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交通事故治療の歴史―救急搬送・外傷診療・リハビリテーションの変遷(AIリライト)

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※以下はAIが生成した要約です。内容の正確性は保証されません。本文をあわせてご確認ください。

本記事は、1886年のガソリン自動車誕生から現代に至る約1世紀半の交通事故治療の歴史を、医師・看護師・薬剤師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・柔道整復師・診療放射線技師・臨床検査技師・医療ソーシャルワーカー・義肢装具士の11の医療専門職の観点からそれぞれ辿ったものである。各章は「黎明期・発展期・成熟専門分化期」の時代区分に沿って整理されており、AIが作成した文書をブログ掲載した旨と、末尾のAIによるファクトチェックで全記載が「真実」と判定された旨が冒頭に付記されている。

黎明期(~1940年代)は骨折整復と感染症との闘いが中心であり、ペニシリンの普及前は死亡率も高く、各専門職は未分化な状態であった。戦後のモータリゼーションにより日本では「交通戦争」が深刻化し、1950年代以降に救命救急センターの整備、1972年のCTスキャナ発明、1978年の外傷初期診療標準化プログラム(ATLS)の誕生、1977年からの救命救急センター全国配備などが相次いで実現した。同時期に各職種の国家資格が法制化され(理学療法士・作業療法士は1965年、柔道整復師は1970年、義肢装具士・社会福祉士は1987年等)、専門性が確立されていった。

1990年代以降は低侵襲手術の普及、POCT(ベッドサイド検査)の登場、ドクターヘリの本格運航(2007年)、Damage Control Surgeryの標準化、ハイブリッドERの導入が進んだ。義肢装具分野ではCAD/CAMの導入やマイクロプロセッサ制御義足・筋電義手が実用化された。記事は、これら11職種の歴史の総括として「交通事故治療の歴史はチーム医療を築き上げてきた歴史であり、現代は多職種がシームレスに連携する」と結論づけている。

第1 交通事故治療史を理解する視点

1 交通事故治療は一つの技術の歴史ではないこと

交通事故治療の歴史は,外科手術の歴史だけではない。

事故現場での救護,救急車による搬送,搬送先の選定,外傷初期診療,画像診断,止血,手術,集中治療,リハビリテーション及び社会復帰が連続して発展してきた歴史である。

また,シートベルト,車体構造及び交通安全政策は,交通事故そのものを防ぐだけでなく,治療対象となる外傷の数と重症度を変えてきた。

本記事では,交通事故治療の転換点を,職種別ではなく,患者が事故現場から社会生活へ戻るまでの流れに沿って整理する。

2 「新しい技術」と「予後の改善」は同じではないこと

新しい装置又は制度が導入されたことと,それによって死亡率又は長期予後が改善したことは同じではない。

例えば,全身CTは診断時間を短縮し得るが,ランダム化比較試験及び系統的レビューでは,死亡率を低下させる効果が一貫して確認されたわけではない。

ドクターヘリ及びハイブリッドERも,治療開始までの時間を短縮する合理性がある一方,誰に,どのような体制で用いると最終転帰を改善するかについては,研究上の限界が残っている。

