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ウクライナの戦時動員制度―戒厳令・総動員・召集対象年齢・猶予・出国制限(AI作成)

第1 概要

ロシアがウクライナへの全面侵攻を始めた2022年2月24日、ウクライナは戒厳令を出し、同日付の別の大統領令で総動員を決めた。
戒厳令は戦時の統治と権利制限の枠組みを定め、総動員令は人員や輸送資源を含む動員を実施する。
2026年11月9日現在、同年10月31日を起点とするそれぞれ90日の延長が行われている。

国防省は、原則として25歳から60歳までの軍務義務者である男性のうち、軍務に適し、猶予や人員留保のない者が動員の対象になると説明している。
軍籍に登録される年齢、動員により召集される年齢、志願契約を結ぶ年齢、出国規則上の年齢は、それぞれ根拠と効果が異なる。
例えば、23歳の男性が通常の動員年齢に達していないとしても、18歳から22歳までの男性に適用される出国規制の例外は、年齢だけを見ればその男性に及ばない。国防省「動員対象と義務」、閣議決定第1031号

第2 戒厳令と総動員令はどう違うか

1 憲法と法律が定める権限

憲法65条は、祖国の防衛、ウクライナの独立と領土の一体性の擁護を市民の義務とし、兵役は法律に従うと定める。
憲法106条1項20号は、攻撃の脅威や国家の独立への危険がある場合の総動員・部分動員と戒厳の決定権を大統領に与える。
憲法85条1項31号は、大統領の提出から2日以内にこれらの大統領令を承認する権限を最高会議に与える。憲法第Ⅱ章、第Ⅳ章、第Ⅴ章

憲法64条は、戒厳下で権利を制限する場合にその期間を示すことを求め、制限できない権利も列挙する。
戒厳法(法律第389-VIII号)8条には、出入りや移動を制限する措置、一定の対象者に対する公益的作業の労務義務などがある。
動員準備・動員法(法律第3543-XII号)は、動員の組織、企業や個人の義務、猶予、人員留保などを扱い、兵役義務・軍務法(法律第2232-XII号)は軍籍や軍務の種類、服務と退役などを扱う。戒厳法8条の本文、動員準備・動員法の本文、兵役義務・軍務法の本文(法令本文3件はいずれも民間データベース掲載)

2 当初の期間と直近の延長

制度2022年の発動2026年10月の延長
戒厳大統領令第64/2022号。2月24日午前5時30分から当初30日。承認法第2102-IX号。大統領令第1060/2026号。10月31日午前5時30分から90日。承認法第5029-IX号。
総動員大統領令第65/2022号。発効から当初90日。承認法第2105-IX号。大統領令第1061/2026号。10月31日から90日。承認法第5030-IX号。

時刻はいずれもウクライナ現地時間である。
総動員令の当初の90日は令の発効を起点とする。
2026年10月の総動員延長について、最高会議の公表は10月31日から90日とし、戒厳令にある午前5時30分という時刻は示していない。
いずれの90日も、個々の兵士の服務期間を定めるものではない。戒厳令第64/2022号、総動員令第65/2022号、戒厳令延長第1060/2026号、総動員令延長第1061/2026号、総動員延長についての最高会議発表、2022年戒厳承認の成立記録、2022年総動員承認の成立記録、2026年戒厳延長承認の成立記録、2026年総動員延長承認の成立記録

3 2022年以降の主な変更

時期制度の変更
2022年2月戒厳令と総動員令を発令。総動員令は軍の補充に加え、輸送資源、財政、地方機関・企業の関与を規定。
2024年4月法律第3127-IX号が施行され、徴集対象者として軍籍に登録される年齢の上限が27歳から25歳に。
2024年4~5月法律第3633-IX号が公布され、閣議決定第560号が動員召集の手続を定めた。
2025年8月閣議決定第1031号により、18~22歳男性について戒厳下の出国制限の例外を規定。
2025年11月国防省が、Reserve+と行政サービス窓口を用いる猶予手続を案内。
2026年2~4月法律第4782-IX号を2月に可決。一定の若年1年契約の退役者を猶予の対象に追加した。法律第4826-IX号は基本軍務修了者の25歳未満に関する条文を改正。
2026年6月閣議決定第768号で、一定の有期契約を導入する試行制度を開始。
2026年10月閣議決定第1328号が人員留保の仕組みを改正。戒厳と総動員をそれぞれ90日延長。

