第1 この記事の範囲と使い方
1 収録対象
本記事は,会社法,旧商法の会社編及び旧有限会社法に関する最高裁判例を,裁判所HPの個別ページで確認できる範囲で論点別に並べた索引である。株式,株主総会,取締役会,役員の責任・報酬,事業譲渡,組織再編,会社訴訟など,会社の組織法と直接関係する判例を中心とし,旧記事に掲載されていた税法,金融商品取引及び刑事の判例は「周辺判例」として区分した。
裁判所HPは全ての裁判例を収録するものではないため,本記事は公刊された最高裁判例の不存在を示す資料ではない。裁判所HPに個別ページがないため事件番号等を一次確認できない判例は,公開本文へ推測で補わず,検証記録に留保を残した。
2 各判例の表示方法
各項目には,裁判年月日,裁判種別,事件番号,判例集等巻・号・頁,事件名及び裁判所HPの判示事項を付した。同じ裁判に複数の判示事項があるときは,裁判所HPの判示事項欄をまとめて掲載しているため,具体的事案への適用に当たってはリンク先の裁判要旨及び判決・決定全文も確認する必要がある。
第2 現行会社法との関係
1 旧商法判例を読む際の注意
平成17年法律第86号による会社法は平成18年5月1日に施行されたため,それ以前の最高裁判例には旧商法又は旧有限会社法の条文を適用したものが多い。判例の規範が現行会社法でも維持されるかは,条文の対応だけでなく,制度趣旨及び平成17年改正後の規律を確認して判断すべきである。
2 現行条文の確認
本記事と関係の深い現行会社法の条文は,株式の共有に関する106条,株主平等原則に関する109条,株券発行会社の株式譲渡に関する128条,譲渡制限株式の価格決定に関する144条,募集株式の発行に関する199条,新株予約権発行の差止めに関する247条,株主総会決議に関する309条,議事録の閲覧等に関する318条,役員の権利義務に関する346条,取締役の報酬等に関する361条,役員等の会社に対する責任に関する423条,第三者に対する責任に関する429条,会計帳簿の閲覧等に関する433条,株式買取請求に関する785条及び789条,会社の組織に関する訴えの効力に関する838条並びに役員解任の訴えに関する854条である。条文本文はe-Gov法令検索の会社法で確認できる。
第3 会社・株主・株式の基本原則
1 会社の権利能力,商行為及び社債
① 最高裁大法廷昭和45年6月24日判決(昭和41年(オ)第444号,民集第24巻6号625頁,取締役の責任追及請求)。裁判所HPの判示事項は「一,政治資金の寄附と会社の権利能力 二,会社の政党に対する政治資金の寄附の自由と憲法三章 三,商法二五四条ノ二の趣旨 四,取締役が会社を代表して政治資金を寄附する場合と取締役の忠実義務」である。
② 最高裁平成20年2月22日判決(平成19年(受)第528号,民集第62巻2号576頁,所有権移転登記抹消登記手続等請求本訴,貸金請求反訴,所有権移転登記抹消登記手続請求事件)。裁判所HPの判示事項は「1 会社の行為が商行為に該当することの主張立証責任 2 会社の貸付けが当該会社の代表者の情宜に基づいてされたものとみる余地があっても,当該貸付けに係る債権が商行為によって生じた債権に当たるとされた事例」である。
③ 最高裁令和3年1月26日判決(令和1年(受)第984号,民集第75巻1号1頁,不当利得返還請求事件)。裁判所HPの判示事項は「社債と利息制限法1条の適用の有無」である。
第4 株券,共有株式及び株式譲渡
1 株券及び共有株式
① 最高裁令和6年4月19日判決(令和4年(受)第1266号,民集第78巻2号267頁,各株券引渡請求及び独立当事者参加事件)。裁判所HPの判示事項は「1 株券の発行前にした株券発行会社の株式の譲渡の譲渡当事者間における効力 2 株券発行会社の株式の譲受人が民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)423条1項本文により譲渡人の株券発行会社に対する株券発行請求権を代位行使することの可否」である。
② 最高裁平成2年12月4日判決(平成1年(オ)第573号,民集第44巻9号1165頁,株主総会決議不存在確認)。裁判所HPの判示事項は「一 商法二〇三条二項所定の指定及び通知を欠く株式の共同相続人と株主総会決議不存在確認の訴えの原告適格 二 商法二〇三条二項所定の指定及び通知を欠く株式の共同相続人が株主総会決議不存在確認の訴えの原告適格を有するとされた事例」である。
③ 最高裁平成3年2月19日判決(平成1年(オ)第1059号,集民第162号105頁,会社合併無効確認)。裁判所HPの判示事項は「一 商法二〇三条二項所定の指定及び通知を欠く株式の共同相続人と合併無効の訴えの原告適格 二 商法二〇三条二項所定の指定及び通知を欠く株式の共同相続人が合併無効の訴えの原告適格を有するとされた事例」である。
④ 最高裁平成26年2月25日判決(平成23年(受)第2250号,民集第68巻2号173頁,共有物分割請求事件)。裁判所HPの判示事項は「1 共同相続された委託者指図型投資信託の受益権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるか 2 共同相続された個人向け国債は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるか」である。
⑤ 最高裁昭和45年1月22日判決(昭和42年(オ)第867号,民集第24巻1号1頁,株主総会決議不存在確認請求)。裁判所HPの判示事項は「一,取消差戻の控訴審判決を得た控訴人と上告の利益の有無 二,議決権行使の代理資格を株主に制限した定款の定めと議決権行使許容の仮処分の効力 三,当事者一方の請求に対して訴却下または請求棄却の判決を求めるのみの独立当事者参加の申出の適否」である。
⑥ 最高裁平成27年2月19日判決(平成25年(受)第650号,民集第69巻1号25頁,株主総会決議取消請求事件)。裁判所HPの判示事項は「1 共有に属する株式について会社法106条本文の規定に基づく指定及び通知を欠いたまま権利が行使された場合における同条ただし書の株式会社の同意の効果 2 共有に属する株式についての議決権の行使の決定方法」である。
⑦ 最高裁大法廷昭和45年7月15日判決(昭和42年(オ)第1466号,民集第24巻7号804頁,会社解散,社員総会決議取消等請求)。裁判所HPの判示事項は「有限会社社員の提起した会社解散の訴,社員総会決議取消の訴および同無効確認の訴と右社員の死亡による訴訟承継の成否」である。
2 株式譲渡及び持株会
① 最高裁平成5年3月30日判決(平成1年(オ)第1006号,民集第47巻4号3439頁,株主総会決議不存在等確認)。裁判所HPの判示事項は「一 代表取締役が取締役と認めていない者と株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律二四条一項にいう取締役 二 いわゆる一人会社の株主が定款所定の取締役会の承認を得ないでした株式譲渡の効力」である。
