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刑事手続・刑事弁護

被疑者の逮捕(AIリライト)

目次

第1 逮捕の3類型と手続の全体像
第2 通常逮捕(逮捕状による逮捕)

1 逮捕の要件と逮捕状の請求
2 逮捕状の記載事項・提示・緊急執行
3 引致

第3 緊急逮捕

1 緊急逮捕の要件
2 緊急逮捕の合憲性
3 緊急逮捕に伴う捜索・差押え

第4 現行犯逮捕と準現行犯逮捕

1 現行犯逮捕
2 準現行犯逮捕
3 私人による現行犯逮捕
4 現行犯逮捕後の手続

第5 逮捕後の身柄手続(弁解録取・送致・勾留請求)

1 司法警察員による手続(48時間)
2 検察官による手続(送致後24時間・独自逮捕48時間・通算72時間)
3 弁護人選任権の告知と被疑者国選弁護制度の教示

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被疑者及び被告人の勾留(AIリライト)

目次第1 総論1 勾留の意義2 勾留の要件3 犯罪の嫌疑を理由とする不服申立ての制限4 弁護人の職責5 裁判所ウェブサイトによる説明第2 勾留質問6 勾留意見書の受付と裁判官への回付第3 勾留状の執行等第4 勾留と弁護人等への通知第5 勾留と,弁護人等以外の者との接見交通第6 勾留理由開示1 総論2 勾留理由開示に関する判例第7 勾留の取消し第8 勾留の執行停止第9 被疑者勾留に特有の事情別件逮捕・勾留と余罪取調べ受刑中の別件勾留と刑期第10 被告人勾留に特有の事情10 弁護人側の身柄台帳と独立計算第11 第一審の無罪判決後の勾留第12 代用刑事施設及び被告人の移送第13 未決勾留の拘禁関係と安全配慮義務等をめぐる判例第14 未決拘禁者と施設内免許再取得試験第15 勾留請求と勾留状の発付数等に関する統計第16 関連記事その他出典・参考資料

起訴前・起訴後の勾留を分けて読む

段階期間の基本と確認先起訴前の被疑者勾留勾留請求の日から10日以内に起訴しなければ釈放を要する。やむを得ない事由による延長は通じて10日以内が基本であり,特則や起算点は第9の詳説を確認する。起訴後の被告人勾留期間は公訴提起の日から2か月。継続の必要がある場合の1か月ごとの更新には要件があり,更新回数の制限と例外は第10の詳説を確認する。保釈は起訴後の制度である。拘束を解く手続を検討したい勾留の取消し,勾留の執行停止,被告人の保釈を,現在の段階と目的に応じて区別する。

逮捕・勾留の期間を,すべての捜査が終了する期限と読み替えない。釈放後に在宅で捜査が続く場合もある。

刑事事件全体の分岐と,立場別の確認事項は,刑事事件とは―民事事件との違い,手続の流れと立場別の対応を参照されたい。

第1 総論

本記事は,被疑者及び被告人の勾留について,要件,勾留質問,通知,取消し,執行停止及び関連する判例・統計を整理する。
令和8年9月に開示された東京地裁の旧版資料を踏まえ,勾留意見書の受付後の回付確認を補足する。
資料の開示月と作成年は異なるため,受付窓口等の現在の運用は,取扱裁判所へ確認する必要がある。

1 勾留の意義
勾留とは,被告人又は被疑者を刑事施設に拘禁する裁判及びその執行をいいます。
逮捕が48時間・72時間という短時間の身体拘束であるのに対し,勾留は原則として10日間又は2か月という比較的長期の身体拘束である点に特色があります。
2 勾留の要件
被告人の勾留の要件は,次のとおりです(刑訴法60条1項)。
① 犯罪の嫌疑(刑訴法60条1項柱書)。被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があることです。
② 勾留の理由(刑訴法60条1項各号)。(a)被告人が定まった住居を有しないとき(住居不定),(b)罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき(罪証隠滅のおそれ),(c)逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき(逃亡のおそれ)のいずれかが存在することです。
③ 勾留の必要性(刑訴法87条1項参照)。

少年については,刑訴法の要件に加えて特則があります。
少年法48条1項は「勾留状は,やむを得ない場合でなければ,少年に対して,これを発することはできない。」と定めており,少年の勾留は成人よりも抑制的に扱われます。
3 犯罪の嫌疑を理由とする不服申立ての制限
勾留に対しては,犯罪の嫌疑がないことを理由として抗告又は準抗告をすることはできません(刑訴法420条3項・429条2項)。
犯罪の嫌疑の有無は,勾留に対する不服申立てではなく,本案の審理で争うべきものとされているためです。
4 弁護人の職責
弁護士は,身体の拘束を受けている被疑者及び被告人について,必要な接見の機会の確保及び身体拘束からの解放に努めます(弁護士職務基本規程47条)。
5 裁判所ウェブサイトによる説明
裁判所ウェブサイトの「勾留とは何ですか。」は,被疑者勾留と被告人勾留の違いを,次のように平易に説明しています。
勾留は,身柄を拘束する処分ですが,その中にも被疑者の勾留と被告人の勾留とがあります。被疑者の勾留は,逮捕に引き続き行われるもので,罪を犯したことが疑われ,かつ,証拠を隠滅したり逃亡したりするおそれがあるなどの理由から捜査を進める上で身柄の拘束が必要な場合に,検察官の請求に基づいて裁判官がその旨の令状(勾留状)を発付して行います。勾留期間は10日間ですが,やむを得ない場合は,検察官の請求により裁判官が更に10日間以内の延長を認めることもあります。また,内乱等のごく例外的な罪に関する場合は,更に5日間以内の延長が認められています。

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警察庁交通局(AIリライト)

警察庁交通局は,警察庁の内部部局として,交通警察に関する事務をつかさどる中央官庁です。
この記事では,交通局の所掌事務と法的根拠,発足から現在までの沿革,交通局を構成する4課の組織と担当事務,幹部の階級と定員,そして交通取締りをめぐる最高裁判例を,法令原文と公的資料に基づいて整理します。
自動車の停止や交通違反の取締りといった現場の執行事務は都道府県警察が担っており,交通局はその企画・調整と法令の運用を担う立場にある,という点が全体を理解する出発点になります。

目次

第1 総論――交通局の所掌事務と位置づけ
第2 沿革――発足から交通局の設置まで
第3 組織と担当事務

1 交通企画課(警察庁組織令32条)
2 交通指導課(警察庁組織令33条)
3 交通規制課(警察庁組織令34条)
4 運転免許課(警察庁組織令35条)

第4 幹部の階級と定員

1 幹部の階級(平成29年4月時点)
2 都道府県警察本部長との比較
3 定員

第5 交通取締りと任意の停止・質問の適法性
第6 掲載資料と関連情報

1 当ブログ掲載の資料
2 関連記事・外部資料

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被告人の保釈(AIリライト)

目次第1 保釈制度の概要1 保釈とは何か2 保釈の3類型と請求権者第2 必要的保釈(権利保釈・刑訴法89条)1 原則と6つの除外事由2 実刑判決後の再保釈と刑訴法344条第3 裁量保釈(任意的保釈・刑訴法90条)1 意義と考慮要素2 余罪の扱いと最高裁昭和44年7月14日決定3 社会復帰支援計画を保釈資料にする方法第4 義務的保釈(刑訴法91条)第5 保釈の手続1 検察官の意見と意見書の謄写2 保釈保証金の額と付随条件3 納付・代納・保証書4 支援計画と保釈条件の調整5 再保釈時の保証金流用と納付者の確認6 休日の保釈請求と釈放までの確認7 第一審判決後・控訴後の保釈請求と選任資格第6 保釈の判断に対する不服申立てと抗告審1 不服申立ての種類と期間2 原判断の不合理性を具体的に示す必要3 弁護実務での整理第7 保釈の失効と保釈保証金の還付1 保釈が失効する場合2 保釈保証金の還付3 収容通知と還付手続の順序第8 被告人の保釈に関する統計1 裁判所ウェブサイトの統計2 最高裁判所の開示文書第9 保釈者等の視察(犯罪捜査規範)第10 出国確認の留保とカルロス・ゴーンの国外逃亡1 出国確認の留保2 カルロス・ゴーンの密出国3 国外逃亡被疑者の追跡と犯人蔵匿・証拠隠滅の教唆第11 保釈中の逃亡防止をめぐる令和5年改正第12 保釈保証金をめぐる債権回収1 弁護士会照会による保証金の調査2 預託金返還請求権の帰属と回収方法第13 保管金事務処理システムと電子納付第14 関連資料・掲載文献出典

保釈の手続と保証金を調べるための案内

知りたいこと詳しい説明いつ・誰が請求できるか保釈の類型と請求権者。起訴前の被疑者の勾留とは区別する。保証金と条件保証金の額・付随条件,納付・代納・保証書。保釈保証金と弁護士費用は別である。許可後にいつ釈放されるか釈放までの確認。許可決定だけでなく,納付・通知・実際の釈放まで確認する。保証金はいつ戻るか保証金の還付と収容通知・還付手続の順序を確認する。没取される場合とは区別する。

起訴前の拘束については,被疑者及び被告人の勾留を参照されたい。

刑事事件全体の分岐と,立場別の確認事項は,刑事事件とは―民事事件との違い,手続の流れと立場別の対応を参照されたい。

第1 保釈制度の概要

保釈は,起訴後の被告人について,保証金の納付を条件に勾留の執行を停止する制度である。
本記事は,保釈の類型,条件・保証金,不服申立て,失効・還付及び関連資料を整理する。
休日の請求では,緊急性と第一回公判期日の前後を伝え,検察官の意見,執行停止,納付及び実際の釈放を区別して確認する必要がある。

1 保釈とは何か
保釈とは,勾留を観念的には維持しながら,保釈保証金の納付を条件として被告人に対する勾留の執行を停止し,その身体拘束を解く裁判及びその執行をいいます。
その狙いは,被告人が召喚を受けても出頭しなかったり逃亡したりした場合に保証金を没取することとし,被告人に経済的・精神的な負担を与えることで出頭を確保する点にあります。

保釈は起訴後の被告人についての制度である点に注意が必要です。被疑者段階の身体拘束については,被疑者の逮捕,被疑者及び被告人の勾留を参照してください。

身体拘束を解くことは無罪推定との関係でも語られますが,実務ではこの点の理解自体が対立の火種になります。

「「無罪推定の原則」と被疑者・被告人の身柄拘束(逮捕,勾留)とは無関係です。」

— 弁護士戸舘圭之オフィシャル/とってぃ/袴田事件弁護団 (@todateyoshiyuki) March 10, 2021
2 保釈の3類型と請求権者
保釈には次の3類型があります。呼称は文献により異なりますが,本記事では条文の順に沿って次のとおり整理します。

① 必要的保釈(権利保釈・刑訴法89条)。除外事由がない限り,被告人の権利として保釈を許さなければならないもの。
② 任意的保釈(裁量保釈・刑訴法90条)。権利保釈の要件を満たさない場合でも,裁判所の裁量により職権で許すもの。
③ 義務的保釈(刑訴法91条)。勾留による拘禁が不当に長くなったときに,請求又は職権で許さなければならないもの。

保釈の請求ができるのは,勾留されている被告人のほか,その弁護人,法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族又は兄弟姉妹です(刑訴法88条1項)。

裁判官の判断をAIが補助する場面が語られることもありますが,予断・偏見の抑制と,差別的な学習データの取り込みという相反するリスクが指摘されています。

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刑事再審事件の申立て・各種決定・再審無罪判決(榎井村事件以降の日弁連再審支援事件)(AIリライト)

第1 本記事の対象及び見方

1 掲載対象
2 現在の日弁連支援事件との区別
3 榎井村事件以降を対象とする理由

第2 申立て・決定・再審無罪判決の時系列

1 令和8年
2 令和7年
3 令和6年
4 令和5年
5 令和4年
6 令和3年
7 令和2年
8 平成31年・令和元年
9 平成30年
10 平成29年
11 平成28年
12 平成27年
13 平成26年
14 平成25年
15 平成24年
16 平成23年
17 平成22年
18 平成21年
19 平成20年

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刑事再審の仕組みと主な再審事件の現在地(AIリライト)

目次第1 刑事再審の対象と手続の全体像1 再審請求審と再審公判は別の手続である2 対象となる裁判,管轄及び請求人第2 再審事由と新規性・明白性1 刑事訴訟法435条の再審事由2 白鳥決定が示した明白性の判断方法3 財田川事件決定と合理的な疑いの程度4 新証拠と旧証拠の総合評価の範囲第3 現在の再審請求手続1 請求,事実の取調べ及び証拠開示2 請求に対する決定と不服申立期間3 刑の執行停止と再審公判第4 令和8年の刑事再審制度改正1 成立,公布及び施行の段階2 未施行の本体部分で導入される制度第5 主な再審事件の現在地1 再審開始が確定した日野町事件2 再審請求又は不服申立てが公表されている事件3 近時に請求棄却等が公表された事件第6 再審無罪が確定した主な事件1 死刑確定後に再審無罪となった5事件2 日弁連支援事件における再審無罪第7 再審無罪後の救済と司法統計1 刑事補償と国家賠償は要件が異なる2 地方裁判所の再審請求事件人員第8 関連資料への案内第9 出典・参考資料1 法令及び国会・法務省資料2 裁判例3 公的資料,統計及び事件資料4 文献
第1 刑事再審の対象と手続の全体像
本記事は,刑事訴訟法上の再審の仕組み,再審事由のうち実務上中心となる新規性・明白性の判断方法,令和8年法律第67号による制度改正及び主な刑事再審事件の手続状況を整理するものである。個別事件については,再審開始決定と再審無罪判決を区別し,令和8年8月16日までに確認できた公表資料に基づいて記載する。
1 再審請求審と再審公判は別の手続である
刑事再審は,有罪判決が確定した後に,その確定判決の誤りを是正するための非常救済手続である。現在の刑事訴訟法435条は有罪の言渡しを受けた者の利益のための再審を定めており,無罪判決を不利益に変更するための再審は認めていない。