したがって,歴史上の転換点を説明する場合でも,導入年,仕組み,期待される効果及び実証された効果を分ける必要がある。

第2 交通事故外傷が社会問題になった時代

1 自動車の普及と外傷の増加

明治19年(1886年)にカール・ベンツがガソリン自動車の特許を取得したことは,実用的な自動車史の象徴的な画期とされる。

もっとも,自動車の普及は移動の自由を拡大した一方,高速の衝突によって生じる頭部,胸部,腹部,脊椎,骨盤及び四肢の複合外傷という新たな公衆衛生上の問題を生んだ。

交通外傷の診療は,戦傷外科,輸血,麻酔,感染制御,骨折治療及び救急搬送で蓄積された知識を民間の医療へ移す過程でもあった。

2 日本の「交通戦争」

日本では,第二次世界大戦後の急速なモータリゼーションに伴い,交通事故死者数が急増した。

警察庁資料によれば,昭和45年(1970年)の交通事故死者数は1万6765人に達した。

当時の状況は「交通戦争」と呼ばれ,救急医療体制だけでなく,交通安全政策,道路整備及び車両安全対策を進める契機となった。

交通事故死の減少を治療技術だけの成果とみることはできない。

取締り,シートベルト,飲酒運転対策,道路構造,車体の衝突安全性,エアバッグ,救急搬送及び医療の改善が重なっているからである。

3 骨折治療と感染制御の前提

初期の外傷治療では,骨折部を整復して固定すること,出血を止めること及び感染を防ぐことが中心課題であった。

抗菌薬の普及,輸血体制,麻酔及び手術室の無菌管理が整わなければ,大きな交通外傷に対する手術を安全に行うことはできなかった。

昭和33年(1958年)にスイスで設立されたAOは,骨折の解剖学的整復,安定した内固定,血行の温存及び早期機能回復という考え方を標準化した。

安定した固定により,長期臥床を避け,関節拘縮,筋力低下及び肺合併症を減らしながら回復を目指すという現在の骨折治療の基礎が形成された。

もっとも,内固定の適応,固定方法及び荷重開始時期は骨折型,軟部組織損傷,感染リスク及び全身状態によって異なる。

第3 事故現場から病院へつなぐ仕組み

1 救急業務の法制化

日本では,昭和38年(1963年)の消防法改正により,消防機関が行う救急業務が法制化された。

昭和39年(1964年)には,救急病院等を定める省令が設けられ,負傷者を受け入れる医療機関の体制整備が進められた。

昭和52年(1977年)からは,初期,二次及び三次救急医療体制と救命救急センターの整備が進められた。

これらは一度に完成した制度ではなく,搬送困難,地域差及び専門スタッフ不足等の課題に対応しながら発展してきた。

2 救急救命士と病院前診療

平成3年(1991年)に救急救命士法が施行され,医師の指示の下で一定の救急救命処置を行う国家資格が設けられた。

病院前診療の目的は,現場で根治治療を完結することではない。

生命を脅かす気道,呼吸及び循環の問題へ介入し,適切な医療機関へ安全かつ迅速に搬送することである。

救急救命士が行う処置の範囲は,その後も制度改正,教育及びメディカルコントロール体制の整備に伴って拡大してきた。

3 ドクターヘリ

日本のドクターヘリは,平成12年度(2000年度)の試行事業を経て,平成13年度(2001年度)に国庫補助事業として本格化した。

平成19年(2007年)に制定された救急医療用ヘリコプター特別措置法は,ドクターヘリ運航を初めて開始させた法律ではなく,全国的な整備を促進する法律である。

ドクターヘリには,医師及び看護師を現場へ送り,診療開始を早め,高度な外傷診療が可能な施設へ患者を運ぶ役割がある。

もっとも,海外の系統的レビューでは,地上搬送と比べた生存利益に関するエビデンスの確実性は低い又は非常に低いと評価されている。

患者選択,地理,飛行時間,現場滞在時間,搭乗スタッフ及び搬送先の能力が結果に影響するためである。

したがって,ドクターヘリは「飛べば必ず救命率が上がる」仕組みではなく,地域の外傷システム全体の一部として評価すべきである。

第4 外傷初期診療の標準化

1 ATLSの成立

米国では,地方で航空機事故に遭った外科医の経験を契機として,昭和53年(1978年)に外傷初期診療教育の原型となる講習が行われた。

昭和55年(1980年)には,American College of Surgeons Committee on TraumaのATLSプログラムとなった。

ATLSは,精密な診断名を最初に確定するのではなく,生命を脅かす問題を生理学的な優先順位に従って発見し,その場で処置するという考え方を広めた。

その中心が,気道,呼吸,循環,意識及び体温・全身観察を順に確認するABCDEアプローチである。

教育プログラムは知識及び技能を向上させるが,教育を受けたこと自体から死亡率改善を直接推定することはできない。

2 日本のJATEC

日本では,ATLSが昭和60年代後半に輸入され,そのまま現在の標準になったわけではない。

日本外傷診療研究機構によれば,日本の救急医療体制と診療実態に合わせたJATECが開発され,平成14年(2002年)に第1版ガイドラインと試行コース,平成15年(2003年)に正式コースが開始された。

