目次
第1 人事院規則14-7(政治的行為)
第2 名古屋家裁裁判官の反天皇制に関する行為
1 平成31年3月13日付の産経新聞の記事
2 夏祭起太郎名義の2つのエッセー
第3 関連記事その他
第1 人事院規則14-7(政治的行為)
裁判官には適用されないものの,国家公務員法102条(政治的行為の制限)の委任によって制定された人事院規則14-7(政治的行為)は以下のとおりです。
(適用の範囲)
1 法及び規則中政治的行為の禁止又は制限に関する規定は、臨時的任用として勤務する者、条件付任用期間の者、休暇、休職又は停職中の者及びその他理由のいかんを問わず一時的に勤務しない者をも含むすべての一般職に属する職員に適用する。ただし、顧問、参与、委員その他人事院の指定するこれらと同様な諮問的な非常勤の職員(法第八十一条の五第一項に規定する短時間勤務の官職を占める職員を除く。)が他の法令に規定する禁止又は制限に触れることなしにする行為には適用しない。
2 法又は規則によつて禁止又は制限される職員の政治的行為は、すべて、職員が、公然又は内密に、職員以外の者と共同して行う場合においても、禁止又は制限される。
3 法又は規則によつて職員が自ら行うことを禁止又は制限される政治的行為は、すべて、職員が自ら選んだ又は自己の管理に属する代理人、使用人その他の者を通じて間接に行う場合においても、禁止又は制限される。
4 法又は規則によつて禁止又は制限される職員の政治的行為は、第六項第十六号に定めるものを除いては、職員が勤務時間外において行う場合においても、適用される。
(政治的目的の定義)
5 法及び規則中政治的目的とは、次に掲げるものをいう。政治的目的をもつてなされる行為であつても、第六項に定める政治的行為に含まれない限り、法第百二条第一項の規定に違反するものではない。
一 規則一四―五に定める公選による公職の選挙において、特定の候補者を支持し又はこれに反対すること。
二 最高裁判所の裁判官の任命に関する国民審査に際し、特定の裁判官を支持し又はこれに反対すること。
三 特定の政党その他の政治的団体を支持し又はこれに反対すること。
四 特定の内閣を支持し又はこれに反対すること。
五 政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し又はこれに反対すること。
六 国の機関又は公の機関において決定した政策(法令、規則又は条例に包含されたものを含む。)の実施を妨害すること。
七 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)に基く地方公共団体の条例の制定若しくは改廃又は事務監査の請求に関する署名を成立させ又は成立させないこと。
八 地方自治法に基く地方公共団体の議会の解散又は法律に基く公務員の解職の請求に関する署名を成立させ若しくは成立させず又はこれらの請求に基く解散若しくは解職に賛成し若しくは反対すること。
(政治的行為の定義)
6 法第百二条第一項の規定する政治的行為とは、次に掲げるものをいう。
一 政治的目的のために職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること。
二 政治的目的のために寄附金その他の利益を提供し又は提供せずその他政治的目的をもつなんらかの行為をなし又はなさないことに対する代償又は報復として、任用、職務、給与その他職員の地位に関してなんらかの利益を得若しくは得ようと企て又は得させようとすることあるいは不利益を与え、与えようと企て又は与えようとおびやかすこと。
三 政治的目的をもつて、賦課金、寄附金、会費又はその他の金品を求め若しくは受領し又はなんらの方法をもつてするを問わずこれらの行為に関与すること。
四 政治的目的をもつて、前号に定める金品を国家公務員に与え又は支払うこと。
五 政党その他の政治的団体の結成を企画し、結成に参与し若しくはこれらの行為を援助し又はそれらの団体の役員、政治的顧問その他これらと同様な役割をもつ構成員となること。
六 特定の政党その他の政治的団体の構成員となるように又はならないように勧誘運動をすること。
