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弁護士制度・実務

家族が付き添って弁護士に相談するとき―同席の可否,本人の意思確認,守秘義務と交通事故・相続での注意点(AI作成)

予約前には,①誰の法律問題か,②本人が相談を希望しているか,③家族の同席又は家族だけの相談を希望するか,④家族にも関係する争いがあるかを整理し,予約先へ伝えてください。家族への説明・連絡の範囲は本人の意思と秘密の取扱いを踏まえて確認します。相談全体の準備は弁護士とは―仕事内容,相談できること,費用と選び方,相談先の確認事項は弁護士の選び方―取扱分野,説明,費用と相談時の確認事項をご参照ください。

目次第1 この記事の対象と結論1 対象とする読者と基準日2 結論第2 弁護士が本人の意思を確かめる理由1 依頼者の意思の尊重と説明2 秘密の保持3 依頼するための契約を結ぶのも本人である第3 家族が同席するときと席を外すとき1 同席について直接の定めはない2 本人だけと話す時間が必要になりやすい場面第4 交通事故の相談に家族が付き添う場合1 経過の説明役としての家族2 本人が意思を表明できない場合3 付き添う家族が同じ事故の当事者である場合第5 相続・遺言の相談に家族が付き添う場合1 遺産分割の相談2 遺言の相談第6 付き添う家族が事前に準備すること第7 関連記事第8 出典・参考資料1 法令2 職能団体の規程3 所管行政機関の資料
第1 この記事の対象と結論
1 対象とする読者と基準日

この記事は,交通事故でけがをした家族や,相続・遺言について相談したい高齢の親に付き添って,弁護士の法律相談に同席しようとしている人を対象とする。
弁護士職務基本規程は日本弁護士連合会が公表している現行の本文(会規第70号)により,法令は令和8年9月28日時点でe-Gov法令検索により確認した内容に基づく。
相談を受ける側の事務所ごとの運用は扱わない。

2 結論
(1) 依頼者は相談の当事者である本人である

弁護士に事件を依頼するのは,事故の被害者や遺産を相続する人など,相談の当事者である本人である。
家族が付き添う場合でも,弁護士は本人の意思を確かめ,本人に説明し,本人の秘密を守る立場にある。
そのため,家族が同席していても,弁護士が本人に直接質問したり,本人だけと話す時間を求めたりすることがある。

(2) 同席するかどうかは本人の意思と事案の性質で決まる

弁護士職務基本規程には,法律相談への家族の同席を直接定めた条文はない。
同席の可否は,本人がそれを望んでいるか,本人の意思を家族のいない場で確かめる必要があるか,家族が相手方又は利害関係人になり得るかによって判断されると考えられる。
相続で家族が他の相続人に当たる場合や,遺言の内容を相談する場合は,本人だけと話す時間が設けられることを前提に付き添うのがよい。

第2 弁護士が本人の意思を確かめる理由
1 依頼者の意思の尊重と説明
(1) 依頼者の意思の尊重(22条)

弁護士職務基本規程22条1項は,弁護士は,委任の趣旨に関する依頼者の意思を尊重して職務を行うものとすると定めている。
同条2項は,依頼者が疾病その他の事情のためその意思を十分に表明できないときは,適切な方法を講じて依頼者の意思の確認に努めると定めている。
家族が本人の気持ちを代弁してくれることもあるが,弁護士が尊重すべきなのは本人の意思であり,本人が十分に話せない場合でも,弁護士には本人の意思を確かめる努力が求められる。

『解説「弁護士職務基本規程」第4版』63頁~65頁は,意思を十分に表明できない場合と,意思能力が欠ける場合を区別している。22条2項は,疾病その他の事情によって十分な意思表明が難しい場合の確認を扱う。意思能力を欠く場合には,同項による意思確認の努力だけで委任契約や代理権の問題が解決するのではなく,民法等の実体法に従った検討が必要となる。

家族や通訳等が本人の伝達を補助することと,家族が本人に代わって決定する権限を持つことは別である。同書65頁は,事情に応じた意思確認の方法を示しているが,特定の方法を全ての相談に一律に要求しているわけではない。本記事では,本人の意思を確認するための補助,家族への秘密開示の承諾及び家族が本人に代わって法律行為をする権限を,それぞれ区別して確認する。意思能力や法定代理が問題となる場合は,第2の3及び第4の2を参照されたい。

(2) 受任の際の説明(29条)

同規程29条1項は,事件を受任するに当たり,依頼者から得た情報に基づき,事件の見通し,処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について適切な説明をしなければならないと定めている。
同項は説明の相手方を明記していないが,依頼者である本人に対する説明と考えられ,家族が内容を理解しただけで足りるとは限らない。

2 秘密の保持

弁護士法23条は,弁護士は,その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し,義務を負うと定めている。
弁護士職務基本規程23条も,弁護士は,正当な理由なく,依頼者について職務上知り得た秘密を他に漏らし,又は利用してはならないと定めている。

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法律事務所のPPAP廃止と安全なファイル共有―メール添付・クラウドリンク・刑事記録の注意点(AI作成)

目次第1 結論第2 PPAPを既定手段にしない理由1 受信したパスワード付きZIPへの対応第3 送付方法の比較第4 クラウド共有リンクの確認事項第5 送信前に文書内部も点検する第6 刑事事件記録を共有するとき第7 事務所の基本的な取扱方法に書く事項第8 出典と調査範囲
第1 結論

法律事務所では,パスワード付きZIPファイルを電子メールで送り,別の電子メールでパスワードを送る方法(PPAP)を既定手段にしない。ファイル共有は,情報の性質,送信先,閲覧・編集の必要性及び保存期間に応じて,宛先の認証,最小限の権限,有効期限,失効,ログ及び削除を管理できる方法を選ぶ。
クラウド共有へ移れば自動的に安全になるわけではない。共有相手,リンク設定,提供者側の管理者アクセス,再委託先,事故通知,バックアップ及び契約終了時の削除・持出しまで確認する。

刑事事件記録では,保存と第三者への共有を分け,利用目的,共有相手,裁判所が付した条件及び刑事訴訟法281条の4・281条の5を個別に確認する。本記事は令和8年9月28日時点の法令,会規及び公表資料に基づく。

第2 PPAPを既定手段にしない理由

PPAPでは,ファイルとパスワードが同じ電子メール系統を通るため,メールアカウント又は経路をまとめて侵害された場合の防御になりにくい。誤った相手へ2通とも送れば誤送信を防げず,送信後にファイルだけを失効させることも難しい。暗号化された添付ファイルは,受信側のメールシステムによるマルウェア検査を妨げることがある。

国家サイバー統括室の「インターネットの安全・安心ハンドブック」は,PPAPを盗聴・誤送信対策として効果が乏しく,マルウェア検査を困難にする方法として,基本的に利用しないとの方向を示している。
電話又はSMSでパスワードを伝える方法は,パスワードを同じ電子メール経路に載せないという限度では意味があるが,誤送信,失効,ログ,マルウェア検査及び受信後の二次共有を一括して解決するものではない。

1 受信したパスワード付きZIPへの対応

受信側でも,別メールでパスワードが届いたことだけで送信者の真正又は内部ファイルの安全性が確認できたとはいえない。まず,その資料を受信する予定があったかを確認し,必要に応じて既知の電話番号等の独立した経路で送信者に確認する。拡張子を表示し,実行ファイル,スクリプト及びOfficeマクロ等を不用意に実行しない。

ZIPの解凍,内部ファイルを開くこと,実行ファイル又はスクリプトを実行すること,Officeマクロを有効にすることは同じ操作ではない。「解凍しただけで常に感染する」と一般化せず,実際に行った操作と時刻を記録する。内部ファイル,実行ファイル,スクリプト又はマクロを実行した場合は,それ以上の操作を止め,所内窓口へ報告し,必要に応じて端末をネットワークから隔離する。

現実の事故では,原メール,完全なメールヘッダー,添付ファイル,添付ファイルのハッシュ値,メールゲートウェイ及び端末のログを保存する。詳しくは,電子メールの仕組みと安全対策,法律事務所のサイバー事故初動チェックリスト及び法律事務所の標的型メール訓練を参照されたい。

第3 送付方法の比較
方法確認すべき点適さない場面通常のメール添付宛先,添付物,容量,メール経路,受信後の保存秘密性が高く,失効・ログ・期限管理が必要な資料PPAP別経路の実効性,マルウェア検査,誤送信,失効不能事務所の既定手段クラウド共有リンク指定相手,認証,権限,期限,失効,ログ,ダウンロードリンクを知る全員が閲覧できる設定のまま使う場合専用ポータル・データルーム利用者管理,監査ログ,通知,契約,終了時のデータ管理者,退出者及び保存期間を管理できない場合物理媒体暗号化,受渡し,紛失,複製,返却・廃棄追跡可能な受渡し方法を定めない場合

同じ事件でも,連絡文だけなら通常メール,証拠一式は期限付きの共有リンク,原本は対面受渡しというように分けることがある。方法の名称ではなく,情報の性質と実際の設定を確認する。

第4 クラウド共有リンクの確認事項

共有前に,次を確認する。
①共有先をメールアドレス等で指定し,「リンクを知っている全員」を避けられるか
②本人確認又は多要素認証を求められるか
③閲覧のみ,ダウンロード可,編集可を分けられるか
④有効期限を設定し,事件終了又は誤送信時に失効できるか
⑤閲覧,ダウンロード,編集及び共有変更のログを確認できるか
⑥受信者による再共有又はローカル保存をどこまで制御・把握できるか
⑦契約主体,保存・処理国,再委託先及び提供者側の管理者アクセスはどうなっているか
⑧侵害時の通知,バックアップ,契約終了時の削除及び一括エクスポートは可能か

共有設定の画面で「安全」と表示されることだけでは足りない。実際の相手方アカウントで閲覧できること,第三者アカウントでは閲覧できないこと,期限又は失効後に開けないことを必要に応じて試す。

第5 送信前に文書内部も点検する

送信先と共有設定が正しくても,文書内部に不要な情報が残っていれば漏えいにつながる。
①PDFは,黒い図形を重ねただけの墨消しになっていないか,文字列の検索・コピー及びレイヤー表示で確認する。
②Wordは,変更履歴,コメント,文書のプロパティ,非表示文字及び埋込みファイルを確認する。
③Excelは,非表示シート・行・列,コメント,数式,外部リンク及び印刷範囲外のデータを確認する。
④画像は,位置情報,撮影日時,端末名その他のメタデータを確認する。
⑤ファイル名,フォルダー名及び共有リンク名に,他の依頼者名又は事件名が含まれていないかを確認する。

最終版を別名で書き出し,送信する実物を開いて点検する。元文書の画面だけを見て,送信物も同じだと推測しない。

第6 刑事事件記録を共有するとき

刑事訴訟法281条の4は,被告人又は弁護人が検察官から開示を受けた証拠書類・証拠物の写し等について,当該被告事件又は関連する一定の手続に使用する目的以外で使用することを禁止し,同法281条の5は違反に対する罰則を定めている。
また,犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律3条に基づき,裁判所が謄写物の使用目的又は条件を定めることがある。

したがって,クラウドへの保存それ自体と,共同受任者,依頼者,鑑定人,通訳人その他の第三者が閲覧可能な状態にすることを分けて検討する。共有前に,①資料の入手経路,②利用目的,③共有相手の立場,④事件との関係,⑤裁判所の条件,⑥ダウンロード・再共有の可否及び⑦共有終了後の削除を確認する。特定のクラウド製品を使うだけで適法性が決まるものではない。

第7 事務所の基本的な取扱方法に書く事項

日本弁護士連合会の弁護士情報セキュリティ規程3条に基づく基本的な取扱方法には,少なくとも,①通常使う送付方法,②PPAPを原則として使わないこと,③例外承認者,④クラウド共有の権限・期限・失効・ログ,⑤刑事記録等の特別な承認,⑥送信前の文書点検,⑦誤送信・誤共有時の連絡先及び初動,⑧委託先と職員への周知を具体化することが考えられる。

規程全体は弁護士情報セキュリティ規程とはを,クラウド・NAS・バックアップはサーバー・NAS・クラウドストレージ・DNSの違いを参照されたい。

第8 出典と調査範囲

①国家サイバー統括室「インターネットの安全・安心ハンドブック」Ver5.10
②日本弁護士連合会「弁護士情報セキュリティ規程」3条~7条
③刑事訴訟法281条の4・281条の5
④犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律3条
⑤東京弁護士会「LIBRA 2026年9月号」2頁~13頁
⑥情報処理推進機構「サイバー情報共有イニシアティブ(J-CSIP)運用状況[2020年10月~12月]」

刑事記録のクラウド共有が個別事案で許されるかは,記録の種類,利用目的,共有相手,裁判所の条件及び実際のアクセス設定を確認するまで確定できない。本記事は特定サービスの安全性又は個別共有の適法性を一律に判定するものではない。

法律事務所のサイバー事故初動チェックリスト―発覚後10分・当日中・後日に行うこと(AI作成)

目次第1 結論第2 発覚後10分に行うこと1 連絡経路と責任者を決める2 被害拡大を止める3 時刻入り記録と証拠保全を始める第3 当日中に行うこと1 影響範囲を把握する2 期限事故を防ぐ3 報告・通知の要否を判断する4 外部支援と保険の条件を確認する第4 復旧後・後日に行うこと第5 事故類型別の最初の操作第6 確認用チェックリスト第7 法的根拠と裁判例第8 出典と調査範囲
第1 結論

法律事務所のサイバー事故では,最初に「誰が悪かったか」を調べるのではなく,①被害拡大の防止,②時刻入り記録と証拠保全,③情報・対象者・期間・業務期限の影響範囲の把握,④法令・会規・契約・保険による報告及び通知の判断,⑤復旧と再発防止の順で進める。
漏えいの有無だけでなく,事件記録の滅失・毀損,業務の停止,メールの未受信及び裁判上の期限への影響を同時に確認する必要がある。システムが動くようになったことと,事故対応が終わったことは同じではない。

本記事は,令和8年10月8日時点の法令,会規,裁判例及び公表資料に基づく一般的な確認手順である。個別事故の報告義務,通知先及び期限は,情報の種類,漏えい等の態様,対象者数,委託関係及び契約条件によって変わる。

PCが固まったという事実だけで、直ちにサイバー事故と断定することはできない。メモリ不足、ディスク待ち、表示系の停止、更新処理又はクラウド同期でも同じような症状が生じる。身に覚えのないログイン、ファイル改変、セキュリティ警告、不審な通信又は権限変更がない場合は、まず最後のコマンド、プロセス別の性能ログ及びイベントログを照合し、通常の性能障害かどうかを切り分ける。

反対に、その照合過程で不審なログイン、改変、マルウェア検知又は未知の外部通信が見つかった場合は、本記事のサイバー事故初動へ移り、端末隔離と証拠保全の優先順位を判断する。

通常の性能障害を調べる手順は,Windows 11がフリーズした原因を後から調べる方法―最後のコマンド,パフォーマンスモニター及びイベントビューアー(AI作成)を参照されたい。

第2 発覚後10分に行うこと
1 連絡経路と責任者を決める

事務所内の責任者に連絡し,事故対応の記録を一つに集約する。感染した可能性のあるメールやチャットを連絡経路として使わず,安全な電話,別端末又はあらかじめ定めた連絡網を用いる。
記録には,発見日時,発見者,最初に確認した画面・端末・アカウント,実施した操作,判断者及び結果を時刻順に残す。

2 被害拡大を止める

ランサムウェア又はマルウェアが疑われる端末は,ネットワークケーブル又は無線接続を切り,他の端末,NAS及びクラウド同期先への拡大を止める。誤送信又は誤共有では,送信取消し,共有リンクの失効,権限削除及び相手方への削除依頼が可能かを確認する。アカウント乗っ取りでは,別の安全な端末からセッション失効,認証情報の変更及び多要素認証の再設定を検討する。
ただし,証拠保全及び専門家の方針を確認する前に端末を初期化し,又はログを削除しない。

個人情報保護委員会のフォレンジック調査資料は,専門家の方針を確認する前に,電源を切る,再起動する,ウイルススキャンを実行する,初期化する,又はソフトウェアを更新することにより,メモリやログ等の証拠が変更・消失する危険を指摘している。
ネットワークからの隔離と端末の電源断は同じ操作ではない。拡大防止のための隔離を急ぎつつ,端末の電源と内容を変更する操作は証拠への影響を確認してから行う。

ルーター,ネットワークカメラ,録画機,複合機,会議用端末又はスマート家電等のIoT機器が疑われる場合も,機器を他のネットワークから隔離する。
冷凍,防犯,医療又は防災等の設備では,通信又は電源の遮断自体が危険を生じさせることがあるため,設備管理者及び保守事業者と安全な隔離方法を確認する。

3 時刻入り記録と証拠保全を始める

画面表示,警告文,送信先,ファイル名,URL,メールヘッダー,ログの保存場所及び時刻を記録する。事実,推測,判断及び実施結果を分けて書く。
端末の時刻が正しいか,サービスのログがUTCか日本時間か,ログの保存期限がいつまでかも確認する。外部業者へ依頼する場合は,作業開始前に保全対象と受渡し方法を合意する。

IoT機器については,型番,シリアル番号,ファームウェア版,サポート期限,遠隔管理,クラウド連携,管理者設定,ルーターのDHCP・通信記録及び直前の変更を記録する。
初期化又は更新でログが失われる場合があるため,封じ込めの緊急性と証拠保全を分けて判断する。
詳しい仕組みと平時の対策は,レジデンシャルプロキシとは―家庭用IoT機器が犯罪の踏み台になる仕組みと対策を参照されたい。

調査結果は,①ログや保全イメージで確認できた事実,②設定や機能上は可能だったこと,③ログ欠落等により不明なことに分ける。
保全イメージと取得ログは,取得日時,取得者,取得元,保管場所及びハッシュ値を記録し,原本相当のデータと作業用複製を分ける。

アスクルの第13報(令和7年12月12日,4頁)は,多要素認証を例外的に適用していなかった業務委託先用の管理者アカウントで不正アクセスがあったと説明している。
また,委託先管理のノートPCのOS更新過程で侵入時点のログが失われ,認証情報の漏えい方法と原因を完全には究明できないとしている。
VPN機器の脆弱性を悪用した侵入の痕跡は確認されなかったという説明もあり,認証情報の取得方法を,フィッシング又はマルウェアと決め付けない。

この事例を踏まえ,復旧のためのOS更新,再インストール又は端末返却を行う前に,侵入時点のログが上書き・消去されないかを確認し,可能な範囲で保全する。
封じ込めの緊急性と証拠保全の必要性を踏まえ,先行させた措置,失われた記録及びその理由を残す。

事故受付票では,発生した期間,事務所が検知した日時,法定の報告対象事態を知った日時,委託先からの通知日時及び公表日時を別々に記録する。
報告対象事態を知った日時には,誰がどの資料・連絡により何を把握したかを対応付け,後日判明した事項は元の記録を消さず追記する。

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解説「弁護士職務基本規程」第3版と第4版の比較-規程改正,解釈の変更,新設項目及び削除された記述(AI作成)

目次第1 本記事の対象と比較の方法1 比較した2つの版2 比較の方法と基準日第2 改訂の外形1 改訂の経緯と第4版が掲げる重点2 構成と分量の変化3 裁判例・懲戒議決例の入れ替わり4 付録と索引の変化5 解釈が変わった主な箇所の一覧第3 職務基本規程そのものの改正1 第3版の刊行後の改正は令和3年会規第116号だけである2 実体的に新しい規律は78条だけである第4 解釈が厳しくなった主な箇所1 守秘義務(23条)2 依頼者への説明と報告(22条・29条・36条)3 記録と情報の管理(18条)4 利益相反における事件の同一性(27条・28条)5 遺言執行者第5 規律を緩め,又は表現を和らげた箇所1 受任の諾否の通知(34条)2 組織内弁護士と法令違反への対応(51条)3 調整型の職務4 28条1号に当たらない特別な関係者第6 新設又は組み直された主な論点1 第三者委員会・内部調査委員会・地方公共団体の調査委員会2 訴訟行為の排除をめぐる裁判例3 共同事務所を移籍した弁護士(57条)4 真実義務と偽証のそそのかし(5条・75条)5 預り金と報酬の相殺(45条)6 品位に関する諸問題7 事件情報の記録と受任防止措置(59条・68条)第7 削除された記述と第4版が扱っていない事項1 削除された主な記述2 第4版が扱っていない事項第8 第3版の記述を引用するときの注意1 版と頁を明示する2 第4版の印字の誤り第9 関連記事第10 出典1 書籍2 会規及び法令3 裁判例4 懲戒議決例
第1 本記事の対象と比較の方法

第4版の解説に沿った論点別の記事として,利益相反(27条・28条),説明・報告義務(29条・36条)及び組織内弁護士(50条・51条)を参照できる。

先に全体像を確認する場合は,主な変更点の比較表を参照されたい。規程本文の改正と,解説書の解釈・事例・項目の変更とは区別する。現行条文と論点別の記事は,弁護士職務基本規程の現行条文・条文別索引・主要論点で確認できる。

1 比較した2つの版
(1) 書誌と刊行時期

日本弁護士連合会弁護士倫理委員会編著『解説「弁護士職務基本規程」』は,弁護士職務基本規程(平成16年11月10日会規第70号)の逐条解説書であり,日本弁護士連合会が発行している。
第3版は2017年(平成29年)12月に発行され,本文は225頁である。
第4版は2026年(令和8年)9月に発行され,本文は255頁である。
日弁連の書籍案内によれば,第4版はB5判300頁で,巻末に掲載し又は本文中に引用している会規・通知等は2026年(令和8年)3月1日時点のものである。

(2) 本書の位置付け

両版のはしがきは,いずれも,本書で述べられている見解は日弁連の公式見解ではないとしている。
弁護士職務基本規程そのものは日弁連の会規であるが,本書はその解説書であり,会規と同じ効力を持つものではない。
もっとも,本書は日弁連の弁護士倫理委員会が編著したものであり,第3版のはしがきも,本書が実務に携わる弁護士や法科大学院の法曹倫理の授業で参照されていることに触れている。
そのため,版が変わって記述が変わった箇所を確かめておく意味は小さくない。

2 比較の方法と基準日

本記事は,2026年(令和8年)9月26日を基準日として,両版の前文から附則まで及び付録・索引の全頁を,生成AIを用いて条・節ごとに突き合わせ,主要な差異について両版の原文を確認して作成したものである。
ある記述が「新設」又は「削除」されたと書く場合は,他方の版の全文を検索して,別の箇所に移っただけではないことを確かめている。
頁は,いずれも本の印字頁で示す。
規律が「厳しくなった」「緩められた」という整理は,両版の記述を比べた本記事の評価であり,本書自身がそのように説明しているわけではない。

第2 改訂の外形
1 改訂の経緯と第4版が掲げる重点

第4版のはしがきによれば,日弁連弁護士倫理委員会は,2023年(令和5年)2月に改訂チームを設置し,各弁護士会・関連委員会への意見照会を2回行った上で原稿を完成させた。
改訂の基本方針は,新しい裁判例・懲戒議決例を取り入れること及び意見照会によって改訂の必要な部分を抽出することであった。
はしがきは,改訂の重点として,企業・自治体の第三者委員会や調査委員会,公益通報窓口にかかわる懲戒事例を扱う項目を新たに設けたことを挙げている(本記事の第6の1)。

2 構成と分量の変化
(1) 新しく置かれた節

第4版は,第1章に「5条,6条その他品位に関する諸問題」の節を新設し(第4版20頁~27頁),相手方への交渉態様,プライバシー,裁判所に提出する書面の表現,裁判手続以外での表現,戸籍謄本等の取得,自力救済,会社関係の7類型に分けて懲戒事例を整理した。

(続きを読む...)解説「弁護士職務基本規程」第3版と第4版の比較-規程改正,解釈の変更,新設項目及び削除された記述(AI作成)

職務代行者・管理人等を務めた弁護士は後にその紛争の代理人になれるか――福岡地裁令和5年8月30日決定と職務基本規程27条・81条(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 扱う問題と基準日2 結論第2 条文の枠組み1 弁護士法25条と職務基本規程27条2 職務基本規程81条3 明文のすき間を埋める5条・6条第3 職務代行者とはどのような立場か1 職務執行停止・職務代行者選任の仮処分2 職務代行者と似た裁判所選任の地位第4 福岡地裁令和5年8月30日決定1 事案の骨子2 弁護士法25条1号又はその類推適用による排除第5 日弁連綱紀委員会平成20年10月14日議決1 事案の経過2 兵庫県弁護士会と日弁連の判断3 この議決から読み取れる判断要素第6 最高裁令和4年6月27日決定との対比1 取締役責任調査委員会の委員の事案2 職務代行者の事案との違い第7 訴訟行為の排除の申立ての仕組み1 最高裁大法廷昭和38年10月30日判決2 最高裁平成29年10月5日決定第8 81条と第三者的職務をめぐるその他の議決例1 市の顧問弁護士が調査委員会の委員に就任した例2 家庭裁判所が選任した遺言執行者と同じ事務所の弁護士の例3 破産管財人終了後に元破産者を代理した例第9 実務上の注意1 職務代行者等に選任された弁護士の側2 元職務代行者等が相手方の代理人として現れた当事者の側第10 関連記事第11 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 弁護士懲戒の議決例4 日本弁護士連合会の規程5 文献
第1 この記事の対象と結論
1 扱う問題と基準日