JATECでは,Primary Surveyで生命を脅かす異常を評価・処置し,その後にSecondary Surveyで詳細な損傷検索を行う。

この順序により,CT撮影又は専門科の詳細診断を待つ間に,気道閉塞,緊張性気胸又は大量出血への対応が遅れることを防ぐ。

3 防ぎ得た外傷死とデータによる質改善

日本でJATEC開発が進んだ背景には,適切な診療が行われていれば回避できた可能性のある外傷死が少なくないとの問題意識があった。

もっとも,「防ぎ得た外傷死」は診療録,剖検,専門家判定及び時代の医療水準に左右される評価概念であり,単純な施設ランキングではない。

外傷診療の質を高めるためには,個人の技量だけでなく,救急搬送,外傷チーム招集,手術室・輸血・IVRの即応,集中治療,リハビリテーション及び症例検討が必要である。

日本外傷データバンクは,外傷症例を共通の形式で集積し,重症度,治療及び転帰を検証する基盤となっている。

第5 画像診断の進歩と限界

1 単純X線

単純X線撮影は,骨折,脱臼,胸部損傷及び異物等を短時間で評価する基本的な画像検査である。

もっとも,「X線では骨しか分からない」という説明は正確ではない。

胸部X線では肺野,胸腔内の空気又は液体,縦隔及びチューブ位置等を評価でき,骨折についても転位やアライメントを確認できる。

一方,軟部組織,微細骨折,脳,脊髄,椎間板及び靱帯の評価には限界があり,症状と疑う損傷に応じてCT,MRI又は超音波等を選ぶ。

2 CTの登場

最初の患者に対する頭部CT検査は昭和46年(1971年)10月1日に行われ,成果が公表されたのは昭和47年(1972年)である。

初期のCT装置は頭部専用であり,昭和47年の時点で胸腹部臓器損傷まで直ちに評価できるようになったわけではない。

その後,撮影速度,検出器及び画像再構成が進歩し,CTは頭蓋内出血,脊椎・骨盤骨折,胸腹部臓器損傷及び活動性出血の評価に不可欠な検査となった。

3 全身CT

重症外傷に対する全身CTは,頭部から骨盤までを短時間に撮影し,複数部位の損傷を一度に検索できる。

ランダム化比較試験では,即時全身CTが標準的な選択的画像診断と比べて院内死亡率を低下させることは示されなかった。

系統的レビューでも,診断時間又は救急部門滞在時間の短縮を示す研究がある一方,死亡率改善は一貫せず,放射線被ばくが増える。

したがって,循環動態が不安定な患者の止血をCTのために遅らせてはならず,受傷機転,身体所見,循環動態及び施設体制に基づいて適応を判断する。

4 FAST

FASTは,超音波を用いて,心嚢液又は腹腔内液体貯留等をベッドサイドで短時間に評価する検査である。

放射線被ばくがなく,繰り返し行える利点がある。

もっとも,診断精度に関するレビューでは感度に限界があり,FASTが陰性であるだけで腹部臓器損傷を除外することはできない。

循環動態,身体所見,経時変化及びCT所見と統合して判断する必要がある。

5 MRI

MRIは電離放射線を用いず,脳,脊髄,靱帯,椎間板,筋肉及びその他の軟部組織を詳しく評価できる。

もっとも,撮影に時間を要し,強磁場環境に対応したモニター等が必要であるため,循環動態が不安定な重症外傷の最初の検査には適さないことが多い。

急性期の救命診療と,状態安定後の神経・軟部組織評価を分けて考える必要がある。

第6 出血を止める治療の進歩

1 外傷死と出血

重症外傷では,脳損傷と並んで大量出血が早期死亡の主要な原因となる。

出血源を見つけるだけでなく,外科手術,圧迫,骨盤固定,経カテーテル動脈塞栓術等によって早く止血することが重要である。

また,低体温,アシドーシス及び凝固障害が相互に悪化する状態を避けなければならない。

2 Damage Control Surgery

重症患者に長時間の根治手術を一度に行うと,手術侵襲,出血,低体温及び凝固障害によって救命が困難になることがある。

そこで,最初の手術では出血及び汚染の制御に必要な処置へ絞り,集中治療で生理学的状態を立て直した後に根治手術を行うDamage Control Surgeryが発展した。

