原子力損害賠償の状況,中国残留邦人等への支援,被災者生活再建支援制度等

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1 原子力損害賠償の状況(被災地域によって支給額は異なります。)等
(1)ア 文部科学省HPの原子力損害賠償紛争審査会(第48回)「資料4-1 原子力損害賠償のお支払い状況等」によれば,平成30年6月末日現在,本賠償の金額が約8兆1522億円であり,仮払補償金が約1529億円であり,合計8兆3051億円です。
   また,東京電力HPの「賠償金のお支払い状況」によれば,2019年9月13日現在,本賠償の金額が約8兆9295億円であり,仮払補償金が約1529億円であり,合計9兆824億円です。
イ Wikipediaの「第二次世界大戦後におけるドイツの戦後補償」には,「ドイツ連邦共和国が行った補償総額は、2009年時点で671億1800万ユーロに達する。」と書いてあります。
   七十七銀行HPに「ユーロ対円相場(仲値)一覧表 (2009年)」が載っていますところ,1ユーロ130円とした場合,ドイツの補償総額は8兆7253億4000万円となります。
(2) 東京電力ホールディングスHP「賠償金のお支払い状況」に,最新の「原子力損害賠償のご請求・お支払い等」が載っています。
(3) 国立国会図書館HPの「調査と情報」に,「東京電力への公的支援の現状と課題」(2018年12月25日発行)が載っています。
(4) 金融庁HPの「東日本大震災に係る保険金・共済金の支払い見込み額、支払い実績等について」(平成23年7月19日付)によれば,保険金の見込み合計が約2兆7000億円,保険金の実績合計が約1兆8000億円です。
(5) zakzak HP「【震災から3年 福島のリアル】賠償の差が生み出した被災生活格差 被害大きくても対象地区外れると…」には以下の記載があります。
   文部科学省によれば、原発事故の賠償金は、原子力損害賠償紛争審査会の指針に基づき、東京電力が負担し、帰還困難区域は故郷喪失慰謝料が上乗せされる。
   同省の試算では、30代の夫、妻、子供2人の持ち家4人世帯が福島県内の都市部へ移住した場合、(1)帰還困難区域で1億675万円(2)居住制限区域で7197万円(3)避難指示解除準備区域で5681万円(いずれも総額)-に分かれる。
(6) SYNODOS HP「UNSCEARの報告はなぜ世界に信頼されるのか――福島第一原発事故に関する報告書をめぐって明石真言氏インタビュー / 服部美咲」(平成30年5月12日付)によれば,「UNSCEAR2013報告書」の8つのポイントは以下のとおりですし,「UNSCEAR2013報告書」の見解の根幹を揺るがすような論文は今日まで出ていないそうです。
① 福島第一原発から大気中に放出された放射性物質の総量は、チェルノブイリ原発事故の約1/10(放射性ヨウ素)および約1/5(放射性セシウム)である。
② 避難により、住民の被ばく線量は約1/10に軽減された。ただし、避難による避難関連死や精神衛生上・社会福祉上マイナスの影響もあった。
③ 公衆(住民)と作業者にこれまで観察されたもっとも重要な健康影響は、精神衛生と社会福祉に関するものと考えられている。したがって、福島第一原発事故の健康影響を総合的に考える際には、精神衛生および社会福祉に関わる情報を得ることが重要である。
④ 福島県の住民の甲状腺被ばく線量は、チェルノブイリ原発事故後の周辺住民よりかなり低い。
⑤ 福島県の住民(子ども)の甲状腺がんが、チェルノブイリ原発事故後に報告されたように大幅に増える可能性を考える必要はない。
⑥ 福島県の県民健康調査における子どもの甲状腺検査について、このような集中的な健診がなければ、通常は発見されなかったであろう甲状腺の異常(甲状腺がんを含む)が多く発見されることが予測される。
⑦ 不妊や胎児への影響は観測されていない。白血病や乳がん、固形がん(白血病などと違い、かたまりとして発見されるがん)の増加は今後も考えられない。
⑧ すべての遺伝的影響は予想されない。

