第1 本記事の対象と結論
1 本記事の対象
親が子,孫又は配偶者の名義で口座を作り,親のお金を積み立てていた預金は,一般に「名義預金」と呼ばれる(法令上の用語ではない。)。
本記事は,名義預金が相続税の調査で被相続人の相続財産とされるのはどのような場合か,生前贈与と認められるには何が要るか,家族の間で「贈与済み」と合意すれば税務署に通るかを,裁判例と国税不服審判所の裁決に即して整理するものである。
調査基準日は令和8年9月26日であり,条文はe-Gov法令検索の現行条文で,裁判例は裁判所ウェブサイト又は判例秘書で,裁決は国税不服審判所ウェブサイトで確認した。
2 結論
①名義預金に当たるかは,出捐者,管理運用の状況,利益の帰属者,名義人との関係,名義の経緯等を総合考慮して判断される(東京地裁平成20年10月17日判決)。
②夫婦間では,妻名義の預金を妻が自ら管理運用していても,それだけでは妻の財産とはされなかった(同判決及びその控訴審判決)。
③受贈者が口座の存在を知らず,通帳等を贈与者が保管していた子の名義預金について,贈与の成立を否定した裁決がある(国税不服審判所令和3年9月17日裁決)。
④贈与契約書,受贈者自身による口座の管理,贈与税の申告及び受贈者による使用が,贈与を示す証拠になる。
⑤遺産分割調停での当事者の合意は,課税庁を拘束しない(前記東京地裁判決)。
⑥名義預金は「贈与がなかった」ために相続財産そのものとされるもので,「贈与があった」上で足し戻す生前贈与加算(相続税法19条)とは別の問題である。
第2 判断基準――東京地裁平成20年10月17日判決
1 事案と判断の枠組み
東京地裁平成20年10月17日判決(平成19年(行ウ)第19号,税務訴訟資料258号順号11053)は,平成13年4月15日に亡くなった夫の相続について,妻名義の有価証券及び預金(以下「妻名義預金等」という。)が夫の相続財産に当たるかが争われた事案である。
夫は全財産を妻に相続させる遺言をしており,先妻との子2名が遺留分減殺を請求して遺産分割調停が成立した後,子らの相続税について税務署長が妻名義預金等を遺産に加えて更正処分をし,子らがその取消しを求めた。
妻名義預金等の原資がいずれも夫の出捐によるものであることには,争いがなかった。
同判決は,被相続人以外の者の名義の財産であっても,相続開始時に被相続人に帰属するものであれば相続税の課税対象となるとし,その判断は「当該財産又はその購入原資の出捐者、当該財産の管理及び運用の状況、当該財産から生ずる利益の帰属者、被相続人と当該財産の名義人並びに当該財産の管理及び運用をする者との関係、当該財産の名義人がその名義を有することになった経緯等を総合考慮して判断するのが相当である」とした。
2 名義と管理運用の評価
同判決は,我が国においては「夫が自己の財産を、自己の扶養する妻名義の預金等の形態で保有するのも珍しいことではないというのが公知の事実である」として,妻名義であることの一事をもって妻の所有と断ずることはできないとした。
また,妻が自らの判断で主体的に取引をしていたこと自体は認めたが,妻は夫名義の財産の管理運用も同じようにしていたので,「夫婦間においては、妻が夫の財産について管理及び運用をすることがさほど不自然であるということはできないから、これを殊更重視することはできず」とした。
利息の一部が妻の年金の入金口座に入っていたことも,妻が預金を解約して他の用途に使用した事情がうかがわれないことから,結論を左右しなかった。
3 贈与の手続をした財産との対比
夫は平成2年に土地建物の持分の一部を妻に贈与しており,その際は贈与契約書を作り,妻が贈与税の申告書(納付すべき税額がない旨のもの)を提出していた。
同判決は,自分の死後の妻の生活を案じていた夫が,遺言とは別に財産を妻名義にしておこうと考えたとしても「あながち不自然とはいい難い」とし,妻名義預金等については「そのような手続を何ら採っていない」ことも考慮して,生前贈与を認めなかった。
4 控訴審――東京高裁平成21年4月16日判決
東京高裁平成21年4月16日判決(税務訴訟資料259号順号11182)は,控訴を棄却した。
登載本文に事件番号の記載はないが,相続開始日,処分の日付及び取消しを求める範囲が前記判決と一致し,原判決を引用しているので,同一事件の控訴審とみられる。
控訴審は,妻の管理運用は夫の「包括的同意あるいはその意向を忖度してなされていた」ものと改め,贈与契約書と贈与税の申告が無いことは「贈与の具体的日時の特定を困難ならしめているうえ、贈与の事実そのものを否定する事情の一つにはなり得るものであることは否定できず」とした。