七 政党その他の政治的団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し、編集し、配布し又はこれらの行為を援助すること。
八 政治的目的をもつて、第五項第一号に定める選挙、同項第二号に定める国民審査の投票又は同項第八号に定める解散若しくは解職の投票において、投票するように又はしないように勧誘運動をすること。
九 政治的目的のために署名運動を企画し、主宰し又は指導しその他これに積極的に参与すること。
十 政治的目的をもつて、多数の人の行進その他の示威運動を企画し、組織し若しくは指導し又はこれらの行為を援助すること。
十一 集会その他多数の人に接し得る場所で又は拡声器、ラジオその他の手段を利用して、公に政治的目的を有する意見を述べること。
十二 政治的目的を有する文書又は図画を国又は行政執行法人の庁舎(行政執行法人にあつては、事務所。以下同じ。)、施設等に掲示し又は掲示させその他政治的目的のために国又は行政執行法人の庁舎、施設、資材又は資金を利用し又は利用させること。
十三 政治的目的を有する署名又は無署名の文書、図画、音盤又は形象を発行し、回覧に供し、掲示し若しくは配布し又は多数の人に対して朗読し若しくは聴取させ、あるいはこれらの用に供するために著作し又は編集すること。
十四 政治的目的を有する演劇を演出し若しくは主宰し又はこれらの行為を援助すること。
十五 政治的目的をもつて、政治上の主義主張又は政党その他の政治的団体の表示に用いられる旗、腕章、記章、えり章、服飾その他これらに類するものを製作し又は配布すること。
十六 政治的目的をもつて、勤務時間中において、前号に掲げるものを着用し又は表示すること。
十七 なんらの名義又は形式をもつてするを問わず、前各号の禁止又は制限を免れる行為をすること。
7 この規則のいかなる規定も、職員が本来の職務を遂行するため当然行うべき行為を禁止又は制限するものではない。
8 各省各庁の長及び行政執行法人の長は、法又は規則に定める政治的行為の禁止又は制限に違反する行為又は事実があつたことを知つたときは、直ちに人事院に通知するとともに、違反行為の防止又は矯正のために適切な措置をとらなければならない。
第2 名古屋家裁裁判官の反天皇制に関する行為
1 平成31年3月13日付の産経新聞の記事
(1) 産経新聞HPの「昭和の日を「無責任の日」と批判 判事、過激派参加団体で活動も」(平成31年3月13日付)には,名古屋家裁裁判官の行為について以下の記載があります。
① 4月末の天皇陛下の譲位を前に、名古屋家裁の男性判事(55)が「反天皇制」をうたう団体の集会に参加していたことが12日、明らかになった。判事は平成21年以降、少なくとも3つの団体で活動。反皇室、反国家、反権力などを掲げ、中には過激派活動家が参加する団体もあった。
② 「反天皇制運動連絡会」(反天連、東京)などが呼びかけた「代替わり」反対集会では、皇室を批判する激しい発言が繰り返される。判事は昨年、こうした反天連による別の集会に複数回にわたって参加し、自らも「批判的に考察していきたい」などと発言していた。
③ 関係者によると、判事は津地家裁四日市支部勤務だった21年、広島県呉市で行われた反戦団体「ピースリンク広島・呉・岩国」(呉市)の集会に参加。実名でスピーチした。その後、広島地家裁呉支部に異動し、同団体の活動に参加した。
④ 名古屋家裁に異動すると、反戦団体「不戦へのネットワーク」(名古屋市)に参加。会報に「夏祭起太郎」の名前で論考を寄稿した。
⑤ 産経新聞は今年2月、判事に複数回、直接取材を申し込んだが、いずれも無言で足早に立ち去った。
⑥ 名古屋家裁には昨年11月に判事の政治運動疑惑を伝え、見解を質問した結果、書面で「承知していない」「仮定の質問にはお答えできない」との回答があった。今年2月に再度取材したが、家裁は判事に事情を聴くなどの調査をしたかについても明らかにせず、「お答えすることはない」とした。
(2) 名古屋家裁総務課の職員については,裁判所職員に関する臨時措置規則に基づき,人事院規則14-7(政治的行為)が適用されます。
2 夏祭起太郎名義の2つのエッセー
(1) 夏祭起太郎の「天皇代替わり、どうする・・・」(不戦へのネットワーク会報80号(2018年2月4日発行))には以下の記載があります。