再審手続は,確定判決を直ちに取り消す手続ではない。まず,確定判決に法定の再審事由があるかを審理する再審請求審があり,再審開始決定が確定した後,改めて有罪・無罪等を判断する再審公判が行われる。したがって,「再審開始が確定したこと」と「再審無罪判決が確定したこと」は,手続上も時点上も異なる。
2 対象となる裁判,管轄及び請求人
有罪を言い渡した確定判決についての再審請求は,原判決をした裁判所が管轄する(刑事訴訟法435条,438条)。控訴又は上告を棄却した確定判決に対する再審は,同法436条が対象と事由を別に定めているため,どの確定判決に対して何を理由に請求するかを区別する必要がある。

同法439条によれば,再審を請求できるのは,①検察官,②有罪の言渡しを受けた者,③その法定代理人及び保佐人,④本人が死亡し,又は心神喪失の状態にある場合の配偶者,直系の親族及び兄弟姉妹である。検察官以外の請求人は弁護人を選任でき,その選任は再審の判決まで効力を有する(同法440条)。刑の執行が終わった後や,刑の執行を受けることがなくなった後も請求できる(同法441条)。
第2 再審事由と新規性・明白性
1 刑事訴訟法435条の再審事由
刑事訴訟法435条は,①証拠書類又は証拠物の偽造・変造,②証言・鑑定・通訳・翻訳の虚偽,③誣告罪,④証拠となった裁判の変更,⑤知的財産権を害した罪についての権利無効,⑥無罪・免訴・刑の免除又は原判決より軽い罪を認めるべき新たな明白な証拠,⑦裁判官や捜査機関の職務犯罪を再審事由としている。1号から5号まで及び7号では,原則として別の確定裁判による証明が必要であり,その確定裁判を得られない場合については同法437条が例外を定めている。

多くの再審事件で争点となるのは,刑事訴訟法435条6号の「無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとき」である。この要件は,一般に証拠の「新規性」と「明白性」とに分けて論じられるが,条文上の語は「あらたに発見した」と「明らかな証拠」である。
2 白鳥決定が示した明白性の判断方法
最高裁第一小法廷昭和50年5月20日決定(昭和46年(し)第67号,刑集29巻5号177頁。白鳥決定)は,新証拠が確定判決の事実認定について合理的な疑いを生じさせ,その認定を覆す蓋然性を有するかを判断すべきであるとした。その判断では,新証拠だけを孤立して評価せず,新証拠と他の全証拠を総合的に評価する。

同決定は,再審開始のための事実認定にも「疑わしいときは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則が適用されるとした。再審請求審で請求人が無罪を完全に証明しなければならないという意味ではなく,確定判決の有罪認定に合理的な疑いが生じるかが基準となる。
3 財田川事件決定と合理的な疑いの程度
最高裁第一小法廷昭和51年10月12日決定(昭和49年(し)第118号,刑集30巻9号1673頁。財田川事件決定)は,再審開始のために犯罪事実が存在しないとの確信まで要求することはできず,確定判決の事実認定に合理的な根拠のある疑いが生じれば足りるとした。他方で,単なる抽象的又は思弁的な可能性は合理的な疑いに当たらないとしている。

白鳥決定と財田川事件決定後の証拠評価を「白鳥型」と「財田川型」に分ける分析もある。しかし,これは研究者による判例分析の枠組みであり,最高裁判例が二つの独立した審査方式を確立したと断定すべきではない。新証拠の立証命題と証拠構造への影響を具体的に捉えた上で,新旧全証拠を総合する点が出発点である。
4 新証拠と旧証拠の総合評価の範囲
最高裁第三小法廷平成10年10月27日決定(平成7年(し)第49号,刑集52巻7号363頁。マルヨ無線事件第5次再審請求)は,総合評価の対象に,確定判決が証拠として明示しなかった確定審提出証拠や,再審請求後の審理で新たに得られた証拠も含まれ得ることを示した。また,科刑上一罪の関係にある複数の罪の一部について無罪を認めるべき新証拠も,「軽い罪を認めるべき明らかな証拠」になり得るとした。

もっとも,犯行態様の細部について確定判決と異なる認定が可能であるだけでは足りない。新証拠が構成要件該当事実又は罪の成立に関する事実認定へどのような合理的疑いを生じさせるかを,新証拠と関連する旧証拠との関係で示す必要がある。

近時の最高裁判所でも,新旧全証拠の総合評価の在り方をめぐって意見が分かれた例がある。名張毒ぶどう酒事件第10次再審請求についての最高裁第三小法廷令和6年1月29日決定(令和4年(し)第206号)と,大崎事件の再審請求についての最高裁第三小法廷令和7年2月25日決定(令和5年(し)第412号)は,いずれも特別抗告を棄却したが,宇賀克也裁判官は,いずれについても原決定及び原々決定を取り消して再審を開始すべきであるとする反対意見を述べた。同裁判官は,著書で,大崎事件の多数意見は新証拠それ自体によって確定判決に合理的な疑いが生じることを総合評価の前提としているように見えると指摘している(宇賀克也『管見 最高裁判所』(有斐閣,2026年)370頁)。

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最高裁判所における刑事事件の弁論期日(AIリライト)

目次

第1 刑事上告審の口頭弁論に関する基本
1 判決による無弁論棄却と決定による棄却
2 口頭弁論を開く主な場合
3 被告人の出頭
第2 死刑確定が問題となる事件で弁論を開く慣行
1 三鷹事件の最高裁判決
2 慣行の内容と法的な位置付け
第3 口頭弁論を経ない破棄判決
1 最高裁平成19年7月10日第三小法廷判決
2 最高裁令和2年1月31日第三小法廷判決
第4 弁論期日の指定から終結まで
1 期日の調整
2 期日の通知と提出書面
3 法廷内の席と当日の進行
4 裁判官からの質問と判決期日
第5 口頭弁論が開かれた具体例
第6 非常上告の弁論
第7 司法統計と傍聴案内
1 令和7年司法統計
2 開廷期日情報と傍聴
第8 関連記事その他
第9 出典・参考資料
1 法令・規則
2 裁判例
3 裁判所資料・統計
4 文献

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刑訴法19条の移送請求と札幌高裁令和3年2月18日決定―コロナ禍と後続決定の検討(AIリライト)

札幌高裁令和3年2月18日決定(令和3年(く)第3号)は,釧路地裁が道路交通法違反被告事件を大阪地裁へ移送した決定を取り消し,被告人の移送請求を却下した決定である。

この決定は,大阪府に緊急事態宣言が出されていた時期にされたにもかかわらず,決定理由で緊急事態宣言に言及していない。

しかし,一連の手続を最後まで確認すると,同じ合議体が,争点,予定証人及び被告人側の不利益が具体化された後の札幌高裁令和3年6月23日決定で,大阪地裁への移送を維持している。

そこで,本記事では,令和3年2月18日決定を「感染対策を否定した決定」と単純化せず,初回請求の具体性,検察官側の立証上の不利益,長距離移動による感染リスク及び後続決定を一体として検討する。

目次

第1 本件の結論

1 令和3年2月18日決定の正確な位置付け

2 本記事の評価

第2 移送をめぐる手続の経過

1 初回請求から移送確定までの時系列

2 同一合議体が異なる結論を採った意味

3 中心となる決定書の画像

第3 札幌高裁令和3年2月18日決定の判断

1 被告人及び弁護人の不利益

2 検察官側の立証上の不利益

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被告人側の上告があり,最高裁が被告人に有利に原判決を破棄した刑事判決56件(平成元年以降)(AIリライト)

◯平成元年以降,被告人側の上告があり,最高裁判所が検察官に有利に原判決を破棄した刑事判決56件を整理した。内訳は,被告人側のみ55件,双方上告1件である。各判決に裁判所公式リンクを付した。
◯「検察官側の上告があり,最高裁が検察官に有利に原判決を破棄した刑事判決41件(平成元年以降)(AI作成)」も参照されたい。

目次

第1 収録範囲と一覧の読み方

1 対象と検索方法
2 各項目の意味

第2 被告人側のみの上告事件55件

1 令和の判決(9件)
2 平成20年から平成30年までの判決(22件)
3 平成10年から平成19年までの判決(11件)
4 平成元年から平成9年までの判決(13件)

第3 双方上告のうち被告人に有利な破棄判決1件
第4 刑訴法405条・411条と破棄判決

1 405条の上告理由と410条の必要的破棄
2 411条の職権破棄と5つの事由
3 職権調査義務があるわけではないこと
4 破棄差戻しと破棄自判

第5 関連判例と実務資料

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取調べのための呼出しへの不出頭と逮捕の必要性(AI作成)

第1 記事の対象と結論

1 記事の対象
2 結論

第2 現行法における出頭拒否と通常逮捕

1 在宅被疑者の出頭拒否及び退去の自由
2 通常逮捕の理由及び必要性
3 軽微犯罪に関する追加要件

第3 最高裁判所事務総局資料の記載

1 資料の正式名称及び性格
2 4頁~5頁の内容
3 回数による機械的運用の否定

第4 不出頭と逮捕の必要性をめぐる三つの見解

1 三説の内容
2 三説に共通する判断の限界

第5 最高裁平成10年9月7日判決

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刑事事件の上告棄却決定に対する異議の申立て(AIリライト)

第1 異議の申立ての対象

1 対象となる上告棄却決定
2 判決訂正申立て及び特別抗告との違い

第2 3日間の申立期間

1 送達を受けた場合の数え方
2 被告人と弁護人の送達日が異なる場合
3 法廷で決定が宣告された場合

第3 申立書と申立理由

1 書面を最高裁判所へ提出すること
2 決定の内容の誤りを具体的に示すこと
3 短期間で確認すべき事項

第4 期間の伸長,申立権の回復及び執行停止

1 期間の伸長
2 申立権の回復
3 決定の確定と執行停止

第5 異議が認められた例と近年の棄却例

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検察庁による身上調査照会-法的根拠,照会事項及び前科照会との違い(AIリライト)

目次

第1 身上調査照会の概要第2 身上調査照会の法的根拠1 刑事訴訟法197条2項2 個人情報保護法との関係第3 身上調査照会と前科照会の違い第4 『犯歴事務解説』五訂版が説明する取扱い1 照会書の作成2 現本籍及び旧本籍の回答欄3 回答欄の記載及び添付書類第5 身上調査照会書及び回答書の書式第6 身上調査照会書が現れた裁判例1 最高裁昭和42年6月20日判決2 死刑執行関係文書の情報公開事件第7 関連記事第8 出典・参考資料1 法令及び訓令2 所管行政機関の解説及び運用資料3 文献4 裁判例
第1 身上調査照会の概要

身上調査照会は検察庁が市区町村に行う照会であり,事件関係者本人への来庁依頼とは異なる。本人が呼出しを受けた場合の準備は検察庁から呼び出されたら,機関の役割は検察庁とはを参照されたい。

本記事は,令和8年9月6日現在の法令及び公表資料に基づき,検察庁が市区町村長に対して行う身上調査照会を説明するものである。
身上調査照会は,検察官又は検察事務官が,被疑者等の本籍,氏名,生年月日,住所及び家族関係等の身分関係を確認するため,市区町村長に書面で照会する手続である。

現行の犯歴事務規程(昭和59年4月26日法務省刑総訓第329号)は,令和7年5月29日法務省刑総訓第10号による改正後のものであり,同年6月1日から施行されている。
同規程14条は,検察官又は検察事務官が市区町村長に対して書面で身分関係を照会する場合,身上調査照会書(様式第41号)によるものとしている。

第2 身上調査照会の法的根拠
1 刑事訴訟法197条2項

刑事訴訟法197条2項は,捜査について,公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができると定めている。
身上調査照会書の様式にも,同項に基づく照会であることが記載されている。

刑事訴訟法197条2項に基づく照会について,個人情報保護委員会のFAQは,照会先に回答すべき義務を課すものと解した上で,一般に回答すべきであるとしている。
また,警察庁の通達は,警察による同項の照会について,照会先は報告すべき義務を負うものと解されているが,その履行を強制する方法はないとしている。

2 個人情報保護法との関係

個人情報保護委員会のFAQは,警察や検察等の捜査機関による刑事訴訟法197条2項の照会に応じた個人情報の提供は,個人情報保護法27条1項1号の「法令に基づく場合」に当たり,本人の同意を必要としないと説明している。
このFAQは民間事業者による第三者提供を対象とするものであるが,行政機関等についても,個人情報保護法69条1項が法令に基づく場合を利用目的以外の提供の禁止から除いている。

