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ポツダム宣言全文――原文・書き下し文・現代語訳を全13項で対照(AI作成)

第1 掲載する本文と三つの欄

1 「原文」「書き下し文」「現代語訳」の意味

ポツダム宣言は,米国,中華民国及び英国の政府首脳が1945年7月26日に発表した全13項の共同宣言である。米国国務省の外交文書集に収録された英語本文は,「日本の降伏条件を定める宣言」として,日本に戦争を終える機会を与え,第6項から第12項までに占領,領土,武装解除,民主主義及び経済などの条件を示した上で,第13項において全日本国軍隊の無条件降伏を求めている。

本記事の「原文」欄には,国立国会図書館が『日本外交年表並主要文書』下巻から掲載した日本語本文を転記する。この欄の「原文」は,日本語で公表されている文語体本文という意味であり,ポツダム宣言が日本語で起草されたという意味ではない。

「書き下し文」欄には,アジア歴史資料センターの「ポツダム宣言 書き下しと日本語訳」が,外交史料中の外務省仮訳について,旧字の一部を新字に改め,濁点,句読点及び読みを補った本文を掲載する。「現代語訳」欄は,生成AIを利用して作成した訳文を英語本文及び二つの日本語資料と項ごとに照合した本記事独自の訳であり,公定訳ではない。

2 転記と対照の方針

原文及び書き下し文は,資料の語句と表記を保存し,資料上の読点「、」もそのまま残した。書き下し文中の角括弧は,アジア歴史資料センターが補った読みである。現代語訳は,一文を短く分けることよりも,原文の主語,条件及び対象を落とさないことを優先した。

第2 ポツダム宣言全文の対照

1 第1項――宣言を発した三国首脳

区分本文
原文一、吾等合衆国大統領、中華民国政府主席及「グレート・ブリテン」国総理大臣ハ吾等ノ数億ノ国民ヲ代表シ協議ノ上日本国ニ対シ今次ノ戦争ヲ終結スルノ機会ヲ与フルコトニ意見一致セリ
書き下し文一、吾等合衆国大統領、中華民国政府主席及「グレート・ブリテン」国総理大臣は吾等の数億の国民を代表し、協議の上日本国に対し、今次の戦争を終結するの機会を与うることに意見一致せり。
現代語訳(本記事)私たち合衆国大統領,中華民国国民政府主席及び英国首相は,それぞれ数億の国民を代表して協議し,日本にこの戦争を終える機会を与えることで一致した。

2 第2項――連合国軍による最終攻撃の態勢

区分本文
原文二、合衆国、英帝国及中華民国ノ巨大ナル陸、海、空軍ハ西方ヨリ自国ノ陸軍及空軍ニ依ル数倍ノ増強ヲ受ケ日本国ニ対シ最後的打撃ヲ加フルノ態勢ヲ整ヘタリ右軍事力ハ日本国カ抵抗ヲ終止スルニ至ル迄同国ニ対シ戦争ヲ遂行スルノ一切ノ連合国ノ決意ニ依リ支持セラレ且鼓舞セラレ居ルモノナリ
書き下し文二、合衆国、英帝国及中華民国の巨大なる陸、海、空軍は西方より自国の陸軍及空軍に依る数倍の増強を受け、日本国に対し最後的打撃を加うるの態勢を整えたり、右軍事力は日本国が抵抗を終止するに至る迄[まで]同国に対し、戦争を遂行するの一切の連合国の決意に依[よ]り、支持せられ、且[かつ]鼓舞せられ居るものなり。
現代語訳(本記事)合衆国,英帝国及び中華民国の巨大な陸海空軍は,西方から来た陸軍及び航空部隊によって何倍にも増強され,日本に最後の打撃を加える態勢にある。この軍事力は,日本が抵抗をやめるまで対日戦を続ける全ての連合国の決意によって支えられている。