本記事は,裁判所から職務代行者,管理人,遺言執行者等に選任され,当事者のいずれにも偏らない立場で職務を行った弁護士が,任務の終了後に,同じ紛争で一方当事者の代理人になれるかを扱う。
想定する読者は,こうした職務に選任された弁護士と,かつての職務代行者等が相手方の代理人として現れた当事者である。

基準日は令和8年9月25日である。
法令はe-Gov法令検索の現行条文により,弁護士職務基本規程(以下「職務基本規程」という。)は日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)の「日本弁護士連合会関係法規集」(令和7年9月1日現在)により確認した。

主要な文献は,日弁連弁護士倫理委員会編著『解説「弁護士職務基本規程」第4版』(日弁連,2026年9月。以下「本書」という。)である。
本書は,はしがきで,本書の見解は日弁連の公式見解ではないと断っている。

2 結論

結論は次のとおりである。
①裁判所に選任された職務代行者等を務めた弁護士について,任務終了後の受任を正面から禁止する明文は,弁護士法25条にも職務基本規程27条にもない。
②ただし,福岡地裁令和5年8月30日決定は,マンション管理組合法人の理事職務代行者を務めた弁護士が,後にその法人を相手とする訴訟で相手方の代理人となった事案で,弁護士法25条1号又はその類推適用により訴訟行為を排除した。
③懲戒の場面では,日弁連綱紀委員会平成20年10月14日議決が,株式会社の職務代行者の任務が実質的に終了して1か月足らずで株主権確認訴訟の一方の側の代理人として承継参加を申し立てた行為を,品位を失うべき非行に当たるとした。
④他方,最高裁令和4年6月27日決定は,取締役責任調査委員会の委員であった弁護士が会社の代理人として元取締役を訴えた事案で,弁護士法25条2号・4号の類推適用を否定した。
⑤本記事では,元職務代行者等の受任の可否は,かつて誰のために職務を行ったか,後の事件で誰の側に立つか,任務中に自ら判断した事項が後の紛争の争点になっているか,任務終了からの期間等を具体的に見て判断されるものと整理する。
⑥実務上は,選任された弁護士は同じ紛争で一方当事者から受任しないことを基本とし,相手方となった当事者は早期に異議を述べて訴訟行為の排除を申し立てることが考えられる。

第2 条文の枠組み
1 弁護士法25条と職務基本規程27条
(1) 同意があっても解除されない号

弁護士法25条は,職務を行い得ない事件を1号から9号までに定め,依頼者の同意で禁止が解けるのは3号と9号だけである(同条ただし書)。
1号は「相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件」,4号は「公務員として職務上取り扱つた事件」,5号は「仲裁手続により仲裁人として取り扱つた事件」である。

職務基本規程27条も1号から5号までで同じ構造をとり,同意で解除できるのは3号だけである(同条ただし書)。
同条5号は,弁護士法25条5号の仲裁人を広げ,「仲裁、調停、和解斡旋その他の裁判外紛争解決手続機関の手続実施者として取り扱った事件」を対象にしている。

(2) 4号の「公務員」と5号の「手続実施者」

本書は,職務基本規程27条4号の「公務員」には,弁護士法25条4号の解釈とは別に,法令により公務に従事する者一般が含まれると解すべきであるとする(本書101頁)。
また,本書は,従来4号に当たるとされていた調停委員等は5号の適用を受けるとし,5号の「手続実施者」を,仲裁人,調停委員,斡旋員等,紛争を解決するために中立公正な立場で手続に参与する者と説明する(本書101頁~102頁)。

(3) 明文のない中立的職務

本書は,4号・5号のいずれにも当たらない中立公正な第三者的職務を行った後に何が禁止されるかについては,明文を欠くといわざるを得ないと認めている(本書103頁)。
そのうえで,1号・2号は,調整型の職務で各当事者から受任し又は賛助したような場合には当たり得るが,それ以外の第三者的職務には必ずしも当たらず,3号と職務基本規程28条は第三者的職務をそもそも想定していないとする(本書103頁)。

(続きを読む...)職務代行者・管理人等を務めた弁護士は後にその紛争の代理人になれるか――福岡地裁令和5年8月30日決定と職務基本規程27条・81条(AI作成)

株主代表訴訟で会社の顧問弁護士は被告取締役の代理人になれるか―職務基本規程28条の利益相反,会社の補助参加及び住民訴訟の場合(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 対象,基準日及び主な資料2 結論の要旨第2 株主代表訴訟で会社はどのような立場に立つか1 提訴請求から代表訴訟の提起まで2 会社が訴訟に関与する方法第3 顧問弁護士が被告取締役の代理人になるときの利益相反の構造1 職務基本規程28条2号から見た場合2 職務基本規程28条3号から見た場合3 同意による解除の限界第4 従来の見解と最高裁平成13年1月30日決定1 従来の見解2 最高裁平成13年1月30日決定3 会社法849条による補助参加第5 第4版の立場―補助参加が認められても利益相反は解消されない1 会社の代理人となるべきとする理由2 組織内弁護士の場合3 顧問契約が終わった後の制約第6 住民訴訟で自治体の顧問弁護士は被告の代理人になれるか1 住民訴訟の4類型と被告2 改正前の4号請求と日弁連懲戒委員会の議決3 改正後の4号請求と第4版の見解4 改正後も残る注意点第7 実務上の判断手順1 顧問契約の相手方と関与の経過を確認する2 会社の代理人として関与する3 取締役から依頼されたときの対応4 被告取締役と法務担当者が確認すること5 住民訴訟で依頼を受けたとき第8 確認範囲と残る論点1 資料の性格と確認できなかった事項2 会社側の弁護士が取締役を追及する場面との違い第9 関連記事1 弁護士職務基本規程と利益相反2 株主代表訴訟と住民訴訟第10 出典・参考資料1 法令・会規2 裁判例3 弁護士懲戒の議決例4 文献
第1 本記事の対象と結論
1 対象,基準日及び主な資料
(1) 取り上げる場面

株主が取締役の責任を追及する株主代表訴訟(会社法847条)が起こされると,被告となった取締役から,会社の顧問弁護士に訴訟代理の依頼が来ることがある。
本記事は,この受任が弁護士職務基本規程の利益相反の規律に触れるかを,会社が取締役側に補助参加できるようになった後の議論まで含めて整理する。
あわせて,構造の似た住民訴訟(地方自治法242条の2)で,地方公共団体の顧問弁護士が被告の代理人になれるかも扱う。

(2) 基準日と主な資料

本記事の調査基準日は令和8年9月25日である。
会社法及び地方自治法は同日現在の条文をe-Gov法令検索で,弁護士職務基本規程は日本弁護士連合会関係法規集(令和7年9月1日現在)で確認した。
主な文献は,日本弁護士連合会弁護士倫理委員会編著『解説「弁護士職務基本規程」第4版』(日本弁護士連合会,2026年9月。以下「第4版」という。)である。
第4版は,はしがきで,同書の見解は日弁連の公式見解ではないと明記しており,同書の法令等は令和8年3月1日現在のものである(同書凡例)。
そのため,本記事では,第4版の記述を日弁連の正式な解釈としてではなく,日弁連弁護士倫理委員会が編著した解説書の見解として紹介する。

2 結論の要旨
(1) 株主代表訴訟

第4版は,会社の補助参加が可能になった現在でも,特別の事情がない限り,会社の顧問弁護士は被告取締役の代理人にはなれないという立場をとる(同書122頁~123頁)。
会社の利益を守る役割の顧問弁護士は会社の側に就くべきだという理由による(同書123頁)。
会社に所属する組織内弁護士についても,同書は,同様に取締役からの受任を回避すべきであるとする(同書123頁)。

(2) 住民訴訟

住民訴訟については,第4版の結論は逆になる。
平成14年の地方自治法改正で4号請求の被告が職員個人から執行機関又は職員に改められたことを踏まえ,同書は,特段の事情がない限り,地方公共団体の顧問弁護士が被告代理人となることは許されると解すべきであるとする(同書124頁)。
ただし,同書自身がこの点はいまだ十分に議論されていないと述べており,改正前の代位訴訟については,日弁連懲戒委員会の議決に利益相反の疑いを指摘する有力な意見が付言されたこともある(第6の2で説明する)。

第2 株主代表訴訟で会社はどのような立場に立つか
1 提訴請求から代表訴訟の提起まで
(1) 株主の提訴請求と会社の判断

会社法847条1項は,6か月(定款でこれを下回る期間を定めたときはその期間)前から引き続き株式を有する株主が,会社に対し,役員等(同法423条1項)の責任を追及する訴え等の提起を請求できると定める(公開会社でない会社では保有期間の要件がない。同条2項)。
会社が請求の日から60日以内に訴えを提起しないときは,請求をした株主は「株式会社のために」責任追及等の訴えを提起できる(同条3項)。
会社は,訴えを提起しない場合に,請求をした株主又は責任追及の対象とされた役員等から請求を受けたときは,提訴しない理由を通知しなければならない(同条4項)。
監査役設置会社では,この提訴請求を受けるのは監査役であり(会社法386条2項1号),会社が取締役を訴えるときも監査役が会社を代表する(同条1項1号)。

(2) 顧問弁護士が会社の判断に関わる段階

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弁護士が受任事件を途中で辞任するときのルール――民法651条,職務基本規程41条~45条及び国選弁護人の辞任(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 対象と基準日2 結論の要旨第2 辞任の法的根拠――民法の委任の規定1 弁護士も依頼者もいつでも委任を解除できる2 不利な時期の辞任と損害賠償3 辞任後も残る民法上の義務第3 職務基本規程が定める辞任前後の手順1 信頼関係の喪失(43条)2 受任後の利害対立(42条)3 受任弁護士間の意見不一致(41条)4 辞任後の説明と預り金の返還(44条・45条)第4 東京地裁立川支部平成23年4月25日判決1 事案と判断2 判決の読み方第5 国選弁護人と被害者参加弁護士の辞任1 国選弁護人2 被害者参加弁護士第6 辞任の実務チェック項目1 辞任を考えている弁護士のチェック項目2 辞任を告げられた依頼者の確認事項第7 関連記事第8 出典1 法令・会規2 裁判例・弁護士懲戒3 職能団体の委員会による解説
第1 本記事の対象と結論
1 対象と基準日
(1) 扱う問い

本記事は,弁護士が受任した事件を途中で辞任するときに守るべきルールを,民法の委任の規定,弁護士職務基本規程41条から45条まで,裁判例,日本弁護士連合会(日弁連)の懲戒事件の議決例の順に整理するものである。
想定しているのは,依頼者との関係が行き詰まって辞任を考えている弁護士と,弁護士から辞任を告げられた依頼者である。
国選弁護人と被害者参加弁護士については,辞任の仕組みが私選の代理人と異なるので,第5で別に扱う。
弁護士がそもそも事件を受任しない場合のルールは,「弁護士が事件の依頼を断るときの通知義務」で扱っている。

(2) 基準日と主な資料

法令は,令和8年9月25日現在の条文をe-Gov法令検索で確認した。
弁護士職務基本規程は,日弁連の「日本弁護士連合会関係法規集」(令和7年9月1日現在)で条文を確認した。
解釈については,解説「弁護士職務基本規程」第4版(日本弁護士連合会弁護士倫理委員会編著,2026年9月。以下「本書」という。)を主に参照したが,本書は,初版以来の版と同様に,本書で述べる見解は日弁連の公式見解ではないと明記している(はしがき)。
本書の法令等の基準日は令和8年3月1日である(凡例)。

2 結論の要旨

①委任は各当事者がいつでも解除できるから(民法651条1項),弁護士は辞任すること自体を禁じられてはいないが,依頼者に不利な時期に辞任すれば,やむを得ない事由がない限り損害賠償の問題が生じる(同条2項)。
②依頼者との信頼関係が失われ,かつ,その回復が困難なときは,弁護士は,その旨を説明した上で,辞任その他の事案に応じた適切な措置を採らなければならない(弁護士職務基本規程43条)。
③辞任の前に,信頼関係の回復に努め,依頼者に事態を理解させ,今後の対処法を検討させる機会を保障すべきであるとした裁判例があり(東京地裁立川支部平成23年4月25日判決),本書も43条の解説でこれを紹介している。
④複数の依頼者の間に受任後に利害対立が生じたとき(42条)と,共同受任した弁護士の間で意見が一致しないとき(41条)にも,辞任の前に説明の義務がある。
⑤辞任した後も,処理の状況又は結果の説明(44条)と,金銭の清算及び預り金・預り品の遅滞ない返還(45条)の義務が残る。
⑥国選弁護人は,辞任を申し出ただけでは地位を失わず,裁判所の解任によって地位を失う(最高裁昭和54年7月24日判決の裁判要旨)。
被害者参加弁護士についても,裁判所による選定の取消しという仕組みになっている。

第2 辞任の法的根拠――民法の委任の規定
1 弁護士も依頼者もいつでも委任を解除できる
(1) 民法651条1項の任意解除

弁護士と依頼者との事件の委任契約には,民法の委任の規定が適用される。
民法651条1項は,「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。」と定めており,受任者である弁護士が辞任することは,同項に基づく委任の解除に当たる。
したがって,弁護士の辞任は,理由のいかんを問わず民法上は効力を生じ得る。
ただし,後述する損害賠償の問題と,弁護士職務基本規程上の手順の問題は,これとは別に生じる。

(2) 依頼者から解任する場合

同じ民法651条1項により,依頼者も,いつでも弁護士を解任することができる。

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弁護士が当事者双方のために手続をしてよいか―登記申請・公正証書・即決和解と弁護士法25条1号(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 対象とする場面と基準日2 結論の要点第2 弁護士法25条1号と職務基本規程27条1号の仕組み1 条文と同意で解除できないこと2 禁止の趣旨3 「相手方」「賛助」「依頼を承諾」の意味第3 登記申請の双方代理は原則として許される1 最高裁昭和43年3月8日判決2 同判決の射程と注意点第4 公正証書の作成は1号違反になり得る1 最高裁昭和32年12月24日判決2 判決の事案と第4版の整理の違い3 公正証書が無効になることの重み4 事務所の職員や同じ事務所の弁護士を相手方の代理人にする場合第5 即決和解で相手方の代理人弁護士を選任すること1 起訴前の和解の仕組み2 大阪高裁昭和36年1月28日判決は無効とした3 東京地裁昭和36年8月29日判決は抵触しないとした4 第4版の立場は紹介にとどめること第6 どちらの代理人にもならない調整型の職務1 調整役は双方代理ではない2 引き受ける前に考慮する6つの要素3 受任時の説明と利害対立後の措置4 日弁連綱紀審査会平成26年10月14日議決第7 25条1号に違反した場合の効果1 訴訟行為は相手方の異議で排除される2 訴訟外の手続の効力3 懲戒第8 実務上の確認事項1 依頼を受けた弁護士が確認すること2 相手方の弁護士から手続を任せるよう言われた方が確認すること第9 関連記事第10 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 弁護士懲戒手続の議決例4 日弁連の会規5 文献
第1 この記事の対象と結論
1 対象とする場面と基準日

本記事は,登記申請,公正証書の作成及び即決和解(起訴前の和解)のように当事者双方が関わる手続を弁護士が扱う場面について,弁護士法25条1号及び弁護士職務基本規程27条1号との関係を整理するものである。
想定しているのは,一方当事者から依頼を受けた弁護士が相手方の側の手続まで引き受けてよいかを判断する場面と,相手方の弁護士から「手続はこちらでまとめてやる」と言われた一般の方が任せてよいかを判断する場面である。
法令及び日弁連の会規は,令和8年9月25日時点の内容を確認した。

主要文献は,日本弁護士連合会弁護士倫理委員会編著『解説「弁護士職務基本規程」第4版』(日本弁護士連合会,2026年9月。以下「第4版」という)である。
第4版は,はしがきで,同書の見解は日弁連の公式見解ではないと明記している。
本記事では,判例,懲戒手続の議決及び第4版の見解を区別して記載する。

2 結論の要点

場面ごとの結論は次のとおりである。
①登記申請で弁護士が登記権利者と登記義務者の双方の代理人になることは,特段の事由がない限り弁護士法25条1号に違反しない(最高裁昭和43年3月8日判決)。
②一方の依頼を受けて相手方と協議し契約を成立させた弁護士が,その後に相手方の代理人として同じ内容の公正証書を作成することは同号に違反し,依頼者の同意があっても許されず,その公正証書は無効である(最高裁昭和32年12月24日判決)。
③公正証書の作成で,弁護士が一方の代理人となり,自分の事務所の職員を他方の代理人にすることも,第4版は利益相反になると解すべきとする。
④即決和解で弁護士が相手方の代理人となる弁護士を選任することについては,無効とした高裁判決と抵触しないとした地裁判決があり,第4版は1号に当たると解して紹介にとどめるべきとする。
⑤どちらの代理人にもならない調整役は双方代理ではないが,第4版は,調整が失敗したら辞任し,以後その事件でどちらの代理人にもならないとする。
⑥訴訟で1号に違反する代理人がした訴訟行為は,相手方が異議を述べて排除を求めることができるが,違反を知り又は知ることができたのに異議を述べないまま第二審の口頭弁論が終結すると完全に有効になる(最高裁大法廷昭和38年10月30日判決)。

第2 弁護士法25条1号と職務基本規程27条1号の仕組み
1 条文と同意で解除できないこと
(1) 弁護士法25条1号

弁護士法25条は,弁護士が職務を行ってはならない事件を列挙している。
その1号は,「相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件」である。
同条ただし書により依頼者の同意で禁止が解除されるのは3号と9号だけであり,1号は同意があっても解除されない。

(2) 職務基本規程27条1号

弁護士職務基本規程27条1号は,弁護士法25条1号と同じ文言で同じ事件を禁止している。
同規程27条ただし書で同意による解除が認められるのは3号だけである。
第4版は,複数の依頼者の間の利益相反のうち,依頼者の同意があっても職務を行えないのは,利益相反の典型例である同一事件型(27条1号・2号)の場合であると説明している(第4版92頁)。
職務基本規程の全体像は,弁護士職務基本規程の現行条文と判例上の位置付けで整理している。

2 禁止の趣旨

最高裁大法廷昭和38年10月30日判決は,同号の趣旨を,先に弁護士を信頼して協議又は依頼をした相手方の信頼を裏切ることを防ぎ,弁護士の品位の失墜を防ぐことにあるとした。

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成年後見人・後見監督人だった弁護士は被後見人の相続で一部の相続人の代理人になれるか――日弁連の議決例と遺言執行者との違い(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 結論の要旨2 対象,基準日及び資料第2 遺言執行者と後見人・後見監督人の違い1 遺言執行者に求められる中立性2 後見人と後見監督人の法的地位第3 日弁連の議決例の流れ1 京都の事案の日弁連綱紀委員会議決(懲戒審査相当)2 同じ事案の日弁連懲戒委員会議決(戒告の取消し)3 大阪の事案の日弁連懲戒委員会議決(異議棄却)4 議決例の到達点と根拠規定第4 非行となり得る2つの場合1 後見中の不正を隠す目的での受任2 後見人でなければ知り得なかった事実の利用第5 後見監督人に求められるより強い公正性1 日弁連綱紀委員会平成26年5月21日議決2 日弁連綱紀審査会平成27年1月20日議決と反対意見第6 元後見人が相続人全員の依頼で遺産分割を調整する場合1 調整役を引き受けるときの考慮要素2 調整の失敗後に一部の相続人の代理人になった議決例第7 実務上の注意1 後見中から推定相続人との連絡の偏りを避ける2 後見の計算と引継ぎを先に終える3 受任するかどうかの判断項目4 受任時の依頼者への説明5 相続人の側から見た対応6 令和8年改正法との関係第8 関連記事第9 出典1 法令・会規2 裁判例3 弁護士懲戒の議決例4 文献
第1 本記事の対象と結論
1 結論の要旨
(1) 成年後見人だった弁護士

成年後見人だった弁護士が,本人(被後見人)の死亡後に一部の相続人の代理人になることは,それだけで直ちに弁護士としての非行に当たるわけではない。
日弁連懲戒委員会平成25年2月12日議決(弁護士懲戒事件議決例集第16集3頁)は,遺言執行者と成年後見人とは法的に異なる立場にあるとして,元後見人が一部の相続人の代理人になった事案で京都弁護士会がした戒告処分を取り消した。
ただし,同議決には非行に当たるとする反対意見があり,同議決自身も,後見中の不正を隠す目的で受任する場合と,後見人でなければ知り得なかった事実を依頼者のために利用する場合を,非行が問題となる場合として挙げている。
同じ事案で,それ以前に日弁連綱紀委員会は懲戒審査相当と議決しており,議決例の判断は一様ではない。

(2) 後見監督人だった弁護士と遺言執行者との比較

後見監督人だった弁護士については,日弁連綱紀委員会平成26年5月21日議決(同第17集111頁)が,後見人と後見監督人は職務の公正さがより強く求められる関係にあるとして,後見人だった相続人の代理人になることは原則として相当でないとした。
もっとも,同議決は事案の具体的な事情から非行があったとまではいえないとし,日弁連綱紀審査会平成27年1月20日議決(同第18集147頁)もこの結論を維持したが,同審査会の議決には非行に当たるとする反対意見が付されている。
これに対し,遺言執行者が一部の相続人の代理人になることは,遺言執行の終了の前後を問わず,特段の事情のない限り差し控えるべきであるとするのが,解説「弁護士職務基本規程」第4版の立場である。

2 対象,基準日及び資料

本記事は,弁護士が家庭裁判所から成年後見人又は成年後見監督人に選任されて職務を行い,本人が死亡した後に,一部の相続人から遺産分割等の依頼を受ける場面を扱う。
記載は令和8年9月25日を基準日とし,民法及び弁護士法は同日時点でe-Gov法令検索に掲載されている現行の条文を確認した。

主要文献は,解説「弁護士職務基本規程」第4版(日本弁護士連合会弁護士倫理委員会編著,2026年9月)であり,同書の凡例によれば法令等の基準日は2026年3月1日である。
同書は,はしがきで,同書に述べられた見解は日弁連の公式見解ではないと断っている。
懲戒の議決例は,日本弁護士連合会が発行する弁護士懲戒事件議決例集の原本で,機関,議決日,事案及び判断を確認した。
議決例は裁判例ではなく,弁護士会の懲戒手続における綱紀委員会,懲戒委員会又は綱紀審査会の判断である。

なお,令和8年6月24日に公布された民法等の一部を改正する法律(令和8年法律第45号)により,成年後見は補助に一本化される予定である。
本記事の議決例はいずれも改正前の成年後見の事案であり,改正との関係は第7の6で扱う。

第2 遺言執行者と後見人・後見監督人の違い
1 遺言執行者に求められる中立性
(1) 民法1012条・1015条と平成30年改正

民法1012条1項は,遺言執行者が遺言の内容を実現するため遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有すると定め,同条3項は受任者の善管注意義務を定める民法644条等を準用している。
民法1015条は,遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は,「相続人に対して直接にその効力を生ずる」と定める。
同条は,平成30年法律第72号による改正前は遺言執行者を相続人の代理人とみなす旨を定めており,後記の議決例も改正前の同条を前提にしている。
解説「弁護士職務基本規程」第4版115頁は,この改正によって,遺言執行者は相続人の代理人ではなく,遺言者の意思をその死後に実現することを職務とすることが明確にされたと説明する。

(2) 東京高裁平成15年4月24日判決と日弁連の議決例

東京高裁平成15年4月24日判決(平成13年(行ケ)第532号,判例時報1932号80頁)は,遺言執行者は,相続人の代理人とする見解に立つか否かを問わず善管注意義務を負い,中立的な立場で任務を遂行すべきであるとした。

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相手方に代理人がいるとき弁護士は本人と直接交渉してよいか-弁護士職務基本規程52条の要件と懲戒例(AI作成)

目次第1 結論と本記事の範囲1 結論2 基準日と資料の位置付け第2 52条の条文,沿革及び趣旨1 条文と沿革2 趣旨第3 「法令上の資格を有する代理人」の範囲1 弁護士以外で当たる資格者2 当たらない代理人と権限が問題になる場合第4 「交渉」に当たる行為と当たらない行為1 交渉の意味と方法2 一方的な通知と交渉に至らない連絡第5 相手方代理人の承諾と「正当な理由」1 相手方代理人の承諾2 「正当な理由」第6 相手方本人からの求めと依頼者本人どうしの交渉1 相手方本人から直接の交渉を求められた場合2 依頼者本人どうしの交渉への関与第7 懲戒例1 内容証明郵便の直接送付(日弁連綱紀委員会平成22年11月17日議決)2 本人どうしの合意書作成への関与(日弁連懲戒委員会平成23年7月11日議決)3 面会交流の日程調整メール(日弁連懲戒委員会平成27年2月9日議決)4 懲戒処分の公告に見る例第8 実務上のチェック項目1 弁護士が確認すること2 相手方の弁護士から直接連絡が来た方へ第9 関連記事第10 出典
第1 結論と本記事の範囲
1 結論