① 天皇代替り茶番劇のスケジュールも,大分具体化して閣議決定など経て、公表されてきた。
② 国内向け,新天皇即位後初めて行われるビッグイベントが2019年初夏頃行われる愛知植樹祭だ。天皇が、一本の木を植えるために数十億単位の公費を使って、たくさんの木を伐採し、「国土の緑を大切に」ともいうまったくもって不思議で呪術的なイベント(毎年都道府県主催で行われる。もちろん主眼は、天皇が全国を巡り歩いて木を植え、「お言葉」なるものを発する天皇賛美の行事だ。)
③ 天皇制要りません、迷惑です、いい加減にしてくださいという意思表示の一つ一つが天皇制を掘り崩し、葬り去ることにつながると思う。
(2) 夏祭起太郎の「”支配者面した慰霊,慰問の旅”」(不戦へのネットワーク会報81号(2018年5月6日発行))には以下の記載があります。
① アキヒト・ミチコの沖縄・与那国訪問は,歓迎される慰霊,慰問の旅という表向きの宣伝(沖縄戦犠牲者の慰霊,日本最西端の離島に訪問)とは裏腹に,ヤマト政府の方針に従わない連中(まずは辺野古ゲート前に集う人たち,次に自衛隊基地強化に不服な人々)を従わせようと(それも,強制的にではなく自発的に)いう底意から企画演出されたイベントである(与那国訪問には,中国を挑発する意味もあるという説もささやかれている。)。
② 天皇・皇后が,福島を訪問し,植樹祭(放射能汚染から身を守るためにはタブーとされている「土いじり」!)に参加し,復興の偽に出演するとは,何たる政治的行動! しかもインチキ! フクイチ肉薄に執念を燃やしているのはミチコだという女性週刊誌の報道も(アキヒトはH式15点あるかどうか疑問・・・)。
③ 世襲の君主がいろいろな動きをする制度は,やっぱり理不尽,不合理,弱い立場のものを圧迫する,逆らいにくい呪術的な拘束力を醸し出し,第一お金がもったいないので,即刻ゴメンこうむりたい。
第3 関連記事その他
1 衆議院HPに「一般職国家公務員の政治的行為の制限」(平成25年6月6日付)が載っています。
2 人事院規則14-7(政治的行為)の運用方針について(昭和24年10月21日法審発第2078)には以下の記載があります。
第3号関係 本号中における「特定」の意味については、第1号に準じて解釈されるべきである。「政党」とは、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し又は公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対することを本来の目的とする団体をいい、「その他の政治的団体」とは、政党以外の団体で政治上の主義若しくは施策を支持し、若しくはこれに反対し、又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくはこれに反対する目的を有するものをいう。「支持し又はこれに反対する」とは、特定の政党その他の政治的団体につき、それらの団体の勢力を維持拡大するように若しくは維持拡大しないように、又はそれらの団体の有する綱領、主張の主義若しくは施策を実現するように若しくは実現しないように、又はそれらの団体に属する者が公職に就任し若しくは就任しないように影響を与えることをいう。
3 裁判所法52条(政治運動等の禁止)は以下のとおりです。
裁判官は、在任中、左の行為をすることができない。
一 国会若しくは地方公共団体の議会の議員となり、又は積極的に政治運動をすること。
二 最高裁判所の許可のある場合を除いて、報酬のある他の職務に従事すること。
三 商業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと。
4 寺西判事補事件に関する最高裁大法廷平成10年12月1日決定は,「裁判官に対する政治運動禁止の要請は、一般職の国家公務員に対する政治的行為禁止の要請より強いものというべきである。」と判示しています。
5 以下の記事も参照してください。
・ 柳本つとむ裁判官に関する情報,及び過去の分限裁判における最高裁判所大法廷決定の判示内容
・ 裁判官の記録紛失に基づく分限裁判