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遺言・相続

遺留分侵害額請求の計算方法と請求を受けた側の対応―期限の許与・分割払い・遅延損害金(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と既存記事との役割分担1 令和元年7月1日以後に開始した相続を扱うこと2 旧法と変わった点と変わらなかった点3 既存記事との役割分担第2 遺留分を算定するための財産1 条文と算式2 相続人に対する贈与が10年に限られたこと3 負担付贈与と不相当な対価第3 遺留分を請求できる人と割合1 遺留分を請求できる人2 総体的遺留分と個別的遺留分3 相続人の組合せごとの遺留分割合4 複数の子・直系尊属、代襲相続及び養子5 相続放棄、相続欠格及び廃除6 相続開始前の遺留分放棄第4 遺留分侵害額1 民法1046条2項の算定式2 寄与分が反映されないこと3 承継債務を加算すること
4 死亡保険金の取扱い第5 遺留分侵害額請求を受けた側の確認事項1 回答前に保存する資料2 請求額を検証する順序3 受遺者・受贈者の負担限度と負担順序4 遺留分権利者承継債務を弁済した場合5 裁判所による期限の許与6 分割払いの合意と事実上の分割払い第6 遅延損害金と期間制限1 権利行使と履行請求を区別する2 遅延損害金の利率3 民法1048条の期間と発生後の金銭債権の時効4 請求を受けた側の回答順序第7 現物で解決する場合の課税1 代物弁済と譲渡所得2 相続税の更正の請求と修正申告第8 新法の解釈を示した裁判例がほとんどないこと第9 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公的資料4 文献

第1 この記事の対象と既存記事との役割分担

1 令和元年7月1日以後に開始した相続を扱うこと

民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)の附則第2条は「この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に開始した相続については、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。」と定める。
遺留分に関する改正規定は同法附則第1条ただし書の各号に掲げられておらず、法務省が公表する原則的な施行期日である2019年7月1日から施行された。
したがって、被相続人の死亡日が令和元年7月1日以後であれば、金銭の支払を求める遺留分侵害額請求として処理する。

判定の基準は相続開始日であって、判決の年でも権利行使の年でもない。
逆に、判決が令和6年や令和7年であっても、相続開始が施行日より前であれば旧法の遺留分減殺請求として処理される。

2 旧法と変わった点と変わらなかった点

改正の中心は、権利の性質が物権的効果から金銭債権へ変わったことである。
民法1046条1項は「遺留分権利者及びその承継人は、受遺者…又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる」と定める。
その結果、旧法で最も誤りが生じやすかった減殺率の分母の選択という問題は、計算の手順から消えた。

もっとも、変わらなかった部分も多い。
基礎財産の算式(1043条1項)は旧1029条とほぼ同文であり、負担の順序(1047条1項各号)も旧1033条から1035条までと同じ構造である。
遺留分の放棄に関する1049条は旧1043条と同文で、第2項の「共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない」という規律も維持されている。
実質的に変わったのは、後述する贈与の加算期間、負担の限度の条文化、価額弁償に代わる期限の許与の4点に整理できる。

3 既存記事との役割分担

旧法の計算方法そのものは旧法の遺留分減殺請求の計算方法―基礎財産・侵害額・減殺率と判例タイムズ1345号の計算シートで扱っている。
減殺の順序は旧法の遺留分減殺請求の順序―遺贈・死因贈与・生前贈与と通知の先後、遺産の評価時点は旧法事案の遺留分減殺請求における遺産の評価基準時で扱っている。
この記事は新法の金額の算定過程に絞り、旧法との違いが実務にどう表れるかを併せて示す。
1年・10年の期限,内容証明による通知,交渉,調停,訴訟及び必要書類は,遺留分侵害額請求の期限と手続―内容証明・交渉・調停・訴訟・必要書類で扱っている。

第2 遺留分を算定するための財産

1 条文と算式

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旧法の遺留分減殺請求の計算方法―基礎財産・侵害額・減殺率と判例タイムズ1345号の計算シート(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と既存記事との役割分担1 令和元年7月1日より前に開始した相続を扱うこと2 この記事が扱う範囲3 既存記事との役割分担第2 算定式と計算シート1 最高裁が示した算定式2 東京地方裁判所プラクティス委員会が提案した計算シート3 計算シートが選択した説第3 遺留分算定の基礎となる財産1 式と入力欄の対応2 生前贈与を加算する範囲3 金銭の贈与を相続開始時の貨幣価値に引き直すこと4 相続債務の控除5 相続税の申告書から数値を転記するときの注意第4 個別的遺留分額1 総体的遺留分率に法定相続分を乗じること2 計算シートの模擬事案が前提とする法定相続分第5 遺留分侵害額1 計算シートの算定順序2 未処理遺産を分配する基準第6 減殺額と減殺率1 減殺の対象となるのは遺留分超過受遺額であること2 受遺額からみた減殺率3 判決が用いた分母には幅があること4 持分を分数にするときの乗算第7 計算シートの用語が判決の別紙に現れること1 判決文に現れる計算シート由来の用語2 計算過程を検算する際の着眼点第8 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公的資料4 文献

第1 この記事の対象と既存記事との役割分担

1 令和元年7月1日より前に開始した相続を扱うこと

民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)の附則第2条は「この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に開始した相続については、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。」と定める。
遺留分に関する改正規定は同法附則第1条ただし書の各号に掲げられておらず、原則的な施行期日によることになる。
法務省は原則的な施行期日を2019年7月1日と公表しており、同法の公布日は平成30年7月13日である。
したがって、被相続人の死亡日が令和元年7月1日より前であれば、金銭債権化された遺留分侵害額請求ではなく、物権的効果を生ずる遺留分減殺請求として処理する。

判定の基準は相続開始日であって、判決の年でも権利行使の年でもない。
現に、判決日が令和6年や令和7年であっても、相続開始日が施行日前であるために旧法が適用される事案は珍しくない。

2 この記事が扱う範囲

この記事は、旧法の遺留分減殺請求において、基礎財産、個別的遺留分額、遺留分侵害額及び減殺率という四つの数値を、どの順序でどのように出すかという算定過程そのものを扱う。
個別の財産をどう評価するか、争点整理をどう進めるかといった問題は扱わない。

3 既存記事との役割分担

減殺の順序、すなわち遺贈・死因贈与・生前贈与のどれから先に減殺するかという問題は、旧法の遺留分減殺請求の順序―遺贈・死因贈与・生前贈与と通知の先後で扱っている。
遺産をいつの時点の価額で評価するかは旧法事案の遺留分減殺請求における遺産の評価基準時で、減殺の結果生じた共有関係をどう解消するかは改正前の遺留分減殺請求によって共有となった不動産の解消方法で扱っている。
この記事は、それらの前提となる金額の算出に絞る。
令和元年7月1日以後に開始した相続については権利の性質が金銭債権に変わっており、その計算方法は遺留分侵害額請求の計算方法―旧法の減殺請求と何が変わったかで扱っている。

葬儀費用を遺留分の計算から差し引けるかについては,通常の葬儀費用と被相続人の債務との区別,遺言・合意・生前契約及び相続税上の取扱いを,遺留分の計算で葬儀費用を差し引けるか-遺言・合意・相続税との違い(AI作成)で説明している。

第2 算定式と計算シート

1 最高裁が示した算定式

最高裁判所第三小法廷平成8年11月26日判決(民集第50巻10号2747頁)は、遺留分侵害額の算定について、被相続人が相続開始の時に有していた財産全体の価額に贈与した財産の価額を加え、その中から債務の全額を控除して基礎財産額を確定し、これに遺留分の割合と法定相続分の割合を乗じ、遺留分権利者が特別受益を得ているときはその価額を控除し、相続によって得た財産があるときはその額を控除して、負担すべき相続債務があるときはその額を加算するという順序を示している。
旧法の計算は、この四段階を順に踏むことに尽きる。

2 東京地方裁判所プラクティス委員会が提案した計算シート

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旧法の遺留分減殺請求の順序―遺贈・死因贈与・生前贈与と通知の先後(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