第3 家族名義の口座で資金を回していた事案――東京地裁平成30年4月24日判決
東京地裁平成30年4月24日判決(平成28年(行ウ)第238号)は,平成22年11月11日に亡くなった税理士の相続について,妻名義の証券口座の有価証券等(総額1億4907万7606円)が相続財産に含まれるかが争われた事案である。
妻のものでないことには争いがなく,被相続人の事務所に勤務していた税理士の長女が,少なくとも2分の1は長女の給与を原資とするもので長女に帰属すると主張した。
妻自身は,全部を相続財産とする修正申告書を提出していた。
同判決は,親族間では「夫が妻や子の名義を借りて自らの資産を原資として有価証券取引に係る口座を開設し,当該口座で取引を行うこともまれではない」とした上で,被相続人が自ら又は妻を通じて家族4人の名義で預金口座と証券口座を開設し,口座の間で「頻繁かつ複雑な資金のやり取り」をしながら資産形成をしてきたと認定した。
妻名義の証券口座への資金流入9984万5280円のうち8140万2500円は被相続人名義の口座等からのもので,残りの年金・保険金・配当金等もその相当部分が被相続人の資産により形成されたと推認して,全部が被相続人に帰属するとした。
同判決は,被相続人以外の名義での拠出元が「個別具体的に証拠により明らかにされないからといって」,帰属の認定の妨げにはならないとしている。
家族の口座を一人がまとめて管理していた場合,名義人の側は,自分の収入とその財産との対応を具体的に示さなければ,この推認を覆すことは難しいと考えられる。
第4 国税不服審判所の裁決に見る贈与の成否
1 令和3年9月17日裁決の事案
国税不服審判所令和3年9月17日裁決(裁決事例集No.124)は,平成29年1月に亡くなった被相続人が,平成13年に4人の子それぞれの名義の普通預金口座を開設させ,平成24年まで毎年一定額を入金していた事案である。
被相続人は,子らに毎年8月中に一定額を贈与する旨の「贈与証」を作成していたが,子らの署名押印はなかった。
口座の開設と入金は,被相続人の依頼で,4人の子のうち2人の母である関連会社の経理担当者が行っていた。
2 知らされていなかった子の名義預金――贈与は不成立
被相続人と妻との間の子の一人の名義の口座は,被相続人が通帳と印章を保管し,平成27年8月に残高全額を現金でその子に手渡すまで約14年間,その子に金融機関名も口座番号も知らせていなかった。
審判所は,受贈者の署名押印のない贈与証だけでは贈与の成立は認められないとし,毎年電話で受諾していたとするその子の陳述も信用できないとした。
その上で,「我が国において、親が子に伝えないまま子名義の銀行預金口座を開設の上、金員を積み立てておく事例が少なからず見受けられる」ことに鑑み,この口座は「贈与の履行がされているとの外形を作出するために本件被相続人により開設され、平成27年8月まで本件被相続人自身の支配管理下に置かれていた」として,預金は被相続人に帰属するとした。
3 親権者の母が管理していた子の名義預金――贈与が成立
他方,口座開設当時は未成年で,被相続人に認知される前であった子については,母が唯一の親権者であり,民法824条により子の財産を管理し,子を代表する立場にあった。
審判所は,母が子の法定代理人として贈与証による贈与の申込みを受諾し,被相続人からの入金だけがある口座の通帳と印章を当初から母が保管していたことから,この預金は口座開設の当初から子に帰属し,相続財産に含まれないとした。
同じ書面に基づく同じ入金でも,受贈者の側で受諾し,受贈者の側で管理していたかどうかで結論が分かれたのである。
4 被相続人名義の預金の移し替えと重加算税
同じ裁決では,被相続人の妻が,死亡直前の平成29年1月4日に被相続人名義の口座を解約して2031万6074円を自分の名義の口座に移し,他の相続人と税理士に知らせず,通帳を廃棄していた。
審判所は,これを国税通則法68条1項の「隠蔽」に当たるとして,過少申告加算税に代えて基礎となる税額の100分の35の重加算税を課すことを認め,配偶者の税額軽減についても相続税法19条の2第5項の隠蔽仮装行為に当たるとした。
5 妻名義の口座への入金を贈与としなかった裁決
国税不服審判所令和3年7月12日裁決(裁決事例集No.124)は,妻が夫名義の口座から出金して妻名義の証券口座等に入金した金員について,税務署長が相続税法9条のみなし贈与として贈与税の決定処分をした事案である(妻は,夫の死亡後,この資金を原資とする有価証券等を相続財産に加える修正申告をしていた。)。
