第1 JR西日本―東海道本線・山陽本線・新幹線1 官設鉄道の開業から山陽鉄道の国有化まで2 東海道新幹線・山陽新幹線の開業3 愛称路線名の使用開始とJR東西線・おおさか東線4 福知山線への直通運転と脱線事故第2 JR西日本―大阪環状線1 城東線の成立2 西成線の成立3 大阪環状線としての統合以後第3 JR西日本―関西本線・阪和線・関西空港線1 関西本線2 阪和線3 関西空港線第4 大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)1 大阪市電から地下鉄・民営化までの全体像2 御堂筋線と北大阪急行電鉄南北線3 谷町線4 四つ橋線5 中央線6 千日前線・堺筋線7 南港ポートタウン線・長堀鶴見緑地線・今里筋線第5 京阪電気鉄道1 京阪本線・鴨東線2 中之島線3 交野線4 持株会社体制への移行第6 阪急阪神ホールディングスグループ1 阪急京都本線・千里線2 阪急神戸本線・宝塚本線3 阪神本線・阪神なんば線4 経営統合の経緯第7 大阪高速鉄道(大阪モノレール線)第8 近畿日本鉄道1 大阪線・奈良線・難波線2 南大阪線・道明寺線・長野線第9 南海電気鉄道グループ1 南海本線・空港線2 高野線3 旧泉北高速鉄道線出典・参考資料1 法令2 裁判例3 行政資料4 各社公式資料・一次史料第1 JR西日本―東海道本線・山陽本線・新幹線
本記事は,大阪府及びその周辺で運行される主な鉄道路線について,開業,改称,国有化又は会社合併,主な事故その他の出来事を,運営会社ごとに時系列で整理するものである。
対象は,JR西日本,大阪市高速電気軌道(大阪メトロ),京阪電気鉄道,阪急電鉄,阪神電気鉄道,大阪高速鉄道(大阪モノレール),近畿日本鉄道及び南海電気鉄道グループの主要路線であり,記事作成時点(2026年8月)で確認できる公式資料及び日本語Wikipediaの記載を,各社公式発表その他の一次資料と突き合わせて記載する。
1 官設鉄道の開業から山陽鉄道の国有化まで
大阪と神戸を結ぶ官設鉄道は,日本の鉄道創業期にあたる1874年5月11日,大阪駅・神戸駅間で開業した。
官設鉄道は,1877年2月6日に大阪駅・京都駅間を延伸し,1889年7月1日には新橋駅・神戸駅間が全通して,現在の東海道本線・山陽本線の基幹部分が完成した。
私設鉄道である山陽鉄道は,1901年5月27日に神戸駅・馬関駅(現在の下関駅)間を全通させ,関西と九州方面を結ぶ大動脈を形成した。
その後,1906年に制定された鉄道国有法(明治39年法律第17号)により,同年12月1日,山陽鉄道は国有化された。
同法による幹線私鉄の国有化は,大阪環状線及び関西本線の前身となった関西鉄道・西成鉄道にも及んでおり,その経緯は第2・第3で扱う。
2 東海道新幹線・山陽新幹線の開業
東海道新幹線は,1964年10月1日,東京駅・新大阪駅間で開業した。
これにより,新大阪駅が東海道新幹線及び東海道本線の駅として開業している。
山陽新幹線は,まず1972年3月15日に新大阪駅・岡山駅間で開業し,1975年3月10日に岡山駅・博多駅間が開業して全通した。
3 愛称路線名の使用開始とJR東西線・おおさか東線
1988年3月13日,京都駅・大阪駅間の愛称として「JR京都線」が,大阪駅・姫路駅間の愛称として「JR神戸線」が,それぞれ使用されるようになった。
JR神戸線は,1995年1月17日の阪神・淡路大震災により全線が不通となったが,同年4月1日に全線が復旧している。
1997年3月8日,京橋駅・尼崎駅間でJR東西線が開業し,これに伴い,福知山線及び東海道本線と,片町線(木津駅・京橋駅間,愛称「学研都市線」)との直通運転が開始した。
おおさか東線は,2008年3月15日に放出駅(はなてんえき)・久宝寺駅間で先行開業し,2019年3月16日の新大阪駅・放出駅間の開業により全面開業した。
さらに,2023年3月18日には大阪駅にうめきた地下ホームが開業し,おおさか東線の終着駅となったほか,特急「はるか」及び特急「くろしお」の一部列車が発着するようになっている。
4 福知山線への直通運転と脱線事故
前記のとおり,福知山線はJR東西線経由で東海道本線・片町線と直通運転する関係にあるところ,2005年4月25日,福知山線塚口駅・尼崎駅間で快速列車が脱線し,運転士を含む107名が死亡,562名が負傷するJR福知山線脱線事故が発生した。
事故当時の鉄道本部長であった山崎正夫元社長は業務上過失致死傷罪で在宅起訴されたが,神戸地方裁判所は無罪を言い渡し,同判決は確定した。
検察審査会の議決により強制起訴された歴代3社長(井手正敬・南谷昌二郎・垣内剛の各氏)についても,神戸地方裁判所及び大阪高等裁判所がいずれも無罪とし,最高裁判所第二小法廷は上告を棄却する決定をして,無罪が確定している。
この刑事事件の過程では,事故調査を担当した委員への働きかけが発覚し,当時取締役であった山崎正夫氏らが引責辞任する事態にも至った。
第2 JR西日本―大阪環状線1 城東線の成立
大阪環状線の東側部分にあたる城東線は,私設鉄道であった大阪鉄道(初代)に由来する。
同社は,1889年5月14日に柏原駅・天王寺駅・湊町駅間を開業させたのを皮切りに,1895年5月28日に天王寺駅・玉造駅間,同年10月17日に玉造駅・梅田駅(現在の大阪駅)間を順次開業させた。
1900年6月6日,関西鉄道が大阪鉄道を買収し,梅田駅は官設鉄道の大阪駅に統合された。
