目次第1 結論1 三つの製品を同じルールで扱わない2 迷ったときの安全な順序第2 最初に確認する法的な層1 日本の著作権法とGoogleの利用条件を分ける2 Googleの「fair use」という説明を日本法の引用と混同しない3 利用時点の版と証拠を保存する第3 媒体別の早見整理1 印刷資料2 ウェブサイト及びアプリ3 デジタル広告及びSNS4 テレビ,映画及びオンライン動画第4 Google Mapsの具体的な使い方1 法律事務所内の検討資料及び依頼者向け資料2 事務所案内,セミナーチラシ及び名刺3 スクリーンショットへの書込み第5 Google Earth及び衛星画像の注意点1 研究・教育と営業・販売促進を分ける2 衛星表示をGoogle Mapsの通常地図と同一視しない3 3Dモデルその他の派生利用をしない第6 Street Viewの注意点1 印刷及びスクリーンショットは禁止されている2 ウェブでは埋込み又はAPIを使う3 人物・住居・車両等のプライバシーを別に確認する第7 裁判資料及び法律事務所での利用例1 準備書面・証拠説明資料へ場所を示す場合2 講演資料及び配布レジュメ3 法律事務所ブログ及びSNS第8 帰属表示と画像加工1 表示中のGoogle及び第三者提供者を残す2 切除・隠蔽・末尾への移動をしない3 APIでは新しいGoogle Maps表示要件を確認する第9 掲載・配布前のチェックリスト1 対象と媒体2 取得・加工・帰属表示3 内容の正確性と第三者権利第10 確認結果の位置付け1 確認できたこと2 確認していないこと第11 関連する山中弁護士ブログの記事1 リンク・埋込みと著作権2 資料作成一般の権利処理第12 出典1 Googleの公式条件2 日本法の一次資料・公的資料
第1 結論
1 三つの製品を同じルールで扱わない
Google Maps,Google Earth及びStreet Viewは,いずれも地理情報を表示するサービスであるが,Googleが公表する利用条件は同じではない.
弁護士が準備書面,証拠説明資料,依頼者向け資料,講演資料,ブログ,SNS又は動画で地図画像を使うときは,①製品,②通常地図・航空写真・衛星画像・Street Viewの別,③印刷・ウェブ・動画等の媒体,④商業又は販売促進目的,⑤埋込み・リンク・スクリーンショット・APIの別,⑥表示される帰属表示を固定して判断する必要がある.
Googleの現行Geo Guidelinesを大づかみに整理すると,Google Mapsは一定の印刷,ウェブ埋込み及び非販売促進のオンライン動画で利用しやすい一方,Google Earthは商業又は販売促進目的での利用が強く制限され,Street Viewは印刷利用及びスクリーンショットの切出しが認められていない.
「Googleの地図だから使える」,「出典を書けば足りる」,「裁判資料だから自由に使える」という一括判断はできない.
2 迷ったときの安全な順序
場所又は経路を知らせるだけなら,第一にGoogle Mapsへの通常のリンク又はGoogleが提供する埋込み機能を検討する.
紙面では短縮リンク又はQRコードでGoogle Mapsの場所へ誘導する方法も,Googleが許容例として挙げている.
画像が本当に必要な場合は,Google Mapsの通常地図を基本とし,利用目的に必要な範囲でスクリーンショット又はGoogle提供機能を使い,画面に表示されたGoogle及び第三者データ提供者の帰属表示を残す.
Google Earth又は衛星画像は商業・販売促進用途かを先に確認し,Street Viewは画像を切り出さず,ウェブでは埋込み又はAPI,映像では端末上の製品をそのまま操作する場面に限定する.
本記事は令和8年9月16日現在のGoogle公式ページ及び日本の著作権法を基準にしている.
Googleの規約及びガイドラインは変更され得るため,実際の利用直前に対象製品,媒体及び表示中の帰属表示を再確認する必要がある.
第2 最初に確認する法的な層
1 日本の著作権法とGoogleの利用条件を分ける
著作権法10条1項6号は,地図及び学術的な性質を有する図面,図表,模型その他の図形の著作物を例示している.
地理上の位置,道路の存在,距離その他の事実それ自体と,情報の取捨選択,縮尺,記号,配色,注記,写真又は画像の表現は分けて考える必要がある.
スクリーンショットの保存又は印刷は複製権,ブログ掲載は公衆送信権,加工又は大幅な描き替えは翻案権又は同一性保持権との関係が問題となり得る.
引用その他の権利制限が成立する場合はあるが,画像を装飾又はアイキャッチとして置くことは,説明・批評・検証のための引用であるとの説明が難しい.
これに対し,GoogleのGeo Guidelines,Google Maps追加利用規約,Google Earth追加利用規約及びGoogle Maps Platformの規約・技術文書は,Googleが提供する製品を利用する際の許諾・契約・運用条件である.
日本法上の権利制限規定とGoogleの条件は別の層であり,一方の確認だけで他方の問題がなくなるわけではない.
2 Googleの「fair use」という説明を日本法の引用と混同しない
GoogleのGeo Guidelinesは,米国法上のfair useその他の各国の類似概念により利用できる場合があると説明し,Google自身はfair useに該当するか判断できないとしている.
日本で利用する場合は,この記載自体が著作権法32条の引用を認めるものではない.
引用を根拠とするときは,公表された著作物であること,公正な慣行に合致すること,引用目的上正当な範囲であること,本文と引用部分を明確に区別すること,自分の説明が実質的な本体であること及び著作権法48条による出所明示を確認する.
契約への同意,APIの利用条件,技術的制限及び帰属表示は,法定引用とは別に検討する.
3 利用時点の版と証拠を保存する
令和8年9月16日確認時点で,Google Maps End User Additional Terms of Serviceは令和8年1月27日最終更新,Google Earth End User Additional Terms of Serviceは令和7年6月4日最終更新と表示されている.
Geo Guidelinesには媒体別の具体例があり,Google Maps Platformのサービス別条件及びAPIの表示要件は別ページで更新されている.
(続きを読む...)Google Maps・Google Earth・Street Viewを資料・ブログ・動画で使う条件-印刷,埋込み,スクリーンショット及び広告(AI作成)