最高裁の既済事件一覧表(民事)

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目次
1 最高裁の既済事件一覧表(民事の上告事件)
2 最高裁の既済事件一覧表(民事の上告受理申立事件)
3 持ち回り審議事件及び審議事件
4 持ち回り審議の問題点
5 最高裁判所調査官の,審議への出席
6 上告等をした場合に出てくる定型文の決定
7 「最高裁はなぜ上告を滅多に受理しないのか」と題するマンガ
8 不受理決定の効力
9 経験則違反で原判決を破棄した最高裁平成16年2月26日判決等
10 関連記事その他

1 最高裁の既済事件一覧表(民事の上告事件)
(令和3年)

1月分2月分3月分4月分5月分6月分
7月分,8月分,9月分,10月分,11月分,12月分
(令和2年)
1月分2月分3月分4月分5月分6月分
7月分8月分9月分10月分11月分12月分
(平成31年→令和元年)
4月分5月分6月分7月分8月分9月分
10月分
11月分12月分

2 最高裁の既済事件一覧表(民事の上告受理申立事件)
(令和3年)

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(平成31年→令和元年)
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10月分
11月分12月分


3 持ち回り審議事件及び審議事件
(1)ア 持ち回り審議とは,小法廷の裁判官全員が集まって合議するまでもなく,書類の持ち回りと押印による決済のみで決定処理出来ると考えられる,比較的簡単な事件について行われる審議方法をいい,法定の上告理由や上告受理申立て理由を充たしていないと判断される,いわゆる門前払いのケースの他,実体判断であっても,判例・学説等に照らして明らかに採用することができないと考えられるケースにおいて用いられます(最高裁回想録42頁)。
イ 持ち回り審議事件は,最高裁に係属する事件のおよそ95%を占めていて,残りの約5%が,重要案件として,評議室における審議の対象となる事件(審議事件)となります(最高裁回想録42頁)。
(2)ア 持ち回り審議事件と審議事件との振り分けは,まずは担当の最高裁判所調査官が行うものの,調査官報告書において当初「持ち回り相当」とされていても,主任裁判官(裁判長)の検討の結果,あるいは,持ち回りの過程でいずれかの裁判官から「審議相当」との意見が出された場合,改めて「審議事件」として,調査官が報告書を作り直すことになります(最高裁回想録45頁及び46頁)。
イ 「ジェンダー平等と司法~法曹界における202030を考える~対談 元最高裁判事に聞く~最高裁の男女共同参画」には以下の記載があります(自由と正義2021年7月号26頁)。
櫻井 私は8年4か月(山中注:最高裁判所判事を)経験しましたけれど、持ち回りを審議事件に変えたのは、年に1件あるかないかという感じで、性差別に関係する問題は、セクハラの事件だけでした。
(3) 愛知県弁護士会HPの「『女性法曹に聞く法曹の魅力』~綿引万里子名古屋高等裁判所長官・赤根智子国際刑事裁判所裁判官・鬼丸かおる元最高裁判所裁判官~」には,鬼丸かおる 元最高裁判所判事の発言として以下の記載があります。
  私の具体的な1日は、だいたい9時30分にはスタートします。朝登庁すると、いわゆる持ち回り事件の記録が机にどんと積んであって、効率よくこなせるような順に並んでおり、1日だいたい平均13~20件くらいの事件を処理します。多くはそのまま持ち回りで処理(棄却・不受理・却下)することになります。
 記録の回る順番は主任、つまり裁判長になる人が最初に見て、あとは部屋の順に見るようになっています。持ち回りになる事件のほかに期日審議になる事件がありますが、調査官が先に主任裁判官と相談して期日審議事件として小法廷の裁判官全員に一斉に通知して資料を配付します。
 持ち回り事件でも、1人の裁判官でも反対の結論の可能性を考えれば、期日審議に回すことができます。ただ、審議は頻繁にあるわけではなく、週に1回もないくらいの割合ですが、1回の審議で2、3件の期日審議をすることも少なくありません。

4 持ち回り審議の問題点
(1)ア 平成18年5月1日の会社法施行以前については,書面決議に関する会社法370条に相当する条文がありませんでしたから,持ち回りの方式でなされた株式会社の取締役会決議は違法無効でした(最高裁昭和44年11月27日判決参照)。
 そして,「合議体でする裁判の評議は、これを公行しない。」と定める裁判所法75条1項本文は,最高裁判所の裁判についても適用されるはずですが,最高裁判所の持ち回り審議方式は適法であることになっています。
イ 最高裁判所の小法廷の評議室は,裁判官棟各階の裁判官室の並びにあり、各小法廷毎に同じ構造のものが用意されていて,ここでは,毎週の審議日に,小法廷の全裁判官が集まって重要案件の「審議」やその他の会議を行います(最高裁回想録39頁)から,最高裁判所の「評議」は口頭でなされることを前提としていると思います。
(2) 「最高裁の持ち廻り合議と例文判決について」(5期の武藤春光弁護士(元広島高裁長官))には以下の記載があります(自由と正義1997年1月号83頁)。
 合議の要件は、各構成員が一同に会すること、口頭で意見を述べること、意見の交換による相互説得の機会があること、ということになる。持ち廻り合議は、意見を記載した書面を構成員の間に持って廻るだけであるから、合議の要件のすべてを欠いており、合議の名に値しない。