この名称と三段階の戦略が体系化された画期は,平成5年(1993年)の報告である。

2000年代になって初めて生まれた治療ではない。

3 Damage Control Resuscitation

現在は,手術手順だけでなく,止血を優先した蘇生全体をDamage Control Resuscitationとして捉える。

過剰な晶質液を避け,必要な血液製剤を早期に投与し,体温,カルシウム,酸塩基平衡及び凝固機能を管理する。

出血している外傷患者に対するトラネキサム酸は,受傷後早期の投与が重要であり,時間が経過してから一律に投与する薬剤ではない。

4 IVRと非手術的治療

血管造影及び経カテーテル動脈塞栓術は,昭和40年代から昭和50年代にかけて外傷出血へ応用されるようになった。

現在は,骨盤,肝臓,脾臓,腎臓等の動脈性出血を,カテーテルを用いて血管内から止血できる場合がある。

これにより,腹部臓器損傷をすべて開腹手術で扱うのではなく,循環動態,損傷の程度,造影所見及び施設の即応能力に応じて,観察,IVR又は手術を選ぶようになった。

非手術的治療は「何もしない治療」ではない。

厳重な監視,反復診察,検査,輸血,即時に手術又はIVRへ移行できる体制を前提とする。

5 ハイブリッドER

外傷診療用ハイブリッドERは,CT,血管造影及び手術機能を同じ場所へ配置し,患者を移動させずに診断と止血を進める仕組みである。

大阪大学では平成23年(2011年)8月に導入された。

単施設の後方視的研究では死亡率改善が報告されたが,系統的レビューでは研究数が少なく,死亡率の結果は一貫せず,費用対効果も明らかでない。

移動時間を減らす有望なシステムである一方,導入すれば自動的に転帰が改善する設備ではない。

24時間対応する外傷チーム,放射線診断,IVR,麻酔,看護,臨床工学,輸血及び集中治療の体制が必要である。

第7 骨折治療と集中治療の進歩

1 骨折固定

交通事故では,長管骨,骨盤,脊椎及び関節内の複雑な骨折が生じる。

プレート,スクリュー,髄内釘,創外固定及び低侵襲手術の発展により,損傷部位と全身状態に応じた固定方法を選べるようになった。

もっとも,重症多発外傷では,すべての骨折を直ちに根治固定することが最善とは限らない。

出血,胸部外傷,頭部外傷,軟部組織損傷及び全身の生理学的余力を評価し,一時的な創外固定等を用いて根治手術を後日に行う場合がある。

2 集中治療

日本集中治療医学会の沿革によれば,日本で最初のICUは昭和39年(1964年)11月に順天堂医院に設置された。

人工呼吸,循環管理,持続的モニタリング,感染対策,栄養管理及び腎代替療法等の進歩により,急性期手術を乗り切った重症外傷患者を継続的に支えることが可能になった。

集中治療は,単一の専門職だけで完結しない。

医師,看護師,薬剤師,臨床工学技士,診療放射線技師,臨床検査技師,管理栄養士及びリハビリテーション職等が,刻々と変化する状態へ対応する。

3 看護の専門化

日本看護協会の沿革では,専門看護師制度は平成6年(1994年),認定看護師制度は平成7年(1995年)に創設された。

両制度の年次を混同してはならない。

救急看護及び集中ケアでは,重症度評価,急変の早期発見,人工呼吸器・各種カテーテルの管理,疼痛・せん妄対策,感染予防及び家族支援が重要である。

資格制度の創設年と,各病院で専門的実践が普及した時期は同一ではない。

4 薬剤師

入院患者への薬学的管理の制度上の画期は,昭和63年(1988年)の入院調剤技術基本料である。

平成6年(1994年)に薬剤管理指導料へ名称変更された。

したがって,昭和61年(1986年)に薬剤管理指導業務が診療報酬化されたとする説明は正確ではない。

重症外傷では,鎮痛・鎮静,抗菌薬,抗凝固薬,昇圧薬,輸液及び持参薬の調整が必要となり,腎機能,肝機能,出血リスク及び薬物相互作用が投与設計に影響する。

救命救急センターへの薬剤師配置は広がっているが,常駐体制には施設差がある。

5 診療放射線技師と臨床検査技師

診療放射線技師は,単純X線,CT,MRI及び血管造影等の検査・治療を安全かつ迅速に実施する役割を担う。

なお,MRIは診療放射線技師の業務に含まれるが,電離放射線を用いる検査ではない。

