国内感染期において緊急事態宣言がされた場合の政府行動計画(新型インフルエンザの場合)

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   新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」といいます。)附則第1条の2第1項及び第2項の規定に基づき,同法は新型コロナウィルス感染症についても適用されます。
   そして,国内感染期において適用される,新型インフルエンザ等対策政府行動計画(平成29年9月12日変更)61頁ないし71頁は以下のとおりであります(緊急事態宣言がされている場合の措置については赤文字表記とし,注番号については,特措法の条番号に変えています。)ところ,いわゆるロックダウン(都市封鎖)と比べると,かなり制限は緩いのであって,例えば,外出自粛要請の対象から,生活の維持に必要な場合の外出は除外されています(特措法45条1項)。

新型インフルエンザ等対策政府行動計画(平成29年9月12日変更)

国内感染期
・ 国内のいずれかの都道府県で新型インフルエンザ等の患者の接触歴が疫学調査で追えなくなった状態。
・ 感染拡大からまん延、患者の減少に至る時期を含む。
・ 国内でも、都道府県によって状況が異なる可能性がある。
(地域未発生期)
   各都道府県で新型インフルエンザ等の患者が発生していない状態。
(地域発生早期)
   各都道府県で新型インフルエンザ等の患者が発生しているが、全ての患者の接触歴を疫学調査で追うことができる状態。
(地域感染期)
   各都道府県で新型インフルエンザ等の患者の接触歴が疫学調査で追うことができなくなった状態(感染拡大からまん延、患者の減少に至る時期を含む。)。
目的:
1) 医療体制を維持する。
2) 健康被害を最小限に抑える。
3) 国民生活及び国民経済への影響を最小限に抑える。
対策の考え方:
1) 感染拡大を止めることは困難であり、対策の主眼を、早期の積極的な感染拡大防止から被害軽減に切り替える。
2) 地域ごとに発生の状況は異なり、実施すべき対策が異なることから、都道府県ごとに実施すべき対策の判断を行う。
3) 状況に応じた医療体制や感染対策、ワクチン接種、社会・経済活動の状況等について周知し、個人一人一人がとるべき行動について分かりやすく説明するため、積極的な情報提供を行う。
4) 流行のピーク時の入院患者や重症者の数をなるべく少なくして医療体制への負荷を軽減する。
5) 医療体制の維持に全力を尽くし、必要な患者が適切な医療を受けられるようにし健康被害を最小限にとどめる。
6) 欠勤者の増大が予測されるが、国民生活・国民経済の影響を最小限に抑えるため必要なライフライン等の事業活動を継続する。また、その他の社会活動をできる限り継続する。
7) 受診患者数を減少させ、入院患者数や重症者数を抑え、医療体制への負荷を軽減するため、住民接種を早期に開始できるよう準備を急ぎ、体制が整った場合は、できるだけ速やかに実施する。
8) 状況の進展に応じて、必要性の低下した対策の縮小・中止を図る。

(1) 実施体制
(1)-1 基本的対処方針の変更
   国は、基本的対処方針等諮問委員会の意見を聴いて、その時点での基本的対処方針を変更し、国内感染期に入った旨及び国内感染期の対処方針を公示する。(内閣官房、厚生労働省、その他全省庁)
(1)-2 緊急事態宣言がされている場合の措置
   緊急事態宣言がされている場合には、上記の対策に加え、必要に応じ、以下の対策を行う。
① 市町村は、緊急事態宣言がなされた場合、速やかに市町村対策本部を設置する(特措法34条)。
② 地方公共団体が新型インフルエンザ等のまん延により緊急事態措置を行うことができなくなった場合においては、特措法の規定に基づく他の地方公共団体による代行、応援等の措置の活用を行う(特措法38条及び39条)。

