第1 結論――子本人名義の口座を親権者が管理する制度
1 制度の概要
(1) 法令上の名称と通称
令和8年度の税制改正(令和8年法律第12号)により,令和9年1月1日から,0歳から17歳までの子もNISAのつみたて投資枠を使えるようになる。
法令上の名称は「未成年者特定累積投資勘定」である。
いわゆる「こどもNISA」は証券会社や報道で使われている通称であり,財務省・金融庁の資料では「未成年者のつみたて投資枠」等と表現されている。
(2) 五つの要点
制度の要点は,次のとおりである。
①口座は子本人の名義であり,成人と同じ非課税口座の中に設けられる。
②年間の投資枠は60万円,非課税で保有できる上限は600万円で,成長投資枠は無い。
③子が12歳になるまでは,災害等の特別な事情による全額の払出ししかできない。
④12歳以後は,子の教育費又は生活費に充てるための払出しができる。
⑤18歳になった後は,成人のつみたて投資枠に移行する。
(3) 子の財産であることの意味
法律上は子の財産であるから,親が出したお金は子への贈与となり,その管理は親権者が子を代表して行うことになる。
そのため,贈与税,いわゆる名義預金,離婚時の財産分与及び相続の場面で,通常の親名義の投資とは違う注意が要る。
2 本記事の対象と基準日
本記事は,令和8年9月26日現在の法令(令和9年1月1日施行の改正後の租税特別措置法,同法施行令及び同法施行規則を含む。)と,財務省・金融庁の公表資料を基に整理するものである。
制度はまだ始まっていないが,国税庁の租税特別措置法関係通達(措置法第37条の14関係)は,令和8年の改正で,この制度を前提とした取扱いを定めている。
他方,同日現在,国税庁のNISAの案内ページと金融庁のNISA特設ウェブサイトには,この制度の説明は掲載されていない。
対象商品の要件を定める告示や,金融機関の実務上の手続は,今後示されるものがあるため,実際に口座を開く際は金融機関の説明を確認する必要がある。
旧ジュニアNISAを含む,名義人が亡くなった場合のNISA口座の扱いは,相続発生時のNISA口座の取扱いで整理している。
第2 制度の骨格
1 成人と同じ非課税口座の中の勘定
(1) 定義
改正後の租税特別措置法37条の14第4項1号は,未成年者特定累積投資勘定を,「特定累積投資勘定のうち、非課税口座を開設している居住者又は恒久的施設を有する非居住者がその年一月一日において十八歳未満である年及び出生した日の属する年の各年において設けられるもの」と定義している。
つまり,旧ジュニアNISAのような別の口座ではなく,成人と同じ「非課税口座」の中の,つみたて投資枠(特定累積投資勘定)のうち,18歳未満の年に設けられるものという位置付けである。
(2) 年齢の下限の撤廃
現行の同条5項1号は,非課税口座を開設できる者を「その年一月一日において十八歳以上である者に限る」としているが,改正後の同号からはこの括弧書が削られた。
改正後は,未成年者特定累積投資勘定を設ける口座について,開設できる期間を「令和九年一月一日」以後の期間としている(同号ハ)。
財務省の「令和8年度税制改正の大綱」も,「非課税口座の口座開設可能年齢の下限を撤廃する。」としている。
2 投資枠と上限
(1) 年間60万円・保有600万円
改正後の同条5項6号ロ(1)は,1年間に受け入れることができる額について,「百二十万円(当該特定累積投資勘定が未成年者特定累積投資勘定である場合には、六十万円)を超えないもの」と定めている。
非課税で保有できる上限は,未成年者特定累積投資勘定に受け入れている分の購入の代価に相当する金額(いわゆる簿価)で600万円である(同号ロ(1)及び租税特別措置法施行令25条の13第24項)。
この600万円は,成人後の非課税保有限度額1800万円の内数として計算されると考えられる。
成人の上限の判定に使う特定累積投資勘定基準額(租税特別措置法施行令25条の13第21項)の規定には未成年者特定累積投資勘定を除く文言がなく,国税庁の措置法通達37の14-1の(注)1も,「未成年者特定累積投資勘定も上記の特定累積投資勘定に該当することに留意する。」としているからである。
他方,成長投資枠の1200万円は特定非課税管理勘定の分だけで計算されるので,未成年の間の分は算入されない。
(2) 成長投資枠は無い
成長投資枠(特定非課税管理勘定)は,未成年者特定累積投資勘定と同時には設けられない(同項8号)。
そのため,未成年の間は,つみたて投資枠の対象となる投資信託しか買えない。
成人の年間投資枠(つみたて投資枠120万円,成長投資枠240万円)と非課税保有限度額(1800万円,うち成長投資枠1200万円)は変わらない。
3 対象商品