臨床検査技師制度について,昭和33年(1958年)に臨床検査技師法が制定されたとする説明は誤りである。

昭和33年法律第76号は衛生検査技師法であり,昭和45年(1970年)の改正により臨床検査技師が設けられ,昭和46年(1971年)に施行された。

外傷診療では,血算,血液型・交差適合,凝固,血液ガス,電解質,乳酸及び生化学検査等を迅速に行い,出血,ショック及び臓器障害を評価する。

第8 多職種医療とリハビリテーション

1 急性期から生活期までの連続性

交通事故治療の目的は,生存だけではない。

移動,食事,更衣,会話,嚥下,認知,就労,就学,運転及び家族生活をどこまで取り戻せるかが重要である。

リハビリテーションは,救命治療が完全に終わってから始まる一つの工程ではなく,全身状態と損傷の安定性を確認しながら急性期から検討される。

2 理学療法士と作業療法士

理学療法士及び作業療法士法は昭和40年(1965年)に制定され,昭和41年(1966年)に第1回国家試験が行われた。

理学療法士は,呼吸,起居,移乗,立位,歩行,関節可動域及び筋力等を評価し,身体機能と移動能力の回復を支援する。

作業療法士は,食事,更衣,家事,仕事,学習,余暇及び社会参加等の具体的な生活行為を通じて,生活の再構築を支援する。

頭部外傷後の運転再開では,運動機能だけでなく,注意,判断,視空間認知,疲労及び感情調整等を含む個別評価が必要である。

3 言語聴覚士

言語聴覚士法は平成9年(1997年)に制定され,第1回国家試験は平成11年(1999年)3月に行われた。

言語聴覚士は,失語,構音障害,認知コミュニケーション障害及び嚥下障害等を評価・訓練する。

気管挿管,気管切開,頭頚部外傷又は脳損傷の後には,声,会話又は嚥下の問題が生じることがある。

もっとも,外傷患者一般について,ICUでの早期介入が死亡率又は長期予後を改善することが確立したと一括して書くことはできない。

4 義肢装具士

義肢装具士法は昭和62年(1987年)に制定され,昭和63年(1988年)に施行された。

義肢装具士は,医師の指示の下で,切断後の義肢,脊椎・四肢を支持する装具及び歩行を補助する装具等を製作・適合する。

義肢又は装具は,身体寸法だけでなく,皮膚,疼痛,筋力,関節可動域,生活環境,仕事及び本人の目標に合わせて調整する必要がある。

5 医療ソーシャルワーカー

医療ソーシャルワーカーは,退院先,経済問題,福祉制度,介護,就労・就学,家族支援及び地域サービスとの連携を支える職能上の呼称である。

医療ソーシャルワーカーという名称自体が国家資格であるわけではない。

昭和62年(1987年)に社会福祉士及び介護福祉士法が成立し,社会福祉士という国家資格が設けられたことと区別する必要がある。

6 早期リハビリテーションのエビデンス

早期離床及び早期リハビリテーションには,廃用,筋力低下,関節拘縮及びせん妄等を減らすことが期待される。

一方,重症外傷後の早期多職種リハビリテーションを検討した系統的レビューでは,対象研究が少なく,外傷性脳損傷へ偏り,エビデンスの質が低いと評価されている。

ICU早期離床についても,人工呼吸期間,ICU在室日数又は機能の改善を示す研究があるが,死亡率及び長期QOLの改善は一貫しない。

したがって,「早ければ早いほどよい」のではなく,骨折固定,頭蓋内圧,循環,呼吸,出血及び疼痛を評価して個別に開始する。

7 高次脳機能障害

交通事故による脳損傷後には,記憶,注意,遂行機能,社会的行動及び感情調整の障害が残ることがある。

日本では,平成13年度(2001年度)に厚生労働省の高次脳機能障害支援モデル事業が始まった。

平成15年(2003年)の中間報告で診断基準案が示され,その後の5年間の事業を通じて診断,評価及び支援の枠組みが整備された。

したがって,平成13年に診断基準が確立したとする説明は正確ではない。

医学上の高次脳機能障害,行政上の支援対象及び自賠責保険上の後遺障害評価は,それぞれ目的が異なる。

8 外傷後の心理面

交通事故後には,PTSD,抑うつ,不安,睡眠障害及び運転への恐怖等が生じることがある。

交通事故生存者を対象としたメタ解析では,PTSDの統合有病割合が約22%と報告されているが,研究間の異質性が極めて大きい。

この数値を日本のすべての交通事故患者へそのまま当てはめることはできない。