刑事訴訟法197条2項が報告を求めることのできる事項は,捜査に必要な事項である。
警察による同項の照会について,警察庁は,必要性を十分に検討し,照会事項を必要最小限度にとどめるとともに,照会先が保有する事実の報告を求める範囲を超えて,新たな調査又は専門的判断を求めないよう通知している。

第3 身上調査照会と前科照会の違い

身上調査照会は市区町村長に身分関係を照会する手続であり,他の検察庁に前科の有無を照会する手続ではない。
現行の犯歴事務規程13条は,他の検察庁に前科の有無を照会し,前科調書を作成する「前科照会」を別に定めている。

手続照会先主な確認事項犯歴事務規程身上調査照会市区町村長本籍,氏名,生年月日,住所,家族関係等の身分関係14条・様式第41号前科照会他の検察庁の犯歴担当事務官特定の者が有罪の裁判を受け,これが確定した事実の有無13条・様式第35号

前科照会及び前科調書については,「前科調書」の記事を参照されたい。

第4 『犯歴事務解説』五訂版が説明する取扱い

法務総合研究所『犯歴事務解説』五訂版は,平成30年3月5日に発行された資料であり,102頁~103頁に「第3 身上照会(規程第14条)」の説明がある。
以下は同書が説明する平成30年当時の取扱いであり,現在の個別的な運用又は書式の各欄がすべて同一であることまでを示すものではない。

1 照会書の作成

同書によれば,身上調査照会書には「戸籍筆頭者氏名」の文字が印刷されており,戸籍筆頭者が判明しているときは,その氏名を記載する必要がある。
市区町村が戸籍筆頭者の氏名によって戸籍簿を調査するためであり,照会庁の所在地及び郵便番号も記載するものとされている。

2 現本籍及び旧本籍の回答欄

回答書の本籍欄は,「現」と「旧」の二欄に分かれている。
同書は,転籍の事実が犯歴を保管する検察庁に把握されていない場合,新本籍地を管轄する検察庁への前科照会だけでは,転籍前の前科が回答されないおそれがあるため,旧本籍を確認できるようにしていると説明している。

旧本籍地を管轄する地方検察庁から前科がある旨の回答を得た場合には,同地方検察庁に対し,犯歴事務規程11条1項に基づく戸籍事項訂正の通報を行うものと説明されている。
現行の犯歴事務規程11条1項にも,犯歴票等に記載された戸籍事項に訂正すべき事項があると認められる場合の通報に関する規定がある。

3 回答欄の記載及び添付書類

同書は,市区町村の事務負担を軽減するため,「破産の有無」欄以外の記入に代えて,「戸籍簿及び住民登録の通知に基づく家族」欄に別紙のとおりである旨を記載し,認証文を省略した戸籍謄本及び戸籍の附票の写しを添付する取扱いを紹介している。
また,家族関係を照会する必要がない場合には,身上調査照会書の「家族」欄を削除した上で照会するものとしている。

前者は昭和44年5月20日刑事(総)第405号刑事局総務課長通達,後者は昭和49年5月1日刑総第265号刑事局総務課長通達に基づく取扱いとして同書に掲載されている。
本記事の調査では各通達の原本及び令和8年9月6日現在の有効性を確認できなかったため,これらは同書に記載された平成30年当時の取扱いとして紹介するものである。

第5 身上調査照会書及び回答書の書式

次の画像は,身上調査照会書及び回答書の参考画像である。
画像自体の作成時点及び出典は確認できなかったため,現行の書式見本であるとは扱わない。
現行の犯歴事務規程14条が様式第41号を指定していることのみ確認できる。

身上調査照会書の参考画像(作成時点・出典未確認)

(続きを読む...)検察庁による身上調査照会-法的根拠,照会事項及び前科照会との違い(AIリライト)

刑法第34条の2による刑の消滅-10年・5年・2年の期間と起算日(AIリライト)

第1 この記事が扱う刑の消滅第2 刑法34条の2の要件1 10年,5年及び2年の区分2 旧懲役,旧禁錮及び旧拘留への適用第3 消滅期間の起算日1 拘禁刑及び労役場留置2 罰金の納付3 執行の免除と刑の免除の言渡し第4 期間中に別の刑が確定した場合1 後の刑が効力を有している場合2 後の刑の言渡し自体が効力を失った場合第5 執行猶予と刑の消滅1 刑の全部の執行猶予2 刑の一部の執行猶予第6 刑の言渡しが効力を失うことの意味1 法的効果と過去の事実の区別2 犯歴記録等との区別第7 旧研修教材の計算例1 教材の位置付け2 計算例が扱う場面第8 関連記事第9 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 行政資料4 文献
第1 この記事が扱う刑の消滅

この記事は,刑法34条の2により,刑の言渡し又は刑の免除の言渡しが効力を失う時期を整理するものである。
令和8年9月6日現在の法令を基準とし,令和7年6月1日に拘禁刑が導入された後の条文に基づいて説明する。

刑法34条の2は,実刑の執行を終えた場合等について,その後の一定期間を問題とする規定である。
刑の全部の執行猶予を取り消されることなく猶予期間を経過した場合は,刑法27条によって刑の言渡しが効力を失うため,同条とは区別する必要がある。

「刑の消滅」は,有罪判決を受けたという過去の事実や,その事実に関する記録がすべて消去されることを意味しない。
刑の消滅後の前科情報,犯罪人名簿,犯罪経歴証明書,資格制限,就職及びインターネット上の記事の取扱いについては,前科抹消があった場合の取扱い(AIリライト)で説明している。

第2 刑法34条の2の要件
1 10年,5年及び2年の区分

刑法34条の2が定める期間は,対象となる刑によって次のように異なる。
いずれも,期間中に罰金以上の刑に処せられないことが必要である。

刑の言渡し等が効力を失うまでの期間

対象
起算の基礎
必要な期間

拘禁刑以上の刑
刑の執行を終わり,又は執行の免除を得た時
10年

罰金以下の刑
刑の執行を終わり,又は執行の免除を得た時
5年

刑の免除の言渡し
その裁判が確定した時
2年

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前科調書とは-現行の5様式,刑事裁判での証拠能力及び取扱い(AIリライト)

第1 前科調書の意味1 前科照会書と前科調書の違い2 現行の前科調書は5様式であること3 平成30年版解説の位置付け第2 前科調書の作成及び記載に関する注意点1 本人の同一性及び記載内容の確認2 旧解説が挙げる主な記載事項3 署名押印,契印及び訂正第3 平成30年当時の参考様式画像第4 刑の一部の執行猶予と前科調書1 現行刑法27条の72 令和7年6月1日前後の言渡しを区別すること3 旧解説における前科調書の読み方第5 刑事裁判における証拠能力及び利用の限界1 前科調書の証拠能力2 前科を犯人性の立証に用いる場合の限界第6 前科情報の照会,証拠開示及び記録閲覧第7 関連記事第8 出典・参考資料1 法令・規程2 裁判例3 行政機関の運用資料及び文献
第1 前科調書の意味
1 前科照会書と前科調書の違い

前科調書は,特定の者が有罪の確定裁判を受けた事実について,検察庁の犯歴担当事務官が照会結果を報告するための書面である。
令和8年9月6日現在の取扱いは,犯歴事務規程(昭和59年4月26日法務省刑総訓第329号。最終改正は令和7年5月29日法務省刑総訓第10号であり,同年6月1日に施行された。)に定められている。

同規程13条1項は,検察官又は検察事務官が,他の検察庁の犯歴担当事務官に対して有罪の確定裁判の有無を照会するときは,電子計算機又は前科照会書(様式第35号)を利用することを原則としている。
これに対し,同条2項の前科調書は,照会を受けた犯歴担当事務官が調査結果を報告するための書面である。

したがって,前科照会書は照会に用いる書面であり,前科調書は照会に対する報告書である。
同条の手続は検察庁の犯歴事務に関するものであり,前科調書は,本人又は民間事業者が一般的な証明書として請求する書面ではない。

2 現行の前科調書は5様式であること

犯歴事務規程13条2項が定める現行の前科調書は,次の5様式である。
① 前科調書(甲)(様式第37号)
② 前科調書(道交)(様式第37号の2)
③ 前科調書(乙)(様式第38号)
④ 前科調書(丙)(様式第39号)
⑤ 前科調書(丁)(様式第40号)

平成30年3月5日発行の『犯歴事務解説 五訂版』95頁~102頁は,当時の甲,乙,丙及び丁という4様式を前提として,甲を電算処理対象犯歴,乙を道交犯歴以外の非電算処理対象犯歴,丙を道交犯歴,丁を犯歴票の写しを添付する場合の様式と説明していた。
現行規程には前科調書(道交)が独立して追加されているため,この旧資料の4区分を現在の様式へそのまま当てはめることはできない。

3 平成30年版解説の位置付け

『犯歴事務解説 五訂版』を掲載した記事の95頁~102頁には,前科調書の作成方法,記載事項及び刑の一部の執行猶予がある場合の読み方がまとめられている。
同資料は,当時の検察実務を知るための資料であるが,現行制度を確認するときは,最新の犯歴事務規程及び現行法令を優先する必要がある。

第2 前科調書の作成及び記載に関する注意点
1 本人の同一性及び記載内容の確認

『犯歴事務解説 五訂版』は,前科調書を作成するときは,電子計算機の出力又は犯歴票等を機械的に転記するのではなく,内容の誤り及び記載事項間の矛盾を点検すべきものとしている。
特に,氏名,生年月日及び本籍地は本人を特定するための基本的な事項であり,照会対象者との同一性を確認する必要があると説明している。

同資料によれば,前科調書には,原則として照会対象者に係る有罪の確定裁判を記載する一方,執行猶予取消請求のための照会など,照会目的によって必要な確定裁判だけを記載する場合がある。
前科調書の記載範囲は,照会の目的及び当時の運用を確認して判断すべきものである。

2 旧解説が挙げる主な記載事項

『犯歴事務解説 五訂版』は,旧様式の作成上の注意として,次の事項を挙げている。
① 氏名,生年月日及び本籍又は国籍を正確に記載すること

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略式手続における過失運転致傷罪の量刑分布(AIリライト)

目次第1 略式手続における過失運転致傷罪の量刑分布1 平成23年から令和4年までの終局区分2 表の見方第2 出典及び集計方法1 出典は法曹時報の「刑事事件の概況(上)」である2 表中の記号と人員の数え方3 統計上の「過失運転致傷」の範囲第3 分布から読み取れること第4 量刑分布を読む前提となる法改正1 懲役及び禁錮は令和7年6月1日から拘禁刑に一本化された2 略式手続には罰金又は科料しか乗らない第5 関連記事出典
第1 略式手続における過失運転致傷罪の量刑分布
1 平成23年から令和4年までの終局区分

簡易裁判所の略式手続において過失運転致傷罪で終局した人員を,言い渡された罰金の金額区分別に示すと次のとおりである。交通事故の刑事処分としては最も件数が多い類型であり,年間3万人を超える。

年次終局人員罰金総数100万円50万円以上30万円以上20万円以上10万円以上5万円以上3万円以上1万円以上1万円未満略式不能又は不相当その他平成23年53,50153,485547,60718,46811,96415,3632423−16平成24年52,25752,248607,57518,35911,49414,7421422−9平成25年50,40350,392547,53117,71710,96914,10416−−111平成26年47,92447,913617,11916,95910,58413,17811−1−11平成27年46,23946,224567,05716,65810,12312,305241−−15平成28年45,03645,026437,03616,3669,64311,913232−−10平成29年43,49343,480547,14015,9589,32610,966351−−13平成30年41,21441,205416,97915,2458,65910,26416−1−9令和元年39,19139,186486,63714,7058,0319,75951−−5令和2年34,77934,776616,08212,9417,0398,639122−−3令和3年33,94633,931356,07712,6066,7568,441853−15令和4年32,85332,840366,00112,4016,4707,9131314113
2 表の見方

各欄は金額の下限を示しており,「30万円以上」は30万円以上50万円未満を意味する。「100万円」の欄が上限として独立しているのは,過失運転致傷罪の罰金刑の上限が100万円であり(自動車運転死傷処罰法5条),略式命令で科することができる罰金も100万円以下とされているためである(刑事訴訟法461条)。

「略式不能又は不相当その他」は,略式命令をすることができない場合又は相当でない場合として通常の手続に移行したものなどである。終局人員と罰金総数との差はこれによる。

第2 出典及び集計方法
1 出典は法曹時報の「刑事事件の概況(上)」である

本記事の数値は,毎年2月1日発行の法曹時報に登載される「○年における刑事事件の概況(上)」の図表から採録したものである。同概況は最高裁判所事務総局刑事局が作成しており,各図表は当該年を末尾とする最近5年間を掲げる形式である。したがって,1冊で5年分を確認することができ,年ごとに号を遡る必要はない。

注意を要するのは,同じ表であっても号ごとに図表番号が変わることである。本記事が採録した図表は次のとおりである。

法曹時報の号(対象年)図表番号頁平成27年分(69巻2号)図表145550頁平成28年分(70巻2号)図表145568頁平成30年分(72巻2号)図表140406頁令和4年分(76巻2号)図表138690頁

概況は概況年の約2年後に登載されるため,本記事が現に確認した最新の号は令和4年分(76巻2号)である。令和5年分及び令和6年分についても既に登載されている可能性が高いが,本記事の執筆時点で現物を確認していないため,数値は令和4年までとした。

