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不法行為

遅延損害金の利率は年3%か年5%か―令和2年4月1日の経過措置,商事法定利率の廃止及び3年ごとの見直し(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論第2 民法の法定利率の仕組み1 令和2年3月31日までは年5%2 令和2年4月1日以後は年3%から始まる変動制3 法務省が公表している各期の法定利率4 令和11年4月1日以後の見通しの考え方第3 遅延損害金の利率は「遅滞の最初の時点」で決まる1 民法419条1項2 改正法の経過措置3 途中で法定利率が変わっても利率は変わらない第4 商事法定利率(年6分)の廃止1 商法514条の削除と整備法4条3項2 無保険車傷害保険金を年6分とした最高裁平成24年4月27日判決3 自賠責保険の被害者請求に係る債務は商行為によって生じた債務ではない第5 場面ごとの当てはめ1 交通事故の加害者に対する損害賠償請求2 自賠責保険の被害者請求3 離婚に伴う慰謝料4 契約上の金銭債務第6 計算例1 元本1,000万円・3年間(1,095日)2 元本1,000万円・500日間第7 請求の趣旨・判決主文での利率の書き方1 最高裁令和4年1月28日判決の主文2 請求の趣旨の記載例第8 約定利率と上限規制1 民法419条1項ただし書2 利息制限法4条3 消費者契約法9条1項2号第9 関連記事第10 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公的資料
第1 本記事の対象と結論

本記事は,金銭債務の遅延損害金に適用される法定利率が年3%になるのか年5%になるのかを,民法404条,419条1項及び民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号。以下「改正法」という。)の附則に沿って整理するものである。
調査基準日は令和8年9月19日である。
条文はe-Gov法令検索で,裁判例は裁判所HPの裁判例検索で,法定利率の一覧は法務省のホームページで確認した。

結論は次のとおりである。
① 遅延損害金の利率は,債務者が遅滞の責任を負った最初の時点の法定利率で決まり,その後に法定利率が変わっても影響を受けない(民法419条1項)。
② 遅滞の責任を負ったのが令和2年3月31日以前であれば年5%,令和2年4月1日以後であれば年3%である(改正法附則17条3項)。
③ 令和2年4月1日以後の法定利率は3年ごとに見直される変動制であるが,令和8年4月1日から令和11年3月31日までの期も年3%であり,令和11年4月1日以後の利率はまだ決まっていない(法務省の公表)。
④ 商事法定利率の年6分(商法514条)は削除されたが,令和2年3月31日以前に遅滞した商行為によって生じた債務には,なお年6分が適用される(民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成29年法律第45号。以下「整備法」という。)4条3項)。
⑤ 交通事故の加害者に対する損害賠償請求では,原則として事故日が令和2年3月31日以前か令和2年4月1日以後かで利率が決まる。
⑥ これに対し,自賠責保険会社に対する被害者請求は,請求後の「必要な期間」が経過するまで遅滞にならないため,令和2年3月31日以前の事故でも年3%となることがある。
⑦ 請求の趣旨や判決主文では,最高裁令和4年1月28日判決の主文と同じく「年3パーセントの割合による金員」と%で表示すればよい。

遅延損害金の起算日,自賠責保険,既払金の充当などの論点は,ハブ記事である遅延損害金に関するメモ書き及び第9の関連記事で扱う。

第2 民法の法定利率の仕組み
1 令和2年3月31日までは年5%

改正前の民法404条は,「利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。」と定めていた(e-Gov法令検索・民法(令和2年3月1日施行時点))。
年5分は年5%と同じ意味である。
改正前の民法419条1項本文は,金銭債務の不履行による損害賠償の額を「法定利率によって定める。」としていたから,遅延損害金の利率も年5%の固定であった。

2 令和2年4月1日以後は年3%から始まる変動制

改正法は令和2年4月1日に施行された(最高裁令和4年1月28日判決の理由中にも「改正法の施行日である令和2年4月1日」との記載がある)。
現行の民法404条2項は,「法定利率は、年三パーセントとする。」と定める。
同条3項は,「前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする。」と定める。

(1) 基準割合と1%未満の切捨て

各期の法定利率は,法定利率に変動があった直近の期(直近変動期)の基準割合と当期の基準割合との差を,直近変動期の法定利率に加算し,又は減算して決まる(民法404条4項)。
その差に「一パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。」とされているから,基準割合が1%以上動かない限り,法定利率は変わらない。
基準割合は,各期の初日の属する年の6年前の年の1月から前々年の12月までの60か月の短期貸付けの平均利率の合計を60で除した割合(0.1%未満切捨て)として,法務大臣が告示する(同条5項)。

(2) 最初の変動までの読替え

法定利率に初めて変動があるまでは,「直近変動期」は改正法の施行後最初の期(令和2年4月1日から令和5年3月31日までの期)と,「直近変動期における法定利率」は「年三パーセント」と読み替えられる(改正法附則15条2項)。
そのため,現時点では,第一期の基準割合と各期の基準割合との差が1%以上になるかどうかで変動の有無が決まる。

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詐欺で送金してしまった直後の対応―組戻し・口座凍結・被害回復分配金・銀行補償の違い(AI作成)

目次第1 最初にすることと,このページの対象第2 四つの手続は,目的も支払原資も異なる第3 本人が振り込んだ場合と,無断送金された場合1 操作した人と,だまされた経緯を分ける2 被害拡大の防止と,証拠の保全を両立させる第4 被害回復分配金の申請と期間1 銀行補償ではなく,残存資金からの分配である2 二つの公告期間を混同しない3 資料不足でも,先に相談する第5 「権利行使の届出」を初動の定型書式にしない第6 連絡後に残す確認表第7 出典
第1 最初にすることと,このページの対象

詐欺を疑う送金をしてしまった場合は,送金元の金融機関,振込先の金融機関及び警察へ速やかに連絡する。
銀行補償の対象かどうかの判断や,資料一式がそろうのを待つ必要はない。
本記事は令和8年9月15日時点の公表資料を基に,日本国内の預金口座等への振込みを中心として,初動と回収手段の違いを整理するものである。