1 令和元年7月1日より前に開始した相続を扱うこと
2 負担順序と通知順序は別の問題であること
3 既存記事との役割分担

第2 旧法が定める客観的な減殺順序

1 遺贈を生前贈与より先に減殺すること
2 複数の遺贈は目的価額に応じて減殺すること
3 相続人に対する遺贈の目的価額
4 複数の生前贈与は後の贈与から減殺すること
5 受贈者が共同相続人である場合の減殺額

第3 明文だけでは決まらない三つの論点

1 同時の贈与
2 贈与の先後を判断する基準時
3 死因贈与の位置付け

第4 相手方へ通知する時間的順序

1 客観的減殺額の範囲内では通知順を選べること
2 通知順によって負担を付け替えることはできないこと
3 複数の相手方へ早期に通知する実務上の理由

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旧法事案の遺留分減殺請求における遺産の評価基準時

目次

第1 結論
第2 旧法事案となる相続開始日
第3 遺留分算定の基礎財産は相続開始時に評価する

1 旧民法1029条及び1044条
2 大審院大正7年12月25日判決
3 金銭の生前贈与は相続開始時の貨幣価値に換算する
4 評価時点と財産の状態は分けて考える

第4 旧民法1041条の価額弁償は別の時点で評価する

1 相続開始時評価と価額弁償時評価は目的が異なる
2 現実の弁償時と事実審口頭弁論終結時
3 金銭判決には二段階の意思表示が必要である

第5 減殺請求前に目的物が処分された場合

1 最高裁平成10年3月10日判決
2 処分の時期及び内容を先に確定する

第6 遺産分割及び税務上の評価との区別

1 遺産分割の評価基準時とは異なる
2 相続税評価額がそのまま民法上の時価になるとは限らない
3 相続税の申告書に載る財産の範囲は基礎財産と一致しない

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有料老人ホームの前払金―返還額,死亡時の相続及び施設への確認方法(AI作成)

第1 前払金を調べるときの結論と順序

1 最初に確認すべき五つの資料
2 「5年未満なら一部返金」という表示だけでは金額が決まらない

第2 前払金の返還計算

1 入居後3か月以内に終了した場合
2 入居後3か月を超え,想定居住期間内に終了した場合
3 初期償却は常に無効ではない

第3 死亡時の返還金と相続

1 入居者が前払金を負担した場合
2 返還金受取人の指定がある場合
3 相続人が複数いる場合

第4 前払金に関する裁判例の到達点

1 受取人指定より実質的な負担者を重視した裁判例
2 非返還部分を有効とした裁判例
3 住替え時の再度の初期償却を無効とした裁判例

第5 施設へ資料と支払状況を確認する方法

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遺言無効確認請求訴訟の確認の利益―生前提訴・特別縁故者・後の遺言・登記後の扱い(AI作成)

第1 遺言無効確認請求が許される理由

第2 確認の利益が問題となる場面

1 遺言者の生前に提訴する場合
2 生前贈与によって原告の取得分がないとの反論
3 特別縁故者となる可能性がある者
4 後の遺言がある場合
5 遺言に基づく登記が既にされた場合

第3 遺産確認の訴えとの違い

第4 提訴前の確認事項

第5 関連記事

第6 出典

遺言無効確認請求訴訟を提起するためには、遺言が無効であるという主張だけでなく、その確認を判決によって求める法律上の利益が必要である。

確認の利益は、原告の現在の権利又は法律上の地位に現実の不安・危険があり、その除去のために当該確認判決が有効かつ適切であるかという観点から判断される。

第1 遺言無効確認請求が許される理由

最高裁昭和47年2月15日判決(昭和43年(オ)第627号)は、遺言無効確認の訴えを、遺言が有効であれば生ずべき現在の特定の法律関係が存在しないことの確認を求める訴えと理解し、法律上の利益がある場合には適法となる旨を判示した。

したがって、訴状では、単に過去の遺言行為の無効を述べるだけでなく、当該遺言が有効であれば生ずる具体的な法律関係と、それによって原告に生じている不安・危険を示す必要がある。

第2 確認の利益が問題となる場面
1 遺言者の生前に提訴する場合

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遺言無効確認請求訴訟では誰を被告にするか―相続人・受遺者・遺言執行者と必要的共同訴訟(AI作成)

第1 基本的な考え方
第2 相続人及び受遺者
第3 遺言執行者
第4 遺言執行後の登記を争う場合
第5 相続人全員を被告にする必要があるか
第6 被告を決める前の確認事項
第7 関連記事
第8 出典

遺言無効確認請求訴訟では、遺言によって利益を受ける相続人若しくは受遺者又は遺言執行者が被告の候補となる。

もっとも、誰を被告にすべきかは、遺言の内容、執行の進行状況及び遺言無効確認以外に求める請求から逆算して決める必要がある。
第1 基本的な考え方
被告とすべき者は、当該遺言の有効性について原告と対立し、確認判決によって原告の法律上の不安・危険を除去できる者である。

そのため、遺言書に名前がある者を機械的に全員被告とするのではなく、誰が遺言の有効性を主張し、誰に遺言による権利又は権限が帰属しているかを確認する必要がある。
第2 相続人及び受遺者
遺言によって法定相続分を超える財産を取得する相続人又は遺贈を受ける者は、遺言の有効性について直接の利害を有するため、通常、被告の候補となる。

ただし、確認判決だけで紛争が終わらず、既にされた登記の抹消又は金銭の返還を求める必要がある場合は、その給付義務を負う者を相手方とする必要がある。
第3 遺言執行者
民法1012条は、遺言執行者が遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有すると定めている。

最高裁昭和31年9月18日判決(昭和29年(オ)第875号)は、相続人が遺言執行者を被告として遺言の無効を主張し、相続財産について自己が持分権を有することの確認を求めることができる旨を判示した。

したがって、遺言執行が終わっておらず、遺言執行者の権限と原告の権利が対立する場合、遺言執行者は被告の候補となる。
第4 遺言執行後の登記を争う場合
最高裁昭和51年7月19日判決(昭和51年(オ)第17号)は、遺贈の目的不動産について受遺者名義の所有権移転登記等が既にされた場合、抹消登記手続請求の相手方は遺言執行者ではなく受遺者であるとした。

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遺言無効確認請求訴訟は何年かかるか―審理期間の資料・長期化要因・併合事件(AI作成)

第1 結論
第2 審理期間に関する過去の研究
第3 訴訟が長期化する主な要因

1 遺言能力に関する資料の収集
2 証人尋問及び事実関係の対立
3 当事者が多い事件
4 控訴及び上告受理申立て

第4 併合されることがある請求
第5 期間を見積もる際の確認事項
第6 関連記事
第7 出典

遺言無効確認請求訴訟の審理期間は、遺言書の種類、争点、証拠の量、証人尋問の有無及び併合する請求によって大きく異なる。

本記事で確認した公開資料の範囲では、遺言無効確認請求事件だけを対象とする最新の公的な平均審理期間は確認できなかった。

過去の研究では1年以上2年未満が最も多いとされているものの、これは平成18年に公表された研究に基づく数字であり、現在の事件についての平均又は見通しとしてそのまま用いることはできない。
第1 結論
遺言無効確認請求訴訟が何年かかるかは、一律には答えられない。

もっとも、提訴前の資料収集、当事者及び請求の整理並びに証人候補者の検討を早期に行うことは、無用な長期化を避けるために重要である。

また、第一審判決までの期間だけでなく、控訴の可能性及び判決後に必要となる登記、金銭返還又は遺産分割の手続まで含めて見通しを立てる必要がある。
第2 審理期間に関する過去の研究
遺言無効確認請求訴訟に関するリンク集で引用した石田明彦ほか「遺言無効確認請求事件の研究(下)」判例タイムズ1195号86頁は、当時の事件について、審理期間は1年以上2年未満が最も多く、次いで6か月以上1年未満が多かったとしている。

