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負動産としての別荘地―管理費請求・固定資産税・手放す手続の実務(AI作成)

第1 別荘地が「負動産」となる仕組みと本記事の対象

別荘地は,利用の有無にかかわらず固定資産税と管理費の負担が続き,売却も容易でないことから,相続の場面で承継を敬遠される典型的な資産である。

本記事は,別荘地及びリゾートマンションについて,(1)管理費請求をめぐる法律関係,(2)固定資産税の負担,(3)手放すための手続選択,(4)管理不全と行政法上の規律を,弁護士が相談・受任の場面で用いることを想定して整理する。

個別の事案における結論は,別荘地の開発形態,管理契約の内容,土地の所在地及び用途地域,相続の経過等の具体的事実と証拠によって左右される。

本記事は一般的な論点の整理であり,個別事案の見通しを示すものではない。

第2 別荘地の管理費をめぐる法律関係

1 管理費を請求する法律構成

別荘地の管理会社が土地所有者に管理費相当額を請求する場合,法律構成は所有者と管理会社の関係によって分かれる。

ア 管理契約に基づく請求

所有者が管理会社との間で管理契約を締結している場合は,契約に基づく管理費請求となる。

もっとも,前所有者が締結した管理契約上の地位が譲受人に当然に承継されるかは別問題であり,承継特約の有無及びその効力が問題となる。

イ 不当利得に基づく請求

所有者が管理契約を締結していない場合,管理会社は不当利得(民法703条)による返還を求めることになる。

この構成の可否は長く下級審で判断が分かれていたが,後記のとおり最高裁が判断を示した。

ウ 区分所有法に基づく請求

対象がリゾートマンションのような区分所有建物である場合は,建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)による団体的な費用徴収の仕組みが用いられる。

これに対し,建物のない更地の分譲別荘地では区分所有関係が成立しにくく,不当利得構成に依らざるを得ない場合が生ずる(後記4)。

2 最高裁令和7年6月30日判決

最高裁令和7年6月30日第一小法廷判決(令和5年(受)第2461号・民集79巻4号2131頁)は,多数の土地と道路等の施設から成る分譲別荘地において,管理契約を締結していない土地所有者も,管理費として相当と認められる額の不当利得返還義務を負うとした。

判決は,管理業務が別荘地の基本的な機能と質を確保するために必要であり,別荘地全体を対象として全所有者に利益を及ぼし,一部所有者だけを利益の享受から排除することが困難であるという事実関係を重視した。

もっとも,認められたのは管理会社が定めた金額そのものではなく,「管理費として相当と認められる額」である。

本判決の事案,同日の別事件,判断枠組み,射程及び相当額の立証については,別荘地管理費と不当利得―最高裁令和7年6月30日判決の射程で詳述する。

3 リゾートマンションの管理費・修繕積立金

別荘がリゾートマンションのような区分所有建物である場合は,更地の別荘地と異なり区分所有法が適用される。

区分所有法8条は,管理費等の債権(同法7条1項に規定する債権)について,債務者である区分所有者の特定承継人に対しても行うことができると定めている。

したがって,滞納管理費や修繕積立金は,専有部分を買い受けた者や贈与を受けた者に承継される。もっとも,競売の買受人が同条の特定承継人に含まれるかを正面から判断した最高裁判例は見当たらず,この点は下級審の裁判例の集積による。相続人については,特定承継ではなく包括承継として承継される。

区分所有法7条は,管理費等の債権について区分所有権等の上に先取特権を認め,同条2項によりこれを共益費用の先取特権とみなしている。

関連して,不動産競売手続において同法66条で準用される7条1項の先取特権を有する債権者が配当要求をした場合の消滅時効の中断(改正前民法147条2号の差押えに準ずるもの)について,最高裁判所令和2年9月18日第二小法廷判決(平成31年(受)第310号・民集74巻6号1762頁・判例タイムズ1481号21頁,裁判所ウェブサイト未掲載)は,民事執行法181条1項各号に掲げる文書により先取特権を有することが証明されれば足り,配当等の実施に至ったことを要しないと判断した。

