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会社法

取締役が会社に不相当な価格で資産を買わせた場合―会社法423条・429条・株主代表訴訟(AI作成)

目次
第1 最初に分ける三つの請求
第2 不相当価格取引と任務懈怠
第3 会社法423条の会社に対する責任
1 一人会社・総株主同意をどう扱うか
第4 株主代表訴訟
第5 会社法429条の第三者責任
第6 損害と因果関係1 会社損害2 債権者の間接損害3 第三者の直接損害4 株主の損害と株主本人への請求
第7 取締役会承認と経営判断原則
第8 確保すべき証拠
第9 出典・関連記事

第1 最初に分ける三つの請求

代表取締役が,会社にとって必要性の乏しい資産を著しく高い価格で買わせた場合,取締役会の承認や議事録があっても,取締役の責任が当然に否定されるわけではない。

本記事では,会社法423条の会社に対する責任,株主代表訴訟,会社法429条の第三者に対する責任及び損害・因果関係の立証を整理する。

不相当価格の取引では,誰が損害を受け,誰が請求するかを最初に分ける。

①会社が取締役へ請求する会社法423条1項の責任
②株主が会社のために追及する会社法847条の株主代表訴訟
③債権者その他の第三者が取締役へ請求する会社法429条1項の責任

会社の損害と第三者の損害は同じではない。会社が高値で買ったことによる損害額を,そのまま債権者の損害額として請求できるとは限らない。

第2 不相当価格取引と任務懈怠

取引価格が市場価格を上回るだけで直ちに任務懈怠となるわけではない。取締役には経営上の裁量があり,立地,シナジー,希少性,代替取引の有無,取引条件及び取得後の利用計画を含めて判断する必要がある。

他方,次の事情は任務懈怠を基礎付ける方向に働く。

複数の査定・鑑定と比べて著しく高額である。
取得目的が会社の事業ではなく,代表者個人の生活・感情・紛争解決にある。
価格交渉,代替案及び資金繰りへの影響を検討していない。
重要な利害関係又は不利な情報を取締役会へ開示していない。
取得後に会社が利用せず,収益又は事業上の効果もない。

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相続した非公開会社株式の議決権行使―準共有株式・会社法106条・決議取消し・後続決議(AI作成)

被相続人が保有していた非公開会社の株式は,遺産分割が終わるまで共同相続人の準共有となる。相続人の一人が株式全部について単独で議決権を行使しても,会社が認めさえすれば有効になるとは限らない。

本記事では,会社法106条の権利行使者,準共有者間の意思決定,決議取消し及び後続総会が開かれた場合の訴えの利益を整理する。

目次
第1 遺産分割前の株式は準共有となる
第2 会社法106条の権利行使者
第2の2 準共有者の原告適格
第3 会社の同意だけでは足りない
第4 持分価格の過半数で決める
第5 株主総会決議取消し
第6 後続総会と訴えの利益
第7 会社側・相続人側の実務対応
第8 出典・関連記事

第1 遺産分割前の株式は準共有となる

相続人が複数いる場合,相続財産は遺産分割まで共同相続人の共有に属する。株式も同様であり,各相続人が株式数を法定相続分どおりに当然取得するのではなく,一株ごとに準共有する状態になる。

そのため,株主名簿に被相続人の氏名が残っているかだけでなく,相続人の範囲,法定相続分,遺言,遺産分割の有無及び会社への通知を確認する。

第2 会社法106条の権利行使者

会社法106条本文は,株式が二人以上の共有に属するときは,共有者が権利を行使する者一人を定め,会社へその氏名又は名称を通知しなければ,株式についての権利を行使できないと定める。

権利行使者は株式の所有者になる者ではなく,準共有者全体を代表して株主権を行使する者である。会社へ通知した後も,議決権,配当,株主提案その他の権利について,準共有者間の意思決定が問題となる。

準共有者の原告適格は別に確認する

株式の準共有持分を有することと,会社訴訟を提起できる原告適格があることは同じではない。最高裁平成2年12月4日第三小法廷判決(平成元年(オ)第573号・民集44巻9号1165頁)は,旧商法203条2項の権利行使者の指定・通知を欠く共同相続人は,特段の事情がない限り,株主総会決議不存在確認の訴えの原告適格を有しないとした。

同判決は不存在確認訴訟についての判例であり,具体的な訴訟類型と現行会社法の条文を確認する必要がある。それでも,準共有株式をめぐる会社訴訟では,①原告適格,②訴えの利益,③本案の取消事由・無効又は不存在を順に分け,持分保有だけで①を即断しないことが重要である。

第3 会社の同意だけでは足りない

会社法106条ただし書は,会社が同意した場合の例外を置く。しかし,会社が任意に選んだ相続人へ議決権行使を認めれば常に適法になるという規定ではない。

最高裁平成27年2月19日第一小法廷判決(平成25年(受)第650号・民集69巻1号25頁)は,権利行使者の指定・通知を欠く場合,議決権行使が民法の共有に関する規定に従ったものでなければ,会社が同意しても適法にならないとした。

会社側は,出席者が相続人であることだけで受け付けず,遺産分割の有無,権利行使者の指定資料,準共有者の持分及び意思決定方法を確認する必要がある。

会社の同意の効果と,その議決権行使が適法かは分ける。
会社法106条ただし書による同意は本文の指定・通知の規律を外すものであり,民法の共有に関する意思決定まで代替するものではない。
共有者間の意思決定を欠くため議決権行使が不適法となる場合にも,そのことと会社の同意自体が効力を生じないことを同一視しない。

第4 持分価格の過半数で決める

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裁判所の許可を得て株主が招集する株主総会―監査役の差止め,利益供与及び決議取消し(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論
第2 株主が裁判所の許可を得て株主総会を招集するまで
第3 株主が招集者となることの意味
第4 監査役は開催前に差し止められるか
第5 賛成株主への商品券等と利益供与規制
第6 決議取消しの主張をどう組み立てるか
第7 実務で保存・確認する資料
第8 一次資料と確認できていない範囲
第9 出典・参考資料

本記事は,会社が株主総会を招集しない場合等に,株主が裁判所の許可を得て自ら招集する手続と,その総会をめぐる争いを扱う。
会社側が招集する通常の株主総会の全体像は,株主総会とは―開催時期,出席できる人,決議事項,普通決議・特別決議及び手続(AI作成)で説明する。

第1 この記事の対象と結論

取締役が株主総会を招集しないとき,少数株主は,会社法297条4項に基づく裁判所の許可を得て,自ら株主総会を招集できる場合がある。この総会で,招集株主が自らの議案への賛成を条件に商品券その他の利益を約束した場合,開催前の差止めと決議成立後の取消しを分けて検討する必要がある。

結論を先に示すと,①会社法385条は取締役の行為を対象とするため株主の招集行為への直接適用は難しいが,類推適用の可否には両論がある,②会社法120条1項も株式会社が会社又は子会社の計算でする利益供与を直接の対象とするため,招集株主が自費でする供与への直接適用は難しい,③それでも決議方法が著しく不公正であったとして会社法831条1項1号による取消しが認められる余地は別に残る,という三段階の整理になる。

この論点について最高裁判例が結論を確立していると確認できたわけではない。以下では,条文の直接適用,類推適用及び決議取消しという順に,確立した条文要件と未解決の解釈を区別する。