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相続放棄の手続を自分でする方法―必要書類・申述書の書き方・受理後の対応(AI作成)

第1 この記事の対象と手続の全体像

1 自分で進めやすい相続放棄

2 最初に確認する三つの事項

第2 3か月の期限と申述前にしてはいけないこと

1 死亡日から一律に3か月ではない

2 遺産の処分を止める

3 調査が終わらないときは期間伸長を申し立てる

第3 誰がどの家庭裁判所へ申述するか

1 申述人と未成年者の利益相反

2 提出先は被相続人の最後の住所地で決まる

第4 相続順位別の必要書類

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遺産分割と詐害行為取消権・無償行為否認―相続放棄との違い(AI作成)

第1 対象と結論

1 最初に押さえる結論

2 三つの制度を分ける必要

3 この記事の時点と適用法

第2 民法上の詐害行為取消請求

1 遺産分割が取消対象となり得る理由

2 現行民法上の要件

3 法定相続分との差額が直ちに取消額にならない理由

4 受益相続人の善意・悪意

5 取消しの方法・範囲・期間

第3 破産法上の否認権

1 詐害行為否認と無償行為否認

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遺産分割における代償分割―代償金・支払能力・分割払・税務(AI作成)

第1 代償分割の仕組みと本記事の範囲第2 協議・調停と審判の違い1 協議・調停では合意内容を柔軟に設計できる2 審判の直接の根拠は家事事件手続法195条である第3 審判で代償分割を選ぶための条件1 「特別の事情」は現在も条文上の要件である2 代償金の支払能力が必要である3 現物取得者を選ぶ事情を具体化する第4 代償金額と財産評価1 基本は具体的相続分と現物取得額との差額である2 遺産分割の評価額と相続税評価額を区別する3 高額な鑑定へ進む条件を絞る第5 支払能力の立証と資金計画1 支払期限に利用できる資金を示す2 将来の売却だけに依存する計画は弱い3 資金不足が明らかなら分割方法を再検討する第6 分割払・期限猶予と履行確保1 長期分割は相手方へ信用リスクを移す2 支払原因,金額及び期限を確定する3 担保・債務名義・引換給付を区別する第7 代償金が支払われない場合1 原則は解除ではなく代償金請求である2 再合意で税務を当然に巻き戻せるとは限らない第8 相続税・所得税と固有財産による支払1 相続税の課税価格には代償財産を加減する2 代償金は取得した相続財産の取得費に加算されない3 相続人の固有財産を移転すると譲渡所得が生じ得る第9 資産別の評価・税務・換価手続1 不動産は時価・正味換価額・税務評価を分ける2 上場株式等は評価基準日と口座所在を確認する3 非上場株式は評価と処分可能性を別に調べる4 退職金・死亡退職金は権利の帰属と支給時期を分ける第10 実務上の確認順序第11 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 裁判所・国税庁等の公表資料4 文献5 関連記事
第1 代償分割の仕組みと本記事の範囲

代償分割とは,共同相続人の一人又は数人が不動産,非上場株式その他の遺産を現物で取得し,取得額がその相続人の取り分を超える部分について,他の相続人に代償金を支払う分割方法である。自宅を売らずに配偶者が取得する場合,同族会社の株式を後継者へ集約する場合,事業用資産の一体性を保つ場合などに用いられる。

京都家庭裁判所の遺産分割調停案内は,遺産の分け方を現物分割,代償分割,共有分割及び換価分割の四つに整理し,代償分割には代償金を支払う相続人の資力が必要であると説明している。それぞれの特徴は次のとおりである。

分割方法
内容
主な注意点

現物分割
遺産そのものを各相続人へ分ける
財産ごとの価値に差があると公平な配分が難しい

代償分割
一部の相続人が現物を取得し,他の相続人へ代償金を支払う
評価額と支払能力が争点になりやすい

換価分割
遺産を売却し,手取金を分ける
売却時期,費用及び譲渡所得税を検討する必要がある

共有分割

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遺産分割協議における錯誤取消し―旧法の要素の錯誤,裁判例と実務対応(AI作成)

第1 この記事の対象と最初に確認すべきこと

1 現在は「錯誤無効」ではなく「錯誤取消し」である

2 結果が不満になっただけでは取り消せない

3 本記事の射程

第2 現行民法95条による判断の順序

1 錯誤には二つの類型がある

2 錯誤は重要なものでなければならない

3 基礎事情は他の共同相続人に表示されていなければならない

4 重大な過失があると原則として取り消せない

5 取消通知,期間及び第三者を別々に確認する

第3 誤認の類型別にみる裁判例

1 存在を知らなかった遺言

2 遺産目録から預貯金又は株式が漏れていた場合

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遺産分割における非嫡出子の相続分の変遷(AI作成)

第1 現在の結論と過去の相続の判定方法

1 現在は子の相続分に差がない

2 確認すべき二つの日付

第2 相続開始時期別の適用関係

1 時期別一覧

2 平成12年9月19日から平成13年6月30日までの空白

第3 明治民法から昭和22年改正まで

1 明治民法1004条

2 日本国憲法施行後の応急措置

3 昭和22年法律第222号

第4 合憲判断から違憲判断への転換

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相続の使途不明金の消滅時効―請求原因・起算点・旧法の見分け方(AI作成)

目次

第1 使途不明金の時効を判断する順序

1 「使途不明金」は請求権の名称ではない

2 取引ごとに時計を分ける

第2 最初に旧法と現行法を分ける

1 令和2年4月1日前に生じた債権

2 施行日前の法律行為が原因となる債権

3 現行民法の5年・10年

第3 請求原因ごとの期間と起算点

1 不当利得返還請求

(1) 時効期間

(2) 善意・悪意と返還範囲

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Appleアカウントの相続手続―故人アカウント管理連絡先,iCloudデータ及び端末の扱い(AI作成)

第1 この記事が扱うAppleアカウントの相続

1 対象と結論

2 一つの「相続」として扱えない理由

第2 故人アカウント管理連絡先が設定されている場合

1 アクセス申請に必要なもの

2 承認後のアカウントと3年間の期限

3 取得できるデータと対象外のデータ

第3 管理連絡先又はアクセスキーがない場合

1 日本で受け付けられる代替書類

2 Appleが示す裁判所命令の内容

3 拒否された場合の請求の絞り方

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Googleアカウントの相続手続―死亡後のデータ取得・資金請求・閉鎖(AI作成)

第1 対象範囲と結論

1 この記事の対象

2 アカウント,データ及び金銭を分けて考えること

3 パスワードは開示されないこと

第2 Googleが用意する三つの手続

1 三つの請求の違い

2 データ取得を先に検討する理由

3 処理期間,費用及び開示率

第3 申請前の確認と必要書類

1 低負担の初期確認

2 Googleフォームで求められる資料

3 データ取得と米国裁判所命令

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相続税の対象となる家庭用財産――家財一式,5万円基準及び評価方法(AI作成)

第1 家庭用財産に相続税がかかる理由

1 原則は課税対象である
2 相続開始時の時価で評価する

第2 誰の家庭用財産かを先に確定する

1 自宅にある物が全て被相続人の財産とは限らない
2 名義よりも取得資金その他の実態が重要である

第3 5万円基準と家財一式の意味

1 原則は1個又は1組ごとの評価である
2 5万円以下の物は一世帯ごとに一括評価できる
3 5万円は非課税枠ではない
4 家財一式10万円という公的な一律基準はない

第4 家庭用財産の評価方法

1 売買実例価額又は精通者意見価格を先に調べる
2 市場資料がない場合に新品小売価額から減価する
3 ゼロ評価には客観的な根拠が必要である

第5 家庭用財産と分けて検討すべき物

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遺産確認の訴えとは――当事者・確認の利益・対象財産・主張立証(AI作成)

