毎年4月1日付の人事異動等に関する最高裁判所裁判官会議


目次
1 総論
2 毎年度の裁判官の人事異動
3 最高裁判所の公式の説明
4 その他の説明
5 裁判官の希望勤務地を取りまとめた文書は存在しないこと
6 毎年4月15日付の裁判所時報
7 合議体の裁判官が異動した場合における判決書への署名押印
8 関連記事その他

1 総論
(1)ア 毎年4月1日付の人事異動等については,毎年3月の第1水曜日に開催される最高裁判所裁判官会議で決定されています。
   その時期の裁判官会議では,①裁判官の退官等,②裁判官の新規任命等,③裁判官の再任等(要審議者名簿登載の者に関する審議を含む。),④判事の転補等,⑤判事補の転補等,⑥簡易裁判所判事の転補等,⑦裁判官の民間企業長期研修及び日本銀行研修,並びに⑧裁判官の特別研究が決定されています。
イ 転補等は人事異動のことであり,転勤を伴うかどうかを問いません。
ウ ①ないし⑥の裁判官人事は,官報に掲載されます。
(2) 裁判官の人事異動が最高裁判所裁判官会議で決定された毎年3月の第1水曜日以降であれば,裁判官は自分の人事異動を対外的に公表できることとなります。
   そのため,3月の第1水曜日から3月末日までの間に裁判期日がある場合,人事異動により転勤する予定の担当裁判官から,4月以降は別の裁判官が担当する予定であると告げられることが多いです。
(3) 転勤してきた裁判官が新たな担当裁判官となった場合,前任者から引き継いだ事件記録を一通り読み込む必要がありますから,4月中は裁判期日が入りにくいです。


2 毎年度の裁判官の人事異動
・ 平成30年度までの議事録別紙につき,「裁判官会議付議人事関係事項」の1頁目及び2頁目以外は省略しています(平成31年度以降については,「最高裁判所裁判官会議の議事録」を参照してください。)。
◯令和5年度の裁判官の人事異動
・ 令和5年3月1日の最高裁判所裁判官会議で原案通り決定されており,下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申報告とあわせて,午前10時30分に開始し,午前10時50分に終了しました。
◯令和4年度の裁判官の人事異動
・ 令和4年3月2日の最高裁判所裁判官会議で原案通り決定されており,下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申報告とあわせて,午前10時30分に開始し,午前11時12分に終了しました。
◯令和3年度の裁判官の人事異動
・ 令和3年3月3日の最高裁判所裁判官会議で原案通り決定されており,名古屋高等裁判所長官の補職等の議題とあわせて,午前10時30分に開始し,午前11時22分に終了しました。
◯令和2年度の裁判官の人事異動
・ 令和2年3月4日の最高裁判所裁判官会議で原案どおり決定されており,他に議題がないこともあって,午前10時30分に開始し,午前11時13分に終了しました。
◯平成31年度の裁判官の人事異動
・ 平成31年3月6日の最高裁判所裁判官会議で原案どおり決定されており,他に議題がないこともあって,午前10時30分に開始し,午前10時53分に終了しました。
◯平成30年度の裁判官の人事異動
・ 平成30年3月7日の最高裁判所裁判官会議で原案どおり決定されており,他に議題がないこともあって,午後2時00分に開始し,午後2時21分に終了しました(平成30年3月7日の最高裁判所裁判官会議議事録本文)。
◯平成29年度の裁判官の人事異動
・   平成29年3月1日の最高裁判所裁判官会議で原案通り決定されており,①司法研修所規程の一部を改正する規程の制定,②最高裁判所事務総局分課規程の一部を改正する規程,③新裁判官の配置(戸倉三郎最高裁判所判事),④下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申等の課題とあわせて,午前10時30分に開始し,午前11時16分に終了しました(平成29年3月1日の最高裁判所裁判官会議議事録本文)。
◯平成28年度の裁判官の人事異動
・ 平成28年3月2日の最高裁判所裁判官会議で原案どおり決定されており,①最高裁判所行政不服審査委員会規則の制定等,②最高裁判所事務総局分課規程の改正,③裁判所の人事行政事務の実情,④裁判所職員総合研修所入所試験規程の運用,⑤東京高裁長官の補職等の議題とあわせて,午前10時30分に開始し,午前11時50分に終了しました(平成28年3月2日の最高裁判所裁判官会議議事録本文)。
◯平成27年度の裁判官の人事異動
・ 平成27年3月4日の最高裁判所裁判官会議で原案どおり決定されており,①情報公開等の苦情申出制度の整備等,②最高裁判所事務総局分課規程の一部を改正する規程,③相続に関する規律の見直しについての法制審議会への諮問,④水戸地方裁判所長の補職等の議題とあわせて,午前10時30分に開始し,午前11時53分に終了しました(平成27年3月4日の最高裁判所裁判官会議議事録本文)。
平成26年度の裁判官の人事異動
・ 平成26年3月5日の最高裁判所裁判官会議で原案どおり決定されており,他に議題がないこともあって,午前10時30分に開始し,午前11時3分に終了しました(平成26年3月5日の最高裁判所裁判官会議議事録本文)。
◯平成25年度の裁判官の人事異動
・ 平成25年3月6日の最高裁判所裁判官会議で原案どおり決定されており,①自動車運転による死傷事犯の罰則の整備に関する法制審議会刑事法部会の議決報告,及び②札幌高等裁判所長官の補職等の議題とあわせて,午前10時30分に開始し,午前11時22分に終了しました(平成25年3月6日の最高裁判所裁判官会議議事録本文)。