対象となるのは,成人のつみたて投資枠と同じく,定期的に継続して取得することにより個人の財産形成が促進されるものとして政令で定める要件を満たす投資信託等である(同条5項4号・6号ロ)。
租税特別措置法施行令25条の13第15項は,信託契約期間を定めないか20年以上であること,毎月分配型でないこと等の要件を定めている。
財務省の説明資料は,商品性について内閣総理大臣が告示で定める要件を満たしたものに限るとしているが,本記事の基準日の時点で,その告示の本文は確認できていない。
4 施行日と政令・省令
改正法の附則1条5号ロにより,租税特別措置法37条の14の改正規定は令和9年1月1日から施行される。
同法施行令(令和8年政令第98号)と同法施行規則(令和8年財務省令第21号)の改正も,令和8年3月31日に公布されている。
第3 払出しの制限と18歳以後の扱い
1 12歳になるまで――災害等による全額の払出しだけ
(1) 原則として払い出せない
改正後の同条5項6号ホは,未成年者特定累積投資勘定で保有する投資信託等について,子の「基準年の前年十二月三十一日までは」,移管や返還をしないこと等を求めている。
基準年とは,その年の3月31日において子が18歳である年である。
そして,子が「その年三月三十一日において十二歳である年」(特定基準年)の前年までは,災害,疾病その他の政令で定めるやむを得ない事由による,口座内の資産の全てについての払出ししか認められない(同号ホ(1)(ⅰ))。
(2) やむを得ない事由
租税特別措置法施行令25条の13第31項は,やむを得ない事由として次の事由を定めている。
①子が住む家屋で,子又は生計を一にする親族が所有するものが,災害により全壊,流失,半壊,床上浸水等の損害を受けたこと
②子を扶養親族とする扶養者が,その年中に支払った医療費の合計額が200万円を超えたこと
③扶養者が配偶者と死別し,又は離婚したこと等(扶養者が寡婦又はひとり親に該当し,又は該当することが見込まれる場合に限る。)
④子又は扶養者が特別障害者に該当することとなったこと
⑤扶養者が雇用保険法上の特定受給資格者若しくは特定理由離職者に該当することとなったこと又は経営の状況の悪化により事業を廃止したこと等
いずれも,その事由が生じたことについて税務署長の確認を受け,確認の書面を事由が生じた日から1年以内に金融機関へ提出した場合に限られる。
このほか,保有する投資信託の上場が廃止された場合の払出しも認められている(同条第32項)。
2 12歳以後――教育費又は生活費のための払出し
(1) 法令上の要件
特定基準年以後は,災害等による全額の払出しに加えて,払出しの原因となる事由(子の「教育費又は生活費の支払に充てるためのものに限る。」)等を記載した書類を提出した場合の払出しができる(改正後の同法37条の14第5項6号ホ(1)(ⅱ))。
租税特別措置法施行規則18条の15の3第9項は,依頼書の記載事項として,その事由の詳細を求めている。
(2) 子の同意の書類
財務省の大綱は,この書類提出の手続は子の親権者等が行い,子が払出しに同意したことを証する書類を添付しなければならないとしている。
財務省の説明資料も,「12歳以降において、子の同意を得た場合にのみ、親権者等による払出しを可能とする。」としている。
ただし,改正後の租税特別措置法,同法施行令及び同法施行規則の全文を確認した限りでは,NISAの規定に子の同意を要件とする定めは置かれていない。
子の同意書の扱いは,今後,告示,金融機関向けの定め又は各金融機関の約款で具体化される可能性がある。
3 売却代金や分配金の受け皿
未成年者特定累積投資勘定には,金銭を受け入れるための「特定課税未成年者口座」が同時に設けられる(改正後の同法37条の14第5項9号)。
投資信託の売却代金や分配金は,受領後直ちにこの口座に入れなければならず(同項6号ホ(3)),この口座からの払出しも,基準年の前年末までは,投資信託を買うための払出しと前記1・2の払出しに限られる(同項10号ロ)。
4 制限に反したとき
払出しの制限に違反した場合等には,口座と特定課税未成年者口座は廃止され,口座開設の時からの譲渡益や配当について,非課税の扱いがなかったものとされる(改正後の同法37条の14第6項・第8項,9条の8第2項)。
財務省の大綱は,この場合に20%(所得税15%,個人住民税5%)の税率で源泉徴収(特別徴収)をするとしている。
つまり,子が12歳になる前に,親の都合で解約して資金を引き出すと,それまでの運用益に課税される。
5 18歳以後と金融機関の変更
(1) 成人の枠への移行
未成年者特定累積投資勘定は,同じ非課税口座の中の勘定であるから,18歳以後の年は,同じ口座に通常のつみたて投資枠と成長投資枠が設けられる構造になっている。