第2 株主が裁判所の許可を得て株主総会を招集するまで

総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は,原則として,取締役に対し,株主総会の目的である事項及び招集の理由を示して,株主総会の招集を請求できる(会社法297条1項)。非公開会社では6か月の保有期間要件が除かれ,定款による要件緩和も確認する必要がある(同条2項)。

招集請求後,遅滞なく招集手続が行われない場合又は請求日から8週間以内の日を開催日とする招集通知が発せられない場合には,請求株主は,裁判所の許可を得て株主総会を招集できる(同条4項)。許可を得たからといって,その後の招集手続,議決権行使の勧誘又は決議方法がすべて適法になるわけではない。

実務では,株主の議決権割合と継続保有期間,定款,取締役への招集請求書と到達日,会社側の対応,裁判所の許可決定及び許可の対象を一組で確認する。

許可の申立てを認容する裁判に対しては,不服を申し立てることができない(会社法874条4号)。また,法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会の部会資料16(令和8年9月30日)は,招集請求の要件を議決権の100分の3以上から100分の5以上に引き上げることを問題提起している。部会資料16の問いは上場会社に限定していない。詳しくは業務執行事項の株主提案の制限と株主総会の招集請求の5%への引上げ―法制審議会部会資料16のA案・B案と第16回会議の議論で扱っている。

第3 株主が招集者となることの意味

通常の株主総会では取締役が招集手続を担うのに対し,会社法297条4項の場合は,裁判所の許可を受けた株主が会社の株主総会を招集する。もっとも,招集株主が会社のために招集権限を与えられたと評価できるとしても,その株主が取締役になるわけではない。

この違いが,会社法385条と120条の直接適用を難しくする。他方,株主総会という会社の意思決定手続を自ら運営する以上,招集株主に手続の適法性と公正を無視する自由があるわけでもない。条文上の主体が異なるという入口を確認した後,制度目的と保護の必要性から類推適用の可否を検討する必要がある。

第4 監査役は開催前に差し止められるか

会社法385条1項は,取締役が会社の目的の範囲外の行為その他法令・定款に違反する行為をし,又はそのおそれがあり,その行為によって会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときに,監査役が取締役に対して行為の差止めを請求できると定める。条文上の対象は「取締役」であるため,招集株主の行為へそのまま直接適用することは難しい。

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株式併合による少数株主の締出し―差止め・決議取消し・買取請求・価格決定(AI作成)

第1 株式併合による締出しの仕組み第2 会社が守るべき手続第3 少数株主の四つの争い方第4 目的・手続・価格を分ける第5 決議方法が著しく不公正とされた裁判例第6 出典・参考資料
第1 株式併合による締出しの仕組み

株式併合は,複数の株式を一株にまとめる手続である。
併合割合を大きく設定し,少数株主の持株を一株未満の端数にすると,その株主は株主の地位を失い,端数処理による代金を受け取ることになる。
公開買付け後のスクイーズ・アウトや非公開会社の株主整理に用いられる。

特別支配株主の株式等売渡請求(会社法179条以下)とは別制度である。
株式併合では株主総会の特別決議が必要であり,少数株主の救済条文も182条の3~5を中心に確認する。

株数の減少後に確認する二つの閾値

株式併合の影響は,株数と配当額の減少だけで終わらない。併合後の議決権割合が法定の閾値をまたぐ場合,少数株主権又は株主間の拒否力が変わる。

閾値確認する効果3%総会招集請求等,3%以上を要件とする少数株主権を失うか。公開会社の保有期間要件その他の個別要件も別に確認する。3分の1他の株主が3分の1を超えることにより,特別決議を阻止できる議決権配置が変わるか。定足数・議決要件と実際の出席状況を区別する。

令和2年度司法試験の具体的数値はこの二つの閾値をまたぐように設定されていた。全案件で同じ効果が生ずるという意味ではなく,併合前後の総議決権数と各株主の議決権を再計算する必要がある。

株式併合と,特別支配株主による株式等売渡請求は,承認する機関や少数株主の救済手続が異なる。
後者の要件,取得日前の価格決定申立て等は,株式等売渡請求とはで説明する。

第2 会社が守るべき手続

会社は,併合割合,効力発生日,効力発生日における発行可能株式総数等を株主総会で定める(会社法180条2項)。
取締役は,株式の併合を決議する株主総会において,株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければならない(同条4項)。
この説明義務は,端数が生じる場合に限られない。
説明した理由が事実に反し,又は締出しという本来の目的を説明しなかった場合は,決議の方法の法令違反(831条1項1号)として取消事由となり得る。
決議は309条2項4号の特別決議による。

会社は,効力発生日の20日前までに株主へ通知又は公告をしなければならない(181条。株式の併合については182条の4第3項により「二週間」が「二十日」に読み替えられる。)。
また,株主総会の日の2週間前の日又は上記の通知・公告の日のいずれか早い日から,効力発生日後6か月を経過する日まで,併合に関する事項を記載した書面等を本店に備え置く(182条の2第1項)。
端数株式は競売等により換価され,代金が持株数に応じて交付される(235条が234条を準用)。

種類株式がある場合の追加確認

種類株式の権利内容が実質的に不利益を受ける場合は,普通株式だけの株式併合と同じ順序で終えない。会社法116条の反対株主による買取請求が成立するかを,182条の4の買取請求と区別して確認する。

種類株主総会について定款で不要とする定めがある場合でも,株式併合が優先配当その他の権利内容を実質的に縮減する特殊な事案では,322条1項1号・3項ただし書の趣旨を類推し,種類株主総会決議の欠缺を182条の3の「法令違反」へ接続する構成があり得る。これは令和2年度問題の事実関係に即した高度な構成であり,一般に322条が当然適用されると断定するものではない。

差止事由は,①決議取消事由を180条2項違反へ接続する構成,②権利濫用,③取締役の善管注意義務違反,④種類株主総会規定の類推適用等を分ける。他方,取消判決がされるまでは取消事由が直ちに法令違反になるわけではないとの反対説もあるため,各構成から差止要件までを独立に説明する。

第3 少数株主の四つの争い方

第1は差止請求である。
株式併合が法令又は定款に違反し,株主が不利益を受けるおそれがあるときは,効力発生前に差止めを請求できる(会社法182条の3)。
決議後に準備していては効力発生日に間に合わないため,招集通知受領時から違反内容と保全の必要性を検討する。

第2は株主総会決議取消し等の訴えである。
招集手続・決議方法の法令定款違反又は著しい不公正などがある場合,原則として決議の日から3か月以内に決議取消しを求める(831条)。
差止請求と決議取消しは,効力発生前後の関係も含めて並行して検討する。

株式併合の効力発生により株主の地位を失った者も,決議が取り消されれば株主の地位を回復する者として,決議取消しの訴えを提起できる(831条1項柱書き後段)。
効力発生日を過ぎたことだけで争う手段がなくなるわけではないが,決議の日から3か月以内という提訴期間は変わらない。

第3は反対株主の株式買取請求である。
反対株主は,①株主総会に先立って反対の旨を通知し,かつ,総会で反対した株主(議決権を行使できる者に限る。)と,②その総会で議決権を行使することができない株主であり,公正な価格での買取りを請求できる(182条の4第1項・第2項)。
基準日の後に相続等で株式を取得して名義書換えをした者が②に当たるかは,条文だけでは決まらないので,個別事案で裁判例を確認する必要がある。
請求期間は効力発生日の20日前から前日までであり,通知・反対・請求の各段階を落とさない。

