目次
1 総論
2 召集時解散
3 本会議が開いていない時点での解散
4 内閣不信任決議が成立した後の解散
5 解散後の議員宿舎及び議員会館の使用
6 衆議院の解散と日経平均
7 衆議院の解散後に災害が発生した場合における繰延投票
8 関連記事その他
1 総論
(1) 衆議院の解散は,内閣不信任決議が成立した場合も含めて,憲法7条に基づいて行われています。
(2) 統治行為論に基づき,衆議院解散の効力は,訴訟の前提問題としても,裁判所の審査権限の対象外です(最高裁大法廷昭和35年6月8日判決(苫米地事件上告審判決)参照)。
(3) 国会閉会中に衆議院が解散されたことはありません。
衆議院の解散に関する閣議書(令和3年10月14日付)1/2を添付しています。 pic.twitter.com/pELWPYbVe7
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) December 10, 2021
2 召集時解散
(1) 召集時解散は以下の4回です。
① 昭和41年12月27日の解散(第1次佐藤内閣)
② 昭和61年 6月 2日の解散(第2次中曽根内閣)
③ 平成 8年 9月27日の解散(第1次橋本内閣)
④ 平成29年 9月27日の解散(第3次安部内閣)
(2) 衆議院HPに「国会会期一覧」が載っています。召集時解散があった場合,会期は1日だけになります。
3 本会議が開いていない時点での解散
(1) 本会議が開いていない時点での解散は以下のとおりです。
① 昭和27年 8月28日の解散(第3次吉田内閣)
② 昭和55年 5月19日の解散(第2次大平内閣)
③ 昭和61年 6月 2日の解散(第2次中曽根内閣)
(2) これらの場合,議長応接室で解散詔書が読み上げられました。
5分11秒より後の動画は,昭和55年5月19日の衆議院解散に関するものです。
5分13秒より後の動画は,昭和61年6月2日の衆議院解散に関するものです。
4 内閣不信任決議が成立した後の解散
(1) 内閣不信任決議が成立した後の解散は以下のとおりです。
① 昭和23年12月23日の解散(第2次吉田内閣)
→ 同日の内閣不信任決議を受けたものです。
② 昭和28年 3月14日の解散(第4次吉田内閣)
→ 同日の内閣不信任決議を受けたものです。
③ 昭和55年 5月19日の解散(第2次大平内閣)
→ 同月16日の内閣不信任決議を受けたものです。
④ 平成 5年 6月18日の解散(宮澤内閣)
→ 同日の内閣不信任決議を受けたものです。
(2) 平成5年7月18日の第40回衆議院議員総選挙があり,同年8月9日に細川内閣が成立しました。
5 解散後の議員宿舎及び議員会館の使用
(1) 議員宿舎の使用
・ 「解散後の議員宿舎の使用について」(平成26年11月21日付)
・ 「解散後の議員宿舎の使用について」(平成29年 9月28日付)
・ 「解散後の議員宿舎の使用について」(令和 3年10月14日付)
(2) 議員会館の使用
・ 「解散後の議員会館の使用について」(平成26年11月21日付)
・ 「解散後の議員会館の使用について」(平成29年 9月28日付)
・ 「解散後の議員会館の使用について」(令和 3年10月14日付)
6 衆議院の解散と日経平均
(1) ZDNet Japan HPの「衆議院解散総選挙は日経平均にどう影響するか?」に,2005年,2009年,2012年及び2014年にあった,衆議院の解散総選挙における日経平均の動きが載っています。
(2) Zai Onlineに「「解散総選挙」が決まれば、長期安定政権への期待から“中長期の上昇トレンド”発生へ! ただし、総選挙決定まで日経平均は2万2500~4500円のレンジで推移か」(2020年9月15日公開)が載っています。
7 衆議院の解散後に災害が発生した場合における繰延投票
横畠裕介内閣法制局長官は,平成30年2月6日の衆議院予算委員会において以下の答弁をしています。
憲法第五十四条第一項においては、衆議院が解散された場合、解散の日から四十日以内に総選挙を行うと規定しているところであります。災害等が発生した場合であっても、同項及び公職選挙法の規定に従って、解散の日から四十日以内の日を施行期日として、衆議院議員の総選挙の施行が公示されることになると考えられます。
その上で、公職選挙法第五十七条第一項においては、天災その他避けることのできない事故により、投票所において、投票を行うことができないとき、又は更に投票を行う必要があるときは、選挙管理委員会の判断により、更に期日を定めて投票を行わせるというのが、御指摘もありましたけれども、繰延べ投票の制度がございます。
一定の期間を要し、その繰延べ投票が解散の日から四十日を超えて行われたとしても、当該総選挙自体は最初に公示された施行期日に行われたものというふうに解することができると解しております。
「批判は許される!」とかツイートたくさん見るけど、多くの有権者そんなん求めてへんねん。「で、君何ができるの?」「今まで何してきた?」で終わりや。批判してるだけで世の中動くわけないやろ。飲み会で上司の悪口言うてる出来損ない社員と何が違うんだ?
— たにやん (@t_taniyan) July 10, 2022
日本の選挙制度、非効率でも「機械を使っても、最終的には手作業で、なおかつ郵便投票も選挙日に全部開封して集計。そして集計所に全陣営の監視員をいれる」って体制は維持しないといけないですね。民主主義の根幹の信用を買うためにコスト。
アメリカそれできてねぇからつまんねぇ陰謀論でるんだよな— もへもへ (@gerogeroR) November 11, 2022
8 関連記事その他
(1) 最高裁昭和63年12月20日判決は,「政党は、政治上の信条、意見等を共通にする者が任意に結成する政治結社であつて、内部的には、通常、自律的規範を有し、その成員である党員に対して政治的忠誠を要求したり、一定の統制を施すなどの自治権能を有するものであり、国民がその政治的意思を国政に反映させ実現させるための最も有効な媒体であつて、議会制民主主義を支える上においてきわめて重要な存在であるということができる。」と判示しています。
(2) 衆議院議員総選挙の公示日から投票日までの間,総選挙に候補者又は候補者名簿を届け出た政党その他の政治団体でない限り,原則として政治活動をすることはできません(公職選挙法201条の5)。
(3)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 衆議院解散の閣議書(令和 3年10月14日付)
・ 衆議院解散の閣議書(平成29年 9月28日付)
イ 以下の記事も参照してください。
・ 衆議院の解散は司法審査の対象とならないこと
・ 日本国憲法下の衆議院の解散一覧
・ 一票の格差是正前の解散は可能であることに関する政府答弁
・ 閉会中解散は可能であることに関する内閣法制局長官の答弁
・ 政策担当秘書関係の文書
・ 国会制定法律の一覧へのリンク
・ 衆議院の解散に関する内閣答弁書
R020831 内閣官房内閣総務官の不開示決定通知書(衆議院の解散詔書の取扱いについて書いてある文書)を添付しています。 pic.twitter.com/ni9UPnER5B
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) September 2, 2020