身体外傷が軽い場合でも心理的影響が強いことがあり,症状に応じて精神科,心療内科,心理職及びリハビリテーション職へつなぐ必要がある。

第9 むち打ち損傷の診療

1 名称と病態

むち打ち損傷は,車両衝突等によって頚部へ加速・減速の力が加わる受傷機転又は,それに関連する症候群を表す語である。

頚椎捻挫,外傷性頚部症候群,むち打ち関連障害等の複数の名称が用いられる。

『交通事故医療法入門 第2版』106頁~116頁は,名称が多様であり,従来の単純な過伸展・過屈曲だけでは発症機序を説明できず,病態も多彩であることを指摘している。

したがって,むち打ち損傷を単一の組織損傷又は頚椎捻挫と常に同義に扱うことはできない。

2 最初に除外すべき損傷

初診時には,骨折,脱臼,脊髄・神経根障害,血管損傷,頭部外傷及びその他の重篤な損傷がないかを評価する。

画像検査の適応は,年齢,受傷機転,圧痛,神経症状,意識状態及び診察の信頼性等に基づいて判断する。

画像所見が乏しいことだけで,患者の痛み又は機能障害が存在しないと判断することはできない。

一方,変性所見又は軽微な画像所見があることだけで,事故による症状又は法的因果関係が証明されるわけでもない。

3 治療

重篤な損傷が除外されたむち打ち関連障害について,複数の診療ガイドラインは,可能な範囲で活動性を保ち,運動を取り入れる方向を支持している。

軟性頚椎カラーの常用又は長期安静は支持されていない。

『交通事故医療法入門 第2版』111頁及び『今日の整形外科治療指針 第8版』584頁も,長期の休養又は固定ではなく,患者教育,安心,活動性維持,通常の日常生活への復帰及び受傷後早期からの運動を基本に置いている。

もっとも,運動の種類,開始時期及び負荷は,痛み,神経症状,年齢,併存症及び患者の反応に合わせて調整する。

電気療法,レーザー及び超音波等の受動的物理療法については,診療ガイドライン間で推奨が一貫しない。

これらが一律に組織修復を促進し,むち打ち症状を改善すると断定することはできない。

4 遷延の予測

むち打ち損傷後の症状は多くの患者で改善する一方,一部では長引く。

予後研究のメタレビューでは,初期の強い痛み・機能障害,不安,破局的思考等が遷延と関連する。

衝突速度,車両損傷又は画像所見だけで個人の回復期間を決めることはできない。

痛み,睡眠,心理面,仕事,家庭環境及び補償手続等が相互に影響することを踏まえ,過度な悲観又は過度な断定を避ける必要がある。

第10 柔道整復の位置付け

1 医師の診療との違い

柔道整復師は,打撲,捻挫,挫傷,骨折及び脱臼に対して非観血的な施術を行う国家資格者である。

もっとも,医師ではなく,医学的診断,薬剤処方,手術又はX線撮影を行う職種ではない。

『柔道整復師が知っておくべき法的知識Q&A』18頁~23頁も,柔道整復と診療の違い,医師の同意及びX線撮影の可否を別項目として扱っている。

したがって,柔道整復を整形外科診療の代替又は交通事故治療のプライマリ・ケアと表現することは適切でない。

2 医師の同意

柔道整復師法17条は,柔道整復師が骨折又は脱臼に対して施術する場合,応急手当を除き,医師の同意を得ることを求めている。

これは,骨折又は脱臼の診断,手術適応,感染,神経・血管損傷及び全身状態を医学的に評価する必要があるためである。

捻挫又は打撲であっても,強い痛み,変形,荷重不能,神経症状,意識障害又は症状の悪化があれば,まず医療機関で評価を受ける必要がある。

3 健康保険と交通事故損害

厚生労働省は,保険医療機関で同じ負傷について治療中の場合,柔道整復の施術は健康保険の対象にならないことを示している。

交通事故については,健康保険上の療養費の問題と,加害者に請求できる損害の問題を分ける必要がある。

『柔道整復師が知っておくべき法的知識Q&A』155頁は,柔道整復師の施術費が交通事故による損害に含まれるのは,「症状により有効かつ相当な場合」であると整理する。

施術を受けたという事実だけで,期間,頻度及び金額のすべてが当然に損害となるわけではない。

同書163頁~165頁及び『交通事故損害賠償法 第3版』130頁によれば,医師の指示の有無にかかわらず,①施術の必要性,②施術の有効性,③施術内容の合理性,④施術期間の相当性,⑤施術費の相当性が個別に問題となる。