ヘルソン地区軍行政の第3127-IX号解説、第3633-IX号の官報掲載、閣議決定第560号の添付手続原文、国民抵抗等改正法第4826-IX号の官報

第3 軍籍登録、動員、志願、出国を区別する

確認すること原則と主な限定
軍籍登録登録簿上、徴集対象者、軍務義務者、予備役などを区別する。27歳から25歳への改正は、徴集対象者として登録される年齢の上限を変えた。
動員による召集国防省の説明では、原則は25~60歳の軍務義務者である男性で、軍務に適し、猶予・留保のない者。25歳未満の予備役将校などは、登録区分と適用条文を別に確認する。
志願契約動員による召集とは別に、本人の意思で軍務契約を結ぶ経路がある。若年向けの契約や、2026年の有期契約の試行制度にはそれぞれ固有の条件がある。
出国国境通過規則で判断する。2025年の決定は、戒厳下の制限を原則として18~22歳のウクライナ人男性に適用しないとした。一定の公職者等には例外がある。

1 25歳未満に適用される規定

国防省の2025年3月の説明は、25歳未満でも予備役将校などが動員対象になり得るとする。
これとは別に、2026年の法律第4826-IX号は、動員法23条5項の文言を改めた。
基本軍務を修了した軍務義務者は25歳になるまで動員による召集の対象外とされ、その期間内でも本人が同意すれば召集できる。
2025年の解説に出てくる従来の徴集服務と、改正後の条文の「基本軍務」は、原文の語と時点を分けて読む必要がある。国防省の2025年の説明、第4826-IX号の官報、動員法23条の本文(民間データベース掲載)

2 女性の軍籍登録

軍務法1条について、国防省は、医療・薬学の専攻を修了した女性のうち、年齢・健康上の要件を満たす者は登録義務を負うと案内している。
所定の軍事職種に関連する他の専門職の適格者は、本人の希望により登録される。
国防省は、登録されている女性の戦時の軍務や防衛に関する作業への従事は、志願によると説明している。
職種による軍籍登録の扱いと、登録後に軍務に就く条件は別に確認する。国防省の軍籍登録案内、国防省「動員対象と義務」

第4 誰がどの手続で召集されるか

閣議決定第560号の手続には、軍務義務者・予備役への通知、軍籍の確認、適性の確認、召集と部隊への送出が含まれる。
地域募集・社会支援センター(ТЦК та СП。以下「TCC」)は通知・召集の実施を担い、地方行政や雇用主にも通知などの役割がある。
健康上の適性は軍医委員会(ВЛК)の判定が関係する。
軍籍書類の提示、通知を受けて出頭すること、軍務に適すると判断されること、実際に召集されることはそれぞれ別の段階である。閣議決定第560号の添付手続原文、閣議決定第560号の統合本文(民間データベース掲載)、国防省「企業での軍籍管理」

1 個人の猶予

動員法23条には、障害、軍医委員会による一時的不適格、子の養育、一定の教育・研究などに関する猶予の類型がある。
例えば、18歳未満の子を3人以上扶養していても、扶養料の滞納総額が3か月分を超える場合は、同条1項3号の類型から外れる。
家族、就学、職務に関する類型には個別の要件があり、事情の名称が同じでも結論は変わり得る。
法律第4742-IX号の改正文には、高等教育の質保証を担う機関の委員および所定の職員を、同条3項2号に追加する規定もある。動員法23条の本文(民間データベース掲載)、国立陸軍士官学校掲載の第4742-IX号改正文

国防省は、2025年11月からの運用として、対応する類型はReserve+で申請し、オンライン未対応や登録データの不足などがある場合は行政サービス窓口(ЦНАП)に資料を提出する手続を案内している。
アプリは申請や登録情報の確認の手段であり、猶予事由は法律に基づいて判断される。国防省Reserve+の手続案内、閣議決定第1364号の改正原文