3 最高裁判所の公式の説明
(1) 司法制度改革審議会の質問に対する最高裁判所の回答として,以下の記載があります(判例時報2144号41頁)。
    裁判官については、誰かが一定の評価を決定する(例えば、この裁判官の評価をAと決定するといった)権限を有しているわけではない。裁判官の人事については、その裁判官の能力、適正等を含めて、高裁長官や所長が意見を述べる機会が多いが、高裁長官や所長が上記のような意味での評価権限を有するということではなく、言ってみればひとつの人事情報にすぎない。昇給、総括指名、所長任命を含め、人事案の策定に際しては、高裁長官、所長の意見を始めとする種々の人事情報が総合的に考慮され、最終的に最高裁判所裁判官会議において人事が決定される。仕事ぶり、力量、人物、健康状態等は、考慮される事項の代表例として挙げたものである。
(2) 裁判所HPに載ってある裁判官の人事評価の在り方に関する研究会報告書(平成14年7月16日付)「第2 裁判官の人事評価の現状と関連する裁判官人事の概況」には以下の記載があります。
    異動の大部分は,所長等の人事を除き,毎年4月期に定期異動として実施される。異動計画の原案は,高等裁判所管内の異動については主として各高等裁判所が,全国単位の異動については最高裁判所事務総局人事局が立案し,いずれについても最高裁判所と各高等裁判所との協議を経て異動計画案が作成される。異動の内示は,事件処理と住居移転の関係を考慮して,原則として異動の2か月以上前に,離島などについては3か月以上前に行われ,承諾があれば,最高裁判所裁判官会議の決定を経て発令され,承諾がない場合には,異動先の変更が行われたり,留任の取扱いがなされる。
    異動案は,各裁判所でどのような経験等を持つ裁判官が何人必要かという補充の必要性,任地・担当事務についての各裁判官 の希望,本人・家族の健康状態,家庭事情等を考慮し,適材適所・公平を旨として立案される。適材適所・公平といった面で,人事評価が影響することになる が,少なくとも所長等への任命以外の一般の異動に関する限り,実際には,上記の人事評価以外の事情が影響する度合いが高い。特に近年は,配偶者が東京等で 職業を持つ割合が格段に高くなったこと,子弟の教育を子供の幼いうちから東京等で受けさせるために比較的若いうちから地方へ単身赴任する者が増えたこと,親等の介護の必要から任地に制限を受ける者が増えたことなどから,家庭事情に基づく任地希望が強まっている。現に,首都圏や京阪神地域の裁判所において,こうした事情を抱える裁判官は相当数に上る。また,判事補や若手の判事については,幅広い経験ができるように,評価とかかわりなしに大規模庁に異動するこ ともある。したがって,若手のうちは,異動において人事評価が影響する程度は,限定されたものである。


