メインコンテンツへスキップ

弁護士倫理・懲戒

訴訟活動における名誉毀損・侮辱と弁護士会の懲戒(AI作成)

目次第1 弁護士職務基本規程70条・71条・73条──名誉の尊重と不利益行為の禁止1 70条(名誉の尊重)の内容と趣旨2 71条(信義に反する不利益行為の禁止)3 73条(他の弁護士等との紛議は協議・紛議調停で)4 「品位を失うべき非行」との実質判断(弁護士法56条1項)第2 懲戒事例──場面別に見た問題の表現1 準備書面等で相手方本人を攻撃した例2 相手方代理人・他の弁護士を攻撃した例3 メーリングリスト・手紙・文書・メールでの誹謗中傷や威圧4 SNS・インターネット・記者会見での表現5 懲戒請求制度の濫用・懲戒請求書での名誉毀損第3 単位弁護士会と日弁連で判断が分かれた例1 懲戒請求書の記載を取り消した例2 準備書面の記載を取り消した例第4 関連論点・関連記事出典
第1 弁護士職務基本規程70条・71条・73条──名誉の尊重と不利益行為の禁止

この記事は,弁護士が訴訟活動やSNS等で相手方,相手方訴訟代理人又は他の弁護士の名誉を毀損し,若しくは侮辱したことを理由に弁護士会から受けた懲戒処分の実例を,弁護士職務基本規程70条・71条の内容とあわせて場面別に整理したものです。
対象は,日本弁護士連合会の機関誌『自由と正義』の懲戒処分公告で確認できる事例(『自由と正義』2026年10月号まで)で,各事例には掲載号・頁と処分の効力発生日を付し,公告に記載された問題の表現をできる限りそのまま示します。

訴訟活動の中でされた表現が,相手方等に対する不法行為(民法709条)や国家賠償として違法になるかどうかは,これとは別の判断枠組みの問題であり,本記事では扱いません。その点は,関連記事「陳述書の作成が違法となる場合に関する裁判例」で整理しています。本記事は,これとは別のレイヤーである弁護士会による懲戒処分に焦点を当てます。

弁護士が他の弁護士を攻撃した場合の懲戒の根拠として,弁護士職務基本規程70条及び71条がしばしば引かれます。
もっとも,これらの条文に形式的に触れる行為がすべて直ちに懲戒事由となるわけではなく,弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」と同等の評価を受けるかという実質的な観点から判断されます。
1 70条(名誉の尊重)の内容と趣旨
職務基本規程70条は,次のとおり定めます。
「弁護士は、他の弁護士、弁護士法人、外国法事務弁護士、外国法事務弁護士法人及び共同法人(以下「他の弁護士等」という。)との関係において、相互に名誉と信義を重んじる。」

令和8年10月4日確認の日弁連公表の現行規程によります。以下の過去の事例に適用された旧規定と,現在の70条の文言は区別して読んでください。

その趣旨は,弁護士等が「法の支配」の担い手として法律事務の独占(弁護士法72条)を認められているところ,法律事務は国民の信頼に支えられて初めて適正に取り扱うことができるのであって,依頼者や市民の信頼を得るためには弁護士等が名誉と信義を重んじる品格ある職業集団でなければならない,という点にあると説明されています(解説弁護士職務基本規程〔第3版〕200頁,〔第4版〕226頁)。
ただし,これは弁護士が依頼者や市民より一段上にあるという意味ではありません。法廷での発言や準備書面の記載のほか,ブログやSNS等で相手方代理人の言動を取り上げて非難する行為も,場合によってはその弁護士の名誉・信用を害するものとして違法性を帯びることがあります。
2 71条(信義に反する不利益行為の禁止)
職務基本規程71条は,次のとおり定めます。
「弁護士は,信義に反して他の弁護士等を不利益に陥れてはならない。」

ここでいう「信義」は,不利益を受けた弁護士が抱く主観的な信義ではなく,自由・独立・品位を重んじ誠実かつ公正に職務を行うべき弁護士職として要求される客観的な信義を指すとされています(解説弁護士職務基本規程〔第3版〕202頁,〔第4版〕228頁)。