第1 遺産確認の訴えが必要となる場面

1 「何を分けるか」を民事訴訟で確定する手続

2 判決で決まる事項と決まらない事項

第2 遺産分割その他の手続との区別

1 家庭裁判所の遺産分割との役割分担

2 別の訴訟物を選ぶべき争い

3 調停前置と管轄

第3 全共同相続人の参加と当事者の確定

1 固有必要的共同訴訟

2 相続分全部譲渡と一部当事者に対する取下げ

3 第三者が権利を主張する場合

第4 確認の利益を判断する基準

1 現実の争いと抜本的解決の必要性

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遺産分割前に預貯金を払い戻す二つの方法―民法909条の2と仮分割の仮処分(AI作成)

第1 結論

1 二つの方法

2 通常の検討順序

第2 預貯金が遺産分割の対象となるまでの経緯

1 最高裁判例

2 平成30年相続法改正

第3 民法909条の2による金融機関での払戻し

1 払戻限度額

(1) 各預貯金債権についての計算
(2) 一金融機関当たり150万円の上限

2 計算例

3 金融機関に提出する資料

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相続回復請求権とは――表見相続人,共同相続人,5年・20年の時効と取得時効(AI作成)

第1 相続回復請求権の基本構造

1 民法884条が定める特別の時効

2 独立した一つの訴えではないこと

3 遺産分割との区別

第2 誰が誰に対して問題となるか

1 真正相続人と包括受遺者

2 表見相続人と単なる無権利者

3 共同相続人に適用される条件

4 共同相続人から財産を取得した第三者

第3 5年と20年の消滅時効

1 侵害を知った時から5年

2 相続開始から20年

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自筆証書遺言の訂正・破棄・隠匿と相続欠格事由(AI作成)

第1 訂正・破棄・隠匿を判断する順序

1 同じ外形でも主体によって法的効果が異なること

2 判断のために先に確定する事実

第2 自筆証書遺言の訂正方法と方式違反の効果

1 現行民法968条3項の訂正方法

2 方式違反があっても遺言全体が当然に無効となるわけではないこと

3 第三者による加筆は遺言の効力と相続欠格を分けて考えること

第3 遺言者本人による破棄と遺言の撤回

1 民法1024条の故意の破棄

2 文面全体への赤色斜線を破棄とした最高裁判例

3 公正証書遺言及び法務局保管遺言との違い

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自筆証書遺言の偽造と相続欠格――遺言無効との違い,立証方法及び裁判例(AI作成)

第1 この記事が扱う問題

1 遺言無効と相続欠格は別の問題である
2 最初に確認すべき結論

第2 遺言無効,相続欠格及び刑事責任の違い

1 偽造された自筆証書遺言はなぜ無効となるか
2 偽造者が相続欠格者となるための追加立証
3 刑事事件の成否及び有罪判決は別問題である

第3 民法891条5号の要件

1 偽造及び間接偽造
2 変造及び方式の補充
3 破棄及び隠匿
4 不当な相続利益を得る目的

第4 主要裁判例が示す判断の分岐

1 最高裁昭和56年4月3日判決――方式を補充した場合
2 最高裁平成9年1月28日判決――不当利益目的がない場合
3 広島高裁平成14年8月27日判決――間接偽造
4 さいたま地裁平成20年9月24日判決――日付の書込み

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秘密証書遺言の作成方法,効力,検認及び令和8年改正(AI作成)

第1 秘密証書遺言の位置付け

1 内容を秘密にしたまま存在を明確にする遺言であること

2 利用件数が少ないこと

第2 現行法による作成方法

1 民法970条1項の4段階

2 本文の日付と訂正

3 口がきけない者及び成年被後見人の特則

第3 遺言本文の作成者である「筆者」

1 パソコンを実際に操作した者が筆者となること

2 専門家の指示で事務職員が入力した事案

第4 証人,費用及び保管

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自筆証書遺言の押印―必要な印と押し方・令和8年改正(AI作成)

第1 現在は自筆証書遺言に押印が必要である

1 本記事の対象と結論

2 現行民法968条の三つの押印

3 令和8年改正は成立したが未施行である

第2 実印・認印・指印・花押の扱い

1 実印でなく認印でも足りる

2 指印は押印に当たる

3 花押やサイン様の略号は押印にならない

4 本人以外が物理的に押した場合

5 押印を全く欠く遺言の例外は極めて狭い

第3 押印の場所・複数枚・押印時期

1 氏名の直下が安全だが法定の場所ではない

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相続させる遺言と特定財産承継遺言――違い,効力,登記及び遺言執行者の権限(AI作成)

第1 「相続させる」遺言と特定財産承継遺言の関係

1 結論――両者は重なるが,同じ意味ではない
2 法定の成立要件
3 「相続させる」という語だけでは決まらない

第2 最高裁平成3年判決が確立した直接承継の仕組み

1 遺産分割方法の指定と解する原則
2 相続開始時の直接承継
3 相続放棄及び遺言と異なる分配

第3 特定遺贈,相続分の指定及び包括遺贈との区別

1 特定遺贈との違い
2 相続分の指定との違い
3 包括遺贈との違い

第4 第三者対抗要件と相続登記

1 旧法下では登記なく第三者に対抗できた
2 現行民法899条の2
3 相続登記申請義務と登録免許税

第5 遺言執行者の権限は旧法と現行法で異なる

1 平穏な未登記事案を扱った最高裁平成7年判決
2 妨害登記を扱った最高裁平成11年判決

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相続放棄の3か月はいつからか――熟慮期間の起算点,伸長及び期限経過後の申述(AI作成)

第1 相続放棄の「3か月」の意味

1 死亡日から一律に3か月ではない

2 本記事の対象

第2 原則的な起算点

1 死亡と自己の相続人性を知った時

2 後順位相続人

3 共同相続人ごとの個別計算

第3 3か月の計算方法

1 初日不算入と暦による計算

2 期限管理に必要な日付

第4 相続財産を後から知った場合

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限定承認と税金――みなし譲渡,準確定申告,相続税及び住民税(AI作成)

第1 限定承認の税務を理解するための基本構造

1 限定承認が制限するのは相続債務の責任である

2 税金を三つの層に分ける

第2 民法上の手続と税務申告の期限

1 限定承認は共同相続人全員で行う

2 3か月,4か月及び10か月を別々に管理する

第3 死亡時のみなし譲渡所得課税

1 課税対象は相続財産全部ではない

2 課税時点は限定承認申述の受理日ではなく相続開始時である

3 財産超過でもみなし譲渡課税は適用される

4 相続開始時の時価を相続税評価額で代用しない

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遺産分割と未支給年金――相続財産性,受給順位及び手続(AI作成)

第1 この記事が扱う未支給年金1 結論と対象2 未支給年金と遺族年金の違い第2 未支給年金が遺産分割の対象にならない理由1 相続ではなく法定遺族の固有の権利であること2 最高裁平成7年11月7日判決3 遺産分割協議書での扱い第3 誰が未支給年金を請求できるか1 親族の範囲と順位2 同順位者が複数いる場合3 法定の遺族がいない場合第4 生計同一をどのように判断するか1 同居だけで決まる要件ではないこと2 立証に用いる資料3 裁判例が示す判断の分かれ目(1) 別居していても生計同一が認められた例(2) 長期別居で生計同一が否定された例(3) 法律婚と事実婚が競合した例第5 死亡前入金,死亡後入金及び過払の区別1 死亡月分までの未払額2 口座への入金時点で結論が変わること第6 相続放棄及び請求者死亡1 通常の未支給年金と相続放棄2 先順位者が請求前に死亡した場合第7 請求手続,時効及び税務1 請求書及び基本資料2 本人が生前に年金請求をしていなかった場合3 消滅時効4 相続税と所得税第8 制度名によって結論が変わる例外1 旧共済年金の一部2 企業年金,確定拠出年金及び個人年金保険第9 実務上の確認順序第10 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 行政資料4 文献第1 この記事が扱う未支給年金
1 結論と対象

通常の国民年金及び厚生年金保険について,受給権者が死亡した時点で未払となっている死亡月分までの年金は,遺産分割の対象となる相続財産ではない。国民年金法19条及び厚生年金保険法37条が,死亡時に受給権者と生計を同じくしていた一定範囲の遺族に,自己の名で請求する固有の権利を与えているためである。