(2) サーベイランス・情報収集
(2)-1 国際的な情報収集
   国は、海外での新型インフルエンザ等の発生状況、各国の対応について、引き続き国際機関・諸外国等を通じて必要な情報を収集する。(厚生労働省、外務省)
(2)-2 サーベイランス
   国は、全国での患者数が数百人程度に増加した段階では、新型インフルエンザ等患者等の全数把握については、都道府県ごとの対応とする。また、学校等における集団発生の把握の強化については通常のサーベイランスに戻す。(厚生労働省、文部科学省)
(地域未発生期、地域発生早期の地域(都道府県)における対応)
① 国は、引き続き、新型インフルエンザ等患者の全数把握を実施する。
(厚生労働省)
(地域感染期の地域(都道府県)における対応)
① 国は、新型インフルエンザ等患者の全数把握は中止し、通常のサーベイランスを継続する。(厚生労働省)
② 国は、引き続き、国内の発生状況をリアルタイムで把握し、都道府県等に対して、発生状況を迅速に情報提供する。都道府県等は、国と連携し、必要な対策を実施する。(厚生労働省)
(2)-3 調査研究
   国は、引き続き、感染経路や感染力、潜伏期等の情報を収集・分析するほか、新型インフルエンザ迅速診断キットの有効性や、特に重症者の症状・治療法と転帰等、対策に必要な調査研究と分析を速やかに行い、その成果を対策に反映させる。(厚生労働省)

(3) 情報提供・共有
(3)-1 情報提供
① 国は、引き続き、国民に対し、利用可能なあらゆる媒体・機関を活用し、国内外の発生状況と具体的な対策等を、対策の決定プロセス、対策の理由、対策の実施主体とともに詳細に分かりやすく、できる限りリアルタイムで情報提供する。(関係省庁)
② 国は、引き続き、特に個人一人一人がとるべき行動を理解しやすいよう、都道府県の流行状況に応じた医療体制を周知し、学校・保育施設等や職場での感染対策についての情報を適切に提供する。また、社会活動の状況についても、情報提供する。(厚生労働省、関係省庁)
③ 国は、引き続き、国民からコールセンター等に寄せられる問い合わせや地方公共団体や関係機関等から寄せられる情報の内容も踏まえて、国民や関係機関がどのような情報を必要としているかを把握し、次の情報提供に反映する。(厚生労働省)
(3)-2 情報共有
   国は、地方公共団体や関係機関等との、インターネット等を活用したリアルタイムかつ双方向の情報共有を継続し、対策の方針を伝達するとともに、都道府県単位での流行や対策の状況を的確に把握する。(内閣官房、厚生労働省)
(3)-3 コールセンター等の継続
① 国は、国のコールセンター等を継続する。(厚生労働省)
② 国は、都道府県・市町村に対し、状況の変化に応じたQ&Aの改定版を配布し、コールセンター等の継続を要請する。(厚生労働省)

(4) 予防・まん延防止
(4)-1 国内でのまん延防止対策
① 国及び都道府県等は、業界団体等を経由し、または直接住民、事業者等に対して次の要請を行う。
・ 住民、事業所、福祉施設等に対し、マスク着用・咳エチケット・手洗い・うがい、人混みを避ける、時差出勤等の基本的な感染対策等を強く勧奨する。また、事業所に対し、当該感染症の症状の認められた従業員の健康管理・受診の勧奨を要請する。(厚生労働省)
・ 事業者に対し、職場における感染対策の徹底を要請する。(関係省庁)
・ ウイルスの病原性等の状況を踏まえ、必要に応じて、学校・保育施設等における感染対策の実施に資する目安を示すとともに、学校保健安全法に基づく臨時休業(学級閉鎖・学年閉鎖・休校)を適切に行うよう学校の設置者に要請する。(文部科学省、厚生労働省)
