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旧統一教会の解散命令に関する東京高裁令和8年3月4日決定の判例評釈(AI作成)

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※以下はAIが生成した要約です。内容の正確性は保証されません。本文をあわせてご確認ください。

東京高裁令和8年3月4日決定(令和7年(ラ)第1003号)は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、宗教法人法81条1項1号に基づく解散命令を維持し、教団の即時抗告を棄却した。最高裁第三小法廷は令和8年6月22日、教団側の特別抗告を棄却した(令和8年(ク)第407号)。

東京高裁は、26件の確定判決で140名に対する信者らの行為の不法行為該当性と教団の責任が確定していることと、366名に係る訴訟上の和解が判決による責任認定そのものではないことを区別した。その上で、和解の経過、金額、債務負担及び担保設定等から責任と損害を推認し、確実に認定できる者に限っても被害者は506名に上ると評価した。

最高裁は、民法709条の不法行為を構成する行為が宗教法人法81条1項1号の「法令に違反」に当たるとした。長期・多数・多額の被害、達成困難な数値目標、教団の組織的関与、実効的な防止措置の欠如及び再発可能性を踏まえ、解散は必要かつ適切で、他に実効性ある手段はないと判断した。また、解散命令事件は非訟事件であり、抗告審で口頭弁論を経なかったことは憲法32条・82条に違反しないとした。

はじめに

東京高裁は令和8年3月4日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、宗教法人法81条1項1号に基づく解散命令を認めた東京地裁決定を維持し、教団の即時抗告を棄却した(令和7年(ラ)第1003号)。最高裁第三小法廷は同年6月22日、教団側の特別抗告を棄却した(令和8年(ク)第407号)。

本件の中心は、教義の真偽又は宗教的価値の審査ではない。長期間にわたる多数・多額の民事上違法な献金等の勧誘、達成困難な数値目標、教団の組織的関与、実効性ある是正措置の欠如及び再発可能性を、宗教法人法81条1項1号の要件に即して評価した点にある。

以下では、東京高裁決定の判断を整理した上で、最高裁決定によって明示された法的命題と、最高裁が個別には判断していない事項とを区別する。

第1 事案の概要と東京高裁決定の判断構造

1 事案の概要

所轄庁(国)は、教団について、宗教法人法81条1項1号(法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと)及び2号前段(宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと)に該当する事由があるとして、令和5年10月13日に解散命令を請求した。東京地裁は令和7年3月25日、1号該当性を認めて解散を命じ、教団が即時抗告した。

所轄庁は、宗教法人法78条の2に基づく報告徴収・質問権を7回行使し、民事判決、和解、内部文書その他の資料を収集した。東京高裁は、個々の信者の逸脱行為だけを問題にしたのではなく、連絡協議会・信徒会等と教団との実質的一体性又は指揮監督関係、献金等の数値目標、資金の集約、内部文書、紛争処理及び再発防止措置の実効性を総合した。

2 確定判決と和解の区別

東京高裁が重視した資料のうち、26件の確定判決では、140名に対する信者らの行為の不法行為該当性と教団の責任が確定している。認容された財産上の損害は合計15億1222万8609円、慰謝料は合計1億7177万円である。

例えば、夫を亡くした直後の女性に家系図を示して先祖の因縁による不幸を説き、退去しにくい状況で不安をあおって3000万円を献金させた事案、肉親を相次いで失った女性に子の早死や絶家を招くと説き、銀行から教会まで同行して2100万円を超える献金をさせた事案、文化サークルを装って勧誘し、正体を隠したまま因縁話で不安をあおり、全財産を拠出させた事案などが、社会通念上相当な範囲を逸脱するものと認定された。

他方、366名に係る訴訟上の和解は、判決による責任認定そのものではない。高裁は、教団が責任を争っていた各訴訟の経過、和解金額、信徒会関係者の債務負担、教団所有不動産への担保設定等を検討し、各受訴裁判所が不法行為及び教団の責任が成立し、少なくとも和解額相当の損害があるとの心証を形成した上で和解勧告をしたものと推認した。和解金は合計57億5277万6082円である。