審判所は,夫婦間の財産の帰属は「当該財産又はその購入原資の出捐者、当該財産の管理及び運用の状況、当該財産の費消状況等、当該財産の名義を有することとなった経緯等を総合考慮して判断するのが相当である」とし,妻は夫の財産をそのまま管理運用していたにすぎず私的に費消した事実もないとして,処分を全部取り消した。
名義を移しただけで名義人の財産になっていない資金は,相続税の対象になる一方で,移した時点の贈与税の対象にはならないことになる。
第5 民法の贈与と名義預金
民法549条は,「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」と定める。
贈与は書面を要しない諾成契約であるが,受贈者の受諾が要るので,贈与者が一方的に子の名義の口座に入金し,子がそれを知らない場合には,贈与契約の成立は認定されにくい。
民法550条は,「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」と定める。
口頭の約束だけの贈与は履行が終わるまで解除できるので,受贈者も署名した贈与契約書を作っておけば,解除の問題を避けられるとともに,受諾の事実を示す証拠にもなる。
第6 生前贈与と認められるための証拠
1 証拠の組み方
本記事では,前記の裁判例と裁決で結論を分けた事情を踏まえ,次の四つを揃えることを基本形とする。
(1) 贈与契約書
贈与の都度(又は年ごとに),贈与者と受贈者の双方が署名した契約書を作り,日付,金額,贈与者及び受贈者を記載する。
受贈者が未成年であれば,親権者が法定代理人として受諾し,署名することになる(民法824条)。
(2) 受贈者自身の口座と管理
贈与するお金は,受贈者が自分で開設し,通帳,印章及びキャッシュカードを自分で管理している口座に振り込む。
贈与者が口座を開設して通帳等を保管したままでは,前記の令和3年9月17日裁決のとおり,贈与者の支配管理下にあったとされるおそれがある。
(3) 贈与税の申告
暦年課税の贈与税の基礎控除は年110万円であり(租税特別措置法70条の2の4第1項),贈与税額がある場合は,受贈者は翌年2月1日から3月15日までに申告書を提出しなければならない(相続税法28条1項)。
前記の東京地裁判決は土地持分の申告と預金の申告の欠如を対比しており,申告書の控えは贈与を裏付ける資料の一つになる。
(4) 受贈者による使用
控訴審判決は,妻が夫の意向にかかわりなく預金を解約して他の用途に使用するなど自己のものとして利得した証拠がないことを,妻への帰属を否定する理由の一つに挙げた。
受贈者が受け取ったお金を自分の生活費,教育費,住宅の取得等に使っていれば,受贈者の財産であることを示す事情になると考えられる。
ただし,夫婦間では,名義人が主体的に運用していても,他方の財産を管理運用していたにすぎないとされた例がある(前記令和3年7月12日裁決)。
2 年110万円以下の贈与
年110万円以下の贈与では贈与税額が生じないので申告の義務がなく,申告書の控えという証拠が残らない。
そのため,贈与契約書,振込の記録及び受贈者自身による口座の管理で,贈与の成立と受贈者への帰属を示すことになる。
3 相続時精算課税を選ぶ場合
相続時精算課税は,その年1月1日において60歳以上の者からその推定相続人である18歳以上の直系卑属又は18歳以上の孫への贈与について選択でき(孫については租税特別措置法70条の2の6第1項),贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの期間内に届出書を提出しなければならず,届出書は撤回できない(相続税法21条の9第1項・2項・6項,28条1項)。
令和6年1月1日以後の贈与には年110万円の基礎控除があり(租税特別措置法70条の3の2第1項),相続税の課税価格にはこの控除をした残額が加算される(相続税法21条の15第1項)。
届出書は制度の選択を届け出るものにすぎないので,契約書と受贈者の口座管理は精算課税でも必要になると考えられる。
第7 生前贈与加算と名義預金の違い
1 生前贈与加算は贈与があったことが前提