4 その他の説明
(1) 「司法行政について(中)」(筆者は22期の西理 元裁判官)には以下の記載があります(平成24年5月11日発行の判例時報2143号59頁。ただし,改行を追加しています。)。
    裁判官人事の歴史を見ても、裁判官の人事、特に転任を「人事行政」として考えるようになったのは比較的新しいことである。もともと裁判官の任地は二回試験と呼ばれる修習終了時の試験の成績等で最初から固定的なものと考えられていた。
    もちろん、転任はあったけれど、それは現在のように定期的かつ大量的に行われるものではなかった。それが昭和三〇年ころ、鈴木忠一人事局長時代に、判事補の一〇年の間に、大・中・小の各裁判所での勤務を平等に体験させる目的から、いわゆるA・B・C方式が採られるようになり、判事補についてはほぼ三年の周期で定期的に大量異動の人事が行われるようになった。
    ところで、このA・B・C方式なるものは、判事の供給源が殆ど判事補に固定化した状況下でできるだけ均質な判事を養成する必要から考案されたものであり、その実施に当たっては当該判事補の同意を得るための慎重な手続がとられたようであるが、次第に転任を当然と考える風潮が生まれていく。
    そして、その傾向は次第に判事の転任にも影響を及ぼし、「ほぼ三年のローテーションで均等に配置して裁判官処遇の平等を期し、それにともなって甲裁判所の次は乙地域に転任になるという人事の流れの慣行」が定着していくこととなる。
(2) 「裁判官も人である 良心と組織の間で」108頁には以下の記載があります。
     裁判官の全国規模の異動は、このような形骸化した「評価書」が作成されたのち、次に各ブロックの高裁長官が集まる事務打ち合わせ会議などで調整されている。その際、問題のある裁判官の処遇についても話し合われ、彼は、ウチで何年も預かってきたんだから、今度はそちらで引き取ってくれ。そうでないと本人も腐り、全体に悪影響を及ぼす。そう言われ、戦力外の裁判官を渋々引き受けることがあるのだという。そんな話し合いの後に作成された高裁長官案を、最高裁事務総局人事局の任用課長が再調整し、最高裁事務総長が承認する。それが最高裁長官案となり、裁判官の全国異動が始まるわけである。


5 裁判官の希望勤務地を取りまとめた文書は存在しないこと
(1) 平成27年度(最情)答申第8号(平成28年2月23日答申)には以下の記載があります。
    本件開示申出文書は,平成27年4月の人事異動に際して,全国の裁判官(簡易裁判所判事は除く。)の希望勤務地を取りまとめた文書であるところ,最高裁判所事務総長の説明によれば,全国の裁判官は,他に転任する場合の任地希望等をカードに記載して,最高裁判所事務総局人事局長に提出するとのことである。
    そうすると,人事局においては,各裁判官がカードに記載した任地希望を把握していることになるが,同説明によれば,人事局が人事異動計画の原案の立案等をする際には,各カードを個別に確認すれば足り,その記載内容を集計する必要はなく,現にその集計は行っていないというのである。人事異動事務が,任地希望を一つの考慮要素としつつも他の要素を含めて総合的に勘案して個別に検討すべき性質の事務であることに照らせば,上記説明に不合理な点は見当たらない。
(2) 本件開示申出文書は,「平成27年4月の人事異動に際して,全国の裁判官(簡裁判事は除く。)の希望勤務地を取りまとめた文書」です。


