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国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)とは|COP・CMP・CMAの違いと決定の効力(AI作成)

第1 国連気候変動枠組条約のCOPとは

COPは,国連気候変動枠組条約の締約国会議(Conference of the Parties)である。
条約の第7条が設けた最高機関であり,条約の実施状況を検討し,その権限の範囲で実施に必要な決定を行う。
条約第2条が掲げる究極の目的は,気候系への危険な人為的干渉を防げる水準で,大気中の温室効果ガスの濃度を安定させることである。

報道でいう「COP」には,同じ会期に開かれる京都議定書の締約国会合(CMP)やパリ協定の締約国会合(CMA)の成果が含まれることがある。
例えば,ブラジル・ベレンのCOP30で採択されたと紹介されるグローバル・ムチラオは,正式にはパリ協定の締約国会合の決定1/CMA.7である。
文書番号に着目すると,どの枠組みの下で誰が決定したかが分かる。

通常会合は,COPが別段の決定をしない限り,年1回である。
環境省の開催一覧でも,COP25は2019年,次のCOP26は2021年とされている。
国連の開催予定に関する記述は,2026年11月8日(日本時間)現在である。

第2 COP・CMP・CMAでは誰が決めるのか

1 根拠となる条約と締約国

COPは国連気候変動枠組条約第7条に基づく会議であり,同条約の実施を扱う。
決定番号の例は,パリ協定を採択した1/CP.21である。

CMPは,COPが京都議定書の締約国会合としての役割を果たす場合の名称である(同議定書第13条)。
同議定書に基づく決定を行うのは,議定書の締約国である。

CMAは,COPがパリ協定の締約国会合としての役割を果たす場合の名称である(同協定第16条)。
同協定に基づく決定を行うのは,協定の締約国である。

枠組条約の締約国であっても,京都議定書やパリ協定の締約国でなければ,該当する会合にはオブザーバーとして参加できる。
会場に参加できるかと,決定に加われるかは,それぞれの条文で確認する。

2 補助機関・パビリオンの役割

科学上及び技術上の助言に関する補助機関(SBSTA)と,実施に関する補助機関(SBI)が交渉を支える。
会期中には,自治体,企業や研究機関などの取組を紹介する展示やサイドイベントも開かれる。
日本のジャパン・パビリオンも技術や取組を発信する場であり,締約国が決定を採択する会合とは役割が異なる。

第3 「COPで決まった」ことの効力をどう読むか

1 条約本文,採択決定,政治的合意を分ける

決定を読む際は,まず番号から採択主体を確かめ,根拠条文,宛先,動詞を順に見る。
同じ採択文書の中にも,機関の設置を決める項,締約国に努力を求める項,他の文書を参照する項が並ぶ。
決定全体を一語で「拘束力がある」「拘束力がない」と評価するよりも,問題となる項とその根拠を確認する方が正確である。

2009年のCOP15では,決定2/CP.15がコペンハーゲン合意に留意した。
2015年のCOP21では,決定1/CP.21の第1項が,附属書に収めたパリ協定を採択した。
パリ協定が効力を生じたのは2016年11月4日である。
この二例を比べると,決定が存在すること,決定が何をしたか,採択された条約がいつ効力を生じたかを分けて確認できる。

2 会議の意思決定手続

COP30は,手続規則案(FCCC/CP/1996/2)のうち第42規則案を除いて従前どおり適用し,COP31で協議を続けることとした。
他方,枠組条約は,手続規則の採択にコンセンサスを求める第7条2(k)や,条約改正の採択に関する第15条3を置いている。
ある会合の運用から,あらゆる事項で法的に全会一致が必要だと結論づけることはできない。

第4 京都議定書とパリ協定は何が違うか

1 京都議定書の数量化された約束と各国のNDC

京都議定書は1997年に京都で作成され,2005年に発効した。
同議定書第3条1と附属書Bは,第1約束期間の数量化された排出抑制・削減の枠組みを定めた。
約束期間の終了と議定書の失効は別の事柄である。

パリ協定の下では,各締約国が,国が決定する貢献(NDC)を作成し,通報し,維持する。
第4条2は,NDCの目標の達成に向けて国内の緩和措置を遂行することも定め,第4条9はNDCを5年ごとに通報することを定めている。
目標数値を各国が設定する仕組みと,協定が締約国に求める作成・通報・維持や国内措置の遂行とは区別して読む必要がある。