①送金元には,振込処理の状況,組戻しの可否,不正アクセスが疑われる場合の利用停止を確認する。
②振込先には,詐欺被害である旨と対象振込みを伝え,口座の取引停止等及び被害申告の方法を確認する。
③警察には被害を相談し,受理番号等を案内された場合は記録する。
各窓口で伝えた日時,担当部署,回答及び次の手続を残し,一つの窓口への連絡が他の申請まで済ませたことになるとは考えない。

連絡先は相手から届いたメッセージ内のリンクではなく,金融機関の公式サイトや手元の契約書類で確認する。
「返金に必要な税金・保証金」などの名目による追加送金には応じず,既に行った送金と分けて相談する。
金融庁も,被害時には警察と振込先金融機関への連絡を案内している。
出典:金融庁・振り込め詐欺救済法に基づく被害回復分配金。

第2 四つの手続は,目的も支払原資も異なる

手続
主な目的・相手
誤解しやすい点

組戻し
送金元へ,振込資金の返還手続を依頼する
依頼しただけで振込みが取り消されたり,必ず戻ったりするわけではない

口座の取引停止等
振込先金融機関が,疑わしい口座からの流出等を止める
凍結された残高が,直ちに申告者一人へ返されるわけではない

被害回復分配金
法定手続により,消滅した預金等債権に相当する資金を被害者へ分配する
被害全額の補償制度ではなく,残存資金や他の被害者の存在に左右される

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ファイル共有ソフトの不適切な利用による著作権侵害-BitTorrentの自動アップロード,発信者情報開示及び意見照会への対応(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 対象と基準日2 先に確認すべき結論第2 ダウンロードと自動アップロードの法的な違い1 BitTorrent方式で同時に生じ得る送受信2 アップロード側で問題となる公衆送信権3 ダウンロード側で問題となる複製権第3 民事責任,刑事責任及び期間制限1 差止めと損害賠償2 刑事責任3 損害賠償請求権の消滅時効第4 発信者情報開示と意見照会1 開示要件と手続2 意見照会書の意味3 不同意回答だけでは開示を止めない第5 裁判例が示す判断の分岐1 責任の対象と損害期間2 開示で争われる通信と証拠第6 意見照会書を受け取った側の初動1 新たな共有の停止と証拠の保全2 事実関係を時系列で確認する3 回答方針を決める第7 権利者側の立証と調査の停止基準1 最低限そろえるべき証拠の連鎖2 追加調査を止めて判断に移る基準第8 家庭及び事業者の再発防止1 家庭での再発防止2 事業者での再発防止第9 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 所管行政機関の解説・Q&A4 民間協議会のガイドライン及び書式
第1 この記事の対象と結論
1 対象と基準日

本記事は,BitTorrent方式のファイル共有ソフトを利用した後,インターネット接続事業者から発信者情報開示に関する意見照会書を受け取った加入者を主な対象とし,令和8年9月14日現在の法令及び公開裁判例に基づいて説明するものである。
BitTorrentは通信方式であって,その利用自体が直ちに違法となるわけではないが,著作権者の許諾を得ない著作物の取得及び共有には民事上又は刑事上の責任が生じ得る。

2 先に確認すべき結論

BitTorrent方式では,ファイルの断片を他の参加者から受信する一方で,既に受信した断片を他の参加者へ送信できる状態になることがある。
そのため,本人がダウンロードだけをしたつもりでも,ソフトの設定及び稼働状況によっては,著作権法上の複製に加えて,送信可能化又は自動公衆送信が問題となる。

意見照会書を受け取った場合,直ちに同意又は不同意の結論だけを返すのではなく,対象作品,日時,IPアドレス,ポート番号,ファイルの識別情報,契約者と実際の利用者との関係及び端末の状態を確認する必要がある。
単に開示に同意しないと回答しても,法律上の開示要件が満たされると裁判所が判断すれば,発信者情報が開示されることがある。

第2 ダウンロードと自動アップロードの法的な違い
1 BitTorrent方式で同時に生じ得る送受信

BitTorrent方式では,一つの完成ファイルを単一の送信元から受け取るのではなく,複数の参加者間で分割されたデータを交換して完成させる仕組みが一般的である。
利用者の端末が受信済みのデータを他の参加者へ送信できる状態に置かれれば,受信行為と送信側の行為を分けて検討しなければならない。

もっとも,ソフトの名称,インストール歴又はインターネット契約者であるという事実だけで,特定作品についての送信可能化及び自動公衆送信が当然に証明されるものではない。
問題となる作品の同一性,観測された通信の内容,観測日時,IPアドレスと契約者の対応,利用端末及び実際の利用者を証拠に即して確認する必要がある。

2 アップロード側で問題となる公衆送信権

著作権法23条は,著作者がその著作物について公衆送信を行う権利を専有し,自動公衆送信の場合には送信可能化を含むものとしている。
著作権者の許諾なく作品のデータを不特定又は多数の参加者が取得できる状態に置き,実際に他の参加者へ送信した場合には,この権利の侵害が問題となる。

家庭内で見るために取得したという目的は,アップロード側の公衆送信を当然に適法化するものではない。
私的使用のための複製に関する例外と,不特定又は多数の者に向けた送信に関する権利は,分けて判断する必要がある。

3 ダウンロード側で問題となる複製権

著作権法21条は複製権を定め,同法30条1項本文は個人的又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲で使用するための複製を一定範囲で認めている。
しかし,同項3号及び4号は,違法に自動公衆送信された録音又は録画をその事実を知りながらデジタル方式で複製する場合や,それ以外の著作物について違法な自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の複製をその事実を知りながら行う場合を,私的使用の例外から除外している。

録音又は録画以外の著作物については,著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合や,軽微な部分の複製に関する除外も定められているため,著作物の種類,取得部分及び認識を確認する必要がある。
文化庁の令和2年改正著作権法Q&Aも,違法にアップロードされたことを知らないダウンロード等まで一律に規制するものではないと説明している。