6 毎年4月15日付の裁判所時報
・ 毎年4月15日付の裁判所時報に4月1日付の人事が載りますところ,以下の特徴があります。
(1) 個々人の記載事項
ア 1行目に異動先のポスト(4月1日付の発令事項)が書いてあり,2行目に1文字の字下げの後,異動前のポスト(現任庁・現官職)及び氏名が書いてあります。
イ 行政機関等の職員(行政機関職員のほか,衆議院法制局参事,国立国会図書館参事及び預金保険機構参与をいいます。)の出向先から戻ってきた裁判官,弁護士職務経験から戻ってきた裁判官及び弁護士任官した裁判官の場合,異動先のポストだけが書いてあります。
(2) 人事異動の記載の順番
ア 異動前のポストを基準として以下の順番で書いてあります。
① 最高裁勤務の裁判官の異動
・ (a)異動の前又は後のポストが最高裁調査官→(b)異動の前又は後のポストが事務総局勤務の裁判官→(c)異動の前又は後のポストが司法研修所教官→(d)異動の前又は後のポストが司法研修所所付→(e)異動の前又は後のポストが裁判所職員総合研修所教官の順番です。
② 高裁及び地家裁の判事の異動
・ 高裁単位で,東京→大阪→名古屋→広島→福岡→仙台→札幌→高松の順番で管内の異動が記載されます。
③ 地家裁の判事補の異動
・ 高裁単位で,東京→大阪→名古屋→広島→福岡→仙台→札幌→高松の順番で管内の異動が記載されます。
④ 簡裁判事の異動
・ 高裁単位で,東京→大阪→名古屋→広島→福岡→仙台→札幌→高松の順番で管内の異動が記載されます。
⑤ 一般職の異動
イ 異動先のポストだけが書いてある裁判官の場合,異動先のポストを基準として書いてあります。
    例えば,東京高裁判事に弁護士任官した場合,異動前のポストが東京高裁判事の人の最後に書いてあります。
ウ 職務上使用している旧姓と戸籍名が異なる場合,以前は戸籍名が書いてあったものの,裁判所職員の旧姓使用について(平成29年7月3日付の最高裁判所事務総長の通達)が施行された後は,職務上使用している旧姓が記載されるようになったみたいです。
    この点については,ウエストロー・ジャパンの法曹界人事と同じです。
(3) 独自に記載されている人事
ア 任官3年目の地裁判事補から地家裁判事補となる人事,及び司法研修所所付の人事が書いてあります。
イ これらの人事は,ウエストロー・ジャパンの法曹界人事には書いていません。
(4) 記載されていない人事
ア 弁護士職務経験判事補となる裁判官(身分上は裁判所事務官となります。),及び民間企業長期研修を開始する裁判官は書いてありません。
イ 行政機関等に出向する裁判官は書いてありません。
→ 3月1日付その他3月上旬に最高裁の局付判事となったり,3月31日付で東京地裁判事補等となったりしている場合,4月1日付で行政機関等に出向している可能性が高いです。
ウ 異動前後のポストが部総括判事であるかどうかは書いてありません。
エ 同一庁での部総括発令は書いてありません。
(5) その他
ア 3月25日付で高裁所在地の地裁判事補となっている場合,裁判所時報に記載されないものの,4月1日付で弁護士職務経験判事補となるか,又は民間企業長期研修を開始している可能性が高いです。
    ただし,東京地家裁判事補等から直接,弁護士職務経験判事補となったり,民間企業長期研修を開始したりする人もいます。
イ 人事異動の原稿の入手先は,裁判官については,人事局任用課任用第一実施係となっており,一般職については,人事局任用課任用第二実施係となっています。


7 合議体の裁判官が異動した場合における判決書への署名押印
(1) 判決は,その基本となる口頭弁論に関与した裁判官がしますし(民事訴訟法249条1項),言渡しによってその効力を生じます(民事訴訟法250条)ところ,原則として口頭弁論の終結の日から2ヶ月以内に行います(民事訴訟法251条1項)。
(2)ア 判決の言渡しは,調書判決(民事訴訟法254条)を除き,判決書(民事訴訟法253条)の原本に基づいてしますし(民事訴訟法252条),判決書の正本又は調書判決の謄本は当事者に送達されます(民事訴訟法255条)。
イ 調書判決の場合,裁判所書記官が作成者となります(民事訴訟法254条2項)。
(3)ア 判決書には,判決をした裁判官が署名押印をしなければならないものの(民事訴訟規則157条1項),合議体の裁判官が判決書に署名押印することに支障があるときは,他の裁判官が判決書にその事由を付記して署名押印すれば足ります(民事訴訟規則157条2項)。
イ 条解民事訴訟規則328頁には,「2 合議体の裁判官に支障があるときの取扱い(2項)」以下の記載があります(注番号は省略しています。)。
    判決書に署名押印するのは,判決をした裁判官,具体的には,判決の結論を出したときの評決に関与した裁判官であるが,合議体の裁判官の中に署名押印することに支障がある者がいるときは,その合議体に属する他の裁判官がその事由を付記して署名押印することになる(本条2項)。この「支障があるとき」とは,死亡や転任といった恒常的なものだけでなく,病気欠勤や出張中といった期間の限られたものも含まれる。「事由の付記」とは,支障の理由を記載することを意味するが,旧法下の実務で行われていたように,単に,「差支えにつき」といった記載でも構わない。「他の裁判官」とは,その裁判所に所属する他の裁判官の意味ではなく,判決の基本となった口頭弁論に関与した裁判官の意味である。
(4)ア 3月31日までに口頭弁論が終結した合議事件について4月1日以降に判決が言い渡される場合において,例えば,合議体を構成する裁判官Xの異動があったときは,判決書の末尾に「裁判官Xは差支えにつき署名押印することができない。」と付記されますし,判決言渡し期日には,裁判官Xと同じ民事部に配属された別の裁判官が立ち会います。
イ 千葉地裁平成29年3月24日判決(裁判長は37期の八木貴美子裁判官)を取り消した上で,事件を千葉地裁に差戻した東京高裁平成29年9月5日判決(裁判長は33期の大段亨裁判官)記載の事実経過が参考になります。
ウ 基本となる口頭弁論に関与しない裁判官でも判決の言渡しに関与できますし,裁判官の交代があっても判決の言渡しについては弁論を更新する必要はありません(最高裁昭和26年6月29日判決)。
(5) 第1審において、事件が一人の裁判官により審理された後、判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が民訴法254条1項により判決書の原本に基づかないで第1審判決を言い渡した場合、その判決手続は同法249条1項に違反するものであり、同判決には民事訴訟の根幹に関わる重大な違法がある(最高裁令和5年3月24日判決)のであって,調書判決の場合,通常の判決言渡しとは取扱いが異なります。