② 最高裁平成15年2月27日決定(平成14年(許)第10号,民集第57巻2号202頁,株式売買価格決定申請棄却決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「定款による譲渡制限のされた株式につき会社に対して譲渡の承認及び相手方指定の請求をした株主がその請求を撤回することのできる時期」である。
③ 最高裁平成21年2月17日判決(平成20年(受)第1207号,集民第230号117頁,株主権確認等,株主名簿名義書換等,株式保有確認等請求事件)。裁判所HPの判示事項は「株式会社の従業員がいわゆる持株会から譲り受けた株式を個人的理由により売却する必要が生じたときは持株会が額面額でこれを買い戻す旨の当該従業員と持株会との間の合意が有効とされた事例」である。
第5 募集株式及び新株予約権
1 発行手続,無効原因及び有利発行
① 最高裁昭和36年3月31日判決(昭和32年(オ)第79号,民集第15巻3号645頁,新株発行無効請求)。裁判所HPの判示事項は「有効な取締役会の決議を経ない新株発行の効力。」である。
② 最高裁平成6年7月14日判決(平成2年(オ)第391号,集民第172号771頁,取締役会決議無効確認,新株発行無効等)。裁判所HPの判示事項は「著しく不公正な方法によってされた新株発行の効力」である。
③ 最高裁平成5年12月16日判決(平成1年(オ)第666号,民集第47巻10号5523頁,新株発行差止)。裁判所HPの判示事項は「一 新株発行差止請求の訴えから変更された新株発行無効の訴えが出訴期間の遵守に欠けるところがないとされた事例 二 新株発行差止めの仮処分命令に違反したことと新株発行無効の訴えの無効原因」である。
④ 最高裁平成27年2月19日判決(平成25年(受)第1080号,民集第69巻1号51頁,損害賠償請求事件)。裁判所HPの判示事項は「非上場会社が株主以外の者に発行した新株の発行価額が商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ2第2項にいう「特ニ有利ナル発行価額」に当たらない場合」である。
2 買収防衛策としての新株予約権
① 最高裁平成19年8月7日決定(平成19年(許)第30号,民集第61巻5号2215頁,株主総会決議禁止等仮処分命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「1 株主平等の原則の趣旨は株主に対して新株予約権の無償割当てをする場合に及ぶか 2 株主に対する差別的取扱いが株主平等の原則の趣旨に反しない場合 3 特定の株主による経営支配権の取得に伴い,株式会社の企業価値がき損され,株主の共同の利益が害されることになるか否かについての審理判断の方法 4 株式会社が特定の株主による株式の公開買付けに対抗して当該株主の持株比率を低下させるためにする新株予約権の無償割当てが,株主平等の原則の趣旨に反せず,会社法247条1号所定の「法令又は定款に違反する場合」に該当しないとされた事例 5 株式会社が特定の株主による株式の公開買付けに対抗して当該株主の持株比率を低下させるためにする新株予約権の無償割当てが,会社法247条2号所定の「著しく不公正な方法により行われる場合」に該当しないとされた事例」である。
第6 株式価格及び組織再編
1 株式買取請求,取得価格及び売買価格
① 最高裁平成23年4月19日決定(平成22年(許)第30号,民集第65巻3号1311頁,株式買取価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「1 吸収合併等によりシナジーその他の企業価値の増加が生じない場合に消滅株式会社等の反対株主がした株式買取請求に係る「公正な価格」の意義 2 株式買取請求がされた日における吸収合併契約等を承認する旨の株主総会の決議がされることがなければその株式が有したであろう価格を算定するに当たって参照すべき市場株価として,同日における市場株価やこれに近接する一定期間の市場株価の平均値を用いることが,裁判所の裁量の範囲内にあるとされる場合」である。
② 最高裁平成23年4月26日決定(平成22年(許)第47号,集民第236号519頁,株式買取価格決定に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「吸収合併等によりシナジーその他の企業価値の増加が生じない場合に消滅株式会社等の反対株主がした株式買取請求に係る「公正な価格」の意義」である。
③ 最高裁平成24年2月29日決定(平成23年(許)第21号,民集第66巻3号1784頁,株式買取価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「1 株式移転完全子会社の反対株主がした株式買取請求に係る「公正な価格」の意義 2 株式移転における株式移転設立完全親会社の株式等の割当てに関する比率が公正なものとされる場合 3 株式移転完全子会社の反対株主がした株式買取請求に係る「公正な価格」を算定するに当たって参照すべき市場株価として,株式買取請求がされた日における市場株価やこれに近接する一定期間の市場株価の平均値を用いることが,裁判所の裁量の範囲内にあるとされる場合」である。
④ 最高裁平成27年3月26日決定(平成26年(許)第39号,民集第69巻2号365頁,株式買取価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買取請求がされ,裁判所が収益還元法を用いて株式の買取価格を決定する場合に,非流動性ディスカウント(当該会社の株式には市場性がないことを理由とする減価)を行うことの可否」である。
⑤ 最高裁令和5年5月24日決定(令和4年(許)第8号,集民第270号113頁,株式売買価格決定に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「会社法144条2項に基づく譲渡制限株式の売買価格の決定の手続において裁判所が上記売買価格を定める場合に,DCF法によって算定された上記譲渡制限株式の評価額から非流動性ディスカウント(非上場会社の株式には市場性がないことを理由とする減価)を行うことができるとされた事例」である。
⑥ 最高裁平成22年12月7日決定(平成22年(許)第9号,民集第64巻8号2003頁,株式価格決定申立て却下決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「社債等振替法128条1項所定の振替株式についての会社法172条1項に基づく価格の決定の申立てを受けた会社が,裁判所における株式価格決定申立て事件の審理において,申立人が株主であることを争った場合における,社債等振替法154条3項所定の通知の要否」である。