相手方に弁護士その他の法令上の資格を有する代理人が付いた後の対応について,結論を先に示すと次のとおりである。
①弁護士は,正当な理由がない限り,相手方代理人の承諾を得ずに相手方本人と直接交渉してはならない(弁護士職務基本規程52条)。
②「法令上の資格を有する代理人」には,弁護士のほか,その権限の範囲内で交渉を代理できる司法書士,弁理士,外国法事務弁護士等が含まれるが,資格のない家族や知人は含まれない。
③面談だけでなく,電話,メール及び文書の送付も「交渉」になり得るが,契約解除通知のような一方的な通知は直接交渉に当たらない。
④相手方代理人の承諾は口頭でもよいが,その範囲は承諾の内容で決まり,相手方代理人から相手方本人を直接説得してほしいと言われたという弁護士の主張について,仮にそのような発言があったとしても承諾には当たらないとした議決例がある。
⑤相手方本人から直接の交渉を求められても,応じるべきではないと解されている。
⑥依頼者本人どうしの交渉を放置しただけでは52条違反にならないが,本人どうしの合意書を作って交付した弁護士が戒告を受けた議決例がある。

2 基準日と資料の位置付け
(1) 基準日と想定する読者

本記事は,令和8年9月25日を基準日として,弁護士職務基本規程52条(相手方本人との直接交渉)の要件,解釈及び懲戒例を整理するものである。
受任中に相手方本人へ連絡してよいかを確かめたい弁護士と,相手方の弁護士から直接連絡を受けて戸惑っている方の双方を読者として想定している。
規程の全条文は弁護士職務基本規程-現行条文,82条及び判例上の位置付けに掲載している。

(2) 解説書と議決例の位置付け

解釈の主な手掛かりは,日本弁護士連合会弁護士倫理委員会編著『解説「弁護士職務基本規程」第4版』(日本弁護士連合会,2026年9月)である。
同書は,法令等を令和8年3月1日現在のものとしており(凡例),その見解は日弁連の公式見解ではないと自ら明記している(はしがき)。
懲戒例は,日本弁護士連合会『弁護士懲戒事件議決例集』の原本で事案と判断を確認した3件の議決を用いる。
議決例は裁判例ではなく,綱紀委員会又は懲戒委員会が個別の事案について判断したものであるから,その射程は事案の具体的事情に即して読む必要がある。

第2 52条の条文,沿革及び趣旨
1 条文と沿革

現行の52条と関連する82条等の本文は,弁護士職務基本規程の現行条文・条文別索引から確認できる。

(1) 現行の条文

52条は,「弁護士は、相手方に法令上の資格を有する代理人が選任されたときは、正当な理由なく、その代理人の承諾を得ないで直接相手方と交渉してはならない。」と定めている。
規程82条2項は,行動指針又は努力目標として解釈すべき規定を列挙しているが,52条はそこに含まれていないから,52条は行動指針又は努力目標にとどまる規定ではない。
これに対し,後に触れる5条(信義誠実)及び70条(名誉の尊重)は,同項により行動指針又は努力目標として解釈される規定である。

(2) 旧々倫理16条・旧倫理49条からの変化

同じ趣旨の規定は,旧々倫理16条及び旧倫理49条(平成2年3月2日臨時総会決議の「弁護士倫理」)にも置かれていた(前掲解説第4版凡例・175頁)。

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人口減少社会で増える可能性のある法律実務―相続・空き家・成年後見・事業承継・外国人雇用(AI作成)

目次

第1 人口統計は入口であって結論ではない第2 共通する四段階の確認第3 相続人不存在・所有者不明不動産第4 空き家と管理責任第5 成年後見・医療・介護第6 事業承継・廃業第7 外国人雇用第8 裁判所支部と司法アクセス第9 分野ごとの需要と弁護士全体の業務量第10 法律相談の確認表第11 出典・参考資料
第1 人口統計は入口であって結論ではない

人口減少と高齢化は,相続,空き家,成年後見,事業承継,外国人雇用及び司法アクセスに共通する背景である。
しかし,人口統計だけで個別事件の権利義務や法的需要が決まるわけではない。
本記事は,公的統計から相談・立証へ進む際の「証拠の橋渡し」を整理するものであり,各分野の裁判例の検討は含まない。

国立社会保障・人口問題研究所の地域別将来推計人口は,2020年国勢調査を基準に,2050年までの市区町村別人口を男女・5歳階級別に推計している。
地域の年齢構成を検討する資料であり,世帯数や独居の状況は世帯推計など別の資料で補う。

ただし,これは将来推計であり,個々の市区町村の政策,特定の家庭の状況又は個別事件の結果を予言するものではない。
法律実務では,人口指標と,当事者に生じた生活上・事業上の出来事,その法的地位,利用可能な手続を順に結ぶ必要がある。

第2 共通する四段階の確認

人口統計から個別の相談へ進むときは,次の四段階を順に確認する。
①人口・社会指標:人口,年齢構成,世帯数,住宅,事業所,外国人雇用等の変化を確認する。
②具体的な出来事:死亡,認知機能の低下,空き家化,後継者不在,雇用開始等が実際に起きたかを確認する。
③法的地位:相続人,所有者,管理者,成年被後見人,会社・個人事業主,使用者・労働者,在留資格等を確認する。
④手続と証拠:登記,相続財産清算,後見申立て,事業譲渡,雇用管理,訴訟・調停等の選択肢と必要資料を確認する。

人口統計は第1段階の背景資料として有用であるが,第2段階以下を省略する根拠にはならない。

第3 相続人不存在・所有者不明不動産

単身高齢者の増加や親族関係の希薄化は,相続人の調査,遺言,死後事務及び相続財産清算の相談を考える背景となる。
しかし,「独居」であることと「相続人がいない」ことは同じではない。

社人研の2024年の全国世帯推計では,2050年の単独世帯割合は44.3%とされている。
これは全年齢の単独世帯の推計であって,高齢単独世帯の割合でも,相続人がいない人の割合でもない。
相談では,戸籍上の親族関係,同居人,実際の支援者,緊急連絡先,委任の内容,支払口座及び死亡後の引継先を別々に確認する。
緊急連絡先として指定されていることだけから,財産処分や契約解除の代理権があると扱わないことも大切である。

実務では,戸籍による相続関係の調査,遺言の有無,相続放棄,債権債務,不動産・預貯金の管理状況を個別に確認する。
相続人不存在の場合の手続は,相続人がいない場合の相続財産清算人選任申立ての流れで整理している。

第4 空き家と管理責任

総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査では,空き家は900万2千戸であった。
このうち「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は385万6千戸である。

もっとも,900万2千戸の全てを放置空き家,危険家屋又は所有者不明土地と呼ぶことはできない。
賃貸用,売却用,別荘等も空き家総数に含まれるためである。

(続きを読む...)人口減少社会で増える可能性のある法律実務―相続・空き家・成年後見・事業承継・外国人雇用(AI作成)

弁護士が報道機関の取材を受けるときの確認事項―守秘義務,オフレコ及び原稿確認(AI作成)

目次
第1 結論
第2 取材を受ける前に確認する事項
第3 守秘義務と依頼者の意思
第4 オフレコ,匿名及び録音
第5 原稿確認と最高裁平成20年6月12日判決
第6 取材中及び公開後の対応
第7 実務チェックリスト
第8 出典及び関連記事

第1 結論
1 弁護士が報道機関の取材を受ける場合,最初に確認すべきなのは,媒体名,記者名,取材目的,質問事項,回答期限,公表予定日,掲載・放送形態,実名・顔写真・所属の表示及び録音・録画の有無です。
2 取材に応じる義務が当然に生じるわけではありません。依頼者の利益,守秘義務,第三者のプライバシー,係属中の手続への影響及び回答準備の程度を踏まえ,回答する範囲と方法を決めます。
3 「オフレコ」,「匿名」,「背景説明」又は「原稿確認」は,それだけで内容が一義的に決まる言葉ではありません。発言前に,利用範囲,引用の可否,氏名・属性の表示,録音の扱い及び公表前確認の範囲を文章で合意しておくことが重要です。

第2 取材を受ける前に確認する事項
1 少なくとも,次の事項を電子メール等で確認します。
・ 媒体名,番組名又は記事の掲載先
・ 担当記者の氏名,連絡先及び取材主体
・ 取材の目的,想定される論点及び具体的な質問事項
・ 回答期限,公表予定日及び生放送・収録・電話・対面等の形式
・ 弁護士の氏名,事務所名,顔写真,肩書及び発言の表示方法
・ 録音・録画の有無並びに素材の利用範囲
・ 引用部分又は事実関係を公表前に確認できるか
・ 公開後に訂正を申し入れる場合の窓口
2 即答を求められても,事実確認ができていない事項については回答期限を調整し,必要に応じて短い書面回答に切り替えます。依頼者の立場と弁護士個人の一般論を混同させないことも必要です。

第3 守秘義務と依頼者の意思
1 弁護士法23条は,弁護士又は弁護士であった者に対し,職務上知り得た秘密を保持する権利と義務を定めています。取材対象が社会的関心の高い事件であっても,報道機関への説明が当然に許されるわけではありません。
2 公知の事実を述べる場合であっても,依頼者が弁護士に相談した事実,依頼者の意向,未提出の証拠,交渉経過,防御方針,家族・被害者・共犯者その他第三者の情報が結び付くことがあります。情報ごとに,秘密性,依頼者の承諾,第三者の権利及び手続上の不利益を確認します。

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弁護士が懲戒請求を受けたときの初動と綱紀委員会への答弁書の書き方(AI作成)

目次

第1 通知を受けた直後の初動
第2 答弁書の目的と読み手
第3 争点・証拠対応表の作り方
第4 答弁書の基本構成
第5 主位的主張と予備的な情状主張
第6 弁護士職務基本規程82条との関係
第7 提出した答弁書や資料は請求者に開示されるか
第8 答弁期限に間に合わない場合・事情聴取への対応
第9 示談,取下げ及び事後的な改善
第10 不当な懲戒請求への損害賠償との切分け
第11 提出前チェックリスト
第12 資料の裏付け状況と出典

第1 通知を受けた直後の初動

弁護士が懲戒請求を受けた場合,最初に確認するのは,所属弁護士会から届いた通知,回答期限及び請求書の対象事実である。
懲戒請求を受けたこと自体は,懲戒委員会への付議又は懲戒処分の決定を意味しない。

綱紀委員会への答弁書又は弁明書は,同委員会が懲戒委員会に審査を求めることを相当とするかを判断するための資料である。
懲戒事由がないことと,仮に形式的な問題があっても懲戒を要しない事情とを,証拠に結び付けて示す必要がある。

本記事は一般的な実務整理である。
提出期限,書面の名称・部数,請求者への送付又は閲覧,事情聴取,調査依頼及び期限延長の取扱いは単位弁護士会によって異なり得るため,届いた通知と所属会の現行規則を優先する。
綱紀委員会の調査から懲戒委員会の審査へ進む条件と通知後の流れは,弁護士会の懲戒委員会と懲戒手続の記事で説明している。

最初に,通知書,懲戒請求書,添付資料,封筒又は送信記録を一式保存し,受領日,回答期限,事件番号,提出先,必要部数及び提出方法を一覧にする。期限の起算点が到達日か発送日か,休日の場合の扱いがどうなるかを推測で決めてはならない。

次に,対象事件の委任契約書,利益相反確認,面談記録,電子メール,チャット,電話記録,訴訟記録,入出金記録及び業務日誌を保全する。都合の悪い資料を除外せず,当時作成された資料と後日作成した説明資料を区別する。

共同受任者,事務職員又は関係者への聞取りをする場合は,誰が,いつ,何を直接見聞きしたかを分けて記録する。請求者へ直接連絡するかは,紛争の激化,証拠保全及び代理人選任の有無を踏まえて慎重に判断する。

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弁護士が依頼者の本人確認を行う場合―対象業務・令和9年4月1日の確認方法・記録保存(AI作成)

目次第1 弁護士の本人確認はすべての相談で一律ではない1 犯罪収益移転防止法12条と日弁連会規が根拠になる2 すべての法律相談が対象になるわけではない3 本人確認とマネー・ローンダリング対策を分けない第2 本人特定事項等の確認が必要になる主な業務1 200万円以上の資産管理行為等2 特定の取引等の準備又は実行3 疑わしい態様は対象を広げる第3 確認する事項1 自然人の依頼者2 法人又は団体の依頼者3 実質的支配者第4 令和9年3月31日までの確認方法1 対面での自然人確認2 非対面・オンラインでの自然人確認3 法人確認と依頼権限第5 確認記録と取引記録1 確認記録を作る2 取引記録も別に作る3 保存期間は終了後5年間である第6 疑わしい取引への対応1 弁護士に金融機関と同じ届出義務をそのまま課す制度ではない2 依頼前と受任後で対応を分ける第7 令和9年4月1日からの本人確認方法1 日弁連規程・規則が改正された2 対面はICチップ情報の読取りが中心となる3 非対面は電子的確認へ移行する第8 法律事務所の確認表1 受任・業務開始時2 記録・保存時3 年次点検第9 出典・確認範囲1 法令及び日弁連公開規程2 令和9年見直しの公開資料3 一次資料で確認できる範囲と限界
第1 弁護士の本人確認はすべての相談で一律ではない
1 犯罪収益移転防止法12条と日弁連会規が根拠になる

犯罪による収益の移転防止に関する法律12条は,弁護士等の本人特定事項の確認,確認記録・取引記録の作成保存等に相当する措置について,特定事業者の例に準じて日本弁護士連合会の会則で定めるとする。
現在の具体的な義務は,日弁連の「依頼者の本人特定事項等の確認及び記録保存等に関する規程」及び同規則によって確認する必要がある。
金融機関等に適用される犯罪収益移転防止法の本人確認方法を,そのまま弁護士の全業務へ当てはめるものではない。

2 すべての法律相談が対象になるわけではない

本人特定事項等の確認が必要になるのは,規程が定める資産管理行為等又は特定の取引等の準備・実行を行う場面である。
単に初回相談を受けたという理由だけで,同規程上の詳細な確認義務が常に発生するわけではない。
ただし,利益相反確認,連絡先確認,委任契約,弁護士職務基本規程その他の理由から,対象業務以外でも依頼者情報を確認することはある。

3 本人確認とマネー・ローンダリング対策を分けない

本人確認書類を取得するだけでは十分でない。
依頼の目的,職業又は事業内容,実質的支配者,資金・資産の流れ及び不自然な点を確認し,必要に応じて依頼を受けないこと又は辞任することまで含む仕組みである。

第2 本人特定事項等の確認が必要になる主な業務
1 200万円以上の資産管理行為等

法律事務に関連して,依頼者の金融機関口座を管理する場合又は依頼者から若しくは依頼者のために合計200万円以上の金員,有価証券その他の資産を預かり,若しくは管理する場合が対象になる。
送金を伴う預り金も含まれる。
もっとも,裁判所等への予納・供託,裁判手続等による弁済金・和解金の受領,刑事事件の被害弁償金の預託,報酬・費用の前受けその他規程が列挙する場合には適用除外があるので,条文に即して確認する。

2 特定の取引等の準備又は実行

主な対象は,次のとおりである。
①不動産の売買。
②会社設立又は経営を目的とする出資その他の資金拠出。
③会社の組織変更,合併,会社分割,株式交換,株式移転又は目的変更。
④会社の業務執行者又は代表者の選任。
⑤会社以外の法人,組合,匿名組合,投資事業有限責任組合その他の団体の設立又は合併。
⑥団体の目的変更又は業務執行者・代表者の選任。
⑦信託の設定,併合,分割,目的変更又は受託者変更。
⑧会社の買収又は売却。

3 疑わしい態様は対象を広げる

取引資産が犯罪収益である疑いがある場合,依頼者が犯罪収益の隠匿等を行っている疑いがある場合又は同種の取引と著しく異なる態様で行われる場合も,規程上の確認対象になる。

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こども性暴力防止法の施行と弁護士の役割―事業者側助言・こども側代理・聴き取りの注意点(AI作成)

目次第1 こども性暴力防止法とこの記事の結論1 令和8年12月25日から施行される2 弁護士の役割は一つではない3 公開資料だけを根拠とする第2 事業者側弁護士が最初に整理する事項1 法の対象と事業者の区分を確認する2 初動を「聴き取り」だけにしない3 担当者,指揮系統及び記録を決める4 施行前に報告・対応ルールを決める第3 こどもへの聴き取りに先立つ安全確保1 現在の危険から離す2 医療と証拠保全を遅らせない3 外部機関との役割分担を決める第4 こどもへの聴き取りの注意点1 聴き取りの目的を限定する2 誘導を避け,自由な説明を尊重する3 聴取回数と参加者を絞る4 録音・録画は目的と負担を確認する第5 事業者側弁護士とこども側弁護士の役割分担1 事業者側弁護士の役割2 こども側弁護士の役割3 必要に応じて代理人を分ける4 従事者から相談を受けた場合第6 情報管理,労務対応及び説明1 情報共有は必要性と権限で判断する2 安全確保と懲戒判断を分ける3 こども・保護者への説明事項を記録する第7 弁護士が使う初動確認表1 事業者側の確認事項2 こども側の確認事項第8 出典・確認範囲1 法令及びこども家庭庁資料2 確認していない事項
第1 こども性暴力防止法とこの記事の結論
1 令和8年12月25日から施行される

こども性暴力防止法の正式名称は,「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」であり,令和6年法律第69号として公布された。
同法は,令和8年12月25日から施行される。
学校設置者等には法定の措置が義務付けられ,学習塾等の民間教育保育等事業者については,認定を受けた事業者に同等の措置が求められる仕組みである。

2 弁護士の役割は一つではない

性暴力の疑いが生じた場面で,弁護士は,事業者側で初動,調査,安全確保,関係機関との連携及び労務対応を助言する場合と,こども又は保護者の側で権利擁護,意思確認,被害申告及び支援機関との連携を担う場合がある。
事業者側の事実確認と,こどもの安全・回復のための支援は,目的も担当者も一致するとは限らない。
同じ弁護士が双方の立場を曖昧に担当すると,利益相反や,こどもが事業者の調査へ協力することを当然視する危険が生じるので,受任主体,依頼目的,情報共有の範囲及び意思決定者を最初に明確にする必要がある。

3 公開資料だけを根拠とする

本記事は,令和8年10月8日現在の法令,こども家庭庁の指針,Q&A及び公開研修資料に基づく。
個別の被害事案や関係者名は扱わず,公開資料から一般化できる実務上の確認事項だけを記載する。
制度の対象事業者,対象従事者,主な義務及び施行準備の全体像は,こども性暴力防止法とは―日本版DBSの対象・義務・令和8年12月25日の施行準備で整理している。

個別案件では,対象事業,施行時期,所管行政庁,警察・児童相談所への連絡,労働法上の措置及び証拠保全を,最新の公式資料と当該事案の事情に即して確認する必要がある。

第2 事業者側弁護士が最初に整理する事項
1 法の対象と事業者の区分を確認する

最初に,事業者が学校設置者等に当たるのか,民間教育保育等事業者に当たるのか,後者であれば認定を受けているのか又は受ける予定があるのかを確認する。
同じ法人が複数の事業を行う場合,施設又はサービスごとに法の対象範囲が異なることがあるので,法人名だけで判断しない。
従事者の職名ではなく,実際に児童等へ提供する役務,接触の態様及び法令上の区分を確認する。

2 初動を「聴き取り」だけにしない

こども家庭庁の公開資料は,こどもへの聴き取りに先立ち,警察への通報・相談,所管行政庁への相談及び専門家への相談を検討するよう求めている。
したがって,事業者が最初に行うべき作業は,詳しい供述を直ちに取り切ることではない。
①現在も接触の危険があるか,②緊急の医療が必要か,③証拠が失われるおそれがあるか,④警察,児童相談所又は所管行政庁へいつ連絡するか,⑤誰がこどもと保護者へ説明するかを先に整理する。

3 担当者,指揮系統及び記録を決める

事業者内部では,安全確保,関係機関への連絡,こども・保護者対応,従事者対応,労務判断及び広報対応の担当を分ける。
弁護士は,誰が最終判断を行うのか,どの情報を誰へ共有するのか,時刻を含む初動記録を誰が作成するのかを確認する。
関係者が独自に繰り返し質問すると,こどもの負担を増やし,記憶や供述の評価を難しくすることがあるので,連絡経路を一本化する必要がある。

4 施行前に報告・対応ルールを決める

施行前には,疑いを把握した従事者が報告するためのルールと,報告を受けた組織が対応するためのルールを分けて整える。

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Google Maps・Google Earth・Street Viewを資料・ブログ・動画で使う条件-印刷,埋込み,スクリーンショット及び広告(AI作成)

目次第1 結論1 三つの製品を同じルールで扱わない2 迷ったときの安全な順序第2 最初に確認する法的な層1 日本の著作権法とGoogleの利用条件を分ける2 Googleの「fair use」という説明を日本法の引用と混同しない3 利用時点の版と証拠を保存する第3 媒体別の早見整理1 印刷資料2 ウェブサイト及びアプリ3 デジタル広告及びSNS4 テレビ,映画及びオンライン動画第4 Google Mapsの具体的な使い方1 法律事務所内の検討資料及び依頼者向け資料2 事務所案内,セミナーチラシ及び名刺3 スクリーンショットへの書込み第5 Google Earth及び衛星画像の注意点1 研究・教育と営業・販売促進を分ける2 衛星表示をGoogle Mapsの通常地図と同一視しない3 3Dモデルその他の派生利用をしない第6 Street Viewの注意点1 印刷及びスクリーンショットは禁止されている2 ウェブでは埋込み又はAPIを使う3 人物・住居・車両等のプライバシーを別に確認する第7 裁判資料及び法律事務所での利用例1 準備書面・証拠説明資料へ場所を示す場合2 講演資料及び配布レジュメ3 法律事務所ブログ及びSNS第8 帰属表示と画像加工1 表示中のGoogle及び第三者提供者を残す2 切除・隠蔽・末尾への移動をしない3 APIでは新しいGoogle Maps表示要件を確認する第9 掲載・配布前のチェックリスト1 対象と媒体2 取得・加工・帰属表示3 内容の正確性と第三者権利第10 確認結果の位置付け1 確認できたこと2 確認していないこと第11 関連する山中弁護士ブログの記事1 リンク・埋込みと著作権2 資料作成一般の権利処理第12 出典1 Googleの公式条件2 日本法の一次資料・公的資料
第1 結論
1 三つの製品を同じルールで扱わない

Google Maps,Google Earth及びStreet Viewは,いずれも地理情報を表示するサービスであるが,Googleが公表する利用条件は同じではない.
弁護士が準備書面,証拠説明資料,依頼者向け資料,講演資料,ブログ,SNS又は動画で地図画像を使うときは,①製品,②通常地図・航空写真・衛星画像・Street Viewの別,③印刷・ウェブ・動画等の媒体,④商業又は販売促進目的,⑤埋込み・リンク・スクリーンショット・APIの別,⑥表示される帰属表示を固定して判断する必要がある.

Googleの現行Geo Guidelinesを大づかみに整理すると,Google Mapsは一定の印刷,ウェブ埋込み及び非販売促進のオンライン動画で利用しやすい一方,Google Earthは商業又は販売促進目的での利用が強く制限され,Street Viewは印刷利用及びスクリーンショットの切出しが認められていない.
「Googleの地図だから使える」,「出典を書けば足りる」,「裁判資料だから自由に使える」という一括判断はできない.

2 迷ったときの安全な順序

場所又は経路を知らせるだけなら,第一にGoogle Mapsへの通常のリンク又はGoogleが提供する埋込み機能を検討する.
紙面では短縮リンク又はQRコードでGoogle Mapsの場所へ誘導する方法も,Googleが許容例として挙げている.

画像が本当に必要な場合は,Google Mapsの通常地図を基本とし,利用目的に必要な範囲でスクリーンショット又はGoogle提供機能を使い,画面に表示されたGoogle及び第三者データ提供者の帰属表示を残す.
Google Earth又は衛星画像は商業・販売促進用途かを先に確認し,Street Viewは画像を切り出さず,ウェブでは埋込み又はAPI,映像では端末上の製品をそのまま操作する場面に限定する.

本記事は令和8年9月16日現在のGoogle公式ページ及び日本の著作権法を基準にしている.
Googleの規約及びガイドラインは変更され得るため,実際の利用直前に対象製品,媒体及び表示中の帰属表示を再確認する必要がある.

第2 最初に確認する法的な層
1 日本の著作権法とGoogleの利用条件を分ける

著作権法10条1項6号は,地図及び学術的な性質を有する図面,図表,模型その他の図形の著作物を例示している.
地理上の位置,道路の存在,距離その他の事実それ自体と,情報の取捨選択,縮尺,記号,配色,注記,写真又は画像の表現は分けて考える必要がある.

スクリーンショットの保存又は印刷は複製権,ブログ掲載は公衆送信権,加工又は大幅な描き替えは翻案権又は同一性保持権との関係が問題となり得る.
引用その他の権利制限が成立する場合はあるが,画像を装飾又はアイキャッチとして置くことは,説明・批評・検証のための引用であるとの説明が難しい.