その上で、高裁は、昭和54年11月から令和4年7月の銃撃事件までの42年以上にわたり、「確実に認定できる者に限っても」被害者は合計506名に上ると評価した。確定判決と和解とは証明上の意味が異なるため、両者を同じ意味で「責任が確定した事案」と扱うことはできない。

3 判断の骨格

(1) 個々の勧誘行為の不法行為性

高裁は、献金等の勧誘について、目的、方法、態様、相手方の属性及び生活状況、拠出額、自由な意思決定への影響等を検討し、社会通念上相当な範囲を逸脱したものが民法709条の不法行為に当たるとした。宗教的言説が用いられたこと自体ではなく、具体的な勧誘行為と被害が審査対象である。

(2) 連絡協議会・信徒会等と教団との関係

確定判決の大部分は教団の民法715条の使用者責任を認め、一部は民法709条の責任を認めた。高裁は、これらの民事判決、構成員、指揮監督、資金の流れ及び内部資料を基礎に、連絡協議会・信徒会等が実質的に教団と同一の組織であるか、教団との間に指揮監督関係があったと認定した。

(3) 数値目標と組織運営からみた不相当勧誘の未必的容認

高裁は、社会通念上相当な方法・態様による勧誘では達成できないような献金等の数値目標を設定し、その達成を組織的に求めていたこと、献金等が教団本部に集約されていたこと、献金式や感謝状等を通じて教団が利益を受けていたことなどを重視した。令和4年度には年間約560億円の献金等の目標が設定され、地域別・月別に割り当てられていたと認定されている。

その上で、教団が、信者らが不相当な献金等勧誘行為に及ぶことを少なくとも未必的に容認していたと事実認定上推認した。これは「未必的容認」という独立した新法理を示したものではない。

(4) 是正措置の実効性

教団は平成21年(2009年)にコンプライアンス宣言をし、その後の被害減少や内部体制を主張した。しかし高裁は、宣言後にも不相当な勧誘が続いたこと、数値目標の設定が継続したこと、実効的な防止措置が講じられていないことなどから、違法行為を防止する自浄作用が十分に機能したとは認めなかった。

(5) 解散の必要性

高裁は、被害の長期・多数・多額性、組織的関与、是正措置の欠如及び再発可能性を踏まえ、法人格を失わせることが必要でやむを得ないと判断した。不当寄附勧誘防止法等による措置だけで同様の行為を実効的に防止できるかも検討した上で、より制限的でない実効的な代替手段はないとした。

第2 法的評価

1 信教の自由と解散命令

宗教法人法は、宗教団体の精神的・宗教的側面ではなく、財産の所有・管理等の世俗的側面について法律上の能力を与える制度である。解散命令は宗教法人の法人格を失わせるための手続であり、信者個人の信仰又は宗教上の行為を法的に禁止するものではない。

もっとも、礼拝施設その他の法人財産が清算の対象となるため、宗教活動に事実上の支障を生じ得る。したがって、単に「宗教活動を禁止しないから信教の自由への影響はない」と整理するのも正確ではない。高裁及び最高裁は、信教の自由の重要性に照らし、解散の必要性と代替手段の有無を慎重に審査した。

2 自由権規約18条

高裁は、自由権規約18条3項との関係も検討した。宗教法人法81条1項1号は、単なる法令違反ではなく、「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」を要求する。本件で認定された民法709条上の不法行為は、多数の者の財産、自由な意思決定及び生活の平穏を長期にわたり害したものであるため、公共の安全・秩序・健康・道徳又は他者の基本的権利・自由を保護するための制限として、規約18条3項に反しないと判断した。

自由権規約委員会一般的意見22は、新たに成立した宗教や宗教的少数者も18条の保護対象であることを第2項及び第9項で明らかにしている。他方、第5項は、宗教又は信念を持ち、採用し、保持し、放棄又は変更する自由を害する強制を扱うものである。本件高裁決定が、一般的意見22第5項を根拠に、心理学上のマインドコントロール又はUndue Influenceの理論を独立の法理として採用したものではない。