⑦ 最高裁平成24年3月28日決定(平成23年(許)第7号,民集第66巻5号2344頁,株式買取価格決定申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「1 振替株式について会社法116条1項に基づく株式買取請求を受けた株式会社が,同法117条2項に基づく価格の決定の申立てに係る事件の審理において,同請求をした者が株主であることを争った場合における,社債等振替法154条3項所定の通知の要否 2 会社法116条1項に基づく株式買取請求をした株主が当該株式を失った場合における,当該株主による同法117条2項に基づく価格の決定の申立ての適否」である。
⑧ 最高裁平成28年7月1日決定(平成28年(許)第4号,民集第70巻6号1445頁,株式取得価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「株式会社の株式の相当数を保有する株主が当該株式会社の株式等の公開買付けを行い,その後に当該株式会社の株式を全部取得条項付種類株式とし,当該株式会社が同株式の全部を取得する取引において,上記公開買付けが一般に公正と認められる手続により行われた場合における会社法(平成26年法律第90号による改正前のもの)172条1項にいう「取得の価格」」である。
⑨ 最高裁平成29年8月30日決定(平成29年(許)第7号,民集第71巻6号1000頁,売渡株式等の売買価格決定申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「会社法179条の4第1項1号の通知又は同号及び社債,株式等の振替に関する法律161条2項の公告がされた後に会社法179条の2第1項2号に規定する売渡株式を譲り受けた者が,同法179条の8第1項の売買価格の決定の申立てをすることの可否」である。
⑩ 最高裁令和3年7月5日判決(令和1年(受)第2052号,民集第75巻7号3392頁,株主総会議事録閲覧謄写請求事件)。裁判所HPの判示事項は「会社法182条の4第1項に基づき株式の買取請求をした者が同法182条の5第5項に基づく支払を受けた場合における上記の者の同法318条4項にいう「債権者」該当性」である。
2 会社分割と債権者保護
① 最高裁平成20年6月10日判決(平成18年(受)第890号,集民第228号195頁,預託金返還請求事件)。裁判所HPの判示事項は「会社分割に伴いゴルフ場の事業を承継した会社が預託金会員制のゴルフクラブの名称を引き続き使用している場合における上記会社の預託金返還義務の有無」である。
② 最高裁平成24年10月12日判決(平成22年(受)第622号,民集第66巻10号3311頁,詐害行為取消請求事件)。裁判所HPの判示事項は「株式会社を設立する新設分割と詐害行為取消権」である。
③ 最高裁平成29年12月19日決定(平成29年(許)第10号,民集第71巻10号2592頁,債権仮差押命令を取り消す決定に対する保全抗告審の債権仮差押命令一部認可決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「賃借人が契約当事者を実質的に変更したときは賃貸人は違約金を請求することができるなどの定めのある賃貸借契約において,当該賃借人が吸収分割の後は責任を負わないものとする吸収分割により契約当事者の地位を承継させた場合に,当該賃借人が上記吸収分割がされたことを理由に上記定めに基づく違約金債権に係る債務を負わないと主張することが信義則に反し許されないとされた事例」である。
第7 株主総会
1 招集,議決権及び決議の瑕疵
① 最高裁昭和42年3月14日判決(昭和41年(オ)第868号,民集第21巻2号378頁,株主総会決議取消請求)。裁判所HPの判示事項は「株主である取締役の解任に関する株主総会の決議について右株主は特別利害関係人にあたるか」である。
② 最高裁昭和53年4月14日判決(昭和52年(オ)第833号,民集第32巻3号601頁,社員総会決議無効確認)。裁判所HPの判示事項は「有限会社の社員総会における特定の社員を取締役に選任すべき決議と右特定の社員の特別利害関係」である。
③ 最高裁昭和42年9月28日判決(昭和41年(オ)第664号,民集第21巻7号1970頁,株主総会決議取消請求)。裁判所HPの判示事項は「一 株主は他の株主に対する招集手続のかしを理由として株主総会決議取消の訴を提起できるか 二 株主総会の決議を取り消すことが不適当な場合と請求棄却の要否」である。
④ 最高裁昭和43年11月1日判決(昭和40年(オ)第1206号,民集第22巻12号2402頁,株主総会決議無効確認請求)。裁判所HPの判示事項は「一,株式会社の訴訟上の代表者と商法第一二条の適用の有無 二,議決権行使の代理人の資格を株主に制限する旨の定款の規定の効力」である。
⑤ 最高裁昭和45年8月20日判決(昭和44年(オ)第276号,集民第100号373頁,株主総会決議不存在確認請求)。裁判所HPの判示事項は「取締役会の決議を経ることなく代表取締役以外の取締役によつて招集された株主総会の決議の効力」である。
⑥ 最高裁昭和46年3月18日判決(昭和44年(オ)第89号,民集第25巻2号183頁,株主総会決議無効確認請求)。裁判所HPの判示事項は「一,株主総会招集の手続またはその決議の方法に重大なかしがある場合と決議取消請求の裁量棄却 二,株主総会招集の手続に決議取消請求を裁量棄却することの許されない重大なかしがあるとされた事例」である。
⑦ 最高裁昭和51年12月24日判決(昭和48年(オ)第794号,民集第30巻11号1076頁,株式会社総会決議取消請求)。裁判所HPの判示事項は「一,株式会社が定款で株主総会における議決権行使の代理人の資格を株主に限定している場合と株主である地方公共団体,株式会社の職員又は従業員による議決権の代理行使 二,株主総会決議取消の訴において商法二四八条一項所定の期間経過後に新たな取消事由を追加主張することの許否」である。
⑧ 最高裁昭和55年6月16日判決(昭和55年(オ)第193号,集民第130号15頁,株主総会決議取消)。裁判所HPの判示事項は「株主総会招集手続に瑕疵がある場合であつても決議取消請求を棄却するのが相当であるとされた事例」である。
⑨ 最高裁平成2年4月17日判決(昭和60年(オ)第1529号,民集第44巻3号526頁,地位確認等)。裁判所HPの判示事項は「取締役を選任する旨の株主総会決議が不存在である場合とその後の取締役を選任する旨の株主総会決議の効力」である。
⑩ 最高裁平成11年3月25日判決(平成10年(オ)第1183号,民集第53巻3号580頁,株主総会決議不存在確認等請求事件)。裁判所HPの判示事項は「取締役等を選任する甲株主総会決議の不存在確認請求に同決議が存在しないことを理由とする後任取締役等の選任に係る乙株主総会決議の不存在確認請求が併合されている場合における先の決議の存否確認の利益」である。
⑪ 最高裁平成21年4月17日判決(平成20年(受)第951号,集民第230号395頁,株主総会等決議不存在確認請求事件)。裁判所HPの判示事項は「株式会社の取締役等の解任又は選任を内容とする株主総会決議不存在確認の訴えの係属中に当該株式会社が破産手続開始の決定を受けた場合における訴えの利益の消長」である。