したがって,法定相続人であることだけでは請求できず,反対に,相続人でなくても法定の親族範囲,生計同一及び順位を満たせば請求できることがある。遺産分割協議によって,日本年金機構に対する受給順位を入れ替えたり,生計同一でなかった相続人を請求者にしたりすることはできない。

本記事は,令和8年8月9日現在の国民年金及び厚生年金保険を中心に扱う。旧共済年金,企業年金,確定拠出年金及び個人年金保険は制度ごとに結論が異なるため,第8で別に説明する。

本記事は一般的な法制度及び手続の情報を提供するものであり,個別案件についての法律相談又は税務相談ではない。具体的な事情に即した相談は,「遺言・相続のお問い合わせ」から可能である。

2 未支給年金と遺族年金の違い

未支給年金は,死亡した受給権者に死亡月分まで支給されるべきであった年金について,支払時期又は手続の関係で未払となっている部分である。これに対し,遺族基礎年金及び遺族厚生年金は,被保険者等の死亡を支給事由として遺族に発生する別の給付であり,受給者の範囲,年齢要件,生計維持要件及び失権事由も異なる。

特に,未支給年金で必要なのは原則として「生計同一」であり,遺族年金で問題となる「生計維持」と同じではない。生計維持に関する年収850万円未満等の収入要件を,未支給年金の生計同一要件へそのまま当てはめることはできない。遺族厚生年金の生計維持要件そのもの(収入要件のライン,別居,内縁・重婚的内縁関係及びDVによる別居等の限界事例)については,「遺族厚生年金の生計維持要件——収入,別居,内縁及びDV別居の限界事例」で扱っている。

第2 未支給年金が遺産分割の対象にならない理由
1 相続ではなく法定遺族の固有の権利であること

民法896条は,被相続人の一身に専属するものを除き,相続人が被相続人の権利義務を承継すると定める。しかし,国民年金法19条及び厚生年金保険法37条は,この相続の一般原則とは別に,法定の遺族が自己の名で未支給年金を請求する仕組みを設けている。

この違いは,誰が受け取るかを決定する基準に表れる。遺産であれば相続人,遺言,法定相続分及び遺産分割が問題となるのに対し,未支給年金では親族範囲,死亡時の生計同一及び政令上の順位が問題となる。

2 最高裁平成7年11月7日判決

最高裁平成7年11月7日第三小法廷判決(平成3年(行ツ)第212号,民集49巻9号2829頁)は,国民年金法19条1項が一定の遺族に未支給年金の支給を請求する固有の権利を与えたものであり,死亡した受給権者の未支給年金請求権が相続の対象になるものではないと判示した。本判決は,未支給年金を遺産分割から外す現在の実務の出発点である。

また,本判決は,法定遺族が行政庁への請求及び支給決定を経て具体的な支給を受ける仕組みを重視し,死亡した受給権者本人が提起していた年金支給請求訴訟を遺族が当然に承継することも否定した。受給権者に未払分があったという事実だけから,相続人が当然に金銭債権を承継するわけではない。

3 遺産分割協議書での扱い

遺産分割協議書では,通常の未支給年金を遺産目録に計上し,特定の相続人が相続するという書き方を避けるのが法的構造に合う。記載が必要であれば,「未支給年金は法令上の受給権者が別途請求する」旨を確認事項として置き,遺産そのものの分配条項と区別する方法が考えられる。

もっとも,受領者が家族関係への配慮から他の親族へ金銭を渡すことや,遺産全体の合意解決の中で別の財産配分を調整することまで禁止されるわけではない。ただし,それは未支給年金の受給権を遺産分割した結果ではなく,別個の合意又は金銭移転であるため,合意内容及び税務上の扱いを分けて検討する必要がある。

第3 誰が未支給年金を請求できるか
1 親族の範囲と順位

平成26年4月1日以後に受給権者が死亡した場合,請求できるのは,死亡時に受給権者と生計を同じくしていた①配偶者,②子,③父母,④孫,⑤祖父母,⑥兄弟姉妹,⑦これら以外の三親等内の親族である。順位もこの順であり,先順位者がいるときは後順位者に請求権は生じない。

平成26年3月31日以前の死亡では,その他の三親等内の親族への拡張前の規定が適用される。古い判例又は実務書に「兄弟姉妹まで」と記載されていても,現在の死亡事案へそのまま用いることはできない。

配偶者には,法律上の婚姻届がある者だけでなく,社会通念上夫婦としての共同生活が認められる事実婚の配偶者が含まれ得る。ただし,法律婚配偶者と事実婚の配偶者が競合する場合は,法律婚の実体,経済的援助,接触状況及び共同生活の実態を具体的に確認する必要がある。

2 同順位者が複数いる場合

同順位者が2人以上いる場合,その1人による請求は全員のために全額についてしたものとみなされ,その1人への支給は全員に対してしたものとみなされる。日本年金機構への請求及び支払は代表者1人にまとめられるが,早く請求した者が全額を終局的に取得するという意味ではない。

法令は,同順位者間の最終的な内部取得割合を明記していない。堀勝洋『年金保険法〔第5版〕』355頁~356頁は頭数による均等を説くが,この点を直接判断した公開裁判例は確認できないため,代表受領者は他の同順位者を確認し,分配方法を記録しておくことが安全である。

3 法定の遺族がいない場合

親族範囲,生計同一及び順位を満たす者がいない通常の国民年金・厚生年金では,未支給年金が相続人一般へ回る仕組みはない。相続人が存在しても,法定の未支給年金受給者に該当しなければ,その相続人は請求できない。

この結論は,旧共済年金の一部又は確定拠出年金の死亡後5年経過時の扱いとは異なる。年金証書,年金コード及び支給元を確認し,単に「年金」という名称だけで判断しないことが重要である。

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遺産分割調停・審判の管轄,移送と自庁処理(AI作成)

第1 調停と審判の管轄は異なる

1 基本的な区別

2 同じ裁判所で当然に続くわけではない

第2 遺産分割調停の管轄

1 相手方住所地と複数の相手方

2 住所がない場合又は住所が知れない場合

3 調停の合意管轄

4 相続開始地は調停の法定管轄ではない

第3 遺産分割審判の管轄

1 相続開始地の家庭裁判所

2 審判の合意管轄

3 寄与分事件との関係

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遺産管理人とは――遺産分割調停・審判中の選任要件と権限(AIリライト)

第1 この記事でいう遺産管理人

1 家事事件手続法200条1項の財産の管理者

2 名称が似ている制度との違い

第2 遺産管理人の選任要件

1 遺産分割事件の係属と本案審判の蓋然性

2 財産管理の必要性

3 選任の必要性を基礎付ける例

(1) 保存・管理が行われていない例

(2) 中立的な管理が必要となる例

(3) 賃料の開示をめぐる紛争

第3 申立て,審理及び不服申立て

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昭和55年以前に開始した相続の法定相続分――時期区分と改正前民法900条の割合(AI作成)

第1 この記事が扱う相続と,適用される法の決め方1 相続分は相続開始時の法によって定まる2 適用される法の時期区分第2 昭和55年改正が設けた分水嶺1 改正法附則の経過措置2 改正された条文の内容3 e-Gov法令検索で経過措置を確認するときの限界第3 昭和23年1月1日から昭和55年12月31日までの法定相続分1 配偶者と血族相続人の割合2 同順位の相続人が数人あるときの割合3 昭和37年改正が変えたものと変えなかったもの第4 応急措置法が適用される相続の相続分第5 旧民法の遺産相続における相続分1 遺産相続人の順位2 庶子及び私生子の相続分第6 代襲相続の範囲が三段階に変わること第7 嫡出でない子の相続分と違憲決定の射程第8 地域による適用法の違い第9 相続分の計算に連動する制度1 遺留分2 寄与分3 相続税法上の相続分と配偶者の税額軽減第10 計算の手順と誤りやすい点1 計算の手順2 誤りやすい点3 計算した相続分が争われた場合出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公文書・歴史資料4 文献