3 「法令違反」と「著しく公共の福祉を害する」の二段階

宗教法人法81条1項1号の判断は、少なくとも二つの法的評価を区別して読む必要がある。第一に、最高裁は、民法709条の不法行為を構成する行為が同号の「法令に違反」する行為に当たるとした。第二に、本件勧誘の目的の不当性、態様の悪質性、長期・多数・多額の被害、教団の組織的関与及び継続性等を踏まえ、別の要件である「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」に当たるとした。

したがって、「組織性・悪質性・継続性を備えたときに初めて民法709条違反が『法令違反』になる」という整理は正確でない。これらの事情は、主として公共の福祉を著しく害すること及び解散の必要性の判断において重要となる。

宗教法人法81条の制度全体については、当ブログの「宗教法人の解散命令」で整理している。

4 民法709条・715条と組織的関与

26件の確定判決の大部分は、教団について民法715条の使用者責任を認めたものであり、一部は民法709条の不法行為責任を認めたものである。高裁は、これらの民事判決を素材として、連絡協議会・信徒会等と教団との実質的一体性又は指揮監督関係を認定し、数値目標、資金集約、内部文書及び紛争処理の実態も合わせて、宗教法人法81条1項1号の適用上、教団による組織的関与があったと評価した。

このため、本決定を、民法715条の使用者責任から独立の「組織的不法行為」という新法理へ移行したものと理解するのは正確でない。民事上の責任根拠と、宗教法人法81条上の組織的関与の評価は、関連しつつも区別される。

5 心理学・社会学上の概念との区別

本決定は、心理学上のマインドコントロール概念を独立の法的要件として採用したものではない。また、教義の真偽又は宗教的価値を審査したものでもない。個々の勧誘の方法・態様、被害の長期・多数・多額性、数値目標、組織体制、資金の流れ、是正措置及び再発可能性という外形的事実を審査したものである。

旧統一教会をめぐる訴訟の歴史では、洗脳、人格破壊又はマインドコントロールという構成が論じられてきた。しかし、その学説史・訴訟史と、本件で裁判所が採用した法的要件とを混同してはならない。

第3 判断の射程と解散後の清算

1 他の法人への一般化

本決定は、本件教団に固有の長期間の被害集積、数値目標、資金・指揮監督関係、是正措置及び再発可能性を詳細に認定したものであり、その結論を他の宗教団体又は一般企業に機械的に一般化することはできない。

一般的なコンプライアンス上の示唆としては、形式上別組織とされる団体であっても、構成員、指揮監督、資金の流れ、目標設定及び紛争処理の実態から、実質的な一体性又は関与が評価され得る点が参考になる。ただし、これは判旨そのものではない。

2 解散と法人格消滅の区別

解散命令の効力が発生しても、宗教法人の法人格が直ちに消滅するわけではない。宗教法人法48条の2により、解散した法人は清算目的の範囲で清算結了まで存続する。同法49条の2により、清算人は、現務の結了、債権の取立て、債務の弁済、残余財産の引渡し及びそのために必要な一切の行為を行う。法人格が消滅するのは清算結了時である。

本件では、東京高裁決定が出た令和8年3月4日に東京地裁が清算人を選任し、裁判所の監督下で清算が開始された。清算人は教団の資産・負債を調査し、資産を管理・処分し、被害者その他の債権者への弁済を行う。清算人サイトでは、損害賠償請求権を含む債権申出が案内されている。

3 海外資産と被害回復

海外に移転した資産の把握・回収には実務上の困難があり得るが、その程度や回収可能性は資産調査を経なければ判断できない。文化庁の清算指針は、関連会社、旧役員・職員等を調査し、必要に応じて外国の公私の団体にも協力を求めることを想定している。

したがって、「解散により賠償責任主体が直ちに消える」「日本法による回収方法はほとんどない」と断定することはできない。他方、清算手続の存在から実際の回収を楽観できるわけでもない。資産調査、債権届出、換価及び弁済の進捗を、清算人と文化庁の公表資料に基づいて追跡する必要がある。

