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証拠等関係カードの読み方―同意・不同意・採否・撤回・取調べの結審前確認(AI作成)

第1 証拠等関係カードの役割

証拠等関係カードは、証拠請求の一覧表にとどまらない。
誰が何をどの立証趣旨で請求し、相手方がどの範囲で同意又は不同意とし、裁判所がどのように判断し、実際に何をどの方法で取り調べたかをつなぐ証拠手続の地図である。
カードに載っていることは、採用され、適法に取り調べられ、判決の基礎にできることと同じではない。

弁護人は、カードを証拠意見書、期日調書、証拠決定書、実際の書証・証拠物・供述調書及び判決書と照合する。
カードの誤記が、一部同意の範囲や判決が引用できる証拠範囲の誤認につながることがある。

第2 最初に確認する基本欄

事件・被告人欄では、併合・分離、複数被告人及び追起訴との対応を確認する。
請求者・証拠番号欄では、検察官請求、弁護人請求又は職権の別と欠番理由を確認する。
標目欄では、書類、証人、被告人供述又は証拠物の特定、作成者及び作成日を確認する。
原本等の別では、原本、謄本、抄本又は写しのどれが請求・提出されたかを確認する。
期日欄では、公判回数、期日外手続及び公判前整理手続を区別する。

同じ表題の書証が複数ある場合は、作成者、作成日、頁及び対象者等で一意に特定する。
証拠番号だけで同一性を推測してはならない。

第3 立証趣旨と要証事実

立証趣旨は、原則としてカード自体から対象が分かるように確認する。
単に「意見書のとおり」又は「同上」とする記載では、後に証拠が何のために取り調べられたか確認できないことがある。
立証趣旨が変更又は拡張された場合は、請求、相手方の意見及び裁判所の判断まで追う。

公訴事実が複数ある事件では、各証拠がどの事実に関するものかを確認する。
示談書等も、特定の公訴事実に関する情状証拠であれば対象事実との対応が問題になる。
判決の認定事実とカード上の対象事実を突き合わせる。

第4 同意・不同意・一部同意の読み方

1 一部同意は同意部分を特定する

一部同意では、不同意部分だけでなく、採用決定の対象となる同意部分を特定する。
抄本が提出されたときは、同意範囲と抄本の内容が一致するか、不同意部分が過不足なく除かれているかを実物で確認する。

2 意見変更の履歴を残す

期日を異にして不同意から同意へ変更したときは、最終結果だけでなく、不同意撤回・同意という経過が分かる必要がある。
期日外で証拠意見を伝えた場合は、証拠意見書又は電話聴取書等が記録に編てつされているかも確認する。

3 証拠能力・必要性に関する意見

不同意以外にも、特定不十分、違法収集証拠、証拠能力なし又は必要性なし等の意見がある。
何に対する、どの理由の意見かをカードと提出書面の双方で固定する。

共同被告人の供述調書については,対象被告人ごとに,同意・不同意の範囲,採用の根拠条文,立証趣旨及び証拠調べの実施時点を分けて確認する。
例えば,乙本人に対する刑訴法322条による採用が,甲に対する同法321条1項2号の採用を意味するわけではない(最高裁第三小法廷昭和36年12月12日判決・原文1頁~2頁)。

カードの記載だけで対象又は根拠が分からない場合には,証拠意見書,採否決定及び公判調書を照合し,分離後の記録と判決での使用範囲も追う。
この確認方法は本記事の実務上の提案であり,カードに特定の欄が必ず設けられているという意味ではない。
詳しくは,共同被告人の検面調書をどう争うかを参照されたい。

証言拒絶後に検察官調書が請求された場合には,刑訴法321条1項2号の前段・後段のどちらによる請求かを確認する。
再尋問で供述が得られて請求根拠が変更された場合は,変更時点,対象部分,新たな証拠意見及び採否を追記し,従前の記載だけで処理しない。
拒絶理由を示す書面が供述不能の判断資料として用いられる場合は,犯罪事実の証明への使用まで許されたかを区別する。

証言拒絶後の立証,再尋問及び記録確認の具体的な手順は,証人が証言を拒んだときの刑事弁護を参照されたい。

第5 刑訴法328条の弾劾証拠

1 採用の意味を立証趣旨とともに読む

刑事訴訟法328条の弾劾証拠は、公判供述の証明力を争うために用いるものであり、原則として記載内容が真実であることを証明するための証拠ではない。
カードに「採用」とあるだけでは、内容の真実性を証明する証拠として採用されたのか、弾劾の限度で採用されたのかは分からない。
立証趣旨、裁判長の訴訟指揮及び実際の取調べ方法を確認する。

2 同一供述者の自己矛盾供述か

最高裁平成18年11月7日第三小法廷判決(平成17年(あ)第378号、刑集60巻9号561頁)は、刑事訴訟法328条により許容される証拠を、信用性を争われている供述者自身の自己矛盾供述を内容とするものに限った。
第三者の供述と証人の公判供述が食い違うというだけで、第三者の供述を同条による弾劾証拠として扱うことはできない。
供述者、以前の供述の作成・録取方法、署名押印及び証拠番号を確認する。