⑫ 最高裁平成28年3月4日判決(平成27年(受)第1431号,民集第70巻3号827頁,株主総会決議取消請求事件)。裁判所HPの判示事項は「ある議案を否決する株主総会等の決議の取消しを請求する訴えの適否」である。
⑬ 最高裁平成29年2月21日決定(平成28年(許)第24号,民集第71巻2号195頁,職務執行停止,代行者選任仮処分命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めの効力」である。
⑭ 最高裁令和5年10月26日決定(令和4年(許)第11号,民集第77巻7号1860頁,株式買取価格決定申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「吸収合併消滅株式会社の株主が吸収合併をするための株主総会に先立って上記会社に対して委任状を送付したことが会社法785条2項1号イにいう吸収合併等に反対する旨の通知に当たるとされた事例」である。
⑮ 最高裁昭和38年8月8日判決(昭和36年(オ)第1376号,集民第67号245頁,株主総会決議無効確認等請求)。裁判所HPの判示事項は「いわゆる同族会社における株主総会の招集手続は口頭の通知をもつてすることが許されるか。」である。
第8 取締役会,役員の選任及び地位
1 取締役会の決議及び代表取締役
① 最高裁昭和40年9月22日判決(昭和36年(オ)第1378号,民集第19巻6号1656頁,建物並びに土地明渡所有権確認等請求)。裁判所HPの判示事項は「一 株式会社の代表取締役が取締役会の決議を経ないでした対外的な個々的取引行為の効力。 二 中小企業等協同組合が代表理事に対し委任できる業務執行の意思決定の権限の範囲。」である。
② 最高裁昭和44年3月28日判決(昭和43年(オ)第728号,民集第23巻3号645頁,債権譲渡無効確認,譲渡債権請求)。裁判所HPの判示事項は「代表取締役の解任に関する取締役会の決議についてその代表取締役は特別利害関係人にあたるか」である。
③ 最高裁昭和45年8月20日判決(昭和43年(オ)第335号,民集第24巻9号1305頁,所有権移転登記手続請求)。裁判所HPの判示事項は「商法二六五条所定の取引につき取締役会の承認を要しないとされた事例」である。
④ 最高裁平成21年4月17日判決(平成19年(受)第1219号,民集第63巻4号535頁,約束手形金不当利得返還等請求事件)。裁判所HPの判示事項は「株式会社の代表取締役が取締役会の決議を経ないで重要な業務執行に該当する取引をしたことを理由に同取引の無効を会社以外の者が主張することの可否」である。
⑤ 最高裁平成24年4月24日判決(平成22年(受)第1212号,民集第66巻6号2908頁,新株発行無効請求事件)。裁判所HPの判示事項は「1 商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ21第1項に基づく株主総会決議による委任を受けた取締役会が定めた新株予約権の行使条件をその発行後に変更する取締役会決議の効力 2 非公開会社において株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法によってされた募集株式発行の効力 3 非公開会社が株主割当て以外の方法により発行した新株予約権の行使条件に反した当該新株予約権の行使による株式発行に無効原因がある場合」である。
2 役員の選任,解任及び資格
① 最高裁平成10年3月27日判決(平成8年(オ)第1681号,民集第52巻2号661頁,取締役解任)。裁判所HPの判示事項は「取締役解任の訴えの被告適格」である。
② 最高裁平成20年2月26日判決(平成19年(受)第1443号,民集第62巻2号638頁,取締役解任請求事件)。裁判所HPの判示事項は「会社法346条1項に基づき退任後もなお会社の役員としての権利義務を有する者に対する解任の訴えの許否」である。
③ 最高裁平成16年6月10日判決(平成12年(受)第56号,民集第58巻5号1178頁,取立債権請求事件)。裁判所HPの判示事項は「1 破産宣告を受けた有限会社の取締役と火災保険約款の免責条項所定の「取締役」 2 有限会社の取締役が会社の破産宣告後にした放火による建物の焼失が火災保険約款の免責条項所定の「取締役」の故意による事故招致に当たるとされた事例」である。
④ 最高裁昭和42年3月9日判決(昭和41年(オ)第251号,民集第21巻2号274頁,約束手形金請求)。裁判所HPの判示事項は「破産者は株式会社の取締役となることができるか」である。
第9 取締役等の義務及び責任
1 第三者責任,監視義務及び経営判断
① 最高裁大法廷昭和44年11月26日判決(昭和39年(オ)第1175号,民集第23巻11号2150頁,損害賠償請求)。裁判所HPの判示事項は「一,商法二六六条ノ三第一項前段の法意 二,株式会社の代表取締役が他の代表取締役その他の者に会社業務の一切を任せきりにした場合と任務の解怠」である。
② 最高裁昭和48年5月22日判決(昭和46年(オ)第673号,民集第27巻5号655頁,損害賠償請求)。裁判所HPの判示事項は「代表取締役の業務執行についての取締役の監視義務」である。
③ 最高裁平成12年7月7日判決(平成8年(オ)第270号,民集第54巻6号1767頁,取締役損失補填責任追及請求控訴及び共同訴訟参加事件)。裁判所HPの判示事項は「一 商法二六六条一項五号にいう「法令」の意義 二 会社がその業務を行うに際して遵守すべき規定に会社をして違反させることとなる取締役の行為と商法二六六条一項五号にいう法令違反行為 三 複数の株主が共同して追行する株主代表訴訟において共同訴訟人の一部の者が上訴をした場合に上訴をしなかった者の上訴審における地位」である。
④ 最高裁平成18年4月10日判決(平成15年(受)第1154号,民集第60巻4号1273頁,損害賠償請求事件)。裁判所HPの判示事項は「1 いわゆる仕手筋として知られるAが大量に取得したB社の株式を暴力団の関連会社に売却するなどとB社の取締役であるYらを脅迫した場合においてAの要求に応じて巨額の金員を交付することを提案し又はこれに同意したYらの忠実義務,善管注意義務違反が問われた行為について過失を否定することができないとされた事例 2 会社から見て好ましくないと判断される株主が議決権等の株主の権利を行使することを回避する目的で当該株主から株式を譲り受けるための対価を何人かに供与する行為と商法(平成12年法律第90号による改正前のもの)294条ノ2第1項にいう「株主ノ権利ノ行使ニ関シ」利益を供与する行為」である。
⑤ 最高裁平成20年1月28日判決(平成17年(受)第1440号,集民第227号105頁,損害賠償請求事件)。裁判所HPの判示事項は「1 銀行が,第三者割当増資を計画する企業から新株引受先として予定された当該企業の関連会社に対する引受代金相当額の融資を求められ,これを実行した場合において,融資を決定した取締役らに忠実義務,善管注意義務違反があるとされた事例 2 銀行が,積極的な融資の対象であったが大幅な債務超過となって破たんに直面した企業に対し,同企業を数か月延命させる目的で追加融資を実行した場合において,追加融資を決定した取締役らに忠実義務,善管注意義務違反があるとされた事例」である。
