労災保険に関する書類の開示請求方法

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目次
1 保有個人情報開示請求の必要書類及び宛先
2 代理人弁護士による開示請求
3 「開示を請求する保有個人情報」の記載方法
4 療養補償給付に関するすべての書類の開示請求が可能になる時期
5 労災保険「支給決定」証明願及び労災保険「給付等支払」証明願
6 関連記事その他

1 保有個人情報開示請求の必要書類及び宛先
(1)ア 労災保険に関する書類について保有個人情報開示請求をしたい場合,1件につき300円の収入印紙を貼付した保有個人情報開示請求書のほか,①本人確認書類(例えば,運転免許証,健康保険被保険者証)のコピー及び②住民票(マイナンバー(個人番号)の記載がないもの)を,労働局総務部総務課に郵送すればいいです(神奈川労働局HPの「行政機関が保有する個人の情報を本人に対して開示する制度について【総務課】」参照)。
イ 労働基準監督署及び公共職業安定所(ハローワーク)が保管している文書についても,保有個人情報開示請求の郵送先は都道府県労働局となります。
ウ 開示請求書の宛先自体は,「○○労働局長」となります。
    例えば,大阪労働局総務部総務課情報公開・個人情報窓口に開示請求書を郵送する場合の宛先は,「大阪労働局長」となります。
(2) 本人確認書類を見れば分かりますから,開示請求文書を特定する際,開示請求者の生年月日を記載する必要はありません。
(3)ア 全国の都道府県労働局の住所については,厚生労働省HPの「都道府県労働局(労働基準監督署,公共職業安定所一覧)」に掲載されています。
イ   大阪労働局の住所等は以下のとおりです(大阪労働局HPの「情報公開・個人情報保護窓口」参照)。

【大阪労働局情報公開・個人情報保護窓口】
 〒540-8527
大阪市中央区大手前4-1-67 大阪合同庁舎第2号館 8F
大阪労働局総務部総務課
TEL : 06-6949-6482
(受付時間)
月~金曜日  8時30分~17時15分

2 代理人弁護士による開示請求
(1) 保有個人情報開示請求については,任意代理人による請求が認められていません。
(2)   私の経験では,保有個人情報開示請求書の末尾欄外に「* 大阪弁護士会所属の弁護士山中理司(電話:06-6364-8525)が代筆しました。」と記載しておけば,労働局からの問い合わせの電話は,請求者本人ではなく,代理人弁護士にしてもらうことができます。

3 「開示を請求する保有個人情報」の記載方法
(1) 保有個人情報開示請求書における「開示を請求する保有個人情報」は以下のとおり記載すればいいです。
    ただし,以下の例は,業務災害の被災者が労災保険指定医療機関で治療を受けて,治療費,休業補償及び後遺障害に関する支給を労災保険から受けた場合の記載です。
(A) ○○が平成○○年○月○日に大阪府○○市で被災した業務災害(管轄労基署は○○労基署)に関する以下の書類
① 療養補償給付たる療養の給付請求書及び添付書類,並びに決議書(決定に関する調査書及び添付書類を含む。)
② 休業補償給付支給請求書及び添付書類,並びに決議書(決定に関する調査書及び添付書類を含む。)
③ 障害補償給付支給請求書及び添付書類,並びに決議書(決定に関する調査書及び添付書類を含む。)
④ 加害者が被保険者となっている任意保険会社との間で授受した文書
(B) ○○が平成○○年○月○日に大阪府○○市で被災した業務災害(管轄労基署は○○労基署)に関して,○○が受診した医療機関全部のレセプト
(2)ア レセプト(診療報酬明細書)については,治療を受けた労災保険指定医療機関が大阪府外の場合,その病院を管轄する都道府県労働局長に対して開示請求をする必要があります。
    また,労災保険指定医療機関以外の病院で治療を行い,労基署から療養(補償)給付たる療養の「費用」を支給されていた場合(労災保険法13条3項・労災保険法施行規則11条の2),労働局にレセプトは存在しません。
イ 労災保険指定医療機関については,厚生労働省HPの「労災保険指定医療機関検索」で確認することができます。
(3)ア (A)の書類は労働基準監督署が保管しているのに対し,(B)の書類は労働局労働基準部労災補償課が保管しています。
    そのため,(A)の書類について300円の収入印紙,(B)の書類について300円の収入印紙がそれぞれ必要となります。
イ 福岡労働局HPの「保有個人情報開示請求制度について」には,「労災給付における診療費請求内訳書(いわゆるレセプト)の開示請求を行う場合は、診療費の支払期間1年度(4月1日から翌年3月31日まで)ごとに1件とみなしますので、支払期間が2年度に渡る場合は(例えば平成29年3月分から平成29年4月分までの場合)、平成28年度分と平成29年度分の2件分の開示請求、収入印紙(300円×2年度分)が必要となります。 」と書いてあります。
(4) 労働基準監督署が作成した障害認定調査復命書について開示請求をした場合,意見書を作成した医師の氏名等は不開示となります(平成30年度(行個)答申第99号(平成30年9月18日答申)参照)。

