目次
第1 本通知の位置付け1 国自保第2358号通知と資料の版2 平成13年改正と平成14年4月1日施行3 一括払の示談提示に関する通知の射程第2 現行法上の情報提供と紛争処理1 支払基準による支払2 請求時,支払時及び不払時の書面3 詳細説明の請求4 国土交通大臣への申出と指定紛争処理機関5 令和5年改正を反映した現行統合版第3 平成14年3月11日付け国自保第2358号通知1 政府再保険の廃止等2 支払基準(法第一六条の三関係)3 情報提供(1) 保険金等の支払請求があった時(2) 保険金等の支払を行った時(3) 保険金等を支払わないこととした時(4) 交付又は説明等の後に詳細な説明を求められた時(5) その他の情報提供4 保険金額(共済金額)5 保険金等の支払に関する紛争処理制度6 届出事案7 報告及び立入検査8 通達の廃止第4 関連記事1 自賠責保険の支払基準2 任意保険の示談代行と一括払3 後遺障害等級認定に対する異議申立て第5 出典1 法令・告示2 行政通知・公文書3 所管行政機関の解説・FAQ4 裁判例
第1 本通知の位置付け
1 国自保第2358号通知と資料の版
本通知は,国土交通省自動車交通局保障課長が平成14年3月11日付け国自保第2358号として発出した「自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について」である。
本記事は,平成14年当時の通知本文を資料として掲載するとともに,調査基準日である令和8年9月9日現在の法令及び国土交通省の現行統合版との主な違いを先に整理するものである。
確認できる資料は,①国土交通省の平成14年原通知HTML,②令和5年2月28日付け国官参自保第510号による改正を反映した国土交通省の現行統合版,③本サイトに保存した通知及び平成14年当時の支払基準のPDFである。
③の8頁から16頁までは平成14年当時の支払基準及び別表であり,現在の事故の計算にそのまま用いる資料ではない。
2 平成13年改正と平成14年4月1日施行
本通知は,平成13年法律第83号による自動車損害賠償保障法等の改正と,これに伴う政省令,通達及び支払基準の整備を受けて発出されたものである。
同法は平成13年6月29日に公布され,主要部分は平成14年4月1日に施行された。
改正では,政府再保険制度の廃止とともに,保険会社による支払基準の遵守,請求時,支払時及び不払時の情報提供,詳細説明,国土交通大臣への申出並びに指定紛争処理機関による紛争処理等が整備された。
本通知は,これらの制度を保険会社及び共済組合等が実施するための細目を示した行政通知である。
3 一括払の示談提示に関する通知の射程
本通知の実施細目3(2)2は,任意保険会社が自賠責分を含めて支払う一括払の場合について,示談額提示時点で自賠責保険又は共済の支払限度額内にある事案では,示談提示額が自賠責支払基準に従って積算した額より低い額ではないこと及び支払基準の概要を説明する取扱いを示している。
この記載は,一括払,示談額提示時点及び自賠責支払限度額内という条件を伴うものであり,任意保険部分を含む総損害額又は裁判所の損害認定を自賠責支払基準で拘束するものではない。
最高裁平成18年3月30日第一小法廷判決は,自賠法16条1項の被害者請求訴訟について,支払基準は保険会社が訴訟外で保険金等を支払う場合の基準であり,裁判所はこれによらず損害賠償額を算定できるとした。
最高裁平成24年10月11日第一小法廷判決は,自賠法15条の保険金請求訴訟についても同じ考え方を示した。
第2 現行法上の情報提供と紛争処理
1 支払基準による支払
自動車損害賠償保障法16条の3第1項は,保険会社が保険金等を支払うときは,死亡,後遺障害及び傷害の別に国土交通大臣及び内閣総理大臣が定める支払基準に従って支払わなければならないと定めている。
具体的な金額及び計算方法は,事故日により適用される版が異なり得るため,国土交通省の支払基準案内及び現行公開の支払基準PDFで確認する必要がある。
2 請求時,支払時及び不払時の書面
自賠法16条の4は,保険金等の請求があったとき,支払を行ったとき及び支払を行わないこととしたときに,それぞれ所定事項を記載した書面を交付する仕組みを定めている。
支払適正化措置命令2条から4条までは,請求時の支払基準及び手続等の概要,支払時の事故日,損害ごとの支払額,後遺障害等級及び判断理由等並びに不払時の事故状況及び判断理由等を定めている。
3 詳細説明の請求
自賠法16条の5は,支払時の書面又は不払時の書面が交付された後,被保険者又は被害者が書面で詳細な説明を求めた場合に,保険会社が原則として請求日から30日以内に書面で説明する仕組みを定めている。
説明を求めた者の同意があるときは書面以外の方法を用いることができ,第三者の権利利益を不当に害するおそれその他の正当な理由があるときは全部又は一部を説明しないことができるが,その場合は説明しない旨及び理由を記載した書面の交付が必要である。
また,事務処理上の困難その他の正当な理由により30日以内に説明等ができないときは,期間内に理由及び説明等の期限を書面で通知するものとされ,承諾を得た電磁的方法も認められている。
支払適正化措置命令7条が定める詳細説明事項は,①事故状況の詳細,②損害の細目及び積算の詳細,③後遺障害等級の判断理由の詳細,④減額割合の判断理由の詳細,⑤損害賠償責任がないとした理由の詳細,⑥事故による損害がないとした理由の詳細,⑦自賠法14条によりてん補責任を免れるとした理由の詳細である。
後遺障害に関して,本通知は「後遺障害等級認定票」,「後遺障害事案整理票」,「面接調査票」等を例示しているが,詳細説明の対象はこれらの資料だけではなく,また書類名は「整理表」ではなく「整理票」である。