⑥ 最高裁平成21年3月10日判決(平成19年(受)第799号,民集第63巻3号361頁,所有権移転登記手続請求事件)。裁判所HPの判示事項は「株主代表訴訟の対象となる商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)267条1項にいう「取締役ノ責任」には,取締役が会社との取引によって負担することになった債務についての責任も含まれるか」である。
⑦ 最高裁平成21年7月9日判決(平成20年(受)第1602号,集民第231号241頁,損害賠償請求事件)。裁判所HPの判示事項は「株式会社の従業員らが営業成績を上げる目的で架空の売上げを計上したため有価証券報告書に不実の記載がされ,株主が損害を被ったことにつき,会社の代表者に従業員らによる架空売上げの計上を防止するためのリスク管理体制構築義務違反の過失がないとされた事例」である。
⑧ 最高裁平成21年11月27日判決(平成19年(受)第1056号,集民第232号353頁,損害賠償請求事件)。裁判所HPの判示事項は「A銀行が,県から要請を受け,県において再建資金の融資を計画していたB社に対し,上記融資が実行されるまでのつなぎ融資をした後に,B社に追加融資をしてもその回収を容易に見込めない一方で,これをしなければB社が破綻,倒産する可能性が高く,上記つなぎ融資まで回収不能となるおそれがある状況の下で,B社に対して追加融資をした場合において,その追加融資の一部につき,これを決定したA銀行の取締役らに善管注意義務違反があるとされた事例」である。
⑨ 最高裁平成22年7月15日判決(平成21年(受)第183号,集民第234号225頁,損害賠償請求事件)。裁判所HPの判示事項は「A社が事業再編計画の一環としてB社の株式を任意の合意に基づき買い取る場合において,A社の取締役に上記株式の買取価格の決定について善管注意義務違反はないとされた事例」である。
⑩ 最高裁令和3年7月19日判決(令和1年(受)第1968号,集民第266号157頁,損害賠償請求事件)。裁判所HPの判示事項は「監査の範囲が会計に関するものに限定されている監査役は,計算書類及びその附属明細書の監査を行うに当たり,当該計算書類等に表示された情報が会計帳簿の内容に合致していることを確認しさえすれば,その任務を尽くしたといえるか」である。
⑪ 最高裁令和4年6月27日決定(令和4年(許)第3号,集民第268号323頁,訴訟代理人による訴訟行為の排除を求める申立て却下決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「会社法423条1項に基づく損害賠償請求訴訟において原告の設置した取締役責任調査委員会の委員であった弁護士が原告の訴訟代理人として行う訴訟行為を弁護士法25条2号及び4号の類推適用により排除することはできないとされた事例」である。
第10 役員報酬及び退職慰労金
1 役員報酬
① 最高裁昭和60年3月26日判決(昭和59年(オ)第1100号,集民第144号247頁,株主総会決議無効確認)。裁判所HPの判示事項は「取締役の報酬額には使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれない旨を明示してされた取締役の報酬額改訂の株主総会決議と商法二六九条」である。
② 最高裁平成17年2月15日判決(平成15年(受)第995号,集民第216号303頁,損害賠償請求事件)。裁判所HPの判示事項は「1 株主総会の決議を経ずに支払われた役員報酬について事後に株主総会の決議を経た場合における当該役員報酬の支払の効力 2 株主総会の決議を経ずに役員報酬が支払われたことを理由として当該報酬相当額の賠償を求める株主代表訴訟において被告とされた役員らが同訴訟提起後に当該報酬につき株主総会の決議を経たことを主張することと訴訟上の信義」である。
2 退職慰労金及び退職慰労年金
① 最高裁昭和44年10月28日判決(昭和44年(オ)第609号,集民第97号95頁,株主総会決議取消請求)。裁判所HPの判示事項は「株式会社の役員であつた者に対する退職慰労金についてその具体的な金額などの決定を取締役会に任せた株主総会の決議の効力」である。
② 最高裁昭和39年12月11日判決(昭和38年(オ)第120号,民集第18巻10号2143頁,株主総会決議無効確認請求)。裁判所HPの判示事項は「株主総会における株式会社役員退職慰労金支給に関する「金額,支給期日,支払方法を取締役会に一任する」との決議を有効とした事例。」である。
③ 最高裁平成4年10月29日判決(平成1年(オ)第605号,民集第46巻7号2580頁,株主総会決議取消)。裁判所HPの判示事項は「役員退職慰労金贈呈の株主総会決議取消しの訴えの係属中に当該決議と同一の内容の決議がされた場合と訴えの利益」である。
④ 最高裁平成19年11月16日判決(平成19年(受)第478号,集民第226号317頁,退職金請求事件)。裁判所HPの判示事項は「会社の執行役員を退任した者が会社に対し退職慰労金の支払を請求することができないとされた事例」である。
⑤ 最高裁平成21年12月18日判決(平成21年(受)第233号,集民第232号803頁,損害賠償等請求事件)。裁判所HPの判示事項は「株式会社が株主総会の決議等を経ることなく退任取締役に支給された退職慰労金相当額の金員につき不当利得返還請求をすることが信義則に反せず権利の濫用に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例」である。
⑥ 最高裁平成22年3月16日判決(平成21年(受)第1154号,集民第233号217頁,退職慰労金等請求事件)。裁判所HPの判示事項は「株主総会の決議を経て内規に従い支給されることとなった会社法361条1項にいう取締役の報酬等に当たる退職慰労年金につき,集団的,画一的な処理が制度上要請されているという理由のみから,内規の廃止により未支給の退職慰労年金債権を失わせることの可否」である。
⑦ 最高裁令和6年7月8日判決(令和4年(受)第1780号,民集第78巻3号839頁,退職慰労金等請求事件)。裁判所HPの判示事項は「退任取締役の退職慰労金について内規に従って決定することを取締役会に一任する旨の株主総会決議がされた場合に,上記退任取締役に対し上記内規の定める基準額から減額した退職慰労金を支給する旨の取締役会決議に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえないとされた事例」である。
第11 事業譲渡及び競業避止義務
1 事業譲渡の範囲と譲渡会社の責任
① 最高裁大法廷昭和40年9月22日判決(昭和36年(オ)第1378号,民集第19巻6号1600頁,建物並びに土地明渡所有権確認等請求)。裁判所HPの判示事項は「商法第二四五条第一項第一号にいう「営業ノ全部又ハ重要ナル一部ノ譲渡」の意義。」である。