第3 民事責任,刑事責任及び期間制限
1 差止めと損害賠償

著作権者は,著作権法112条に基づき,侵害の停止若しくは予防又はそのために必要な措置を請求できる場合がある。
また,故意又は過失によって権利を侵害し損害を生じさせた場合には,民法709条に基づく損害賠償責任が問題となり,損害額については著作権法114条の算定規定及び同法114条の5の相当な損害額の認定に関する規定が適用され得る。

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SNS・マッチングアプリで知り合った相手との紛争と証拠保全―メッセージ・プロフィール・決済履歴を消す前に(AI作成)

第1 結論とこの記事の対象第2 消える前に保存する資料1 アカウントとプロフィール2 メッセージの前後関係3 送金・決済と現実の行動第3 削除・ブロック・機種変更より先にすること1 LINEで先に保存するもの2 Tinderで先に保存するもの3 事業者の保有と開示を同一視しない第4 スクリーンショットの証拠評価1 証拠として出せるかと信用できるかは別である2 表示・書出し・受信ファイルを区別する3 ハッシュ値が証明する範囲4 改変可能性と具体的な改変を区別する5 アカウントと投稿者の同一性第5 交際中の金銭移動を法的に分類する1 貸金か贈与か2 投資詐欺と不当利得3 独身表示と貞操権侵害4 被害事実の公開は別の紛争を生み得る第6 適法な取得と安全の確保第7 弁護士相談に持参する資料第8 裁判所へ提出するときの整理第9 関連記事第10 出典・参考資料1 法令・裁判所資料2 サービス提供者の公式資料3 判例・文献の確認範囲

第1 結論とこの記事の対象

SNS,マッチングアプリ又はメッセージアプリを介した交際で,貸金,贈与,立替金,投資勧誘,不貞又は婚姻意思をめぐる紛争が生じた場合,最初にすることは,相手を論破することではなく,自分が適法に閲覧できる資料を消える前の状態で保存することである。
プロフィールの一画面又は問題発言だけではなく,アカウントの特定資料,やり取りの前後関係,送金・決済履歴及び現実の行動を同じ時系列に置く必要がある。

この記事は,令和8年9月14日現在の法令及び公表資料を基準として,民事紛争に備える最小限の証拠保全を扱う。
サービスの保存・書出し機能は変更され得るため,実行時には各サービスの最新の公式ヘルプを確認する必要がある。

後記第10のとおり,裁判所ウェブサイトの有界検索に加え,判例秘書の認証済み環境で判決本文を確認した。
スクリーンショットの真正,アカウントと投稿者の同一性,マッチングアプリを介した貸金・贈与,不当利得,投資詐欺及び貞操権侵害について参考となる下級審裁判例があるため,本記事では各裁判例の具体的事情と射程を区別して紹介する。

第2 消える前に保存する資料
1 アカウントとプロフィール

まず,①サービス名,②表示名,③ユーザーID,④プロフィールURL,⑤登録電話番号又はメールアドレスのうち自分に表示されるもの,⑥プロフィール全文,⑦写真,⑧認証済み表示その他のバッジ,⑨表示した日時を保存する。
表示名と写真だけでは,同名の別人,名称変更又はなりすましとの区別が難しいためである。

プロフィールは,一部分だけを切り取らず,サービス名,画面遷移又はURLが分かる画面から問題部分まで連続して撮影する。
長い画面は複数枚に分け,重複部分を残して順序が分かるようにする。

2 メッセージの前後関係

メッセージは,問題となる一文だけでなく,①当事者名又はアカウント,②日付と時刻,③直前と直後の発言,④引用・返信関係,⑤編集又は削除の表示,⑥既読表示の有無が分かる範囲を保存する。
「返す」「あげる」「預かる」といった短い表現の意味は,その前後にある目的,期限,条件及び相手の応答によって変わり得る。

可能であれば,画面のスクリーンショットに加え,サービスの公式機能によるテキスト又はデータの書出しも行う。
ただし,書出しデータにプロフィール写真,削除表示,返信関係又は添付ファイルが含まれないことがあるため,書出しだけで十分とは限らない。

写真,動画,音声又は文書を受信した場合は,アプリ上の表示画面と,取得できる受信ファイルを分けて保存する。
ファイル名を整理するために上書き保存又は再圧縮を繰り返す前に,最初に取得したファイルを読み取り専用の保全用複製として残すのが安全である。

3 送金・決済と現実の行動

金銭紛争では,メッセージだけでなく,①銀行振込明細,②クレジットカード又は決済アプリの利用明細,③商品・航空券・宿泊等の注文番号と領収書,④暗号資産を用いた場合の取引所記録及びトランザクション情報,⑤返済又は返金の履歴を保存する。
カード番号,認証コード及び秘密鍵等,立証に不要な秘密情報は他人へ送付してはならない。

対面で会った事実又は婚姻・交際の実態が問題となる場合は,交通,宿泊,カレンダー,写真の撮影日時,家族・知人との交流及び関係者との連絡を時系列に対応させる。
一つの資料だけで結論を出すのではなく,独立した資料が同じ出来事を指すかを確認する。

第3 削除・ブロック・機種変更より先にすること
1 LINEで先に保存するもの

LINEの標準バックアップは,同じOS間の引継ぎに用いる機能であり,保存対象はテキストメッセージだけである。
LYPプレミアムのプレミアムバックアップは,写真,動画,ファイル及びボイスメッセージを含むリアルタイム保存と異なるOS間の引継ぎに対応するが,会員資格を解約すると保存データが削除されると案内されている。

PINコード又はQRコードを用いる引継ぎで復元できるのは,現行の公式ヘルプ上,直近14日間のトーク履歴である。
また,トーク履歴のテキスト書出しは復元用バックアップではなく,PC版では画面に表示されているトーク履歴だけが保存対象となるため,スクリーンショット,テキスト書出し,画像・動画等の受信ファイル及びバックアップを相互に代用できるものと考えてはならない。