2 企業などの人員留保

人員留保(бронювання)は、行政機関や、動員任務を負う企業、国防・経済・住民生活にとって重要な事業者などが、必要な人員を確保する仕組みである。
指定・登録された人員は、動員法23条1項1号により、要件を満たす間は動員による召集の対象から外れる。
本人の養育や健康などを根拠とする猶予とは、制度の目的と手続を始める主体が異なる。
勤務先が重要な業務を行うことと、その職員が個別に留保されることは別の判断である。動員法24~25条の本文(民間データベース掲載)、国防省「個人猶予と留保の違い」、閣議決定第692号の改正原文

2026年10月23日の閣議決定第1328号は、人員留保を調整するセンターを設け、従来の人員留保の手続を定める決定第76号を改めた。
企業の指定や留保枠を判断するときは、こうした後の改正を含めて確認する必要がある。閣議決定第1328号原文

第5 18~22歳の出国規制の例外

戒厳法8条の移動制限の枠組みと、国境通過規則を定める閣議決定第57号が関係する。
2025年8月26日の閣議決定第1031号は、同規則2-19項を改め、戒厳下の国境通過制限を原則として18歳から22歳までのウクライナ人男性に適用しないとした。
規則2-14項に当たる一定の公職者などは、この例外から除かれる。
内務省は、対象年齢の男性に旅券と軍籍書類を用意するよう案内している。閣議決定第1031号原文、内務省の出国案内

動員対象外・猶予・留保という扱いから、出国の可否をそのまま導くことはできない。
出国できる類型と必要書類は、国境通過規則の該当項目で判断する。
例えば、閣議決定第1364号は、動員法23条3項の一部の類型について、軍籍登録簿の情報などを国境通過の条件として規定している。閣議決定第1364号の改正原文

第6 志願契約と退役

1 一定の若年1年契約の退役者

法律第4782-IX号で追加された動員法23条7項は、戒厳下で一定の年齢の者として1年契約で入隊し、同項が参照する軍務法26条の事由で退役した軍務義務者・予備役について、退役日から12か月間の動員猶予を定める。
その期間中も本人の同意があれば召集できる。
対象は、同条の年齢、契約期間、退役事由などの要件を満たす者である。第4782-IX号の改正法本文(民間データベース掲載)、大統領署名後の国防省説明

2 2026年に始まった有期契約の試行

閣議決定第768号は、戒厳下で対象機関の軍務契約に特則を設け、同決定の発効の翌日から2年間を試行期間とした。
国防省は2026年6月15日付の案内で、歩兵・突撃、戦闘、基本の各種契約と、6~24か月の契約期間を示した。
国防省の案内にある契約満了後の退役・猶予は、この試行制度による契約の説明である。
動員で服務中の全員について、同じ期間で退役する権利が生じるわけではない。閣議決定第768号原文、国防省の6月15日付案内

3 動員で服務する人の退役

軍務法26条4項は、動員などによる召集で服務する者の退役を扱う。
戒厳下の退役事由には、服務年齢の上限到達、一定の健康上の事由、法律が定める家族事情などがある。
契約で服務する者については同条5項が別に定める。
総動員の延長期間、個別の軍務からの退役、国全体としての動員解除は、それぞれ異なる決定・根拠を確認する。軍務法26条の本文(民間データベース掲載)、最高会議の総動員延長発表

第7 輸送・企業・労務も動員体制の一部

2022年の総動員令は、軍が必要とする人員・輸送資源の補充や優先順を定めること、地方機関が企業などと協力すること、政府が必要な資金を確保することを規定した。
動員準備・動員法6条は、軍などが必要とする車両・機材を確保するための軍事輸送義務を置く。
重要な事業者で人員留保が認められる制度は、軍の補充を続けながら、行政や住民生活に必要な業務を維持する役割を持つ。総動員令第65/2022号、動員準備・動員法6条の本文(民間データベース掲載)、国防省の人員留保解説

戒厳法8条には、一定の対象者に防衛や住民生活に関わる公益的作業を課す労務措置もある。
この措置は戒厳法に根拠があり、軍への召集や車両の確保と適用条件が異なる。戒厳法8条の本文(民間データベース掲載)

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① 国家緊急権に関する内閣法制局長官の国会答弁
② 日本の戦前の兵役年齢-徴兵検査・志願兵・沖縄戦