8 関連記事その他
(1)ア  全国的規模の会社の神戸営業所勤務の大学卒営業担当従業員が母親,妻及び長女と共に堺市内の母親名義の家屋に居住しているなどといった事実関係のみから,同従業員に対する名古屋営業所への転勤命令が権利の濫用に当たるということはできません(東亜ペイント事件に関する最高裁昭和61年7月14日判決)。
イ 東亜ペイント株式会社は平成5年4月に株式会社トウペに社名変更しました。
(2) 労働者と使用者との間に当該労働者の職種や業務内容を特定のものに限定する旨の合意がある場合には,使用者は,当該労働者に対し,その個別的同意なしに当該合意に反する配置転換を命ずる権限を有しません(最高裁令和6年4月26日判決)。
(3) アセスメントラボHP「なぜ人事異動情報(内示)は秘密にしなければならないのか?運用ルールのポイントは?」が載っています。
(4) 東北大学法科大学院メールマガジン第50号(2009年11月30日付)には49期の高橋彩裁判官の発言として以下のものがあります。
① 今は育休期間が3年になりましたが、実際に3年間取得している人は少ないと思います。それは取得できないからではなく、その期間中に職場に戻りたくなってしまうからだと思います。やはりずっと家にいると、職場に戻りたくなってしまうので、育休の取得期間は長い人で2年、一般的なのは1年であると思われます。男性も育休を取得できますが、男性で取得する人は少ないです。
② ご夫婦で裁判官をやっている人は、基本的には、任官して最初のうちはほとんど一緒に異動していますし、同じ裁判所に勤めなくとも同居して通える範囲に赴任している人が多いです。検察官と裁判官のご夫婦の場合も、検察官の異動は2年毎、裁判官は3年毎なのでずれてしまいますが、できるだけ同居できるようにしてもらっている人が多いと思います。ただし、これは若いうちのみで、子供がある程度大きくなりそれなりの地位になると、やはり別居する場面はあると思います。

(5) ベリーベストグループ採用サイト「ベリーベスト法律事務所での地方勤務について」には「当事務所では、所属弁護士の配偶者が、裁判官、検察官といった転勤を伴う職種の方も多く在籍しております。そういった方については、パートナーの方の転勤に伴い、全国の当事務所のオフィスで継続して勤務を行うことが可能となっております。」と書いてあります。
(6)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 裁判所職員の赴任期間について(平成4年4月28日付の最高裁判所事務総長の依命通達)
・ 裁判所時報編集マニュアル(平成27年9月9日付)
イ 以下の記事も参照してください。
・ 裁判官の転勤の内示時期
・ 裁判官の転出に関する約束
・ 裁判官の希望勤務地を取りまとめた文書は存在しないこと
・ 令和4年1月1日以降の裁判所時報
・ 裁判官第一カード,裁判官第二カード及び裁判官第三カード
・ 最高裁判所裁判官会議
・ 最高裁判所裁判官会議の議事録
・ 最高裁判所事務総局会議の議事録
・ 裁判官人事の辞令書
・ 高等裁判所長官事務打合せ
・ 高等裁判所事務局長事務打合せ
・ 裁判官の種類
→ 判事新任のタイミングについても記載しています。
・ 転勤した際,裁判所共済組合に提出する書類等


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