滞納管理費債権の消滅時効については,最高裁判所平成16年4月23日第二小法廷判決(平成14年(受)第248号・民集58巻4号959頁)が,管理費等債権は管理規約に基づいて発生し,その具体的な額は総会の決議によって確定し月ごとに支払われるものであるとして,改正前民法169条の定期給付債権に当たるとした。

改正前民法169条は平成29年法律第44号による改正で削除され,現行法では民法166条1項1号の5年の消滅時効の問題として整理される。もっとも,主観的起算点による5年という結論は実質的に維持されるため,改正後の事案では現行の民法166条に即して構成し直す必要がある。

4 更地の別荘地と区分所有法の「団地」規定

建物のない更地の分譲別荘地に区分所有法の団地関係の規定が及ぶかが問題となる。

区分所有法65条は,一団地内に数棟の建物があり,かつ団地内の土地又は附属施設がそれらの建物の所有者の共有に属する場合に,団地建物所有者の団体が構成されると定めている。

更地の区画が多い別荘地や,道路・上下水道等の施設が管理会社の単独所有となっている別荘地では,これらの要件を満たさず,団地建物所有者の団体は当然には成立しない。

前記の最高裁令和7年6月30日判決が区分所有法に触れず民法703条によって処理したのは,このように団体的な費用徴収の枠組みが及ばない更地の別荘地であったことによるものと理解できる。

もっとも,戸建ての別荘が建ち,道路等が全所有者の共有となっている別荘地であれば団地関係が成立する余地があり,団地の成否は登記簿上の建物の有無及び施設の所有形態によって個別に確認する必要がある。

第3 別荘の保有に伴う固定資産税

1 別荘は住宅用地特例の対象外である

別荘の保有コストが重くなる主たる要因は,固定資産税の住宅用地特例が適用されない点にある。

地方税法349条の3の2は,専ら人の居住の用に供する家屋で政令で定めるものの敷地である住宅用地について,課税標準を価格の3分の1(同条2項の小規模住宅用地は6分の1)とする特例を定めている。

もっとも,地方税法施行令52条の11は,この特例の対象となる家屋から別荘(同令36条2項に規定する別荘)の用に供する部分を除いており,同令36条2項は,別荘を「日常生活の用に供しないものとして総務省令で定める家屋又はその部分のうち専ら保養の用に供するもの」と定めている。

したがって,別荘の敷地は住宅用地特例の対象とならず,課税標準の軽減を受けられない。

同じ規模の土地であっても,住宅用地であれば小規模住宅用地として6分の1に軽減される部分について,別荘ではその軽減が及ばないため,土地部分の固定資産税の負担が大きくなる。都市計画税についても,地方税法702条の3の特例が同法349条の3の2の適用を受ける土地に連動するため,別荘地は都市計画税の軽減も受けられない。

2 別荘とセカンドハウスの区別

特例の対象外となる「別荘」の範囲は,居住の頻度によって画される。

地方税法施行規則7条の2の16は,地方税法施行令36条2項にいう別荘に当たる家屋を,「毎月1日以上の居住(これと同程度の居住を含む。)の用に供する家屋又はその部分以外の家屋又はその部分」と定めている。

すなわち,毎月1日以上居住の用に供する家屋(実務でいうセカンドハウス)は別荘に当たらず,住宅用地特例の対象となる。総務省の通知「地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)」も,週末に居住するための郊外等の家屋や,遠距離通勤者が平日に居住するための職場の近くの家屋等は住宅の範囲に含めるのが適当であるとしている。

もっとも,別荘に当たるには「専ら保養の用に供する」ものであることも要件となるため,居住頻度のみで機械的に判定されるものではない。

依頼者が固定資産税の負担を問題にする場合は,居住実態を確認し,市町村へのセカンドハウスとしての申告により特例の適用を受ける余地がないかを検討することになる。

3 別荘等所有税(法定外普通税)