これに対し,GoogleのGeo Guidelines,Google Maps追加利用規約,Google Earth追加利用規約及びGoogle Maps Platformの規約・技術文書は,Googleが提供する製品を利用する際の許諾・契約・運用条件である.
日本法上の権利制限規定とGoogleの条件は別の層であり,一方の確認だけで他方の問題がなくなるわけではない.

2 Googleの「fair use」という説明を日本法の引用と混同しない

GoogleのGeo Guidelinesは,米国法上のfair useその他の各国の類似概念により利用できる場合があると説明し,Google自身はfair useに該当するか判断できないとしている.
日本で利用する場合は,この記載自体が著作権法32条の引用を認めるものではない.

引用を根拠とするときは,公表された著作物であること,公正な慣行に合致すること,引用目的上正当な範囲であること,本文と引用部分を明確に区別すること,自分の説明が実質的な本体であること及び著作権法48条による出所明示を確認する.
契約への同意,APIの利用条件,技術的制限及び帰属表示は,法定引用とは別に検討する.

3 利用時点の版と証拠を保存する

令和8年9月16日確認時点で,Google Maps End User Additional Terms of Serviceは令和8年1月27日最終更新,Google Earth End User Additional Terms of Serviceは令和7年6月4日最終更新と表示されている.
Geo Guidelinesには媒体別の具体例があり,Google Maps Platformのサービス別条件及びAPIの表示要件は別ページで更新されている.

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弁護士の預り金口座に対する差押えと信託財産性-最高裁令和8年1月20日判決(AI作成)

目次第1 最高裁令和8年1月20日判決の位置付け1 判決の書誌2 職務上の分別管理と信託法上の効果は別問題である3 最高裁平成15年判決との関係第2 事案の概要1 預り金口座と差押え2 信託契約の終了等に関する争い第3 原審と最高裁多数意見1 原審の判断2 信託目的について具体的な主張が必要であること3 分別管理だけでは足りないこと第4 判断基準時1 事実審口頭弁論終結時が基準となる2 差押え後の事情も審理対象となる第5 補足意見及び個別意見1 秘密保持義務と主張立証2 個別意見が示した信託成立の考え方第6 預り金規程と法律事務所の実務1 令和8年6月1日施行の改正規程2 日常管理で保存すべき事項3 口座名義だけに依存しない第7 差押えを受けた場合の対応1 確認する事項2 守秘義務に配慮した証拠提出第8 本判決の射程と未確認事項1 本判決が確定した事項2 差戻審及び判例評釈第9 関連記事1 本ブログの関連記事第10 出典1 判決及び法令2 弁護士職務規程
第1 最高裁令和8年1月20日判決の位置付け
1 判決の書誌

最高裁令和8年1月20日第三小法廷判決(令和5年(受)第2245号・第三者異議事件)は,弁護士名義の預り金口座に対する差押えについて,預金債権が信託財産に属するかが争われた事件である。
最高裁は原判決を破棄し,事件を東京高等裁判所に差し戻した。

本判決の要点は,①弁護士が依頼者から預かった金員であること及び分別管理していることだけで,信託目的の合意が具体的に主張されたことにはならないこと,②信託財産該当性は事実審の口頭弁論終結時を基準として判断されることにある。

2 職務上の分別管理と信託法上の効果は別問題である

弁護士職務基本規程38条及び日本弁護士連合会の預り金等の取扱いに関する規程は,依頼者等から預かった金員の目的外使用を防ぎ,弁護士の固有財産と区別して管理するための職務上の規律を定めている。

これに対し,預金債権が信託法上の信託財産に属し,弁護士個人の債権者による強制執行に対抗できるかは,信託契約の成立要件及び信託財産の帰属を検討する私法上の問題である。
職務規程を遵守していることは重要な事情であるが,それだけで第三者との関係でも当然に信託財産となるわけではない。

3 最高裁平成15年判決との関係

最高裁平成15年6月12日判決(平成13年(行ヒ)第274号,民集57巻6号563頁)は,債務整理事務の費用に充てるため弁護士があらかじめ受けた500万円を民法649条の前払費用とし,弁護士名義で開設され,弁護士が通帳及び届出印を管理していた口座の預金債権を弁護士に帰属させた。

平成15年判決は,前払費用と当該口座の具体的な事実関係に即して預金債権の帰属を判断したものであり,全ての「預り金」又は概算実費が当然に弁護士へ帰属するという判示ではない。補足意見は信託構成の余地を指摘したが,同事件では信託の主張立証がなかった。

令和8年判決は,預り金口座について信託財産性と第三者異議が争われ,信託目的の具体的主張及び事実審口頭弁論終結時を基準とする判断を求めた事件である。両判決は,金員の契約上の性質,口座開設・管理の事実,信託の主張立証及び判断基準時が異なり,矛盾するものではない。実務では,まず金員を前払費用,報酬,預り金その他に分類し,預金債権の私法上の帰属と職務規程上の分別管理・精算義務とを分けて検討する必要がある。

第2 事案の概要
1 預り金口座と差押え

原審が確定した事実によれば,被上告人である弁護士は,職務に関して預かり保管する金員を管理するため,「預かり金口 弁護士X」名義の普通預金口座を開設していた。
上告人は,この弁護士に対する婚姻費用分担金の支払を命ずる審判を債務名義として,弁護士が銀行に対して有する預金債権を2回差し押さえた。

差押え時における預金債権の全部は依頼者からの預り金を原資とし,弁護士報酬の振込口座等とは分けて管理されていた。
弁護士は,預り金を信託財産とする信託契約が成立しており,信託法23条5項に基づき強制執行は許されないと主張して第三者異議の訴えを提起した。

2 信託契約の終了等に関する争い

上告人は,信託契約の具体的内容が主張されていないと争った。
また,差押え後に弁護士が業務停止2月の懲戒処分を受けたことなどにより,仮に信託契約が成立していても終了し,預金債権が弁護士の固有財産になっているとも主張した。

したがって,本件では,差押え時に預り金のみが入金され分別管理されていたという事実だけでなく,信託契約の成否と,差押え後の事情をどの時点まで考慮するかが問題となった。

第3 原審と最高裁多数意見
1 原審の判断

原審は,依頼者からの預り金が弁護士の固有財産から分別して管理されている限り,預り金を信託財産とする信託契約が成立していたと評価した。
また,信託財産該当性を差押え時点で判断すべきものとし,その後に信託契約が終了したとしても結論を左右しないとして,弁護士の請求を認容した。

2 信託目的について具体的な主張が必要であること

最高裁多数意見は,信託契約の成立には,特定の財産を一定の目的に従って管理又は処分するという信託目的についての合意が必要であることを前提とした。

(続きを読む...)弁護士の預り金口座に対する差押えと信託財産性-最高裁令和8年1月20日判決(AI作成)

弁護士報酬の請求と懲戒――時間制報酬・過大請求・預り金からの控除をめぐる懲戒例と日弁連の取消裁決(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論第2 報酬に関する規律1 弁護士法による懲戒2 弁護士職務基本規程3 弁護士の報酬に関する規程第3 報酬の請求が懲戒の対象とされた例1 時間制報酬2 適正かつ妥当な額を超える報酬3 預り金や受領金からの控除4 受任時の説明と委任契約書5 詐欺被害の回復事件の着手金第4 日弁連が処分を取り消し,又は変更した例1 審級ごとに算出した報酬の合算請求2 目的未達の満額請求と審査請求後の和解3 未払報酬と預り金の相殺4 過大報酬とされた着手金と破産申立ての報酬5 法テラスを利用しなかったこと6 異議の申出を受けて処分を重くした例7 裁決等から読み取れること8 別件の預り金からの日当控除と審査後の戒告第5 懲戒手続と報酬の清算1 懲戒は報酬の返還を命じる手続ではない2 紛議調停3 弁護士費用の返還を求めるときは何を整理するか第6 受任時と請求時に確認しておくこと1 依頼者の立場から2 弁護士の立場から第7 関連記事第8 出典1 日弁連の会規2 法令3 懲戒処分及び裁決の公告
第1 この記事の対象と結論

本記事は,弁護士が依頼者に報酬を請求し,又は受領した行為が懲戒の対象となった例と,日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)が弁護士会の懲戒処分を取り消し,又は変更した例を,日弁連の機関誌『自由と正義』に掲載された懲戒処分の公告及び裁決の公告に基づいて整理するものである。
本記事の法令及び会規は令和8年9月13日現在のものである。
公告は処分又は裁決の理由の要旨を記載したものにとどまるため,本記事の記述も公告の記載の範囲に限られる。
個々の弁護士の氏名は,本記事の目的との関係で必要がないため記載しない。

結論は次の4点である。
①報酬をめぐる懲戒例では,額が高いことに加えて,受任時に報酬を説明していない,委任契約書を作成していない,依頼者の了解なく預り金や受領金から報酬を差し引いた,時間制報酬で見込み時間の説明が足りないといった事情が重なっていることが多い。
②他方で,報酬の額が適正かつ妥当な範囲を超えることを主な理由として,弁護士職務基本規程24条違反とされた例もある。
③日弁連は,報酬をめぐる紛争が実質的には依頼者と弁護士の間の民事上の紛争であることや,審査請求後の和解等を考慮して,弁護士会の処分を取り消し,又は軽くした例がある一方で,懲戒請求者の異議の申出を受けて,弁護士会の処分を重くした例もある。
④懲戒は弁護士に報酬の返還を命じる手続ではないため,金銭の清算を求めるには,弁護士会の紛議調停や民事訴訟による必要がある。

第2 報酬に関する規律
1 弁護士法による懲戒

弁護士法56条1項は,弁護士及び弁護士法人は,同法又は所属弁護士会若しくは日弁連の会則に違反し,所属弁護士会の秩序又は信用を害し,「その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。」と定めている。
懲戒は所属弁護士会が行い(同条2項),弁護士に対する懲戒の種類は,戒告,2年以内の業務の停止,退会命令及び除名の4種である(同法57条1項)。
弁護士会の懲戒処分について審査請求があったときは,日弁連は,日弁連の懲戒委員会に事案の審査を求め,その議決に基づいて裁決をしなければならない(同法59条1項)。

後記の公告例の多くは,弁護士職務基本規程や弁護士の報酬に関する規程の条項に違反するとした上で,その行為が弁護士法56条1項の品位を失うべき非行に当たるとしている。
規程の条項を挙げずに,同項の非行に当たるとだけ記載した公告もある。

2 弁護士職務基本規程

受任時に説明する費用,処理方法及び見通しと,受任後の変更時に行う報告・協議については,弁護士の説明義務・報告義務で整理している。
本記事では,その説明や請求が懲戒の対象となった公表事例を扱う。

(1) 報酬の額に関する規律

弁護士職務基本規程(平成16年11月10日会規第70号)24条は,「弁護士は、経済的利益、事案の難易、時間及び労力その他の事情に照らして、適正かつ妥当な弁護士報酬を提示しなければならない。」と定める。
同規程5条は,「弁護士は、真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行うものとする。」と定めており,後記の時間制報酬の例には同条違反とされたものがある。

報酬額について合意があることと,24条に照らして適正かつ妥当な報酬であることは別の問題である。
『解説』第4版85頁は,合意があっても,説明の不十分さや依頼者が得た利益との関係等から,報酬の妥当性が問題となる余地を指摘する。
請求額だけでなく,依頼者の実質的な利益,実際に要した業務,算定方法及び中途終了時の清算条件を確認する必要がある。

他方,同書87頁は,着手金を受け取らず成功時にのみ報酬を請求する完全成功報酬制について,その方式自体を直ちに不適正又は不妥当とは評価しない。
契約内容の十分な説明と,依頼者が得た利益に対する報酬額の妥当性は,引き続き問題となる。
完全成功報酬制と,中途終了等を成功とみなす特約は区別し,後者の効力・適用については委任契約の記事を参照されたい。

(続きを読む...)弁護士報酬の請求と懲戒――時間制報酬・過大請求・預り金からの控除をめぐる懲戒例と日弁連の取消裁決(AI作成)

法律事務所がランサムウェアに感染したときの期限管理―メール不達による期間徒過と知財高裁平成31年3月18日判決(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論の要旨1 本記事が扱う場面2 結論の要旨第2 知財高裁平成31年3月18日判決1 事案2 原審の判断3 控訴審の判断第3 現在の特許手続では基準が変わっている1 特許法48条の3第5項の改正2 適用の時期第4 民事訴訟の期限との関係1 訴訟行為の追完(民事訴訟法97条)2 オンライン申立ての義務の例外(民事訴訟法132条の11第3項)3 システム送達の効力発生第5 ランサムウェア被害を受けた事務所の期限管理1 最初に確かめること2 平時に決めておくこと3 情報が漏えいした場合第6 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 規程
第1 本記事の対象と結論の要旨
1 本記事が扱う場面

本記事は,法律事務所や特許事務所がランサムウェアに感染し,又はメールサーバーが止まって,依頼者や相手方からの連絡を受け取れなかった場合に,手続の期間を守れなかったことが救済されるかを,裁判例と条文に沿って説明するものである。
中心となる裁判例は,代理人の事務所がランサムウェアに感染してメールを受信できず,特許の出願審査請求の期間を徒過した事案について,救済を否定した知的財産高等裁判所平成31年3月18日判決である。
本記事の記載は,令和8年9月28日時点の法令,裁判例及び公表資料に基づく。

2 結論の要旨

①知財高裁平成31年3月18日判決は,仮にランサムウェア感染によってメールを受信できなかったとしても,事務所は受信できなかった可能性のある期間について依頼者側に確認すべきであったとして,特許法(当時)の「正当な理由」を否定した。
②特許の出願審査請求については,令和3年の特許法改正により,令和5年4月1日以後に取り下げたものとみなされた出願から,救済の基準が「故意」でないかどうかに改められているため,同判決の結論をそのまま現在の特許手続に当てはめることはできない。
③民事訴訟では,不変期間を守れなかった場合の訴訟行為の追完(民事訴訟法97条)や,オンライン申立ての義務の例外(同法132条の11第3項)は,「その責めに帰することができない事由」があることを要件としており,事務所側のシステム被害が当然にこれに当たるとはいえないと考えられる。
最高裁は,訴訟代理人やその事務所の者の事情で不変期間を守れなかった場合について,追完を認めていない。
④事務所がランサムウェア被害やメール障害を受けたときは,受信できなかった可能性のある期間を特定し,その間に連絡があり得た相手に確認することが,期限を守るための最初の作業になる。

第2 知財高裁平成31年3月18日判決
1 事案
(1) 出願審査請求の期間の徒過

イタリアに住所を有する大学(在外者)の特許出願について,日本の特許管理人として選任された弁理士の所属する国内の特許事務所(判決は「本件国内事務所」と呼ぶ。)が手続を担当し,現地の代理人事務所(「本件現地事務所」)が出願人との連絡を担当していた。
本件現地事務所は,平成28年4月1日,本件国内事務所に対し,出願審査の請求をするよう指示する電子メールを送信した。
しかし,本件国内事務所は,出願審査請求期間(平成28年5月2日まで)内に請求をせず,特許出願は取り下げたものとみなされた(特許法48条の3第4項)。

(2) ランサムウェア感染の主張

出願人は,本件国内事務所の所内のサーバー及びメールサーバーが平成28年3月28日から同年4月4日までの間,ランサムウェアへの感染により使用できない状況になっており,指示のメールを受信できなかったと主張し,期間内に請求をすることができなかったことについて特許法48条の3第5項の「正当な理由」があるとして,出願審査の請求をした。
特許庁長官がこの請求を却下したため,出願人が却下処分の取消しを求めた。

2 原審の判断

原審の東京地方裁判所平成30年8月30日判決は,「正当な理由」があるときとは,特段の事情のない限り,出願人として相当な注意を尽くしていたにもかかわらず出願審査請求期間の徒過に至ったときをいうとした。
その上で,本件国内事務所の関連会社のサーバーでランサムウェアの感染が問題になったことは認められるとしても,主張された期間に本件国内事務所の所内のサーバー等が使用できない状況になっていたと認めるに足りる的確な証拠はないとした。
さらに,仮に主張どおりの状況があったとしても,サーバーが使用できるようになった時点から期間の終期まで1か月弱あった以上,本件国内事務所は指示のメールが送られていないかを本件現地事務所に確認すべきであり,その時間的な猶予は十分にあったとして,請求を棄却した。

3 控訴審の判断
(1) 電子メールの特性

知財高裁は,原審の判断を維持して控訴を棄却した。
判決は,「電子メールは,相手方への到達が保証されておらず,かつ,送信者が他の手段によることなく相手方への到達を確認することが困難な連絡手段であることは周知の事実である。」と述べている。
その上で,出願審査請求の指示のメールを送った後に到達を確認する手順を踏まない運用は,電子メールの特性を考慮した期間徒過防止の措置を何ら講じていないものであり,本件国内事務所も本件現地事務所も相当な注意を尽くしていたとは認められないとした。

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弁護士情報セキュリティ規程とは―全7条の内容,基本的な取扱方法及び漏えい等事故の対応(AI作成)

目次第1 本記事の対象第2 制定と施行1 制定と施行の日2 規程の名宛人3 規程に違反した場合第3 「情報セキュリティ」と「取扱情報」の定義(2条)1 機密性・完全性・可用性2 取扱情報(1) 紙の記録も含まれる(2) 除かれる情報第4 基本的な取扱方法の策定(3条)1 危険の把握と策定の義務(1) 危険を把握する努力義務(3条1項)(2) 基本的な取扱方法を定める義務(3条2項)2 配慮すべき4つの事項(3条3項)3 策定の実務(1) 日本弁護士連合会のサンプル(2) 書き込んでおくとよい事項4 AIエージェントを使う場合の記載事項5 OS組込みAIとBYODの記載事項6 生成AIの許可サービス台帳と入力情報区分7 トレース及び評価データセットの別管理第5 安全管理措置と事務職員等(4条)1 4つの安全管理措置(1) 規程4条1項の定め(2) 個人情報保護法の安全管理措置との重なり2 事務職員や司法修習生3 研鑽と教育(1) 訓練の評価指標(2) 報告しやすい運用と第三者・委託先への配慮(3) 顔・声による本人詐称への訓練第6 情報のライフサイクル管理と点検・改善(5条・6条)1 作成から廃棄まで(5条)2 点検と改善(6条)第7 漏えい等事故が起きたとき(7条)1 規程7条の定め2 個人情報保護法による報告と本人通知(1) 個人情報保護委員会への報告と本人への通知(2) 依頼者から取扱いの委託を受けた個人データ3 依頼者への報告4 mintsへの誤提出5 生成AI事故の記録票6 事故初動の順序第8 秘密保持義務との関係1 弁護士法23条と弁護士職務基本規程23条2 機密性以外の要素第9 出典・参考資料1 規程・会規2 法令3 日本弁護士連合会・弁護士会の機関紙誌4 生成AIの行政ガイドライン5 サイバーセキュリティ資料
第1 本記事の対象

本記事は,日本弁護士連合会の弁護士情報セキュリティ規程(令和4年6月10日会規第117号)について,全7条の内容,各弁護士に策定が求められる「基本的な取扱方法」及び情報の漏えい等の事故が起きた場合の対応を,条文に沿って説明するものである。
あわせて,弁護士法23条の秘密保持義務,弁護士職務基本規程及び個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という。)との関係を整理する。
本記事の記載は,令和8年9月28日時点で確認できた規程の原文,法令及び公表資料に基づく。
ただし,第7の2(1)の令和8年10月28日の公表は,その後に追記した。

規程の条文は,日本弁護士連合会のウェブサイトで公開されている。
他方,日弁連新聞第601号によれば,日本弁護士連合会は「解説 弁護士情報セキュリティ規程」及び「情報セキュリティを確保するための基本的な取扱方法について」(いずれも2023年3月)等を作成し,会員専用サイトで基本的な取扱方法の例を提供している。
本記事は,これらの会員向け資料の内容には依拠していない。

第2 制定と施行
1 制定と施行の日

規程は,令和4年6月10日の日本弁護士連合会の定期総会で可決された。
日弁連新聞第580号は,討論では規程による義務化への疑問や時期尚早との反対意見が出された一方で,情報セキュリティの確保に組織を挙げて取り組むべきであるとの賛成意見が出され,採決の結果,賛成多数で可決されたと報じている。

規程の附則は,「この規程は、成立の日から起算して二年を超えない範囲内において理事会で定める日から施行する。」と定めている。
令和6年1月19日の理事会決議により,規程は令和6年6月1日から施行された。

2 規程の名宛人

規程1条は,目的について「この規程は、弁護士、弁護士法人、外国法事務弁護士、外国法事務弁護士法人及び弁護士・外国法事務弁護士共同法人(以下「弁護士等」という。)がその職務上取り扱う情報の情報セキュリティを確保するために必要な事項を定めることを目的とする。」と定めている。
義務を負うのは法律事務所ではなく,個々の弁護士等である。
法律事務所の規模は,後述の3条2項において,定める内容を左右する考慮要素として現れる。

3 規程に違反した場合

規程自体には,違反した場合の効果を定める条文はない。
日弁連新聞第601号は,基本的な取扱方法を施行日までに策定することが義務とされており,策定していなければ会規違反になると説明している。

弁護士法56条1項は,弁護士が日本弁護士連合会の会則に違反したことを懲戒事由の一つとしている。
そして,日本弁護士連合会会則29条1項は,「弁護士は、所属弁護士会及び本会の会則、会規及び規則を守らなければならない。」と定めている。
したがって,会規である規程に違反することは,会則29条1項の違反として,弁護士法56条1項の懲戒事由に当たり得ると考えられる。
もっとも,懲戒をするのは所属弁護士会であり(同条2項),実際に懲戒の対象となるかは違反の内容や程度によって判断されることになる。
規程違反を理由とする懲戒の公表例は,本記事では確認していない。

第3 「情報セキュリティ」と「取扱情報」の定義(2条)
1 機密性・完全性・可用性

規程2条1項は,「この規程において「情報セキュリティ」とは、次に掲げる特性が維持された状態をいう。」とし,次の3つを挙げている。

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弁護士が事件の依頼を断るときの通知義務―弁護士法29条・職務基本規程34条とAIによる問い合わせの一次判定(AI作成)

目次第1 本記事の対象1 扱う問い2 結論の要旨第2 受任の諾否の通知を定める規定1 弁護士法29条(依頼不承諾の通知義務)2 弁護士職務基本規程34条(受任の諾否の通知)3 刑事事件の弁護人選任の申出と不受任の通知第3 通知義務の中身1 義務の趣旨2 通知すべき内容と方法3 面識のない者からの依頼第4 受任するかどうかの自由とその例外1 弁護士は依頼を受ける義務を負わない2 弁護士会や官公署から委嘱された事項第5 断る連絡を急ぐべき理由1 期間制限が迫っている相談2 断るときに添えると役立つ事項第6 問い合わせをAIで一次判定する場合1 AIの判定は対応の順番を決める道具にとどめる2 問い合わせ内容を外部のAIに送るときの守秘義務と個人情報3 事務職員に連絡を任せる場合4 電話や電子メールで受任する場合の広告の表示事項5 受付から諾否通知までを状態で管理する第7 関連記事第8 出典・参考資料1 法令2 職能団体の規程3 所管行政機関の資料4 文献
第1 本記事の対象
1 扱う問い

本記事は,弁護士が事件の依頼を受けたときに,受けるか断るかを依頼者へ知らせる義務(受任の諾否の通知)を扱う。
根拠は,弁護士法29条と弁護士職務基本規程34条の二つである。
あわせて,法律事務所がウェブサイトやメールの問い合わせをAI(人工知能)で一次判定する場合に,この義務との関係で何に気を付けるべきかを整理する。
法令及び規程の内容は,令和8年9月13日時点で確認したものである。

2 結論の要旨

弁護士は事件の依頼を受ける義務を負わないが,受けないときは,速やかにその旨を依頼者に知らせなければならない。
日本弁護士連合会の解説書は,知らせる内容は受けるか断るかだけで足り,理由を述べる必要はなく,方法も書面に限られないと説明している。
AIによる判定は対応の順番を決める道具にとどめ,断る判断とその連絡は弁護士の責任で行う形にしておくのが安全だと考えられる。

第2 受任の諾否の通知を定める規定
1 弁護士法29条(依頼不承諾の通知義務)

弁護士法29条は,「弁護士は、事件の依頼を承諾しないときは、依頼者に、すみやかに、その旨を通知しなければならない。」と定める。
法律が直接定める義務であり,同法56条1項は,弁護士がこの法律に違反したときを懲戒の事由の一つとしている。

2 弁護士職務基本規程34条(受任の諾否の通知)
(1) 条文の内容

弁護士職務基本規程34条は,「弁護士は、事件の依頼があったときは、速やかに、その諾否を依頼者に通知しなければならない。」と定める。
弁護士法29条が承諾しない場合の通知を定めるのに対し,34条は「諾否」,つまり受ける場合も含めて通知を求めている。
『解説弁護士職務基本規程 第3版』は,34条は旧弁護士倫理21条とほぼ同じ規定であり,弁護士法29条に沿ったものだと説明している(115頁)。
同書は令和8年9月に第4版が刊行されており,本記事で引用する説明は,第4版では55頁(20条関係)及び135頁(34条関係)にある。
34条を含む第3版から第4版への記述の変化は,解説「弁護士職務基本規程」第3版と第4版の比較-規程改正,解釈の変更,新設項目及び削除された記述で整理している。