第4は価格決定の申立てである。
会社と株主の間で効力発生日から30日以内に価格の協議が調わないときは,その後30日以内に裁判所へ価格決定を申し立てることができる(182条の5第2項)。

株式併合それ自体は会社法828条の列挙する会社の組織に関する行為に含まれないため,同条の無効の訴えを当然に選ぶことはできない。まず,①特別利害関係人が議決権を行使したため著しく不当な決議となったとする831条1項3号の取消し,②決議内容の法令違反を理由とする830条2項の無効確認を検討し,③828条の類推適用は補充的な構成として検討する。

決議内容の法令違反をいう場合は,違反する実体法上の根拠として,会社法109条1項の株主平等原則又は民法1条3項の権利濫用等を特定する。特別利害関係人による著しく不当な決議,決議内容の法令違反,決議方法の著しい不公正及び価格の不公正は,対象となる瑕疵と救済が異なるため,一つの「不公正」にまとめない。

831条1項3号の取消しは,①決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことにより決議が成立したことと,②決議が著しく不当であることに分けて主張する。全部取得条項付種類株式を用いた完全子会社化の事案で,東京地裁平成22年9月6日判決(平成21年(ワ)第26121号,判例秘書の判例番号 L06530452)は,この二つの要件が必要であるとし,不当性の要件について,少なくとも,少数株主に交付される予定の金員が対象会社の株式の公正な価格に比して著しく低廉であることを必要とするとした(請求は棄却)。

また,裁判所が違反する事実の重大性と決議への影響を考慮して請求を棄却できる裁量棄却(831条2項)は,招集の手続又は決議の方法が法令又は定款に違反する場合についての規定であり,3号の取消しには適用されない。

合併の承認決議についての同様の争い方と,差止め・株式買取請求・合併無効の訴えとの関係は,吸収合併の合併比率が不公正なときの少数株主の手段で扱っている。

第4 目的・手続・価格を分ける

締出し目的があること,手続が違法又は著しく不公正であること,交付価格が低いことは別の論点である。
少数株主を排除する目的だけから直ちに決議が無効になるとは限らない。
他方,形式上の各手続だけを切り離して適法性を判断できない場合もある。

会社側は,併合の事業上の目的,代替手段,併合割合の理由,価格算定資料,利害関係の処理及び情報提供の経過を記録する。
株主側は,手続違反,議決権行使を困難にした事情,目的の不当性,算定前提及び比較対象取引を分けて主張する。

特定の株主だけを締め出す設計の株式併合もある。
例えば,併合割合を一部の株主だけが1株以上を保有するように定め,端数となった他の株主を,後の株式の分割と自己株式の処分によって株主に戻す計画は,形式上は全ての株式に同じ割合を適用していても,実質的には特定の株主の締出しである。
令和6年司法試験民事系第2問の出題の趣旨(13頁)及び採点実感(16頁)は,公開会社でない株式会社では少数株主の有する利益が株式の金銭的価値に尽きないことから,株式の併合に正当な事業目的を要求するという考え方と,会社法上株式の併合の目的は制限されていないとして,特定の少数株主を締め出すための株式の併合も許容する考え方の双方を示し,いずれの立場でも説得的に論ずることを求めている。
効力発生後に決議の取消しを求める場合の原告適格(会社法831条1項後段),提訴期間及び訴えの利益は株主総会決議の取消しの訴えは誰が起こせるか―株主等,決議で地位を失った株主・役員(会社法831条1項後段),提訴期間及び訴えの利益で,この事例を素材とした答案は令和6年度司法試験民事系第2問の模範解答と評価項目で扱っている。

第5 決議方法が著しく不公正とされた裁判例

東京地裁令和4年11月28日判決(令和2年(ワ)第18534号,判例秘書の判例番号 L07732771)は,代表取締役が,自己単独で特別決議を行えない定款を違法な定足数変更決議によって変更し,その取消訴訟の3か月の提訴期間経過後に株式併合決議を行った事案で,決議方法が著しく不公正であるとして併合決議を取り消した。

東京高裁令和5年9月28日判決(令和4年(ネ)第5998号等,判例秘書の判例番号 L07820568)は原判決を維持した。
各招集通知に議題を記載せず開催直前に発送して,他の株主の出席・議決権行使を事実上困難にしたこと,株主の地位を失わせる重大な結果を具体的に知らせなかったことなど,一連の事情を評価した。

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少数株主が会社の業務と財産を調べる方法―会計帳簿の閲覧,業務検査役,2項調査者,総会検査役と改正案(AI作成)

目次第1 本記事の対象と手段の一覧第2 書類の閲覧から始める1 計算書類等と株主総会議事録2 取締役会議事録と株主名簿3 合併・会社分割等の事前開示書面と株主総会での説明第3 会計帳簿の閲覧謄写(会社法433条)1 議決権又は株式数の3%以上2 請求の理由を具体的に示す3 会社が請求を拒める場合4 会社が応じないとき5 訴訟の途中で持株の割合が3%を下回った場合第4 業務検査役(会社法358条)1 申立ての要件2 選任された後の手続3 申立て後に持株の割合が下がった場合第5 株主総会で選任する調査者(2項調査者)1 制度の仕組み2 同族会社で使う場合の注意第6 総会検査役(会社法306条)1 申立ての要件,時期及び費用2 報告書の使われ方第7 調査の制度に関する改正案1 2項調査者を廃止して業務検査役に置き換える案2 総会検査役の申立権者に取締役・監査役を加える案3 株主総会の招集請求の要件を5%に引き上げるかの問題提起4 改正案の位置付け第8 出典1 法令2 裁判例3 裁判所の案内4 株式会社東芝の公表資料5 法制審議会の資料6 司法試験の資料
第1 本記事の対象と手段の一覧

同族会社などで経営に関与していない株主が,会社の財産が不当に流出していないか,役員の報酬や取引が適正かを確かめたいと考えても,株主が見られる資料は法律で決まっている。
会社法は,株主が会社の業務と財産を調べる手段として,書類の閲覧謄写,会計帳簿の閲覧謄写,裁判所が選任する検査役,株主総会で選任する調査者を用意しているが,手段ごとに,必要な持株の割合,裁判所の関与の有無及び得られる情報が異なる。

本記事は,令和8年9月19日を基準に,会社法の条文と,裁判所ウェブサイト又は判例秘書で確認した裁判例を基に,これらの手段の要件と使い分けを説明する。
あわせて,法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会で検討されている,2項調査者の制度を廃止して裁判所が選任する業務検査役に置き換える案など,調査の制度に関する改正案を紹介する。
改正案は令和8年9月19日時点で事務当局の提案の段階にあり,法律として成立していない。

主な手段は次の表のとおりである。

手段必要な持株裁判所の関与調べられるもの計算書類等の閲覧(442条)1株でよいなし計算書類,事業報告,附属明細書等会計帳簿の閲覧謄写(433条)議決権又は発行済株式の3%以上拒まれたら訴え会計帳簿とこれに関する資料業務検査役(358条)議決権又は発行済株式の3%以上裁判所が選任業務と財産の状況2項調査者(316条2項)総会招集請求に議決権の3%以上なし(総会が選任)業務と財産の状況総会検査役(306条)議決権の1%以上裁判所が選任株主総会の招集手続と決議の方法合併等の事前開示書面の閲覧(782条)1株でよいなし合併契約等の内容,合併対価の相当性に関する事項等
第2 書類の閲覧から始める
1 計算書類等と株主総会議事録

