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ロシアの外国資産の一時管理とは―大統領令第302号と根拠となる3つの連邦法(AI作成)

第1 前文に挙げられた3本の連邦法

ロシアが外国企業の株式・出資持分を「一時管理」の対象にすると,誰が所有者の権限を行使することになるのか。
2023年4月25日付大統領令第302号は,一時管理を導入する条件,管理者の権限及び終了の方法を定めた。
前文が挙げる3本の連邦法に加え,同年12月に一時管理を明記した連邦法の改正を読むと,制度がどのように形づくられたかが分かる。
本記事は,ロシア連邦の法令公式公表ポータルに掲載された各法令の公布PDFと法令データベースの条文を基に,2026年11月8日(日本時間)までに確認できた資料で整理する。
大統領令第302号(法令公式公表ポータル),連邦法第600-ФЗ号(法令公式公表ポータル)

第302号の前文は,米国とこれに同調する外国・国際機関が,ロシア連邦やロシアの法人・個人の所有権を違法に剝奪し又は制限する行為をしているというロシア側の立場を示し,国益を保護するための緊急措置と位置付けた上で,次の3本の連邦法に従うと述べる。
外国側の行為が違法であるという評価は,前文が示すロシア側の立場である。
前文には,個々の根拠条項の番号までは記載されていない。
第302号前文(公布PDF1頁)

前文に掲げる連邦法制度に関係する規定
2006年12月30日付第281-ФЗ号「特別経済措置及び強制措置について」第1条は特別経済措置と強制措置の法的基礎と適用の場面を定め,第3条は特別経済措置の内容を定める。第4条第1項は,特別経済措置の適用を安全保障会議の提案に基づき大統領が決定すると定める。 第281-ФЗ号の2022年6月28日改正版
2010年12月28日付第390-ФЗ号「安全保障について」第8条第6号аは,安全保障のための特別経済措置の適用を大統領が決定すると定める。 第390-ФЗ号第8条
2018年6月4日付第127-ФЗ号「米国その他の外国の非友好的行為に対する影響(対抗)措置について」第2条第6号は,大統領の決定による「その他の措置」を認める。第302号の制定時の第4.2条第1項第4号は,金融の安定を確保するためのその他の一時的な経済措置を定めていた。 第127-ФЗ号第2条,第4.2条を追加した第212-ФЗ号第5条

第2 一時管理の権限が連邦法に明記された時期

2022年6月28日付第212-ФЗ号が第127-ФЗ号に追加した当初の第4.2条は,金融の安定を確保するための措置として,取引,配当の支払,為替の規制について特別の手続を定める権限と,その他の一時的な経済措置の権限を大統領に与えていた。
同条第2項は,措置の内容として資金その他の財産の凍結も挙げていたが,大統領が財産を一時管理に置く権限は,この時点では明記されていなかった。
2023年4月25日に第302号が制定され,同日に公式公表されて,対象財産の指定と管理者の権限を定める制度が設けられた。
第212-ФЗ号(法令公式公表ポータル),第212-ФЗ号第5条

同年12月19日付第600-ФЗ号第3条は,第127-ФЗ号第4.2条第1項を改め,その第5号に,非友好的な外国の者のロシア国内の動産・不動産,これらの者に属する有価証券,ロシア法人の定款資本の持分及び財産上の権利について一時管理を導入する大統領の権限を明記した。
同法第4条第2項により第3条は公式公表の日である12月19日に施行され,同条第10項は,改正後の第4.2条を2022年2月24日以降に生じた法律関係に適用すると定めている。
このため,第302号の制定時に前文が掲げた根拠と,後に明文化された規定の適用時期は,分けて読む必要がある。
第600-ФЗ号第3条・第4条第2項及び第10項(公布PDF),改正後の第4.2条

第3 発動要件と対象となる財産

第302号第1項は,ロシア連邦やロシアの法人・個人が,非友好的な行為をする外国の領域にある財産の所有権や財産上の権利を奪われ,又はこれらの権利を制限された場合を発動事由として挙げる。
そのような剝奪・制限のおそれや,ロシアの国家・経済・エネルギーその他の安全保障又は防衛能力への脅威が生じた場合も,条文上の発動事由に含まれる。
第302号第1項(公布PDF1頁~2頁)

条文が挙げる財産は,非友好的な外国と関係する外国の者やその支配下にある者のロシア国内にある動産・不動産,これらの者に属する有価証券,ロシア法人の定款資本の持分及び財産上の権利である。
外国との関係には,その国の国籍・居住,登記地,主たる事業活動や利益の所在地などが含まれる。
個別に指定される財産は,第2項が承認した一覧に掲げられ,一覧の各項目には管理者も記載される。
第302号第1項・第2項

第4 管理者の権限と一時管理の終了

第3項は連邦国有財産管理庁を管理者とし,第4項は大統領が別の者を管理者に定めることができるとする。
第5項によると,管理者は,対象財産を処分する権限を除いて所有者の権限を行使する。
第6項・第7項は,管理者が財産の棚卸しと保全を行い,管理の費用は財産の利用による収入で賄うと定める。
第302号第3項~第7項(公布PDF2頁~3頁)

第302号には,対象財産の所有権を管理者に移転する規定は置かれていない。
株式・持分については,権原の帰属と,それに伴う議決権その他の権限を実際に誰が行使するかを分けて確認する必要がある。
第8項は,一時管理を大統領の決定によって終了すると定め,一律の終了日は置いていない。
第302号第5項・第8項

第5 個別の企業について何を確認するか

企業名が報じられたときは,まず個別の大統領令と一覧の項目で,対象が会社の株式・出資持分なのか,別の種類の財産なのかを確認する。
次に,持主と管理者,後の解除の大統領令の有無,企業の開示が示す経営上の変化を追う。
JT関連7法人の対象項目は,JTロシア関連7社の一時管理の記事で確認できる。

第6 出典・関連記事

ロシア連邦大統領令2023年4月25日第302号「一部の財産の一時管理について」(法令公式公表ポータル,公表番号0001202304250033)
ロシア連邦大統領令2023年4月25日第302号(КонсультантПлюс,2026年11月5日改正版)
ロシア連邦法2006年12月30日第281-ФЗ号(Контур.Экстерн,2022年6月28日改正版)
ロシア連邦法2010年12月28日第390-ФЗ号第8条(КонсультантПлюс)
ロシア連邦法2018年6月4日第127-ФЗ号(法令公式公表ポータル,公表番号0001201806040032)
ロシア連邦法2018年6月4日第127-ФЗ号第2条(КонсультантПлюс)
ロシア連邦法2018年6月4日第127-ФЗ号第4.2条(КонсультантПлюс)
ロシア連邦法2022年6月28日第212-ФЗ号(法令公式公表ポータル,公表番号0001202206280040)
ロシア連邦法2022年6月28日第212-ФЗ号第5条(КонсультантПлюс)
ロシア連邦法2023年12月19日第600-ФЗ号(法令公式公表ポータル,公表番号0001202312190006)

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