(2) 努力目標ではなく義務として定められていること

弁護士職務基本規程82条2項は,同規程のうち行動指針又は努力目標として解釈適用すべき条項を列挙している。
34条はこの列挙に含まれていないから,努力目標ではなく,義務を定めた規定として扱われる。
同じ受任時の規律でも,33条(法律扶助制度等の説明)は列挙に含まれており,扱いが異なる。

(3) 弁護士法人にも準用されること

弁護士職務基本規程69条は,第1章から第3章まで(一部の条項を除く。)の規定を弁護士法人に準用している。
34条は第3章第3節の規定であり,除外されていないから,弁護士法人が依頼を受けた場合にも同じ規律が及ぶ。

3 刑事事件の弁護人選任の申出と不受任の通知

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弁護士に対する業務妨害と対策――日弁連の宣言,濫用的懲戒請求,国選弁護人の解任及び法律事務所のカスハラ対策(AI作成)

目次第1 本記事の対象と基準日第2 日弁連の宣言と会長声明に見る業務妨害の現状1 令和7年12月5日の臨時総会宣言2 提案理由が挙げる妨害の態様3 令和6年12月19日の会長声明と日弁連のアンケート調査4 雑誌の会員アンケートに見る被害の頻度第3 業務妨害に当たり得る行為と刑事・民事の責任1 刑法上の犯罪2 民事上の損害賠償責任3 弁護士に不満がある場合に弁護士会が設けている手続第4 濫用的懲戒請求と不法行為1 懲戒請求は何人もできる2 違法な懲戒請求の判断基準3 大量懲戒請求をめぐる損害賠償請求訴訟第5 国選弁護人の解任1 被告人の暴行・脅迫等を理由とする解任2 辞任の申出と解任の裁判第6 法律事務所のカスハラ対策1 令和8年10月1日施行の労働施策総合推進法33条2 法律事務所に当てはめた場合第7 弁護士と法律事務所が取り得る対策1 弁護士会の委員会への相談2 1人で対応しない3 相手を診断せず,観察できる行動に基づいて対応する第8 出典1 法令及び法令に基づく指針2 裁判例3 日弁連の総会宣言,総会報告及び会長声明4 弁護士会の委員会紹介及び市民向け案内5 雑誌
第1 本記事の対象と基準日

本記事は,弁護士及び法律事務所に対する業務妨害について,日弁連の総会宣言と会長声明,弁護士会の委員会紹介,法令及び裁判例という公開資料から,現状と対策を整理するものである。
想定する読者は,弁護士及び司法修習生と,弁護士に事件を依頼している市民である。
後者については,相手方の代理人弁護士に向けた行為がどこから犯罪又は不法行為になり得るかという観点を含めている。

本記事の基準日は令和8年9月12日である。
法令は同日現在の条文をe-Gov法令検索で確認し,令和8年10月1日に施行される改正後の労働施策総合推進法については,施行後の条文を確認した。

個別の事案で犯罪又は不法行為が成立するかは具体的な事実によって決まるため,本記事は判断の枠組みと公的資料の記載を示すにとどめる。
インターネット上の投稿の削除請求や発信者情報開示の手続は扱わない。
日弁連及び弁護士会が会員向けに作成している業務妨害対策の資料についても,その内容は扱わない。

第2 日弁連の宣言と会長声明に見る業務妨害の現状
1 令和7年12月5日の臨時総会宣言

日弁連は,2025年(令和7年)12月5日の臨時総会で,「坂本堤弁護士一家遺体発見から30年の節目に、弁護士業務妨害を許さず、その対策に積極的に取り組む宣言」を採択した。
同日の臨時総会報告によれば,この宣言案は第4号議案として上程され,挙手による採決の結果,賛成多数で可決された。

宣言の提案理由によれば,坂本堤弁護士は,オウム真理教の出家信者らの救出活動等に取り組む中で,1989年に教団により妻子と共に殺害された。
日弁連は,この事件を契機として1996年6月に弁護士業務妨害対策委員会を設置し,その後,全ての弁護士会に同委員会又はそれに相当する組織が設置されたとされている。

宣言本文は,同委員会を通じて,妨害実態の調査・情報収集・分析,妨害行為の原因及び対策の研究,会員への情報共有と周知・啓発を行うとともに,「警察との連携強化等の活動をより一層徹底する」とする。
あわせて,妨害を受けた弁護士に対する各弁護士会の支援活動をサポートするとしている。

2 提案理由が挙げる妨害の態様

宣言の提案理由は,弁護士の殺害にまでは至らない場合でも,次のような妨害が多いとする。
①弁護士や事務職員への暴行・傷害
②脅迫・強要
③法律事務所を突然訪問しての業務妨害
④頻繁な架電,郵便物の送付及びメールの送信等による妨害
⑤濫用的懲戒請求
⑥濫用的訴訟提起による妨害

提案理由は,共同親権等に関する法改正について情報発信を行っている弁護士に対する激しい妨害行為も数多く報告されているとする。
さらに,SNSやGoogleマップ等の口コミ・レビュー機能を有するサイトへの書き込みによる誹謗中傷等により,弁護士の名誉やプライバシー権が侵害される事案も発生しているとしている。

殺害に至った事件として,提案理由は,坂本事件のほかに,2010年6月に横浜で離婚事件の相手方から弁護士が殺害された事件と,同年11月に秋田で財産分与請求事件の元相手方から弁護士が殺害された事件を挙げている。
日弁連の弁護士業務妨害対策委員会の紹介ページも,2010年6月2日に横浜弁護士会(現在の神奈川県弁護士会)所属の弁護士が,同年11月4日に秋田弁護士会所属の弁護士が殺害されたと記載している。

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遺産分割事件の弁護士報酬――旧日弁連基準の「争いのない部分は3分の1」と相当報酬額の裁判例(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論第2 旧日弁連報酬等基準規程の「3分の1」の定め1 遺産分割請求事件の経済的利益2 表形式の転載にみられる「範囲又は」との違い3 計算例4 減額義務と協議による増額の定め第3 旧規程廃止後の規律1 弁護士の報酬に関する規程2 受任時の説明と委任契約書3 民法の委任の報酬と中途終了第4 報酬額の定めがない場合の相当報酬額第5 相続関係事件の報酬をめぐる裁判例1 東京地裁平成30年3月26日判決2 東京地裁令和5年9月26日判決3 東京地裁令和5年2月22日判決4 これらの裁判例から読み取れること第6 委任契約の際に確認しておくこと1 経済的利益の算定方法2 中途終了と手続の移行3 紛議調停と懲戒請求第7 関連記事第8 出典1 日弁連の会規2 法令3 裁判例4 統計
第1 この記事の対象と結論

本記事は,遺産分割事件を弁護士に依頼する場合の着手金・報酬金の算定について,平成16年3月31日に廃止された日弁連の報酬等基準規程(以下「旧規程」という。)が定めていた「争いのない部分は3分の1」の扱いを,規程の文言,現行の会規及び裁判例に基づいて整理するものである。
本記事の法令及び会規は令和8年9月12日現在のものであり,裁判例は裁判所ウェブサイト及び判例秘書で確認した範囲に限っている。

結論は次の3点である。
①旧規程14条1項13号は,分割の対象となる財産の範囲及び相続分の双方について争いのない部分に限り,経済的利益を相続分の時価相当額の3分の1とすると定めていた。
②旧規程は廃止されたが,報酬額の合意がはっきりしない事件では,裁判所が旧規程や単位弁護士会の旧会規を相当報酬額の目安として参照した例がある。
③報酬をめぐる紛争を避けるには,委任契約の段階で,当該事件の経済的利益の算定方法(3分の1の扱いを含む。)と中途終了時の清算方法を書面で具体的に定めておくことが考えられる。

第2 旧日弁連報酬等基準規程の「3分の1」の定め
1 遺産分割請求事件の経済的利益

旧規程(平成7年9月11日会規第38号)は,平成7年10月1日から平成16年3月31日まで適用されていた規程である。
旧規程は,民事事件の着手金及び報酬金を経済的利益の額を基準として算定するものとし(17条1項),経済的利益の算定方法を14条1項各号で事件の類型ごとに定めていた。

遺産分割請求事件についての同項13号は,次のとおりである。
「遺産分割請求事件は、対象となる相続分の時価相当額。ただし、分割の対象となる財産の範囲及び相続分について争いのない部分については、その相続分の時価相当額の三分の一の額」

本文は相続分の時価相当額を原則とし,ただし書は,遺産の範囲と相続分の双方に争いがない部分に限って,これを3分の1に圧縮する構造である。
範囲と相続分に争いがなければ,主な争点は遺産の分け方の調整にとどまるため,相続分の全額を経済的利益とすると紛争の実態に比して過大になるという考え方によるものと考えられる。
本記事が引用する旧規程の条文は,当ブログに掲載した日弁連の,報酬等基準規程(平成7年9月11日会規第38号)(制定時の条文)による。

2 表形式の転載にみられる「範囲又は」との違い

インターネット上には,旧規程の内容を表形式にまとめた「(旧)日本弁護士連合会報酬等基準」という資料が複数の法律事務所のウェブサイトに掲載されており,その中には,遺産分割請求事件のただし書を「範囲又は相続分についての争いのない部分」と記載するものがある。
しかし,旧規程の文言は「範囲及び相続分について争いのない部分」であり,後記の東京地裁平成30年3月26日判決も,旧規程を,範囲及び相続分の双方に争いがない部分を3分の1とする定めとして扱っている。

「及び」と「又は」とでは,3分の1が及ぶ範囲が異なり得る。
「範囲及び相続分」であれば,遺産の範囲と相続分のいずれかに争いがある部分には3分の1は及ばない。
これに対して「範囲又は相続分」と読むと,一方にだけ争いがない部分まで3分の1とする余地が生じ,経済的利益が小さく算定される方向にずれる。
なお,直前の14条1項12号(共有物分割請求事件)は,持分の時価の3分の1を原則とし,「分割の対象となる財産の範囲又は持分に争いのある部分」を例外とする逆向きの構造の規定であり,「又は」の文言はこちらに現れる。

3 計算例

旧規程17条1項の報酬金の料率は,経済的利益の額のうち300万円以下の部分が16%,300万円を超え3000万円以下の部分が10%,3000万円を超え3億円以下の部分が6%,3億円を超える部分が4%であった。
以下は,依頼者の法定相続分の時価相当額が6000万円で,遺産の範囲にも相続分にも争いがなく,遺産の分け方だけが問題となった事件で,依頼者が相続分どおりの遺産を取得したと仮定した本記事の計算例である。

相続分の時価相当額6000万円をそのまま経済的利益とすると,報酬金の標準額は498万円(300万円×16%+2700万円×10%+3000万円×6%)となる。
13号ただし書により3分の1の2000万円を経済的利益とすると,報酬金の標準額は218万円(300万円×16%+1700万円×10%)となる。
いずれも消費税相当額を含まない額である(旧規程10条)。

(続きを読む...)遺産分割事件の弁護士報酬――旧日弁連基準の「争いのない部分は3分の1」と相当報酬額の裁判例(AI作成)

取締役責任調査委員会の委員弁護士は後続訴訟を代理できるか-最高裁令和4年6月27日決定と弁護士法25条(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論1 扱う問題と基準日2 最高裁の結論第2 取締役責任調査委員会と後続訴訟1 二つの委員会は別の組織である2 事情聴取前の説明と訴訟代理第3 弁護士法25条2号及び4号が類推適用されなかった理由1 2号の信頼関係に基づく協議ではないこと2 4号の公務員又は裁判官に類する立場ではないこと3 弁護士法25条の拡張・類推は抑制されること第4 第三者委員会の委員について同じ結論になるとは限らない1 日弁連ガイドライン型の第三者委員会との違い2 事情聴取時の説明が異なる場合第5 訴訟行為の排除と職務倫理は別に検討する1 弁護士職務基本規程違反だけでは排除できないこと2 秘密保持及び利益相反の確認第6 受任前に確認する資料と停止基準1 最初に確認する資料2 追加確認又は受任停止が必要となる場合3 法律事務所内の確認第7 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 職能団体の規程・ガイドライン4 文献
第1 この記事の対象と結論
1 扱う問題と基準日

この記事は,取締役責任調査委員会の委員であった弁護士が,調査対象となった取締役に対する会社側の損害賠償請求訴訟を代理できるかを扱う。
中心となる裁判例は,最高裁令和4年6月27日第一小法廷決定(令和4年(許)第3号,集民268号323頁)であり,法令及び規程は令和8年9月9日現在の内容を確認した。

この問題では,①弁護士法25条により職務を行うことが禁止されるか,②相手方が裁判所に訴訟行為の排除を求められるか,③弁護士職務基本規程,秘密保持及び調査の信用性の面から受任が適切かを区別する必要がある。
最高裁決定が直接判断したのは,本件の具体的事情の下で①及び②に関する弁護士法25条2号及び4号の類推適用を認められるかという点である。

2 最高裁の結論

最高裁は,本件の取締役責任調査委員会が会社の委託を受けて取締役の責任を調査する組織であり,調査対象者には事情聴取の結果が後の責任追及訴訟で証拠として用いられる可能性が示されていたことを重視した。
その上で,同委員会の委員であった弁護士が会社の訴訟代理人となることについて,弁護士法25条2号又は4号を類推適用して訴訟行為から排除することはできないと判断した。

ただし,この決定は,調査委員会の委員であった弁護士が常に後続訴訟を代理できるとしたものではない。
委員会の目的,委嘱者,調査対象者に対する説明,取得した秘密情報,委員会が公表した独立性の内容及び後続訴訟の依頼者を個別に確認する必要がある。

懲戒の面では,同じ事案の弁護士らに対する懲戒請求について,日弁連綱紀委員会が異議の申出を棄却している(2023年弁護士懲戒事件議決例集(第26集)80頁(【3】))。
同議決は,本件の委員会が典型的な第三者委員会と異なり,役員らの損害賠償責任の有無を調査するために監査役から委嘱を受けて設置されたものであるから,委員が後に訴訟代理人に就任したこと自体をもって弁護士法25条2号・4号等に違反するとはいえず,直ちに弁護士職務基本規程5条・6条に違反するともいえないとした。
もっとも,委員としての職務遂行時に訴訟代理人となることが事実上予定されていたとすれば,提訴するかどうかの判断に影響したのではないかという疑念を持たれるという意味で,同規程5条・6条に抵触する可能性も否定できないとし,委員会の職務行使の公正さに重大な疑念が生じるおそれがあり問題がなかったわけではないとしつつ,異議申出人らの信頼が裏切られた事情はなく非違行為はなかったと結論付けている。
日本弁護士連合会弁護士倫理委員会編著『解説「弁護士職務基本規程」第4版』(令和8年9月)121頁~122頁もこの議決を紹介している。
同書の第3版から第4版への主な変更点は,解説「弁護士職務基本規程」第3版と第4版の比較-規程改正,解釈の変更,新設項目及び削除された記述で整理している。

これに対し,裁判所に選任された職務代行者であった弁護士が,同じ内容の後訴で相手方の代理人となった事案では,弁護士法25条1号又はその類推適用により訴訟行為が排除された例がある。
この違いは,職務代行者・管理人等を務めた弁護士は後にその紛争の代理人になれるか――福岡地裁令和5年8月30日決定と職務基本規程27条・81条で整理した。
会社の顧問弁護士が株主代表訴訟で被告取締役の代理人となる逆向きの場面は,株主代表訴訟で会社の顧問弁護士は被告取締役の代理人になれるか―職務基本規程28条の利益相反,会社の補助参加及び住民訴訟の場合で扱っている。

第2 取締役責任調査委員会と後続訴訟
1 二つの委員会は別の組織である

本件会社では,役員らによる金品受領問題について,最初に,日本弁護士連合会の第三者委員会ガイドラインに準拠する第三者委員会が設置された。
その後,会社は,取締役であった者が会社法423条1項により会社に対する損害賠償責任を負うかを調査・検討するため,太田洋弁護士及び木目田裕弁護士を含む4名の外部弁護士に委員を委嘱し,別の取締役責任調査委員会を設置した。

会社は,取締役責任調査委員会について,独立性を確保した利害関係のない立場にある社外弁護士から成る委員会であると公表していた。
もっとも,委員会が会社から委嘱を受けて取締役の会社に対する責任を調査する組織であることと,委員が会社から離れた紛争解決者であることとは同じではない。

2 事情聴取前の説明と訴訟代理

委員会が調査対象者に送付した事情聴取の依頼文書には,聴取結果が会社による責任追及訴訟で証拠として用いられる可能性がある旨が記載されていた。
委員会は事情聴取を経て取締役であった者らの責任を認める内容の報告書を提出し,会社は,委員であった弁護士2名を訴訟代理人として損害賠償請求訴訟を提起した。

取締役であった者らは,委員であった弁護士の訴訟行為が弁護士法25条2号及び4号の趣旨に反すると主張し,訴訟行為の排除を申し立てた。

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法律事務所の退所・分裂-事件,職員,利益相反,預り金及び清算のチェックリスト(AI作成)

目次第1 この記事の対象と基本的な考え方1 対象と基準日2 最初に五つの台帳へ分ける3 公開された分裂例から分かること第2 共同事務所と弁護士法人を区別する1 名称だけでは法律関係が決まらない2 民法上の組合である場合3 弁護士法人である場合第3 事件と依頼者の移行1 受任主体別の三つの分岐2 依頼者への説明と意思確認3 事件移行表4 期限事故を防ぐ停止基準第4 利益相反・秘密・事件情報1 退所後も残る規律2 最高裁令和3年4月14日決定3 情報遮断を万能視しない4 コンフリクト・アクセス管理表第5 職員と勤務弁護士1 実際の雇用主を確認する2 事業譲渡として雇用を移す場合3 合併等との違い4 本人の選択と業務継続を両立させる第6 預り金・報酬・未収金1 現行の預り金規程2 三点照合と移動根拠3 報酬等を区分する第7 契約・資産・データ1 契約主体別の一覧2 デジタル権限の切替え3 対外告知第8 弁護士法人の退社・解散・清算1 意思決定と届出を分ける2 退社後に残り得る責任3 解散と清算第9 分裂協議書と実行順序1 最終合意前の暫定管理2 分裂協議書の主要条項3 標準的な実行順序第10 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 法令に基づく指針4 職能団体の規程5 実務家インタビュー6 関連記事
第1 この記事の対象と基本的な考え方
1 対象と基準日

本記事は,共同法律事務所から一部の弁護士が退所する場合,事務所を複数に分ける場合,弁護士法人の社員が退社する場合又は弁護士法人を解散する場合に,何をどの順序で確認すべきかを整理するものである。
法令及び規程の内容は,令和8年9月6日現在で確認した。

「事務所の分裂」は法律上の一つの制度ではない。
事件の委任契約,職員との労働契約,弁護士間の共同事業契約,弁護士法人の社員関係,賃貸借等の対外契約及び預り金の管理関係が,同じ時期に別々の根拠で動く場面を便宜上まとめた表現である。

2 最初に五つの台帳へ分ける

分裂協議を始めるときは,事務所全体を一つの財産として分けるのではなく,次の五つの台帳へ分ける必要がある。
①事件台帳は,依頼者,受任主体,担当者,相手方,直近の期限,原本及び預り金を記載する。
②人員台帳は,雇用主,契約形態,給与負担,社会保険及び本人の意向を記載する。
③利益相反・情報台帳は,依頼者,相手方,関係会社,過去事件及びアクセス権限を記載する。
④金銭台帳は,預り金,着手金,報酬金,立替金,未収金及び未払金を区分する。
⑤契約・資産台帳は,賃貸借,リース,通信,広告,ドメイン,電話番号,備品,借入れ及び保証を記載する。

内部で決めた売上配分又は担当区分だけでは,依頼者との契約,職員の雇用主,預り金口座の名義又は対外債務者は変わらない。
各台帳には根拠資料の所在,確認者及び確定日を付し,未確認事項を推測で埋めないことが重要である。

3 公開された分裂例から分かること

匿名の実務家インタビューである「法律事務所の分裂について(前編)」及び「法律事務所の分裂について(後編)」には,個人受任を基本としながら職員,勤務弁護士,ウェブサイト及び弁護士法人を共通化していた事務所が,長期の協議を経て複数の事務所へ分かれたとの説明がある。
同記事によれば,職員及び勤務弁護士の帰属にも本人の選択が関わり,分裂後は共通経費を限定して各パートナーが職員等を個別に確保する仕組みに変えたとされる。

これは匿名当事者による一つの実務例の記述であり,記載事実を一次資料で独立に確認したものではない。
もっとも,受任主体と雇用主が一致しないこと,共通経費と事件収支が重なること及び人員配置に本人の意思が関わることを早期に確認すべきであるとの問題提起は,一般的な点検項目として利用できる。

第2 共同事務所と弁護士法人を区別する
1 名称だけでは法律関係が決まらない

「共同法律事務所」という名称だけでは,事務所内部の契約が民法上の組合であるか,単なる経費共同であるか,又は弁護士法人を中心とする組織であるかは決まらない。
契約書,出資・損益分配の方法,意思決定,財産名義,受任名義,請求書,預り金口座,給与支払者及び社会保険手続を照合して,実際の法律関係を確定する必要がある。

確認対象主な根拠資料最初の質問共同事業共同事務所契約,議事録,出資・分配表誰が何を出資し,損益をどう負担するか受任委任契約書,受任通知,請求書依頼者が誰に委任したか雇用労働条件通知書,給与台帳,社会保険資料使用者は誰か資産・債務契約書,登記,請求書,保証書名義人と実際の負担者は誰か預り金口座名義,事件別補助簿,入出金資料誰が誰のために保管しているか
2 民法上の組合である場合

共同事務所の契約が法的に民法上の組合に当たる場合,脱退,除名,組合員の持分計算及び組合の解散・清算について同法678条以下が関係する。
期間を定めない組合の脱退であっても,不利な時期にはやむを得ない事由がない限り脱退できないとされ,脱退者との計算は脱退時の組合財産の状況に従うとされている。

もっとも,共同事務所という表示だけで民法上の組合と断定することはできない。

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イタリアの弁護士費用保険-補償範囲・弁護士選択・訴訟管理(AI作成)

目次

第1 対象と結論1 調査報告と本記事の範囲2 法的費用保険と賠償責任保険の防御費用は別である第2 イタリア法上の法的費用保険1 民間保険法第173条の定義2 他の保険と組み合わせる場合の別建て3 保険金請求管理の三つの方式第3 弁護士選択の自由1 EU指令第201条と民間保険法第174条2 道路車両に関する例外3 弁護士選択と全額補償は同じではない第4 賠償責任保険の防御費用1 民法第1917条第3項の上限2 訴訟費用を三つに分ける3 保険者指定外の弁護士費用第5 市場と報酬基準1 令和6年の市場規模と個人向け比率2 弁護士報酬基準の令和4年改訂第6 日本の制度と比較するときの視点1 EU法上の権利を日本法へ直接移さない2 契約確認の順序3 関連記事第7 出典1 法令及びEU指令2 裁判例3 統計及び調査報告
第1 対象と結論
1 調査報告と本記事の範囲

日本弁護士連合会の第24回弁護士業務改革シンポジウムは,令和8年9月5日に開催された。
第4分科会の配布資料には,令和7年9月8日から同月12日までに実施されたミラノ及びローマの調査をまとめた「イタリア調査報告―イタリアの弁護士費用保険の現況について」が収録されている。
本記事は,この調査報告を出発点としつつ,令和8年9月6日現在のEU指令,イタリアの法令,破毀院及びEU司法裁判所の公表資料と照合して,制度の骨格を整理するものであり,AIを用いて作成した。

配布資料は,現地訪問で得られた実務情報を含む点で有用である一方,法令の要約には原文と一致しない箇所がある。
そこで,本記事では,法令又は裁判例に関する記述は一次資料を優先し,保険会社の運用に関する記述は配布資料に記載された訪問調査の結果として区別して扱う。

2 法的費用保険と賠償責任保険の防御費用は別である

イタリア法を読む際には,法的費用保険と,賠償責任保険に付随する防御費用とを最初に分ける必要がある。
両者はいずれも弁護士費用に関係するが,根拠条文,保護する利益及び限度額の考え方が異なる。

区分主な根拠基本的な機能法的費用保険EU指令2009/138/EC第198条以下,イタリア民間保険法第173条以下被保険者が権利を主張し,又は防御するための法的費用等を保険者が負担し,又は法的サービスを提供する。賠償責任保険の防御費用イタリア民法第1917条第3項第三者の損害賠償請求に対抗するため,被保険者が負担した費用を一定の範囲で保険者が負担する。

法的費用保険では,弁護士を選ぶ権利と,保険金請求を誰が管理するかが中心的な論点になる。
これに対し,賠償責任保険では,第三者請求への防御費用,敗訴者負担の訴訟費用及び保険者との訴訟費用を混同しないことが実務上重要である。

第2 イタリア法上の法的費用保険
1 民間保険法第173条の定義

イタリア民間保険法第173条は,法的費用保険を,保険料の支払と引換えに,司法手続又は裁判外手続において,被保険者の利益を確保するために必要な法的費用若しくは鑑定費用を負担し,又はその他のサービスを提供する契約として定めている。
具体的には,損害賠償請求を行う場面と,民事,刑事又は行政上の請求若しくは非難から防御する場面が含まれる。