別荘に対しては,固定資産税とは別に,一部の自治体が法定外普通税を課している。

静岡県熱海市は,地方税法5条3項及び731条に基づく法定外普通税として別荘等所有税を課している。

課税客体は主として保養の用に供する家屋又はその部分等(別荘等),課税標準は別荘等の延面積であり,税率は延面積1平方メートルにつき年額650円である。国及び地方公共団体等は非課税とされている。総務省に提出された同市の協議資料は,この税を,ごみの収集や道路,消防施設の整備等の行政サービスとの受益関係に着目した受益者負担金的な性格を有する税と説明している。

総務省が公表する法定外税の実施状況によれば,別荘の所有に着目して独自に課税している市町村は熱海市のみである。

このため,別荘等所有税は一般化できる負担ではないが,熱海市内の別荘については固定資産税に加えて考慮すべき費用となる。

第4 別荘地を手放す手続の選択

別荘地を手放す手段には,売却,相続放棄,相続土地国庫帰属制度の利用,寄付,有料の引取りがある。

それぞれ要件と効果が異なり,相談の初期に整理して提示する必要がある。

| 手段 | 主な要件・効果 | 主な留意点 |

| — | — | — |

| 売却 | 相手方があれば土地のみを手放せる | 管理費負担・私設インフラが売却の障害となり得る |

| 相続放棄 | 自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月以内・全ての相続財産を放棄 | 放棄時に現に占有する者は保存義務を負う(民法940条) |

| 相続土地国庫帰属 | 相続等で取得した土地のみを国庫に帰属させる | 審査手数料及び負担金を要し,却下・不承認の要件がある |

| 寄付・有料引取り | 自治体等への寄付又は事業者による有料の引取り | 受入れの可否・費用・登記の履行を要確認 |

1 相続放棄と放棄後の管理責任

相続放棄は,自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月以内に家庭裁判所に申述して行う(民法915条1項・938条)。熟慮期間は,利害関係人又は検察官の請求により家庭裁判所が伸長できる。

別荘地のみを選んで放棄することはできず,預貯金等を含む全ての相続財産を放棄することになるため,他に価値のある財産があるかを踏まえて検討する必要がある。

放棄後の管理責任については,民法940条1項が,相続の放棄をした者は,その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは,相続人又は相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間,自己の財産におけるのと同一の注意をもってその財産を保存しなければならないと定めている(令和3年法律第24号による改正後の規定,令和5年4月1日施行)。

改正前は義務の対象と内容が広く定められていたが,現行規定は義務を負う者を「放棄の時に現に占有している者」に限定し,義務の内容を保存に整理した。したがって,遠方にあって占有していない別荘地であれば放棄者は保存義務を負わないが,現に居住又は使用している場合には引渡しまで保存義務が残る。この保存義務は,管理費の支払義務や積極的な維持義務を生じさせるものではない。

2 相続土地国庫帰属制度

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号,令和5年4月27日施行)は,相続又は相続人に対する遺贈により土地を取得した者が,土地の所有権を国庫に帰属させることを申請できる制度を定めている。

相続放棄と異なり,不要な土地のみを選んで手放せる点に利点があるが,審査手数料及び負担金を要し,一定の土地は申請できず,又は承認されない。

建物のある土地や,担保権若しくは使用収益権が設定されている土地,境界が明らかでない土地等は却下の要件に当たり(同法2条3項),一定の勾配・高さの崖がある土地や,管理・処分に過分の費用・労力を要する土地等は不承認の要件に当たる(同法5条1項)。

別荘地は,境界の不明,崖地,私道の共有等により,これらの要件に触れやすい類型であるため,申請前に事前相談で見通しを確認することが実務上重要である。

負担金は,原則として土地1筆当たり20万円であるが,市街化区域内の宅地等については面積に応じて算定され,これを超えることがある。

別荘地は市街化区域外に所在することが多く,その場合は面積按分の例外に当たらず原則額によることになるが,最終的な負担金の額は土地の所在地及び区分に即して確認する必要がある。

