにもかかわらず,対象弁護士は,破産裁判所に対し,平成27年5月7日,「免責不許可事由はない。」という記載しかない免責に関する意見書(甲40) を提出したし,改めて免責意見を出して欲しいという破産裁判所の指示を無視して(甲39の2) ,追加の免責意見を提出することはなかった(甲48の2参照) 。
(2) 日弁連人権擁護委員会は,有罪の言渡しをした確定判決が誤判である可能性があるといった条件を満たす場合,人権侵犯事件として取り扱っている(甲129)こととのバランスからしても,結論として免責不許可事由はないと判断した破産裁判所及び抗告裁判所の判断を絶対視するのは不当である。
(3) 最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会は,平成31年2月22日,以下の司法行政文書は存在しないという答申を出している(平成30年度(最情)答申第65号)(甲127)。
① 破産事件につき, どのような場合に破産債権者が主張した破産者に関する具体的な免責意見を100%無視した免責に関する意見を破産管財人が提出したとしても,破産裁判所がこれを容認することになっているかが書いてある裁判官の研修資料その他の文書
② 破産事件につき, どのような場合に破産債権者が主張した破産者に関する具体的な免責意見を100%無視した免責許可決定を出すことになっているかが書いてある裁判官の研修資料その他の文書
(4) よって,従前の主張立証をも考慮すれば,懲戒請求事由2は,弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる。

4 懲戒請求事由3に関する補充主張
(1) 破産管財人の職にあった者が,破産債権者から提起された訴訟において破産者の代理人になることは,その段階においても破産債権者は存在しており,形式的に見て破産者と破産債権者間の利益相反に該当することは明らかであるから,それだけで直ちに中立性・公正さが害されるのであって,その行為の適否は遺言執行者の職にあった者が特定の相続人の代理人になる場合と同列に論じるべきものといえる(成年後見人の事例に関する甲57及び甲132)。
(2)ア 遺言執行者の職にあった者が特定の相続人の代理人になることは原則として弁護士としての品位を失うべき非行に該当する(甲128の1及び甲128の2)のであって, 例外的に許されるのは,遺言の内容からして遺言執行者に裁量の余地がなく,遺言執行者と各相続人との間に実質的に見て利益相反の関係が認められず,かつ,職務の公正さを疑われるような事情がない場合に限られている(日弁連が原弁護士会の懲戒処分を取り消した事例に関する甲130の1及び甲130の2参照) 。
   ところで,本件議決書6頁及び7頁によれば,破産管財人は,十分な財団を形成できた事案で第3順位の消費税の確定申告をしなくても, また, 破産債権者の詳細な免責意見を無視して「免責不許可事由はない」という記載しかない免責意見しか提出しなくても,弁護士としての品位を失うべき非行に該当する余地はないというのであるから,破産管財人をしていた対象弁護士の裁量は絶大であるといえる。
   また,本件議決書7頁でさえ,破産管財人であった弁護士が,破産手続終了後,破産管財人として職務上取り扱った事件を受任した場合においては,破産管財人としての職務の公正さが問題となる余地が大きいと認めているところである。
   そのため,本件では,実質的に見て利益相反の関係が認められるし,職務の公正さを疑われるような事情があることは明らかである。
イ 破産管財人の公正さや中立性に対する疑念を生じさせるものであって, 弁護士職務基本規程5条に違反するとした懲戒事例として,例えば,平成20年3月31日発効の兵庫県弁護士会の戒告処分が存在する(甲120)。
(3)ア 遺言執行者の職にあった者が特定の相続人の代理人になったことに関する懲戒事例では,職務の公正さを疑わせたことが弁護士法56条1項に該当するかどうかが判断されているのであって,必ずしも弁護士職務基本規程5条に違反するかどうかの判断はされていない(弁護士職務基本規程5条への言及がない例につき, 甲128の1及び甲128の2参照)。
イ 弁護士倫理(平成2年3月2日臨時総会決議)に関しては, 日弁連において以下の解釈が採用されていた(甲133) ことからしても, 弁護士職務基本規程の個別の条項に該当しないことを主たる理由として弁護士の品位を失うべき非行に該当しないと判断することはできないといえる。
   「所属弁護士会の秩序又は信用を害し」あるいは「職務の内外を問わずその品位を失うべき非行」といった規範的概念の解釈についてば、ある行為がこれに該当するか否かの問題ばもっぱら弁護士法五六条の問題であって、弁護士倫理をどのように制定しようとも、制定形式の差によって懲戒の構成要件に該当したりしなくなったりするものではないと考えられる。
(4) 異議申出人が破産者(兵庫県○○市在住)を追及したのは,①破産者には様々な免責不許可事由があったこと(甲36参照),②平成24年7月17日に異議申出人から100万円を借りて返さなかったこと(甲83参照),③100万円を借りた後の平成24年7月25日に静岡県○○市の○○ゴルフ倶楽部で一緒にゴルフをする(甲10の4)一方で,伯父の同郷の幼なじみである○○○○元○○高検検事長(甲23ないし甲25参照)に法律相談をするなどした上で,異議申出人が暴力団関係者として恐喝罪及び恐喝未遂罪を犯したという内容の虚偽告訴を兵庫県灘警察署(神戸市灘区)にすることで, 名古屋市○○在住の異議申出人を,被害届提出の翌日である平成24年8月21日午前8時33分,姫路駅の近くで逮捕させ,接見禁止付で勾留させ,異議申出人の自宅の捜索差押えまで実施させたこと(甲17・6頁及び7頁参照)等に基づくものであって,その追及理由は極めて正当なものである。
   そして,対象弁護士は異議申出人の免責意見その他の主張についてまともに対応することがなかったことをも考慮すれば,異議申出人による追及についての相談を破産者から受けたから対象弁護士が破産者の代理人に就任したという事情は,破産管財人の職務の公正さに甚大な疑念を生じさせるものであることは明らかであって,対象弁護士に有利な事情として斟酌すべきものでは全くないといえる。
(5) 対象弁護士が破産者の訴訟代理人をしていることに関する損害賠償請求を追加した,平成28年8月22日付の訴えの変更申立書(甲82)が提出された後も,対象弁護士は破産者の訴訟代理人であり続けた(甲91)。
   そのため,対象弁護士は,懲戒請求者から問題視された後も破産者の代理人を継続することによって破産管財人の職務の公正さにより甚大な疑問を生じさせたのであって,その公正さを事後的に回復するための措置すら採らなかった。
(6) よって,従前の主張立証をも考慮すれば,懲戒請求事由3は,弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる。