関西鉄道は,鉄道国有法により1907年10月1日に国有化され,1909年10月12日の国有鉄道線路名称制定により,天王寺駅・大阪駅間は城東線と称されることとなった。
1945年8月14日,終戦前日には京橋駅・森ノ宮駅付近が空襲を受けている。
2 西成線の成立
大阪環状線の西側部分にあたる西成線は,私設鉄道であった西成鉄道に由来する。
同社は1899年5月1日に大阪駅・福島駅間の旅客営業を開始し,鉄道国有法により1906年12月1日に国有化された。
1909年10月12日の国有鉄道線路名称制定により,大阪駅・西九条駅・天保山駅間は西成線と称されることとなり,1943年10月1日には西成線と城東線の直通運転が開始した。
3 大阪環状線としての統合以後
大阪環状線は,1961年4月25日,西九条駅・大正駅・天王寺駅間の開業により成立した。
これは,城東線及び西成線の大阪駅・西九条駅間,野田駅・大阪市場駅間を統合したもので,西成線のうち西九条駅・桜島駅間(4.5km)は,別途,桜島線として分離された。
関西本線と大阪環状線の結節点にあたる今宮駅は,このとき既に大阪鉄道時代の1899年3月1日に湊町駅・天王寺駅間の新設駅として開業していたが,大阪環状線側のホームは,前記のとおり,JR東西線開業時の1997年3月8日に使用が開始されている。
大阪環状線には,1964年3月22日に国鉄の新今宮駅が開業し,1966年12月1日には南海の新今宮駅が開業して乗換駅となった。
1983年10月1日には大阪城公園駅が開業している。
1994年9月4日の関西国際空港開業に伴い,特急「はるか」の運転が始まったほか,大阪環状線では関空快速の運転が開始した。
2001年3月1日,桜島線は「JRゆめ咲線」という愛称の使用を開始し,同月31日のユニバーサル・スタジオ・ジャパン開業に先立って,ユニバーサルシティ駅が同年3月1日に新設開業している。
2018年3月17日には,各駅に駅ナンバリングが導入された。
第3 JR西日本―関西本線・阪和線・関西空港線1 関西本線
関西本線の大阪府内区間は,前記の大阪鉄道(初代)が1889年5月14日に開業させた湊町駅・柏原駅間に由来し,同社は1892年2月2日に湊町駅・奈良駅間を全通させた。
1900年6月6日に関西鉄道が大阪鉄道を買収し,同年9月1日には関西鉄道の湊町駅・名古屋駅間が同社の本線に指定された。
関西鉄道は,鉄道国有法により1907年10月1日に国有化され,1909年10月12日の国有鉄道線路名称制定により,名古屋駅・奈良駅・湊町駅間が関西本線と称されることとなった。
戦後は,名古屋駅・湊町駅間を結ぶ準急列車が1949年6月1日に運転を開始し,1958年11月1日には「かすが」と命名された。
「かすが」の運転区間は,1968年10月1日のいわゆる「ヨンサントオ」ダイヤ改正で名古屋駅・奈良駅間が原則となり,1973年10月1日以降は同区間だけの運転となったが,2006年3月18日に廃止されている。
1988年3月13日の路線愛称制定により,関西本線のうち加茂駅(京都府木津川市)からJR難波駅(大阪市浪速区)までの区間には「大和路線」の愛称が使用されるようになった。
なお,湊町駅は1989年12月28日に南西へ約100メートル移転し,関西国際空港が開港した1994年9月4日以降はJR難波駅と称されている。
2008年3月15日のおおさか東線開業により,奈良駅・尼崎駅間をおおさか東線・JR東西線経由で運転する直通快速の運転も始まった。
2 阪和線
阪和線は,私設鉄道であった阪和電気鉄道に由来する。
同社は,1929年7月18日に天王寺駅・和泉府中駅間を開業させ,1930年6月16日には和泉府中駅・東和歌山駅(現在の和歌山駅)間を開業させて全通した。
阪和電気鉄道は,1940年12月1日に南海鉄道へ吸収合併され,南海鉄道山手線となった。
第二次世界大戦中の1944年5月1日,南海鉄道山手線は戦時買収により国有化され,阪和線となった。
大阪府内の私鉄で戦時買収の対象となったのは,この南海鉄道山手線だけである。
3 関西空港線
関西空港線は,1994年6月15日に日根野駅・関西空港駅間で開業し,同年9月4日の関西国際空港開港に合わせて,特急「はるか」の運転が始まった。
2018年9月4日,台風21号の強風によりタンカーが走錨して連絡橋に衝突し,橋桁が損傷したことから,関西空港線は南海空港線とともに全線が不通となったが,同月18日に全線が復旧している。
このタンカーは「宝運丸」で,元船長は業務上過失往来危険の容疑で書類送検されたものの,嫌疑不十分で不起訴となった。
連絡橋を管理する西日本高速道路株式会社が運航会社(日之出海運)に対して修復費用等を請求したのに対し,同社は船主責任制限手続を申し立て,福岡地方裁判所は責任制限額を約3億3000万円とする決定をし,福岡高等裁判所も西日本高速道路側の即時抗告を棄却している。
連絡橋の被害総額と責任制限額との間には大きな乖離があり,船舶所有者等の責任の制限に関する法律(船主責任制限法)に基づく責任制限の実例として参照される事案である。
第4 大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)1 大阪市電から地下鉄・民営化までの全体像
大阪市が経営した路面電車である大阪市電は,1903年9月12日に開業し,1969年3月31日に全廃された。