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新株発行無効判決の効力を受ける第三者の再審―独立当事者参加,対世効及び会社の訴訟活動(AI作成)

新株発行無効判決は,訴訟の当事者でない株主等にも効力を及ぼします。最高裁平成25年11月21日決定は,その効力を受ける第三者の再審原告適格と,会社の著しく信義に反する訴訟活動が第三者の手続保障を害した場合の再審事由を示しました。

第1 結論

最高裁平成25年11月21日第一小法廷決定(平成24年(許)第43号,民集67巻8号1686頁)は,次の二点を示して原決定を破棄し,東京高裁へ差し戻しました。

  1. 新株発行無効判決の効力を受ける第三者は,それだけでは当然に再審原告適格を有しないが,確定判決に係る訴訟について独立当事者参加の申出をすることにより,再審原告適格を有する。
  2. 会社の訴訟活動が著しく信義に反し,第三者に確定判決の効力を及ぼすことが手続保障の観点から看過できない場合には,民事訴訟法338条1項3号の再審事由となる余地がある。

第2 最高裁平成25年11月21日決定の事案

抗告人は,新株予約権を行使し,平成23年2月7日に発行された1500株の株主となりました。その後,別の株主が会社だけを被告として,新株発行不存在確認の訴えを提起し,予備的に新株発行無効の訴えを追加しました。

会社は第1回口頭弁論期日に請求を認め,請求原因事実を全て認める旨を答弁しました。裁判所から追加立証を促されると,会社は新株発行が見せ金によるものであること等を記載した陳述書を提出しました。新株発行を無効とする判決は同年10月14日の経過により確定しました。

抗告人は,確定後に前訴を知り,独立当事者参加を申し出るとともに,再審の訴えを提起しました。会社は,前訴前から抗告人が新株発行の有効性を主張していたことを知り,前訴係属を容易に知らせられたのに知らせていませんでした。

第3 新株発行無効判決の対世効と第三者

会社法834条2号により,新株発行無効の訴えの被告は株式を発行した会社です。同法838条により,請求を認容する確定判決は第三者に対しても効力を有します。

この仕組みでは,新株発行によって株主となった者等が訴訟当事者でなくても,無効判決の効力を受けます。会社は自社だけの利益を処分する通常の訴訟当事者と異なり,事実上,判決効を受ける第三者に代わって手続へ関与する立場にもあります。そのため,第三者の利益へ配慮し,より一層信義に従った訴訟活動をすることが求められます。

第4 独立当事者参加による再審原告適格

確定判決の効力を受ける第三者が再審の訴えを提起しても,前訴の当事者でないままでは本案について訴訟行為をできず,確定判決の判断を左右できません。そのため,確定判決の効力を受けることだけから当然に再審原告適格を認めることはできないとされました。

しかし,第三者が再審の訴えとともに独立当事者参加の申出をすれば,再審開始決定の確定後,参加に係る訴訟行為を通じ,合一確定の要請を介して確定判決を左右できる地位を得ます。最高裁は,この場合には独立当事者参加の前提となる訴訟係属もあるとして,再審原告適格を基礎付けました。

再審だけを単独で提起すれば足りるという判例ではありません。参加の適法性,請求の内容,当事者間の合一確定の必要及び再審開始後に行う本案訴訟行為を一体として設計する必要があります。

第5 民事訴訟法338条1項3号の再審事由

民事訴訟法338条1項3号は,法定代理権,訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたことを再審事由とします。本決定は,会社の訴訟活動が著しく信義に反し,第三者に判決効を及ぼすことが手続保障上看過できない場合について,同号の再審事由があるとみる余地を認めました。

本件では,抗告人が新株発行の有効性を争うことが明らかであり,会社もその事情を十分認識していました。それにもかかわらず,会社は請求を全く争わず,裁判所から追加立証を求められると原告の主張を裏付ける書証を提出し,容易に通知できた抗告人へ前訴係属を知らせませんでした。この一連の経過が,会社法上被告適格を与えられた者の訴訟活動として著しく信義に反するかが問題となりました。

第6 通知がなかっただけで直ちに再審となるわけではない

最高裁は,新株発行無効訴訟の係属を第三者が知らず,審理へ関与する機会を与えられなかったとしても,直ちに民事訴訟法338条1項3号の再審事由があるとはしていません。会社法が会社だけに被告適格を与えている以上,第三者への個別通知の欠如だけで確定判決を常に覆すことになれば,会社関係訴訟の画一的処理と法的安定性を損なうからです。

検討の中心は,会社が第三者の利害と反対意思をどこまで認識していたか,原告の請求へどのように対応したか,自ら不利益な立証をしたか,第三者への通知が容易であったか,第三者が参加すれば実質的に争ったことが明らかか,という事情の総合評価です。

第7 会社側の訴訟活動の実務

  • 新株発行無効判決の効力を受ける株主,新株予約権者,質権者その他の利害関係者を一覧化する。
  • 会社,現経営陣,旧経営陣及び既存株主の利害対立を取締役会議事録,通知書及び内容証明郵便で確認する。
  • 請求の認諾,自白,争わない旨の答弁又は原告に有利な証拠提出をする前に,会社法上の対世効と第三者への影響を検討する。
  • 第三者への通知の要否・方法・時期を検討し,通知しない場合は理由を記録する。
  • 訴訟代理人は,会社の現在の機関意思だけでなく,判決効を受ける第三者の手続保障も視野に入れて利益相反を点検する。

第8 第三者側の初動と立証資料

  • 確定判決,訴状,答弁書,準備書面,書証目録,口頭弁論調書及び確定証明書を取得する。
  • 株式発行,新株予約権行使,払込み及び株主名簿記載を基礎付ける資料を保全する。
  • 前訴前に会社へ示した反対意思,会社の認識及び通知の容易性を内容証明郵便,電子メール,会議録等で立証する。
  • 前訴を知った日,再審提起日,独立当事者参加申出日及び関連訴訟の係属状況を時系列化する。
  • 再審原告適格の問題と,再審事由が実際に存在するかという問題を分けて主張する。

第9 決定の射程と差戻し後の注意

本決定は,再審原告適格と再審事由の可能性を示して原決定を破棄差戻しとしたものです。最高裁自身が,新株発行を有効と確定し,又は再審事由の存在を最終認定したものではありません。差戻審では,まず独立当事者参加の適法性を含む原告適格を審理し,これが認められる場合に,再審事由の有無をさらに審理する構造です。

したがって,本決定を「通知のない新株発行無効判決は無効である」と一般化することはできません。対象となる会社関係訴訟,判決効を受ける第三者,会社の具体的訴訟活動,第三者が争う意思を会社が認識した経緯及び参加申出の適法性を事案ごとに確認します。

第10 出典・確認状況及び関連記事