目次
第1 総論1 弁護士職務基本規程11条及び大阪弁護士会会則108条2項による規制2 「自己の名義を利用させる」の意義3 11条・12条・13条は別々に確認する4 退職代行業者からの事件周旋と支払名目第2 弁護士法72条から74条までの規定に違反している者の内容1 違反行為の類型と罰則2 弁護士法人制度導入に伴う整理3 自己の法律事件を依頼した者の罪責4 隣接士業との提携が弁護士職務基本規程11条違反となる場合第3 弁護士法72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)1 条文及び前身規定2 「訴訟事件」等の各文言の意義第4 弁護士法73条(譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止)1 条文等2 サービサー法の位置づけ等第5 非弁護士との提携の取締り1 日弁連の規程等による取締り2 大阪弁護士会の場合3 東京弁護士会における注意喚起4 大阪地裁のあゆみ共同法律事務所事件5 東京ミネルヴァ法律事務所事件第6 弁護士法人ベリーベストの懲戒処分に関する文書第7 関連記事その他出典・参考資料法令裁判例公文書・懲戒処分関係資料文献ウェブ資料
第1 総論
1 弁護士職務基本規程11条及び大阪弁護士会会則108条2項による規制
非弁提携の禁止に関しては,「弁護士は,弁護士法第72条から第74条までの規定に違反する者又はこれらの規定に違反すると疑うに足りる相当な理由のある者から依頼者の紹介を受け,これらの者を利用し,又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。」(弁護士職務基本規程11条。なお,同趣旨の規定につき大阪弁護士会会則108条2項)と規定されている。
禁止される提携の対象は,弁護士法27条と異なり,①弁護士法72条ないし74条の規定に違反する者に限らず,「違反すると疑うに足りる相当な理由のある者」にまで広げられているほか,②「事件の周旋」に限らず,「依頼者の紹介」にまで広げられている。
2 「自己の名義を利用させる」の意義
「自己の名義を利用させる」とは,「弁護士某」という名義のほか,氏名だけの利用も含み,「○○法律事務所」という表示についても名義の利用に当たる場合がある。
例としては,大量に処理する報告書,内容証明郵便等に,弁護士の氏名を記載し,更に弁護士の印鑑を弁護士でない者に預けて押捺させる場合がある。
法務省は,産業競争力強化法7条に基づくグレーゾーン解消制度について,令和4年10月14日付けで,契約書レビューサービス及び締結済み契約書のリスク検出機能に関する2件の回答を公表した。
各回答は,照会されたサービスが弁護士法72条本文に違反すると評価される可能性があるとするものであるが,具体的な機能,利用者,対価及び運用条件を前提とする行政上の見解である。
法務省の回答原文と制度の限界は,グレーゾーン解消制度とは及びAI活用に伴う弁護士法72条見直しの動きで整理している。
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— はむ弁護士 (@hamhambenben) August 31, 2022
3 11条・12条・13条は別々に確認する
11条の非弁提携,12条の報酬分配,13条の紹介対価は,要件が異なる。
12条・13条の検討は,紹介者が11条に違反する非弁業者である場合だけに限られない。
条文確認する行為注意点11条非弁行為等をする者からの紹介,利用,名義利用違反を疑うに足りる相当な理由がある者も対象となる。12条弁護士等でない者への報酬分配名目と実態を確認し,ただし書の正当な理由等を検討する。13条1項紹介を受けたことへの対価の支払紹介者が弁護士である場合も検討する。13条2項紹介したことへの対価の受領実体のある共同受任の報酬分配と,紹介だけの対価を区別する。
第4版36頁~39頁は,合理的な基準に基づく個別案件の専門職間の協働と,共同経営等を区別し,経費の名目でも収入の一定割合を拠出するなど実質的な報酬分配であれば問題となることを説明する。
同書は13条2項について,実体のある共同受任による報酬分配と,法律事務を行わず紹介だけで対価を得ることを区別する。
共同受任という名称だけで,実際の関与がない紹介料を正当化することはできない。
4 退職代行業者からの事件周旋と支払名目
東京地裁令和8年6月5日判決(令和8年(わ)第10808号・第11937号)は,退職代行業者から85名分の事件周旋を受けて受任した弁護士法人及び代表弁護士について,有罪を言い渡した。
67名分の周旋報酬合計110万5500円を労働組合への賛助金に仮装する虚偽の覚書と,18回の総勘定元帳の虚偽記載も認定している。判決原文の冒頭は6月5日宣告,末尾は同月10日と記載され,本記事では冒頭の宣告日に従う。
非弁護士側の有償の事件周旋と,それを受ける弁護士側の行為を分けて確認することが重要である。
弁護士法27条による事件周旋の受入れの禁止と,職務基本規程11条の非弁提携,12条の報酬分配及び13条の紹介対価の禁止は,要件と効果が異なる。賛助金,広告費又は業務委託料という契約名から,一括して適法性を判断することはできない。
(続きを読む...)非弁護士との提携の禁止(AIリライト)