計算書類,事業報告及びこれらの附属明細書は,株主であれば持株の数にかかわらず,会社の営業時間内いつでも閲覧を請求でき,会社の定めた費用を支払えば謄本等の交付も請求できる(会社法442条3項)。
株主総会の議事録も,株主は営業時間内いつでも閲覧又は謄写を請求できる(会社法318条4項)。
これらの請求には,会計帳簿の閲覧のような持株の要件も,請求の理由を明らかにする要件もない。

2 取締役会議事録と株主名簿
(1) 取締役会議事録

取締役会の議事録は,株主がその権利を行使するため必要があるときに閲覧又は謄写を請求できる(会社法371条2項)。
ただし,監査役設置会社,監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社では,裁判所の許可を得なければならず(同条3項),裁判所は,閲覧等により会社等に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは許可をすることができない(同条6項)。

(2) 株主名簿

株主名簿は,請求の理由を明らかにして閲覧又は謄写を請求できる(会社法125条2項)。
他の株主と連絡を取って株主総会の招集請求や議案の提出をするための持株を集めるときは,株主名簿が出発点になる。

3 合併・会社分割等の事前開示書面と株主総会での説明

会社が吸収合併,吸収分割又は株式交換をするときは,消滅株式会社等は,吸収合併契約等備置開始日(承認総会の日の2週間前の日等)から所定の日まで,吸収合併契約等の内容その他法務省令で定める事項を記載した書面等を本店に備え置かなければならない(会社法782条1項・2項)。
株主は,持株の数にかかわらず,営業時間内いつでもその閲覧を請求でき,会社の定めた費用を支払えば謄本又は抄本の交付も請求できる(同条3項)。

吸収合併の消滅会社では,法務省令で定める事項に,合併対価の相当性に関する事項及び合併対価について参考となるべき事項が含まれる(会社法施行規則182条1項1号・2号)。
存続会社と消滅会社が共通支配下関係にあるとき(一方の会社が他方の会社を支配している場合を含む。会社計算規則2条3項36号)は,共通支配下関係にある株主を除く消滅会社の株主の利益を害さないように留意した事項(その事項がないときは,その旨)も記載しなければならない(会社法施行規則182条3項3号)。

株主総会では,取締役等に対し,合併対価の算定根拠等について説明を求めることができる(会社法314条)。
閲覧や説明の請求をしたこと自体で合併の承認決議の効力が左右されるわけではないが,事前開示書面が備え置かれていなかったことや,必要な説明がされなかったことは,後に決議や合併の効力を争う理由になり得る。
合併の条件に不満がある株主が使える差止請求,株式買取請求,決議取消しの訴え及び合併無効の訴えは,吸収合併の合併比率が不公正なときの少数株主の手段で扱っている。

第3 会計帳簿の閲覧謄写(会社法433条)

(続きを読む...)少数株主が会社の業務と財産を調べる方法―会計帳簿の閲覧,業務検査役,2項調査者,総会検査役と改正案(AI作成)

株主総会の書面決議(みなし決議)とは―会社法319条の要件・手順・議事録・登記(AI作成)

目次第1 株主総会の書面決議とは第2 書面決議の要件1 提案をする者2 議決権を行使することができる株主の全員の同意3 書面又は電磁的記録による同意第3 書面決議の効果1 可決の決議があったものとみなされる2 定時株主総会の終結と取締役の任期3 報告事項の省略と計算書類の備置き第4 書面決議の後の手続1 同意書面の備置きと閲覧2 議事録の作成3 登記の添付書面と株主リスト第5 株主全員の同意が得られない場合1 書面決議は成立しない2 招集手続の省略と全員出席総会3 連絡が取れない株主がいる場合第6 取締役会の書面決議との違い第7 議決権の10分の9以上の同意で足りるとする改正案1 部会資料14の提案の内容2 中間試案からの変更点3 改正案の位置付けと注意点第8 よくある質問1 総会の書面決議の例文は2 書面決議の様式は3 書面議決と書面決議の違いは4 取締役会で書面決議をする方法は第9 出典1 法令2 裁判例3 法務省・法務局の資料4 法制審議会の資料

本記事は,会社法319条による株主総会の書面決議(みなし決議)の要件,効果及び成立後の手続を扱う。
提案書,同意書,電子メール及び議事録のひな形は,株主総会の書面決議のひな形―会社法319条の提案書・同意書・議事録と登記(AI作成)で説明する。
通常の定時・臨時株主総会の開催時期,出席資格,普通決議・特別決議及び招集手続は,株主総会とは―開催時期,出席できる人,決議事項,普通決議・特別決議及び手続(AI作成)で説明する。

第1 株主総会の書面決議とは

株主総会の書面決議とは,株主総会を開かずに,株主全員が書面又は電磁的記録(電子メール等)で提案に同意することによって,その提案を可決する株主総会の決議があったものとみなす制度である(会社法319条1項)。
条文の見出しは「株主総会の決議の省略」であり,「みなし決議」とも呼ばれる。
株主が数名の同族会社や,親会社が全株式を持つ子会社では,株主全員の同意を集めやすいから,定時株主総会の計算書類の承認や役員の選任をこの方法で行うことが考えられる。

本記事は,令和8年9月19日を基準に,会社法,会社法施行規則,商業登記法及び商業登記規則の条文,法務省・法務局の公表資料並びに判例秘書で全文を確認した下級審の裁判例を基に,書面決議の要件,効果,決議後の議事録と登記,全員の同意が得られない場合の選択肢を説明する。
あわせて,法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会で検討されている,非上場会社に限って議決権の10分の9以上の同意で足りるとする改正案を紹介する。
改正案は令和8年9月19日時点で事務当局の提案の段階にあり,現行法は株主全員の同意を要する。

第2 書面決議の要件
1 提案をする者

書面決議の出発点は,取締役又は株主が,株主総会の目的である事項について提案をすることである(会社法319条1項)。
株主も提案をすることができるから,株主全員が賛成していれば,株主の側から書面決議を成立させることもできる。

取締役会設置会社で取締役が会社法319条1項の提案をする場合に,事前の取締役会決議を要するかについては見解が分かれる。
手続上の争いを避けるため,提案書を株主へ送る前に,取締役会で決議省略を行うこと及び提案内容を決めておくのが安全である。

2 議決権を行使することができる株主の全員の同意
(1) 同意が必要な株主の範囲

同意が必要なのは,「当該事項について議決権を行使することができるもの」に限った株主の全員である(会社法319条1項括弧書)。
そのため,議決権制限株式しか持たず,その事項について議決権を行使できない株主の同意は要らない。
反対に,議決権を行使できる株主は,保有する株式が1株でも,連絡が取れない状態であっても,同意を得る対象から外れない。

(2) 多数決ではない

書面決議は,普通決議や特別決議の要件(会社法309条1項・2項)を満たせば成立するものではない。
議決権の99%を持つ株主が同意していても,残りの1人が同意しなければ,決議があったものとはみなされない。

(3) 決議の種類を問わない

会社法319条1項は,対象となる事項を限定していない。
計算書類の承認や役員の選任のような普通決議の事項だけでなく,定款変更のような特別決議の事項も,株主全員が同意すれば書面決議で可決できる。

3 書面又は電磁的記録による同意
(1) 口頭の同意では足りない

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支配株主が変わる第三者割当て(会社法206条の2)―株主への通知,反対通知と株主総会,手続違反と新株発行の無効(AI作成)