・ 公共交通機関等に対し、利用者へのマスク着用の励行の呼びかけなど適切な感染対策を講ずるよう要請する。(厚生労働省、国土交通省)
② 国は、都道府県等や関係機関に対し、病院、高齢者施設等の基礎疾患を有する者が集まる施設や、多数の者が居住する施設等における感染対策を強化するよう引き続き要請する。(厚生労働省)
③ 国は、都道府県等と連携し、医療機関に対し、地域感染期となった場合は、患者の治療を優先することから、患者との濃厚接触者(同居者を除く。)への抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を原則として見合わせるよう要請するとともに、患者の同居者に対する予防投与については、その期待される効果を評価した上で継続の有無を決定する。(厚生労働省)④ 都道府県等は、地域感染期となった場合は、患者の濃厚接触者を特定しての措置(外出自粛要請、健康観察等)は中止する。
(4)-2 水際対策
   国内発生早期の記載を参照
(4)-3 予防接種
   国は、国内発生早期の対策を継続し、ワクチンを確保し、速やかに供給するとともに、国は特定接種を、市町村は予防接種法第6条第3項に基づく新臨時接種を進める。(厚生労働省、内閣官房、関係省庁)
(4)-4 緊急事態宣言がされている場合の措置
   緊急事態宣言がされている場合、上記の対策に加え、必要に応じ、以下の対策を行う。
① 新型インフルエンザ等緊急事態においては、患者数の増加に伴い地域における医療体制の負荷が過大となり、適切な医療を受けられないことによる死亡者数の増加が見込まれる等の特別な状況において、都道府県は、基本的対処方針に基づき、必要に応じ、以下の措置を講じる。
・ 都道府県は、特措法第 45 条第1項に基づき、住民に対し、期間と区域を定めて、生活の維持に必要な場合を除きみだりに外出しないことや基本的な感染対策の徹底を要請する。
・ 都道府県は、特措法第 45 条第2項に基づき、学校、保育所等に対し、期間を定めて、施設の使用制限(臨時休業や入学試験の延期等)の要請を行う。要請に応じない学校、保育所等に対し、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命・健康の保護、国民生活・国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、特措法第 45 条第 3 項に基づき、指示を行う。
   都道府県は、要請・指示を行った際には、その施設名を公表する。
・ 都道府県は、特措法第 24 条第9項に基づき、学校、保育所等以外の施設について、職場を含め感染対策の徹底の要請を行う。特措法第 24 条第9項の要請に応じない施設に対し、公衆衛生上の問題が生じていると判断された施設(特措法施行令第 11 条に定める施設に限る。)に対し、特措法第 45条第2項に基づき、施設の使用制限又は基本的な感染対策の徹底の要請を行う。特措法第 45 条第2項の要請に応じず、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命・健康の保護、国民生活・国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、特措法第 45 条第3項に基づき、指示を行う。
   都道府県は、特措法第 45 条に基づき、要請・指示を行った際には、その施設名を公表する。
② 国は、国内発生早期の対策を継続し、ワクチンを確保し、速やかに供給するとともに、特措法第 46 条に基づく住民に対する予防接種を進める。(厚生労働省、内閣官房、関係省庁)

