裁判所調査官


目次
1 総論
2 裁判所調査官の配置状況
3 外部資料
4 日弁連の意見書
5 関連記事その他

1 総論
(1) 最高裁判所,各高等裁判所及び各地方裁判所に裁判所調査官が置かれます(裁判所法57条1項)ところ,最高裁判所に置かれる裁判所調査官は最高裁判所調査官として,裁判所法付則3項に基づき裁判官から任命されています(「最高裁判所調査官」参照)。
   高等裁判所及び地方裁判所の裁判所調査官は,特許庁又は国税庁からの出向者から任命されています。
(2) 裁判所調査官の任免及び勤務裁判所の指定は,最高裁判所の裁判官会議によって行われます(裁判官以外の裁判所職員の任免等に関する規則2条5号)。
(3) 地方裁判所の裁判所調査官は,知的財産又は租税に関する事件に限り,必要な調査等を行います(裁判所法57条2項)。
(4) 関連通達は以下のとおりです。
・ 裁判所調査官による租税関係および工業所有権関係事件の調査について(昭和48年6月21日付の最高裁判所事務総長依命通達)
・ 裁判所調査官による租税関係及び工業所有権関係事件の調査の運用について(昭和60年12月20日付の最高裁判所行政局長,刑事局長,民事局長及び人事局長通達)
(5) 裁判所法61条の2に基づき,各家庭裁判所及び各高等裁判所に置かれる家庭裁判所調査官とは異なります。

2 裁判所調査官の配置状況
(1) 「裁判所法57条に基づく裁判所調査官(ただし,最高裁判所調査官は除く。)の配置状況がわかる文書」を以下のとおり掲載しています。
・ 令和5年4月1日現在のもの
・ 令和4年4月1日現在のもの
・ 令和3年4月1日現在のもの
・ 令和2年7月10日現在のもの
・ 平成31年4月1日現在のもの
・ 
平成29年11月1日現在のもの

(2) 平成29年11月以降でいえば,知財高裁配属の調査官が11人であり,東京地裁配属の調査官が10人であり,大阪地裁配属の調査官が5人です。


3 外部資料
(1) 知的財産訴訟検討会の資料
・ 裁判所調査官に関する平成15年2月時点の状況が,
知的財産訴訟検討会第5回会合(平成15年2月28日)配布資料1「専門家が裁判官をサポートするための訴訟手続への新たな参加制度に関する現状と課題」に載っています。

(2) 特許庁からの出向経験者の説明
ア 知財関係の裁判所調査官が配置されたのは,東京高裁(平成17年度からは知財高裁)が昭和24年,東京地裁が昭和41年,大阪地裁が昭和43年からです。

イ 平成29年1月頃の時点で,知財高裁には11人,東京地裁には7人,大阪地裁には3人の知財関係の裁判所調査官が配置されています。
ウ 2017年1月31日発行の
「特技懇」誌第284号「大阪地裁における調査官の業務について」が参考になります。

4 日弁連の意見書
(1) 日弁連は,平成12年12月15日,「税務訴訟における裁判所調査官制度の見直しを求める意見書」を公表しました。
(2) 日弁連は,平成30年9月20日,「租税訴訟における裁判所調査官制度の廃止を求める意見書」を取りまとめました。

5 関連記事その他
(1)ア 制定時の裁判所法57条4項は以下のとおりあって,「第六六条の試験」というのは,高等試験司法科試験(昭和24年度以降は司法試験)のことです。
    裁判所調査官の任命は、一般の二級事務官吏に任命される資格を有する者の外第六六条の試験に合格した者についてもこれを行うことができる。
イ 制定時の裁判所法57条4項は,昭和26年3月30日法律第59号によって削除されました。
(2) 「刑事租税事件の審理上の留意点」には以下の記載があります(判例タイムズ1477号(2020年12月号)12頁)。
    大阪地裁及び東京地裁には,刑事租税事件に関する裁判所調査官が置かれている。裁判所調査官は,租税事件の審理及び裁判に必要な調査等をつかさどるとされている(裁判所法57条)。大阪地裁及び東京地裁以外の裁判所においても,裁判所調査官を活用することが可能となっている。
(3) 日本税理士会連合会HP「<最高裁判所からのお知らせ>裁判所調査官(租税関係行政事件担当)候補者の募集について」が載っています。
(4) 以下の記事も参照してください。
 裁判所職員採用試験

・ 最高裁判所調査官
・ 最高裁判所判例解説
 裁判所書記官及び家庭裁判所調査官の役職


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