3 第3項――ドイツの抵抗を例とする破壊の警告

区分本文
原文三、蹶起セル世界ノ自由ナル人民ノ力ニ対スル「ドイツ」国ノ無益且無意義ナル抵抗ノ結果ハ日本国国民ニ対スル先例ヲ極メテ明白ニ示スモノナリ現在日本国ニ対シ集結シツツアル力ハ抵抗スル「ナチス」ニ対シ適用セラレタル場合ニ於テ全「ドイツ」国人民ノ土地、産業及生活様式ヲ必然的ニ荒廃ニ帰セシメタル力ニ比シ測リ知レサル程更ニ強大ナルモノナリ吾等ノ決意ニ支持セラルル吾等ノ軍事力ノ最高度ノ使用ハ日本国軍隊ノ不可避且完全ナル壊滅ヲ意味スヘク又同様必然的ニ日本国本土ノ完全ナル破壊ヲ意味スヘシ
書き下し文三、蹶起[けっき]せる世界の自由なる人民の力に対する「ドイツ」国の無益且無意義なる抵抗の結果は日本国国民に対する先例を極めて明白に示すものなり。現在日本国に対し集結しつつある力は抵抗する「ナチス」に対し、適用せられたる場合に於[お]いて全「ドイツ」国人民の土地、産業及生活様式を必然的に荒廃に帰せしめたる力に比し、測り知れざる程更に強大なるものなり。吾等の決意に支持せらるる吾等の軍事力の最高度の使用は日本国軍隊の不可避且[かつ]完全なる壊滅を意味すべく、又同様必然的に日本国本土の完全なる破壊を意味すべし。
現代語訳(本記事)世界の自由な諸国民の力に対するドイツの無益で無意味な抵抗が招いた結果は,日本国民に恐ろしいほど明白な先例を示している。現在日本に集結している力は,抵抗したナチスに向けられたときにドイツ国民の土地,産業及び生活を荒廃させた力よりも,計り知れないほど強大である。私たちの決意に裏付けられた軍事力を最大限に用いれば,日本国軍隊は必然的かつ完全に壊滅し,日本本土も同様に徹底した破壊を受けることになる。

4 第4項――軍国主義的指導か理性かの選択

区分本文
原文四、無分別ナル打算ニ依リ日本帝国ヲ滅亡ノ淵ニ陥レタル我儘ナル軍国主義的助言者ニ依リ日本国カ引続キ統御セラルヘキカ又ハ理性ノ経路ヲ日本国カ履ムヘキカヲ日本国カ決意スヘキ時期ハ到来セリ
書き下し文四、無分別なる打算に依り、日本帝国を滅亡の淵[ふち]に陥れたる我儘[わがまま]なる軍国主義的助言者に依り、日本国が引続き統御せらるべきか、又は理性の経路を日本国が履むべきかを日本国が決意すべき時期は到来せり。
現代語訳(本記事)無分別な計算によって日本帝国を滅亡の瀬戸際に追い込んだ,独断的な軍国主義の助言者たちに今後も支配されるのか,それとも理性の道を選ぶのかを,日本が決める時が来た。

5 第5項――条件の不変更と遅延の拒絶

区分本文
原文五、吾等ノ条件ハ左ノ如シ 吾等ハ右条件ヨリ離脱スルコトナカルヘシ右ニ代ル条件存在セス吾等ハ遅延ヲ認ムルヲ得ス
書き下し文五、吾等の条件は左の如し。吾等は右条件より離脱することなかるべし。右に代る条件存在せず。吾等は遅延を認むるを得ず。
現代語訳(本記事)私たちの条件は次のとおりである。私たちはこの条件から外れない。これに代わる条件はなく,遅延も認めない。

6 第6項――軍国主義者の権力と影響力の除去

区分本文
原文六、吾等ハ無責任ナル軍国主義カ世界ヨリ駆逐セラルルニ至ル迄ハ平和、安全及正義ノ新秩序カ生シ得サルコトヲ主張スルモノナルヲ以テ日本国国民ヲ欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ挙ニ出ツルノ過誤ヲ犯サシメタル者ノ権力及勢力ハ永久ニ除去セラレサルヘカラス
書き下し文六、吾等は無責任なる軍国主義が世界より駆逐せらるるに至る迄[まで]は、平和、安全及正義の新秩序が生じ得ざることを主張するものなるを以[もっ]て、日本国国民を欺瞞[ぎまん]し、之[これ]をして世界征服の挙に出でるの過誤を犯さしめたる者の権力及勢力は、永久に除去せられざるべからず。
現代語訳(本記事)無責任な軍国主義が世界から追放されなければ,平和,安全及び正義に基づく新しい秩序は実現できない。そこで,日本国民を欺いて道を誤らせ,世界征服に乗り出させた者たちの権力と影響力は,永久に除去されなければならない。