(5) 医療
(5)-1 患者への対応等
   国は、都道府県等に対し、以下を要請する。(厚生労働省)
(地域未発生期、地域発生早期の地域(都道府県)における対応)
① 引き続き、帰国者・接触者外来における診療、患者の入院措置等を実施する。
② 必要が生じた際には、感染症法に基づく入院措置を中止し、帰国者・接触者外来を指定しての診療体制から一般の医療機関でも診療する体制とする。
(地域感染期の地域(都道府県)における対応)
① 帰国者・接触者外来、帰国者・接触者相談センター及び感染症法に基づく患者の入院措置を中止し、新型インフルエンザ等の患者の診療を行わないこととしている医療機関等を除き、原則として一般の医療機関において新型インフルエンザ等の患者の診療を行う。
② 入院治療は重症患者を対象とし、それ以外の患者に対しては在宅での療養を要請するよう、関係機関に周知する。
③ 医師が在宅で療養する患者に対する電話による診療により新型インフルエンザ等への感染の有無や慢性疾患の状況について診断ができた場合、医師が抗インフルエンザウイルス薬等の処方箋を発行し、ファクシミリ等により送付することについて、国が示す対応方針を周知する。
④ 医療機関の従業員の勤務状況及び医療資器材・医薬品の在庫状況を確認し、新型インフルエンザ等やその他の疾患に係る診療が継続されるように調整する。
(5)-2 医療機関等への情報提供
   国は、引き続き、新型インフルエンザ等の診断・治療に資する情報等を医療機関及び医療従事者に迅速に提供する。(厚生労働省)
(5)-3 抗インフルエンザウイルス薬の備蓄・使用
   国は、国及び都道府県における抗インフルエンザウイルス薬の備蓄量の把握を行い、また、各都道府県の抗インフルエンザウイルス薬の流通状況を調査し、患者の発生状況を踏まえ、抗インフルエンザウイルス薬が必要な地域に供給されているかどうかを確認するとともに、都道府県の要請等に応じ、国備蓄分を配分する等の調整を行う。(厚生労働省)
(5)-4 在宅で療養する患者への支援
   市町村は、国及び都道府県と連携し、関係団体の協力を得ながら、患者や医療機関等から要請があった場合には、在宅で療養する患者への支援(見回り、食事の提供、医療機関への移送)や自宅で死亡した患者への対応を行う。
(5)-5 医療機関・薬局における警戒活動
   国は、引き続き、医療機関・薬局及びその周辺において、混乱による不測の事態の防止を図るため、必要に応じた警戒活動等を行うよう都道府県警察を指導・調整する。(警察庁)
(5)-6 緊急事態宣言がされている場合の措置
   緊急事態宣言がされている場合には、上記の対策に加え、必要に応じ、以下の対策を行う。
① 医療機関並びに医薬品若しくは医療機器の製造販売業者、販売業者等である指定(地方)公共機関は、業務計画で定めるところにより、医療又は医薬品若しくは医療機器の製造販売等を確保するために必要な措置を講ずる(特措法47条)。
② 都道府県等は、国と連携し、区域内の医療機関が不足した場合、患者治療のための医療機関における定員超過入院(医療法施行規則10条)等のほか、医療体制の確保、感染防止及び衛生面を考慮し、新型インフルエンザ等を発症し外来診療を受ける必要のある患者や、病状は比較的軽度であるが在宅療養を行うことが困難であり入院診療を受ける必要のある患者等に対する医療の提供を行うため、臨時の医療施設を設置し(特措法48条1項及び2項)、医療を提供する。臨時の医療施設において医療を提供した場合は、流行がピークを越えた後、その状況に応じて、患者を医療機関に移送する等により順次閉鎖する。(厚生労働省)