2 帰還困難区域の住民に対する賠償の金額
(1)ア 日経新聞HPの「原発事故の賠償、4人世帯で9000万円 東電が実績公表」(平成25年10月26日付)には,「文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は25日、東京電力福島第1原子力発電所の事故の賠償実績を公表した。東電が帰還困難区域の住民に支払った額は4人世帯で平均9000万円だった。」とか,「1人あたり月10万円を支払っている避難指示区域の住民への慰謝料は、避難指示を解除してから1年間払い続ける方向で大筋合意した。」と書いてあります。
   また,リンク先の表によれば,東電の賠償実績として,4人世帯の平均値は,財物が4910万円,就労不能損害が1090万円,精神的損害が3000万円であり,合計9000万円とのことですし,単身世帯の平均値は,財物が3210万円,就労不能損害が550万円,精神的損害が750万円であり,合計4510万円とのことです。
イ 日経新聞HPの「原発事故5年、賠償巡り住民分断 同じ町で異なる救済  」(平成28年3月2日付)には,「避難指示区域に指定され、人影のない同県富岡町に商店を構える60歳代男性は店舗の土地・建物への賠償などで「1億5000万円を受け取り、4000万円の借金を返済できた」と打ち明ける。」と書いてあります。
(2) 帰還困難区域の住民に対する慰謝料は,平成26年3月26日付で700万円増えました(東電HPの「移住を余儀なくされたことによる精神的損害に係る賠償のお取り扱いについて」参照)から,合計1450万円です。
(3) 日本エネルギー会議HP「いわき市四倉町が全国3位」(平成28年11月12日付)には,「福島第一原発の事故で浜通りの住民が県内外に避難したが、賠償金支払いを契機に県内、特にいわき市に新たに家を求める動きが強まった。このため、いわき市の土地が高騰、地元市民からは「避難者が地価を吊り上げた、いわき市内に家を持つことが出来なくなった」と嘆く声があがった。」などと書いてあります。
(4) 福島地裁いわき支部平成30年3月22日判決は,帰還困難区域,居住制限区域及び避難指示解除準備区域の原告について一人当たり追加で150万円の慰謝料を認めました。
   なお,原告らの請求額は,1人当たり古里喪失の慰謝料2000万円と避難に伴う精神的苦痛に対する慰謝料として月額50万円だったみたいです(河北新報HP「<原発事故避難者集団訴訟>古里喪失の損害認定、東電に賠償命令 福島地裁いわき支部」(平成30年3月23日付))。
(5)ア 『気になるあの人のウラ側一挙ご開帳SP』(平成30年6月15日,テレビ東京放送分)には以下の記載があります。
   弁護士の通帳を見せてもらう。弁護士の平均年収は1000万円でテレビに出演している弁護士先生は5000万円から1億円になるそうだ。今回、通帳を見せてくれるのは福永活也弁護士。通帳には1週間で6億円の賠償金が入金されていた。独身の福永弁護士は旅行が趣味で今まで旅先は130ヵ国だそうで、登山も趣味で780万円でエベレスト山頂を行っていた。
イ Youtube動画「通帳見たらスゴかった 2018年6月15日 【~気になるあの人のウラ側一挙ご開帳SP~】 」には,新62期の福永活也弁護士に関して,「6億円のうち報酬金は?」→「1億円いかないくらい」(36分23秒の字幕)とか,「被災者への賠償金は140億円 その内の一部を報酬金として受け取る」(37分5秒の字幕)と書いてあります。
(6) 南相馬市で暮らしていますブログ「東電から賠償金をもらっている人と、そうでない人と」には「賠償金でマンションを2つも3つも買ってる人もいるそうです。」などと書いてあります。

3 福島の原子力発電所と地域社会
   Wikipediaの「福島の原子力発電所と地域社会」が参考になります。
   例えば,「2002年の東京電力原発トラブル隠し事件の余波は、立地町村にも降りかかった。トラブル隠し対策のため県が態度を硬化させたことで再稼働が進まない中、検査による収入が見通せないため本発電所の地元8町村で就労していた協力企業の社員(当時約7300名)の消費もまた低迷し、飲食店などには打撃となったという。」などと書いてあります。


4 中国残留邦人等への支援
(1)   中国残留邦人等には,中国残留邦人及び樺太残留邦人がいます。
(2) 中国残留邦人等に対する援護の概要は,①従前の支援として,一時帰国援護(毎年の一時帰国のための旅費の実費相当額),永住帰国援護(帰国旅費の実費相当額),定着・自立援護(首都圏中国帰国者支援・交流センターの定着促進事業宿泊施設への入所等)のほか,②平成20年から開始された支援として,老齢基礎年金等の満額支給,老齢基礎年金等を補完する支援給付,地域社会における生活支援があり,③平成26年10月から開始された支援として,配偶者に対する支援策があります(外務省HPの「中国残留邦人等への支援」参照)。
(3) 中国帰国者支援・交流センターHP「ご存じですか中国残留邦人問題 中国からの帰国者に温かい支援を!」が載っています。

5 被災者生活再建支援制度に基づく給付金等

(1) 被災者生活再建支援制度の場合,①基礎支援金(住宅の被害程度に応じて支給する支援金)が100万円(全壊,解体又は長期避難)又は50万円(大規模半壊)であり,②加算支援金(住宅の再建方法に応じて支給する支援金)は200万円(建設又は購入),100万円(補修)又は賃借(50万円)です(内閣府防災情報のページ「被災者生活再建支援法」参照)。
(2) 世界のニュース トトメス5世HP「福島の被災貴族 一世帯1億円貰って優雅な生活」に以下の記載があります。
   原発の避難家族が1億円もらった一方で、津波の被害にあった家族は国からの直接補償金と生活費の援助など合計しても数百万円だった筈でした。
   倒壊した家を再建するための支援なども後で実施されたかも知れませんが、支給された金額は福島の原発避難家族の1割以下です。
   金の出所は両者とも要するに日本政府で、違いは原発避難は東電の補償金という名目で出されたという点でした。