なお,各年の数値は後の号で遡及的に訂正されることがある。本記事では,同一年について複数の号に数値がある場合,最も新しい号の数値を採用している。略式手続における過失運転致傷罪の平成28年については,平成28年分(70巻2号568頁)が罰金総数4万5,018人としているのに対し,平成30年分(72巻2号406頁)は4万5,026人としており,後の号で遡及訂正されている。本記事は後者を採った。

2 表中の記号と人員の数え方

略式手続の表には執行猶予率の欄がない。略式命令によっても刑の執行猶予をすることはできるが(刑事訴訟法461条後段),概況の略式手続の表は罰金の金額区分と略式不能等の別だけを掲げている。表中の「−」は,該当する人員がないことを示す。

また,略式手続の表の人員は延べ人員であり,通常第一審の表が実人員であるのと数え方が異なる。同一人が複数の事件で略式命令を受けた場合,略式手続の表では複数回計上される。通常第一審の人員と合算して割合を求めるときは,概算にとどまる。

3 統計上の「過失運転致傷」の範囲

概況の注記によれば,「過失運転致傷」には,平成25年法律第86号による改正前の刑法211条2項の罪(自動車運転過失傷害)が含まれる。自動車運転死傷処罰法は平成25年11月27日に公布され,平成26年5月20日から施行されたから,平成25年以前の数値は改正前の刑法上の罪に係るものである。

第3 分布から読み取れること

第一に,金額の中心は30万円以上50万円未満である。この区分の占める割合は,平成23年が34.5%,平成30年が37.0%,令和4年が37.8%であり,緩やかに上昇している。次いで10万円以上20万円未満が約25%,20万円以上30万円未満が約20%を占める。

第二に,致死との違いが著しい。過失運転致死罪では50万円以上100万円未満が約56%を占め,上限の100万円も毎年数十人にのぼるが,致傷では100万円は年35人から61人にとどまり,罰金総数に占める割合は0.1%前後にすぎない。同じ罰金でも,死亡結果の有無によって金額帯が一段階以上異なる。

第三に,人員が大きく減少している。終局人員は平成23年の5万3,501人から令和4年の3万2,853人へと約39%減った。交通事故そのものの減少が背景にあると考えられる。もっとも,略式命令請求に至るのは被疑事件の一部にすぎない。令和4年分の概況683頁によれば,過失運転致死傷被疑事件の起訴率(起訴人員を起訴人員と不起訴人員の和で除したもの)は,令和3年が13.5%,令和4年が13.3%であり,被疑事件の大半は不起訴で終わっている。

第四に,1万円未満の罰金はほとんどない。平成25年と令和4年に各1人あるのみであり,5万円未満の区分全体でも年1人から8人にとどまる。人身事故として立件され略式命令に至った以上,罰金は10万円以上となるのが通例である。

第4 量刑分布を読む前提となる法改正
1 懲役及び禁錮は令和7年6月1日から拘禁刑に一本化された

刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号。公布は令和4年6月17日)は,令和7年6月1日から施行され,懲役及び禁錮を拘禁刑に一本化した。自動車運転死傷処罰法の各条も,現行法では法定刑がすべて拘禁刑で規定されている。

本記事の表が「懲役」「禁錮」の区分で数値を掲げているのは,いずれも施行日より前の年次の統計だからである。施行日以後に犯した罪については拘禁刑が言い渡されるため,将来の概況では刑種の区分自体が変わることになる。

2 略式手続には罰金又は科料しか乗らない

(続きを読む...)略式手続における過失運転致傷罪の量刑分布(AIリライト)

略式手続における過失運転致死罪の量刑分布(AIリライト)

目次第1 略式手続における過失運転致死罪の量刑分布1 平成23年から令和4年までの終局区分2 表の見方第2 出典及び集計方法1 出典は法曹時報の「刑事事件の概況(上)」である2 表中の記号と人員の数え方3 統計上の「過失運転致死」の範囲第3 分布から読み取れること第4 量刑分布を読む前提となる法改正1 懲役及び禁錮は令和7年6月1日から拘禁刑に一本化された2 略式手続には罰金又は科料しか乗らない第5 関連記事出典
第1 略式手続における過失運転致死罪の量刑分布
1 平成23年から令和4年までの終局区分

簡易裁判所の略式手続において過失運転致死罪で終局した人員を,言い渡された罰金の金額区分別に示すと次のとおりである。

年次終局人員罰金総数100万円50万円以上30万円以上20万円以上10万円以上5万円以上3万円以上略式不能又は不相当その他平成23年1,3611,3579773832616729−−4平成24年1,1951,1927663230215131−−3平成25年1,2051,2049266825515435−−1平成26年1,0801,0787459923213538−−2平成27年1,0551,05052596229144281−5平成28年9239207151118312035−−3平成29年9349325855018510930−−2平成30年8478445947617111028−−3令和元年709709454191498016−−−令和2年675673423791369026−−2令和3年569567493201146617−12令和4年488488302741045723−−−
2 表の見方

各欄は金額の下限を示しており,「50万円以上」は50万円以上100万円未満を意味する。「100万円」の欄が上限として独立しているのは,過失運転致死罪の罰金刑の上限が100万円であり(自動車運転死傷処罰法5条),略式命令で科することができる罰金も100万円以下とされているためである(刑事訴訟法461条)。

「略式不能又は不相当その他」は,略式命令をすることができない場合又は相当でない場合として通常の手続に移行したものなどである。終局人員と罰金総数との差はこれによる。

第2 出典及び集計方法
1 出典は法曹時報の「刑事事件の概況(上)」である

本記事の数値は,毎年2月1日発行の法曹時報に登載される「○年における刑事事件の概況(上)」の図表から採録したものである。同概況は最高裁判所事務総局刑事局が作成しており,各図表は当該年を末尾とする最近5年間を掲げる形式である。したがって,1冊で5年分を確認することができ,年ごとに号を遡る必要はない。

注意を要するのは,同じ表であっても号ごとに図表番号が変わることである。本記事が採録した図表は次のとおりである。

法曹時報の号(対象年)図表番号頁平成27年分(69巻2号)図表145550頁平成28年分(70巻2号)図表145568頁平成30年分(72巻2号)図表140406頁令和4年分(76巻2号)図表138690頁

概況は概況年の約2年後に登載されるため,本記事が現に確認した最新の号は令和4年分(76巻2号)である。令和5年分及び令和6年分についても既に登載されている可能性が高いが,本記事の執筆時点で現物を確認していないため,数値は令和4年までとした。

なお,各年の数値は後の号で遡及的に訂正されることがある。本記事では,同一年について複数の号に数値がある場合,最も新しい号の数値を採用している。略式手続における過失運転致死罪については,本記事が確認した範囲で,号をまたぐ数値の食い違いはなかった。

2 表中の記号と人員の数え方

略式手続の表には執行猶予率の欄がない。略式命令によっても刑の執行猶予をすることはできるが(刑事訴訟法461条後段),概況の略式手続の表は罰金の金額区分と略式不能等の別だけを掲げている。表中の「−」は,該当する人員がないことを示す。

また,略式手続の表の人員は延べ人員であり,通常第一審の表が実人員であるのと数え方が異なる。同一人が複数の事件で略式命令を受けた場合,略式手続の表では複数回計上される。通常第一審の人員と合算して割合を求めるときは,概算にとどまる。

3 統計上の「過失運転致死」の範囲

概況の注記によれば,「過失運転致死」には,平成25年法律第86号による改正前の刑法211条2項の罪(自動車運転過失致死)が含まれる。自動車運転死傷処罰法は平成25年11月27日に公布され,平成26年5月20日から施行されたから,平成25年以前の数値は改正前の刑法上の罪に係るものである。

第3 分布から読み取れること

第一に,金額の中心は50万円以上100万円未満である。この区分の占める割合は,平成23年が54.4%,平成30年が56.4%,令和4年が56.1%であり,12年間ほぼ一定である。上限である100万円の言渡しも毎年30人から97人あり,令和4年でも罰金総数488人のうち30人(6.1%)を占める。

第二に,人員が3分の1近くまで減少している。終局人員は平成23年の1,361人から令和4年の488人となった。同じ期間の通常第一審の終局人員が1,752人から1,020人へと4割強の減少にとどまっているのと比べると,略式手続の減少幅の方がはるかに大きい。その結果,過失運転致死罪のうち略式手続で処理される割合は,平成30年の約38%から令和4年の約32%へ下がっている。

第三に,公判請求と略式命令請求とを分けるものは,示談の成否である。川上拓一編著『裁判例にみる交通事故の刑事処分・量刑判断』(学陽書房,2022年)49頁及び50頁は,「致死事件においては、示談成立・遺族の宥恕が公判請求・略式処理の分水嶺となる、かなり重要な考慮事情となっていると思われ、その意味で積極的に宥恕等を得るとの起訴前弁護活動が重要であることが指摘できよう。」と指摘している。略式手続で終局するか公判に付されるかは,量刑そのものと同じかそれ以上に,被疑者側にとって重い分岐である。

第4 量刑分布を読む前提となる法改正
1 懲役及び禁錮は令和7年6月1日から拘禁刑に一本化された

刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号。公布は令和4年6月17日)は,令和7年6月1日から施行され,懲役及び禁錮を拘禁刑に一本化した。自動車運転死傷処罰法の各条も,現行法では法定刑がすべて拘禁刑で規定されている。

本記事の表が「懲役」「禁錮」の区分で数値を掲げているのは,いずれも施行日より前の年次の統計だからである。施行日以後に犯した罪については拘禁刑が言い渡されるため,将来の概況では刑種の区分自体が変わることになる。

2 略式手続には罰金又は科料しか乗らない

略式命令で科することができるのは100万円以下の罰金又は科料に限られる(刑事訴訟法461条)。したがって,本記事の分布は,検察官が起訴の段階で罰金相当と判断し,被疑者がこれに異議のない旨を書面で明らかにした事案だけを集めたものである。拘禁刑(改正前の懲役又は禁錮)を科すべきと判断された事案は,はじめから略式手続に乗らない。

(続きを読む...)略式手続における過失運転致死罪の量刑分布(AIリライト)

通常第一審における過失運転致傷罪の量刑分布(地裁及び簡裁)(AIリライト)

目次第1 通常第一審における過失運転致傷罪の量刑分布1 懲役・禁錮の刑期区分別内訳2 終局区分と全部執行猶予率3 表の見方第2 出典及び集計方法1 出典は法曹時報の「刑事事件の概況(上)」である2 全部執行猶予率の算出方法と「一部執行猶予」との区別3 統計上の「過失運転致傷」の範囲第3 分布から読み取れること第4 量刑分布を読む前提となる法改正1 懲役及び禁錮は令和7年6月1日から拘禁刑に一本化された2 自動車運転死傷処罰法の施行と統計の連続性第5 関連記事出典
第1 通常第一審における過失運転致傷罪の量刑分布
1 懲役・禁錮の刑期区分別内訳

地方裁判所及び簡易裁判所の通常第一審において過失運転致傷罪で有罪となり,懲役又は禁錮を言い渡された人員を,刑期区分別に示すと次のとおりである。

年次懲役・禁錮総数5年以下3年2年以上1年以上6月以上6月未満平成23年3,3391171821,9101,21118平成24年3,2642351921,7761,22534平成25年3,0301241761,7751,02925平成26年3,015−211831,7451,05115平成27年2,821−331651,63996915平成28年2,7172161501,61990624平成29年2,6822251661,59088613平成30年2,6231171491,57986017令和元年2,533−231601,5667759令和2年2,337−221501,3927676令和3年2,243−171441,4426382令和4年2,1352201211,3726137

過失運転致傷罪の法定刑は7年以下の拘禁刑(改正前は7年以下の懲役又は禁錮)又は100万円以下の罰金であり,傷害が軽いときは情状により刑を免除することができる(自動車運転死傷処罰法5条)。概況の表には「7年を超える」及び「7年以下」の欄があるが,本記事の12年間ではいずれも該当がないため省略した。

2 終局区分と全部執行猶予率

同じ人員を,終局区分別に整理すると次のとおりである。

年次終局人員有罪総数懲役・禁錮うち全部執行猶予全部執行猶予率(%)罰金無罪その他平成23年3,6143,5173,3393,13894.0178493平成24年3,4873,4053,2643,07194.1141478平成25年3,2443,1643,0302,88395.2134971平成26年3,2323,1603,0152,88095.51451161平成27年3,0532,9912,8212,73597.0169656平成28年2,9082,8352,7172,65497.8117865平成29年2,8962,8362,6822,64698.7154357平成30年2,7992,7442,6232,58498.6121253令和元年2,7202,6662,5332,47897.8133747令和2年2,4982,4552,3372,30598.6118439令和3年2,4132,3612,2432,21498.7118250令和4年2,2792,2312,1352,09698.396−48

「その他」は,公訴棄却,正式裁判請求の取下げ,移送等である。有罪総数が懲役・禁錮と罰金との合計を1人上回る年(平成27年及び平成28年)があるのは,刑の免除が各1人あるためである。

3 表の見方

各欄は刑期の上限を示しており,「1年以上」は1年以上2年未満,「2年以上」は2年以上3年未満,「3年」はちょうど3年を意味する。実刑人員は表に直接掲げられていないが,本記事で懲役・禁錮の総数から全部執行猶予人員を差し引いて算出すると,令和4年は39人,令和3年は29人,令和2年は32人であり,平成23年の201人から大きく減っている。