この定義から分かるのは,法的費用保険が単なる弁護士報酬の立替制度ではないことである。
裁判外の交渉,専門家費用及び権利保護のためのサービスも,契約内容に応じて対象となり得る。

2 他の保険と組み合わせる場合の別建て

民間保険法第173条第2項は,法的費用の保障を他の保険と組み合わせる場合,保険証券の独立した部分に,保障内容,条件及び対応する保険料を記載するよう求めている。
これは,EU指令2009/138/EC第199条に対応する。

したがって,自動車保険等に法的費用保障が付帯している場合でも,賠償責任保障と法的費用保障を一体のものとして読んではならない。
保険証券では,対象となる紛争,免責事由,保険金額,自己負担,通知義務及び弁護士費用の算定方法を,法的費用保障の条項ごとに確認する必要がある。

3 保険金請求管理の三つの方式

民間保険法第164条は,法的費用保険に固有の利益相反を抑えるため,保険者が採用する管理方式を三つ示している。
その要旨は,①担当者を他部門から分離して保険者自身が管理する方式,②法的に別個の事業体に管理を委ねる方式,③保険事故が発生した時から,被保険者が弁護士その他の有資格者に自己の利益の防御を委ねることができる方式である。

ここでいう管理方式は,保険者の内部統制に関する仕組みである。
後述する司法手続等における弁護士選択の権利とは関係するものの,同じ制度ではないため,契約を検討するときは両者を別々に確認する必要がある。

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法律事務所の案件配分をどう測るか-件数・報酬額・主担当・顧客接点の監査(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 案件数だけでは配分の実態が分からない第3 最小限の案件配分台帳第4 米国のプロセス監査第5 英国・カナダ・オーストラリアの取組第6 法律事務所での監査手順第7 法的評価及び情報管理上の留意点第8 出典
第1 この記事の対象と結論

この記事は,法律事務所における案件配分を,担当件数だけでなく,報酬額,役割,案件難度,顧客接点及び評価への反映に分けて点検する方法を整理するものである。
調査基準日は令和8年9月6日であり,日本弁護士連合会の第24回弁護士業務改革シンポジウム第8分科会資料並びに米国,英国,カナダ及びオーストラリアの公表資料を参照した。

結論として,案件配分の公平性又は育成効果は,担当件数だけでは判断できない。
高難度案件の主担当,重要顧客との直接接点,法廷又は交渉での中心的役割,報酬の大きい案件及び評価者との共同作業へ参加できるかが,経験,顧客基盤,評価,昇進及び将来の収入へ順次影響し得るからである。

したがって,法律事務所では,個別事件の機密を不必要に集約せず,配分過程に必要な最小限の情報を一定期間記録し,集計し,是正後に再測定する仕組みを設けるのが有用である。
本記事は任意の業務改善方法を示すものであり,日本法上の一律の法的義務又は違法性の判断基準を提示するものではない。

第2 案件数だけでは配分の実態が分からない

同じ10件を担当していても,定型的な補助作業が中心の場合と,高難度案件の主担当として顧客説明,交渉及び最終成果物を担う場合とでは,得られる経験及び将来の顧客基盤が異なる。
件数だけを均等にしても,案件価値,役割及び接点が偏っていれば,育成機会は均等にならない。

案件配分には少なくとも三つの段階がある。
①案件を誰に割り当てるか,②割り当てられた案件で誰が主担当及び顧客窓口を担うか,③得られた成果を評価,昇進及び報酬へどう反映するかである。

配分の入口だけでなく,案件中の役割及び案件後の評価まで追跡する必要がある。
また,育児,介護,時短勤務又は休暇による一時的な稼働制約を,重要案件から恒常的に外す理由へ転化させないよう,復帰後の再配分も点検対象に含めるべきである。

第3 最小限の案件配分台帳

案件配分台帳には,次の項目を記録するのが有用である。
①配分日,②業務分野,③難度区分,④見込報酬額又は価値区分,⑤主担当・共同担当・補助の別,⑥顧客との直接接点の有無,⑦法廷・交渉・会議での役割,⑧配分決定者,⑨配分理由,⑩案件終了後の評価及び報酬への反映である。

判断経験も見る場合は,若手が担当した判断,AI・上司の回答を見る前の予測,監督者の介入条件,実際の結果,振り返り日を対応させる。
件数や同席回数だけで,判断から結果まで経験したと評価しない。
集計台帳には必要な項目と管理番号を残し,事件の秘密や詳細な判断経過は,閲覧権限を限定した事件・育成記録へ置いて紐付ける。

台帳の目的は,個々の担当者を順位付けすることではなく,案件配分の過程を検証できる状態にすることである。
自由記載を増やし過ぎると,事件情報及び主観的評価が不必要に蓄積するため,選択式の区分と短い理由欄を中心に設計するのが望ましい。

依頼者名,事件名,健康情報,家族情報その他の機微情報は,集計目的に不可欠でない限り台帳へ入れない。
個別案件を識別する必要がある場合も,限定された管理番号を用い,原事件記録へのアクセス権限と分析用台帳へのアクセス権限を分ける必要がある。

第4 米国のプロセス監査

米国労働統計局の2024年年次表によれば,フルタイムの賃金・給与労働者である弁護士の週当たり収入中央値は,女性が2,296ドル,男性が2,857ドルである。
この数値は自営業者を含まず,経験,勤務先,労働時間その他の要因を調整しない中央値であるため,性別による因果的効果を示すものではない。

NALPの2024年資料によれば,女性はアソシエイトの51.62%を占める一方,エクイティ・パートナーでは24.8%である。
これは各地位に占める構成比であり,特定年の昇進候補者に対する昇進率ではない。

Bias Interruptersは,格差の最終結果だけでなく,案件配分,顧客との接触,評価,昇進及び報酬という過程を測定し,具体的な中断策を導入した後に再測定する方法を提示している。
日本の法律事務所で参考にする場合も,海外の数値目標をそのまま移植するのではなく,自らの案件配分過程を可視化する考え方を取り入れるのが実務的である。

第5 英国・カナダ・オーストラリアの取組

英国のジェンダー賃金格差報告制度は,一定規模以上の雇用主に報告を求める法定制度である。
他方,Bar CouncilのFair Access to Work Guideは,バリスター業務における案件配分を公正にするための実務指針であり,両者は法的性質及び対象が異なる。

カナダ・オンタリオ州法律協会のJusticia Project及び事業開発ガイドは,女性法律家の定着,指導,リーダーシップ及び顧客開拓を支援する職能団体の取組である。
これらは,案件経験だけでなく,顧客関係の形成及び事業開発の機会がキャリアに影響することを示す実務資料である。

オーストラリア法律評議会のNational Model Gender Equitable Briefing Policyは,法令上の強制制度ではなく,賛同者が目標を掲げて報告する任意の制度である。
2024年から2025年の年次報告では,女性が受任したブリーフは32%,報酬は31%となり,両目標へ初めて到達したと報告されている。

もっとも,同報告では報告者数の低下も指摘されている。
目標達成の数値だけで制度全体の浸透又は因果的効果を判断せず,対象範囲及び報告率を併せて確認する必要がある。

第6 法律事務所での監査手順

第1段階では,3か月から6か月程度の基準期間を定め,案件配分台帳を作成する。
既存データが乏しい場合は,最初から精密な評価点を設けるのではなく,件数,価値区分,役割及び顧客接点から始めるのがよい。

第2段階では,担当者の属性又は勤務形態ごとに,件数,主担当率,高価値案件率,顧客接点率及び評価への反映を集計する。
人数が少ない区分では個人が推測されるため,区分の統合又は非公表化が必要である。

第3段階では,差が生じた配分場面を確認し,配分理由の明文化,共同担当の設定,顧客会議への同席,復帰後の優先配分又は配分担当者の複数化など,過程に対応した修正を行う。
結果だけを見て一律に件数を動かすのではなく,どの段階で機会が失われたかを特定する必要がある。

第4段階では,同じ指標を再測定し,案件の質,依頼者サービス及び担当者の負荷に副作用がないかも確認する。
改善策が新たな偏り又は過重負担を生じた場合は,配分基準を再調整する。

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弁護士職務基本規程19条と事務職員の生成AI利用―指導監督・秘密保持・事務所ルール(AI作成)

目次第1 調査結果-ルールを定めず個人判断に委ねている事務所が最多である1 アンケート調査の概要2 母数が設問ごとに異なる3 使わせている事務所ほどルールがある第2 弁護士職務基本規程19条1 条文2 19条は努力目標ではなく義務規定である3 指導監督の内容第3 生成AIの利用は19条の問題になるか1 生成AIそれ自体は19条の対象ではない2 事務職員に使わせる場合は19条の対象になる3 「秘密を漏らし」への該当性第4 共同事務所の指導監督―19条と55条の違い第5 指導監督として何をするか第6 違反事例の調べ方第7 関連記事出典・参考資料第1 調査結果-ルールを定めず個人判断に委ねている事務所が最多である
1 アンケート調査の概要

2026年9月5日に福岡市で開催された第24回弁護士業務改革シンポジウム第2分科会の配布資料のうち,資料2-1は,日本弁護士連合会弁護士業務改革委員会事務職員関連小委員会による「事務職員と生成AIに関するアンケート調査 報告書」である。
調査は2026年3月23日から同年4月27日までの間に行われ,有効回答は223件である。
配布資料は,日本弁護士連合会のウェブサイトで公開されている。

この調査の対象は「主に事務職員を雇用する会員,または生成AIの利用に関心のある会員」である。
調査対象が限られているため,回答者についての割合を,全弁護士又は全事務所についての割合として一般化することはできない。
報告書自身がこの限定を明示しているから,引用する際も「事務職員を雇用する会員又は生成AIに関心のある会員223名の回答」という限定を付す必要がある。

事務所における生成AIの導入状況は,弁護士と事務職員がともに利用しているものが26.7パーセント,弁護士のみが利用しているものが43.4パーセント,利用していないものが29.4パーセント,利用を禁止しているものが0.5パーセントである(回答221件)。
事務所の方針については,「ルールを定めておらず個人の判断に委ねている」が31.8パーセントで最多であった(回答151件)。
研修又はガイドラインについては,策定済みが10.1パーセント,検討中が33.1パーセント,予定なしが41.2パーセントである(回答148件)。

2 母数が設問ごとに異なる

この報告書を引用するときに最も注意を要するのは,母数が設問ごとに異なることである。
有効回答223件がそのまま母数になるのは一部の設問だけであり,事務所の方針を尋ねた設問の母数は151件,研修及びガイドラインを尋ねた設問の母数は148件である。
報告書は添付資料2で設問ごとの回答数を開示しているから報告書自体に不備はないが,本文のパーセントだけを取り出して「223名のうち何パーセント」と書けば誤りになる。
本記事では,数値を挙げるときに母数を併記する。

3 使わせている事務所ほどルールがある

クロス集計によれば,事務職員にも使わせている57件では研修又はガイドラインの策定済みが24.6パーセントである一方,弁護士のみが利用している91件では1.1パーセント(1件)にとどまる。
報告書は,ルールを定めていない状態を,判断自体がなされていない状態にあると評価している。

もっとも,報告書は,この状態について弁護士職務基本規程上の評価には触れていない。
規程上どう位置付けられるかは,事務職員に生成AIを使わせるかどうかを決める上で避けられない論点である。
本記事では,この点を同規程19条から検討する。

第2 弁護士職務基本規程19条
1 条文

弁護士職務基本規程(平成16年11月10日会規第70号。改正平成26年12月5日,令和3年6月11日)19条は,次のとおり定める。
日本弁護士連合会のウェブサイトに規程全文のPDFが掲載されており,認証を要せずに参照することができる。

「(事務職員等の指導監督)
第十九条 弁護士は、事務職員、司法修習生その他の自らの職務に関与させた者が、その者の業務に関し違法若しくは不当な行為に及び、又はその法律事務所の業務に関して知り得た秘密を漏らし、若しくは利用することのないように指導及び監督をしなければならない。」

2 19条は努力目標ではなく義務規定である

同規程82条2項は,一定の条項について「弁護士の職務の行動指針又は努力目標を定めたものとして解釈し適用しなければならない」と定める。

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弁護士が家族との時間を確保するための業務設計-専門分野より重要な8つの確認事項(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 専門分野の名称だけでは決まらない理由1 2025年日弁連追加アンケートが示す関連第3 専門分野より重要な8つの確認事項1 外部期限の固定度と突発性2 夜間・休日対応の実質的必要性3 依頼者の応答期待4 本人拘束の強さ5 共同処理と代替可能性6 受任量の制御可能性7 繁忙期と収入構造8 長期的な適合性第4 業務分野を比較するときの見方第5 受任の三段階で行う業務設計1 受任前2 受任時3 受任後第6 勤務先又は共同事務所を選ぶときの確認事項1 制度,運用,評価及び収入を分ける2 弁護士会資料を質問票として使う第7 弁護士の職責との関係第8 実行用チェックリスト第9 出典・参考資料1 法令2 職能団体の規程及び正式な指針3 職能団体の委員会資料及び機関誌記事4 その他の公開資料
第1 この記事の対象と結論

この記事は,家族との時間を確保したい弁護士が,専門分野,勤務先又は受任方針を検討する際の確認事項を整理するものである。
調査基準日は令和8年9月6日であり,同日時点の弁護士法,平成26年2月5日改正反映版として法務省に掲載された弁護士職務基本規程,平成31年2月に公表された東京弁護士会のガイドライン及び令和8年9月2日付けの公開回答等を参照した。

結論として,家族との時間を確保できるかどうかは,「企業法務」,「一般民事」,「家事」又は「刑事」といった専門分野の名称だけでは決まらない。
同じ分野でも,期限の突発性,夜間・休日対応の必要性,依頼者の応答期待,本人拘束,代替体制,受任量,収入構造及び長期的な適合性によって,時間の予測可能性は大きく異なるからである。

家族時間の確保と,依頼者に質の高い法的サービスを提供することは,二者択一ではない。
もっとも,受任後に家族の予定を理由として期限管理又は必要な連絡を緩めることはできないため,受任前の選別,受任時の期待調整及び受任後の代替体制を一体として設計する必要がある。

第2 専門分野の名称だけでは決まらない理由

栗原宏幸弁護士は,令和8年9月2日付けのnote質問箱において,大手法律事務所が扱う重要案件ではタイムリーな助言が求められるため,私生活の時間を十分に確保することは容易でないとの趣旨を述べている。
他方で,同回答は,時短勤務又は育児休業の制度を利用する若手弁護士が多く,その利用を否定的に見る雰囲気はないという所属事務所での経験にも言及し,専門分野は,面白さ,達成感及び社会貢献を重視して選ぶべきであるとの意見を示している。

この回答は,大手法律事務所における業務と制度運用を考える出発点になる。
ただし,一人の弁護士による経験及び意見であり,弁護士業界全体の統計,すべての大手法律事務所の制度又は法的義務を証明する資料ではない。

東京弁護士会が平成31年2月に理事者会の承認を受けて公表した「ワークライフバランスガイドライン」は,所属弁護士のライフステージに応じた働き方の尊重,休業及び復帰の支援,制度及び処遇の説明,不利益取扱い等の防止並びにリモートワーク等による業務効率化を掲げている。
同ガイドラインは法令ではなく,東京弁護士会が会員の法律事務所に示した六つの指針であるが,制度の有無だけでなく,説明,運用,復帰後の処遇及び業務体制まで確認すべきことを示している。

1 2025年日弁連追加アンケートが示す関連

日本弁護士連合会の第24回弁護士業務改革シンポジウム第8分科会資料に収録された2025年追加アンケートは,弁護士45,091人を対象とし,1,307人が回答したものであり,回答率は2.9%である(同資料5頁~53頁)。
回答者標本では,家事及び育児の分担,出産育児に伴う休暇の取得期間,労働時間並びに収入の減少について男女差が報告されている。

例えば,配偶者が弁護士である回答者について,「収入が下がった」とした者は女性155人中56人(36.1%)であったのに対し,男性は50人中0人であった。
もっとも,これは回答者標本内の集計であり,無回答の取扱いその他の母数が表だけでは十分に明らかでない箇所もあるため,弁護士全体の割合又は育児が収入を減少させた因果的効果として扱うことはできない。

また,アンケートの設問名は「出産育児に伴う休暇」である。
この語を,法令上の育児休業と当然に同一視してはならない。
実務上は,制度の名称だけでなく,顧客関係の引継ぎ,案件配分,復帰後の担当,評価及び収入への影響を一体として確認する必要がある。

したがって,専門分野を時間の確保しやすさだけで順位付けするのではなく,個々の案件及び事務所について,次の八つの要素を確認するのが適切である。

第3 専門分野より重要な8つの確認事項
1 外部期限の固定度と突発性

最初に確認すべきなのは,仕事量の多寡よりも,自分で時間を動かせる範囲である。
裁判所の期日,法定期限,取引実行日,取締役会日程又は当局対応など,第三者が決める期限が多いほど,家族の予定との衝突が起こりやすい。

①期限は何日前に判明するか。
②期限を動かせる余地があるか。
③突発案件はどの程度の頻度で発生するか。
④突発案件が重なったときに,新規受任又は追加依頼を止められるか。

2 夜間・休日対応の実質的必要性

夜間又は休日の連絡件数だけでなく,応答が翌営業日になった場合に,依頼者の権利又は案件価値が損なわれるかを確認する必要がある。
真に即時対応が必要な案件と,依頼者又は事務所内の慣行によって即時回答が期待されている案件とを区別すべきである。

緊急の定義を決めないまま携帯電話とメールを常時確認する運用は,短い作業時間以上に家族との時間を分断する。
連絡可能時間,緊急窓口及び翌営業日に回す基準まで定めることが重要である。

3 依頼者の応答期待

依頼者が期待する回答時間は,業務分野に当然に付随するものではなく,受任時の説明,担当者の従前の対応及び事務所の方針によっても形成される。
通常相談の回答期限,緊急の定義,夜間・休日の連絡方法及び担当者不在時の連絡先を受任時に明確にすれば,必要な応答と過剰な常時接続を区別しやすい。

確認すべきなのは,平均的な返信速度ではなく,どの事項を,誰が,いつまでに判断しなければならないかである。
依頼者側にも資料提出又は意思決定の期限を説明し,相互の予定を可視化する必要がある。

4 本人拘束の強さ

弁護士本人の出席又は即時判断が不可欠な場面が多いほど,時間の裁量は小さくなる。
期日,接見,現地対応,交渉,会議及び証人尋問について,本人でなければならない場面と,共同担当者,事務職員又はオンライン対応によって分担できる場面とを分けて確認する必要がある。

移動を伴う業務では,執務時間だけでなく,移動時間,待機時間及び予定変更の可能性も見積もるべきである。
オンライン化は移動を減らす手段にはなるが,連絡時間を無制限に広げる運用にすれば,時間の確保にはつながらない。

5 共同処理と代替可能性

複数担当者を形式上置くだけでは,実際の代替体制にはならない。
共同担当者が,経過,次の期限,依頼者の意向及び未処理事項を直ちに把握できるように,記録,予定表,タスクリスト及びエスカレーション基準を共有する必要がある。

代替可能性は,「相談できる人がいるか」ではなく,不在者に追加確認をしなくても必要な初動をとれるかによって点検すべきである。
秘密保持及び利益相反に配慮しつつ,アクセス権限と連絡先を平時に整えておく必要がある。

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弁護士の職務上請求用紙の購入・保管・紛失対応-用紙管理,返還及び懲戒リスク(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論

1 この記事が扱う用紙管理の範囲
2 購入,保管,紛失及び返還の基本線

第2 職務上請求用紙を購入するときの確認事項

1 購入先,価格及び本人確認は所属弁護士会で確認する
2 受領時に管理台帳へ登録する

第3 未使用用紙を保管・持出しするときの管理

1 規則が直接定める禁止事項と管理義務
2 事務所内で採用しやすい管理方法

(1) 鍵付き保管とアクセス制限
(2) 残数照合と定期棚卸し
(3) 持出し,書損じ及び毀損への対応

3 事務職員と複数事務所の取扱い

第4 紛失又は盗難が判明したときの対応

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弁護士の財力は依頼人と事件の財力を反映するか(AI作成)

第1 結論

第2 「財力」という言葉には複数の意味がある

1 弁護士の財力
2 依頼人の財力
3 事件の財力

第3 弁護士の所得と依頼者類型に関する公開資料

1 公開統計が測定するのは収入及び所得である
2 依頼者類型と所得との相関
3 相関関係を因果関係へ広げない
4 2025年追加アンケートが示す追加要因

第4 依頼人又は事件の経済力が弁護士所得へ反映する経路

1 経済的利益は報酬を決める要素の一つである
2 事件単価だけでなく件数及び回収可能性も影響する
3 本人以外の支払原資がある

第5 交通事故では賠償原資と弁護士費用原資を分ける

1 加害者側保険は主として賠償金の原資となる
2 被害者側の弁護士費用には別の原資がある

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非弁提携業者による弁護士の取込みから撤収まで(AI作成)

目次

第1 この記事が扱う非弁提携1 非弁行為と非弁提携の違い2 本記事でいう「取込み」と「撤収」3 先に示す結論第2 弁護士を取り込む入口1 標的となりやすい状況を探す2 公益と適法な経営支援の外観を作る3 収入保証と既成事実を組み合わせる第3 法律事務所を支配する四つの手段1 顧客接点の支配2 人員と事件処理の支配3 資金の支配4 情報の支配第4 弁護士が離脱しにくくなる仕組み1 止めるほど債務が表面化する2 アカウントと記録への依存が強まる3 依頼者保護の責任感が逆に利用される第5 業者が撤収するときに起きること1 撤収の契機2 職員・情報・顧客接点を先に引き揚げる3 責任は弁護士側に残る第6 裁判例・懲戒公告が示す具体像1 東京地裁平成14年1月23日判決2 東京地裁令和8年6月5日判決3 令和8年3月号の懲戒公告第7 令和8年の広告規制と証拠保存1 広告は取込みの入口である2 誤導広告の具体化3 広告関連記録の3年間保存4 LLMO・GEO・SEO業者に関する具体的な保存項目第8 危険信号と初動対応1 単独では決め手にならないが重なると危険な事情2 最初に確保すべき情報3 依頼者保護を中心に離脱を設計する第9 出典・参考資料1 法令・規程2 裁判例3 日弁連・弁護士会資料及び文献4 ウェブ上の公的資料・関連記事
第1 この記事が扱う非弁提携
1 非弁行為と非弁提携の違い
弁護士法72条は,弁護士又は弁護士法人でない者が,報酬を得る目的で,法律事件に関して法律事務を取り扱い,又はその周旋をすることを業とすることを原則として禁止している。

これに対し,同法27条は,弁護士が,72条から74条までに違反する者から事件の周旋を受け,又はこれらの者に自己の名義を利用させることを禁止している。

前者が非弁護士側の法律事務取扱い又は周旋を規制するのに対し,後者は弁護士側から非弁活動への接続を遮断する規定である。

弁護士職務基本規程11条から13条までは,違反すると疑うに足りる相当な理由がある者の利用,非弁護士との報酬分配及び依頼者紹介の対価を更に規律している。条文と関連裁判例の全体像は,本ブログの「非弁護士との提携の禁止」及び「弁護士職務基本規程」も参照されたい。
2 本記事でいう「取込み」と「撤収」
非弁提携業者の関与は,事件を一件紹介して紹介料を受け取る形に限られない。

広告,電話・LINE受付,事務所,職員,事件処理の手順,経理及び資金を一体として供給し,弁護士の資格と法律事務所の名義を事業の入口に組み込む形がある。

本記事では,このような関係を形成して弁護士の業務上・経済上の独立を失わせる過程を「取込み」,苦情,弁護士会の調査,捜査,資金不足又は契約終了を契機として,業者側の職員・情報・アカウント等を引き揚げる過程を「撤収」と表現する。

「取込み」及び「撤収」は法令上の用語ではない。また,個々の業者が当初から弁護士を使い捨てる意図を有していたと一律に認定するものでもない。
3 先に示す結論
非弁提携業者による支配の核心は,顧客接点,人員・事件処理,資金及び情報という四つの支配点を,弁護士の外側に置くことである。

業者側には移転しやすい広告アカウント,電話番号,職員,マニュアル及び顧客獲得データが残り,弁護士側には委任契約上の責任,預り金の返還,事件記録,賃料・人件費・広告料等の債務及び懲戒・刑事上のリスクが残る。

この非対称性により,業者は関係が不採算又は危険になった時点で事業資産を別の場所へ移しやすい一方,弁護士は既存依頼者を放置できないため離脱しにくくなる。

本記事は令和8年8月20日までの資料を基礎とし,第6・2の東京地裁令和8年6月5日判決の説明は,同年10月12日に裁判所公表原文と照合して補足した。公開資料から確認できない業者の主観や未公刊事件の内容は断定しない。
第2 弁護士を取り込む入口
1 標的となりやすい状況を探す
日本弁護士連合会『非弁提携弁護士に陥らないために』(平成27年11月)は,登録直後,仕事不足,病気からの復帰,高齢等の状況にある弁護士への接近を典型例として挙げている。