目次第1 会社法206条の2が適用される場面第2 株主への通知1 通知が必要になる場合2 通知の期限と通知事項3 公告による代替と通知の省略第3 反対通知と株主総会の承認1 10分の1以上の議決権を持つ株主の反対通知2 決議の要件3 株主総会を要しない例外第4 株主総会の招集通知と株主名簿上の住所1 株主名簿上の住所に宛てて発すれば足りる2 新しい住所を知りながら旧住所に送った場合第5 手続に違反した新株発行の効力1 新株発行の無効の訴え2 最高裁が示した無効原因の考え方3 株主総会の承認を経ずにした発行を無効とした裁判例4 通知の欠缺と招集手続の瑕疵第6 株主と会社が確認しておく事項第7 出典1 法令2 裁判例
第1 会社法206条の2が適用される場面

公開会社は,原則として取締役会の決議で募集株式の発行(第三者割当て)をすることができる(会社法201条1項)。
ただし,引受人に特に有利な払込金額で発行する場合は,株主総会の特別決議と,その金額で募集する必要がある理由の説明が必要になる(会社法199条2項・3項,309条2項5号)。
しかし,引受人が株主となった結果,その引受人が総株主の議決権の過半数を持つことになる場合は,会社の支配権が移るため,会社法206条の2の特則が適用される。

特則の中身は,次の3点である。
①払込期日の2週間前までに,株主に引受人の情報などを通知する(同条1項)。
②総株主の議決権の10分の1以上を持つ株主が反対を通知したときは,株主総会の決議で割当ての承認を受ける(同条4項本文)。
③財産の状況が著しく悪化し,事業の継続のため緊急の必要があるときは,株主総会を要しない(同項ただし書)。

本記事は,令和8年9月19日を基準に,会社法と会社法施行規則の条文,新株発行の無効に関する最高裁判例と,206条の2に違反した新株発行を無効とした東京地裁の判決を基に,この手続と,手続に違反した場合に株主が取り得る手段を説明する。
会社法の最高裁判例の全体は会社法等に関する最高裁判例―裁判所HP掲載判例の論点別索引で,会社法の改正経緯は会社法(平成17年法律第86号)の改正経緯で扱っている。

第2 株主への通知
1 通知が必要になる場合

公開会社は,引受人(その子会社等を含む。)が引き受けた募集株式の株主となった場合に有することとなる議決権の数の,引受人全員が株主となった場合における総株主の議決権の数に対する割合が2分の1を超える場合には,株主に通知しなければならない(会社法206条の2第1項)。
この引受人を特定引受人という。
ただし,特定引受人が会社の親会社等である場合と,株主に株式の割当てを受ける権利を与えた場合(株主割当て)は,通知は要らない(同項ただし書)。

2 通知の期限と通知事項

通知は,払込期日(払込期間を定めた場合はその初日)の2週間前までにしなければならない(会社法206条の2第1項)。
通知すべき事項は会社法施行規則42条の2が定めており,次のとおりである。
①特定引受人の氏名又は名称及び住所
②特定引受人が株主となった場合に有することとなる議決権の数
③その募集株式に係る議決権の数
④引受人全員が株主となった場合における総株主の議決権の数
⑤特定引受人への割当てに関する取締役会の判断及びその理由
⑥社外取締役を置く会社で,取締役会の判断が社外取締役の意見と異なる場合はその意見
⑦特定引受人への割当てに関する監査役,監査等委員会又は監査委員会の意見

3 公告による代替と通知の省略

通知は公告をもって代えることができる(会社法206条の2第2項)。
また,払込期日の2週間前までに金融商品取引法に基づく届出をしている場合など,株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合は,通知を要しない(同条3項,会社法施行規則42条の3)。
この通知は,公開会社が取締役会で募集事項を定めたときに株主へ通知又は公告すべき募集事項の通知(会社法201条3項・4項)とは別のものである。

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役員等の第三者責任の消滅時効―旧法の10年,現行法の5年・10年と起算点(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 結論2 本記事の対象と調査基準日第2 最高裁昭和49年12月17日判決1 判示事項と結論2 理由3 大法廷昭和44年11月26日判決との関係第3 現行法の下での時効期間1 民法166条1項の5年・10年2 起算点3 経過措置4 不法行為構成との比較第4 会社に対する責任(会社法423条)の消滅時効1 最高裁平成20年1月28日判決2 現行法第5 遅延損害金との関係第6 関連記事第7 出典・参考資料1 法令2 裁判例
第1 本記事の対象と結論
1 結論

取締役等の役員等が職務を行うについて悪意又は重大な過失があり,それによって第三者に損害を与えた場合の損害賠償責任(会社法429条1項)には,最高裁判例の考え方によれば,不法行為の消滅時効(民法724条の3年)は適用されない。
最高裁昭和49年12月17日判決は,この責任の前身である商法266条の3第1項前段の責任について,消滅時効期間は10年であると判示した。

同判決は,取締役の責任は法が特に認めた責任であって不法行為責任ではないから民法724条は当然には適用されず,類推適用する余地もないとして,債権の一般原則である改正前民法167条1項(10年)を適用した。
令和2年4月1日以後に生じた請求権については,現行民法166条1項が適用され,権利を行使することができることを知った時から5年,権利を行使することができる時から10年のいずれか早い方で時効が完成すると考えられる。

したがって,不法行為構成の3年が経過していても,会社法429条1項の責任は時効にかかっていないことがある。
ただし,現行法の下では「10年」だけでなく「知った時から5年」にも注意する必要がある。

役員等の会社に対する任務懈怠責任(会社法423条1項)についても,最高裁平成20年1月28日判決は,前身の商法266条1項5号の責任の消滅時効期間を商事時効の5年ではなく民法の10年とした。

2 本記事の対象と調査基準日

本記事は,役員等の第三者に対する責任(会社法429条)の消滅時効を中心に,会社に対する責任(会社法423条)の消滅時効と遅延損害金に触れる。
責任の成立要件(悪意・重過失,損害の範囲等)は扱わない。

調査基準日は令和8年9月19日である。
条文はe-Gov法令検索(法令API)で取得した現行条文と照合し,裁判例は裁判所ウェブサイトの裁判例検索で判決全文を確認した。
消滅時効全般の論点は,ハブ記事の消滅時効に関するメモ書きで整理している。

第2 最高裁昭和49年12月17日判決
1 判示事項と結論

最高裁判所第三小法廷昭和49年12月17日判決(昭和49年(オ)第768号,民集28巻10号2059頁)の判示事項は,「商法二六六条の三第一項前段所定の第三者の取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効期間」である。
裁判要旨は,「商法二六六条の三第一項前段所定の第三者の取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は一〇年と解すべきである。」というものである。
上告は棄却され,同旨の原審(大阪高等裁判所)の判断が維持された。

2 理由

同判決は,第三者の取締役に対する損害賠償請求権に民法724条の適用があるかどうかは,取締役の責任の法的性質と,民法724条が短期消滅時効を設けた趣旨等の観点から検討して決すべきであるとした。

第一に,取締役の責任は,法がその責任を加重するため特に認めたものであって,不法行為責任たる性質を有するものではないから,不法行為責任に関する消滅時効の特則である民法724条は当然に適用されるものではないとした。
この点について,同判決は最高裁大法廷昭和44年11月26日判決を引用している。

