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就業規則の作成・見直しは誰に頼む?―弁護士と社労士の違い,依頼前の準備(AI作成)

第1 就業規則は誰に頼むか

就業規則の作成・届出を進めたいときは,社会保険労務士(社労士)が相談先になる。
賃金の引下げを伴う変更や,既に争いになっている懲戒・解雇について,有効性の見通しや交渉・訴訟対応まで相談したいときは,労働問題を扱う弁護士に早めに相談するとよい。
両方の作業が必要なら,規則案を作る担当,法的リスクを点検する担当,提出を担当する者を先に決めておくと,どの版について誰が何を確認したかが分かりやすい。

困っていること最初に相談する先の目安相談時に確認すること
店舗で初めて就業規則を作る社労士対象事業場,正社員以外への適用,賃金規程等の別規程,届出支援
現行規則と勤怠・給与の運用が合っていない社労士。法的効果や請求リスクが問題なら弁護士にも相談条文,契約書,給与明細のどこが食い違うか
手当をなくすなど,既存社員に不利益が出る改定を予定している弁護士。規程整備・届出は社労士にも相談対象者への影響,個別合意,合理性,経過措置,説明と周知
既に懲戒処分への異議や賃金請求がある弁護士当時の規程,周知記録,事実と証拠,対応期限

第2 社労士と弁護士に何を頼めるか

1 規則の作成・届出と労務管理

社労士は,労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成やその提出手続,帳簿書類の作成,労務管理その他の労働に関する事項の相談・指導などを業務とする(社会保険労務士法2条1項)。
同項3号は,労務管理等に関する相談・指導に,関係法令,労働協約,就業規則及び労働契約の遵守の状況の監査も含めている。
この監査の文言は,令和7年法律第77号による改正で明記された。
作成や届出を依頼するときは,本文だけか,賃金規程等の別規程や意見書の案内,届出後の控えの引渡しまで含むかを確かめたい。

2 不利益変更や紛争の法的判断

弁護士には,労働契約に対する規則変更の効力,懲戒や解雇の根拠,個別請求への対応などを相談できる(弁護士法3条1項)。
例えば定額の職務手当を廃止する場合には,規則の新旧対照表だけでは足りない。
誰の賃金がどれだけ下がるか,手当が個別契約でどう約束されているか,廃止の理由や経過措置,労働組合等との交渉経過を整理する必要がある(労働契約法9条・10条)。

3 紛争解決手続の代理と業務の範囲

社労士の中でも特定社会保険労務士は,法律が定める一部の裁判外紛争解決手続で紛争の当事者を代理できる(社会保険労務士法2条1項1号の4~1号の6,2項)。
対象は,紛争調整委員会のあっせん,男女雇用機会均等法等に基づく調停,都道府県労働委員会のあっせん及び厚生労働大臣が指定する団体の民間紛争解決手続であり,民間紛争解決手続では,紛争の目的の価額が120万円を超える場合は弁護士が同一の依頼者から受任しているものに限られる。
労働審判や訴訟まで視野に入る場合は,代理を依頼できる範囲を区別しておく。

弁護士法72条は,弁護士又は弁護士法人でない者が,報酬を得る目的で法律事件に関する代理・和解等の法律事務を業として取り扱うことを,同法又は他の法律に別段の定めがある場合を除いて禁止している。
社会保険労務士法27条は,社労士又は社労士法人でない者が,他人の求めに応じ報酬を得て,同法2条1項1号から2号までの事務を業として行うことを,他の法律に別段の定めがある場合等を除いて禁止している。
届出だけを外部へ頼む場合も,誰がどの資格・業務範囲で引き受けるかを確認しておく。

第3 作成・見直しを依頼するときにそろえる資料

まず,初めての作成なのか,法改正への対応なのか,特定の制度の変更や個別紛争への対応なのかを伝える。
既に問題が起きているときは,適用時点の規則とその後の改定案を区別し,回答や処分の期限があれば早めに伝える。

そろえておくと相談が進めやすい資料は,次のとおりである。
①事業場の一覧,事業場ごとの労働者数と雇用区分,労働組合の有無
②現行の就業規則と別規程,施行日・改定履歴,届出控えと周知方法
③雇用契約書・労働条件通知書の様式,労働協約,関係する労使協定
④勤怠・給与計算の取扱い,変更の目的,対象者ごとの影響を示す試算
⑤紛争がある場合は,時系列,当時の規程,会社からの通知や従業員からの申出

相談の段階では資料の種類を伝え,個人名や賃金額が入る実資料をいつ,どの方法で送るかは相談先に確認するとよい。

第4 弁護士に依頼するときの費用と見積りの比べ方

就業規則の作成・見直しについて,全国一律の弁護士報酬はない。
弁護士は依頼者との間で報酬を自由に定めることができ,報酬の種類,金額,算定方法等を明示した報酬基準を作成して事務所に備え置くこととされている(東京弁護士会「弁護士費用について」)。
見積りを比べるときは,既存の条文を確認して指摘を返すだけなのか,修正文案を作るのか,面談・修正の往復や労働者への説明支援まで依頼するのかをそろえる。
交渉・労働審判・訴訟の費用や,別の専門家に依頼する届出費用が含まれるかも確認する。

見積書には,対象とする事業場と規程,納品物,修正対応の範囲,追加費用が生じる条件,実費と消費税の扱いを記載してもらうと比較しやすい。
規程本文だけを改めた結果,賃金規程や雇用契約書と食い違うことがあるため,点検する文書の範囲は見積りの時点で決めておきたい。

第5 作成・変更時に会社が確認すること

常時10人以上の労働者を使用する使用者は,就業規則を作成して所轄労働基準監督署長に届け出なければならず,就業規則を変更した場合も同様である(労働基準法89条,労働基準法施行規則49条1項)。
使用者は,就業規則の作成又は変更について,事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合,ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならず,届出にはその意見を記した書面を添付する(労働基準法90条)。
届出とは別に,労働者が規則を確認できるよう周知する必要がある(同法106条1項)。

意見を聴いたことや届出が受け付けられたことだけで,不利益変更が有効になるわけではない。
変更を実施する前に,会社側で最終版,施行日,対象者,契約書・別規程との整合,周知の方法を確認する。
会社が自ら作成・届出を行うこともできる。
厚生労働省のモデル就業規則を使うときは,実際の働き方や賃金計算に合わせて内容を確認したい。

第6 関連記事・出典

1 関連記事

①就業規則とは―記載事項・作成届出・周知・変更・懲戒の基本(AIリライト)
②就業規則・人事規程・給与計算を横断点検する―版,基準日,別表と実装(AI作成)

2 出典

①e-Gov法令検索「労働基準法(昭和22年法律第49号)」89条,90条及び106条
②e-Gov法令検索「労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)」49条
③e-Gov法令検索「労働契約法(平成19年法律第128号)」9条及び10条
④e-Gov法令検索「社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)」2条及び27条
⑤衆議院「社会保険労務士法の一部を改正する法律(令和7年法律第77号)」
⑥e-Gov法令検索「弁護士法(昭和24年法律第205号)」3条及び72条
⑦厚生労働省「モデル就業規則について」
⑧東京弁護士会「弁護士費用について」