懲戒委員会の議決例でも,71条は積極的に不利益を与える意思までを要するものではなく,客観的に不利益を与える行為を行うこと自体が禁止されると理解されています。相手方代理人の同意なく相手方本人に会って解任通知書を作成・交付した行為について,客観的に相手方代理人へ不利益を与える以上71条に反すると判断した例があります(大分県弁護士会懲戒委員会・令和2年3月16日効力発生の議決。自由と正義2020年8月号56頁,2020年弁護士懲戒事件議決例集〔第23集〕70頁・71頁)。

解説弁護士職務基本規程〔第4版〕228頁は,71条に違反する例として,相手方代理人が自らの依頼者本人と直接交渉することを承諾しておきながら,後に前言を翻し,承諾なく直接交渉したとして懲戒請求をほのめかす行為などを挙げています。相手方本人との直接交渉の規律(職務基本規程52条)は,相手方に代理人がいるとき弁護士は本人と直接交渉してよいか-弁護士職務基本規程52条の要件と懲戒例で整理しています。
3 73条(他の弁護士等との紛議は協議・紛議調停で)
あわせて,弁護士は,他の弁護士等との間の紛議については,協議又は弁護士会の紛議調停による円満な解決に努めるものとされています(職務基本規程73条)。
相手方代理人への攻撃や懲戒請求に先立ち,まず自主的な協議や弁護士会の紛議調停による解決を図るべきことを示す規定です。
4 「品位を失うべき非行」との実質判断(弁護士法56条1項)
70条・71条に形式的に触れても,直ちに懲戒されるわけではありません。

(続きを読む...)訴訟活動における名誉毀損・侮辱と弁護士会の懲戒(AI作成)

弁護士の「品位を失うべき非行」の不明確性と懲戒制度への批判(AI作成)

弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」は,具体的な行為類型を列挙した規定ではない。この概念については,予測可能性が乏しく恣意的な懲戒を招くという批判がある一方,最高裁判例は,懲戒事由該当性,懲戒の要否及び処分選択について弁護士会の合理的裁量を認めている。

本記事は,①当事者・論者による制度批判,②現行法,③最高裁判例が示す裁量審査,④表現規制における明確性判例からの示唆を区別して整理する。法令及び裁判例の確認基準日は2026年9月25日である。

目次第1 現行法上の「品位を失うべき非行」第2 不明確であるという批判の内容第3 行政手続法12条との関係第4 最高裁が認める弁護士会の裁量第5 表現規制の明確性判例との関係第6 他士業との比較と制度論第7 議論を混同しないための整理第8 関連記事第9 出典・証拠境界

第1 現行法上の「品位を失うべき非行」

弁護士法56条1項は,弁護士及び弁護士法人が,弁護士法又は所属弁護士会・日本弁護士連合会の会則に違反し,所属弁護士会の秩序又は信用を害し,その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があったときは懲戒を受けると定める。

「品位を失うべき非行」は,刑法上の犯罪又は民法上の不法行為と同一ではない。弁護士の使命,職務上の義務,依頼者及び国民の信頼との関係で,行為の内容,態様,結果,職務との関連性,動機,事後対応その他の事情を踏まえて判断される。

懲戒処分は,戒告,2年以内の業務停止,退会命令及び除名である(同法57条1項)。懲戒事由に該当するかという判断と,どの処分を選択するかという量定判断は区別する必要がある。

第2 不明確であるという批判の内容

非弁提携を理由とする懲戒処分を受けた弁護士法人等が公表した審査請求書には,「品位」「非行」「非弁提携」といった文言が曖昧であり,重大な不利益処分の要件として広い裁量を認めると,予測可能性を害し恣意的判断を招くという趣旨の主張が記載されている。また,交通違反の点数制や建築士の処分基準のような具体的基準を設けるべきであると主張されている。

これは,審査請求人側の主張を紹介するものであり,その正しさが判決によって確定したという意味ではない。当該懲戒処分の適法性,非弁提携の該当性及び手続の問題は,公表資料と確定裁判の有無を区別して検討する必要がある。

学説上も,弁護士懲戒の救済制度,手続保障及び基準の明確化を求める議論がある。これも制度改善についての評価・提案であり,現行法又は最高裁判例の内容そのものではない。