第二に,民法724条が短期消滅時効を設けた趣旨は,不法行為に基づく法律関係が,通常,未知の当事者間に予期しない偶然の事故に基づいて発生するため,加害者が極めて不安定な立場に置かれるので,被害者が損害及び加害者を知りながら相当の期間内に権利を行使しないときは加害者を保護することにあるとした。
これに対し,取締役の責任は,通常,第三者と会社との間の法律関係を基礎として生ずるものであって,取締役は不法行為の加害者のような不安定な立場に立たされるわけではないから,民法724条を適用すべき実質的論拠はなく,類推適用する余地もないとした。

その上で,消滅時効期間については他に特に定めた規定がないから,改正前民法167条1項を適用すべきであるとした。

3 大法廷昭和44年11月26日判決との関係

最高裁判所大法廷昭和44年11月26日判決(昭和39年(オ)第1175号,民集23巻11号2150頁)は,商法266条ノ3第1項前段の規定について,取締役が悪意又は重大な過失により会社に対する義務に違反し,よって第三者に損害を被らせたときは,任務懈怠の行為と第三者の損害との間に相当の因果関係がある限り,会社が損害を被った結果ひいて第三者に損害を生じた場合(間接損害)であると,直接第三者が損害を被った場合(直接損害)であるとを問わず,取締役が直接第三者に対し損害賠償責任を負うことを定めたものであるとした。

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企業不祥事の「分岐点」と内部統制―例外運用,違和感の記録及び取締役の責任(AI作成)

第1 結論第2 「不正の分岐点」という着眼点1 A&Sニューズレターの位置付け2 法的義務と問題発見の着眼点を分ける第3 会社法上の内部統制システム1 取締役会設置会社2 取締役会を置かない会社3 取締役の責任と会社の責任第4 最高裁平成21年7月9日判決1 事件及び結論2 存在していた体制3 不正手法と予見可能性4 判決の射程第5 不正の端緒となり得る例外運用1 例外と不正を同一視しない2 確認を開始すべき兆候第6 例外対応レジスター1 記録項目2 運用上の要点3 支出工程の権限分離と独立した照合4 監督者の報酬と,問題を止める権限を点検する第7 善意,不正及びデータ不備という競合仮説1 一つの筋書きへ飛びつかない2 証拠の保全と独立した確認第8 公益通報制度との接続第9 JPX資料の位置付け1 不祥事予防のプリンシプル2 内部統制強化ハンドブック第10 例外運用を点検するための質問第11 関連記事第12 出典1 法令2 裁判例3 行政資料及び実務資料
第1 結論

企業不祥事を防ぐ内部統制は,不正を一件も生じさせないことを保証する仕組みではない。
実務上の例外対応も,それ自体が不正であるわけではない。
しかし,「今回だけ」という例外が反復され,通常の承認経路が迂回され,説明が変遷し,又は判断資料が残っていない場合,その例外は調査又は再評価を始める端緒となり得る。

会社法上は,取締役会設置会社の内部統制システムについて,会社法362条4項6号及び5項並びに会社法施行規則100条が中心となる。
もっとも,法令は,あらゆる例外対応を記録する特定名称の台帳まで一律に義務付けているわけではない。
本記事で示す「例外対応レジスター」は,法令上の義務をそのまま転記したものではなく,例外の理由,承認及び事後評価を後から検証できるようにするための実務上の整理である。

最高裁平成21年7月9日判決は,不正発生という結果だけで代表取締役のリスク管理体制構築義務違反の過失を認めたものではなく,当時の体制,実際の運用,不正手法の巧妙性及び予見可能性を具体的に検討した。
反対に,過去の同種不正,合理的に説明できない異常又は統制の形骸化が認識できる状況であれば,同判決と同じ結論になるとは限らない。

第2 「不正の分岐点」という着眼点
1 A&Sニューズレターの位置付け

渥美坂井法律事務所・外国法共同事業が令和8年6月に公表した「企業はどこでつまずくのか―多数の不正・紛争事案から考える『不正の分岐点』」は,裁判官及び弁護士として不正・紛争事案に携わった経験から,問題が大きくなる前の小さな判断に着目するニューズレターである。
同資料は,法令,裁判例又は統計的研究ではなく,実務家の経験に基づく問題発見の着眼点として読む必要がある。

同ニューズレター3頁~6頁は,例外を設けること自体を否定せず,通常運用との違い,例外の理由,判断者,記録の有無及び反復の有無を後から確認できることの重要性を指摘する。
また,現場が抱いた違和感を直ちに不正と決め付けるのではなく,その違和感を言語化し,説明可能な形で残すという視点を示している。

2 法的義務と問題発見の着眼点を分ける

ニューズレターの指摘は,例外運用を確認する際の有用な手掛かりとなる。
しかし,個別事件における取締役の責任は,会社の規模,機関設計,事業内容,想定されるリスク,既存の統制,認識できた兆候及び対応経過を踏まえて判断されるため,ニューズレターの着眼点だけから責任の有無を決めることはできない。

本記事では,①法令が定める体制,②最高裁判決が具体的事案で検討した事情,③実務資料が示す点検の着眼点,及び④本記事が提案する記録方法を分けて整理する。

第3 会社法上の内部統制システム
1 取締役会設置会社

会社法362条2項は,取締役会の職務として,業務執行の決定,取締役の職務執行の監督並びに代表取締役の選定及び解職を定める。
同条4項6号は,取締役の職務執行の法令・定款適合性を確保する体制その他会社及び企業集団の業務の適正を確保するために必要な体制の整備を,取締役へ委任できない重要な業務執行の決定としている。
大会社である取締役会設置会社では,同条5項により,取締役会がこの事項を決定しなければならない。

会社法施行規則100条1項は,①取締役の職務執行に係る情報の保存及び管理,②損失の危険の管理,③取締役の職務執行の効率性,④使用人の職務執行の法令・定款適合性,並びに⑤企業集団の業務の適正を確保する体制を掲げる。
同条3項は,監査役設置会社について,監査役への報告,報告者に対する不利益取扱いの防止及び監査の実効性確保等も定める。

取締役会が基本方針を決議していることと,現場で統制が実際に機能していることは同じではない。
取締役会には取締役の職務執行を監督する権限があるため,決議済みの規程が実際の業務で使われているか,事業又はリスクの変化に応じて見直されているかという運用面も重要となる。

2 取締役会を置かない会社

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完全子会社の取締役・監査役が親会社に対抗する方法―解任・報酬・監査権限(AI作成)

第1 親会社への対抗手段を考える前提
1 親会社への請求と子会社への請求
2 親会社の支配と子会社役員の職務

第2 解任・報酬・辞任をめぐる請求
1 解任の効力と損害賠償
2 報酬の減額と解任による損害
3 決議取消しは3か月の期限を分けて考える
4 辞任・任期満了・代表取締役の解職

第3 在任中の取締役・監査役の権限
1 取締役による異議・報告・取締役会の利用
2 監査役による調査・報告・差止め
3 会計限定監査役には使えない権限がある

第4 親会社への直接請求と会社財産の回復
1 契約・不法行為の根拠を特定する
2 法人格否認と強制執行の限界
3 子会社の損害は子会社の権利として扱う

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コーポレートガバナンス・コードとは-2026年版の4つの基本原則・適用対象・法的拘束力(AI作成)