送信取消しと削除は異なり,削除は原則として自分の端末側だけに影響するが,公式ヘルプは,いずれの操作後も元に戻せないと案内している。
LINEアカウントを削除すると全データが削除されて復元できず,アプリのアンインストールだけでもバックアップしていない端末内のトーク履歴を失う可能性があるため,これらの操作より先に必要資料を保存する必要がある。

2 Tinderで先に保存するもの

Tinderでは,個々のメッセージだけを削除することはできず,マッチを解除すると双方のマッチリストから相手と会話が消え,元に戻すことはできない。
マッチが突然消えた画面は,相手がマッチを解除した場合とアカウントを削除した場合のいずれでも生じ得るため,その画面だけから原因を断定してはならない。

個人データのダウンロード機能は,そのアカウントで利用した範囲のメールアドレス,電話番号,プロフィール写真,メッセージ及び設定等を対象とし,申請後に送られるダウンロードリンクは24時間で無効となる。
アカウント削除後はダウンロードできないため,プロフィール及び会話の画面保存と公式データの申請を先に行うべきである。

ID認証又は写真認証のバッジは,対象機能の範囲で身分証明書,プロフィール写真及び実在人物の対応を示す一事情にはなるが,公式ヘルプも身分証明書の真正又は利用者の安全を完全に保証するものではないと注意している。
バッジだけで法律上の氏名,独身であること,説明内容の真実性又は取引の安全性まで立証できるものではない。

3 事業者の保有と開示を同一視しない

令和8年3月31日適用のTinderプライバシーポリシーは,アカウント閉鎖後の安全保持期間とデータの種類に応じた個別の保持期間に加え,法的に有効な保全要請又は手続に対応するため保持期間を延長する場合に言及している。
もっとも,事業者内にデータが保持されていることと,一般利用者又は民事事件の当事者が実際に開示を受けられることは別問題である。

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スキャン代行は著作権侵害になるか-自炊代行訴訟の確定判決と,許諾なしにできる範囲(AI作成)

第1 この記事の対象と結論1 対象と調査の基準日2 結論3 三つの類型を分けて考える第2 自炊代行訴訟で何が判断されたか1 三つの判決と確定までの経過2 東京地方裁判所平成25年9月30日判決(1) 事業の内容(2) 訴訟前の経緯(3) 複製の主体についての判断(4) 複製物の数は増えていないという主張(5) 結論3 東京地方裁判所平成25年10月30日判決4 知的財産高等裁判所平成26年10月22日判決(1) 判断の枠組みが第一審と異なる(2) 著作権法30条1項の趣旨についての判示(3) 控訴人の主張が排斥された理由(4) 裁判体と判決要旨の誤記5 第一審と控訴審で理由づけが異なる意味第3 誰が責任を負い,何を請求されるか1 差止めの主文は作品を特定したもの2 損害は弁護士費用相当額である3 代表者個人も責任を負う4 刑事責任と親告罪5 依頼した側はどうなるか6 期間制限第4 許諾なしにできる範囲1 自分でスキャンする2 仕事のための複製と他の権利制限3 そもそも著作物でない書類4 保護期間が満了した著作物5 図書館等における複製6 店舗設置型と著作権法30条1項1号7 著作権者の許諾を得る第5 実務上の確認手順1 書籍の電子化を業者に頼みたいという相談を受けたとき2 事務書類の電子化を外注するとき3 利用規約では回避できない第6 残る論点第7 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 所管行政機関の資料4 審議会に提出された関係団体の意見
第1 この記事の対象と結論
1 対象と調査の基準日

この記事は,紙の書籍又は書類を第三者の事業者に預けてスキャンさせ,電子ファイルを受け取る行為(スキャン代行)について,日本の著作権法上どのような評価を受けるかを扱う。
調査の基準日は令和8年9月7日であり,法令の条文は同日現在のe-Gov法令検索で確認した現行条文による。
裁判例は,同日に裁判所ウェブサイトで実在及び全文を確認したものを用いる。
電子帳簿保存法上のスキャナ保存の要件,個人情報保護法上の委託先監督義務及び秘密保持契約上の問題は扱わない。
生成AIの学習のための複製(著作権法30条の4)は主題としないが,第6で,書籍の裁断・スキャンがAI学習の目的で行われる場合との違いに触れる。

2 結論

書籍のスキャン代行は,著作権者の許諾がなければ複製権(著作権法21条)の侵害となる。
これは,東京地方裁判所平成25年9月30日判決,東京地方裁判所平成25年10月30日判決及び知的財産高等裁判所平成26年10月22日判決が一致して判断したところであり,控訴審判決は上告受理申立てが不受理となって確定している。

依頼者が私的使用の目的であっても,この結論は変わらない。
私的使用のための複製を認める著作権法30条1項は,①個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とすること,及び②その使用する者が複製すること,という二つを要件とする。
スキャン代行では複製の主体が事業者であるところ,事業者は営利目的で不特定多数の顧客へ納品するために複製しているから①を欠き,電子ファイルを私的に使用するのは依頼者であって事業者ではないから②も欠く。

自炊代行訴訟が直接判断したのは,利用者の所有する書籍を事業者が裁断・スキャンして電子ファイルを納品する商業サービスであり,許諾なしにできる利用一般を網羅したものではない。
本記事で扱う主要な例としては,自分で私的使用のためにスキャンする場合,対象がそもそも著作物でない場合,保護期間が満了している場合及び著作権法31条の要件を満たす図書館等の複製がある。
仕事のための複製は私的使用に当たらないが,そのことから直ちに常に許諾が必要になるのではなく,対象と利用目的に応じて,他の権利制限,利用規約又は個別許諾を確認する必要がある。

3 三つの類型を分けて考える

「スキャン代行」という同じ語で呼ばれるサービスには,法的な検討事項が異なる三つの類型が含まれている。
同じ語が,書籍の電子化を指して使われることも,事務書類の電子化を指して使われることもある。
どの類型の話をしているのかを最初に確定しないと,判決の射程を誤ることになる。