3 売却・寄付・有料の引取り

売却は,価格が低くても隣接地所有者の買い増しや資材置場等の需要が見込まれる場合があり,まず検討すべき手段である。

もっとも,管理費の負担や私設の道路・水道等の維持が売却の障害となることが多い。

自治体や公益法人への寄付は,管理コストの負担を伴う土地については受け入れられないことが多い。

近年は,所有者が事業者に金銭(引取料)を支払って引き取ってもらう有料の引取りも行われているが,事業者の中には宅地建物取引業の免許を有しない者もあり,金銭の支払と所有権移転登記の履行の順序等を確認する必要がある。手段の比較に当たっては,宅地建物取引業者への売却の相談を含めて検討することが有用である。

4 譲渡及び相続税務上の留意点

別荘を手放す場面では,所得税及び相続税の取扱いにも留意を要する。

別荘は,所得税法上,生活に通常必要でない資産に当たる(所得税法62条,同法施行令178条1項2号)。

このため,別荘を売却して譲渡損失が生じても,その損失は生じなかったものとみなされ(所得税法69条2項,同法施行令200条),給与所得等の他の所得と損益通算することはできない。取得費が不明な場合は,収入金額の100分の5を概算取得費とすることができ(租税特別措置法31条の4),この取扱いは通達により昭和28年1月1日以後に取得した資産にも準用されている。

通常の個人間の生前贈与又は低額譲渡では,譲渡人に所得税法59条1項のみなし譲渡課税は原則として生じない。ただし,同項は法人に対する贈与等だけでなく,限定承認に係る相続等も対象とする。譲受人側では,無償贈与についての贈与税(相続税法21条の2)と,著しく低い価額の対価による譲受けについて同法7条により時価と対価との差額を贈与とみなす取扱いとを区別する。

もっとも,時価がほとんど付かない土地では贈与により取得したとみなされる利益も観念しにくく,適用の有無は個別に検討することになる。手放すために支払う国庫帰属の負担金や引取料は,資産の譲渡のために直接要した費用又は譲渡価額を増加させる費用のいずれにも当たらないため(所得税基本通達33-7参照),譲渡費用として控除することは困難と考えられる。この点について国税庁が公表した取扱いは確認できないため,具体的な事案では税務署への照会等を検討することになる。

相続税の評価においては,別荘地は原則として通常の宅地評価によるが,地積規模の大きな宅地の評価(財産評価基本通達20-2),無道路地の評価(同20-3),がけ地等を有する宅地の評価(同20-5)等の減価補正が及ぶ場合がある。

もっとも,利用又は売却が困難であることだけで評価額が零になるわけではなく,利用も売却も困難な土地に相続税評価額が付くという状態が生じ得る。

第5 管理不全と空家等対策特別措置法

別荘が使用されなくなった場合には,空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空家法」という。)の規律が問題となる。

空家法2条1項は,空家等を,建築物等であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地と定義している。

別荘としての使用も「その他の使用」に含まれるため,季節ごとに使用され電気・水道等が使用可能な状態にある別荘は,直ちに空家等には当たらない。総務省及び国土交通省が定めた基本指針は,居住その他の使用がなされていないことが常態であるとは建築物等が長期間にわたって使用されていない状態をいい,概ね年間を通して使用実績がないことが一つの基準となると考えられるとしている。したがって,相続後に誰も使用しなくなり,概ね年間を通して使用実績のない状態が続けば,別荘であっても空家等に該当し得る。