(6)国民生活及び国民経済の安定の確保
(6)-1 事業者の対応
   国は、全国の事業者に対し、従業員の健康管理を徹底するとともに職場における感染対策を講じるよう要請する。(関係省庁)
(6)-2 国民・事業者への呼びかけ
   国は、国民に対し、食料品、生活必需品等の購入に当たっての消費者としての適切な行動を呼びかけるとともに、事業者に対しても、食料品、生活関連物資等の価格が高騰しないよう、また買占め及び売惜しみが生じないよう要請する。(消費者庁、農林水産省、経済産業省、関係省庁)
(6)-3 緊急事態宣言がされている場合の措置
   緊急事態宣言がされている場合には、上記の対策に加え、必要に応じ、以下の対策を行う。
(6)-3-1 業務の継続等
① 指定(地方)公共機関及び特定接種の実施状況に応じ登録事業者は、事業の継続を行う。その際、国は、当該事業継続のための法令の弾力運用について、必要に応じ、周知を行う。(関係省庁)
② 国は、各事業者における事業継続の状況や新型インフルエンザ等による従業員のり患状況等を確認し、必要な対策を速やかに検討する。(関係省庁)
(6)-3-2 電気及びガス並びに水の安定供給
   国内発生早期の記載を参照
(6)-3-3 運送・通信・郵便の確保
   国内発生早期の記載を参照
(6)-3-4 サービス水準に係る国民への呼びかけ
   国は、事業者のサービス提供水準に係る状況の把握に努め、国民に対して、まん延した段階において、サービス提供水準が相当程度低下する可能性を許容すべきことを呼びかける。(内閣官房、関係省庁)
(6)-3-5 緊急物資の運送等
   国内発生早期の記載を参照
(6)-3-6 物資の売渡しの要請等(特措法55条)
① 都道府県は、対策の実施に必要な物資の確保に当たっては、あらかじめ所有者に対し物資の売渡しの要請の同意を得ることを基本とする。なお、新型インフルエンザ等緊急事態により当該物資等が使用不能となっている場合や当該物資が既に他の都道府県による収用の対象となっている場合などの正当な理由がないにもかかわらず、当該所有者等が応じないときは、必要に応じ、物資を収用する。
② 都道府県は、特定物資の確保のため緊急の必要がある場合には、必要に応じ、事業者に対し特定物資の保管を命じる。
(6)-3-7 生活関連物資等の価格の安定等
① 国、都道府県、市町村は、国民生活及び国民経済の安定のために、物価の安定及び生活関連物資等の適切な供給を図る必要があることから、生活関連物資等の価格が高騰しないよう、また、買占め及び売惜しみが生じないよう、調査・監視をするとともに、必要に応じ、関係事業者団体等に対して供給の確保や便乗値上げの防止等の要請を行う(特措法59条)。(消費者庁、農林水産省、経済産業省、関係省庁)
② 国、都道府県、市町村は、生活関連物資等の需給・価格動向や実施した措置の内容について、国民への迅速かつ的確な情報共有に努めるとともに、必要に応じ、国民からの相談窓口・情報収集窓口の充実を図る。(消費者庁、農林水産省、経済産業省、関係省庁)
③ 国は、米穀、小麦等の供給不足が生じ、または生じるおそれがあるときは、備蓄している物資の活用を検討する。(農林水産省、関係省庁)
④ 国、都道府県、市町村は、生活関連物資等の価格の高騰又は供給不足が生じ、または生ずるおそれがあるときは、それぞれその行動計画で定めるところにより、適切な措置を講ずる。(消費者庁、農林水産省、経済産業省、関係省庁)
(6)-3-8 新型インフルエンザ等発生時の要援護者への生活支援
   国は、市町村に対し、在宅の高齢者、障害者等の要援護者への生活支援(見回り、介護、訪問診療、食事の提供等)、搬送、死亡時の対応等を行うよう要請する。(厚生労働省)
(6)-3-9 犯罪の予防・取締り
   国内発生早期の記載を参照。
(6)-3-10 埋葬・火葬の特例等(特措法56条)
① 国は、都道府県を通じ、市町村に対し、火葬場の経営者に可能な限り火葬炉を稼働させるよう、要請する。(厚生労働省)
② 国は、都道府県を通じ、市町村に対し、死亡者が増加し、火葬能力の限界を超えることが明らかになった場合には、一時的に遺体を安置する施設等を直ちに確保するよう要請する。(厚生労働省)
③ 国は、新型インフルエンザ等緊急事態において、埋葬又は火葬を円滑に行うことが困難であり、緊急の必要があると認めるときは、当該市町村長以外の市町村長による埋葬又は火葬の許可等の埋葬及び火葬の手続の特例を定める。(厚生労働省)
④ 都道府県は、遺体の埋葬及び火葬について、墓地、火葬場等に関連する情報を広域的かつ速やかに収集し、遺体の搬送の手配等を実施する。
(6)-3-11 新型インフルエンザ等の患者の権利利益の保全等(特措法57条)
   国は、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別の措置に関する法律に基づく措置の必要性を検討し、必要な場合には、行政上の権利利益に係る満了日の延長に関する措置、期限内に履行されなかった義務に係る免責に関する措置等の特例措置のうち当該新型インフルエンザ等緊急事態に対し適用すべきものを指定する。(内閣官房、関係省庁)
(6)-3-12 新型インフルエンザ等緊急事態に関する融資(特措法60条)
① 政府関係金融機関等は、あらかじめ業務継続体制の整備等に努め、新型インフルエンザ等緊急事態において、償還期限又は据置期間の延長、旧債の借換え、必要がある場合における利率の低減その他実情に応じ適切な措置を講ずるよう努める。
② 日本政策金融公庫等は、新型インフルエンザ等緊急事態において、影響を受ける中小企業及び農林漁業者等の経営の維持安定を支援するため、特別な融資を実施するなど実情に応じ適切な措置を講ずるよう努める。
③ 日本政策金融公庫は、新型インフルエンザ等緊急事態において、株式会社日本政策金融公庫法第 11 条第2項の主務大臣による認定が行われたときは、同項で定める指定金融機関が、当該緊急事態による被害に対処するために必要な資金の貸付け、手形の割引等の危機対応業務を迅速かつ円滑に実施できるよう、危機対応円滑化業務を実施する。
(6)-3-13 金銭債務の支払猶予等(特措法58条)
   国は、新型インフルエンザ等緊急事態において、経済の秩序が混乱するおそれがある場合には、その対応策を速やかに検討する。
(6)-3-14 通貨及び金融の安定(特措法61条)
   日本銀行は、新型インフルエンザ等緊急事態において、その業務計画で定めるところにより、我が国の中央銀行として、銀行券の発行並びに通貨及び金融の調節を行うとともに、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を通じ、信用秩序の維持に資するため必要な措置を講ずる。