第2 出典及び集計方法
1 出典は法曹時報の「刑事事件の概況(上)」である

本記事の数値は,毎年2月1日発行の法曹時報に登載される「○年における刑事事件の概況(上)」の図表から採録したものである。同概況は最高裁判所事務総局刑事局が作成しており,各図表は当該年を末尾とする最近5年間を掲げる形式である。したがって,1冊で5年分を確認することができ,年ごとに号を遡る必要はない。

注意を要するのは,同じ表であっても号ごとに図表番号が変わることである。本記事が採録した図表は次のとおりである。

法曹時報の号(対象年)図表番号頁平成27年分(69巻2号)図表144548頁~549頁平成28年分(70巻2号)図表144566頁~567頁平成30年分(72巻2号)図表139404頁~405頁令和4年分(76巻2号)図表137688頁~689頁

概況は概況年の約2年後に登載されるため,本記事が現に確認した最新の号は令和4年分(76巻2号)である。令和5年分及び令和6年分についても既に登載されている可能性が高いが,本記事の執筆時点で現物を確認していないため,数値は令和4年までとした。

なお,各年の数値は後の号で遡及的に訂正されることがある。本記事では,同一年について複数の号に数値がある場合,最も新しい号の数値を採用している。過失運転致傷罪については,本記事が確認した範囲で,号をまたぐ数値の食い違いはなかった。

2 全部執行猶予率の算出方法と「一部執行猶予」との区別

概況の注記によれば,全部執行猶予率は,全部執行猶予言渡人員を懲役,禁錮3年以下の有罪人員で除して100を乗じて算出されている。分母は有罪人員全体ではなく,猶予を付し得る範囲に限られている点に注意を要する。

刑の一部執行猶予制度の施行日は平成28年6月1日である(平成30年分・72巻2号404頁の注記)。これ以降の概況は「一部執行猶予率」と「全部執行猶予率」とを別欄に分けており,本記事が掲げるのはいずれも全部執行猶予率である。平成27年以前の号は単に「執行猶予率」と表示しているが,一部執行猶予制度が存在しない時期の数値であるから,実質は全部執行猶予率と同義である。

表中の「−」は,該当する人員がないことを示す。全部執行猶予率の欄の「−」は,全部執行猶予の言渡しがなかったこと,又は分母となる人員が存在しないことのいずれかを意味する。

3 統計上の「過失運転致傷」の範囲

概況の注記によれば,「過失運転致傷」には,平成25年法律第86号による改正前の刑法211条2項の罪(自動車運転過失傷害)が含まれる。自動車運転死傷処罰法は平成25年11月27日に公布され,平成26年5月20日から施行された。したがって,本記事の平成25年以前の数値は改正前の刑法上の罪に係るものである。

第3 分布から読み取れること

第一に,全部執行猶予がほぼ例外なく付されている。全部執行猶予率は平成23年の94.0%から平成29年の98.7%まで上昇し,以後は97.8%から98.7%の範囲で推移している(令和4年は98.3%)。過失運転致死罪(9割台前半から半ば)と比べても更に高い。

第二に,刑期の中心は1年以上2年未満であり,その割合は54.4%(平成24年)から64.3%(令和3年・令和4年)の範囲にある。次いで6月以上1年未満が3割前後を占める。3年の言渡しは年16人から35人にとどまり,5年以下(3年を超えるもの)は年0人から2人である。

第三に,人員が大きく減少している。終局人員は平成23年の3,614人から令和4年の2,279人へと約37%減った。同じ期間に略式手続の人員も5万3,501人から3万2,853人へ減っており,過失運転致傷事件全体が縮小している。

第四に,通常第一審で処理されるのはごく一部である。令和4年についてみると,通常第一審の終局人員2,279人に対し,略式手続における過失運転致傷罪の終局人員は3万2,853人であり,件数の桁が異なる。令和4年分の概況691頁の図表139によれば,第一審における過失運転致傷事件の刑種の割合は,令和4年が懲役1.5%,禁錮4.6%,罰金93.9%であり,略式手続を含めた全体では罰金が9割を超えている。

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通常第一審における過失運転致死罪の量刑分布(地裁及び簡裁)(AIリライト)

目次第1 通常第一審における過失運転致死罪の量刑分布1 懲役・禁錮の刑期区分別内訳2 終局区分と全部執行猶予率3 表の見方第2 出典及び集計方法1 出典は法曹時報の「刑事事件の概況(上)」である2 全部執行猶予率の算出方法と「一部執行猶予」との区別3 統計上の「過失運転致死」の範囲第3 分布から読み取れること第4 量刑分布を読む前提となる法改正1 懲役及び禁錮は令和7年6月1日から拘禁刑に一本化された2 自動車運転死傷処罰法の施行と統計の連続性第5 関連記事出典
第1 通常第一審における過失運転致死罪の量刑分布
1 懲役・禁錮の刑期区分別内訳

地方裁判所及び簡易裁判所の通常第一審において過失運転致死罪で有罪となり,懲役又は禁錮を言い渡された人員を,刑期区分別に示すと次のとおりである。

年次懲役・禁錮総数7年超7年以下5年以下3年2年以上1年以上6月以上6月未満平成23年1,715−3131524161,08843−平成24年1,658−3331254011,06036−平成25年1,6111−241434161,001242平成26年1,496121114037594522−平成27年1,439−−7117362937151平成28年1,468−11012336994520−平成29年1,339−−1111934285215−平成30年1,352−213125356840133令和元年1,252−24131344759111令和2年1,072−11210630563216−令和3年1,009−181152616195−令和4年1,002−12952716267−

過失運転致死罪の法定刑は7年以下の拘禁刑(改正前は7年以下の懲役又は禁錮)又は100万円以下の罰金である(自動車運転死傷処罰法5条)。「7年超」の欄に平成25年及び平成26年の各1人が計上されているのは,併合罪加重により上限が引き上げられた場合である。

2 終局区分と全部執行猶予率

同じ人員を,終局区分別に整理すると次のとおりである。有罪総数は懲役・禁錮,罰金及び刑の免除の合計であり,終局人員は有罪総数に無罪及びその他を加えたものである。

年次終局人員有罪総数懲役・禁錮うち全部執行猶予全部執行猶予率(%)罰金無罪その他平成23年1,7521,7261,7151,56892.311719平成24年1,6881,6721,6581,49692.214313平成25年1,6381,6221,6111,44791.211313平成26年1,5341,5161,4961,39594.120513平成27年1,4811,4651,4391,35194.326313平成28年1,4941,4821,4681,39095.41457平成29年1,3591,3501,3391,26195.01145平成30年1,3711,3601,3521,27795.5847令和元年1,2701,2611,2521,19495.8927令和2年1,1031,0821,0721,00294.610417令和3年1,0281,0231,00995095.01423令和4年1,0201,0101,00296396.4837

「その他」は,公訴棄却,正式裁判請求の取下げ,移送等である。有罪総数と懲役・禁錮及び罰金の合計とが一致するのは,本記事の12年間では刑の免除がなかったためである。

3 表の見方

各欄は刑期の上限を示しており,「1年以上」は1年以上2年未満,「2年以上」は2年以上3年未満,「3年」はちょうど3年を意味する。実刑人員は表に直接掲げられていないが,本記事で懲役・禁錮の総数から全部執行猶予人員を差し引いて算出すると,令和4年は39人,令和3年は59人,令和2年は70人となる。

第2 出典及び集計方法
1 出典は法曹時報の「刑事事件の概況(上)」である

本記事の数値は,毎年2月1日発行の法曹時報に登載される「○年における刑事事件の概況(上)」の図表から採録したものである。同概況は最高裁判所事務総局刑事局が作成しており,各図表は当該年を末尾とする最近5年間を掲げる形式である。したがって,1冊で5年分を確認することができ,年ごとに号を遡る必要はない。

注意を要するのは,同じ表であっても号ごとに図表番号が変わることである。本記事が採録した図表は次のとおりである。

法曹時報の号(対象年)図表番号頁平成27年分(69巻2号)図表144548頁~549頁平成28年分(70巻2号)図表144566頁~567頁平成30年分(72巻2号)図表139404頁~405頁令和4年分(76巻2号)図表137688頁~689頁

概況は概況年の約2年後に登載されるため,本記事が現に確認した最新の号は令和4年分(76巻2号)である。令和5年分及び令和6年分についても既に登載されている可能性が高いが,本記事の執筆時点で現物を確認していないため,数値は令和4年までとした。

なお,各年の数値は後の号で遡及的に訂正されることがある。本記事では,同一年について複数の号に数値がある場合,最も新しい号の数値を採用している。過失運転致死罪については,本記事が確認した範囲で,号をまたぐ数値の食い違いはなかった。

2 全部執行猶予率の算出方法と「一部執行猶予」との区別

概況の注記によれば,全部執行猶予率は,全部執行猶予言渡人員を懲役,禁錮3年以下の有罪人員で除して100を乗じて算出されている。分母は有罪人員全体ではなく,猶予を付し得る範囲に限られている点に注意を要する。

刑の一部執行猶予制度の施行日は平成28年6月1日である(平成30年分・72巻2号404頁の注記)。これ以降の概況は「一部執行猶予率」と「全部執行猶予率」とを別欄に分けており,本記事が掲げるのはいずれも全部執行猶予率である。平成27年以前の号は単に「執行猶予率」と表示しているが,一部執行猶予制度が存在しない時期の数値であるから,実質は全部執行猶予率と同義である。

表中の「−」は,該当する人員がないことを示す。全部執行猶予率の欄の「−」は,全部執行猶予の言渡しがなかったこと,又は分母となる人員が存在しないことのいずれかを意味する。

3 統計上の「過失運転致死」の範囲

概況の注記によれば,「過失運転致死」には,平成25年法律第86号による改正前の刑法211条2項の罪(自動車運転過失致死)が含まれる。自動車運転死傷処罰法は平成25年11月27日に公布され,平成26年5月20日から施行された。したがって,本記事の平成25年以前の数値は改正前の刑法上の罪に係るものである。

第3 分布から読み取れること

第一に,過失運転致死罪の第一審は禁錮が中心である。令和4年分の概況691頁の図表139によれば,第一審における過失運転致死事件の刑種の割合は,令和4年が懲役2.1%,禁錮64.8%,罰金33.1%であり,平成30年は懲役2.4%,禁錮59.0%,罰金38.7%であった。拘禁刑への一本化により,この区分自体が将来は失われる。

第二に,刑期の中心は1年以上2年未満の区間であり,その割合は令和4年で62.5%,平成23年で63.4%と,12年間ほぼ一定である。全部執行猶予率も91.2%(平成25年)から96.4%(令和4年)の範囲で推移しており,大きな変動はない。

第三に,人員が着実に減少している。終局人員は平成23年の1,752人から令和4年の1,020人へと4割以上減った。自動車運転死傷処罰法の施行によって一部が危険運転致死として起訴されるようになったことに加え,交通事故そのものの減少が背景にあると考えられる。

第四に,通常第一審で処理されるのは全体の一部である。令和4年分の概況683頁によれば,過失運転致死傷被疑事件の起訴率(起訴人員を起訴人員と不起訴人員の和で除したもの)は,令和3年が13.5%,令和4年が13.3%である。さらに,起訴された事件のうちかなりの割合が略式手続で処理される。令和4年についてみると,通常第一審の終局人員1,020人に対し,略式手続における過失運転致死罪の終局人員は488人であり,合計1,508人のうち約32%が略式手続によっている。平成30年は,通常第一審1,371人,略式手続847人の合計2,218人のうち約38%であった。もっとも,通常第一審の人員が実人員であるのに対し略式手続の人員は延べ人員であるから,この割合は概算である。

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通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)(AIリライト)

目次第1 通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布1 平成23年から令和4年までの終局区分2 表の見方第2 出典及び集計方法1 出典は法曹時報の「刑事事件の概況(上)」である2 全部執行猶予率の算出方法と「一部執行猶予」との区別3 統計上の「危険運転致傷」の範囲第3 分布から読み取れること第4 量刑分布を読む前提となる法改正1 懲役及び禁錮は令和7年6月1日から拘禁刑に一本化された2 危険運転致死傷罪は令和8年7月21日から改正されている第5 関連記事出典
第1 通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布
1 平成23年から令和4年までの終局区分

地方裁判所の通常第一審において危険運転致傷罪で終局した人員を,言い渡された懲役の刑期区分別に示すと次のとおりである。

年次終局人員懲役総数10年以下5年以下3年2年以上1年以上6月以上全部執行猶予率(%)平成23年17016827135492−82.4平成24年17016917165488373.9平成25年16516347195577179.6平成26年2352331621631301281.4平成27年3293272914931812886.7平成28年3393382416842062691.9平成29年3463412620612084492.5平成30年296292−521681603892.3令和元年2592552216461682190.0令和2年2552472210461582993.0令和3年2792781315571673592.7令和4年251250−811461533293.4

無罪は平成29年が2人,令和元年,令和2年及び令和3年が各1人であり,その他の年はない。「その他」(公訴棄却,移送等)は,平成23年が2人,平成24年が1人,平成25年から平成27年までが各2人,平成28年が1人,平成29年が3人,平成30年が4人,令和元年が3人,令和2年が7人,令和3年がなく,令和4年が1人である。