(3) 日刊SPA!の「東日本大震災、賠償金を「もらった原発被災者」と「もらい損なった津波被災者」の格差」に以下の記載があります。
   「生活再建支援金は数百万円単位で、家や暮らしを本当に再建するにはとても足りない。あとは代替地といって津波で流された代わりの土地を安く買えたり、好条件で融資が受けられたりする程度。東電の賠償金の額もバラツキはありますが、東電からの賠償金をもらえる人ともらえない人では、特に大きな差がある。少なくとも津波被災の方は相当複雑な感情を抱いていると思います。生活していた家を失ったという意味では、原発避難者も津波被災者も同じわけですから」
(4) 編集者かさこブログ「津波被災者の心の叫び「原発避難者ばかりがなぜ優遇・・・」」が載っています。

6 犯罪被害者等給付金制度等
(1) 犯罪被害者等給付金制度は,犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和55年5月1日法律第36号)に基づく制度です。
(2) 犯罪被害者等給付金制度における障害給付金の場合,犯罪被害者の収入と残った障害の程度に応じて算出した額が支払われますところ,重度の障害が残った場合(障害等級1級から3級までに該当する場合),3974万4000円(最高額)から1056万円(最低額)までの間となります(警察庁HPの「犯罪被害給付制度」参照)。
(3)ア 平成7年3月20日発生の地下鉄サリン事件を始めとするオウム真理教の犯罪行為による被害者の場合,死亡した人の遺族に対しては2000万円が,後遺障害が残った人に対しては最高で3000万円が支給されています(オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律5条1項)。
イ 地下鉄サリン事件の被害については通勤災害も認定されました(深田法律事務所HP「通勤中に犯罪行為に遭って怪我をした場合,通勤災害になりますか?」参照)。
(4) Smart FLASH「車で殺されれば6000万円なのに…通り魔被害は「殺され損」と弁護士」には,平成20年6月8日発生の秋葉原通り魔事件(トラックで跳ねられた5人につき死亡3人・負傷2人。ナイフで刺された12人につき死亡4人・負傷8人)に関して以下の記載があります。
刃物で刺された10代~20代の犠牲者は、犯給法で300万~400万円が支払われただけ。一方、トラックで轢かれて亡くなった人には、6000万~7000万円が支払われました。同じ犠牲者でもこんなに大きな差があるのです。

7 交通事故における政府保障事業
(1) 国土交通省自動車局保障制度参事官室が運営している政府保障事業は,自動車損害賠償保障法に基づき、自賠責保険(共済)の対象とならない「ひき逃げ事故」や「無保険(共済)事故」にあわれた被害者に対し、健康保険や労災保険等の他の社会保険の給付(他法令給付)や本来の損害賠償責任者の支払によっても、なお被害者に損害が残る場合に、最終的な救済措置として、法定限度額の範囲内で、政府(国土交通省)がその損害をてん補する制度です(国土交通省HPの「政府保障事業について(ひき逃げ・無保険事故の被害者の救済)」参照)。
(2) 法定限度額は,傷害の場合が120万円,死亡の場合が3000万円,後遺障害の場合が障害の程度に応じて75万円から4000万円です。
(3) 自動車損害賠償保障事業委託業務実施の手引1/32/3及び3/3を掲載しています。

8 拉致被害者等への支援

(1) 北朝鮮による日本人拉致問題HP「拉致被害者・家族に対する総合的な支援策について」に拉致被害者等への支援が一通り書いてありますし,「帰国被害者等が本邦に永住する場合には、拉致被害者等給付金を、永住の意思決定の時から10年を限度として、毎月、支給する。なお、北朝鮮での生活が非常に長期間に及んでいるため10年間では生活基盤再建に至らない可能性があること等を踏まえ、被害者及び被害者の配偶者については、例外的に5年を限度として支給期限を延長することができる。」とのことです。
(2) 内閣府HPに載ってある「施策名:拉致被害者等への支援」には以下の記載があります。

○拉致被害者等給付金
   帰国した被害者等が1人の世帯で17万円、2人いる世帯で24万円を基本とし、以降1人増えるごとに3万円を加算し、所得により調整を行う(支給期間10年)。また、大都市居住の場合の地域間の調整や子の配偶者等への扶養加算などを行う。
○老齢給付金等の給付
   帰国拉致被害者等の老齢時における良好かつ平穏な生活を保障するための老齢給付金、65歳以上で帰国した拉致被害者に65歳から帰国した時点までの国民年金相当額の特別給付金の支給、子供の国民年金保険料の追納支援等を行う。
○委託費

   派遣形式による指導業務(社会適応・日本語指導、生活自立指導)や社会体験研修、地域交流事業などを被害者等が居住する地方公共団体(県・市町村)に委託する。また、日本語の不自由な高齢者を想定した生活相談といった委託事業も行う。

9 関弁連理事長及び東京三会会長の声明
   関弁連理事長及び東京三会会長が出した「東日本大震災・福島第一原子力発電所事故から7年を迎えるにあたっての声明」(平成30年3月9日付)には,「原子力発電所事故の被害者に対する救済・賠償は依然として不十分である。いくつかの集団訴訟で国や東京電力の責任を認める画期的判決が出ているが、残念ながら被害者救済に資する十分な賠償を命じたと言える内容ではない。」と書いてあります。

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