第一は,利用者が所有する書籍を業者へ送り,業者が裁断してスキャンし電子ファイルを納品する類型であり,いわゆる自炊代行である。
判決が集積しているのはこの類型であって,本記事の第2及び第3は主にこれを扱う。

第二は,企業が保有する契約書,請求書,図面,カルテ等の事務書類を業者へ委託して電子化する類型である。
対象文書に著作物性がなければ著作権法上の問題は生じないが,購読している新聞,購入した書籍,学術論文,規格票等が混在すると別の評価になる。

第三は,店舗に裁断機とスキャナーを設置し,客が自ら作業する類型である。
この類型を直接扱った裁判例は,裁判所ウェブサイトで確認した範囲では見当たらないが,第4の6で述べるとおり別の条文上の論点がある。

上記三類型とは別に,利用者の端末で動くソフトを提供する場合には,誰が対象を選び,画像取得・OCR・PDF保存等の工程を実行・管理するのかを確認する必要がある。
ソフトの販売や利用許諾の管理だけで提供者が複製主体となるとは限らず,反対に,利用者がボタンを押すことや端末を所有することだけで提供者の主体性が否定されるわけでもない。
外部OCR,遠隔操作又は完成ファイルの納品がある場合も含め,具体的な仕組みに即して判断する。

(続きを読む...)スキャン代行は著作権侵害になるか-自炊代行訴訟の確定判決と,許諾なしにできる範囲(AI作成)

死後のパブリシティ権は相続・遺言の対象になるか-故人の声・肖像を生成AIで利用する場合(AI作成)

目次

第1 結論1 遺族の同意があれば故人の声をAIで再現できるか2 遺言に書けば声の権利を確実に承継できるか第2 パブリシティ権の法的性質と相続性1 最高裁判決による位置付け2 相続性を否定する裁判例3 譲渡性に関する反対方向の裁判例4 法務省報告書の到達点第3 遺言に書けば承継できるか1 民法896条及び964条2 遺言で分けて記載すべき事項3 生前契約の確認第4 故人の声・肖像を生成AIで利用する場合1 声も検討対象となること2 学習と生成物の利用を分けること3 法務省報告書の生成AI設例第5 死後にも別に問題となる権利1 生前に発生した損害賠償請求権2 遺族固有の敬愛追慕の情3 不正競争防止法4 著作権及び実演家人格権第6 外国法との違い1 カリフォルニア州及びニューヨーク州第7 実務上の三層チェック1 本人意思の層2 権利主体の層3 利用範囲の層第8 出典
第1 結論

日本法上,死後のパブリシティ権が当然に相続され,遺言によって自由に承継先を指定できると確定しているわけではない。
大阪高裁平成29年11月16日判決(平成29年(ネ)第1147号・判時2409号99頁。Ritmix事件)は,パブリシティ権は一身に専属し,譲渡又は相続の対象とならないと述べたが,本人死亡後の利用が直接争われた事案ではない。

他方,譲渡性を一律に否定することは困難であるとした裁判例や,譲渡を受けた会社への損害帰属を認めた裁判例もある。
法務省が令和8年8月7日に公表した検討会報告書も,譲渡性及び相続性について一致した見解を導くことは困難であり,承継される権利の内容,保護期間及び請求権者を解釈だけで定めることには困難があるとしている。

したがって,遺言書に「パブリシティ権を相続させる」と記載するだけで,第三者に対する排他的権利が確実に発生するとはいえない。
もっとも,①著作権,商標権,原盤その他の財産権,②利用許諾料等の金銭債権,③利用許諾契約又は管理契約上の地位,④生前の侵害により発生済みの損害賠償請求権は,パブリシティ権そのものとは分けて,相続及び遺言の対象となるかを検討できる。

生成AIで故人の声又は肖像を利用する場合は,「本人の意思」だけでなく,「どの権利を誰が持つか」及び「契約が当該利用をどこまで許すか」を別々に確認する必要がある。

1 遺族の同意があれば故人の声をAIで再現できるか

遺族の同意だけで,必要な権利処理が全て終わるとはいえない。
パブリシティ権の相続性に見解対立があることに加え,録音・実演・楽曲等の権利の帰属と,生前契約が死後の学習・生成・公開まで許しているかを別に確認する必要がある。
法務省報告書は,故人の声の利用によって遺族固有の敬愛追慕の情が侵害される可能性も検討しており,故人自身の権利の相続とは区別している。

利用計画を作る際は,誰がどの権利を持つかを確認した上で,学習,台本,公開媒体,期間及び死後の承認者を具体化することが考えられる。
契約上の確認事項は,肖像・合成音声のAI利用許諾と制作委託契約(https://yamanaka-bengoshi.jp/2026/10/04/ai-shozo-gosei-onsei-kyodaku-keiyaku/)で整理している。

2 遺言に書けば声の権利を確実に承継できるか

遺言に「声の権利を相続させる」と書くだけで,死後のパブリシティ権の存在,承継の可否,保護期間又は第三者に対する請求権が確定するものではない。
著作権等の財産権,利用料等の債権,契約上の地位及び本人の死後利用に関する希望を分けて記録し,承継できる対象とその条件を確認する必要がある。
具体的な整理は第3を参照されたい。

第2 パブリシティ権の法的性質と相続性
1 最高裁判決による位置付け

最高裁平成24年2月2日第一小法廷判決(平成21年(受)第2056号・民集66巻2号89頁。ピンク・レディー事件)は,パブリシティ権を,肖像等の顧客吸引力を排他的に利用する権利であり,肖像等それ自体の商業的価値に基づく人格権由来の権利の一内容と位置付けた。
同判決は,肖像等を独立した鑑賞商品として使用する場合,商品等の差別化のために付す場合又は広告として使用する場合など,専ら顧客吸引力の利用を目的とする無断使用を不法行為法上違法としたが,譲渡性,相続性又は死後の存続期間は判断していない。