3 公判前整理手続終了後の請求

刑事訴訟法316条の32は、公判前整理手続又は期日間整理手続の終了後、やむを得ない事由により整理手続中に請求できなかった証拠を除き、当事者の証拠調べ請求を制限する。
弾劾対象となる公判供述が出た後に初めて必要性が具体化したとの見方がある一方、供述内容を予測でき、矛盾供述も把握していたなら整理手続中に請求すべきだったとの見方もある。
証拠等関係カードでは、証拠の入手時期、請求時期、実際の公判供述及び裁判所が認めた「やむを得ない事由」を公判調書と照合する。

第6 採用・却下・撤回・取消し

裁判所は証拠調べ請求に対して採用又は却下の判断をする。
請求後に未決定のまま結審していないか、採用決定後に実際に取り調べられたか、請求撤回が結果欄に記録されているか、採用決定後の撤回では採用決定の取消しも記録されているかを確認する。
一部同意部分の取調べ後に不同意部分の撤回等が処理されているか、不同意撤回後に証拠物として再請求された場合に取調べ方法が明示されているかも確認する。

撤回と却下は同じではなく、採用決定が既にある場合の撤回・取消しも区別する。

第7 取調べの有無・方法・順序

採用決定と取調べ済みは別段階である。
書証の朗読・要旨告知、証拠物の展示、CD・DVD等の再生、証人尋問及び被告人質問等の実際の取調べ方法を確認する。
記録媒体について「済」とだけ記載されている場合は、再生された範囲、媒体の同一性及び公判調書の記載を確認する。

同一期日では、証拠の取調べ順序と公判調書の手続経過を照合する。
訴因変更等の手続が証拠調べの途中に介在した場合は、その前後関係が分かる必要がある。
進行協議では証拠調べ手続を行えないため、進行協議メモだけで証拠意見又は立証趣旨の変更を完了した扱いにはできない。

第8 公判調書・判決との照合

カードに当該期日の証拠調べが記録されている場合、公判調書にもカードを引用する記載等が必要である。
逆に、証拠調べをしていない期日の調書がカードを引用していないかを確認する。
期日回数、取調べ順序、証人・被告人質問、遮へい、付添い又はビデオリンク等も照合対象となる。

判決が証拠の標目として挙げる書証・供述・証拠物について、カード上の採用範囲と実際の取調べを確認する。
一部同意の書証や刑事訴訟法328条の証拠について、許容された使用目的を超えて判決の基礎にしていないかに注意する。

証言拒絶があった場合は,拒絶された質問・事項・範囲,理由,再尋問・期日変更・遮蔽措置等の申出と裁判所の対応,供述不能の判断資料及び採用決定の根拠も照合する。
一部だけ拒絶された場合は,調書の対象部分との対応を確認する。カードに記録し切れない経過は,公判調書,申立書及び証拠意見書との対応を明らかにして管理する。
この方法は,東京高裁平成22年5月27日判決及び広島高裁岡山支部平成27年3月18日判決を踏まえた実務上の提案であり,カードに専用欄が必ず存在するという意味ではない。

第9 結審前の未処理ゼロ確認

①請求された全証拠に採否又は撤回の処理があるか、②採用された証拠が全部取り調べられたか、③一部同意の範囲と提出された抄本が一致するか、④意見変更、立証趣旨変更、撤回及び取消しの履歴が残るかを確認する。
さらに、⑤期日外決定について相手方の意見、決定書及び通知が記録化されているか、⑥カード、公判調書及び証拠意見書の期日・内容が一致するか、⑦録音体、記録媒体及び別紙が本体と対応し、再生又は取調べ範囲が分かるかを確認する。

未処理項目は後で分かるものとせず、結審前に一覧化して裁判所と確認する。
控訴後に発見した場合は、異議期間及び控訴記録の送付状況を確認し、書面で記録化する。

第10 資料の位置付けと一次資料

証拠調べの法的効果は、刑事訴訟法及び刑事訴訟規則が基礎となる。
大阪高裁刑事部の「刑事書記官事務留意事項集」(令和5年3月現在)は、上訴記録で発見された具体的な不備を整理した内部文書であり、カードの点検項目を知る上で有用である。
もっとも、同文書の記載だけから証拠能力、違法性又は全国一律の運用を断定してはならない。

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第12 出典

e-Gov法令検索「刑事訴訟法」
刑事訴訟規則(裁判所ウェブサイト、令和8年5月21日施行反映版)
法務省「令和7年司法試験論文式試験の出題の趣旨」
法務省「令和7年司法試験論文式試験の採点実感等に関する意見」
刑事書記官事務留意事項集(令和5年3月現在の大阪高裁刑事部文書)
判例秘書L06110117(最高裁平成18年11月7日第三小法廷判決、平成17年(あ)第378号、刑集60巻9号561頁)