第11 長引く症状と脳脊髄液漏出症

1 一般的な慢性症状と稀な病態を分けること

むち打ち損傷後に頭痛,頚部痛,めまい,吐き気,疲労又は集中困難が続くことがある。

これらの症状は非特異的であり,症状だけから脳脊髄液漏出症を診断することはできない。

「長引くむち打ち症状の一部には脳脊髄液漏出症が隠れている」と一般化すると,病態の頻度と診断の確実性を誤って伝える。

2 診断

脳脊髄液漏出症では,起立すると悪化し,横になると改善する頭痛が重要な手掛かりとなる。

もっとも,起立性頭痛だけで確定することはできず,頭部MRI,脊髄MRI,CTミエログラフィー等を病態に応じて用いる。

厚生労働省研究班の画像判定基準は,髄液漏出を示す画像所見を重視している。

『交通事故医療法入門 第2版』154頁~168頁も,診断基準論争,厚生労働省基準,画像診断及び法的認定を分けて扱っている。

同書166頁では,CTミエログラフィーで硬膜欠損又は漏出部位を特定できる場合が,確定所見の一つとして整理されている。

3 交通事故との因果関係

脳脊髄液漏出症と診断されたことと,その病態が特定の交通事故によって生じたことは別の問題である。

症状の発生時期,受傷機転,事故前の症状,画像所見,他の原因及び治療経過を総合して判断する必要がある。

症例報告又は小規模な症例系列だけから,交通事故後に一般的に生じる病態であると推定することはできない。

第12 医学的評価と法的評価の違い

1 医学的診断

医学的診断は,問診,身体所見,画像,検査及び経過に基づき,必要な治療を選ぶために行われる。

診断名は,当時の医療水準,診断基準及び得られた資料に影響される。

同じ症状に複数の診断名が用いられることもあり,診断名だけで法的結論が決まるわけではない。

2 治療の必要性と症状固定

交通事故損害における治療費は,事故との因果関係に加え,治療の必要性及び相当性が問題となる。

交通事故損害における症状固定は,治療をしても一切変化しないことを意味するのではなく,損害算定上,傷害部分から後遺障害部分へ評価を移す法的な意味を持つ。

『交通事故医療法入門 第2版』48頁~50頁は,主治医の医学的判断と裁判所の法的判断では,判断時,目的及び前提事情が異なり,医学的知見から素因減額等の法的判断が直接導かれるわけではないことを指摘している。