目次

第1 コーポレートガバナンス・コードとは1 コードが対象とするコーポレートガバナンス2 会社法とは異なる上場制度上の原則第2 プリンシプルベースとコンプライ・オア・エクスプレイン1 細則ではなく原則を示すプリンシプルベース2 実施又は説明を求める仕組み第3 2026年版コードの構造1 4つの基本原則と26の原則2 解釈指針の役割第4 2026年版の4つの基本原則1 4つの基本原則の一覧2 基本原則1―株主の権利・平等性の確保,株主との対話3 基本原則2―株主以外のステークホルダーとの適切な協働4 基本原則3―適切な情報開示と透明性の確保5 基本原則4―取締役会等の責務第5 コードの適用対象1 市場区分ごとに異なる説明対象2 未上場会社と上場外国会社第6 コードの法的拘束力1 各原則自体には法的拘束力がない2 説明は上場規程上の義務である第7 制定・改訂の経緯と2026年版への移行1 2015年の施行から2026年改訂まで2 コーポレート・ガバナンス報告書の更新第8 出典・参考資料1 法令・取引所規則・コード2 金融庁・東京証券取引所の公表・運用資料

第1 コーポレートガバナンス・コードとは

1 コードが対象とするコーポレートガバナンス

東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コード(2026年7月版)は,「コーポレートガバナンス」を,上場会社が株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で,透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みと説明している。
コードは,この仕組みを実効的なものとする主要な原則を示し,各社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を促すものである。

コードは,不祥事の防止や経営者の監視だけを目的とするものではない。
意思決定の透明性・公正性を確保しながら,経営陣による迅速・果断な意思決定と適切なリスクテイクを支える「攻めのガバナンス」も目的としている。

2 会社法とは異なる上場制度上の原則

コーポレートガバナンス・コードは,会社法の条文ではなく,東京証券取引所が定める上場制度上の原則である。
会社法が株式会社の機関,取締役の権限・義務,株主総会その他の法的な仕組みを定めるのに対し,コードは,上場会社がそれぞれの状況に応じて実効的なガバナンスを実現するための考え方を示す。

したがって,会社法上の義務とコード上の原則は,同じものとして扱うことができない。
会社法の制定後の改正については,会社法(平成17年法律第86号)の改正経緯参照。

第2 プリンシプルベースとコンプライ・オア・エクスプレイン

1 細則ではなく原則を示すプリンシプルベース

コードは,会社が取るべき行動を細部まで一律に定めるルールベースではなく,大づかみな原則の趣旨・精神に照らして各社が自らの対応を判断するプリンシプルベース・アプローチを採用している。
同じ原則でも,業種,規模,事業特性,機関設計及び会社を取り巻く環境によって,適切な実施方法は異なり得る。

このため,コードを読むときは,文言を形式的に満たしているかだけでなく,その会社の具体的な取組みが原則の目的に適合しているかを見る必要がある。
コードは,各社に同じ組織図や手続を採用させるための仕様書ではない。

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2026年改訂コーポレートガバナンス・コード-変更点・適用日・2027年7月末までの報告書対応(AI作成)

目次

第1 改訂日と報告書の更新期限1 2026年7月21日と2027年7月31日は別の期限である2 コードと上場規程上の説明義務を区別する第2 2026年版コードの構造1 補充原則を廃止し,4基本原則・26原則へ再編した2 解釈指針は説明義務の対象外である第3 2026年改訂の主な変更点1 成長の道筋と経営資源の配分2 独立社外取締役の質・数と取締役会の支援体制3 サイバーセキュリティ等を含む全社的リスク管理4 有価証券報告書の株主総会前開示第4 2027年7月末までの報告書対応1 2021年版による定期更新も一時的に認められる2 二つの記載欄を別々に点検する3 旧コードの開示内容を新しい原則へ対応させる第5 報告書更新の実務手順1 現在の記載を2026年版へ対応付ける2 エクスプレインは提出日時点の状況に合わせる3 他の開示資料との不一致を確認する4 2027年7月30日以前を社内提出目標とする第6 改訂内容を読む際の注意点第7 出典・参考資料1 上場制度上の原則及び規則改正資料2 金融庁・東京証券取引所の解説及び運用資料3 パブリックコメント

第1 改訂日と報告書の更新期限

1 2026年7月21日と2027年7月31日は別の期限である

2026年改訂コーポレートガバナンス・コードは,2026年7月21日に確定・公表されたものであり,改訂案の段階ではない。
東京証券取引所は,同日,改訂に伴う有価証券上場規程の一部改正を施行した。

これに対し,上場会社が2026年版コードに基づくコーポレート・ガバナンス報告書を提出する期限は,2027年7月31日である。
したがって,2026年7月21日はコード及び関連上場規程の施行日であり,2027年7月31日は改訂後のコードに基づく報告書の移行期限である。

時点上場会社との関係

2026年7月21日2026年版コードの確定・公表及び関連上場規程の改正施行
2027年3月を目途TDnetの入力欄を「コードの各原則に関する取組み」へ切り替える予定
2027年7月31日2026年版コードに基づくコーポレート・ガバナンス報告書の提出期限

2 コードと上場規程上の説明義務を区別する

コードの各原則は,それ自体が法的拘束力を有する規範ではない。
他方,東証の有価証券上場規程436条の3により,上場内国会社には,市場区分に応じて各原則を実施するか,実施しない場合にはその理由をコーポレート・ガバナンス報告書で説明することが求められる。

このコンプライ・オア・エクスプレインは,全原則の実施を一律に義務付ける仕組みではない。
会社の業種,規模,事業特性,機関設計その他の個別事情に照らして実施しない原則がある場合,その理由を具体的に説明することも予定されている。

市場区分ごとの対象範囲は,次のとおりである。

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名義株の時効取得は10年・20年で成立するか―民法163条の要件と裁判例(AI作成)

第1 この記事が扱う対象と検討の順序
第2 時効取得の対象となりうるか―民法163条と株式

1 民法162条ではなく民法163条が問題となる理由
2 株券という有価証券自体の即時取得との違い
3 東京地方裁判所が示した適用肯定の判断枠組み

第3 成立要件―「自己のためにする意思」をもって「平穏かつ公然」に「行使」すること

1 会社に対する株主としての行動が中心的な判断要素となること
2 時効取得が認められた事案で認定された行使の実態
3 時効取得が否定された事案で欠けていた事実

第4 善意・無過失の10年と,悪意・過失の20年
第5 時効取得を認めた一審判決は,その後どうなったか
第6 そもそも「誰が真の株主か」を立証すること自体が高い壁になる
第7 名義株を巡る実務上の対応

1 実質株主が名義株を放置した場合のリスクと対応
2 名義人の側から時効取得を主張する場合の高いハードル
3 会社に対する関係―株主名簿の名義書換

第8 出典・参考資料

(続きを読む...)名義株の時効取得は10年・20年で成立するか―民法163条の要件と裁判例(AI作成)

名義株の解消方法―名義書換え,訴訟,買取り及び所在不明株主の株式売却(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 名義株の解消とは何を指すか
2 解消方法を分ける二つの軸

第2 名義書換えによる解消―名義人の協力が得られる場合

1 名義株確認書の作成
2 株主名簿の名義書換請求
3 贈与税認定を避けるための注意
4 株券発行会社での留意点

第3 訴訟による解消―名義人が争う場合

1 株主権確認訴訟の当事者と請求
2 確定判決による単独での名義書換請求
3 連絡が取れない名義人に対する訴訟

第4 買取りによる強制的な解消

1 合意による任意の買取り
2 相続人等に対する売渡請求
3 相続人等に対する売渡請求の逆用リスク
4 株式併合及び特別支配株主の株式等売渡請求

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名義株と死亡・相続―真の株主と名義人の死亡を分ける(AI作成)