パブリシティ権の一般的な成立要件については,「パブリシティ権の要件と裁判例」で整理している。

2 相続性を否定する裁判例

Ritmix事件は,パブリシティ権について,人格権に由来する権利の一内容であり,一身に専属して譲渡又は相続の対象とならないと述べた。
同時に,同判決は,肖像等の商業的価値を利用する契約まで不合理とはいえないとして利用許諾契約の有効性を認め,現実に市場を独占していた独占的利用許諾先について,警告後も無断利用が継続したことによる固有の損害を認めた。

もっとも,Ritmix事件で直接問題となったのは,外国人マスタートレーナーの画像利用と独占的利用許諾先の損害であり,本人死亡後の相続人による権利行使ではなかった。
そのため,同判決は重要な否定方向の資料であるが,死後のパブリシティ権に関する最高裁判例ではない。

3 譲渡性に関する反対方向の裁判例

(続きを読む...)死後のパブリシティ権は相続・遺言の対象になるか-故人の声・肖像を生成AIで利用する場合(AI作成)

パブリシティ権の要件と裁判例-顧客吸引力,「専ら」要件及び肖像権との違い(AI作成)

目次

第1 結論1 判断の骨格2 本記事の対象第2 パブリシティ権の法的性質と三類型1 人格権に由来する経済的利益2 三類型は典型例であること第3 顧客吸引力の認定1 全国一般の知名度は独立の要件ではないこと2 顧客吸引力を裏付ける資料3 特定分野で知られているだけでは足りない場合第4 「専ら」要件の意味1 他の目的が少しでもあれば侵害が否定されるわけではないこと2 記事又は著作物を補足する利用(1) ピンク・レディー事件(2) 中田英寿事件3 写真又は標識が中心となる利用(1) ENJOY MAX事件(2) Ritmix事件及びエンリケ事件第5 肖像権及びプライバシーとの違い1 保護する利益と成立要件が異なること2 パブリシティ権侵害がなくても別の侵害が成立し得ること第6 主要裁判例の比較第7 救済と権利主体1 損害賠償,差止め及び廃棄2 独占的利用許諾先の損害第8 実務上の確認順序1 利用前に確認する資料2 紛争時の検討順序第9 出典1 法令2 裁判例

第1 結論

1 判断の骨格

パブリシティ権とは,氏名,肖像等が商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合に,その顧客吸引力を排他的に利用する権利であり,人格権に由来する権利の一内容を構成する。
最高裁平成24年2月2日判決は,無断利用が不法行為となる典型例として,①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する場合,②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付す場合,③肖像等を商品等の広告として使用する場合を挙げ,専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合にパブリシティ権を侵害するとした。

したがって,実務上は,①利用された氏名,肖像等から本人を識別できるか,②その本人の肖像等が問題となる需要者層に対して顧客吸引力を有するか,③利用態様が最高裁の三類型又はこれらと同程度に顧客吸引力へ依存するものか,④記事,作品又は批評部分に肖像等とは独立した意味があるか,⑤承諾又は利用許諾の範囲内かを順に確認することになる。

2 本記事の対象

本記事は,令和8年9月6日現在の日本法を対象として,パブリシティ権の成立要件,下級審における具体的な認定,肖像等をみだりに利用されない人格的利益との違い及び主な救済を整理するものである。
故人の権利,声の模倣,生成AIの学習段階,不正競争防止法,商標権及び著作権の詳細は対象外とし,生成AIによる声・肖像の利用については,AIによる声・肖像の無断模倣を参照されたい。

本人死亡後のパブリシティ権,相続及び遺言による承継については,死後のパブリシティ権は相続・遺言の対象になるかを参照されたい。

AI生成の人物画像・動画を法律事務所サイトへ掲載する場合の表示,弁護士広告,守秘及び制作記録については,AI生成画像・動画を法律事務所サイトで使う際の注意点で整理している。

第2 パブリシティ権の法的性質と三類型

1 人格権に由来する経済的利益

最高裁平成24年2月2日判決(平成21年(受)第2056号・民集66巻2号89頁)は,肖像等が商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合があり,この顧客吸引力を排他的に利用する権利がパブリシティ権であるとした。
同判決は,パブリシティ権を人格権に由来する権利の一内容と位置付ける一方,保護対象を肖像等それ自体の商業的価値に着目した利用に限定した。

このため,著名人の氏名又は肖像が無断で使われたという事実だけでは足りず,利用された媒体全体の目的,肖像等の大きさ,配置,回数,説明文との関係及び取引上の役割を検討する必要がある。

2 三類型は典型例であること

(続きを読む...)パブリシティ権の要件と裁判例-顧客吸引力,「専ら」要件及び肖像権との違い(AI作成)

共同不法行為の連帯責任と連帯債務―不真正連帯債務,示談,時効及び求償(AI作成)

第1 この記事の対象と先に示す結論

1 被害者への全額責任と内部負担は別である

2 不真正連帯債務は法律上廃止されたわけではない

第2 一人について生じた事由の効果一覧

第3 一部弁済は共通損害が填補された範囲で他の債務も減らす

1 現実の支払と免除を区別する

2 責任上限が異なると単純な差引計算にならない

第4 一人との示談が他の共同不法行為者へ及ぶ範囲

1 示談では四つの法的効果を分ける

2 残額免除は原則相対効であるが示談意思による例外がある

3 示談書には他の者への請求と求償の扱いを明記する

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不貞の共同不法行為―配偶者と不貞相手の責任・一部弁済・求償(AI作成)

第1 不貞の共同不法行為で区別すべき三つの問題

1 この記事の対象

2 外部責任,一部弁済及び求償は別の問題である

第2 配偶者と不貞相手が責任を負う要件

1 配偶者と不貞相手の責任は別々に判断する

2 不貞相手の故意・過失

3 肉体関係の時点で婚姻関係が既に破綻していた場合

第3 不貞慰謝料と離婚慰謝料の責任範囲

1 不貞慰謝料と離婚慰謝料は同じ請求ではない

2 配偶者と不貞相手の金額が常に同じとは限らない

第4 一部弁済,示談及び免除が他方へ及ぼす効果

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異時共同不法行為とは―複数の交通事故が重なった場合の要件・判例・自賠責(AI作成)