第1 この記事が扱う相続と,適用される法の決め方

1 相続分は相続開始時の法によって定まる

相続登記が長期間されないまま放置された不動産や,先代・先々代の名義のままになっている土地について遺産分割や相続登記を進めるときは,被相続人が死亡した日を基準として,その当時に施行されていた法律による法定相続分を計算しなければならない。現行の民法900条1号は,子及び配偶者が相続人であるときの相続分を各2分の1と定めているが,この割合が適用されるのは昭和56年1月1日以後に開始した相続に限られる。本記事は,昭和55年12月31日以前に開始した相続について,どの時期にどの割合が適用されるのかを,官報に掲載された公布時の条文にさかのぼって整理するものである。作成に当たっては,AIを用いて官報,国会会議録及び裁判所ウェブサイトの原資料を通読し,条文の文言と数値を原典と逐語で照合した。

この整理の出発点となる経過措置は二つある。一つは,民法及び家事審判法の一部を改正する法律(昭和55年法律第51号)附則第2項であり,「この法律の施行前に開始した相続に関しては、なお、第一条の規定による改正前の民法の規定を適用する」と定める。もう一つは,民法の一部を改正する法律(昭和22年法律第222号)附則第25条第1項であり,「応急措置法施行前に開始した相続に関しては、第二項の場合を除いて、なお、旧法を適用する」と定める。相続分は,相続人の範囲と同じく相続開始時に施行されていた法によって決まり,その後の改正によって遡って変わることはない。

本記事は,被相続人が日本人であり日本法が準拠法となる場合を対象とする。被相続人が外国人であるときは相続の準拠法は本国法であり,最高裁判所第二小法廷昭和37年8月10日判決は,大韓民国人について昭和31年当時に生じた遺産相続の相続人を,当時の同国の慣習によって認定している。在日韓国・朝鮮人が被相続人である事案の相続人調査については在日韓国・朝鮮人の相続人調査で扱っている。また,相続人の範囲そのもの,すなわち家督相続と遺産相続の区別,家督相続人が選定されなかった場合の処理及び家附の継子の相続権については旧民法が適用される相続の相続人の特定で扱っているため,本記事は相続人が確定した後の割合の計算に対象を絞る。

2 適用される法の時期区分

相続開始日によって適用される法は,次の5期に分かれる。境界となる日付は,いずれも各法律の施行期日に関する規定から導かれる。

相続開始日適用される法昭和22年5月2日以前旧民法(明治31年法律第9号として公布された民法第四編親族・第五編相続)。家督相続又は遺産相続昭和22年5月3日から同年12月31日まで日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律(昭和22年法律第74号)及び旧民法の遺産相続に関する規定昭和23年1月1日から昭和37年6月30日まで民法(昭和22年法律第222号による改正後のもの)昭和37年7月1日から昭和55年12月31日まで民法(昭和37年法律第40号による改正後のもの)昭和56年1月1日以後民法(昭和55年法律第51号による改正後のもの)

各境界日の根拠は次のとおりである。応急措置法の附則は「この法律は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。」と定めるから,同法は憲法施行日である昭和22年5月3日から適用される。昭和22年法律第222号附則第1条は「この法律は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。」と定める。昭和37年法律第40号附則第1項は「この法律は、昭和三十七年七月一日から施行する。」と定め,昭和55年法律第51号附則第1項は「この法律は、昭和五十六年一月一日から施行する。」と定める。なお,応急措置法の附則には失効期日を定める規定が置かれておらず,同法及び同時期の関係法律の整理に関する法律にも同法を廃止する条項は見当たらないが,新民法の施行によって相続に関する規律が引き継がれた結果,昭和23年1月1日以後に開始した相続には新民法が適用される。

第2 昭和55年改正が設けた分水嶺

1 改正法附則の経過措置

民法及び家事審判法の一部を改正する法律は,昭和55年5月17日に公布され,官報同日付本紙第15994号5頁に掲載された。その附則は7項から成り,相続分の計算に直接かかわるのは次の2項である。

1 この法律は、昭和五十六年一月一日から施行する。

2 この法律の施行前に開始した相続に関しては、なお、第一条の規定による改正前の民法の規定を適用する。

この経過措置は,改正後の規定を施行前に開始した相続へは一切及ぼさないという完全な不遡及を定めるものである。したがって,被相続人が昭和55年12月31日に死亡した相続と,翌日である昭和56年1月1日に死亡した相続とでは,遺産分割や相続登記を現在行うとしても,適用される相続分の割合が異なる。

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令和7年10月1日施行の公証人手数料令改正――公正証書作成手数料の新旧対照,引下げ項目及び経過措置(AI作成)

目次

第1 この記事が扱う対象

1 改正の特定と施行日
2 委任の構造

第2 改正の全体像

第3 法律行為に係る公正証書の作成手数料

第4 新設された3か条

1 死後事務委任に関する公正証書(18条の2)
2 信託に関する公正証書(22条の2)
3 電磁的記録の提供(40条の2)

第5 養育費に関する定期給付の上限

第6 個別の手数料額の改定

1 公正証書の作成に関するもの
2 執行文,送達,交付及び閲覧に関するもの
3 デジタル化に伴う技術的な改正

第7 据え置かれた手数料

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公正証書遺言を作成した公証人と連絡が取れない場合の方式遵守の立証方法(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点
2 方式遵守の主張立証責任は遺言の有効を主張する側にある
3 遺言公正証書は公文書であること

第2 公証人と連絡が取れなくなる場面

1 公証人法上の身分の変動
2 記憶がない場合と証言を拒絶する場合

第3 原本及び附属書類の所在

1 封印と引継ぎ
2 保存期間
3 附属書類の範囲と7年の保存期間
4 原本の二重保存と滅失時の措置

第4 資料を取得する手順

1 遺言検索システムによる特定
2 閲覧,謄本及び正本の請求
3 訴訟上の証拠収集手段

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公正証書遺言に関する遺言無効確認請求訴訟の要件事実――請求原因,抗弁及び再抗弁の分配(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点
2 主張立証責任の三層構造

第2 請求原因は訴訟要件を基礎付ける事実である

1 訴訟物と請求の趣旨
2 請求原因の4つの要件事実
3 遺言者の生存中は訴えを提起できない

第3 抗弁は遺言の成立要件である

1 立証責任が遺言の有効を主張する側にある
2 令和7年9月30日以前に作成された公正証書遺言
3 令和7年10月1日以後に作成された公正証書遺言
4 証人の立会い
5 口授
6 筆記,読み聞かせ及び署名押印
7 公正証書遺言が有効であるという抗弁の記載例

第4 再抗弁は遺言の無効事由である

1 遺言能力の欠如
2 民法総則の規定による無効及び取消し

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被相続人の財産を調べる方法―相続人が被相続人の死亡後に行う財産・債務調査(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。

第1 相続財産調査の目的と最初に管理する期限

1 全国一括検索だけでは調査は完結しない
2 3か月の熟慮期間を調査より先に管理する

第2 最初にそろえる権限資料と手掛かり

1 相続人と遺言を確定する
2 自宅,郵便物及び税務資料から候補表を作る

第3 財産・債務の種類ごとの調査方法

1 預貯金,貸金庫及び銀行取引

(1) 相続時預貯金口座照会で所在候補を探す
(2) 判明した金融機関へ残高と取引履歴を個別照会する

2 不動産

(1) 所有不動産記録証明で全国の登記記録を検索する
(2) 名寄帳と固定資産税資料を併用する

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アルツハイマー型認知症と公正証書遺言の無効主張-診断名と重症度の区別(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。
目次

第1 本記事の対象と結論の要点

1 アルツハイマー型の診断だけでは無効にならない
2 既存記事との役割分担
3 争点は作成時点の程度に絞り込まれる

第2 診断名と重症度を区別する

1 診断名は重症度を語らない
2 処方薬の適応範囲から重症度の上限を検討する
3 バイオマーカーは重症度の判定に用いない
4 生物学的な診断基準への移行がもたらす影響

