目次
第1 本記事の対象と調査の基準日第2 答弁が行われた審議1 確定拠出年金法等の一部を改正する法律案の審査2 角田秀穂委員の質問第3 香取年金局長の答弁1 両制度の違いと加入者数2 国民年金基金と個人型DCのどちらから始めるか3 ポータビリティと拠出限度額第4 答弁後の制度改正と現在の状況1 答弁が「今回の制度改正」と呼んだ法案の成立2 国民年金基金の再編3 国民年金基金の積立金を移す仕組みは現在もない4 答弁にいう「付加年金」と条文の関係5 拠出限度額の見直しと加入可能年齢の引上げ6 加入者数と掛金額の現在第5 関連記事第6 出典・参考資料1 国会会議録・議案情報2 法令3 所管行政機関の解説・通知4 統計・データ5 国民年金基金の案内資料
第1 本記事の対象と調査の基準日
本記事は,平成27年8月28日の衆議院厚生労働委員会で,香取照幸厚生労働省年金局長(当時)が,国民年金基金と個人型確定拠出年金(以下「iDeCo」という。)の違いについて述べた答弁を,国会会議録から紹介するものである。
答弁は,両制度の違い,どちらから始めるのが取り組みやすいか,国民年金基金に持ち運び(ポータビリティ)の仕組みがない理由及び拠出限度額の整理に及んでいる。
答弁は平成27年当時の制度を前提としている。
そのため,第4では,答弁で「今回の制度改正」と呼ばれた法案のその後,国民年金基金の再編,拠出限度額及び加入可能年齢の改正並びに加入者数の現状を,令和8年9月18日を基準日として整理した。
令和8年12月1日に施行される改正は,この基準日の時点では施行前である。
第2 答弁が行われた審議
1 確定拠出年金法等の一部を改正する法律案の審査
この日の委員会では,確定拠出年金法等の一部を改正する法律案(第189回国会閣法第70号)が議題とされていた。
香取局長は,同じ日の別の答弁で,この改正により個人型について「事実上全ての方が入れるようになります」と説明している(発言番号84)。
衆議院の議案審議経過情報によれば,同委員会は同日に同法案の審査を終えて可決し,衆議院本会議も平成27年9月3日に同法案を可決した。
2 角田秀穂委員の質問
以下で紹介する3件の答弁は,いずれも角田秀穂委員の質問に対するものであり,会議録の発言番号11,13及び15に当たる。
質問は3回に分かれており,順に,①両制度の加入状況と目的の違い(発言番号10),②第1号被保険者が老後の備えとしてどちらを選ぶべきか(発言番号12),③国民年金基金のポータビリティと拠出限度額の整理(発言番号14)を尋ねたものである。
質問に含まれる数値や制度の説明は質問者の前提であり,政府の答弁とは区別して読む必要がある。
第3 香取年金局長の答弁
1 両制度の違いと加入者数
(1) 質問の要旨
角田委員は,国民年金の2階部分として確定給付型の国民年金基金と確定拠出の個人型DCがあり,月額6万8000円の限度額の範囲で重複加入が可能であることを前提に質問した。
そのうえで,国民年金基金の加入者が平成15年度の約79万人をピークに減少し,平成26年3月末では約48万人にとどまっている理由,個人型DCの加入者約18万人のうち第1号被保険者の数と両制度への重複加入者の数,及び両制度の目的の違いを尋ねた(発言番号10)。
(2) 答弁
香取局長は,次のとおり答弁した(発言番号11)。
整理して御答弁申し上げます。
まず、国民年金基金と個人型のDCの違いですが、先生お話ありましたように、非常にわかりやすく言いますと、国民年金基金は、確定給付型、いわばDBと同じように給付型の年金ですので、給付の基本的な設計が異なっているということがございます。
ただ、機能としてはいずれも自営業者や一号被保険者の方の自助努力を支援するということで、そういう意味では目的は共通するものがあるということで、それぞれメリット、デメリットがございまして、個々人の御判断によって加入されるということになります。
国民年金基金は、平成元年に法律が成立して平成三年から適用しておりますので、こちらの方が歴史が長いものでございますし、こちらは地域型と職能型という形で二つの形があるわけですけれども、御案内のように、国民年金基金の加入者自身は少しずつ減少傾向にある。
これは、そもそも一号全体の数が減っている。
自営業者の数が減っているということもございますし、もう一つは、お話ありましたように、一号の中で、いわゆる自営業者といいますか純粋一号といいますか、本来の制度が想定している一号の方々は、全体の一号の数の減少よりもさらに実は減少している。
一号の中で、一定の所得のある方、パート労働の方とか、そういう被用者で一号になっている方もふえているということもありまして、国民年金基金の場合には、掛金の水準等々からいって一定の所得のある方が入るということになりますので、そういった自営業者の方が減っているということもあって少なくなっているというふうに思っております。
その意味でいいますと、個人型の確定拠出年金の方が、個々人の方の制度設計、個々人の御判断で掛金が決められるということになりますと、入りやすいといいますか取り組みやすい制度ということになりますので、一号被保険者の方の対応が変わってきているということも頭に置きながら、国民年金基金と個人型の二つの制度を御用意して入っていただくということを考えております。
数字でいいますと、今、国民年金基金が四十五万人、確定拠出に関しましては、平成二十六年度末、直近でいきますと、約二十一万人の方が入っておられる。
いずれにしても、一号全体から比べると非常に数が少ないわけでございまして、これからその適用拡大を図っていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
(3) 答弁で示された数値の基準時点
答弁は,国民年金基金の加入者を45万人,iDeCoの加入者を平成26年度末で約21万人としている。
質問者は国民年金基金を平成26年3月末で約48万人,個人型DCを約18万人としており,両者の数値が異なるのは基準時点の違いによるものと考えられる。
現在の加入者数は,後記第4の6で示す。
(続きを読む...)国民年金基金とiDeCoの違いに関する国会答弁-平成27年の厚生労働省年金局長答弁とその後の制度改正(AI作成)