金融庁の広報誌「アクセスFSA」(2026年2月号)も,子が18歳に達した際に特段の手続を要することなく,自動的に成人後のつみたて投資枠へと移行する仕組みと説明している。
未成年の間に受け入れた分が成人後の1800万円の枠の内数として計算されると考えられることは,前記第2の2のとおりである。
(2) 金融機関は変えられない
また,未成年の間は,他の金融機関の非課税口座に未成年者特定累積投資勘定を設けることができない(改正後の同法37条の14第5項7号ニ)。
口座を開く金融機関は,子が18歳になるまで変えられないことを前提に選ぶ必要がある。
第4 旧ジュニアNISAとの違い
旧ジュニアNISA(未成年者口座。租税特別措置法37条の14の2)は,利用実績が乏しかったとして,令和5年末で新規の口座開設が終了した。
令和6年以後は,払出しをしても過去の非課税が取り消されない扱いになっている。
新しい制度との主な違いは,次のとおりである。
| 項目 | 旧ジュニアNISA | 令和9年からの未成年者のつみたて投資枠 |
|---|---|---|
| 口座 | 成人とは別の未成年者口座 | 成人と同じ非課税口座の中の勘定 |
| 年間の上限 | 80万円 | 60万円 |
| 保有の上限 | 規定なし | 600万円 |
| 対象商品 | 上場株式等 | つみたて投資枠の対象の投資信託等 |
| 非課税期間 | 5年(継続管理勘定で18歳まで延長) | 期限なし |
| 払出し | 3月31日に18歳である年の前年末までは災害等の全額払出しのみ(令和6年以後は制限なし) | 12歳になるまでは災害等の全額払出しのみ,12歳以後は教育費・生活費のための払出し |
第5 親権者による管理
1 子本人の財産を親権者が管理する
(1) 民法824条による代表と管理
口座の名義人は子本人であり,改正後の租税特別措置法も,親権者の手続を直接には定めていない。
親権者が子の口座を開設し,積立の契約を結び,払出しを依頼することができるのは,民法824条が「親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。」と定めているからである。
親権は,子の利益のために行使しなければならず(同法818条1項),管理は自己のためにするのと同一の注意をもって行わなければならない(同法827条)。
(2) 父母の双方が親権者である場合
令和8年4月1日から,父母の双方が親権者である場合の親権の行使について,民法824条の2が定めを置いている。
同条は,親権は父母が共同して行うことを原則とし,監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使は単独ですることができるとしている。
子の証券口座の開設や払出しが日常の行為に当たるかは解釈に委ねられており,金融機関が父母双方の同意を求めるかどうかは,各社の実務を確認する必要がある。
2 払出しの使い道
12歳以後の払出しは,法令上,子の教育費又は生活費に充てるためのものに限られている。
親権者が,子の口座から払い出した資金を親自身の借金の返済や親の生活費に充てることは,この制度の趣旨にも親権の行使の趣旨にも反する。
また,基準年の前年末までは,口座内の投資信託を贈与することもできない(改正後の同法37条の14第5項6号ホ(2))。
第6 贈与税と名義預金
1 親が出すお金は子への贈与
(1) 生活費・教育費の非課税には当たらない
子の口座で投資信託を買うお金を親や祖父母が出すことは,子への贈与となる。
相続税法21条の3第1項2号は,扶養義務者相互間で「生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」を贈与税の非課税としている。
しかし,相続税法基本通達21の3-5は,生活費又は教育費の名義で取得した財産を「預貯金した場合又は株式の買入代金若しくは家屋の買入代金に充当したような場合」は,通常必要と認められるもの以外のものとして取り扱うとしている。
国税庁の「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」(平成25年12月)も,生活費又は教育費に充てられずに預貯金となった場合や,株式等の購入費用に充てられた場合には,その部分は贈与税の課税対象になるとしている。
通達とQ&Aは投資信託を名指ししていないが,子の口座で投資信託を買うためのお金は,この非課税の対象にならないと考えられる。
(2) 年110万円の基礎控除
他方,暦年課税の贈与税には,年110万円の基礎控除がある(租税特別措置法70条の2の4第1項)。
未成年者のつみたて投資枠の年間の上限は60万円なので,その年の他の贈与と合わせて110万円以下であれば,暦年課税の贈与税はかからない。
