〇南スーダン派遣施設隊が作成した日報に対する行政文書開示請求について,防衛大臣が平成28年12月2日付で不開示決定を出した問題(いわゆる「PKO日報問題」です。)については,平成29年3月17日から特別防衛監察が実施され,同年7月28日に特別防衛監察結果が公表されました(防衛省防衛監察本部HPの「防衛監察」参照)し,以下のとおり懲戒処分が実施されました。
① 黒江哲郎 事務次官:停職4日
② 岡部俊哉 陸上幕僚長:減給1か月(10分の1)
③ 堀切光彦 前陸上自衛隊中央即応集団副司令官:停職5日
④ 牛嶋 築 前陸上幕僚監部運用支援・情報部長:停職3日
⑤ 辰己昌良 統合幕僚監部総括官:停職2日
〇平成29年7月28日公表の「特別防衛監察結果報告」15頁及び16頁には,「第7 改善策」として以下の記載があります。
防衛省・自衛隊として行政文書管理及び情報公開業務の適正な実施について努めているところであるが、これらについて十分に実施されていない状況が確認されたことから、改めて、以下の事項について徹底を図る必要がある。
1 適正な情報公開業務の実施
(1) 関係職員の意識向上を図るための教育等の徹底
情報公開法に基づく開示請求に対し、指導的立場となる管理者を含め、情報公開業務を適正に実施するという意識が低かったことから、情報公開業務に対する意識を高めるような教育や研修を徹底する必要がある。
(2) 行政文書の不存在の際の入念な確認の徹底
情報公開法に基づく開示請求に対し、行政文書としての日報が存在しつつも、これを十分に確認せず不存在としている状況や該当文書を個人資料と説明している状況が確認されたことから、過去に保有していたことが明らかな行政文書を不存在とする場合には、情報公開担当部署は、文書管理者等に対し、複数回の探索や探索範囲の拡大を実施させるとともに、文書の管理状況についても実際に確認するなど、「行政文書管理及び情報公開業務の適正な実施について(通達)」(防官文第11870号。24.9.6)に基づき、行政文書の確実な探索及び特定業務を徹底する必要がある。
(3) 情報公開業務に対するチェック機能の強化
情報公開法に基づく開示請求に対し、行政文書としての日報の不存在や廃棄などの誤った判断や行為について、開示請求に係る手続の過程において是正することができなかったことから、特に不存在とした開示請求について、開示請求手続と関係のない立場の組織により、情報公開業務の検査等を実施するなど、チェック機能の強化を図る必要がある。
なお、防衛監察本部においても、定期防衛監察を活用し、特に開示請求において不存在としている場合の手続の適正性を確認することなどにより、チェック機能の強化に努めるものとする。
2 適正な文書管理等の実施
(1) 文書管理情報等の適切な表示等
日報が「用済み後破棄」として取り扱われていることについて、文書管理情報が表示されていないため取扱者に周知されていない状況、また、「用済み後破棄」という曖昧な保存期間満了日の設定により、日報の実態が把握されていない状況が確認されたことから、行政文書の状況が明確に把握できるよう措置する必要がある。
また、日報が「注意文書」として取り扱われていることについて、「注意」の標記が表示されず、また、業務に関係のない多数の職員が閲覧及び取得できる状況であったことから、取扱区分を表示するとともに、配布に当たっては配布先を必要最小限にとどめるよう措置する必要がある。
(2) 複数部署において管理されている行政文書の管理要領の見直し
日報は指揮システムの掲示板により、統幕、陸幕、陸自各部隊等の多数の部署により共有されているものの、各文書管理者により日報の管理状況が様々であり、日報の保有状況が不明確となっていることから、同一の行政文書を複数の文書管理者が保有する場合における責任を明確にするなど、行政文書の管理要領について見直す必要がある。
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