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AI活用に伴う弁護士法72条見直しの動き――令和8年8月21日の新ガイドラインと判例・行政解釈の到達点(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点
2 見直しの現在地

第2 弁護士法72条の条文と罰則
第3 最高裁判例が示した判断枠組み

1 72条に違反した行為の私法上の効力――平成29年判決
2 ただし書と隣接士業――平成28年判決

第4 法務省の行政解釈

1 令和5年8月のガイドライン
2 グレーゾーン解消制度の回答
3 令和7年8月4日の回答と萎縮

第5 規制改革推進会議の議論と閣議決定

1 令和8年1月9日のワーキング・グループ
2 中間答申
3 令和8年7月21日の規制改革実施計画

第6 法務省のタスクフォースと自由民主党の提言

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収入印紙と弁護士業務――受取書,契約書及び訴訟費用における取扱い(AI作成)

第1 この記事が扱う対象1 「収入印紙」が示す複数の法律関係2 検討の対象と時点第2 印紙税法における受取書と契約書の扱い1 課税文書と納税義務者2 弁護士が作成する受取書――「営業に関しない受取書」による非課税3 事務所職員が作成する受取書4 弁護士法人が作成する受取書5 委任契約書,訴訟委任状及び顧問契約書の扱い6 電子契約と印紙税7 過怠税及び罰則8 過誤納の還付及び収入印紙の交換第3 平成17年答弁書にみる非課税の位置づけと限界1 弁護士等の受取書が非課税とされている理由2 政府が留保した見直しの可能性第4 訴訟費用としての収入印紙1 印紙税とは別の法体系であること2 令和8年5月21日の民事訴訟IT化全面施行による変化3 訴訟上の救助による猶予4 過納還付及び再使用証明第5 登録免許税及びその他の場面における収入印紙第6 印紙税法の解釈が争われた裁判例1 「受取書」の意義と仮受取書の二重課税2 課税文書該当性は文書の実質で判断される出典・参考資料1 法令2 通達・行政資料3 国会答弁4 裁判例

弁護士個人が業務上作成する受取書の非課税と,契約書,裁判所手数料及び登録免許税の扱いは,それぞれ分けて判断する必要がある。
一般的な金額・購入場所・貼り方は,収入印紙とは―金額・購入場所・貼り方と領収書・契約書の判断(AI作成)を参照されたい。

第1 この記事が扱う対象

1 「収入印紙」が示す複数の法律関係

「収入印紙」という語は,弁護士の実務において複数の異なる法律関係の納付手段を指して用いられる。第一は,印紙税法(昭和42年法律第23号)が定める印紙税を,契約書や受取書などの課税文書に貼り付けて納付する場合である。第二は,民事訴訟費用等に関する法律(昭和46年法律第40号)が定める訴え提起の手数料その他の裁判所手数料を,収入印紙で納付する場合である。第三は,登録免許税法(昭和42年法律第35号)が定める登録免許税を,一定額以下の登記等について収入印紙で納付する場合である。これらは課税又は徴収の根拠法令,納税義務者若しくは納付義務者,及び現在の主たる納付方法がそれぞれ異なり,同じ「収入印紙」という証票を用いる点で共通するにすぎない。なお,収入印紙という証票の様式自体は,印紙をもつてする歳入金納付に関する法律(昭和23年法律第142号)2条2項に基づき財務大臣が定めている。以下では,このうち弁護士の日常業務に最も関係が深い印紙税法上の取扱いを中心に整理した上で,訴訟費用及び登録免許税における取扱いとの違いを確認する。

2 検討の対象と時点

本記事は,2026年8月時点の印紙税法・関連通達及び令和4年法律第48号による訴訟費用実務の変化を基礎とし,その後に確認した資料を該当箇所に加えている。
2026年10月13日には,国税庁の令和8年版の案内等に照らし,受取書と契約書の区別,消印及び過誤納還付の説明を確認した。
課税文書該当性は,個別の文書の記載内容及び作成の実態によって結論が左右され得るため,具体的な文書を示して税務署又は税理士に確認することが望ましい。

第2 印紙税法における受取書と契約書の扱い

1 課税文書と納税義務者

印紙税法は,同法別表第一の課税物件欄に掲げる文書に印紙税を課すこととしており(同法2条),課税文書の作成者が納税義務者となる(同法3条1項)。一の課税文書を二以上の者が共同して作成した場合には,その全員が連帯して納税義務を負う(同条2項)。国税庁の印紙税法基本通達第7節(作成者等)は,委任に基づく代理人が代理人名義で作成する課税文書については,委任者の名義が表示されていても,当該代理人を作成者として扱うとしている(同通達43条1項)。弁護士が依頼者の代理人として文書を作成する場面では,誰が印紙税の納税義務者になるかを判断する上で,この規律を確認する必要がある。

2 弁護士が作成する受取書――「営業に関しない受取書」による非課税

印紙税法別表第一第17号は金銭又は有価証券の受取書を課税文書としているが,同号の非課税物件欄2は「営業に関しない受取書」を非課税としている。国税庁の印紙税法基本通達は,別表第一第17号文書26として,「弁護士,弁理士,公認会計士,計理士,司法書士,行政書士,税理士,中小企業診断士,不動産鑑定士,土地家屋調査士,建築士,設計士,海事代理士,技術士,社会保険労務士等がその業務上作成する受取書は,営業に関しない受取書として取り扱う」と定めている。国税庁の質疑応答事例「営業の意義」も,商法上の商行為に該当しない医師や弁護士等の行為は「営業」に当たらないと説明している。したがって,弁護士個人が着手金や報酬金を受け取った際に作成する領収書は,記載金額にかかわらず印紙税が課されない。同号の非課税物件欄1は,記載金額が5万円未満の受取書を一般に非課税としているが,弁護士等の受取書はこの金額基準にかかわらず,営業に関しないものとして非課税となる。

3 事務所職員が作成する受取書

弁護士事務所が職員に金銭を貸し付け,職員がその受領に際して受取書を作成する場合にも,同じ非課税の枠組みが適用される。国税庁の質疑応答事例「従業員から交付を受ける受取書」は,「会社と従業員の関係は,消費貸借契約に基づく私法上の関係となり,同一法人内で作成する事務の整理上の文書とは認められませんから不課税文書とはなりません。しかしながら,従業員は,給与所得者であり,印紙税法上の『営業者』には当たりませんので,従業員の作成する受取書は,営業に関しないものとして非課税になります」と説明している(根拠=印紙税法基本通達59条)。同事例は,受取書自体は非課税となる一方,事務所と職員との間で作成する消費貸借契約書や借用証書は第1号の3文書(消費貸借に関する契約書)に該当し,記載金額が1万円以上であれば課税される旨も注記しており,受取書の非課税と契約書の課税とを混同しないよう注意を要する。

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弁護士と税理士の賠償責任の徹底比較(AI作成)

第1 この記事の対象
第2 出発点は同じ——委任契約上の善管注意義務

1 民法の規律
2 使命規定の違い
3 説明義務を基礎づける規範がどこにあるか

第3 義務違反の認定——弁護士側の到達点

1 最判平成25年4月16日の事案
2 判示——承諾があっても免責されない
3 補足意見が描いた説明・報告義務の全体像
4 射程

第4 義務違反の認定——税理士側に特徴的な類型

1 税制選択上の過誤
2 期限管理という構造

第5 損害と因果関係——最も大きな違い

1 弁護士——仮定的判断の壁
2 税理士——税制選択上の過誤では税額差を検討する
3 更正の請求で取り戻せるかが損害の成否を左右する

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訴訟活動における名誉毀損・侮辱と弁護士会の懲戒(AI作成)

目次第1 弁護士職務基本規程70条・71条・73条──名誉の尊重と不利益行為の禁止1 70条(名誉の尊重)の内容と趣旨2 71条(信義に反する不利益行為の禁止)3 73条(他の弁護士等との紛議は協議・紛議調停で)4 「品位を失うべき非行」との実質判断(弁護士法56条1項)第2 懲戒事例──場面別に見た問題の表現1 準備書面等で相手方本人を攻撃した例2 相手方代理人・他の弁護士を攻撃した例3 メーリングリスト・手紙・文書・メールでの誹謗中傷や威圧4 SNS・インターネット・記者会見での表現5 懲戒請求制度の濫用・懲戒請求書での名誉毀損第3 単位弁護士会と日弁連で判断が分かれた例1 懲戒請求書の記載を取り消した例2 準備書面の記載を取り消した例第4 関連論点・関連記事出典
第1 弁護士職務基本規程70条・71条・73条──名誉の尊重と不利益行為の禁止

この記事は,弁護士が訴訟活動やSNS等で相手方,相手方訴訟代理人又は他の弁護士の名誉を毀損し,若しくは侮辱したことを理由に弁護士会から受けた懲戒処分の実例を,弁護士職務基本規程70条・71条の内容とあわせて場面別に整理したものです。
対象は,日本弁護士連合会の機関誌『自由と正義』の懲戒処分公告で確認できる事例(『自由と正義』2026年10月号まで)で,各事例には掲載号・頁と処分の効力発生日を付し,公告に記載された問題の表現をできる限りそのまま示します。

訴訟活動の中でされた表現が,相手方等に対する不法行為(民法709条)や国家賠償として違法になるかどうかは,これとは別の判断枠組みの問題であり,本記事では扱いません。その点は,関連記事「陳述書の作成が違法となる場合に関する裁判例」で整理しています。本記事は,これとは別のレイヤーである弁護士会による懲戒処分に焦点を当てます。

弁護士が他の弁護士を攻撃した場合の懲戒の根拠として,弁護士職務基本規程70条及び71条がしばしば引かれます。
もっとも,これらの条文に形式的に触れる行為がすべて直ちに懲戒事由となるわけではなく,弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」と同等の評価を受けるかという実質的な観点から判断されます。
1 70条(名誉の尊重)の内容と趣旨
職務基本規程70条は,次のとおり定めます。
「弁護士は、他の弁護士、弁護士法人、外国法事務弁護士、外国法事務弁護士法人及び共同法人(以下「他の弁護士等」という。)との関係において、相互に名誉と信義を重んじる。」

令和8年10月4日確認の日弁連公表の現行規程によります。以下の過去の事例に適用された旧規定と,現在の70条の文言は区別して読んでください。

その趣旨は,弁護士等が「法の支配」の担い手として法律事務の独占(弁護士法72条)を認められているところ,法律事務は国民の信頼に支えられて初めて適正に取り扱うことができるのであって,依頼者や市民の信頼を得るためには弁護士等が名誉と信義を重んじる品格ある職業集団でなければならない,という点にあると説明されています(解説弁護士職務基本規程〔第3版〕200頁,〔第4版〕226頁)。
ただし,これは弁護士が依頼者や市民より一段上にあるという意味ではありません。法廷での発言や準備書面の記載のほか,ブログやSNS等で相手方代理人の言動を取り上げて非難する行為も,場合によってはその弁護士の名誉・信用を害するものとして違法性を帯びることがあります。
2 71条(信義に反する不利益行為の禁止)
職務基本規程71条は,次のとおり定めます。
「弁護士は,信義に反して他の弁護士等を不利益に陥れてはならない。」

ここでいう「信義」は,不利益を受けた弁護士が抱く主観的な信義ではなく,自由・独立・品位を重んじ誠実かつ公正に職務を行うべき弁護士職として要求される客観的な信義を指すとされています(解説弁護士職務基本規程〔第3版〕202頁,〔第4版〕228頁)。

懲戒委員会の議決例でも,71条は積極的に不利益を与える意思までを要するものではなく,客観的に不利益を与える行為を行うこと自体が禁止されると理解されています。相手方代理人の同意なく相手方本人に会って解任通知書を作成・交付した行為について,客観的に相手方代理人へ不利益を与える以上71条に反すると判断した例があります(大分県弁護士会懲戒委員会・令和2年3月16日効力発生の議決。自由と正義2020年8月号56頁,2020年弁護士懲戒事件議決例集〔第23集〕70頁・71頁)。

解説弁護士職務基本規程〔第4版〕228頁は,71条に違反する例として,相手方代理人が自らの依頼者本人と直接交渉することを承諾しておきながら,後に前言を翻し,承諾なく直接交渉したとして懲戒請求をほのめかす行為などを挙げています。相手方本人との直接交渉の規律(職務基本規程52条)は,相手方に代理人がいるとき弁護士は本人と直接交渉してよいか-弁護士職務基本規程52条の要件と懲戒例で整理しています。
3 73条(他の弁護士等との紛議は協議・紛議調停で)
あわせて,弁護士は,他の弁護士等との間の紛議については,協議又は弁護士会の紛議調停による円満な解決に努めるものとされています(職務基本規程73条)。
相手方代理人への攻撃や懲戒請求に先立ち,まず自主的な協議や弁護士会の紛議調停による解決を図るべきことを示す規定です。
4 「品位を失うべき非行」との実質判断(弁護士法56条1項)
70条・71条に形式的に触れても,直ちに懲戒されるわけではありません。

(続きを読む...)訴訟活動における名誉毀損・侮辱と弁護士会の懲戒(AI作成)

弁護士の「品位を失うべき非行」の不明確性と懲戒制度への批判(AI作成)

弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」は,具体的な行為類型を列挙した規定ではない。この概念については,予測可能性が乏しく恣意的な懲戒を招くという批判がある一方,最高裁判例は,懲戒事由該当性,懲戒の要否及び処分選択について弁護士会の合理的裁量を認めている。

本記事は,①当事者・論者による制度批判,②現行法,③最高裁判例が示す裁量審査,④表現規制における明確性判例からの示唆を区別して整理する。法令及び裁判例の確認基準日は2026年9月25日である。

目次第1 現行法上の「品位を失うべき非行」第2 不明確であるという批判の内容第3 行政手続法12条との関係第4 最高裁が認める弁護士会の裁量第5 表現規制の明確性判例との関係第6 他士業との比較と制度論第7 議論を混同しないための整理第8 関連記事第9 出典・証拠境界

第1 現行法上の「品位を失うべき非行」

弁護士法56条1項は,弁護士及び弁護士法人が,弁護士法又は所属弁護士会・日本弁護士連合会の会則に違反し,所属弁護士会の秩序又は信用を害し,その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があったときは懲戒を受けると定める。

「品位を失うべき非行」は,刑法上の犯罪又は民法上の不法行為と同一ではない。弁護士の使命,職務上の義務,依頼者及び国民の信頼との関係で,行為の内容,態様,結果,職務との関連性,動機,事後対応その他の事情を踏まえて判断される。

懲戒処分は,戒告,2年以内の業務停止,退会命令及び除名である(同法57条1項)。懲戒事由に該当するかという判断と,どの処分を選択するかという量定判断は区別する必要がある。

第2 不明確であるという批判の内容

非弁提携を理由とする懲戒処分を受けた弁護士法人等が公表した審査請求書には,「品位」「非行」「非弁提携」といった文言が曖昧であり,重大な不利益処分の要件として広い裁量を認めると,予測可能性を害し恣意的判断を招くという趣旨の主張が記載されている。また,交通違反の点数制や建築士の処分基準のような具体的基準を設けるべきであると主張されている。

これは,審査請求人側の主張を紹介するものであり,その正しさが判決によって確定したという意味ではない。当該懲戒処分の適法性,非弁提携の該当性及び手続の問題は,公表資料と確定裁判の有無を区別して検討する必要がある。

学説上も,弁護士懲戒の救済制度,手続保障及び基準の明確化を求める議論がある。これも制度改善についての評価・提案であり,現行法又は最高裁判例の内容そのものではない。

SNSでの表現を理由とする懲戒でも,「品位」の基準が争われている例がある。
大阪弁護士会は,Xで他人の投稿を引用し,真偽を確認しないまま,その投稿者に前科があるとのタレコミがあった旨を投稿した弁護士を,弁護士法56条1項の品位を失うべき非行に当たるとして戒告とした(2026年4月28日効力発生,『自由と正義』2026年10月号69頁)。
公告が理由として挙げるのは同項だけであり,弁護士職務基本規程の個別の条文は挙げていない。

報道によれば,この弁護士は,自らに向けられてきた差別的な発言に対する対抗言論であったとして,2026年7月27日に日本弁護士連合会へ審査請求をした。
記者会見に同席した弁護士は,「品位」などの基準で判断する弁護士法56条には懲戒権者による濫用のおそれもあり,この規定が妥当かを考える機会にしてほしいという趣旨を述べたと報じられている。
いずれも処分を受けた側とその支援者の主張であり,『自由と正義』2026年10月号の時点では,日本弁護士連合会の裁決は公告されていない。
弁護士のSNS投稿を理由とするほかの懲戒例は,弁護士のSNS・ネット表現と懲戒で整理している。

第3 行政手続法12条との関係

行政手続法12条は,行政庁に対し,不利益処分の処分基準を定めて公にしておくよう努めること,基準を定める場合には不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的にすることを定める。

しかし,弁護士法43条の15及び49条の2は,弁護士会及び日本弁護士連合会が行う処分等について,行政手続法のうち行政指導に関する規定を除く規定を適用しないと定める。したがって,行政手続法12条が弁護士懲戒へ直接適用され,処分基準の設定が法的義務となるという説明は正確でない。

予測可能性の確保,平等な取扱い及び恣意の抑制という行政手続法12条の考え方を,弁護士自治の下でも制度設計上参照すべきである,という議論は成り立つ。ただし,これは直接適用の解釈ではなく,類推的な制度論・規範的主張である。

第4 最高裁が認める弁護士会の裁量

最高裁平成18年9月14日第一小法廷判決(平成15年(行ヒ)第68号・裁判集民事221号87頁)は,ある事実関係が「品位を失うべき非行」等の懲戒事由に該当するか,該当する場合に懲戒するか,どの処分を選択するかは,弁護士会の合理的な裁量に委ねられるとした。

そして,弁護士会の懲戒処分が違法となるのは,全く事実の基礎を欠くか,社会通念上著しく妥当性を欠き,裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用したと認められる場合に限られるとした。

判断段階内容事実認定懲戒対象行為と事情を証拠により認定する懲戒事由該当性弁護士法56条1項の各事由に当たるかを判断する懲戒の要否該当しても懲戒しない余地を含め,相当性を判断する処分選択戒告から除名までのどの処分を選ぶかを判断する司法審査事実の基礎の欠如又は社会通念上著しい不合理があるかを審査する

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弁護士のSNS・ネット表現と懲戒(AI作成)

この記事は,弁護士のSNS・インターネット上の表現をめぐる懲戒として,いわゆる「タヒね」懲戒とその取消し,表現の自由との関係,対象弁護士の日弁連総会における発言を取り上げるものです(2026年7月時点の法令・裁判例に基づきます。)。
目次

第1 「タヒね」懲戒とその取消し
第2 侮辱・名誉毀損の法的責任(概要)
第3 表現の自由と萎縮効果
第4 対象弁護士の日弁連総会における発言
第5 ウェブ上の表現で懲戒された例との対比
第6 関連論点・関連記事
出典

第1 「タヒね」懲戒とその取消し
令和3年3月1日発効の大阪弁護士会の戒告では,次の行為について,弁護士法56条1項に定める品位を失うべき非行に該当すると判断されました(月刊大阪弁護士会2021年3月号60頁,自由と正義2021年7月号126頁)。
対象会員は,懲戒請求者から国家賠償請求訴訟について委任を受け訴訟代理人として活動していたが,その後辞任を求められ,これを受託して辞任届を提出した。その後,着手金の返還を巡るやりとりのころ,弁護士の肩書きとともに登録氏名及び法律事務所名を表示したツイッターにおいて,「金払わん奴はタヒね」「金払うつもりないなら法律事務所来るな」「弁護士費用を踏み倒すやつはタヒね」等とツイートを行った。
もっとも,この戒告は,被懲戒者の審査請求に基づき,令和4年5月17日付の日弁連の裁決で取り消され,被懲戒者は懲戒しないこととされました(自由と正義2022年7月号163頁~164頁の裁決の公告)。単位弁護士会の懲戒処分が日弁連で取り消されることがある一例です。
裁決の理由の要旨によれば,日弁連は,ツイートが「弁護士報酬の支払いを不履行にする者」を対象とするもので懲戒請求者を具体的に名指ししていないこと,ツイートには自己の愚痴や不満の感情を発散させるための手段という面も認められること,「タヒね」等は軽薄で下品な表現であるものの,いまだ懲戒処分を行うことが相当とまでは言えないこと,弁護士といえども私的な発言は表現の自由の対象として広く許されるべきであり,過去の処分例との公平性を考慮することも重要であることなどを挙げています。
ただし,原弁護士会の判断は相当であるとの少数意見があったことも付記されています。
第2 侮辱・名誉毀損の法的責任(概要)
SNS上の暴言は,懲戒とは別に,民事・刑事の責任を生じさせることがあります。要点だけを挙げると,次のとおりです。

事実を摘示しないで公然と人を侮辱した場合,侮辱罪が成立します(刑法231条)。侮辱罪の法定刑は,令和4年の刑法改正で引き上げられ,現在は「1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
刑法230条の2第1項は,公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,真実であることの証明があったときは罰しないとしています。同条2項・3項には,公訴が提起されていない人の犯罪行為や公務員等に関する事実についての特則があります。最高裁平成22年3月15日決定(平成21年(あ)第360号,刑集64巻2号1頁)は,インターネットの個人利用者による表現行為の場合も,他の場合と同様に,摘示した事実を真実と誤信したことについて確実な資料,根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り名誉毀損罪は成立しないとし,より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきではないとしています。本人が真実だと思っているという事情だけで,名誉毀損罪が成立しないと判断することはできません。
自己の正当な利益を擁護するためやむをえず他人の名誉を損なう言動をした場合は,その他人が行った言動に対比して,方法・内容において適当と認められる限度を超えない限り,違法性を欠くとされています(最高裁昭和38年4月16日判決参照。学界誌の記事をめぐる民事の名誉毀損の事案です。)。

民事の侮辱(名誉感情の侵害)が違法となる基準や,侮辱罪の法定刑引上げの経緯など,より詳しい整理は,別記事「陳述書の作成が違法となる場合に関する裁判例」の該当箇所を参照してください。
第3 表現の自由と萎縮効果
令和元年9月9日付の東京弁護士会の意見書(「裁判官の市民的自由を萎縮させない対応を求める意見書」)には,次の記載があります。
いかなる表現行為が「許容される限度を逸脱」するのかが示されないでされる制約は,許容される表現行為の予測可能性を奪い,裁判官の表現行為に萎縮的効果を与えるものである。そのことは,一般市民との合理的な差異の不明確性とも相まって,一般市民の表現活動にも予測可能性を奪うおそれがあり,一般市民の表現活動についても萎縮効果を与えることにつながりかねない懸念がある。
表現の自由については,市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)19条が,すべての者が意見を持つ権利と表現の自由についての権利を有するとしつつ,その行使には特別の義務・責任が伴い,法律により,他の者の権利・信用の尊重や公の秩序等の目的のために必要とされる一定の制限を課すことができるとしています。
第4 対象弁護士の日弁連総会における発言

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弁護士の表現と名誉毀損(AI作成)

この記事は,弁護士の弁護活動に関する発言(テレビでの懲戒請求の呼びかけなど)が名誉毀損として違法になるかの判断枠組みと,名誉毀損が成立しない場合でも弁護士会の懲戒対象となり得ることを,最高裁判例に即して整理したものです(2026年7月時点の法令・裁判例に基づきます。)。
目次

第1 名誉毀損の違法性が阻却される場合(最高裁平成17年6月16日判決)
第2 名誉毀損が成立しなくても弁護士会の懲戒対象となり得る(最高裁平成23年7月15日判決)
第3 弁護士・弁護士会に求められる説明責任(須藤正彦裁判官の補足意見)
第4 関連論点・関連記事
出典

第1 名誉毀損の違法性が阻却される場合(最高裁平成17年6月16日判決)
名誉毀損が成立するかどうかは,表現が「事実の摘示」か「意見・論評の表明」かで枠組みが分かれます。最高裁平成17年6月16日判決は,先例を引用しつつ,一般論として次のとおり判示しています(番号は引用者が付し,接続の語句と先例の表示は省略しています。)。
① 事実を摘示しての名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには,上記行為には違法性がなく,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される。

② ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,上記意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り,上記行為は違法性を欠くものというべきであり,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される。
同じ日付で出された別事件の上告棄却決定(最高裁平成17年6月16日決定)には,名誉毀損の成立を否定すべきとする裁判官島田仁郎の詳細な反対意見が付されています。
第2 名誉毀損が成立しなくても弁護士会の懲戒対象となり得る(最高裁平成23年7月15日判決)
大阪弁護士会に所属しタレント活動もしていた橋下徹弁護士が,平成19年5月27日放送のテレビのトーク番組において,光市母子殺害事件の弁護団を構成する弁護人に対する懲戒請求を呼びかけた行為について,大阪弁護士会は,平成22年9月17日,意見・論評の域を逸脱すること等を理由に2か月間の業務停止処分としました。

しかし,最高裁平成23年7月15日判決は,原審である広島高裁平成21年7月2日判決(平成20年(ネ)第454号)を破棄した上で,橋下徹弁護士の発言は不法行為法上違法とはいえないと判断しました(第1審被告である橋下徹弁護士が最高裁で逆転勝訴しました。)。