第3 進行性を前提とした立証と反論

1 進行速度から作成時点の程度を推認する
2 「作成当日は状態が良かった」との反論への対応
3 入院中の出来事は重症度の裏付けとして弱い

第4 認知機能検査及び認定資料の限界

1 カットオフ値だけでは判断されない
2 合計点よりも遂行機能と言語性記憶に着目する

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死後事務委任契約の効力,内容及び作成時の注意点(AI作成)

第1 死後事務委任契約の役割
1 死後の事務を生前に委ねる契約であること
2 契約が特に有用となる場面

第2 本人の死亡後も契約が存続するための法的根拠
1 民法653条は当事者の別段の合意を妨げないこと
2 相続人による解除には限界があり得ること
3 契約の有効性と対外的な実行可能性は異なること

第3 委任できる事務と権限上の限界
1 典型的な死後事務
2 死亡届,火葬及び埋葬
(1) 死亡届を提出できる者
(2) 火葬及び埋葬の手続

3 賃貸住宅の解約及び残置物の処理
(1) 解除事務と残置物処理事務を分ける
(2) 指定残置物と非指定残置物を区別する
(3) 換価代金,費用及び残額を精算する
(4) モデル条項の対象外となる場面

4 相続財産,税務,預貯金及びデジタル遺品
(1) 相続財産の処分
(2) 税務及び預貯金
(3) デジタル遺品

第4 遺言,任意後見及び祭祀承継との使い分け

(続きを読む...)死後事務委任契約の効力,内容及び作成時の注意点(AI作成)

遺品整理業者の許可・選び方と相続放棄・残置物処理の注意点(AI作成)

第1 遺品整理業者に一つの包括免許はない
1 名称ではなく実際の作業で規制が決まる
2 許可・権限の早見表
3 民間資格は法令上の許可を代替しない

第2 家庭ごみの運搬には市町村の一般廃棄物許可が必要である
1 家庭の遺品は通常,一般廃棄物となる
2 依頼者と許可業者の直接契約を確認する
3 「全部買取」でも実態が不要物なら廃棄物になり得る
4 家電と内装撤去は別工程として扱う

第3 買取と訪問契約には別の消費者保護規制がある
1 買取には古物商許可と処分権限の確認が必要である
2 自宅での買取は訪問購入となり得る
3 見積りのための訪問と契約締結の依頼は同じではない
4 免責条項と解約料にも限界がある

第4 遺品を処分できる者と相続放棄のリスク
1 共同相続人の一人だけで全部を処分できるとは限らない
2 相続放棄を考える者は売却・持帰り・費用充当を止める
3 裁判例は物の価値と行為の範囲を個別に見ている
4 緊急時は保存と記録を優先する

第5 賃貸住宅の残置物を家主が直ちに処分することはできない
1 残置物条項があっても自力救済は許されない
2 モデル契約は入居者の生前の委任を前提とする

第6 特殊清掃は免許名より安全管理の実質を見る

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レビー小体型認知症患者の公正証書遺言の無効主張方法(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。

目次

第1 本記事の対象と結論の骨格

1 問われるのは診断名ではなく,遺言の内容と結果を弁識する能力である
2 公正証書であることは遺言能力を保証しない
3 令和5年改正後の条文構造
4 総論記事との役割分担

第2 レビー小体型認知症の医学的特徴

1 診断基準の構造
2 中核的特徴としての認知の変動
3 変動の実測値は秒単位から分単位である
4 変動するのは注意と覚醒であり,遺言能力の中身ではない
5 視空間認知障害と読み聞かせ・閲覧の限界
6 抗精神病薬に対する重篤な過敏性
7 せん妄との重畳
8 診断バイオマーカーとその精度
9 改訂長谷川式及びMMSEは本症の障害を過小評価する

第3 遺言能力に関する裁判例の判断枠組み

1 医学的判断と法的判断の二層構造
2 認知機能検査の点数の扱い

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相続放棄と生前贈与スキームの限界(AI作成)

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目次

第1 本記事の対象と結論の要旨

1 問題の所在
2 結論の要旨——「相続放棄の脚」と「生前贈与の脚」
3 前提となる制度の骨格

第2 相続放棄それ自体は債権者に覆されにくい

1 相続放棄は詐害行為取消権の対象とならない
2 相続放棄の効力は登記なくして生ずる
3 遺産分割協議との違い

第3 攻撃はもっぱら生前贈与に向かう

1 詐害行為取消権
2 破産手続における否認権
3 国税徴収法39条の第二次納税義務
4 贈与が完成していないという問題(名義預金)

第4 負担からの解放という目的の限界

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国庫帰属した不動産のその後──相続土地国庫帰属法と民法959条による帰属後の管理・処分の実務(AI作成)

相続又は遺贈により取得した不要な土地を国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度が令和5年4月27日に施行され,制度の利用は年々増えている。もっとも,弁護士が依頼者に助言する際に見落とされがちなのは,土地が国庫に帰属した「その後」に何が起きるのか,という点である。本記事は,不動産が国庫に帰属した後の管理・処分の法的枠組みと実際を整理し,弁護士が手続の選択及び依頼者への説明を行う際の検討事項を示すものである。個別の事案では,土地の物理的状況及び権利関係により結論が異なる。

目次

第1 国庫帰属した不動産をめぐる二つの系統と本記事の射程

1 相続土地国庫帰属法による帰属と民法959条による帰属の区別
2 帰属後はいずれも「普通財産」として管理・処分される

第2 相続土地国庫帰属法により帰属した不動産のその後

1 帰属の時期と管理機関
2 帰属後に残る法的リスク──承認の取消しと損害賠償責任
3 帰属した不動産の管理・処分の実際と評価方法

(1) 売却実績と帰属地の性質
(2) 簡易な評価手法と段階的な価格の見直し

第3 普通財産としての管理・処分の法的枠組み

1 処分の手段と貸付・交換・譲与・信託
2 適正な対価の原則と競争入札・随意契約

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旧民法が適用される相続の相続人の特定 ― 家督相続・遺産相続の区別と新民法附則の経過措置(AI作成)

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目次

第1 旧民法が適用される相続と本記事の射程

1 相続人の特定に適用する法は相続開始時の法である
2 旧民法・応急措置法・新民法の時代区分

第2 旧民法における相続の二本立て

1 家督相続
2 遺産相続
3 二本立ての区別が相続登記に与える影響

第3 昭和22年5月3日以後の相続と現行法附則の経過措置

1 応急措置法期の相続の位置づけ
2 家督相続人が選定されなかった場合の処理
3 応急措置法施行中に開始した相続と分配請求権

第4 家附の継子の相続権

1 嫡出子と同一の権利義務を有するための要件
2 分配請求権と適用除外

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別荘地管理費と不当利得―最高裁令和7年6月30日判決の射程(AI作成)

第1 本判決の事案と判旨
1 事案の概要
2 判旨

第2 本判決の判断枠組み
1 民法703条による受益,損失及び法律上の原因の欠如
2 契約自由の原則と区分所有法の団体的枠組みとの関係

第3 各専門的観点からの検討
1 不動産鑑定の観点――経済的価値と「相当と認められる額」
2 マンション管理の観点――共益費とフリーライダー
3 不動産取引実務の観点――管理契約の承継と重要事項説明
4 土木・造園技術の観点――基盤インフラ維持業務の評価
5 会計・原価計算の観点――損失と原資減少
6 民法・不当利得法の観点――費用利得と契約自由

第4 本判決の射程と限界
1 本判決が前提とした限定的事実
2 従前の裁判例及び学説との関係
3 他の共用管理関係への波及の可否

第5 実務上の検討
1 請求する側の主張立証
2 争う側の反論
3 「相当と認められる額」をめぐる立証
4 依頼者からの事情聴取事項

第6 結論を左右し得る不確実な要素

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相続の法定単純承認(民法921条)の実務――処分・熟慮期間の徒過・背信的行為の要件と主張立証(AI作成)