3 後遺症と後遺障害

医学的な後遺症が残ることと,自賠責保険又は訴訟上の後遺障害が認められることは同じではない。

後遺障害の評価では,症状の内容,医学的所見,治療経過,日常生活・就労への影響及び等級基準との対応が検討される。

画像所見がないことだけで後遺障害が常に否定されるわけではなく,画像所見があることだけで事故との因果関係又は等級が認められるわけでもない。

4 統計を個別事案へ機械的に当てはめないこと

むち打ち損傷の多くが一定期間内に改善するという統計的傾向は,個別患者の治療期間を一律に決める基準ではない。

一方,症状固定後の治療費が当然に認められるわけでもない。

症状,所見,治療内容,改善経過,通院頻度及び生活への影響を個別に評価する必要がある。

第13 出典

1 日本の官公庁・学会等

消防庁「平成21年版消防白書・消防法の改正」

厚生労働省「第13回医療計画の見直し等に関する検討会資料」

厚生労働省「周産期医療と救急医療の確保と連携について」

日本外傷診療研究機構「JATECの背景」

日本外傷診療研究機構「JATEC 10年の歩み」

日本集中治療医学会「学会概要・沿革」

日本看護協会「あゆみ」

国立循環器病研究センター薬剤部「医療関係者の皆様へ」

厚生労働省「高次脳機能障害支援モデル事業中間報告書」

e-Gov法令検索「理学療法士及び作業療法士法」

e-Gov法令検索「言語聴覚士法」

e-Gov法令検索「柔道整復師法」

厚生労働省「柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて」

国土交通省「後部座席でもシートベルトを着用しましょう」

e-Gov法令検索「消防法」

e-Gov法令検索「救急救命士法」

e-Gov法令検索「救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法」

2 書籍

① 日本救急医学会監修,有賀徹ほか編『標準救急医学 第5版』医学書院,平成25年,8頁,363頁,372頁

② 日本外傷学会・日本救急医学会監修『外傷初期診療ガイドライン JATEC 改訂第5版』へるす出版,平成28年,1頁~7頁,19頁~40頁,69頁~75頁

③ 小賀野晶一・古笛恵子編『交通事故医療法入門 第2版』勁草書房,令和5年,48頁~52頁,105頁~168頁,221頁~245頁

④ 髙津陽介『柔道整復師が知っておくべき法的知識Q&A』日本法令,令和4年,18頁~23頁,40頁~51頁,145頁~184頁

⑤ 土屋弘行ほか編『今日の整形外科治療指針 第8版』医学書院,令和3年,583頁~584頁

⑥ 伊藤文夫ほか編『後遺障害入門 認定から訴訟まで』青林書院,平成30年,24頁~25頁,45頁~93頁,180頁~198頁

⑦ 大島眞一『交通事故事件の実務―裁判官の視点―』新日本法規出版,令和2年,50頁~51頁,85頁

⑧ 北河隆之『交通事故損害賠償法 第3版』弘文堂,令和5年,130頁

3 海外の公的資料

American College of Surgeons “A Brief History of Trauma Systems”

American College of Surgeons “The COT at 100: Evolution and Promulgation of ATLS and Surgical Skills Training”

AO Foundation “AO archive and history”

Rubin GD, “Milestones in CT: Past, Present, and Future,” Radiology, 2023

4 海外の医学文献

Sierink JC et al., “Immediate total-body CT scanning versus conventional imaging and selective CT scanning in patients with severe trauma (REACT-2): a randomised controlled trial,” Lancet,2016年,388巻,673頁~683頁

Sutarjono B et al., “Is it time to re-think FAST? A systematic review and meta-analysis of contrast-enhanced ultrasound and conventional ultrasound for initial assessment of abdominal trauma,” BMC Emergency Medicine,2023年,23巻,Article 8

Duchesne JC et al., “Damage Control Resuscitation,” Trauma Surgery,Springer,2014年,27頁~42頁

Roberts I et al., “The importance of early treatment with tranexamic acid in bleeding trauma patients: an exploratory analysis of the CRASH-2 randomised controlled trial,” Lancet,2011年,377巻,1096頁~1101頁

Lopera JE, “Embolization in trauma: principles and techniques,” Seminars in Interventional Radiology,2010年,27巻,14頁~28頁

Japanese Association for Hybrid Emergency Room System, “The hybrid emergency room system: a novel trauma evaluation and care system created in Japan,” Acute Medicine & Surgery,2019年,6巻,247頁~251頁

Khoo CY et al., “Systematic review of the efficacy of a hybrid operating theatre in the management of severe trauma,” World Journal of Emergency Surgery,2021年,16巻,Article 43

Galvagno SM Jr et al., “Helicopter emergency medical services for adults with major trauma,” Cochrane Database of Systematic Reviews,2015年,第12号,CD009228

Naess HL et al., “Effect of Early Interdisciplinary Rehabilitation for Trauma Patients: A Systematic Review,” Archives of Rehabilitation Research and Clinical Translation,2020年,2巻,Article 100070

Parikh P et al., “Comparison of CPG's for the diagnosis, prognosis and management of non-specific neck pain: a systematic review,” BMC Musculoskeletal Disorders,2019年,20巻,Article 81

Wiangkham T et al., “The Effectiveness of Conservative Management for Acute Whiplash Associated Disorder (WAD) II: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomised Controlled Trials,” PLOS ONE,2015年,10巻,e0133415

Sarrami P et al., “Factors predicting outcome in whiplash injury: a systematic meta-review of prognostic factors,” Journal of Orthopaedics and Traumatology,2017年,18巻,9頁~16頁

Cheema S et al., “Multidisciplinary consensus guideline for the diagnosis and management of spontaneous intracranial hypotension,” Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry,2023年,94巻,835頁~843頁

Lin W et al., “Prevalence of posttraumatic stress disorder among road traffic accident survivors: A PRISMA-compliant meta-analysis,” Medicine,2018年,97巻,e9693