2 表の見方

各欄は刑期の上限を示しており,「1年以上」は1年以上2年未満,「2年以上」は2年以上3年未満,「3年」はちょうど3年を意味する。危険運転致傷罪の法定刑は15年以下の拘禁刑(改正前は15年以下の懲役)であり,本記事の12年間では10年を超える言渡しはない。30年以下及び20年以下の欄は概況の表に存在するが,全年で該当がないため本記事の表では省略した。

「終局人員」は,有罪,無罪及びその他を合計した,その年に第一審が終局した実人員である。

第2 出典及び集計方法
1 出典は法曹時報の「刑事事件の概況(上)」である

本記事の数値は,毎年2月1日発行の法曹時報に登載される「○年における刑事事件の概況(上)」の図表から採録したものである。同概況は最高裁判所事務総局刑事局が作成しており,各図表は当該年を末尾とする最近5年間を掲げる形式である。したがって,1冊で5年分を確認することができ,年ごとに号を遡る必要はない。

注意を要するのは,同じ表であっても号ごとに図表番号が変わることである。本記事が採録した図表は次のとおりである。

法曹時報の号(対象年)図表番号頁平成27年分(69巻2号)図表143547頁平成28年分(70巻2号)図表143565頁平成30年分(72巻2号)図表138403頁令和4年分(76巻2号)図表136687頁

概況は概況年の約2年後に登載されるため,本記事が現に確認した最新の号は令和4年分(76巻2号)である。令和5年分及び令和6年分についても既に登載されている可能性が高いが,本記事の執筆時点で現物を確認していないため,数値は令和4年までとした。

なお,各年の数値は後の号で遡及的に訂正されることがある。本記事では,同一年について複数の号に数値がある場合,最も新しい号の数値を採用している。危険運転致傷罪については,本記事が確認した範囲で,号をまたぐ数値の食い違いはなかった。

2 全部執行猶予率の算出方法と「一部執行猶予」との区別

概況の注記によれば,全部執行猶予率は,全部執行猶予言渡人員を懲役3年以下の有罪人員で除して100を乗じて算出されている。分母は有罪人員全体ではなく,猶予を付し得る範囲に限られている点に注意を要する。

刑の一部執行猶予制度の施行日は平成28年6月1日である(平成30年分・72巻2号404頁の注記)。これ以降の概況は「一部執行猶予率」と「全部執行猶予率」とを別欄に分けており,本記事が掲げるのはいずれも全部執行猶予率である。平成27年以前の号は単に「執行猶予率」と表示しているが,一部執行猶予制度が存在しない時期の数値であるから,実質は全部執行猶予率と同義である。

表中の「−」は,該当する人員がないことを示す。全部執行猶予率の欄の「−」は,全部執行猶予の言渡しがなかったこと,又は分母となる人員が存在しないことのいずれかを意味する。

3 統計上の「危険運転致傷」の範囲

概況の注記によれば,「危険運転致傷」には,平成25年法律第86号による改正前の刑法208条の2に係る罪が含まれる。また,起訴人員の表(令和4年分・683頁の図表133)の注記は,「危険運転致死傷」を自動車運転死傷処罰法2条及び3条の罪と定義している。量刑分布の表の注記には3条への言及がないため,3条(いわゆる準危険運転致死傷罪)の取扱いは注記からは明らかでない。

第3 分布から読み取れること

第一に,致傷は致死と全く異なり,執行猶予が原則である。全部執行猶予率は,平成24年の73.9%を底として上昇し,平成28年以降は90.0%から93.4%の範囲で推移している。同じ危険運転致死傷罪でも,致死と致傷とでは処理の実態が正反対である。

第二に,刑期の中心は1年以上2年未満の区間であり,その割合は平成25年の47.2%から令和元年の65.9%までの範囲にあって,平成28年以降は6割前後で推移している。6月以上1年未満の区分は,平成25年までは0人から3人にとどまっていたが,平成27年以降は21人から44人で推移しており,分布全体がやや軽い方向に移動している。

第三に,5年を超える言渡し(10年以下の欄)は年0人から4人にとどまる。危険運転致傷罪の法定刑上限は15年であるが,実際に長期の刑が言い渡される事案は例外的である。

第四に,平成26年から人員が大きく増えている。平成25年の終局人員165人に対し,平成26年は235人,平成27年は329人である。自動車運転死傷処罰法が平成26年5月20日に施行され,通行禁止道路の類型が加わり,同法3条が新設されたことにより,従来は自動車運転過失致傷罪として処理されていた事案の一部が危険運転致傷として起訴されるようになったことが背景にある。

なお,令和4年分の概況694頁の図表142によれば,令和4年の危険運転致死傷事件の控訴率は5.2%であり,通常第一審事件全体の11.4%の半分以下である。

第4 量刑分布を読む前提となる法改正
1 懲役及び禁錮は令和7年6月1日から拘禁刑に一本化された

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通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)(AIリライト)

目次第1 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布1 平成23年から令和4年までの終局区分2 表の見方第2 出典及び集計方法1 出典は法曹時報の「刑事事件の概況(上)」である2 全部執行猶予率の算出方法と「一部執行猶予」との区別3 統計上の「危険運転致死」の範囲第3 分布から読み取れること第4 量刑分布を読む前提となる法改正1 懲役及び禁錮は令和7年6月1日から拘禁刑に一本化された2 危険運転致死傷罪は令和8年7月21日から改正されている第5 関連記事出典
第1 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布
1 平成23年から令和4年までの終局区分

地方裁判所の通常第一審において危険運転致死罪で終局した人員を,言い渡された懲役の刑期区分別に示すと次のとおりである。危険運転致死罪は地方裁判所の管轄であるため,簡易裁判所の数値はない。

年次終局人員懲役総数30年以下20年以下10年以下5年以下3年2年以上全部執行猶予率(%)平成23年1717−28412−平成24年2323−4163−−−平成25年3232−31955−20.0平成26年1717−11141−−平成27年3332161582−50.0平成28年38372220112−50.0平成29年3231−41863−−平成30年1817−4841−−令和元年1212−−57−−−令和2年2221−5871−100.0令和3年3434−3161023−令和4年2121−4151−1−

無罪はいずれの年もない。「その他」(公訴棄却,移送等)は,平成27年,平成28年,平成29年,平成30年及び令和2年に各1人であり,その他の年はない。終局人員と懲役総数との差は,この「その他」による。

2 表の見方

「懲役総数」は有罪となって懲役を言い渡された人員であり,「30年以下」から「2年以上」までの各欄はその内訳である。各欄は上限を示しており,例えば「10年以下」は5年を超え10年以下の刑期を意味する。危険運転致死罪の法定刑は1年以上の有期拘禁刑(改正前は有期懲役)であって上限は20年であるが,併合罪加重をする場合には30年まで引き上げることができるため(刑法14条2項・47条),30年以下の欄が設けられている。

「終局人員」は,有罪,無罪及びその他を合計した,その年に第一審が終局した実人員である。

第2 出典及び集計方法
1 出典は法曹時報の「刑事事件の概況(上)」である

本記事の数値は,毎年2月1日発行の法曹時報に登載される「○年における刑事事件の概況(上)」の図表から採録したものである。同概況は最高裁判所事務総局刑事局が作成しており,各図表は当該年を末尾とする最近5年間を掲げる形式である。したがって,1冊で5年分を確認することができ,年ごとに号を遡る必要はない。

注意を要するのは,同じ表であっても号ごとに図表番号が変わることである。本記事が採録した図表は次のとおりである。

法曹時報の号(対象年)図表番号頁平成27年分(69巻2号)図表143547頁平成28年分(70巻2号)図表143565頁平成30年分(72巻2号)図表138403頁令和4年分(76巻2号)図表136687頁

概況は概況年の約2年後に登載されるため,本記事が現に確認した最新の号は令和4年分(76巻2号)である。令和5年分及び令和6年分についても既に登載されている可能性が高いが,本記事の執筆時点で現物を確認していないため,数値は令和4年までとした。

なお,各年の数値は後の号で遡及的に訂正されることがある。本記事では,同一年について複数の号に数値がある場合,最も新しい号の数値を採用している。危険運転致死罪については,本記事が確認した範囲で,号をまたぐ数値の食い違いはなかった。

2 全部執行猶予率の算出方法と「一部執行猶予」との区別

概況の注記によれば,全部執行猶予率は,全部執行猶予言渡人員を懲役3年以下の有罪人員で除して100を乗じて算出されている。分母は有罪人員全体ではなく,猶予を付し得る範囲に限られている点に注意を要する。

刑の一部執行猶予制度の施行日は平成28年6月1日である(平成30年分・72巻2号404頁の注記)。これ以降の概況は「一部執行猶予率」と「全部執行猶予率」とを別欄に分けており,本記事が掲げるのはいずれも全部執行猶予率である。平成27年以前の号は単に「執行猶予率」と表示しているが,一部執行猶予制度が存在しない時期の数値であるから,実質は全部執行猶予率と同義である。

表中の「−」は,該当する人員がないことを示す。全部執行猶予率の欄の「−」は,全部執行猶予の言渡しがなかったこと,又は分母となる人員が存在しないことのいずれかを意味する。

3 統計上の「危険運転致死」の範囲

概況の注記によれば,「危険運転致死」には,平成25年法律第86号による改正前の刑法208条の2に係る罪が含まれる。また,起訴人員の表(令和4年分・683頁の図表133)の注記は,「危険運転致死傷」を自動車運転死傷処罰法2条及び3条の罪と定義している。量刑分布の表の注記には3条への言及がないため,3条(いわゆる準危険運転致死傷罪)の取扱いは注記からは明らかでない。

第3 分布から読み取れること

第一に,実刑が原則である。12年間を通じて全部執行猶予が言い渡されたのは,平成25年,平成27年,平成28年及び令和2年の各1人,合計4人にとどまる。令和2年の全部執行猶予率が100.0%となっているのは,懲役3年以下の言渡しを受けた者が1人だけで,その1人に猶予が付いたためであり,刑が軽くなったことを示すものではない。

第二に,刑期の中心は5年を超え10年以下の区間である。この区間の占める割合は,令和3年が47.1%,令和4年が71.4%であり,12年間のほとんどの年で最も多い区分となっている。20年以下(10年を超えるもの)の区分も毎年一定数あり,令和4年は4人であった。

第三に,母数が小さいため割合の年次変動が大きい。終局人員は年12人から38人の範囲にとどまり,1人の増減が割合を数ポイント動かす。単年の割合だけを取り出して傾向を論じることは適切でなく,複数年をまとめて見る必要がある。

なお,令和4年分の概況683頁の図表133によれば,危険運転致死傷(致死と致傷の合計)の公判請求人員は,平成30年が323人,令和元年が296人,令和2年が322人,令和3年が320人,令和4年が304人である。また,令和4年分の694頁の図表142によれば,令和4年の危険運転致死傷事件の控訴率は5.2%であり,通常第一審事件全体の11.4%の半分以下である。

第4 量刑分布を読む前提となる法改正
1 懲役及び禁錮は令和7年6月1日から拘禁刑に一本化された

刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号。公布は令和4年6月17日)は,令和7年6月1日から施行され,懲役及び禁錮を拘禁刑に一本化した。自動車運転死傷処罰法の各条も,現行法では法定刑がすべて拘禁刑で規定されている。

(続きを読む...)通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)(AIリライト)

刑事記録の入手方法-捜査中・公判中・不起訴・確定後の手続(AIリライト)

目次

第1 最初に確認すること1 事件の段階と申請先2 申請者の立場3 対象文書と利用目的第2 捜査中・起訴前の記録1 一般的な閲覧制度はないこと2 被疑者・弁護人側3 被害者側第3 公判係属中の記録1 被告人・弁護人側2 被害者等3 同種余罪の被害者等第4 不起訴事件記録1 原則非公開と個別判断2 被害者参加対象事件の被害者等3 その他の被害者及び被害者以外の者4 申請の準備第5 判決確定後の刑事記録1 保管検察官と申請先2 閲覧の原則と制限3 閲覧と謄写の区別4 不服申立て5 閲覧制限に関する主な最高裁決定第6 交通事故で区別すべき行政記録1 刑事記録とは別の記録があること2 自動車事故報告書3 交通事故捜査の現行書式4 先に確認しやすい資料第7 申請前の実務チェック1 事件を特定する情報2 窓口・書式・費用の事前確認3 デジタル化に伴う変更4 記録を入手できない場合第8 関連記事1 記録の段階別の記事2 謄写業者・保管・統計の記事第9 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 行政機関の資料

従業員による窃盗・横領の被害を受けた会社が,捜査の経過や刑事裁判の情報を確認したい場合は,従業員の窃盗・横領被害を受けた会社が捜査・刑事裁判の情報を確認する方法(AI作成)を参照されたい。通知・傍聴と記録取得を分け,各段階の窓口と準備事項を整理している。通常の窃盗・横領は被害者参加の対象犯罪ではないが,そのことだけで会社による通知や記録閲覧の利用が一括して排除されるわけではない。

刑事事件の判決書を探している場合は,判決が確定しているかを先に確認する。確定後の判決書の閲覧・裁判書の謄本等の交付は,判決確定後の刑事記録の入手方法で詳しく扱う。

