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閣議とは―種類,決定方法,閣議書及び議事の記録(AIリライト)

第1 閣議の法的位置付け

1 内閣と閣議

行政権は内閣に属し,内閣は内閣総理大臣及びその他の国務大臣で組織され,行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負う(日本国憲法65条及び66条)。

内閣法4条は,内閣がその職権を行うのは閣議によるものとし,内閣総理大臣が閣議を主宰すると定めている。

したがって,閣議とは,合議体である内閣がその意思を決定し,職権を行うための会議である。

2 国務大臣の数

内閣法2条2項の本則は,内閣総理大臣以外の国務大臣を14人以内とし,特に必要がある場合には3人を限度として増員できるため,本則上の上限は17人である。

復興庁が置かれている間は,同法附則2項により,内閣総理大臣以外の国務大臣は原則15人以内,増員時18人以内となる。

国際博覧会推進本部が置かれている間は原則16人以内,増員時19人以内とする特例も存在したが,同本部の設置期限は国際博覧会特別措置法10条により令和8年3月31日までであった。

そのため,令和8年7月27日現在,内閣総理大臣以外の国務大臣の数は原則15人以内,増員時18人以内である。

3 内閣総理大臣の指揮監督権

内閣総理大臣は,閣議にかけて決定した方針に基づいて行政各部を指揮監督し,行政各部の処分又は命令を中止させて内閣の処置を待つことができる(内閣法6条及び8条)。

最高裁平成7年2月22日大法廷判決(昭和62年(あ)第1351号・刑集49巻2号1頁)は,内閣総理大臣が,少なくとも内閣の明示の意思に反しない限り,行政各部に対し,随時,その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導,助言等の指示を与える権限を有すると判示した。

第2 閣議の構成員と運営

1 構成員及び陪席者

閣議は,内閣総理大臣及びその他の国務大臣が参加して行うのが原則である。

現在の定例閣議では,内閣官房長官が議事を進行し,内閣官房副長官(政務)が案件を説明するほか,内閣官房副長官(事務)及び内閣法制局長官が陪席する。

各大臣は案件について発言でき,閣議終了後には通常,閣僚懇談会が開かれる。

これらの運営は,内閣官房「閣議及び閣僚懇談会について」に示されている。

2 全員一致の慣行

内閣法は,閣議の採決方法を明文で定めていない。

もっとも,内閣が国会に対して連帯責任を負うことなどから,閣議の意思決定は慣行上,全員一致で行われる。

したがって,全員一致は法律に明記された多数決排除の規定ではなく,内閣の一体性を確保するために確立した運営上の慣行と理解すべきである。

この点は,内閣官房「閣議の議事に関する憲法上の学説について」及び芦部信喜著・高橋和之補訂『憲法〔新版〕』293頁で確認できる。

第3 閣議の種類と開催場所

1 定例閣議

定例閣議は,原則として毎週火曜日及び金曜日に開かれ,開始時刻は通常午前10時,国会開会中は午前9時とされている。

首相官邸「閣議」は首相官邸閣議室での開催を基本として説明する一方,首相官邸「4階・5階」は国会開会中に国会内の院内閣議室で開かれる場合もあると説明している。

国会開会中の閣議が常に国会内で開かれるわけではなく,個別の開催場所は各回の「議事の記録」で確認するのが正確である。

2 臨時閣議

臨時閣議は,緊急を要する場合に,定例の日時にかかわらず開かれる。

3 持ち回り閣議

持ち回り閣議は,早急に処理する必要がある案件について,閣僚が一堂に会することなく,電話連絡等によって行われる閣議である。

平成12年7月14日付け政府答弁書によれば,持ち回り閣議の場合には閣議書を作成するのを例としている。

戦前には内閣書記官が赤箱に閣議書などを入れて各大臣の署名を得る方法が用いられ,赤箱と矢立の写真が首相官邸「内閣制度の概要」に掲載されているが,これは現在の持ち回り方法そのものの説明ではない。