相続税法19条1項は,「相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続の開始前七年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合」に,その贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算し,課された贈与税額を控除するとしている。
加算対象期間は,相続開始が令和8年12月31日までなら3年以内,令和9年1月1日から令和12年12月31日までなら令和6年1月1日以後,令和13年1月1日以後なら7年以内であり,令和9年1月2日以後の相続開始では3年より前の贈与から総額100万円までは加算されない(令和5年法律第3号附則19条,国税庁タックスアンサーNo.4161)。
110万円以下の贈与も加算の対象になり,亡くなった年ごとの加算額は生前贈与の加算は亡くなった年でどう変わるか―加算額の早見表,100万円の控除,贈与税額控除と還付されない贈与税で説明している。
2 名義預金との違い
名義預金は,贈与が成立しておらず被相続人の財産のままであったとされるものなので,何年前に入金したものであっても,相続開始時の残高がそのまま相続財産になる。
主な違いは,次のとおりである。
| 項目 | 名義預金 | 生前贈与加算 |
|---|---|---|
| 前提 | 贈与が成立していない | 贈与が成立している |
| 期間 | 制限なし | 相続開始の年により3年以内から7年以内 |
| 金額 | 相続開始時の残高(利息を含む。) | 贈与時の価額 |
| 対象者 | 名義人が誰であるかを問わない | 相続又は遺贈により財産を取得した人 |
| 贈与税 | 贈与がないので課されない | 課された贈与税額を相続税額から控除 |
| 遺産分割 | 遺産として分割の対象になる | 遺産ではなく,特別受益の問題になり得る |
3 手渡しで成立した贈与が加算された例
前記の令和3年9月17日裁決では,知らされていなかった子の名義預金は被相続人の財産とされた上で,平成27年8月に残高全額を現金で手渡した時にその現金の贈与が成立したと認定され,相続開始前3年以内の贈与として相続税法19条1項により課税価格に加算すべきものとされた。
名義預金が受贈者の支配下に移った時に初めて贈与が成立し,その時点が加算対象期間に入るかが問題になるのである。
第8 遺産分割調停の合意は税務署を拘束しない
前記の事案で,妻は遺産分割調停で妻名義預金等は生前贈与を受けたものだと主張し,子らも強く争わず,調停条項で確認された遺産の範囲に妻名義預金等は含まれていなかった。
同判決は,「贈与の有無は受贈者の認識のみにより定まるものではない」とし,調停条項には妻名義預金等の記載がないので遺産でないとされたとまではいえないとした。
さらに,「ある財産が被相続人の遺産であるか否かは本来民事訴訟で争われるべきもの」であり,遺産分割調停は当事者間の自由な合意により成立することを基本とする制度であるとした上で,合意が課税庁を拘束すると「当事者間において遺産の範囲を狭くする旨の合意をすることによって、容易に相続税の課税を免れることが可能になるのであり、そのような事態は、税負担の実質的公平を害することとなって、妥当でないというべきである」とした。
控訴審も,この部分に「遺産分割協議における遺産の帰属についての」という文言を加えて原判決を引用している。
この事案では,調停で生前贈与を主張していた妻自身が,調停成立の翌日に,妻名義預金等を夫の遺産とする修正申告書を提出しており,子らには過少申告加算税が課された。
遺産分割の協議や調停で「生前贈与済み」と合意しても,税務署はその合意に拘束されず,名義預金に当たるかを前記の要素で判断する。
実務上は,申告の前に名義預金の候補を洗い出し,遺産分割の合意とは別に,税務上の帰属を税理士と詰めておくことが考えられる。
第9 遺産分割・遺留分での名義預金
1 遺産の範囲の争いと遺産確認の訴え
最高裁昭和61年3月13日第一小法廷判決(昭和57年(オ)第184号,民集40巻2号389頁)の裁判要旨は,「共同相続人間において特定の財産が被相続人の遺産に属することの確認を求める訴えは、適法である。」としている。
名義預金が遺産に属するかが相続人の間で争われる場合は遺産確認の訴えで確定することができ,遺産と確定すれば,預金債権は遺産分割の対象となる(最高裁平成28年12月19日大法廷決定・平成27年(許)第11号・民集70巻8号2121頁)。
訴えの当事者や主張立証は遺産確認の訴えとは――当事者・確認の利益・対象財産・主張立証で,預金が払い戻されていた場合は遺産相続の使途不明金―裁判例から見た請求の組立てと立証で扱っている。