本記事の段階別の説明は,捜査中・起訴前,公判係属中,不起訴事件,判決確定後から読める。処分結果の通知と記録の入手は別の手続である。

刑事事件全体の分岐と,立場別の確認事項は,刑事事件とは―民事事件との違い,手続の流れと立場別の対応を参照されたい。

第1 最初に確認すること

処分結果だけを知りたい場合と,供述調書等の記録を閲覧・謄写したい場合は,手続が異なる。被疑者の不起訴告知は取調べ記事の第10,告訴人等への処分通知や被害者等通知制度は被害者の権利を参照されたい。本記事は,記録そのものを入手する場合の制度を扱う。検察庁の役割と連絡先の確認方法は検察庁とはにまとめている。

1 事件の段階と申請先

「刑事記録」は一つの制度の名称ではなく,捜査中の記録,公判係属中の訴訟記録,不起訴事件記録及び判決確定後の保管記録では,根拠,申請先及び開示範囲が異なる。
本記事は,令和8年9月6日を調査の基準日として,入手方法を選ぶための入口と関連記事を整理するものである。

事件の段階主な確認先主な制度又は取扱い捜査中・起訴前警察署又は検察庁一般的な閲覧制度はなく,当事者の立場と個別の手続を確認する。公判係属中裁判所又は検察庁弁護人は刑事訴訟法40条,被害者等は犯罪被害者保護法3条等を確認する。不起訴記録を保管する検察庁刑事訴訟法47条を前提に,法務省の不起訴記録開示方針による個別判断を受ける。判決確定後第一審裁判所に対応する検察庁刑事確定訴訟記録法による保管記録の閲覧と,別途の謄写の申出を区別する。
2 申請者の立場

同じ記録でも,被疑者・被告人側,被害者側,訴訟関係人及び第三者では利用できる制度が異なる。
被害者についても,被害者参加対象事件か,同種余罪の被害者か,損害賠償請求その他の権利行使を目的とするかによって要件が変わるため,単に「当事者である」というだけで閲覧・謄写が認められるとは限らない。

3 対象文書と利用目的

申請前に,欲しい文書が判決書,実況見分調書,写真撮影報告書,供述調書,鑑定書又は証拠物のいずれであるかを具体化する必要がある。
閲覧が認められても謄写が同じ範囲で認められるとは限らず,個人情報のマスキング,使用目的の制限その他の条件が付されることもある。

第2 捜査中・起訴前の記録
1 一般的な閲覧制度はないこと

刑事訴訟法47条は,訴訟に関する書類を公判の開廷前に公にしてはならないことを原則とし,公益上の必要その他の事由があって相当と認められる場合を例外としている。
捜査中であること,当事者であること又は被害者であることだけから,捜査機関が保有する記録全般の閲覧・謄写を請求できる一般的な権利が生じるわけではない。

2 被疑者・弁護人側

刑事訴訟法40条による弁護人の訴訟書類及び証拠物の閲覧・謄写は,公訴提起後の制度である。
起訴前は,令状・勾留関係の書類その他の個別制度と弁護活動を通じて必要な情報を確認することになり,捜査記録全体の開示を前提とすべきではない。

3 被害者側

被害者等通知制度その他の情報提供と,刑事記録そのものの閲覧・謄写は区別する必要がある。
捜査状況又は処分結果を知る制度があっても,それによって捜査記録全体が交付されるわけではなく,記録の入手は起訴後又は不起訴後の制度を別に検討することになる。

第3 公判係属中の記録
1 被告人・弁護人側

公訴提起後,弁護人は,裁判所において訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧し,謄写することができるが,証拠物の謄写には裁判長の許可が必要である(刑事訴訟法40条)。
検察官請求証拠の開示,裁判所に提出された記録の閲覧・謄写,目的外使用の制限その他の詳細は,刑事裁判係属中の起訴事件の刑事記録を入手する方法(被告人側)で説明している。

2 被害者等

犯罪被害者保護法3条は,第一回公判期日後から事件終結まで,被害者等,その法定代理人又は委託を受けた弁護士が,事件の係属する裁判所へ訴訟記録の閲覧・謄写を申し出る制度を定めている。
裁判所は,検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き,理由が正当でない場合又は犯罪の性質,審理状況その他の事情から相当でない場合を除いて閲覧・謄写をさせるものとされ,使用目的の制限その他の条件を付すことができる。
申出時期,対象となる記録及び手数料の詳細は,刑事裁判係属中の起訴事件の刑事記録を入手する方法(被害者側)を参照されたい。

3 同種余罪の被害者等

犯罪被害者保護法4条は,被告人又は共犯者が同様の態様で継続的又は反復して行った同一又は同種の罪の被害者等について,損害賠償請求権の行使に必要であり,犯罪の性質,審理状況その他の事情を考慮して相当と認められるときに,閲覧・謄写をさせることができるとしている。
この申出は検察官を経由し,対象者であることを疎明する資料を提出する必要がある。

第4 不起訴事件記録

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保釈保証金の没取―取消事由,没取額,不服申立て及び還付時期(AI作成)

第1 保釈保証金の没取の意味と記事の対象

1 現行法の基準日と対象

2 「没取」と刑法上の「没収」の違い

第2 保釈取消事由と裁量的没取

1 刑事訴訟法96条1項の六つの取消事由

2 全部没取か一部没取か

3 取消しと没取を別の時期に決定できること

第3 令和5年改正後の不出頭・逃亡と必要的没取

1 改正の施行日

2 同条3項ないし7項の区分

(1) 必要的没取の意味

(2) 令和5年改正後の最高裁決定

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前科抹消があった場合の取扱い(AIリライト)

目次

第1 「前科抹消」の意味

1 結論

2 主な制度の違い

第2 刑の言渡しの効力が失われる場合

1 刑の全部の執行猶予

2 刑の一部の執行猶予

3 刑法34条の2による刑の消滅

4 大赦・特赦・復権

5 少年時の罪に関する特則

第3 刑の効力喪失後も区別して考えるべき記録

1 有罪判決を受けたという過去の事実

2 犯罪経歴証明書

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仮釈放の手続,許可基準及び最新統計(AIリライト)

目次

第1 仮釈放の意味と対象

1 刑の執行形態を施設内処遇から社会内処遇へ移す制度

2 拘禁刑と旧懲役・旧禁錮

第2 仮釈放が法律上可能となる時期

1 成人の有期刑は刑期の3分の1,無期刑は10年

2 少年法58条の特則

第3 審理の開始から決定まで

1 法定期間経過の通告と審理開始

2 調査,面接及び生活環境の調整

3 受刑者本人の申請権及び不許可に対する審査請求

第4 仮釈放の許可基準

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マル特無期事件―最高検通達,仮釈放及び最新統計(AIリライト)

目次

第1 マル特無期事件の意味と通達の現状

1 最高検マル特無期通達の内容
2 主要な考え方は現在も維持されていること
3 通達と仮釈放のない終身刑は同一ではないこと

第2 指定対象及び指定数が公表されていないこと

1 非公表部分と政府の説明
2 死刑求刑事件と指定対象の関係
3 累積指定数から指定率を算出できないこと

第3 無期刑の仮釈放とマル特指定

1 10年経過後の仮釈放可能性
2 30年経過後の職権審理
3 「最低50年」とする根拠はないこと
4 70歳以上と刑の執行停止

第4 無期刑受刑者の最新統計

1 受刑者数,仮釈放者数及び死亡者数
2 令和6年末の在所期間
3 仮釈放審理412件の結果
4 懲罰件数と審理結果

第5 死刑及び無期懲役の確定人員

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被害者に関する犯罪捜査規範の主な条文と警察の対応(AIリライト)

第1 この記事の対象と犯罪捜査規範の位置付け1 対象と基準時2 被害者に関する規定の全体像第2 被害届の受理1 犯罪捜査規範第61条2 迅速・確実な受理に関する警察庁通達第3 被害者等への配慮,通知及び保護1 秘密の保持と関係者への配慮(第9条・第10条)2 被害者等の心情と人格への配慮(第10条の2)3 刑事手続と捜査経過の通知(第10条の3)4 後難の防止と保護措置(第11条)5 捜査の公平性を保つための回避(第14条)第4 令和6年改正と個人特定事項の保護1 改正の概要2 逮捕状に代わるもの(第122条の2・第126条第6項)3 鑑定嘱託書からの被害者情報の削除(第188条)第5 捜査の各段階における被害者関係の条文1 親告罪の要急捜査(第70条)2 現場の負傷者救護と被害者関係の捜査(第85条・第90条)3 現場資料の証拠力の保全(第92条)4 実況見分調書と指示説明(第105条)5 微罪処分と被害回復・謝罪(第200条)第6 犯罪捜査規範と関連制度の区別1 条文から分かる範囲第7 出典・参考資料1 法令・国家公安委員会規則2 所管行政機関の運用資料
第1 この記事の対象と犯罪捜査規範の位置付け
1 対象と基準時

本記事は,2026年9月6日現在の「犯罪捜査規範」のうち,被害者の届出,心情・人格への配慮,通知,安全の確保,個人特定事項の保護及び各捜査段階の対応に関係する主な条文を整理するものである。
犯罪捜査規範は,国家公安委員会が定めた規則であり,警察官の犯罪捜査の心構えと手続を定めている。
各条の全文及び最新の改正履歴は,e-Gov法令検索で確認できる。

犯罪捜査規範第9条第1項は,「被害者」を「犯罪により害を被つた者」と定義する。
同規範第10条の2は,その節における「被害者等」を被害者又はその親族とする。
他方,「犯罪被害者等基本法」第2条第2項の「犯罪被害者等」は,犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族をいい,用語の範囲は各制度で必ずしも同一ではない。

2 被害者に関する規定の全体像

被害者に関する主な規定は,次のように分けられる。
①被害届の受理と口頭による届出の処理(第61条)
②秘密・名誉の保護,心情・人格への配慮,通知,後難防止及び捜査の公平性(第9条から第14条まで)
③令和6年改正による個人特定事項の保護(第9条,第11条,第122条の2,第126条第6項及び第188条)
④親告罪,現場捜査,資料の証拠力,実況見分調書及び微罪処分の場面における被害者関係の規定(第70条,第85条,第90条,第92条,第105条及び第200条)

第2 被害届の受理
1 犯罪捜査規範第61条

(被害届の受理)
第61条 警察官は,犯罪による被害の届出をする者があつたときは,その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず,これを受理しなければならない。
2 前項の届出が口頭によるものであるときは,被害届(別記様式第6号)に記入を求め又は警察官が代書するものとする。
この場合において,参考人供述調書を作成したときは,被害届の作成を省略することができる。

第61条第1項は,届出の対象事件がその警察署の管轄区域に属するかどうかを問わず,警察官が被害の届出を受理しなければならないことを定めている。
口頭の届出の場合は,届出人が被害届に記入するか,警察官が代書する。
参考人供述調書を作成したときは,別に被害届を作成しないことがある。

2 迅速・確実な受理に関する警察庁通達

警察庁刑事局長の令和6年3月22日付け通達「迅速・確実な被害の届出の受理等について」は,被害者等の立場に立って対応し,届出内容が明白な虚偽又は著しく合理性を欠く場合を除き,即時受理することとしている。
この判断は,届出内容から容易に判断し得る場合を指し,改めて捜査又は調査を行ってから受理を検討するという意味ではない。
また,警ら中又は現場臨場時の届出を,必ずその場で受理することまで求めるものではないとされている。

同通達は,①迅速・確実に受理できる警察官が対応すること,②担当警察官が急訴事件への対処等で直ちに受理できないときは他の警察官を対応させること,③管轄区域外の届出も即時受理し,適当な警察署等へ引き継ぐこと,④複数の都道府県警察又は警察署にまたがる被害で関連情報を共有することを求めている。
この通達の有効期間は,令和11年3月31日までである。

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公安委員会への苦情申出-対象・書き方・効果(AIリライト)

目次

第1 制度の対象と位置付け

1 警察法79条に基づく制度
2 対象となる苦情
3 対象外の申出及び警察相談との区別
4 国家公安委員会に申し出る例外

第2 苦情申出書の書き方と提出方法

1 記載事項
2 様式及び作成上の留意点
3 提出先及び提出手段
4 代書,補正及び共同申出

第3 苦情の処理及び結果通知

1 公安委員会と警察の役割
2 処理結果として通知される内容
3 処理結果を通知しない場合
4 処理期間

第4 制度の効果及び他の手続との関係

1 処理結果通知の法的性質

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冤罪事件の検証報告書から見る捜査・公判活動の問題点(AIリライト)

目次

第1 記事の対象と資料の読み方第2 事件別の検証資料1 氷見事件・志布志事件2 足利事件3 厚労省元局長無罪事件4 袴田事件5 大川原化工機事件6 福井女子中学生殺人事件第3 検証資料に共通する問題の構造1 早期に形成された事件像と消極証拠2 自白・供述・専門的証拠の相互検証3 証拠保全,捜査指揮及び公判中の訂正第4 関連記事第5 出典・参考資料1 裁判例2 検察庁・警察の検証資料
第1 記事の対象と資料の読み方

本記事の調査基準日は令和8年9月3日である。
本記事では,捜査機関又は検察庁が公表した検証資料のうち,捜査・公判活動の問題点を事件横断で比較できる氷見事件・志布志事件,足利事件,厚労省元局長無罪事件,袴田事件,大川原化工機事件及び福井女子中学生殺人事件の6資料群を取り上げる。
これは,日本の無罪事件又は再審事件に関する公式検証資料を網羅した一覧ではない。