第1 異時共同不法行為の意味と対象範囲

1 異時共同不法行為は民法上の用語ではない

2 同じ部位を負傷しただけでは決まらない

第2 民法719条による共同責任の要件と効果

1 純粋な異時交通事故における検討の順序

2 成立した場合と成立しない場合

第3 裁判所が重視する事情と必要資料

1 判断要素

2 被害者側が早期に確保すべき資料

3 加害者側が損害の区分を主張する場合

4 民事訴訟法248条で埋められない立証の空白

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大規模商業施設のガス爆発事故―初動・証拠保全・法的責任の実務(AIリライト)

目次

第1 ガス爆発事故を検討する順序

1 本記事の対象

2 漏えい・滞留・着火・被害拡大を分ける

3 責任判断の四つの軸

4 郡山飲食店爆発事故判決が示すもの

第2 事故直後の初動

1 救命と二次爆発の防止

2 初動体制と情報の一元化

3 現物と電子記録を同時に保全する

4 負傷者の診療記録

第3 証拠保全と原因立証

1 事故時系列と争点表を先に作る

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医療過誤事件の調査・立証・判例・消滅時効(AIリライト)

目次

第1 この記事の対象と医事関係訴訟の概況

1 この記事の対象
2 集中部と事件数

第2 相談から提訴までの調査

1 患者側の資料収集

(1) 診療録等を早期に確保する
(2) 医療機関外の資料も時系列化する
(3) 診療録は情報源・評価・計画・実施を分けて読む

2 医療側の初動
3 争点は5段階で整理する

第3 医療水準と過失判断

1 結果保証ではなく診療時の医療水準が基準となる
2 医療慣行,ガイドライン及び電子添文
3 協力医,意見書及び鑑定

第4 説明義務,療養指導及び転送義務

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共同不法行為の要件・過失相殺・求償関係(AIリライト)

第1 共同不法行為の全体像1 民法719条の三つの規律2 被害者に対する責任と加害者間の負担第2 民法719条1項前段の共同不法行為1 関連共同性2 順次競合して不可分の損害を生じた場合第3 民法719条1項後段と因果関係不明1 典型的な適用場面2 建設アスベスト訴訟と割合的な連帯責任第4 教唆者及び幇助者の責任1 教唆・幇助の基本2 飲酒運転事故における関係者の責任3 古物商の継続買取りと後続の窃盗第5 共同不法行為における過失相殺1 相対的な過失相殺2 絶対的過失割合による過失相殺3 交通事故と後続医療過誤の計算を比較する第6 一部弁済,保険金及び和解1 一人による一部填補2 自賠責保険金と内部負担3 一人との和解及び債務免除第7 共同不法行為者間の求償1 求償の基本的な考え方2 使用者責任が関係する求償3 支払前後の対応及び消滅時効第8 不真正連帯債務と平成29年民法改正1 一人について生じた事由の効力2 改正後の連帯債務規定との関係第9 関連する損害論及び使用者責任の判例第10 実務上の確認事項第11 関連記事第12 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 文献
第1 共同不法行為の全体像
1 民法719条の三つの規律

民法719条は,①数人が共同の不法行為によって損害を加えた場合(1項前段),②共同行為者のうち誰が損害を加えたかを知ることができない場合(1項後段),③教唆者又は幇助者がいる場合(2項)を定めている。

1項前段と1項後段は,同じ「各自が連帯して」賠償責任を負うという効果を定めているものの,問題となる因果関係の構造が異なる。前段は複数の行為の関連共同性を問題とするのに対し,後段は加害行為者を特定できないことによる因果関係の立証困難を救済する規律である。

2 被害者に対する責任と加害者間の負担

共同不法行為を検討するときは,①被害者が誰にどの範囲の損害を請求できるかという対外的責任と,②共同不法行為者間で最終的に誰がどの割合を負担するかという内部関係を分ける必要がある。

被害者との関係で各加害者が全損害について責任を負う場合でも,加害者間では過失,原因力その他の事情に応じた負担部分が定められ,自己の負担部分を超えて賠償した者に求償が認められることがある。対外的な寄与度減責が否定されることと,内部求償において負担割合を定めることは矛盾しない。

第2 民法719条1項前段の共同不法行為
1 関連共同性

最高裁昭和43年4月23日第三小法廷判決(昭和39年(オ)第902号,民集22巻4号964頁)は,複数人の行為が客観的に関連共同して流水を汚染し,各人の行為がそれぞれ独立に不法行為の要件を備える事案において,各人が相当因果関係にある全損害について責任を負うとした。

したがって,1項前段の「共同」は,共謀その他の主観的な意思連絡がある場合だけに限られない。ただし,複数人が同じ場所又は同じ時期に行動しただけで足りるものではない。各人につき民法709条,715条,718条など該当する責任根拠の要件を確かめた上で,行為相互の関連性,各行為と損害との因果関係及び全損害責任を基礎付ける一体性を具体的に検討する必要がある。

公の道路と民間施設の騒音・排出が重なる事案では,国又は公共団体に対する国家賠償法2条1項の請求と,民間事業者に対する民法709条等の請求を区別する。
前者では営造物の設置・管理の瑕疵を,後者で709条を根拠とするなら故意又は過失等を,それぞれの損害・因果関係とともに検討する。
719条という条文を挙げるだけで,これらの責任根拠固有の要件の検討が不要になるわけではない。

最高裁平成7年7月7日判決(国道43号・損害賠償)は,公の営造物が供用目的に沿って利用されることに伴い,周辺住民に受忍限度を超える被害を与える場合を,国家賠償法2条1項の問題として扱っている(PDF1~2頁)。
このような個別の責任の検討と,昭和43年4月23日判決に示された関連共同性・全損害責任の検討を,請求原因と証拠の整理でも分けて示すことが有用である。