7 第7項――目的達成までの占領

区分本文
原文七、右ノ如キ新秩序カ建設セラレ且日本国ノ戦争遂行能力カ破砕セラレタルコトノ確証アルニ至ルマテハ聯合国ノ指定スヘキ日本国領域内ノ諸地点ハ吾等ノ茲ニ指示スル基本的目的ノ達成ヲ確保スルタメ占領セラルヘシ
書き下し文七、右の如き新秩序が建設せられ、且[かつ]日本国の戦争遂行能力が破砕せられたることの確証あるに至る迄[まで]は、連合国の指定すべき日本国領域内の諸地点は、吾等の茲[ここ]に指示する根本的目的の達成を確保する為占領せらるべし。
現代語訳(本記事)このような新しい秩序が築かれ,日本の戦争遂行能力が破壊されたと確実に認められるまで,連合国が指定する日本領域内の地点を占領し,ここに示した基本的目的の達成を確保する。

8 第8項――カイロ宣言と日本の主権の範囲

区分本文
原文八、「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルヘク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルヘシ
書き下し文八、「カイロ」宣言の条項は履行せらるべく、又日本国の主権は本州、北海道、九州及四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし。
現代語訳(本記事)カイロ宣言の条項は履行される。また,日本の主権が及ぶ範囲は,本州,北海道,九州,四国及び私たちが決定する諸小島に限られる。

9 第9項――日本国軍隊の武装解除と帰還

区分本文
原文九、日本国軍隊ハ完全ニ武装ヲ解除セラレタル後各自ノ家庭ニ復帰シ平和的且生産的ノ生活ヲ営ムノ機会ヲ得シメラルヘシ
書き下し文九、日本国軍隊は、完全に武装を解除せられたる後、各自の家庭に復帰し、平和的且[かつ]生産的の生活を営むの機会を得しめらるべし。
現代語訳(本記事)日本国軍隊の構成員は,完全に武装解除された後,各自の家庭に帰り,平和的で生産的な生活を送る機会を与えられる。

10 第10項――戦争犯罪人,民主主義及び基本的人権

区分本文
原文十、吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隷化セントシ又ハ国民トシテ滅亡セシメントスルノ意図ヲ有スルモノニ非サルモ吾等ノ俘虜ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戦争犯罪人ニ対シテハ厳重ナル処罰加ヘラルヘシ日本国政府ハ日本国国民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ復活強化ニ対スル一切ノ障礙ヲ除去スヘシ言論、宗教及思想ノ自由並ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルヘシ
書き下し文十、吾等は日本人を民族として奴隷化せんとし、又は国民として滅亡せしめんとするの意図を有するものに非ざるも、吾等の俘虜[捕虜]を虐待せる者を含む一切の戦争犯罪人に対しては、厳重なる処罰加へらるべし。日本国政府は、日本国国民の間に於[お]ける民主主義的傾向の復活強化に対する一切の障礙[しょうがい]を除去すべし。言論、宗教及思想の自由並に基本的人権の尊重は確立せらるべし。
現代語訳(本記事)私たちは,日本人を民族として奴隷にし,又は国民として滅ぼすつもりはない。しかし,連合国の捕虜を虐待した者を含む全ての戦争犯罪人には,厳しい処罰を科す。日本国政府は,日本国民の間に民主主義的な傾向が復活し,強まることを妨げる全ての障害を取り除かなければならない。言論,宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重を確立する。

11 第11項――産業,賠償,原料及び世界貿易

区分本文
原文十一、日本国ハ其ノ経済ヲ支持シ且公正ナル実物賠償ノ取立ヲ可能ナラシムルカ如キ産業ヲ維持スルコトヲ許サルヘシ但シ日本国ヲシテ戦争ノ為再軍備ヲ為スコトヲ得シムルカ如キ産業ハ此ノ限ニ在ラス右目的ノ為原料ノ入手(其ノ支配トハ之ヲ区別ス)ヲ許可サルヘシ日本国ハ将来世界貿易関係ヘノ参加ヲ許サルヘシ
書き下し文十一、日本国は、其の経済を支持し、且[かつ]公正なる実物賠償の取立を可能ならしむるが如き産業を維持することを許さるべし。但し日本国をして戦争の為再軍備を為すことを得しむるが如き産業は、此の限に在らず。右目的の為原料の入手(其の支配とは之を区別す)を許可さるべし。日本国は将来世界貿易関係への参加を許さるべし。
現代語訳(本記事)日本は,自国の経済を支え,公正な実物賠償の取立ても可能にする産業を維持することを許される。ただし,再び戦争のために武装できるようにする産業は認められない。この目的のため,原料を支配することとは区別して,原料を入手することは認められる。日本が将来,世界貿易に参加することも認められる。