2 贈与と認められる場合の特別受益と遺留分
共同相続人の一人への生前贈与と認められる場合は,婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本としての贈与に当たれば,特別受益として持ち戻される(民法903条1項)。
ただし,相続開始から10年を経過した後の遺産分割では,家庭裁判所に分割の請求をしていた場合等を除き,特別受益の規定は適用されない(民法904条の3)。
遺留分の算定では,相続人に対する贈与は,原則として相続開始前の10年間にした婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本としての贈与に限って算入される(民法1044条1項・3項)。
最高裁平成7年3月7日第三小法廷判決(平成3年(オ)第252号,民集49巻3号893頁)は,特定の財産が特別受益財産であることの確認を求める訴えは不適法であるとしたので,名義預金を遺産と主張する相続人は,遺産と認められない場合に備えて,遺産分割の手続の中で特別受益の主張も併せてすることが考えられる。
3 税務の判断と民事の判断の関係
前記の税務訴訟の判決は,国と納税者の間で課税処分の適否を判断したものであり,共同相続人の間で遺産の範囲を確定するものではない。
もっとも,出捐者,管理運用の状況,利益の帰属,名義人との関係及び名義の経緯という判断要素と,税務の裁判例で重視された事実は,民事で帰属を争う際にも主張立証の手掛かりになると考えられる。
子供名義の株式の帰属は,子供名義の株は誰のものか―親の出資・贈与・管理・配当・議決権で扱っている。
第10 関連記事
①生前贈与の加算は亡くなった年でどう変わるか―加算額の早見表,100万円の控除,贈与税額控除と還付されない贈与税
②令和9年から0歳でも使えるNISA――未成年者のつみたて投資枠の仕組み,払出し制限,親権者の管理,贈与税及び離婚・相続での注意
③遺産確認の訴えとは――当事者・確認の利益・対象財産・主張立証
④遺産相続の使途不明金―裁判例から見た請求の組立てと立証
⑤子供名義の株は誰のものか―親の出資・贈与・管理・配当・議決権
⑥相続放棄と生前贈与スキームの限界
⑦被相続人の財産を調べる方法―相続人が被相続人の死亡後に行う財産・債務調査
⑧相続税における配偶者の税額の軽減――計算方法,申告要件,未分割遺産及び隠蔽仮装
⑨被相続人の生前に払い戻された預貯金を対象とする訴訟についての長田雅之論文(判例タイムズ1500号)のAIによる論評
第11 出典
1 法令
①e-Gov法令検索「民法」549条,550条,824条,903条,904条の3及び1044条
②e-Gov法令検索「相続税法」19条,19条の2,21条の9,21条の15及び28条
③e-Gov法令検索「租税特別措置法」70条の2の4,70条の2の6及び70条の3の2
④e-Gov法令検索「国税通則法」68条
⑤所得税法等の一部を改正する法律(令和5年法律第3号)附則19条
(①から④までは令和8年9月26日に現行条文を確認)
2 国税庁の資料
①国税庁タックスアンサー「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」(令和8年4月1日現在法令等)
3 裁判例
①東京地裁平成20年10月17日判決・平成19年(行ウ)第19号・税務訴訟資料258号順号11053(裁判所ウェブサイト未掲載。判例秘書(L06332742)で全文を確認)
②東京高裁平成21年4月16日判決・税務訴訟資料259号順号11182(①の控訴審とみられる。事件番号は登載本文に記載なし。裁判所ウェブサイト未掲載。判例秘書(L06421036)で全文を確認)
③東京地裁平成30年4月24日判決・平成28年(行ウ)第238号(裁判所ウェブサイト未掲載。判例秘書(L07331271)で全文を確認)
④最高裁昭和61年3月13日第一小法廷判決・昭和57年(オ)第184号・民集40巻2号389頁(裁判所ウェブサイト)
⑤最高裁平成7年3月7日第三小法廷判決・平成3年(オ)第252号・民集49巻3号893頁(裁判所ウェブサイト)
⑥最高裁平成28年12月19日大法廷決定・平成27年(許)第11号・民集70巻8号2121頁(裁判所ウェブサイト)
4 裁決
①国税不服審判所令和3年9月17日裁決(裁決事例集No.124)
②国税不服審判所令和3年7月12日裁決(裁決事例集No.124)