2 順次競合して不可分の損害を生じた場合

最高裁平成13年3月13日第三小法廷判決(平成10年(受)第168号,民集55巻2号328頁)は,交通事故とその後の医療行為が順次競合し,いずれも死亡という不可分の一個の結果との間に相当因果関係がある事案を扱った。同判決は,各不法行為者が全損害について責任を負い,結果に対する寄与割合によって被害者に対する賠償額を案分することはできないとした。

この判例は,独立して成立する複数の不法行為が順次作用した場合にも共同不法行為が成立し得ることを示している。他方,後記の1項後段の典型である「誰か一人の行為が原因であるが,その者を特定できない場合」とは区別する必要がある。

第3 民法719条1項後段と因果関係不明
1 典型的な適用場面

1項後段の典型は,特定された複数人の行為がそれぞれ単独で損害を生じさせ得るものの,実際に誰の行為によって損害が生じたかを被害者が特定できない場合である。この規定により因果関係の立証責任が転換又は緩和され,各行為者は自己の行為が損害を生じさせていないことを主張立証しない限り責任を負うことになる。

これに対し,複数の行為が累積して初めて損害を生じさせた場合,各行為が損害の一部だけに寄与した場合又は特定された者以外にも原因者が存在し得る場合には,条文をそのまま適用できるか,類推適用にとどまるか,責任範囲を全部とするか一部とするかを別に検討しなければならない。

2 建設アスベスト訴訟と割合的な連帯責任

最高裁令和3年5月17日第一小法廷判決(平成30年(受)第1447号,民集75巻5号1359頁)は,1項後段の適用について,被害者が特定した複数の行為者以外に,その損害を単独で生じさせ得る行為をした者が存在しないことを要するとした。

同判決は,この要件を示しただけではない。累積的な石綿粉じん曝露の事案で,被害者ごとに建材が現場へ相当回数到達したこと,対象建材による曝露量が全体の3分の1程度であること等を踏まえ,1項後段を類推適用し,特定された建材メーカーらに損害の3分の1の範囲で連帯責任を認めた。共同不法行為が問題となるからといって,常に全損害について責任が認められるわけではないことを示す重要な判例である。

第4 教唆者及び幇助者の責任
1 教唆・幇助の基本

民法719条2項は,行為者を教唆した者及び幇助した者を共同行為者とみなし,同条1項を適用すると定めている。教唆は不法行為をする意思を生じさせ,又は強める行為を,幇助は不法行為を容易にする物理的又は精神的援助を意味する。

(続きを読む...)共同不法行為の要件・過失相殺・求償関係(AIリライト)

裁判所関係国賠事件

目次
第1 総論
第2 裁判所関係国賠事件の報告について定めた文書
1 事務総局の局長の通達
2 事務総局の局の課長の事務連絡
第3 裁判所関係国賠事件に関する法務省の依頼文
第4 裁判所関係国賠事件に関する裁判例
1 成年後見人に関するもの
2 破産管財人に関するもの
第5 国家賠償請求事件における国の勝訴状況
第6 最高裁判所への報告事務に関する通達(裁判所関係国賠事件以外に関するもの)
第7 予防司法支援制度
第8 公務員の法解釈の誤りが直ちに過失につながるわけではないこと
第9 外部資料の記載
1 弁護士の記載
2 元裁判官の記載
第10 国家賠償法1条2項に基づく求償権行使事例
第11 明治憲法下では,権力作用に基づく国の行為については民法上の不法行為責任は発生しなかったこと
第12 裁判所に対する不当要求等
第13 規制権限の不行使と国家賠償責任
第14 交通死亡事故における病院の過失認定事例
第15 関連記事その他

第1 総論
1 最高裁昭和57年3月12日判決
(1) 最高裁昭和57年3月12日判決は,以下のとおり判示しています(先例として,最高裁昭和43年3月15日判決を引用しています。)。
    裁判官がした争訟の裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によつて是正されるべき瑕疵が存在したとしても、これによつて当然に国家賠償法一条一項の規定にいう違法な行為があつたものとして国の損害賠償責任の問題が生ずるわけのものではなく、右責任が肯定されるためには、当該裁判官が違法又は不当な目的をもつて裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とすると解するのが相当である。
(2) 昭和57年度最高裁判所調査官解説(民事篇)216頁には以下の記載があります。
    どのような場合に右の特別の事情があるということができるかは、今後の事例の集積を待つほかはないが、一般論としていえば、当該手続の性格及び当事者の参画の程度、当該裁判の性質、不服申立制度の有無等に鑑みて、当該裁判所又は裁判官に違法な裁判の是正を専ら上訴又は再審によるべきものとすることが不相当と解されるほどに著しい客観的な行為規範への違反がある場合ということができる。具体的には、法律上関与してはならないとされている事件について裁判したとき、裁判官による誠実な判断とは認められないような不合理な裁判をしたときなどを挙げることができよう。いずれにしても、単なる事実認定の経験則違背や法令の解釈適用の誤りの違法は、もっぱら上訴等によって是正されるべきであって、これを国家賠償法上も違法として損害賠償請求することはできないものというべきである。
2 実務上の問題

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陳述書の作成が違法となる場合に関する裁判例(AIリライト)

目次

第1 陳述書と名誉毀損──原則として不法行為にならない理由

1 訴訟での証言・陳述書が違法にならない仕組み
2 陳述書の作成が違法と評価されるための要件
3 違法性の有無を分ける考慮要素

第2 侮辱・名誉感情の侵害と違法性

1 名誉毀損と名誉感情侵害の違い
2 名誉感情侵害が違法となる基準
3 侮辱罪の法定刑(令和4年改正)

第3 検察官の論告と国家賠償
第4 参考──関連する論点と記事

1 尊属傷害致死をめぐる裁判官の意見
2 相手方の陳述に基づく訴えの変更
3 関連記事

出典

第1 陳述書と名誉毀損──原則として不法行為にならない理由

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