5 結論
   よって,異議申出の趣旨記載のとおりの裁決を求める。

第11 終わりに
1 本ブログ記事を掲載するに当たり,異議申出人(依頼者)から書面による同意をもらっています。
2(1) 本件事案のほか,日弁連の弁護士懲戒事件議決例集に掲載されている事例その他の公表情報を除き,日弁連懲戒委員会が個別の事例で具体的にどのような判断をしているかは一切,知りません。
(2) 弁護士自治を考える会HP「弁護士懲戒請求 棄却情報 募集」からすれば,弁護士会の懲戒不相当の議決に対して疑問を持っている人がそれなりにいるのかもしれません。
3 毎月の「自由と正義」を見ていれば,どのようなことをすれば戒告となる可能性があるかを知ることができるものの,どのようなことをしても懲戒されないかを知ることはできないと感じています。
   そのため,「秘密を開示する場合の第三者の名誉及びプライバシー侵害への配慮」等を追加するといった,弁護士職務基本規程の改正が実施された場合「弁護士職務基本規程の改正に対する日弁連 職務基本規程案に関する共同アピールの賛同の呼びかけについて 特設ページ」参照),ますます弁護士会の懲戒基準を理解することができなくなりますから,絶対に止めて欲しいと思っています。
4 本ブログ記事では,対象弁護士の特定につながることは記載していないものの,「死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。」と定める刑法230条2項にかんがみ,将来,対象弁護士の氏名を記載するかもしれません。