② 最高裁昭和61年9月11日判決(昭和56年(オ)第1094号,集民第148号445頁,売掛金)。裁判所HPの判示事項は「一 商法二四五条一項一号の営業譲渡契約が株主総会の特別決議を経ていないことにより無効である場合と譲受人がする右の無効の主張 二 営業譲渡契約が譲受会社にとつて商法一六八条一項六号にいう財産引受に当たるのに原始定款に記載しなかつたことにより無効であるとの主張が信義則に反し許されないとされた事例 三 商法二四五条一項一号の営業譲渡契約が株主総会の特別決議を経ていないことにより無効であるとの譲受人の主張が信義則に反し許されないとされた事例」である。
③ 最高裁平成7年3月9日判決(平成3年(オ)第120号,集民第174号769頁,株主総会決議取消)。裁判所HPの判示事項は「営業の重要な一部を譲渡する旨の決議がされた株主総会の招集通知に右営業の譲渡の要領を記載しなかった違法がある場合に商法二五一条により右決議の取消請求を棄却することの可否」である。
第12 会計帳簿,会社訴訟,解散及び清算
1 会計帳簿等の閲覧謄写
① 最高裁平成16年7月1日判決(平成15年(受)第1104号,民集第58巻5号1214頁,会計帳簿閲覧謄写,株主総会議事録等閲覧謄写,社員総会議事録等閲覧謄写請求事件)。裁判所HPの判示事項は「1 商法293条ノ6の規定に基づく会計帳簿等の閲覧謄写請求における当該請求の理由を基礎付ける事実の立証の要否 2 譲渡につき制限のある株式の価格を算定する目的でした会計帳簿等の閲覧謄写請求と商法293条ノ7第1号にいう「株主ガ株主ノ権利ノ確保若ハ行使ニ関シ調査ヲ為ス為ニ非ズシテ請求ヲ為シタルトキ」」である。
② 最高裁平成21年1月15日決定(平成20年(許)第44号,民集第63巻1号1頁,親会社の株主の子会社の会社帳簿等閲覧許可決定等に対する抗告審の変更決定等に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「子会社の会計帳簿等の閲覧謄写許可申請をした親会社の株主につき,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)293条の8第2項が不許可事由として規定する同法293条の7第2号に掲げる事由があるというためには,当該株主に会計帳簿等の閲覧謄写によって知り得る情報を自己の競業に利用するなどの主観的意図があることを要するか」である。
2 会社訴訟,解散及び清算
① 最高裁平成13年1月30日決定(平成12年(許)第17号,民集第55巻1号30頁,補助参加申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「取締役会の意思決定が違法であるとして取締役に対し提起された株主代表訴訟において株式会社が取締役を補助するため訴訟に参加することの許否」である。
② 最高裁平成14年1月22日判決(平成10年(オ)第282号,集民第205号73頁,損害賠償請求,共同訴訟参加事件)。裁判所HPの判示事項は「商法268条2項による株主代表訴訟への参加が不当に訴訟を遅延させるものとはいえないとされた事例」である。
③ 最高裁昭和43年3月15日判決(昭和42年(オ)第124号,民集第22巻3号625頁,約束手形,約束手形金本訴並びに売買代金反訴各請求)。裁判所HPの判示事項は「株式会社が同時破産廃止の決定を受けた場合と清算人」である。
④ 最高裁平成16年10月4日判決(平成14年(受)第1289号,民集第58巻7号1771頁,書類閲覧等請求事件)。裁判所HPの判示事項は「清算の結了した株式会社の利害関係人が商法429条の規定に基づき同条前段所定の帳簿及び重要な資料の閲覧又は謄写の請求をすることの可否」である。
⑤ 最高裁平成26年7月10日決定(平成25年(ク)第1158号,集民第247号49頁,再審請求棄却決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告及び許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「1 株式会社の解散の訴えに係る請求を認容する確定判決に対する再審の訴えと上記確定判決の効力を受ける第三者の原告適格 2 当事者の一方の請求に対して訴え却下又は請求棄却の判決を求めるのみの独立当事者参加の申出の適否」である。
⑥ 最高裁平成25年11月21日決定(平成24年(許)第43号,民集第67巻8号1686頁,再審請求棄却決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「1 新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決に対する再審の訴えと上記確定判決の効力を受ける第三者の原告適格 2 新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決と民訴法338条1項3号の再審事由 3 新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決に民訴法338条1項3号の再審事由が存在するとみる余地があるとされた事例」である。
第13 旧有限会社法
1 資本減少,持分譲渡,共有持分及び訴権濫用
① 最高裁昭和42年2月17日判決(昭和39年(オ)第383号,集民第86号279頁,資本減少無効確認請求)。裁判所HPの判示事項は「一 有限会社の資本減少の効力の発生時期 二 減資による変更登記がなされる以前に提起された減資無効の訴の適否」である。
② 最高裁平成9年3月27日判決(平成6年(オ)第7号,民集第51巻3号1628頁,社員総会決議不存在確認等,代表取締役の地位確認)。裁判所HPの判示事項は「有限会社の社員全員の承認の下にされた持分譲渡の効力」である。
③ 最高裁平成9年1月28日判決(平成5年(オ)第1939号,集民第181号83頁,社員総会決議不存在確認)。裁判所HPの判示事項は「有限会社法二二条,商法二〇三条二項にいう社員の権利を行使すべき者の指定方法」である。
④ 最高裁昭和53年7月10日判決(昭和52年(オ)第1321号,民集第32巻5号888頁,社員総会決議不存在確認)。裁判所HPの判示事項は「有限会社の社員総会決議不存在確認を求める訴の提起が訴権の濫用にあたるとされた事例」である。
第14 会社法と接続する周辺判例
1 周辺判例を区分する理由
会社の株式発行,開示,組織再編又は役員の行為が問題となっていても,最高裁の直接の判断対象が租税法,金融商品取引法,不法行為法又は刑罰法規である事件は,会社法判例そのものとは区別する必要がある。もっとも,企業法務で併せて検索される可能性が高いため,旧記事に掲載されていた最高裁判例を次のとおり残す。
2 所得税及び法人税
① 最高裁令和2年3月24日判決(平成30年(行ヒ)第422号,集民第263号63頁,所得税更正処分取消等請求事件)。裁判所HPの判示事項は「取引相場のない株式の譲渡に係る所得税法59条1項所定の「その時における価額」につき,配当還元価額によって評価した原審の判断に違法があるとされた事例」である。