令和5年法律第50号(令和5年12月13日施行)による改正により,特定空家等に至る前段階として管理不全空家等の類型が設けられた。

空家法13条は,そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にある空家等(管理不全空家等)について,市町村長が指導及び勧告をすることができると定めている。特定空家等については,同法22条が助言・指導,勧告,命令及び行政代執行等の措置を定めている。管理不全空家等又は特定空家等として勧告を受けると,固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなるため,放置による負担がさらに増すことになる。

もっとも,別荘・保養所が特定空家等又は管理不全空家等と認定された件数を用途別に示す統計は公表されておらず,別荘に固有の運用状況を数値で把握することは現状では困難である。

第6 事情聴取・立証・相手方の反論と判断手順

1 依頼者からの事情聴取事項

別荘地に関する相談では,手続選択と見通しを検討するため,次の事項を確認する。

① 取得の経緯(相続・贈与・売買の別,取得時期,自己のために相続の開始があったことを知った時期)

② 土地の所在地,用途地域及び都市計画区域の別,地目,面積,境界の確定状況

③ 建物の有無,別荘地内の道路・上下水道等の施設の所有形態(管理会社の単独所有か所有者の共有か)

④ 管理会社との管理契約の有無及び内容,管理費の額と滞納の有無・期間

⑤ 固定資産税・都市計画税の課税状況,別荘としての課税かセカンドハウスとしての課税か,居住の頻度

⑥ 他の相続財産の有無及び内容(相続放棄の可否の判断に必要)

⑦ 抵当権等の登記の有無,土壌汚染・崖地・残置物等の状況(国庫帰属の要件に関係する)

2 管理費請求事件の主張・立証と想定される反論

管理会社から管理費相当額の不当利得返還請求を受けた所有者側の事件では,前記の最高裁令和7年6月30日判決の射程を踏まえて主張・立証を検討する。

管理会社側は,別荘地が一体的に開発された大規模な別荘地であること,管理業務の内容が基盤的で不可分であること,管理業務が全所有者に利益を及ぼし一部の者のみを排除することが困難であること,管理費によって費用を賄うことが予定されていることを主張・立証することになる。

これらは,管理規約,管理業務の内容を示す資料,別荘地の区画図及び施設の状況等によって裏付けられる。

所有者側の反論としては,管理業務の内容が限定的で基盤的とはいえないこと,当該所有者が別荘地としての利益を受けているとはいえない具体的事情があること,請求されている管理費の額が管理業務の内容に照らして相当額を超えることが考えられる。

もっとも,土地を利用していないことや管理業務の提供を望んでいなかったことは,本判決の判断枠組みの下では返還義務を否定する理由にならないため,これらを中心に据える主張は採用されにくい。相当額を争う場合は,管理業務の内容と費用の対応関係を具体的に検討する必要がある。

3 手続選択と追加確認を要する事項

手放すことを目的とする相談では,まず売却の可能性を当たり,これが困難な場合に相続放棄と相続土地国庫帰属制度を比較して提示する。

熟慮期間の起算点及び期間伸長の有無を確認し,相続放棄を選択できない場合には,国庫帰属制度又は売却等を軸に検討する。

次の事項は,結論を左右し得るため,一般論では処理せず個別に確認する必要がある。

① 別荘地の団地関係の成否(建物の有無及び施設の所有形態を登記簿等で確認する)

② 管理費請求の相当額(管理業務の内容と費用の対応関係を管理規約及び業務資料で確認する)

③ 固定資産税の課税区分(別荘かセカンドハウスかを課税明細及び居住実態で確認する)

④ 国庫帰属の負担金の額と却下・不承認の要件該当性(土地の所在地・区分及び現況を確認する)

⑤ 手放す場面の税務(譲渡損失の取扱い,みなし贈与の有無,負担金・引取料の取扱いは,必要に応じて税務署への照会を検討する)

いずれの手続を選択する場合も,別荘地の開発形態,管理契約の内容及び土地の現況という具体的事実によって結論が異なるため,一般的な整理をそのまま個別事案に当てはめることはできない。

