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執行猶予中に再犯したら実刑か―再度の執行猶予の条件と令和7年改正(AI作成)

第1 執行猶予中の再犯でも,再度の執行猶予を受けられる場合がある

刑の全部の執行猶予を受けている間に更に罪を犯した場合でも,新事件で再度の全部執行猶予が認められることがある。
令和7年6月1日施行の改正により,再度の全部執行猶予を言い渡せる宣告刑の上限は,1年から2年に引き上げられた。
初度の全部執行猶予に伴う保護観察中の再犯にも,適用の余地が生じた。

再度の全部執行猶予には,刑法25条2項のいう「情状に特に酌量すべきもの」が必要である。
以下では,新事件に執行猶予を付けられる条件と,前の執行猶予が取り消される条件を分けて説明する。

第2 宣告刑の上限と保護観察

1 2年以下かは裁判所が言い渡す刑で判断する

前の拘禁刑の全部執行猶予が続いている人について,新事件で2年以下の拘禁刑を言い渡し,情状に特に酌量すべきものがあるときは,裁判所は刑法25条2項により再度の全部執行猶予を言い渡すことができる。
2年の上限は,検察官の求刑や犯罪の法定刑と区別し,裁判所が言い渡す刑で判断する。
たとえば,裁判所が拘禁刑1年6月を相当と判断したとき,刑期の条件は満たすが,特に酌量すべき情状があるかは別に判断される。

初度の全部執行猶予の上限は,刑法25条1項の要件を満たす人について,拘禁刑3年又は罰金50万円である。
同条2項による再度の全部執行猶予でも,猶予期間は裁判の確定日から1年以上5年以下となる。

2 前の保護観察がどの規定によるかを確認する

前の全部執行猶予が刑法25条1項によるものであれば,それに伴う保護観察中に更に罪を犯した場合にも,同条2項を適用できる余地がある。
再度の全部執行猶予が言い渡されると,猶予期間中は保護観察に付される(刑法25条の2第1項)。

すでに刑法25条2項による全部執行猶予を受け,それに伴う保護観察期間内に更に罪を犯した場合は,同項ただし書により,同項本文による執行猶予の対象から外れる。
保護観察の仮解除があったときは,その処分が取り消されるまで同項ただし書の適用上は保護観察に付されなかったものとみなす規定がある(刑法25条の2第3項)。
したがって,前の判決で保護観察が付いたことに加え,その法的根拠と新事件の行為時における仮解除の有無も確認する。

第3 懲役・禁錮が残る場合と猶予期間が先に満了した場合

1 旧刑名の場合も経過措置を確認する

令和7年6月1日より前の行為の処罰については,原則として従前の例によるため,施行後の裁判でも懲役又は禁錮が言い渡されることがある。
一方,令和4年法律第68号447条は,全部執行猶予等について,刑法25条2項の拘禁刑に懲役・禁錮を含める読替えを定めている。
旧刑名が記載された判決については,行為時に適用される罰則と,執行猶予に関する経過措置を分けて確認する。

2 満了後は,前の刑の執行と新事件の判断を分ける

元の全部執行猶予の言渡しが令和7年6月1日以後で,猶予期間内に更に犯した罰金以上の刑に当たる罪について満了時に起訴されている場合には,元の刑の言渡しの効力が満了後も続く(刑法27条2項)。効力が続くのは,同条4項又は5項による取消しがされる可能性がなくなるまでである。
この取扱いの経過措置は,前の猶予の言渡日を基準とする(令和4年法律第68号448条1項)。
全部執行猶予期間の起算点を判断する際には,裁判の確定日を用いる。

効力が続いていても,刑法25条を適用する場面では,元の刑の言渡しが効力を失ったものとみなされる(刑法27条3項1号)。
新事件で執行猶予を付けられるかは,他の前科等も含め,適用される要件に照らして判断する。
刑法27条2項による効力の継続は,元の刑の執行猶予が既に取り消されたことを意味しない。

第4 窃盗の公開判決でどの事情が評価されたか

神戸地裁平成28年4月12日判決(平成27年(わ)第970号)は,執行猶予期間中の万引きについて,懲役1年,保護観察付き執行猶予5年を言い渡した。

裁判所は,同種の前科と常習性を指摘する一方,被害額が797円で,被害品が還付され,被害弁償も行われていたことを考慮した。
前頭側頭型認知症の症状が犯行に及ぼした影響については,医学的検査や行動傾向の分析を示した医師の証言を検討した。
今後の医療・介護と親族の支援も踏まえ,社会内での更生がなお期待できると判断した。

この判決は改正前の事例である。
犯行態様や被害,症状と犯行との具体的な関係,支援を続けられる見込みをどのように検討したかが参考になる。

第5 前の執行猶予はどうなるか

前の全部執行猶予の期間中に更に犯した罪について,拘禁刑以上の刑に処せられ,その刑の全部について執行猶予が付かないときは,必要的取消しが問題となる。
一部執行猶予が付いた場合も,全部の執行猶予が付いていない場合に含まれる。
再犯について罰金に処せられたときは,裁量的取消しの事由となる(刑法26条1号・26条の2第1号)。

猶予期間の満了後に効力が継続する場合には,刑法27条4項・5項に取消しの規定がある。
再犯が猶予期間経過後の罪と併合罪として処断され,犯情その他の情状から取消しが相当でないと認められる場合には,同条4項ただし書により,必要的取消しの例外となる。
効力継続を前提とする取消請求には,新事件で罰金以上の刑に処する裁判の確定日から2か月という期限がある(刑事訴訟法349条3項)。
前の刑の処理は,執行猶予の取消しと期間満了で詳しく扱う。

第6 関連記事

保護観察制度―対象者・期間・遵守事項と社会復帰支援

第7 出典

① 刑法(e-Gov法令検索)25条,25条の2,26条,26条の2及び27条
② 刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)2条及び3条
③ 刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号)441条,447条及び448条
④ 第208回国会衆議院法務委員会第13号(令和4年4月27日)川原政府参考人答弁
⑤ 令和7年版犯罪白書 第2編第1章1「新規立法の動向」35頁
⑥ 神戸地方裁判所平成28年4月12日判決・平成27年(わ)第970号主文及び量刑の理由
⑦ 刑事訴訟法(e-Gov法令検索)349条3項