4 宗教活動と法人財産

解散命令は信者個人の宗教活動を禁止しないが、清算法人は清算目的の範囲でのみ存続するため、従前どおりの宗教活動を行うことはできない。信者は法人格のない宗教団体を存続又は新設し得るが、清算法人の資産を当然に使用できるわけではない。

5 雇用関係

高裁は、清算結了等により宗教法人の法人格が消滅すれば、その時点まで存続していた清算法人との雇用契約は終了するとした。他方、法人格のない宗教団体が実体として存続する場合、同団体との雇用契約として存続する可能性があるとも述べた。

現実の清算については、清算人FAQが、清算法人との雇用契約はいずれ終了するが、終了時期は職員ごとに判断すると案内している。高裁が述べた法的な可能性と、現実の清算法人との雇用関係の処理は区別する必要がある。

第4 最高裁令和8年6月22日決定

最高裁第三小法廷は、教団側の特別抗告を棄却した。最高裁はまず、民法709条の不法行為を構成する行為が宗教法人法81条1項1号の「法令に違反」する行為に当たるとした。

次に、昭和48年から令和4年までの長期間にわたる不法な献金勧誘、多数・多額の財産的・精神的損害、社会通念上相当な範囲を逸脱しない方法・態様による勧誘では達成できないような数値目標及び教団の組織的関与を前提として、同号該当性は明らかであるとした。さらに、実効性ある防止措置がなく、今後も同様の数値目標を定めて献金の勧誘を求めるおそれがあり、信者らが不相当な勧誘を行う可能性が高いことから、教団を解散して法人格を失わせることは必要かつ適切であり、不当寄附勧誘防止法に基づく措置を含め、他に実効性ある手段はないと判断した。そして、解散命令は憲法20条1項及び21条1項に違反しないとした。

また、解散命令事件は、当事者が主張する実体的権利義務を確定する訴訟ではなく、公益確保のための非訟事件であるとした。そのため、抗告審も口頭弁論を経ることを憲法32条・82条から要求されないとした。

ただし、最高裁は、その他の抗告理由について、実質が単なる法令違反であって特別抗告事由に当たらないとした。したがって、高裁が示した国際人権法、遡及適用その他の全ての理由を最高裁が個別に承認したとまではいえない。

第5 総括

東京高裁決定とこれを維持した最高裁決定の中核は、宗教的教義の評価ではない。長期間にわたる多数・多額の民事上違法な勧誘、達成困難な数値目標、宗教法人による組織的関与、実効性ある是正措置の欠如及び将来の再発可能性を、宗教法人法81条1項1号の下で評価した点にある。

解散命令は信者個人の信仰又は宗教活動を法的に禁止するものではないが、法人財産が清算対象となるため、宗教活動に事実上の支障を及ぼし得る。最高裁は信教の自由の重要性を踏まえた慎重な審査を要求し、その上で、本件では解散が必要かつ適切で、他に実効性ある手段がないと判断した。

解散命令の効力発生後は、裁判所選任の清算人が資産・負債を調査し、被害者その他の債権者への弁済を含む清算を進める。今後は、清算人サイトと文化庁の公表資料に基づき、債権申出、資産調査及び弁済の進捗を判旨とは分けて確認する必要がある。

主要出典・参考文献

参考文献:『自由と正義』2022年7月号「宗教法人実務」19~20頁、33頁;庄司道弘監修・横浜関内法律事務所編・本間久雄著『宗教法人の法律相談』(青林書院、2023年)349~353頁;尾島史賢編集代表『実務家が陥りやすい 株式会社・各種法人別 清算手続の落とし穴』(新日本法規、2024年)211~214頁、218~220頁;本秀紀編『憲法講義[第4版]』(日本評論社、2026年)398頁;日本弁護士連合会編『消費者法講義[第6版]』(日本評論社、2024年)519頁;田村伸子編『消費者法と要件事実』(日本評論社、2023年)27頁。