4 療養補償給付に関するすべての書類の開示請求が可能になる時期
(1) 労災保険指定医療機関は,都道府県労働局に対し,毎月10日までに,前月分の労災保険の診療費請求書・明細書(レセプト)及び療養の給付請求書を提出しています(厚生労働省HPの「業務フロー・コスト分析における業務改善検討について(厚生労働省・労災診療費審査業務)」(平成29年2月20日付)2頁「労災診療費の仕組み」参照)。
    また,労働局は,労災保険指定医療機関に対し,診療費請求書等を受領した月の翌月15日頃に労災診療費を支払っています。
    そのため,労働局は,症状固定日までの治療に関する療養の給付請求書及び添付書類並びにレセプトについては翌月10日までに取得し,決議書を翌々月15日までに作成していると思います。
(2) 例えば,平成30年9月に症状固定となった場合,翌々月となる同年11月15日以降であれば,療養補償給付に関するすべての書類の開示請求が可能になると思います。

5 労災保険「支給決定」証明願及び労災保険「給付等支払」証明願
(1)ア 労災保険支給決定証明願及び労災保険給付等支払証明願は,労災保険の支給決定通知及び支払振込通知が一体となったはがき(厚生労働省HPの「労災保険給付の受給者の皆様へ」に載ってある「労災保険給付等の支払通知の方法が変わります」参照)を紛失した場合に利用するものであって,運用の詳細については,労災保険給付等に係る支給決定証明願及び支払証明願の取扱について(令和3年3月25日付の厚生労働省労働基準局補償課長及び労災保険業務課長の書簡)に記載されています。
イ 労災保険受給者本人が証明願を提出する場合,運転免許証その他本人確認書類のコピーも提出する必要があります。
(2)ア 令和3年4月1日以降に支給決定証明願を提出する場合,都道府県労働局又は労働基準監督署が提出先となりますから,労災保険を支給してくれた労基署に電話で問い合わせた方が確実です。
イ 給付等支払証明願を提出する場合,厚生労働省労働基準局労災保険業務課が提出先となります。
(3)ア 例えば,被災労働者が救急搬送後に死亡した後,遺族の代理人弁護士が「療養の給付」に関する労災保険給付等支払証明願を厚生労働省労働基準局労災保険業務課に提出する場合,以下の書類を添付すればいいです。
① 被災労働者の除籍謄本のコピー
② 請求人である遺族の戸籍謄本のコピー
③ 請求人である遺族の住民票のコピー
④ (a)労災保険給付等支払証明願の交付申請をする件,(b)交付された労災保険給付等支払証明書を受領し,これにより私の個人情報を受領する件,及び(c)上記の委任事項に準ずる一切の件を委任事項とする委任状
イ 「③証明を希望する給付の種類」としては,「療養の給付(診療費給付)」と記載すればいいです。
ウ 「証明が必要な事項」としては,支払年月日,支払額,受診機関及び給付期間と記載すればいいです。
(4)ア 労災保険支給決定証明願及び労災保険給付等支払証明願については,必要事項(様式4の①ないし⑥の項目)を書いておけば,適宜の書式で証明願を作成することができます。
イ ⑥の項目については別途,委任状を作成しておけば,①ないし⑤の項目を記載した適宜の書式で代理人弁護士が証明願を作成できるようになります。
(5)ア 厚生労働省労働基準局にあった労災補償部は平成26年7月11日に廃止されました。
イ 令和3年3月31日までは,現物給付である「療養の給付」(「診療費給付」と同じ意味です。)等については,金銭の支払の事実がない点で労災保険給付等支払証明願の対象になりませんでしたところ,長野労働局HPの「労災保険給付の内容」には以下の記載があります。
    労働者が業務災害、複数業務要因災害又は通勤災害による傷病により療養を必要とする場合に行われ、現物給付としての「療養の給付」と現金給付としての「療養の費用の支給」の2種類がありますが、「療養の給付」が原則です。「療養の給付」は、労災病院や労災指定病院等にかかれば、原則として傷病が治ゆするまで無料で療養を受けられる制度です。これに対し「療養の費用の支給」は、労災病院や労災指定病院以外で療養を受けた場合等においてその費用を支給する制度です。
令和4年4月現在の,厚生労働省HPの「労災保険支給決定証明願」の一部です。
令和4年4月現在の,厚生労働省HPの「労災保険給付等支払証明願」の一部です。

6 関連記事その他
(1) 行政機関個人情報保護法は,個人情報の取扱いに関連する個人の権利利益を保護することを目的とするものであることから,法における「個人情報」の範囲を「生存する個人に関する情報」に限っており,開示請求対象として予定するのは,「生存する個人に関する自己を本人とする保有個人情報」のみであるが,死者に関する個人情報であっても同時に遺族等の個人情報となる場合には,当該遺族が,自己を本人とする個人情報として開示請求を行うことができると解されています(独立行政法人個人情報保護法に関する平成30年度(独個)答申第26号(平成30年9月12日付)参照)。
(2)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 開示請求に係る標準事務処理要領(平成27年4月の厚生労働省労働基準局安全衛生部の文書)
・ 裁判所からの文書送付嘱託等への対応に係る標準事務処理要領(平成27年5月・厚生労働省労働基準局安全衛生部)
・ 東京労働局組織細則
・ 中央労働基準監督署の平成30年度事務分掌
・ 大阪労働局組織細則(平成25年当時のもの)
・ 大阪中労働基準監督署の事務分掌(平成25年当時のもの)
イ 以下の記事も参照して下さい。
・ 労災保険の給付内容
・ 損益相殺
・ 労災保険の特別加入制度
 弁護士の社会保険
・ 民間労働者と司法修習生との比較
 業務が原因で心の病を発症した場合における,民間労働者と司法修習生の比較
・ 平成30年度全国労災補償課長会議資料
 厚生労働省労働基準局の,労災保険に係る訴訟に関する対応の強化について

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