祖父母からの贈与や,相続時精算課税を選択している場合は,別に確認が要る。
2 名義預金とされないために
(1) 子ごとに結論を分けた裁決
子の名義の預金や証券口座でも,実質的には親の財産であるとして,親が亡くなったときに親の相続財産に含められることがある(いわゆる名義預金)。
国税不服審判所の令和3年9月17日裁決(裁決事例集No.124)は,亡くなった父が子らの名義の口座に毎年一定額を入金していた事案で,子ごとに結論を分けた。
成人の子の名義の預金については,子が口座の存在を知らず,通帳等を父が保管していたことから,贈与の外形を作るために父が開設し,父自身の支配管理下に置かれていたとして,父の財産とした。
これに対し,未成年の子の名義の預金については,唯一の親権者であった母が通帳を管理していたことを指摘し,民法824条により,母は子の法定代理人として子の財産を管理する立場にあったとして,口座開設の当初から子に帰属し,相続財産に含まれないとした。
(2) 贈与の記録の残し方
この裁決の事案では,お金を出した父と,親権者として管理した母が別の人であった。
親が自分で出したお金を,自分が親権者として管理する通常の場合には,それが本当に子への贈与であったことを,後から示せるようにしておく必要がある。
具体的には,贈与の都度,誰から子へいくらを贈与したかを書面(贈与契約書)に残し,親の口座から子の口座への振込等で資金の流れを記録し,子が成長したら口座の存在を伝えることが考えられる。
第7 離婚・相続での注意
1 離婚時の財産分与
(1) 子名義の財産は分与の対象か
民法768条3項は,財産分与について,当事者双方がその婚姻中に取得し,又は維持した財産の額及びその取得又は維持についての各当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して定めるとしている。
子の名義の口座にある財産が夫婦の財産分与の対象になるかは,名義ではなく,資金の出所と,子への贈与として子に帰属しているかによって判断されると考えられる。
(2) 子名義の預金についての裁判例
東京高裁平成7年4月27日判決(平成4年(ネ)第3304号,家月48巻4号24頁)は,「婚姻期間中に得られた収入等により夫婦のいずれかの名義又は子供名義で取得した財産は,夫婦の共有財産に当たるもので,財産分与の対象となることは明らかである。」とした。
他方で,同判決は,夫婦以外の者からの贈与を,贈与税の非課税枠を考慮して妻や子らの名義に分けて国債を購入した分については,実質的には各人に対する贈与であるとして,夫婦の共有財産とは認めなかった。
高松高裁平成9年3月27日判決(平成8年(ネ)第242号,家月49巻10号79頁,判タ956号248頁)は,長女・三女名義の預金について,「いずれも子に対する贈与の趣旨で預金されたと認めるのが相当であるから、財産分与の対象財産とならない。」とした。
東京地裁平成16年1月28日判決(平成13年(タ)第398号・第496号)は,最年長の子も10歳で預金を自ら管理できる状態にないことを指摘したうえで,「このような年齢の子供の名義の預金については,用途を限定して他人から譲り受けたような金銭であればともかく,お年玉等の蓄積や,原告X2及び被告夫婦が将来のため子供名義で預金をしたとした場合には,実質的に夫婦の共有の財産とみるのが相当である。」とし,学資保険も清算の対象とした。
東京地裁平成16年3月18日判決(平成15年(タ)第69号)も,子供名義の預貯金を含めて夫婦の収入から形成されてきたと認めたうえで,管理の状況等から,これらを特に分与しないこととした。
これら4判決は,いずれも裁判所ウェブサイトには掲載されておらず,本記事では判例秘書で本文を確認した。
いずれも子名義の預金等についての判断であり,未成年者のつみたて投資枠についての裁判例ではない。
(3) 裁判例から考えられること
これらの裁判例からは,夫婦の収入から子の名義で積み立てた資金は,夫婦の共有財産として分与の対象とされやすく,夫婦以外の者から子への贈与として入金されたものや,子への贈与の趣旨が明確なものは,子の財産として対象外とされることがあるといえる。
未成年者のつみたて投資枠についても,資金を誰が出したか,子への贈与であったことを記録で示せるか,子の年齢と管理の実態がどうかによって,扱いが分かれると考えられる。
(4) この制度に特有の事情
仮に夫婦の財産として分与の対象になると考えても,未成年者のつみたて投資枠の資産は,前記第3のとおり,子が12歳になるまでは原則として払い出せず,12歳以後も使い道が子の教育費又は生活費に限られる。
離婚を理由に解約すれば,原則として制限違反となり,それまでの非課税が取り消される。