2 透明性,グローバル・ストックテイク,遵守の仕組み

第13条の透明性枠組みでは,締約国が排出・吸収の目録やNDCの進捗を追跡する情報を定期的に提供し,対象となる情報は技術専門家による検討を受ける。
能力に照らし必要とする開発途上締約国については柔軟性が設けられている。

第14条のグローバル・ストックテイク(GST)は,協定の長期目標に向けた世界全体の進捗を,緩和,適応,実施・支援の手段について検討する仕組みである。
第1回は2023年で,その後はCMAが別段の決定をしない限り5年ごとに行う。
第15条の委員会は,協定の実施と遵守を促す専門家の仕組みであり,促進的かつ非懲罰的である。

3 日本が提出したNDC

日本政府が2025年2月18日に提出したNDCでは,温室効果ガスを2013年度比で2035年度に60%,2040年度に73%削減することを目指している。
ここでいう年度と基準年は日本の提出文書に基づく。
国が提出する目標と,企業が国内制度に基づいて算定・開示する排出量では,主体も確認先も異なる。

第5 COP28からCOP30までの決定を読む

1 ドバイ(COP28)と化石燃料からの移行

第1回GSTの成果は,CMA5の決定1/CMA.5である。
第28項(d)は,エネルギーシステムで公正かつ秩序立った衡平な形で化石燃料から移行することを,世界的な取組の一つに掲げる。
同項の柱書は,各国の事情等を踏まえ,国が決める形で世界的な取組に貢献するよう求めている。
適用範囲を読むときは,(d)だけでなく柱書も確認する。

2 バクー(COP29)の気候資金

CMA6の決定1/CMA.6第8項は,先進締約国が主導し,開発途上締約国の気候対策のために,2035年までに年3,000億米ドル以上の資金を動員する目標を設定した。
資金源には公的資金と民間資金などが含まれる。
同決定第7項は,公私のあらゆる資金源から年1兆3,000億米ドル以上へ規模を拡大できるよう,全ての関係主体に協力を求める。
二つの金額は,宛先と対象範囲が異なる。
各国ごとの負担額を読む場合には,これらの集合目標と区別する必要がある。

3 ベレン(COP30)のグローバル・ムチラオ

2025年11月10日から22日まで,ブラジルのベレンでは,COP30,CMP20,CMA7などが開かれた。
会議の成果を探す際は,CMA7の1/CMA.7と,常設資金委員会を扱うCOP30の1/CP.30を取り違えないようにする。

1/CMA.7第41項は,各国のNDCや国の適応計画の実施を支える任意のイニシアチブの立上げを決めた。
第53項は2035年までに適応資金を少なくとも3倍にするための努力を求め,第54項は気候資金に関する2年間の作業計画の設置を決めた。
第51項の特定の基金等からの年間資金流出額に関する文言は,第53項の適応資金に関する要請とは別に読む。

第6 COP31の開催予定とプレCOP

2026年11月8日(日本時間)現在,COP31の正式会期は開会前である。
環境省と国連気候変動枠組条約事務局の案内では,開催地はトルコのアンタルヤ,会期は現地時間の11月9日から20日までであり,CMP21,CMA8なども同時に予定されている。
公表された取決めでは,開催とCOP議長をトルコ側が担い,豪州側が交渉を主導する役割分担が示されている。

これに先立ち,フィジーのナンディで10月7日から8日まで閣僚級準備会合が開かれた。
環境省の報告によると,日本側は緩和の加速と適応の重要性を強調し,多様な気候資金の動員を呼びかけた。
議題を追うには国連の会合ページで事前文書を確認し,結果を調べる際は会合報告と採択決定を探すとよい。

第7 出典と関連記事

① 会議の根拠と開催経過 外務省「関連条約・関連資料・刊行物等」,外務省「国連交渉(COP、CMP、CMA、SB)」,環境省の開催一覧。
② パリ協定とNDC 外務省のパリ協定和文,環境省掲載の日本のNDC。
③ 採択・留意と会議手続 決定2/CP.15,決定1/CP.21,COP30会議報告(第5・6項)。
④ 直近の採択文書 決定1/CMA.5(第28項),決定1/CMA.6(第7・8項),決定1/CMA.7(第41・51・53・54項),COP30採択決定集(1/CP.30),環境省のベレン会議結果。
⑤ アンタルヤ会議 環境省のジャパン・パビリオン発表(開催日程),環境省のプレCOP31報告,UNFCCCのCOP31会合ページ,事務局の会合準備文書(第3・5・7項)。
⑥ 国内開示の関連記事 サステナビリティ情報の二段階開示とは。