5 最高裁判所調査官の,審議への出席
・ 「最高裁判所調査官制度の内容-オーラル・ヒストリーを手がかりに」には,刑事の上告事件に関して,「審議への出席」として以下の記載があります(法学セミナー2017年5月号62頁)。
 調査官は、自分が報告書を提出した事件の「審議」には全部出る。審議は、小法廷の裁判官が全員集まって正式に合議をすることである。判例になりそうな事案、弁論を開く必要のある事案、破棄される可能性のある事案については審議が行われる。調査官報告に「是非ともご審議あいなりたい」と書いてあれば審議になる。しかし、調査官が「審議不要、持ち回りでやってほしい」というつもりで「×」印にしたものが引っかかることも、たまにはあった。
 審議は、ラウンドテーブルを囲む審議室で行う。担当調査官は、裁判官の囲むテーブルとは別に調査官用の机と椅子があってそこにつく。あくまでも調査官はオブザーバーであり、審議では説明は最初から主任裁判官がする。調査官の意見や細かい事実関係を裁判長から聞かれることはあるが、調査官は聞かれたことに答えるだけである。裁判長が説明をするための資料などについては、調査官報告書と1審・2審の判決、上告趣意書は必ず配布される。また、審議の時間あるいは回数は事件による。まとめて何件かをやる場合もあるし、簡単に済む事件もあるし、何回も続行する事件もある。
 大法廷回付の判断に調杳官室の関与はない。大法廷回付の判断は、裁判官の判断である。大法廷回付相当かどうかは、小法廷ごとの審議の席で決める。調査官が「これは大法廷に回した方がいいのではないか」という意見を言うこともある。

6 上告等をした場合に出てくる定型文の決定
 上告及び上告受理申立てをした場合,以下のような定型文の決定が出ることがほとんどです(弁護士 阿部泰隆HP「☆『最高裁不受理事件の諸相Ⅱ』(信山社、2011年)」参照。1と2を①と②に変えています。)。
① 上告について
 民事事件について最高裁判所に上告することが許されるのは,民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ,本件上告理由は,違憲及び理由の不備・食違いをいうが,その実質は事実誤認若しくは単なる法令違反をいうもの又はその前提を欠くものであって,明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
② 上告受理申立てについて
 本件申立ての理由によれば,本件は,民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。

7 「最高裁はなぜ上告を滅多に受理しないのか」と題するマンガ
(1) ツンデレブログに「最高裁はなぜ上告を滅多に受理しないのか」と題するマンガが載っています。
① 最高裁はなぜ上告を滅多に受理しないのか   (平成26年5月28日付)
② 続最高裁はなぜ上告を滅多に受理しないのか(平成26年6月 6日付)
(2) リンク先のマンガにつき,著作権との関係で大丈夫かどうかはよく分かりません。

8 不受理決定の効力
・ 「最高裁判所に対する民事上訴制度の運用」には以下の記載があります(判例タイムズ1520号9頁)。
  不受理決定は,上告受理の申立ての理由中に法令の解釈に関する重要な事項が含まれているとは認められないという判断であり,その判断は,前記のように総合的なものであるから,最高裁として当該事件の法律問題に判断を示したものではなく,何ら判例としての意義,効力を有するものではない。例えば,貸金業者の債務者に対する取引履歴の開示義務を認めた最三小判平成17 年7 月19日(民集59 巻6 号1783 頁)の前に,貸金業者の取引履歴の不開示について不法行為の成立を否定した原判決に対する上告受理申立てが不受理とされたことがあり,この不受理決定について,最高裁は貸金業者について一般的な取引履歴の開示義務を認めなかったとの理解があったが,不受理決定は最高裁として当該事件の法律問題に判断を示したものではないのであるから,そのような理解ができないことは明らかである(詳しくは,上記最三小判平成17 年7 月19 日の判例解説〔福田剛久・法曹時報58 巻11号274 頁〕参照)。

9 経験則違反で原判決を破棄した最高裁平成16年2月26日判決等
(1)ア 最高裁平成16年2月26日判決の裁判要旨は以下のとおりです。
  現時点においては公証人の署名押印がある遺言公正証書原本について,当該原本を利用して作成された謄本の作成方法についての公証人及び書記の証言等の内容に食違いがあることなどを理由として,上記謄本作成の時点において公証人の署名押印がなかったとした原審の認定判断には,上記謄本の作成方法についての公証人及び書記の証言等は,その細部に食違いがあるものの主要な部分で一致していること,原本の各葉上部欄外には公証人の印による契印がされているのに公証人の署名欄に署名押印がされていないとするのは不自然であること,公証人が原本作成と同じ日に作成して遺言者に交付した正本及び謄本には公証人の署名押印がされていることなど判示の事情の下では,特段の事情の存しない限り,経験則違反又は採証法則違反の違法がある。
イ 上告受理申立代理人は7人いましたが,そのうちの1人は,平成14年6月11日に最高裁判所判事に就任した滝井繁男弁護士でした。
(2) 月刊大阪弁護士会2020年1月号の「元最高裁判所判事・元弁護士 鬼丸かおるさん」に以下の記載があります。
  (山中注:上告受理申立理由として)経験則違反という主張も非常に多いのですが、残念ながら今まで経験則違反を正面から最高裁判所が認めたことは1回もありません。

10 関連記事その他

(1) 今井功弁護士(平成16年12月から平成21年12月までの間,最高裁判所判事)は,自由と正義2013年6月号13頁において以下のとおり書いています。
  民事事件は,各小法廷で年間1,000件を超えているから,各事件につき,判決書を作成して署名押印し,いちいち法廷を開いて言渡しをすることは,大変な無駄である。旧法時代は,弁論が開かれない上告棄却判決の多くは,傍聴人のいない法廷で,言渡しがされており,当時多くの裁判官から何とかならないかといわれていたものである。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁判所事件月表(令和元年5月以降)
・ 2000円の印紙を貼付するだけで上告受理申立てをする方法
・ 最高裁判所調査官
・ 最高裁判所判例解説

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