このように,弁護士会の懲戒処分の判断と,最高裁判所の不法行為の成否の判断とが一致しない事例があります。名誉毀損(不法行為)が成立しないと評価される表現であっても,弁護士会は,別途,品位を失うべき非行に当たるかを判断します。

最高裁平成23年7月15日判決は,一般論として,刑事事件における弁護人の弁護活動は被告人の言い分を無視して行うことができないことをその本質とするものであって,被告人の言い分や弁護人との接見内容等を知ることができない場合には,憶測等により当該弁護活動を論難することには十分に慎重でなければならない,と判示しています。

なお,前提となった光市母子殺害事件については,最高裁平成24年2月20日判決が,死刑判決を下した広島高裁平成20年4月22日判決を支持しました。
第3 弁護士・弁護士会に求められる説明責任(須藤正彦裁判官の補足意見)
上記の最高裁平成23年7月15日判決の裁判官須藤正彦の補足意見は,弁護士・弁護士会が批判に対して説明を尽くすべき立場にあることを述べています(改行は引用者が付しています。)。
弁護士は裁判手続に関わって司法作用についての業務を行うなど,その職務の多くが公共性を帯有し,また,弁護士会も社会公共的役割を担うことが求められている公的団体であるところ,主権者たる国民が,弁護士,弁護士会を信認して弁護士自治を負託し,その業務の独占を認め(弁護士法72条),自律的懲戒権限を付与しているものである以上,弁護士,弁護士会は,その活動について不断に批判を受け,それに対し説明をし続けなければならない立場にあるともいえよう。

懲戒制度の運用に関連していえば,前記のとおり,弁護士会による懲戒権限の適正な行使のために広く何人にも懲戒請求が認められ,そのことでそれは国民の監視を受けるのだから,弁護士,弁護士会は,時に感情的,あるいは,無理解と思われる弁護活動批判ないしはその延長としての懲戒請求ないしはその勧奨行為があった場合でも,それに対して,一つ一つ丹念に説得し,予断や偏見を解きほぐすように努めることが求められているといえよう。あるいは,著名事件であるほどにその説明負担が大きくなることはやむを得ないところもあろう。

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不当な懲戒請求と不法行為責任(AI作成)

目次

第1 懲戒請求権と不法行為責任の関係
第2 最高裁平成19年4月24日判決の判断基準
第3 判断の順序
第4 最高裁判決の事案と結論
第5 田原睦夫裁判官の補足意見
第6 損害と因果関係の立証資料
第7 懲戒手続への答弁と損害賠償請求を分けること
第8 刑法172条との関係
第9 下級審の認容例と資料の確認範囲
第10 出典・関連記事

弁護士に対する懲戒請求が不懲戒又は審査不相当になったとしても,そのことだけで請求者に不法行為責任が生じるわけではない。

最高裁平成19年4月24日第三小法廷判決(平成17年(受)第2126号,民集61巻3号1102頁)は,懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠き,請求者がそれを知り,又は通常人であれば普通の注意により知り得たのにあえて請求するなど,制度の趣旨目的に照らし相当性を欠く場合に,不法行為が成立するとした。

本記事では,最高裁の法廷意見と田原睦夫裁判官の補足意見を分け,不当な懲戒請求に対応した弁護士が保存すべき記録を整理する。

第1 懲戒請求権と不法行為責任の関係

弁護士法58条1項は,何人も,弁護士又は弁護士法人について懲戒事由があると思料するときは,その事由の説明を添えて所属弁護士会に懲戒を求めることができると定める。

この制度は,広く一般の人に懲戒請求権を認め,弁護士会の自律的懲戒権限が適正に行使され,制度が公正に運用されることを期したものである。他方,根拠のない請求は,対象弁護士の名誉・信用を侵害し,弁明の負担を生じさせる。

したがって,「請求できること」と「根拠を欠く請求について民事責任を負わないこと」は同じではない。

第2 最高裁平成19年4月24日判決の判断基準

同最高裁判決は,懲戒請求者が,対象弁護士に懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠について調査・検討すべき義務を負うとした。

その上で,次の事情があるときは,違法な懲戒請求として不法行為を構成すると判示した。

懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠くこと

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弁護士の守秘義務―弁護士法23条・職務基本規程23条と正当な理由(AI作成)

弁護士に相談したり事件を依頼したりすると,「話した内容や渡した資料はどこまで秘密として守られるのか」「裁判や捜査,国会の場で弁護士が私のことを話してしまうことはないのか」といった疑問を持たれることがあります。この記事では,弁護士の守秘義務の根拠と範囲,守秘義務が例外的に解除される場合,証言や押収を拒める場面,司法修習生が事件記録に触れること,及び依頼者側でも第三者に見せない方がよい文書について,条文と最高裁判例を確認しながら整理します。条文は令和7年6月1日施行の拘禁刑への一本化を含む現行の内容によります。

目次第1 弁護士の守秘義務と秘密漏示罪1 守秘義務の根拠と対象2 秘密漏示罪(刑法134条1項)第2 弁護士の証言拒絶権・押収拒絶権等1 民事裁判での証言拒絶・文書提出拒絶2 刑事裁判での押収拒絶・証言拒絶3 依頼者との通信の傍受禁止と秘匿特権4 国会での証言・書類提出第3 守秘義務が解除される場合1 法律に別段の定めがある場合2 正当な理由がある場合第4 弁護士への相談と秘密保持契約(NDA)1 弁護士への相談と情報開示の許否を分ける2 M&AやNDAひな形での扱い第5 司法修習生等による傍聴・記録の閲覧謄写1 実務修習中の司法修習生の傍聴・記録閲覧2 記録の閲覧謄写と依頼者の同意3 司法修習生と研修医の違い第6 第三者に見せない方がよい文書1 相手方の秘密・プライバシーへの配慮2 検察官開示記録の取扱い第7 事件記録の管理体制と弁護士情報セキュリティ規程出典
第1 弁護士の守秘義務と秘密漏示罪

本記事で扱う弁護士法23条の秘密保持の権利・義務と,弁護士職務基本規程23条の依頼者の秘密を漏らし,又は利用することの禁止は,根拠と対象を区別して確認する必要がある。規程23条,56条及び62条の本文と関連条文は,弁護士職務基本規程の現行条文・条文別索引を参照されたい。

1 守秘義務の根拠と対象
(1) 二つの根拠と「依頼者」の範囲
弁護士の守秘義務には,二つの根拠があります。一つは法律で,弁護士法23条本文は「弁護士又は弁護士であつた者は,その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し,義務を負う。」と定めています。守秘義務が「権利」でもあるのは,後で述べる証言拒絶権など,弁護士が秘密を守るために外部の要求を拒める場面があるからです。この秘密保持の権利・義務は,弁護士の使命に基づく誠実義務(弁護士法1条2項)の一つの内容とも位置づけられ,弁護士という職業の存立を支えるものと理解されています。

もう一つは日本弁護士連合会の会規である弁護士職務基本規程で,同規程23条は「弁護士は,正当な理由なく,依頼者について職務上知り得た秘密を他に漏らし,又は利用してはならない。」と定めています。「漏らす」だけでなく「利用」も禁じられている点が特徴です。

ここでいう「依頼者」は,現に個別の事件を依頼した人に限られません。日弁連「解説弁護士職務基本規程」によれば,次の人も含まれると解されています。

受任には至らなかった相談者
顧問先
事件が終了した過去の依頼者
組織内弁護士(企業などに雇用されて働く弁護士)の雇用主

したがって,相談したものの依頼を見送った場合や,事件がすでに終わっている場合でも,弁護士の守秘義務は続きます。
なお,弁護士の側で依頼を断るときに依頼者へ通知する義務については,弁護士が事件の依頼を断るときの通知義務で説明しています。
(2) 「職務上知り得た秘密」の意味と範囲
弁護士法23条が守るのは「職務上知り得た秘密」です。これは弁護士が職務を行う過程で知り得た秘密という意味で,職務とは関係なく知った秘密は含まれません。例えば,弁護士会の会務活動を通じて知った事柄を漏らしても,この条文の違反にはならないと解されています。大阪高裁平成19年2月28日判決(平成18年(ネ)第2841号・第3319号,判例タイムズ1272号273頁)は,「職務上知り得た」とは弁護士がその職務を行うについて知り得たという意味であり,依頼を受けて法律事務を処理する上で知り得た事項(将来依頼を受ける予定で知り得た事項を含みます。)に守秘義務が及ぶ一方,弁護士会の会務を行う際に知り得た事実には弁護士としての守秘義務は及ばないとしています(判例秘書で判決文を確認しました。)。もっとも,会務で知った情報も,会則・規則上の秘密保持義務の対象になり得ます(会務活動における弁護士の秘密保持義務参照)。

ここでいう「秘密」は,本人が特に秘匿しておきたいと考える性質のもの(主観的な秘密)に限られず,一般の人の立場からみて秘匿しておきたいと考える性質のもの(客観的な秘密)も含むと解されています。例えば,ある人が誰に事件を依頼しているかという委任関係の存否自体も,その人が法的紛争の当事者であることに関わる事実として,秘密に当たり得ます。

秘密の「主体」については議論があります。弁護士職務基本規程23条は「依頼者について」と定めていますが,弁護士法23条は文言上,秘密の主体を依頼者に限定していません。この点について,弁護士の守秘義務は依頼者はもとより第三者の秘密やプライバシーにも及ぶと理解するのが実務の一般的な考え方です。少なくとも,弁護士がその職務であるからこそ取り扱うことができる情報については,職務への信頼を守る観点から,依頼者以外の秘密も守秘義務の対象になると解されています。もっとも,依頼者と同じ信頼関係があるわけではない第三者の秘密をどこまで守るべきかは,後述する「正当な理由」の判断の中で,事案ごとに調整されることになります。
(3) 同じ法律事務所の弁護士も義務を負う
守秘義務を負うのは,直接担当した弁護士だけではありません。弁護士職務基本規程56条は「所属弁護士は,他の所属弁護士の依頼者について執務上知り得た秘密を正当な理由なく他に漏らし,又は利用してはならない。その共同事務所の所属弁護士でなくなつた後も,同様とする。」と定めています。

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個人情報漏洩に関する弁護士会の懲戒事例(AI作成)

目次

第1 はじめに——弁護士に課される情報保護の責務

1 なぜ個人情報漏洩が懲戒の重要テーマなのか
2 本稿で扱う「漏洩」の範囲
3 検討の素材と引用の方針

第2 弁護士の情報保護義務を支える法令の体系

1 弁護士法23条——秘密保持義務
2 弁護士職務基本規程の関連条項
3 戸籍・住民票をめぐる法令
4 個人情報保護法と弁護士
5 守秘義務が及ぶ人的範囲

第3 類型1——職務上知り得た秘密の第三者開示

1 秘密保持義務違反の基本構造
2 書面やインターネットで秘密を公開した事例
3 通報者・相談者の情報を漏らした事例
4 相談・聴取で得た情報と立場の利用

第4 類型2——プライバシー情報の暴露とネット公開

1 デジタルタトゥーという新しい危険
2 SNSに氏名・顔写真・属性を掲載した事例

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弁護士名簿の登録取消情報(2026年の官報掲載分)

◯本名簿は,官報の画像データに基づきAIで文字起こししたものである点で間違いを含んでいる可能性がありますから,参考程度にしてください。
◯弁護士法19条に基づき「弁護士名簿登録・登録換え・登録取消し」として官報公告されている,弁護士名簿の登録取消情報(2026年の官報掲載分)を以下のとおり掲載しています。
◯取消事由に関する弁護士法の条文につき,法17条1号は,禁錮以上の刑に処せられたこと又は破産手続開始決定を受けたことであり,法17条3号は退会命令又は除名の処分を受けたことです。
◯官報の原文には,職務上の氏名を使用している弁護士の場合,戸籍名の他,括弧内に職務上の氏名が記載されています(弁護士法19条,及び日弁連会則25条前段参照)。
しかし,本ブログ記事では,戸籍名を職務上の氏名に置き換えて掲載しています。
◯「弁護士登録番号と修習期の対応関係」及び「弁護士名簿の登録情報(2026年の官報掲載分)」も参照してください。

2026年10月28日の官報掲載分
(月 日) (事由) (登録番号) (所属会) (氏名)
令和7年11月30日 死亡 11667 東京 村上 昭夫
令和8年7月7日 死亡 11614 広島 門前 豊巳
8月2日 死亡 11651 愛知県 山路 正雄
8月10日 死亡 14654 第二東京 吉岡 寛
8月14日 死亡 15430 山梨県 清田 嘉一
8月15日 死亡 18143 東京 影山 光太郎
8月18日 死亡 14298 東京 菅 重夫
8月23日 死亡 10478 大阪 徳田 勝
8月24日 死亡 34070 沖縄 髙良 誠
8月28日 死亡 10894 愛知県 片山 主水
8月29日 死亡 42109 大阪 手塚 大輔
8月30日 死亡 11023 東京 石塚 久
8月30日 死亡 24592 第一東京 村上 寛
8月30日 死亡 45500 大阪 林 慶行
9月1日 請求 17443 愛知県 深谷 尚司
9月1日 請求 45724 第一東京 田中 孝樹
9月1日 請求 57992 第一東京 西野 有紀
9月3日 請求 42608 千葉県 中野 利大
9月11日 請求 14814 東京 境野 照彦
9月11日 請求 47229 東京 長谷川 靖
9月11日 請求 63700 第二東京 堀場 真貴子

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弁護士名簿の登録情報(2026年の官報掲載分)

◯本名簿は,官報の画像データに基づきAIで文字起こししたものである点で間違いを含んでいる可能性がありますから,参考程度にしてください。
◯弁護士法19条に基づき「弁護士名簿登録・登録換え・登録取消し」として官報公告されている,弁護士名簿の登録情報(2026年の官報掲載分)を以下のとおり掲載しています。
◯「弁護士登録番号と修習期の対応関係」及び「弁護士名簿の登録取消情報(2026年の官報掲載分)」も参照してください。

2026年10月28日の官報掲載分
(月 日) (登録番号) (所属会)  (氏 名)
9月1日    42231 長野県   平栗 拓明
9月1日    55693  東京   船波 恵子
9月1日    57562 第二東京  天野 文雄
9月1日    58319 兵庫県   片山亜衣子
9月1日    65075 第二東京  目加田歩実
9月1日    68873 第一東京  出縄 英行
9月1日    68874 第一東京  小野佑里乃
9月1日    68875 第一東京  山田 雅秋
9月1日    68876 第二東京  佐藤美由紀
9月1日    68877  大阪   奥田 藍美
9月1日    68878  大阪   本橋 京治
9月1日    68879  東京   山野目章夫
9月1日    68880  東京   中田 和範
9月1日    68881  大阪   島村 雅之
9月1日    68882  大阪   堀端 優一
9月1日    68883  東京   鹿子木 康
9月11日    68884  仙台   田野 晴季
9月11日    68885 神奈川県  二瓶 真和
9月15日    25623 神奈川県  世古 博孝
9月15日    44956  大阪   小西 健太
9月15日    50688 第一東京  木田 晃一
9月15日    58184  東京   松原  彩
9月15日    61786  京都   吉田  絢
9月15日    62267 第二東京  吉田 桂子

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弁護士名簿の登録取消情報(2025年の官報掲載分)

◯本名簿は,官報の画像データに基づきAIで文字起こししたものである点で間違いを含んでいる可能性がありますから,参考程度にしてください。
◯弁護士法19条に基づき「弁護士名簿登録・登録換え・登録取消し」として官報公告されている,弁護士名簿の登録取消情報(2025年の官報掲載分)を以下のとおり掲載しています。
◯取消事由に関する弁護士法の条文につき,法17条1号は,禁錮以上の刑に処せられたこと又は破産手続開始決定を受けたことであり,法17条3号は退会命令又は除名の処分を受けたことです。
◯官報の原文には,職務上の氏名を使用している弁護士の場合,戸籍名の他,括弧内に職務上の氏名が記載されています(弁護士法19条,及び日弁連会則25条前段参照)。
しかし,本ブログ記事では,戸籍名を職務上の氏名に置き換えて掲載しています。
◯「弁護士登録番号と修習期の対応関係」及び「弁護士名簿の登録情報(2025年の官報掲載分)」も参照してください。

2025年11月28日の官報掲載分
(月 日) (事由) 登録番号 (所属会)  (氏 名)
2月17日 死亡 8721 東京 真田 淡史
8月29日 死亡 28680 千葉県 鶴見 泰
9月10日 死亡 31410 長野県 小澤 遙
9月11日 死亡 24485 沖縄 兼島 雅仁
9月15日 死亡 8662 茨城県 堀内 昭三
9月15日 死亡 14718 大阪 川田 政美
9月16日 死亡 21893 高知 山本 卓
9月17日 死亡 6758 大阪 澤辺 朝雄
9月19日 死亡 22386 東京 秋山 賢三
9月20日 死亡 57157 東京 増田 聡
9月21日 死亡 12141 鹿児島県 亀田徳一郎
9月24日 死亡 19699 福岡県 増永 弘
9月25日 死亡 7372 大阪 津留崎利治
9月25日 死亡 11810 愛知県 奥村 毅帆
9月26日 法17条3号 29698 千葉県 鈴木 大祐
9月27日 死亡 24992 神奈川県 人見 奉碩
9月30日 死亡 12959 第一東京 谷川 浩也
10月1日 死亡 22941 愛知県 森 康人
10月1日 死亡 24554 第一東京 渡部 朋広
10月1日 請求 62941 第一東京 平栗 直幹
10月8日 死亡 18122 東京 増澤 博和

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弁護士名簿の登録情報(2025年の官報掲載分)

◯本名簿は,官報の画像データに基づきAIで文字起こししたものである点で間違いを含んでいる可能性がありますから,参考程度にしてください。
◯弁護士法19条に基づき「弁護士名簿登録・登録換え・登録取消し」として官報公告されている,弁護士名簿の登録情報(2025年の官報掲載分)を以下のとおり掲載しています。
◯「弁護士登録番号と修習期の対応関係」及び「弁護士名簿の登録取消情報(2025年の官報掲載分)」も参照してください。

2025年11月28日の官報掲載分
(月 日) (登録番号) (所属会)  (氏 名)
10月1日    41499 第二東京  沖野 憲司
10月1日    45104  東京   松田 啓明
10月1日    50947  東京   川中 啓由
10月1日    53994 千葉県   三渡 玲奈
10月1日    54829 第一東京  角  真央
10月1日    58129 第一東京  堀野 大樹
10月1日    63754 第二東京  草野 健太
10月1日    67363  大阪   橋本 卓也
10月1日    67364  大阪   辻本 典央
10月1日    67365 福岡県   平川 優希
10月1日    67366 神奈川県  岩本 武晴
10月1日    67367 第一東京  𠮷田 友香
10月1日    67368 第一東京  久保 武雄
10月1日    67369  埼玉   奥山  聖
10月6日    67370  京都   村川 美智子
10月14日   29814 第二東京  萩尾 幸司
10月14日   43364 第二東京  トラブカーニ幸子
10月14日   54326 神奈川県  瀬戸宗一郎
10月14日   55889  大阪   石橋 倫世
10月14日   56286 第一東京  足立  理
10月14日   57770 第一東京  長橋佑太朗
10月14日   67371  東京   町田  聡

2025年10月28日の官報掲載分

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学習オフ設定のClaudeコード及びGoogle AI Ultraの利用は弁護士の守秘義務等に違反しないという個人的意見(AIリライト)

第1 この記事の位置づけと結論
第2 用いている環境と設定

1 Claudeコード(Anthropic社)
2 Google AI Ultra(Google社)
3 端末上で動作する形態に固有の情報の出口
4 プランの選択――ゼロ保持と最新機能のどちらを採るか
5 両者を同じ数字で語ることはできない
6 OS組込み型AIは本記事の結論をそのまま適用できない
7 DPAは結論ではなく確認資料の一つである

第3 技術的評価

1 学習への不使用
2 暗号化及び国際認証
3 人間による確認の範囲
4 情報の滞留期間
5 過度な禁止がかえって危険であること

第4 東京弁護士会の選定基準との対照
第5 弁護士職務基本規程との整合性

1 第三者開示に関する評価
2 弁護士情報セキュリティ規程が求める安全管理措置
3 依頼者の同意――委任契約約款

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弁護士名簿の登録取消情報(2024年の官報掲載分)

◯弁護士法19条に基づき「弁護士名簿登録・登録換え・登録取消し」として官報公告されている,弁護士名簿の登録取消情報(2024年掲載分)を以下のとおり掲載しています。
◯取消事由に関する弁護士法の条文につき,法17条1号は,禁錮以上の刑に処せられたこと又は破産手続開始決定を受けたことであり,法17条3号は退会命令又は除名の処分を受けたことです。
◯官報の原文には,職務上の氏名を使用している弁護士の場合,戸籍名の他,括弧内に職務上の氏名が記載されています(弁護士法19条,及び日弁連会則25条前段参照)。
    しかし,本ブログ記事では,戸籍名を職務上の氏名に置き換えて掲載しています。
◯「弁護士登録番号と修習期の対応関係」及び「弁護士名簿の登録情報(2024年の官報掲載分)」も参照してください。

2024年12月4日の官報掲載分
(月 日) (事由) 登録番号 (所属会)  (氏 名)
令和5年12月10日 死亡 21939 第一東京 簑原 茂廣
令和6年
7月16日 死亡  46216 千葉県  仲戸川隆人
8月6日 死亡  41082  東京  石川 貴敏
8月14日 死亡  14151  大阪  西浦 一明
8月20日 死亡  19440 第二東京 中野 春芽
8月21日 死亡  11035  東京  寺島 健造
8月29日 死亡  9663  広島  山田 慶昭
9月2日 死亡  9087  大阪  奥中 克治
9月3日 死亡  61690  函館  是永 克巳
9月5日 死亡  9562  東京  高氏  佶
9月11日 死亡  11000  東京  髙木 伸學
9月13日 死亡  26424  東京  園部 逸夫
9月14日 死亡  9791  仙台  佐野 國男
9月16日 死亡  14278  埼玉  山崎  正
9月24日 死亡  26347  沖縄  下地 玄榮
9月28日 死亡  15550 愛知県  浅井 淳郎
9月30日 死亡  13779  東京  北村 一夫
10月2日 請求  16678 第一東京 井上 克樹
10月2日 請求  17356  札幌  山本 行雄
10月2日 請求  52043  京都  馬杉安沙子
10月3日 死亡  32641 福島県  渡邊  純

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弁護士名簿の登録情報(2024年の官報掲載分)

◯弁護士法19条に基づき「弁護士名簿登録・登録換え・登録取消し」として官報公告されている,弁護士名簿の登録情報(2024年掲載分)を以下のとおり掲載しています。
◯「弁護士登録番号と修習期の対応関係」及び「弁護士名簿の登録取消情報(2024年の官報掲載分)」も参照してください。

2024年12月4日の官報掲載分
(月 日) (登録番号) (所属会)  (氏 名)
10月1日    20724  大阪   森  浩史
10月1日    35967 第一東京  久保 文吾
10月1日    40023 第二東京  髙木  靖
10月1日    41805 第一東京  苅野 真吾
10月1日    43948 第一東京  田中 靖子
10月1日    61180  東京   神田 竜輔
10月1日    65605 新潟県   中條 隆二
10月1日    65606 第一東京  髙間 裕貴
10月1日    65607 第一東京  髙嶋 智光
10月1日    65608 第一東京  浅見賢太郎
10月22日    28060  京都   川合 友見
10月22日    35146 兵庫県   氏本 文恵
10月22日    39359  東京   篠原 芳宏
10月22日    45398 第二東京  小林 隆彦
10月22日    46852 第一東京  石塚  司
10月22日    57057  東京   渡瀬  樹
10月22日    61515  東京   菅野 雄大
10月22日    65609 第二東京  可知 稔基
10月22日    65610 第一東京  甲斐 行夫

2024年11月6日の官報掲載分
(月 日) (登録番号) (所属会)  (氏 名)
9月1日    40568  東京   林  雅子
9月1日    53785 第一東京  鎌田  航
9月1日    54408  東京   吉田 淳史

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関東弁護士会連合会主催の法曹連絡協議会

目次
1 関東弁護士会連合会主催の法曹連絡協議会の資料
2 関連記事その他

1 関東弁護士会連合会主催の法曹連絡協議会の資料
令和6年度(回答案等の開示がありませんでした。)
令和5年度(回答案,当日配布資料,速記録校正)
令和4年度(当日配布資料,速記録校正)
令和3年度(速記録校正)
令和2年度(速記録校正)
令和元年度(速記録校正)
平成30年度(速記録校正)
平成26年度,
* 「令和5年度法曹連絡協議会に関する文書」といったファイル名です。

2 関連記事その他
(1) 日弁連HPの「[関東]関東弁護士会連合会」には「(5) 法曹連絡協議会の開催」として,「東京高等裁判所、東京高等検察庁、東京地方裁判所・家庭裁判所、東京地方検察庁との間で、「司法の運用改善のための情報を交換し、協議を行うことを目的」として、1967年以来、毎年1回関弁連の主催で開催しています。」と書いてあります。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 関東弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
・ 歴代の東京高裁長官
・ 東京高裁の歴代の代表常置委員
・ 東京高裁裁判官会議の概況説明資料