② 最高裁平成18年1月24日判決(平成16年(行ヒ)第128号,集民第219号285頁,法人税更正処分等取消請求事件)。裁判所HPの判示事項は「親会社が子会社に新株の有利発行をさせて親会社の保有する子会社株式に表章された資産価値を上記発行を受けた関連会社に移転させたことが親会社の益金の額の計算において法人税法22条2項にいう取引に当たるとされた事例」である。
③ 最高裁平成28年2月29日判決(平成27年(行ヒ)第75号,民集第70巻2号242頁,法人税更正処分取消請求事件)。裁判所HPの判示事項は「1 法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」の意義及びその該当性の判断方法 2 甲社が乙社の発行済株式全部を買収して乙社を完全子会社とし,その後乙社を吸収合併した場合において,甲社の代表取締役社長が上記買収前に乙社の取締役副社長に就任した行為が,法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるとされた事例 3 法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「その法人の行為又は計算」の意義」である。
④ 最高裁平成23年2月18日判決(平成20年(行ヒ)第139号,集民第236号71頁,贈与税決定処分取消等請求事件)。裁判所HPの判示事項は「香港に赴任しつつ国内にも相応の日数滞在していた者が,国外財産の贈与を受けた時において,相続税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)1条の2第1号所定の贈与税の課税要件である国内(同法の施行地)における住所を有していたとはいえないとされた事例」である。
3 金融商品取引及び投資取引
① 最高裁平成24年3月13日判決(平成22年(受)第755号,民集第66巻5号1957頁,損害賠償請求事件)。裁判所HPの判示事項は「1 検察官は金融商品取引法21条の2第3項にいう「当該提出者の業務若しくは財産に関し法令に基づく権限を有する者」に当たるか 2 金融商品取引法21条の2第3項にいう「虚偽記載等に係る記載すべき重要な事項」の意義 3 金融商品取引法21条の2第5項にいう「虚偽記載等によって生ずべき当該有価証券の値下り」の意義 4 虚偽記載等のある有価証券報告書等の提出者等を発行者とする有価証券につき,投資者がこれを複数回にわたってそれぞれ異なる価額で取得しこれを複数回にわたってそれぞれ異なる価額で処分した場合における,上記投資者が金融商品取引法21条の2に基づき請求することのできる額の算定方法 5 金融商品取引法21条の2に基づく損害賠償債務が遅滞に陥る時期」である。
② 最高裁平成24年12月21日判決(平成23年(受)第392号,集民第242号91頁,再生債権査定異議事件)。裁判所HPの判示事項は「株式会社が,臨時報告書及び有価証券報告書の虚偽記載等の事実の公表をするとともに,同日,再生手続開始の申立てをした場合において,金融商品取引法21条の2第2項の規定により損害の額を算定するに当たり,同条4項又は5項の規定による減額を否定した原審の判断に違法があるとされた事例」である。
③ 最高裁令和2年12月22日判決(平成30年(受)第1961号,民集第74巻9号2277頁,損害賠償請求事件)。裁判所HPの判示事項は「1 有価証券届出書の財務計算に関する書類に係る部分に虚偽記載等がある場合に当該有価証券の募集に係る発行者等と元引受契約を締結した金融商品取引業者等が金融商品取引法21条1項4号の損害賠償責任につき同条2項3号による免責を受けるための要件 2 株式の上場に当たり提出された有価証券届出書のうち当該上場の最近事業年度及びその直前事業年度の財務諸表に虚偽記載があった場合において当該株式の発行者等と元引受契約を締結した金融商品取引業者の金融商品取引法21条1項4号の損害賠償責任につき同条2項3号による免責が否定された事例」である。
④ 最高裁平成17年7月14日判決(平成15年(受)第1284号,民集第59巻6号1323頁,損害賠償請求事件)。裁判所HPの判示事項は「1 証券取引における適合性原則違反と不法行為の成否 2 証券会社の担当者による株価指数オプションの売り取引の勧誘が適合性原則から著しく逸脱するものであったとはいえないとして不法行為の成立が否定された事例」である。
⑤ 最高裁平成21年7月16日判決(平成20年(受)第802号,民集第63巻6号1280頁,損害賠償請求事件)。裁判所HPの判示事項は「特定の種類の商品先物取引について差玉向かいを行っている商品取引員が,専門的な知識を有しない委託者との間で締結した商品先物取引委託契約上,委託者に対して負う説明義務及び通知義務」である。
⑥ 最高裁平成25年3月7日判決(平成23年(受)第1493号,集民第243号51頁,損害賠償請求事件)。裁判所HPの判示事項は「銀行と顧客との間で固定金利と変動金利を交換してその差額を決済するという金利スワップ取引に係る契約を締結した際に銀行に説明義務違反があったとはいえないとされた事例」である。
⑦ 最高裁平成25年3月26日判決(平成23年(受)第1496号,集民第243号159頁,損害賠償請求本訴,受払金請求反訴事件)。裁判所HPの判示事項は「銀行と顧客との間で固定金利と変動金利を交換してその差額を決済するという金利スワップ取引に係る契約を締結した際に銀行に説明義務違反があったとはいえないとされた事例」である。
⑧ 最高裁平成28年3月15日判決(平成26年(受)第2454号,集民第252号55頁,損害賠償請求事件)。裁判所HPの判示事項は「顧客が証券会社の販売する仕組債を運用対象金融資産とする信託契約を含む一連の取引を行った際に証券会社に説明義務違反があったとはいえないとされた事例」である。
⑨ 最高裁平成22年10月22日判決(平成20年(受)第1631号,民集第64巻7号1843頁,損害賠償請求事件)。裁判所HPの判示事項は「証券取引法施行令(平成18年政令第377号による改正前のもの)7条5項4号,発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令(平成18年内閣府令第86号による改正前のもの)3条の2の4第1項及び第2項所定の「株券等」に,特定買付け等(同施行令7条5項にいうもの)の対象とならない株券等は含まれるか」である。
4 会社・証券をめぐる刑事事件
① 最高裁平成20年7月18日判決(平成17年(あ)第1716号,刑集第62巻7号2101頁,証券取引法違反,商法違反被告事件)。裁判所HPの判示事項は「旧株式会社日本長期信用銀行の平成10年3月期に係る有価証券報告書の提出及び配当に関する決算処理につき,これまで「公正ナル会計慣行」として行われていた税法基準の考え方によったことが違法とはいえないとして,同銀行の頭取らに対する虚偽記載有価証券報告書提出罪及び違法配当罪の成立が否定された事例」である。