ただし,扶養者が離婚し,その年末に寡婦又はひとり親に該当する場合は,やむを得ない事由として,税務署長の確認を受けて全額を払い出すことができる(租税特別措置法施行令25条の13第31項3号)。
財産分与の協議では,口座の現物を動かさず,評価額を他の財産との調整に使うか,子の教育費に充てることを確認するといった方法を検討することになる。
離婚後にどちらの親が口座を管理するかは,親権者の定めと合わせて決めておく必要がある。
婚前から持っていた株式や投資信託,NISA口座で買い増した分の財産分与は,婚前の株式・投資信託・NISAと財産分与――値上がり,配当,再投資,混在及び立証で整理している。
財産分与と税金の全体は,離婚時の財産分与と税金で扱っている。
2 親が亡くなった場合
子の口座の資産が本当に子へ贈与されたものであれば,親の相続財産には含まれない。
前記第6の2のとおり,実質的に親が管理支配していた名義預金とみられると,親の相続財産として相続税の対象になり得る。
3 子が亡くなった場合
改正後の租税特別措置法37条の14第4項2号は,未成年者特定累積投資勘定からの払出しについて,基準年より前の「贈与」を払出し事由から除いているが,「相続若しくは遺贈」には同じ限定を置いていない。
租税特別措置法施行令25条の13の5第1項は,非課税口座を開設している者が死亡したときは,相続人が遅滞なく金融機関に届け出なければならないとしている。
国税庁の措置法通達37の14-1の(注)2は,非課税口座内上場株式等を有する居住者等が死亡した場合には,「その時に遡って非課税上場株式等管理契約、非課税累積投資契約又は特定非課税累積投資契約に基づく譲渡があったものとみなされ、非課税口座から払出しがされることに留意する。」としている。
もっとも,未成年者特定累積投資勘定について,名義人の死亡による払出しや口座の廃止が,払出しの制限に違反して開設の時からの非課税が取り消される事由(改正後の同法37条の14第6項の契約不履行等事由)に当たるかは,明示されていない。
同項が非課税の取消しの対象から除いているのは,災害等による払出しと出国による口座の廃止であり,死亡については定めがない。
本記事で確認した範囲の条文と通達からは結論を確定できなかったので,実際に問題となった場合は,金融機関と税務署に確認する必要がある。
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第9 出典
1 法令
①租税特別措置法(昭和32年法律第26号)9条の8,37条の14,37条の14の2及び70条の2の4(令和8年法律第12号による改正後の令和9年1月1日施行版を含む。e-Gov法令検索)
②租税特別措置法施行令(昭和32年政令第43号)25条の13及び25条の13の5(令和8年政令第98号による改正後の令和9年1月1日施行版。e-Gov法令検索)
③租税特別措置法施行規則(昭和32年大蔵省令第15号)18条の15の3(令和8年財務省令第21号による改正後の令和9年1月1日施行版。e-Gov法令検索)
④相続税法(昭和25年法律第73号)21条の3(e-Gov法令検索)
⑤民法(明治29年法律第89号)768条,818条,824条,824条の2及び827条(e-Gov法令検索)
2 財務省・金融庁・国税庁の資料
①財務省「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月26日閣議決定)三 金融・証券税制
②財務省「NISAのつみたて投資枠の拡充(令和8年度改正)(令和9年~)」
③金融庁「令和8(2026)年度税制改正について-税制改正大綱における金融庁関係の主要項目-」
④金融庁「アクセスFSA」2026年2月号
⑤国税庁相続税法基本通達21の3-5
⑥国税庁「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」(平成25年12月)
⑦国税庁「NISAに関する情報」
⑧国税庁租税特別措置法関係通達(措置法第37条の14関係)37の14-1(令和8年課資3-5ほか改正)
3 裁判例
①東京高裁平成7年4月27日判決(平成4年(ネ)第3304号,家月48巻4号24頁,判例秘書L05020128,裁判所ウェブサイト未掲載)
②高松高裁平成9年3月27日判決(平成8年(ネ)第242号,家月49巻10号79頁,判タ956号248頁,判例秘書L05220088,裁判所ウェブサイト未掲載)
③東京地裁平成16年1月28日判決(平成13年(タ)第398号・第496号,判例秘書L05930316,裁判所ウェブサイト未掲載)
④東京地裁平成16年3月18日判決(平成15年(タ)第69号,判例秘書L05931161,裁判所ウェブサイト未掲載)
4 裁決
①国税不服審判所令和3年9月17日裁決(裁決事例集No.124)