第1 死亡したのが誰かで相続の結論が変わる

1 本記事が扱う範囲
2 三つの場面の基本的な違い

第2 各死亡時点の真の株主を先に確定する

1 株主名簿だけで相続財産を決めない
2 死亡日ごとに帰属が変わっていないかを確認する
3 会社法上の帰属と相続税上の帰属を同じ資料で検証する

第3 真の株主が死亡した場合

1 名義が別人でも株式は真の株主の相続財産となる
2 遺産分割までは共同相続人の準共有となる
3 株主名簿が真の株主名義か別人名義かで手続が分かれる
4 会社法174条は株式を承継した相続人に適用される

第4 名義人だけが死亡した場合

1 株式は名義人の相続財産に入らない
2 名義人の相続人は名義書換えの共同申請者となる
3 相続人の協力が得られない場合は判決による例外を検討する
4 会社法174条を名義人の相続人へ当然には使えない

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子供名義の株は誰のものか―親の出資・贈与・管理・配当・議決権(AI作成)

第1 子供名義の株式は取得経路によって帰属が分かれる

1 本記事が扱う範囲
2 三つの取得経路
3 名義・出資・管理の一要素だけでは決まらない

第2 親が資金を出した場合

1 親が自己のために子の名を借りた場合
2 現金を子に贈与して買い付けた場合
3 親の既存株式を贈与した場合

第3 未成年者への贈与と親権者の受諾

1 親権者は子を代理して贈与を受諾できる
2 単純贈与と利益相反行為を区別する
3 令和8年4月1日以後の共同親権

第4 親が管理していても親の株式とは限らない

1 未成年中の管理は子の所有と両立する
2 成年後は引渡しと管理計算が必要になる
3 成年後の継続支配は反対証拠になり得る

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名義株は違法か―会社法・相続税・重加算税・上場規則違反を区別する(AI作成)

第1 名義株が直ちに違法になるわけではない

1 この記事が扱う問い
2 「違法」を七つの効果に分ける

第2 会社法上の株主帰属と株主名簿

1 承諾を得た借名引受けでは実際の引受人が株主になり得る
2 株主名簿への記載と株式の帰属は同じ問題ではない

第3 相続税は株式の実質的な帰属から判定する

1 被相続人の財産であれば相続税の課税対象になる
2 名義株であることは重加算税の十分条件ではない

第4 重加算税は隠蔽又は仮装がある場合に限られる

1 税率は35%又は40%を基本とする
2 他人名義という状態を認識して申告しない行為が問題になる
3 名義株の申告漏れでも重加算税が取り消された裁決がある
4 名義状態を利用したとして重加算税が認められた例もある
5 相続税法上の刑事罰は別の要件である

第5 上場会社では大量保有報告と上場規則を分ける

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名義株の株主は誰か―認定基準,証拠,名義書換え及び相続・M&Aの留意点(AI作成)

第1 名義株の意味と検討の順序

1 この記事で扱う名義株

2 最初に取得原因を分ける

第2 誰が株主になるか

1 最高裁昭和42年11月17日判決の基準と射程

2 実質的な株主を認定する7要素

3 株主名簿は無視できない

第3 証拠をどの順序で集めるか

1 最初に集める客観資料

2 資料の保有者と取得可能性を区別する

3 反証と調査の停止基準

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会社法(平成17年法律第86号)の改正経緯(AI作成)

会社法の改正史は,平成17年法律第86号の成立,平成26年法律第90号及び令和元年法律第70号による二度の大改正だけでは完結しない。
信託法,非訟事件手続法,民法,民事執行法,民事訴訟法,譲渡担保法制及び成年後見制度の改正も,会社法の実体規律又は会社関係事件の手続を順次変更しているからである。
AIで作成した本記事は,会社法本文の実質的な変更を網羅した上で,直接改正ではあるものの用語又は引用条項の整理にとどまる改正も完全沿革表に収録し,公布済み未施行改正及び現在の法制審議会における検討を区別して説明する。

目次

第1 会社法改正史の読み方

1 「改正」を三つの層に分ける
2 会社法の発展を三期に分ける
3 実務では行為時点の法令を確定する

第2 平成17年会社法の制定

1 独立法典化までの経緯
2 制定時の実質的変更

(1) 会社類型及び設立法制
(2) 定款自治,資金調達及び剰余金分配
(3) 機関設計,責任及び会計
(4) 組織再編及び特別清算

3 成立,公布及び段階施行

第3 平成26年改正

1 立法経緯,法律番号及び施行日

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福島第一原発事故の東電株主代表訴訟に対する東京高裁令和7年6月6日判決及び東京地裁令和4年7月13日判決の論評(AI作成)

◯東京高裁令和7年6月6日判決及びその原審である東京地裁令和4年7月13日判決は,東電株主代表訴訟HPに載っています。
◯判決原文は,裁判所ウェブサイト(東京高裁判決,東京地裁判決)でも確認できます。
◯福島第一原発の免震重要棟は,平成19年7月16日の新潟県中越沖地震の教訓を踏まえて,平成22年7月に運用を開始したばかりの建物でした(東京電力HPの「耐震性向上の取り組み」参照)
◯福島原子力発電所事故調査報告書(平成24年6月20日付)が東京電力HPに載っています。
◯令和7年10月10日付の上告受理申立理由書は,東電株主代表訴訟HPの「原告提出書面」に載っています。
◯令和8年7月15日現在,原告側の公表によれば,本件は最高裁判所第二小法廷に係属しています(令和7年(受)第2219号)。最高裁の終局判断は確認できていないため,本記事で「高裁判決」と記載する部分は,確定判決を意味するものではありません。

目次

第1 はじめに
1 本記事の目的と視座

2 事案の概要と司法判断の変遷
(1) 未曽有の原子力事故と株主代表訴訟
(2) 一審・地裁判決の衝撃
(3) 二審・高裁判決による逆転判断

第2 科学的知見の不確実性と工学的判断の乖離
1 「長期評価」の信頼性を巡る科学論争
(1) 地震本部による長期評価の位置付け
(2) 地裁判決における「科学的信頼性」の評価
(3) 高裁判決における「科学的仮説」としての評価

2 専門家間の見解不一致と工学上の検討
(1) 地震学的アプローチと工学的アプローチの決定的差異
(2) 土木学会における「重み付け」の意味
(3) 「信頼度C」情報の設計入力への適用可否

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監査役設置会社と取締役・退任取締役との間の訴えにおける会社代表者(AIリライト)

第1 会社を代表する者の結論

1 会社法上の監査役設置会社では監査役が代表する
2 会計限定監査役の会社では監査役が代表しない

第2 代表者を確定するための判定手順

1 会社法上の機関設計と登記上の表示を分ける
2 定款と登記の経過措置を確認する
3 会社法施行時の旧小会社と特例有限会社を確認する

第3 会社法386条の適用範囲

1 現職の取締役と退任取締役を含む
2 取締役としての責任追及訴訟に限定されない
3 複数の監査役と代表権の範囲

第4 最高裁平成24年3月6日判決

1 判決が示した判断
2 差戻前後の知的財産高等裁判所判決
3 最高裁判決の確認媒体

第5 代表者を誤った場合の訴訟法上の処理

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