② 最高裁平成21年12月7日判決(平成19年(あ)第818号,刑集第63巻11号2165頁,証券取引法違反被告事件)。裁判所HPの判示事項は「旧株式会社日本債券信用銀行の平成10年3月期の決算処理における支援先等に対する貸出金の査定に関して,これまで「公正ナル会計慣行」として行われていた税法基準の考え方によることも許容されるとして,資産査定通達等によって補充される平成9年7月31日改正後の決算経理基準を唯一の基準とした原判決が破棄された事例」である。
③ 最高裁平成22年5月31日決定(平成19年(あ)第1462号,集刑第300号191頁,証券取引法違反被告事件)。裁判所HPの判示事項は「虚偽記載半期報告書提出罪及び虚偽記載有価証券報告書提出罪について,当該会社と会計監査契約を締結していた監査法人に所属する公認会計士に会社代表取締役らとの各共同正犯の成立を認めた原判断が是認された事例」である。
④ 最高裁平成23年6月6日決定(平成21年(あ)第375号,刑集第65巻4号385頁,証券取引法違反被告事件)。裁判所HPの判示事項は「証券取引法(平成18年法律第65号による改正前のもの)167条2項にいう「公開買付け等を行うことについての決定」の意義」である。
⑤ 最高裁平成27年4月8日決定(平成25年(あ)第1676号,刑集第69巻3号523頁,詐欺,証券取引法違反,金融商品取引法違反被告事件)。裁判所HPの判示事項は「1 金融商品取引法(平成20年法律第65号による改正前のもの)166条1項1号にいう「役員,代理人,使用人その他の従業者」の意義 2 金融商品取引法(平成20年法律第65号による改正前のもの)166条1項1号にいう「その他の従業者」に当たるとされた事例」である。
⑥ 最高裁平成17年10月7日決定(平成15年(あ)第59号,刑集第59巻8号1108頁,商法違反,法人税法違反被告事件)。裁判所HPの判示事項は「会社の絵画等購入担当者の特別背任行為につき同社に絵画等を売却した会社の支配者が共同正犯とされた事例」である。
⑦ 最高裁平成20年5月19日決定(平成18年(あ)第2030号,刑集第62巻6号1623頁,商法違反被告事件)。裁判所HPの判示事項は「銀行がした融資に係る頭取らの特別背任行為につき,当該融資の申込みをしたにとどまらず,その実現に積極的に加担した融資先会社の実質的経営者に,特別背任罪の共同正犯の成立が認められた事例」である。
⑧ 最高裁平成17年11月15日決定(平成14年(あ)第1396号,刑集第59巻9号1476頁,被告人Aに対する公正証書原本不実記載,同行使,有印私文書偽造,同行使,被告人Bに対する公正証書原本不実記載,同行使各被告事件)。裁判所HPの判示事項は「定款に株式譲渡制限の定めのある非上場会社の一人株主がその全株式を同社の債務の担保のため譲渡担保に供するなどした後に同社の役員の解任及び選任等の株式会社変更登記申請を行い同社の商業登記簿の原本にその旨記載させた行為につき公正証書原本不実記載罪が成立するとされた事例」である。
⑨ 最高裁平成17年12月13日決定(平成17年(あ)第204号,刑集第59巻10号1938頁,電磁的公正証書原本不実記録,同供用被告事件)。裁判所HPの判示事項は「新株の引受人が会社から第三者を通じて間接的に融資を受けた資金によってした新株の払込みが無効であるとして商業登記簿の原本である電磁的記録に増資の記録をさせた行為につき電磁的公正証書原本不実記録罪の成立が認められた事例」である。
⑩ 最高裁平成16年10月18日決定(平成16年(あ)第955号,集刑第286号393頁,有印私文書偽造,同行使,電磁的公正証書原本不実記録,同供用被告事件)。裁判所HPの判示事項は「無権限者が自己を議長取締役等と表示して株式会社の株主総会議事録等を作成した場合の当該文書の作成名義人」である。
5 その他の法人
① 最高裁令和6年3月27日決定(令和4年(許)第18号,民集第78巻1号252頁,臨時社員総会招集許可申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)。裁判所HPの判示事項は「社団たる医療法人の社員が一般社団法人及び一般財団法人に関する法律37条2項の類推適用により裁判所の許可を得て社員総会を招集することの可否」である。
第15 関連記事
1 株式・株主の認定
名義株については,名義株の株主は誰か(AI作成)及び名義株は違法か(AI作成)で,株主認定,名義書換え,税務及び上場規則との関係を整理している。
2 会社と取締役との訴えの代表者
監査役設置会社における会社の代表者については,監査役設置会社と取締役・退任取締役との間の訴えにおける会社代表者(AIリライト)を参照されたい。
第16 出典・参考資料
1 法令
2 裁判例
① 裁判所・裁判例検索。本記事に収録した最高裁判例114件は,各項目の個別ページに事件番号,判例集等巻・号・頁及び判示事項を付した。
3 文献
① 青竹正一『新会社法〔第6版〕』信山社,令和6年(弁護士ドットコムライブラリー・リーダー192頁,315頁,318頁,320頁,323頁,465頁,484頁,490頁,511頁,546頁~547頁,584頁,588頁,724頁及び820頁を確認)。
② 伊藤靖史・大杉謙一・田中亘・松井秀征『会社法〔第5版〕(LEGAL QUEST)』有斐閣,令和3年(同リーダー78頁~83頁,97頁,116頁,121頁,126頁~127頁,138頁,148頁~150頁,171頁,180頁,185頁,198頁~204頁,217頁,220頁~223頁,255頁,262頁,265頁,274頁,276頁,291頁,309頁,313頁,345頁,356頁,361頁,371頁~373頁,415頁,460頁~463頁,487頁,501頁及び524頁を確認)。
③ 森・濱田松本法律事務所ほか『企業訴訟実務問題シリーズ 会社法訴訟』中央経済社,平成29年(同リーダー44頁,51頁,53頁,66頁~67頁,73頁~75頁,91頁,101頁,132頁,135頁~136頁,141頁~156頁及び161頁を確認)。
④ 森・濱田松本法律事務所『新・会社法実務問題シリーズ/9 組織再編〈第3版〉』中央経済社,令和4年(同リーダー338頁,342頁,345頁~349頁,473頁~474頁及び482頁を確認)。
⑤ 永吉啓一郎『第2版 非公開会社における少数株主対策の実務』清文社,令和5年(同リーダー46頁,91頁,102頁,110頁,117頁~119頁,130頁,246頁,248頁,314頁,335頁及び350頁~351頁を確認)。
4 企業法務の解説
① BUSINESS LAWYERS「新株発行無効の訴えはいつまで可能か」。
② BUSINESS LAWYERS「組織再編に反対した株主の株式買取請求に係る「公正な価格」の意義」。
③ BUSINESS LAWYERS「経営判断の原則とは」。
④ BUSINESS LAWYERS「取締役が負う代表取締役等の監視・監督義務について」。