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目次

第1 法定単純承認の意義と本記事の検討範囲

1 3類型と単純承認の効果
2 実務上の意味と本記事の範囲

第2 相続財産の処分(921条1号)

1 処分に当たるための主観的要件
2 「処分」の範囲と保存行為・短期賃貸借の除外
3 実務上問題となる支出・行為

(1) 葬儀費用・墓石・仏壇の負担
(2) 預貯金の払戻しと相続債務の弁済
(3) 遺産分割協議への関与

第3 熟慮期間の徒過(921条2号)

1 熟慮期間の起算点と繰下げ
2 再転相続における起算点
3 徒過後の錯誤による救済

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負動産としての別荘地―管理費請求・固定資産税・手放す手続の実務(AI作成)

第1 別荘地が「負動産」となる仕組みと本記事の対象
第2 別荘地の管理費をめぐる法律関係
1 管理費を請求する法律構成
ア 管理契約に基づく請求
イ 不当利得に基づく請求
ウ 区分所有法に基づく請求

2 最高裁令和7年6月30日判決
3 リゾートマンションの管理費・修繕積立金
4 更地の別荘地と区分所有法の「団地」規定

第3 別荘の保有に伴う固定資産税
1 別荘は住宅用地特例の対象外である
2 別荘とセカンドハウスの区別
3 別荘等所有税(法定外普通税)

第4 別荘地を手放す手続の選択
1 相続放棄と放棄後の管理責任
2 相続土地国庫帰属制度
3 売却・寄付・有料の引取り
4 譲渡及び相続税務上の留意点

第5 管理不全と空家等対策特別措置法
第6 事情聴取・立証・相手方の反論と判断手順
1 依頼者からの事情聴取事項
2 管理費請求事件の主張・立証と想定される反論
3 手続選択と追加確認を要する事項

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日本の証券会社で米国株式を保有する人の相続と米国連邦遺産税――課税範囲・条約による軽減・配偶者と生前対策(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。
◯「日本の証券会社経由で米国株式を保有していた場合の相続手続(AI作成)」も参照してください。
◯日本に居住する個人が,国内の証券会社の外国株式取引口座を通じて米国株式を保有したまま死亡した場合,日本の相続税だけでなく,米国連邦遺産税(federal estate tax)の適用が問題となる。
米国連邦遺産税は,米国の市民でも居住者でもない者(nonresident alien。以下「NRA」という。)については,米国に所在する財産に限って課される。
そこで,同じ「米国株式に関係する資産」であっても,個別株式,米国籍の上場投資信託(ETF),米国外を設立地とするファンド,米国債,現金のいずれであるかによって,課税範囲が分かれることになる。

本稿は,この課税範囲の判定,日米相続税条約による軽減の内容と限界,並びに配偶者が承継する場合及び生前における対応という,資産設計に関わる論点を扱う。
これに対し,相続人の確定,日本の相続税の納税義務者の判定と「住所」の認定,国外財産の評価と邦貨換算,証券会社における名義書換えの手続,及びIRS移転証明書(Transfer Certificate)制度の具体的な構造については,別稿「日本の証券会社経由で米国株式を保有していた場合の相続手続」で扱っており,本稿ではこれらの手続面には立ち入らない。
検討の対象は,被相続人及び相続人がいずれも日本に住所を有する日本人が,国内の証券会社を通じて米国法人が発行する株式等を保有していた場合とし,米国の証券会社に直接口座がある場合,米国不動産を保有する場合,及び米国の市民権又は居住歴を有する者に固有の論点は扱わない。

目次

第1 米国連邦遺産税の課税範囲

1 課税の基本構造
2 米国株式・ETF・投資信託の所在

(1) 個別株式の所在
(2) ETF・投資信託の所在——米国籍と外国籍の分岐

3 米国所在とされない財産

第2 基礎控除・税率と日米相続税条約による軽減

1 条約を用いない場合の控除と税率
2 条約による統一控除の按分と計算例

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葬儀・火葬の実施(AI作成)

本記事は,人の死亡後に行われる葬儀・火葬・埋葬・改葬をめぐって弁護士が扱う法律問題を,行政法(墓地埋葬法),民法(祭祀財産の承継・費用),社会保障法(生活保護の葬祭扶助)及び公衆衛生(感染症法)の各領域にわたって整理するものである。火葬・埋葬の許可手続,遺骨の帰属と引渡し,葬儀費用の負担,引き取り手のない遺体への対応,散骨などの新しい弔い方を対象とする。個別の宗教的作法や葬祭サービスの内容そのものは扱わないが,葬儀社との契約の当事者,クーリング・オフの可否及び契約をめぐる裁判例は第4の5で扱う。

目次

第1 本記事の対象と火葬・葬儀をめぐる紛争の全体像
第2 火葬・埋葬・改葬の手続と行政上の許可

1 「埋葬」「火葬」「改葬」の定義と火葬までの流れ
2 24時間以内の火葬禁止とその例外
3 改葬の許可と墓地・火葬場の管理者

第3 遺骨と祭祀財産の帰属

1 祭祀財産承継の枠組み(民法897条)
2 遺骨の帰属
3 祭祀承継者の決定基準と家庭裁判所の審判
4 遺骨引渡請求における主張立証と証拠

第4 葬儀費用の負担

1 負担者に関する明文の不存在と考え方の対立
2 名古屋高裁平成24年3月29日判決の考え方
3 香典・葬式費用の先取特権・相続税との関係
4 求償の法律構成と立証・相手方の反論

(続きを読む...)葬儀・火葬の実施(AI作成)

相続発生時のNISA口座の取扱い(AI作成)

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目次

第1 制度の骨格――NISA口座は名義人の死亡でどうなるか

1 NISAが非課税とするのは所得税等であり,相続税は非課税とならないこと
2 名義人の死亡によるNISA口座の廃止と,相続人のNISA口座への引継ぎ不可

第2 所得税の取扱い――みなし譲渡・非課税・取得価額

1 死亡は「払出し事由」であり,死亡日の価額で譲渡があったものとみなされること
2 死亡日までの含み益は非課税,含み損は切り捨てられること
3 相続人の取得価額は死亡日の終値となること――所得税法60条の例外

第3 相続税の取扱い――相続財産としての評価

1 相続財産としての評価方法
2 相続税評価額と所得税の取得価額との相違
3 取得費加算の特例と準確定申告の要否

第4 相続人が複数いる場合――遺産分割の要否と移管

1 上場株式・投資信託受益権は当然分割されないこと
2 移管先口座の選択と現物移管の実務

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証券口座の相続――準共有・遺産分割・移管手続と税務の実務(AI作成)

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目次

第1 証券口座内の資産の法的性質――当然分割か準共有か

1 可分債権の当然分割という原則
2 株式・投資信託受益権・個人向け国債は当然分割されない

(1) 株式
(2) 委託者指図型投資信託受益権及び外国投資信託受益権
(3) 個人向け国債

3 相続開始後に生じた元本償還金・収益分配金
4 共同相続された株式から生じた配当金支払請求権
5 預貯金に関する判例変更と到達点

第2 遺産分割前の権利行使・管理と手続選択

1 準共有物の管理・保存・変更
2 共有株式の議決権行使と権利行使者の指定
3 遺産分割前の単独払戻し(民法909条の2)の射程
4 手続選択の分岐

第3 証券会社における相続手続の実務

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日本の証券会社経由で米国株式を保有していた場合の相続手続(AI作成)

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目次

第1 はじめに

1 問題の所在――四つの法分野が交錯すること
2 本記事の対象と留保

第2 相続人の確定と相続税の納税義務者の判定

1 相続の準拠法
2 相続税の納税義務者の区分と「住所」の認定

(1) 無制限納税義務者と制限納税義務者の分岐
(2) 「住所」の認定が争われた最高裁判決とその考慮要素

第3 米国株式は相続税法上「国外財産」であること

1 財産の所在に関する規定
2 評価と邦貨換算の実務

第4 米国連邦遺産税(非居住外国人課税)の構造

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