各検証報告書は,警察又は検察による自己検証を含む資料であり,裁判所の事実認定,他の捜査機関の検証又は国家賠償請求訴訟の判断と評価が一致するとは限らない。
そこで,報告書の記載は,作成機関がそのように確認又は評価したという範囲で扱い,裁判所の認定と区別する。

事件主な作成主体公表時期本記事で扱う主な論点氷見事件・志布志事件最高検察庁平成19年8月アリバイ,客観的証拠,自白及び消極証拠の評価足利事件最高検察庁・警察庁平成22年4月DNA型鑑定の評価,虚偽自白及び検証資料の保管厚労省元局長無罪事件最高検察庁平成22年12月取調べ,決裁,公判対応及び組織内の情報伝達袴田事件静岡地方裁判所・最高検察庁・静岡県警察令和6年以降取調べ,証拠のねつ造認定,証拠開示及び記録保管大川原化工機事件最高検察庁・警視庁・警察庁令和7年8月消極証拠,法令解釈,捜査指揮及び保釈対応福井女子中学生殺人事件名古屋高等検察庁・最高検察庁令和8年7月従前の立証と矛盾する資料の取扱い及び公判・再審対応
第2 事件別の検証資料
1 氷見事件・志布志事件

最高検察庁は,平成19年8月,「いわゆる氷見事件及び志布志事件における捜査・公判活動の問題点等について」を公表した。
同報告書は,裁判所の判断等を前提として問題点を検討したものであり,独自に事実認定をやり直した資料ではない。

氷見事件では,第2事件の犯行時間帯に被告人方の固定電話から実兄方へ架電した履歴が記録されていたが,第1事件の積極証拠となるかという観点からだけ検討されたため,第2事件のアリバイをうかがわせる記録であることが見落とされた。
また,現場の足跡に合う靴が発見されず,足跡の長さと被告人の足のサイズとの整合性も十分に意識して捜査されなかった。

志布志事件では,複数の自白に合理的な理由のない変遷や相互の影響があり,現金の原資及び使途に客観的な裏付けが乏しかった。
さらに,会合に出席したとされた者のアリバイが成立したにもかかわらず,消極証拠を虚心坦懐に評価する姿勢が十分ではなかったと報告書は評価している。

2 足利事件

最高検察庁の「いわゆる足利事件における捜査・公判活動の問題点等について(概要)」は,当時のDNA型鑑定についての理解・検討が不十分なまま鑑定結果を過大に評価し,自白の信用性の吟味が不十分となって,虚偽自白を見抜けなかったことを主な問題点とした。
鑑定で用いたネガフィルム及び画像解析データの大半が再審公判前に失われ,当時の型判定の正確性を後から十分に検証することが困難になった点も指摘されている。

警察庁の「足利事件における警察捜査の問題点等について(概要)」は,DNA型鑑定結果を過大評価して被疑者が犯人であるとの誤った先入観を持ち,一方的に謝罪を求める取調べによって虚偽自白に追い込んだと評価した。
迎合しやすい被疑者の特性,供述の変遷,不自然な内容,客観的事実との不一致及び秘密の暴露がないことについて,捜査指揮上の吟味が不徹底であったともしている。

両報告書を併せると,科学鑑定は自白の信用性を独立に保証するものではなく,鑑定の方法,基礎資料,統計的な限界及び再検証可能性を確認した上で,自白と客観的証拠との不一致を検討する必要があったことが分かる。

3 厚労省元局長無罪事件

最高検察庁は,平成22年12月,「いわゆる厚労省元局長無罪事件における捜査・公判活動の問題点等について(公表版)」を公表した。
同報告書は,逮捕及び起訴の判断,取調べ,決裁並びに公判遂行中の対応を具体的に記録している。

同報告書の末尾20頁(PDF25頁)には,高検から送付された報告書等と電話による報告・説明を基礎に最高検の担当検事が検討し,その結果を最高検幹部へ報告して了承を得たという事件処理方針の検討過程が記載されている。
個々の検察官の判断だけでなく,どの資料と報告が組織内の決裁に用いられたかを確認できる点に資料価値がある。

4 袴田事件

静岡地方裁判所令和6年9月26日判決(平成20年(た)第1号)は,再審公判で無罪を言い渡した。
同判決は,警察官と検察官の連携による非人道的な取調べで得られた検察官調書を実質的にねつ造されたものと評価して排除し,5点の衣類及び端切れを捜査機関によってねつ造された証拠と認定した。

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刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(加害者である被告人側)(AIリライト)

この記事は,刑事裁判が係属している段階で,加害者(被告人)側が起訴事件の刑事記録をどのような方法で入手できるかを整理したものです。
検察庁での証拠開示による入手,裁判所に提出された記録の閲覧・謄写,入手した記録の目的外使用の禁止と罰則,被告人への交付や民事訴訟での利用に当たっての注意点,判決書謄本の取得までを対象とします。
条文は2026年7月時点のe-Gov法令検索及び最高裁判所が公表する刑事訴訟規則により確認しています。

目次

第1 弁護人を通じた検察庁での記録の入手

1 第1回公判期日前の証拠開示
2 検察庁の窓口での閲覧・謄写の実務

第2 開示証拠の目的外使用の禁止と罰則

1 目的外使用が禁止される範囲(刑訴法281条の4)
2 違反に対する罰則(刑訴法281条の5)
3 実際に立件された事例
4 刑事記録の民事転用と弁護士の懲戒

第3 弁護人が被告人に開示証拠を交付するときの注意点

1 説明義務と配慮義務(会規74号)
2 被害者等の個人情報のマスキング

(続きを読む...)刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(加害者である被告人側)(AIリライト)

刑事裁判係属中の起訴事件の刑事記録を入手する方法(被害者側)(AIリライト)

犯罪の被害者やその代理人弁護士が,加害者の刑事裁判が続いている間に,その事件の刑事記録を入手する方法を整理します。
使える制度は「第1回公判期日の前か後か」で分かれます。
第1回公判期日の前は,被害者参加対象事件の被害者等について,検察官請求証拠の閲覧等を認める通達上の運用があり,第1回公判期日の後は,被害者一般が犯罪被害者保護法3条によって裁判所で公判記録を閲覧・謄写できます。
申出先,誓約書,手数料,入手できる範囲の限界,判決確定前に完了しなければならないこと,略式命令事件の扱い,そして令和6年に始まった被害者の個人特定事項の秘匿制度までを,条文と原資料に沿って説明します。

目次

第1 この記事の対象と入手方法の全体像

1 対象となる記録・当事者・時期による区分
2 時期別の入手方法の早見表

第2 第1回公判期日前——被害者参加対象事件の被害者等による証拠の閲覧等

1 対象事件の被害者等と被害者参加人を区別する
2 原則は閲覧,謄写は必要性と弊害の個別判断
3 根拠となる最高検察庁の通達

第3 第1回公判期日後——犯罪被害者保護法3条による公判記録の閲覧・謄写

1 被害者参加の有無を問わず被害者等が申し出られる
2 申出先・誓約書・手数料
3 閲覧・謄写できる範囲とその限界
4 判決確定前に閲覧・謄写を完了する必要
5 略式命令事件は3条の対象外

(続きを読む...)刑事裁判係属中の起訴事件の刑事記録を入手する方法(被害者側)(AIリライト)

大阪高検・大阪地検と西村謄写館・OPO謄写センターとの平成26年謄写業務協定書等(AIリライト)

目次

第1 掲載資料の範囲1 本記事の目的2 資料の対象時点第2 平成26年4月1日付け協定書の当事者及び対象場所1 協定の当事者2 出張謄写の対象場所第3 平成26年4月1日付け協定書が定める謄写業務1 紙媒体の謄写業務2 セルフ式業務の料金3 外部電磁的記録媒体の謄写第4 西村謄写館及びOPO謄写センターの掲載資料1 西村謄写館の資料2 OPO謄写センターの資料第5 大阪地検堺支部に関する西村謄写館の資料1 平成26年4月1日付け協定との違い2 掲載資料第6 事件記録の閲覧と謄写の関係1 刑事確定訴訟記録法及び記録事務規程2 謄写不許可に関する最高裁決定第7 現在の案内及びデジタル化との関係1 現在案内されている謄写業者2 成立済みで施行前の改正第8 関連記事第9 出典・参考資料1 法令・行政規程2 裁判例3 公文書・歴史資料4 行政・職能団体の案内
第1 掲載資料の範囲
1 本記事の目的

本記事は,大阪高等検察庁及び大阪地方検察庁と西村謄写館又はOPO謄写センターとの間で平成26年に作成された事件記録等謄写業務協定書等を掲載し,その内容を整理するものである。
掲載資料は,事件記録等謄写業務協定書,謄写対象物管理計画及び情報セキュリティ計画の合計9件である。

2 資料の対象時点

平成26年4月1日付けの協定書は同日から,西村謄写館の大阪地検堺支部に関する平成26年9月1日付けの協定書は同日から適用するものとされている。
各協定書には適用終了日の記載がないが,掲載資料が令和8年9月2日現在も同一内容で効力を有することまでは確認できないため,以下の業務区分,料金及び使用媒体は平成26年当時の協定内容として記載する。

第2 平成26年4月1日付け協定書の当事者及び対象場所
1 協定の当事者

平成26年4月1日付けの各協定書では,大阪高等検察庁検事長及び大阪地方検察庁検事正が甲となり,西村謄写館又はOPO謄写センターが乙となっている。
謄写業務のために使用を許可する場所は,大阪中之島合同庁舎内の指定場所とされている。

2 出張謄写の対象場所

同日付け協定書は,大阪地検岸和田支部,大阪区検察庁交通分室及び羽曳野区検察庁が管理する事件記録等について,謄写申請人の依頼を受けて業者が当該検察庁へ赴く出張謄写業務も定めている。
これは平成26年当時の対象場所であり,現在の出張範囲を示すものではない。

第3 平成26年4月1日付け協定書が定める謄写業務
1 紙媒体の謄写業務

紙媒体の謄写業務は,次の3種類に区分されている。
① 対面業務式は,使用許可を受けた場所に乾式複写機を設置し,謄写申請人の依頼を受けた業者が事件記録等を謄写する業務である。
② セルフ式業務は,指定された乾式複写機を謄写申請人が使用し,自ら事件記録等を謄写する業務である。
③ 出張謄写業務は,業者が前記3庁へ赴いて事件記録等を謄写する業務である。

2 セルフ式業務の料金

セルフ式業務では,白黒のJIS A4判1枚当たりの料金を,国及び地方の消費税を含めて20円を超えない額に設定するものとされている。
この金額は平成26年協定書の上限額であり,現在の料金を示すものではない。

3 外部電磁的記録媒体の謄写

平成26年4月1日付け協定書は,パソコン等を設置し,CD-R,DVD,BD-R,USBメモリ,フロッピーディスクその他の外部電磁的記録媒体に記録された情報を別の外部電磁的記録媒体へ謄写する業務を,対面式業務及び出張謄写業務に含めている。
もっとも,協定書は,紙媒体に関する定義では「対面業務式」,外部電磁的記録媒体に関する条項では「対面式業務」と記載しており,用語が一致していない。

第4 西村謄写館及びOPO謄写センターの掲載資料
1 西村謄写館の資料

大阪高検,大阪地検本庁,大阪地検岸和田支部,大阪区検察庁交通分室及び羽曳野区検察庁に関する西村謄写館の掲載資料は,次のとおりである。

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西村謄写館及びOPO謄写センター―大阪地検の連絡先,謄写実績及び料金資料(AIリライト)

第1 現在の取扱先及び連絡先

1 大阪地方検察庁本庁
2 堺支部及び岸和田支部
3 庁内の場所及び西天満事務所

第2 閲覧・謄写の申出と費用

1 申出書による業者の指定
2 確定記録の閲覧と謄写の区別
3 150円の閲覧手数料と業者料金

第3 紙,PDF,スキャン及びセルフ式の取扱い

1 OPO謄写センターの令和7年度実績
2 西村謄写館の令和7年度実績
3 依頼時に確認すべき事項

第4 年度別の謄写件数等報告書
第5 過去に公開された謄写料金資料

1 西村謄写館の令和元年10月資料
2 OPO謄写センターの令和2年4月資料

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謄写業者と判決確定後の刑事記録の保管場所(AIリライト)

第1 記録の段階によって申請先が異なること

1 係属中記録,不起訴記録及び確定記録の区別
2 謄写業者へ依頼する前に確認する事項

第2 大阪・京都・兵庫・愛知の謄写業者及び申請窓口

1 大阪の裁判所及び大阪地検
2 京都の裁判所及び京都地検
3 兵庫県内の裁判所及び検察庁
4 愛知県の申請書式及び謄写窓口

第3 判決確定後の刑事記録の保管場所

1 第一審裁判所に対応する検察庁が原則であること
2 交通事件の本籍地特例は令和7年1月1日前の終結事件に限られること
3 法的な保管者,物理的な所在及び閲覧場所の違い
4 大阪府内の区検事件等の問い合わせ先

第4 確定記録の閲覧と謄写は別の手続であること

1 法律が定める閲覧請求
2 謄写は別途の申出として扱われること
3 閲覧手数料と謄写料金の違い

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