12 第12項――占領軍撤収の条件

区分本文
原文十二、前記諸目的カ達成セラレ且日本国国民ノ自由ニ表明セル意思ニ従ヒ平和的傾向ヲ有シ且責任アル政府カ樹立セラルルニ於テハ聯合国ノ占領軍ハ直ニ日本国ヨリ撤収セラルヘシ
書き下し文十二、前記諸目的が達成せられ、且[かつ]日本国国民の自由に表明せる意思に従い、平和的傾向を有し、且[かつ]責任ある政府が樹立せらるるに於[お]いては、連合国の占領軍は直に日本国より撤収せらるべし。
現代語訳(本記事)前記の諸目的が達成され,日本国民が自由に表明した意思に従って,平和を志向する責任ある政府が樹立されたときは,連合国の占領軍を直ちに日本から撤収させる。

13 第13項――全日本国軍隊の無条件降伏

区分本文
原文十三、吾等ハ日本国政府カ直ニ全日本国軍隊ノ無条件降伏ヲ宣言シ且右行動ニ於ケル同政府ノ誠意ニ付適当且充分ナル保障ヲ提供センコトヲ同政府ニ対シ要求ス右以外ノ日本国ノ選択ハ迅速且完全ナル壊滅アルノミトス
書き下し文十三、吾等は日本国政府が直に全日本国軍隊の無条件降伏を宣言し、且[かつ]右行動に於[お]ける同政府の誠意に付、適当且[かつ]充分なる保障を提供せんことを同政府に対し要求す。右以外の日本国の選択は迅速且完全なる壊滅あるのみとす。
現代語訳(本記事)私たちは,日本国政府に対し,直ちに全ての日本国軍隊の無条件降伏を宣言し,その行動における政府の誠意について,適切かつ十分な保証を示すよう求める。それ以外に日本が選べるのは,迅速かつ完全な壊滅だけである。

第3 全文を対照するときの注意点

1 三つの欄は同じ性質の資料ではない

英語本文は1945年7月26日に発表された宣言の本文である。これに対し,原文欄は外務省編『日本外交年表並主要文書』下巻に収録され,国立国会図書館が掲載した日本語本文であり,書き下し文欄は外交史料館所蔵の外務省仮訳をアジア歴史資料センターが読みやすくしたものである。現代語訳欄は本記事による訳であるから,引用に用いるときは,どの資料の文言かを区別する必要がある。

2 第13項の「無条件降伏」の直接の対象

第13項が日本国政府に要求したのは,「全日本国軍隊の無条件降伏」を宣言することである。日本国政府には,その降伏を宣言し,誠意の保証を示すことが求められている。国家,政府及び軍隊をどこまで「日本の無条件降伏」と呼べるかは別の整理を要するため,「ポツダム宣言で日本は無条件降伏したのか――日本国・日本軍・降伏文書の違い」で文書ごとに検討している。

3 外務省仮訳末尾の英語本文にない一段落

アジア歴史資料センターの書き下し文には,第13項の後に,「右の目的を以て右三同盟国は同盟諸国中日本国と交戦中なる諸国と協調し、日本国の無条件降伏を齊[もたら]すに必要なる重大且[かつ]長期の行動を実行すべし。」との一段落がある。同センターは,資料中の英文に対応する文章がないと明記している。米国国務省の英語本文及び国立国会図書館の日本語本文にもこの段落はなく,第13項に続く「第14項」ではないため,前記の三欄対照には含めなかった。

4 本文に明記されていない事項

全13項には,天皇の地位及び原子爆弾についての明文がない。第5項は遅延を認めないとするが,何月何日何時までという回答期限も定めていない。天皇の扱いが宣言の起草過程でどのように検討されたかは,「ポツダム宣言の起草過程――天皇条項はなぜ削除されたか」で扱っている。宣言発表後の原爆投下及びソ連参戦を含む経過は,「ポツダム宣言の発表から宣言受諾及び降伏文書調印までの経緯」を参照されたい。

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第5 出典・参考資料

1 公文書・歴史資料

国立国会図書館「ポツダム宣言」(外務省編『日本外交年表並主要文書』下巻,1966年刊から掲載)
国立国会図書館「Potsdam Declaration」(外務省編『日本外交年表並主要文書』下巻,1966年刊から掲載)
アジア歴史資料センター「ポツダム宣言 書き下しと日本語訳」(外務省外交史料館所蔵「ポツダム宣言受諾関係一件 第3巻(終戦関係調書)」Ref.B18090004500,資料画像2画像目~6画像目,PDF1頁~5頁)
United States Department of State, Foreign Relations of the United States: Diplomatic Papers, The Conference of Berlin (The Potsdam Conference), 1945, Volume II, Document No. 1382, “Proclamation”(United States Government Printing Office,1960年)