第7 関連記事

最高裁令和7年6月30日判決の判断枠組み,「相当と認められる額」及び請求・防御の立証については,別荘地管理費と不当利得―最高裁令和7年6月30日判決の射程を参照されたい。

宅地建物取引業者による媒介,重要事項説明及び不動産取引の記事全体については,宅建業法・不動産取引の実務ガイドを参照されたい。

第8 出典

1 法令

① 民法(703条・704条=不当利得,915条1項・940条=相続放棄と放棄後の保存義務,166条=消滅時効)。条文はe-Gov法令検索により確認した。

② 建物の区分所有等に関する法律(7条=先取特権,8条=特定承継人の責任,65条=団地建物所有者の団体,66条=準用)

③ 地方税法(349条の3の2=住宅用地の課税標準の特例,702条の3=都市計画税の特例,5条3項・731条=法定外普通税),地方税法施行令52条の11・36条2項,地方税法施行規則7条の2の16(別荘の定義)

④ 所得税法(59条=みなし譲渡,62条・69条2項=生活に通常必要でない資産及び損失の取扱い),所得税法施行令178条1項2号・200条,租税特別措置法31条の4(概算取得費)

⑤ 相続税法(7条=低額譲受けによるみなし贈与,21条の2=贈与税の課税価格,22条=財産評価の原則)

⑥ 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(2条3項=却下の要件,5条1項=不承認の要件)

⑦ 空家等対策の推進に関する特別措置法(2条=空家等・特定空家等の定義,13条=管理不全空家等,22条=特定空家等に対する措置。令和5年法律第50号による改正,令和5年12月13日施行)

2 裁判例

① 最高裁判所令和7年6月30日第一小法廷判決(令和5年(受)第2461号・民集79巻4号2131頁)=管理契約を締結していない別荘地所有者の管理費相当額の不当利得返還義務を認めた事例(本記事第2の2)。

② 最高裁判所令和7年6月30日第一小法廷判決(令和6年(受)第1067号)=同日の同旨の判決(本記事第2の2)。

③ 東京高等裁判所令和5年9月21日判決(令和5年(ネ)第1593号・民集79巻4号2149頁)=上記令和5年(受)第2461号の原審。裁判所ウェブサイト未掲載,第一法規D1-Law及び判例秘書で全文確認済み(本記事第2の2)。

④ 東京高等裁判所令和6年2月14日判決(令和5年(ネ)第4957号)=上記令和6年(受)第1067号の原審。裁判所ウェブサイト未掲載,判例秘書で確認済み(本記事第2の2)。

⑤ 最高裁判所平成16年4月23日第二小法廷判決(平成14年(受)第248号・民集58巻4号959頁)=区分所有建物の管理費等債権が改正前民法169条の定期給付債権に当たるとした事例(本記事第2の3)。

⑥ 最高裁判所令和2年9月18日第二小法廷判決(平成31年(受)第310号・民集74巻6号1762頁・判例タイムズ1481号21頁)=区分所有法66条で準用される7条1項の先取特権を有する債権者の配当要求による消滅時効の中断の要件を示した事例。裁判所ウェブサイトの個別ページを確認できなかったため民集により特定し,本文にリンクを設定していない。判例秘書で全文確認済み(本記事第2の3)。

3 行政資料・統計

① 総務省「地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)」(別荘とセカンドハウスの区別に関する取扱い。本記事第3の2)

② 総務省「法定外税の実施状況」(別荘に着目した独自課税が熱海市のみであること,及び別荘等所有税の概要。本記事第3の3)

③ 国税庁の財産評価基本通達(20-2=地積規模の大きな宅地の評価,20-3=無道路地の評価,20-5=がけ地等を有する宅地の評価。本記事第4の4),所得税基本通達33-7(譲渡費用の範囲。本記事第4の4)

④ 総務省及び国土交通省「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」(空家等該当性の判断基準。本記事第5)

⑤ 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」(別荘等の二次的住宅の戸数。本記事第1)