第4 閣議における案件処理

1 内閣の意思決定となる形式

(1) 閣議決定

閣議決定は,憲法又は法律によって内閣の意思決定が必要とされる事項のほか,法令に明文がなくても特に重要な事項について行われる。

必要的な例には法律案,政令及び条約の決定などがあり,任意的な例には政府として統一方針を確定する基本方針などがある。

(2) 閣議了解

閣議了解は,本来は各府省の所管に属する事項であっても,他府省に関係するなど,その影響に照らして閣議で意思決定しておく必要がある事項について行われる。

(3) 閣議口頭了解

閣議口頭了解は,関係閣僚会議の設置又は特殊法人などの人事に関する事項等について,閣議書を作成せずに口頭で行われる意思決定である。

2 閣議報告との違い

閣議決定と閣議了解は,いずれも内閣の意思決定であり,その効力に違いはない。

これに対し,閣議報告は主管大臣が所管事項を閣議に報告するものであり,内閣の意思決定ではない。

以上の区別は,平成12年7月14日付け政府答弁書及び内閣官房の資料に明記されている。

3 法令及び後の内閣との関係

法令上の根拠を持たない閣議決定だけで法律を改廃し,国民に新たな権利義務を直接設定することはできない。

他方,閣議決定の効力は原則として後の内閣にも及ぶというのが政府の従来からの取扱いであるが,後の内閣は憲法及び法律の範囲内で,新たな閣議決定によって従前の閣議決定を変更できる(平成25年7月2日付け政府答弁書)。

第5 閣議書と閣議関係文書

1 閣議書と花押

閣議書は,閣議に付された案件について内閣の意思決定を示す文書であり,各大臣は毛筆で花押を記載する。

花押は,閣議書に関する内閣制度上の慣行である。

なお,最高裁平成28年6月3日第二小法廷判決(平成27年(受)第118号・民集70巻5号1263頁)は,花押を書くことは民法968条1項が自筆証書遺言について求める押印の要件を満たさないと判示したが,この判決は閣議書の効力を判断したものではない。

2 青枠,こより綴じ及び指令書の廃止

閣議関係書類では,かつて「日本国政府」と記載した青枠の用紙及びこより綴じが用いられ,閣議決定を請議大臣へ通知する指令書も作成されていた。

これらの慣行は,事務の合理化及び効率化のため,令和2年10月16日の閣議以降に廃止された(令和3年5月14日付け政府答弁書)。

3 閣議書の実例

本サイトには,公開された原資料を項目別に整理した次の記事がある。

衆議院解散の閣議書(平成29年9月28日付)

最高裁判所長官任命の閣議書

最高裁判所判事任命の閣議書

高等裁判所長官任命の閣議書

検事総長,次長検事及び検事長任命の閣議書

内閣法制局長官任命の閣議書

各府省幹部職員の任免に関する閣議承認の閣議書

令和への改元に関する閣議書等

第6 閣議等の議事の記録

1 作成及び公表の開始

「閣議等の議事の記録の作成及び公表について」(平成26年3月28日閣議決定)に基づき,平成26年4月1日以降に開催される最初の閣議等から,議事の記録が作成されている。

記録は,内閣官房長官の指示の下で内閣官房が作成し,閣議等からおおむね3週間後に首相官邸HPへ掲載することによって公表される。

2 記録の対象及び記載事項

記録の対象は,定例閣議,臨時閣議及び閣議後の閣僚懇談会であり,持ち回り閣議は記録対象として列挙されていない。

記載事項は,開催日時,開催場所,出席者,議事結果,発言者名及び発言内容である。

作成責任者は内閣官房長官,作成者は内閣官房副長官(事務),作成補助者は内閣総務官とされている。

各回の閣議案件及び議事の記録は,首相官邸「閣議」から年月別に閲覧できる。

3 制度化の意義

議事の記録の作成及び公表は,公文書管理法4条の趣旨を踏まえ,内閣の意思決定過程について透明性と説明責任を高めるための制度である。

制度化前の公文書管理上の検討経過については,宇賀克也・齋藤誠編『情報公開法・個人情報保護法・公文書管理法コンメンタール』456頁が紹介している。

第7 出典

1 法令

日本国憲法

内閣法

令和7年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律

2 裁判例

最高裁平成7年2月22日大法廷判決(昭和62年(あ)第1351号・刑集49巻2号1頁)

最高裁平成28年6月3日第二小法廷判決(平成27年(受)第118号・民集70巻5号1263頁)

3 政府資料

首相官邸「内閣制度の概要―内閣の機能と運営」

首相官邸「閣議」

首相官邸「4階・5階」

内閣官房「閣議及び閣僚懇談会について」

内閣官房「閣議の議事に関する憲法上の学説について」

衆議院議員金田誠一君提出閣議に関する質問に対する答弁書

衆議院議員武正公一君提出閣議決定の有効性に関する質問に対する答弁書

衆議院議員丸山穂高君提出質問主意書答弁業務の負担軽減に関する質問に対する答弁書

「閣議等の議事の記録の作成及び公表について」及び同要領

4 文献

① 芦部信喜著・高橋和之補訂『憲法〔新版〕』(岩波書店,1997年)291頁~294頁

② 宇賀克也・齋藤誠編『情報公開法・個人情報保護法・公文書管理法コンメンタール』(日本評論社,2013年)456頁