*1 新型インフルエンザ等対策政府行動計画(平成29年9月12日変更)8頁及び9頁の記載
   新型インフルエンザ等による社会への影響の想定には多くの議論があるが、以下のような影響が一つの例として想定される。
・ 国民の 25%が、流行期間(約8週間)にピークを作りながら順次り患する。り患者は1週間から 10 日間程度り患し、欠勤。り患した従業員の大部分は、一定の欠勤期間後、治癒し(免疫を得て)、職場に復帰する。
・ ピーク時(約2週間)に従業員が発症して欠勤する割合は、多く見積もって5%程度と考えられるが、従業員自身のり患のほか、むしろ家族の世話、看護等(学校・保育施設等の臨時休業や、一部の福祉サービスの縮小、家庭での療養などによる)のため、出勤が困難となる者、不安により出勤しない者がいることを見込み、ピーク時(約2週間)には従業員の最大 40%程度が欠勤するケースが想定される。
*2 令和2年4月4日現在,山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信HP「5つの提言」の記載
提言1 今すぐ強力な対策を開始する
   ウイルスの特性や世界の状況を調べれば調べるほど、新型ウイルスが日本にだけ優しくしてくれる理由を見つけることが出来ません。検査数が世界の中でも特異的に少ないことを考えると、感染者の急増はすでに始まっていると考えるべきです。対策は先手必勝です。中国は都市封鎖をはじめとする強硬な対策をとりましたが、第1波の収束に2か月を要しました。アメリカの予想では、厳密な自宅待機、一斉休校、非必須の経済活動停止、厳格な旅行出張制限を続けたとして、第1波の収束に3か月かかると予測しています。
   わが国でも、特に東京や大阪など大都市では、強力な対策を今すぐに始めるべきです。一致団結して頑張り、ウイルスに打ち克ちましょう!
*3 医療法施行規則10条
 病院、診療所又は助産所の管理者は、患者、妊婦、産婦又はじよく婦を入院させ、又は入所させるに当たり、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。ただし、第一号から第四号までに掲げる事項については、臨時応急のため入院させ、又は入所させるときは、この限りでない。
一 病室又は妊婦、産婦若しくはじよく婦を入所させる室(以下「入所室」という。)には定員を超えて患者、妊婦、産婦又はじよく婦を入院させ、又は入所させないこと。
二 病室又は入所室でない場所に患者、妊婦、産婦又はじよく婦を入院させ、又は入所させないこと。
三 精神疾患を有する者であつて、当該精神疾患に対し入院治療が必要なもの(身体疾患を有する者であつて、当該身体疾患に対し精神病室以外の病室で入院治療を受けることが必要なものを除く。)を入院させる場合には、精神病室に入院させること。
四 感染症患者を感染症病室でない病室に入院させないこと。
五 同室に入院させることにより病毒感染の危険のある患者を他の種の患者と同室に入院させないこと。
六 病毒感染の危険のある患者を入院させた室は消毒した後でなければこれに他の患者を入院させないこと。
七 病毒感染の危険ある患者の用に供した被服、寝具、食器等で病毒に汚染し又は汚染の疑あるものは、消毒した後でなければこれを他の患者の用に供しないこと。
(昭二九厚令一三・平一〇厚令九九・平一三厚労令八・平二八厚労令一一〇・一部改正)
*4 日弁連HPに掲載されている,新型インフルエンザ等対策特別措置法案に反対する会長声明(平成24年3月9日付)の記載(ただし,令和2年4月4日現在の日弁連の意見は不明です。)
① 政府の新型インフルエンザ対策行動計画(2011年9月20日)によれば、新型インフルエンザの被害想定の上限値は、受診患者数2500万人、入院患者数200万人、死亡患者数64万人という極めて大規模なものとされ、このような被害想定が、『万が一に備える』との考え方により安易に用いられれば、本法案の上記要件を充足するものとたやすく判断されてしまうおそれがある。そもそも、この被害想定は、1918年(大正7年)に発生したスペインインフルエンザからの推計であるが、当時と現在の我が国の国民の健康状態、衛生状況及び医療環境の違いは歴然としており、こうした推計に基づく被害想定が科学的根拠を有するものといえるのか疑問である。
② 特に、多数の者が利用する施設の使用制限等(45条)は、集会の自由(憲法21条1項)を制限し得る規定であるが、その要件は、「新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるとき」(45条2項)という抽象的かつ曖昧なものであり、その対象も、「政令で定める多数の者が利用する施設」とされているのみで、極めて広範な施設に適用可能な規定となっている。
   他方で、一時的な集会などを制限することが感染拡大の防止にどの程度効果があるのかについては十分な科学的根拠が示されておらず、効果が乏しいとの意見もあるところであり、制限の必要性にも疑問がある。そのため、感染拡大の防止という目的達成に必要な最小限度を超えて集会の自由が制限される危険性が高い。
③ 本法案は、上記のとおり、科学的根拠に疑問がある上、人権制限を適用する要件も極めて曖昧なまま、各種人権に対する過剰な制限がなされるおそれを含むものである。

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