SNSでの表現を理由とする懲戒でも,「品位」の基準が争われている例がある。
大阪弁護士会は,Xで他人の投稿を引用し,真偽を確認しないまま,その投稿者に前科があるとのタレコミがあった旨を投稿した弁護士を,弁護士法56条1項の品位を失うべき非行に当たるとして戒告とした(2026年4月28日効力発生,『自由と正義』2026年10月号69頁)。
公告が理由として挙げるのは同項だけであり,弁護士職務基本規程の個別の条文は挙げていない。

報道によれば,この弁護士は,自らに向けられてきた差別的な発言に対する対抗言論であったとして,2026年7月27日に日本弁護士連合会へ審査請求をした。
記者会見に同席した弁護士は,「品位」などの基準で判断する弁護士法56条には懲戒権者による濫用のおそれもあり,この規定が妥当かを考える機会にしてほしいという趣旨を述べたと報じられている。
いずれも処分を受けた側とその支援者の主張であり,『自由と正義』2026年10月号の時点では,日本弁護士連合会の裁決は公告されていない。
弁護士のSNS投稿を理由とするほかの懲戒例は,弁護士のSNS・ネット表現と懲戒で整理している。

第3 行政手続法12条との関係

行政手続法12条は,行政庁に対し,不利益処分の処分基準を定めて公にしておくよう努めること,基準を定める場合には不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的にすることを定める。

しかし,弁護士法43条の15及び49条の2は,弁護士会及び日本弁護士連合会が行う処分等について,行政手続法のうち行政指導に関する規定を除く規定を適用しないと定める。したがって,行政手続法12条が弁護士懲戒へ直接適用され,処分基準の設定が法的義務となるという説明は正確でない。

予測可能性の確保,平等な取扱い及び恣意の抑制という行政手続法12条の考え方を,弁護士自治の下でも制度設計上参照すべきである,という議論は成り立つ。ただし,これは直接適用の解釈ではなく,類推的な制度論・規範的主張である。

第4 最高裁が認める弁護士会の裁量

最高裁平成18年9月14日第一小法廷判決(平成15年(行ヒ)第68号・裁判集民事221号87頁)は,ある事実関係が「品位を失うべき非行」等の懲戒事由に該当するか,該当する場合に懲戒するか,どの処分を選択するかは,弁護士会の合理的な裁量に委ねられるとした。

そして,弁護士会の懲戒処分が違法となるのは,全く事実の基礎を欠くか,社会通念上著しく妥当性を欠き,裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用したと認められる場合に限られるとした。

判断段階内容事実認定懲戒対象行為と事情を証拠により認定する懲戒事由該当性弁護士法56条1項の各事由に当たるかを判断する懲戒の要否該当しても懲戒しない余地を含め,相当性を判断する処分選択戒告から除名までのどの処分を選ぶかを判断する司法審査事実の基礎の欠如又は社会通念上著しい不合理があるかを審査する

(続きを読む...)弁護士の「品位を失うべき非行」の不明確性と懲戒制度への批判(AI作成)

弁護士のSNS・ネット表現と懲戒(AI作成)

この記事は,弁護士のSNS・インターネット上の表現をめぐる懲戒として,いわゆる「タヒね」懲戒とその取消し,表現の自由との関係,対象弁護士の日弁連総会における発言を取り上げるものです(2026年7月時点の法令・裁判例に基づきます。)。
目次

第1 「タヒね」懲戒とその取消し
第2 侮辱・名誉毀損の法的責任(概要)
第3 表現の自由と萎縮効果
第4 対象弁護士の日弁連総会における発言
第5 ウェブ上の表現で懲戒された例との対比
第6 関連論点・関連記事
出典

第1 「タヒね」懲戒とその取消し
令和3年3月1日発効の大阪弁護士会の戒告では,次の行為について,弁護士法56条1項に定める品位を失うべき非行に該当すると判断されました(月刊大阪弁護士会2021年3月号60頁,自由と正義2021年7月号126頁)。
対象会員は,懲戒請求者から国家賠償請求訴訟について委任を受け訴訟代理人として活動していたが,その後辞任を求められ,これを受託して辞任届を提出した。その後,着手金の返還を巡るやりとりのころ,弁護士の肩書きとともに登録氏名及び法律事務所名を表示したツイッターにおいて,「金払わん奴はタヒね」「金払うつもりないなら法律事務所来るな」「弁護士費用を踏み倒すやつはタヒね」等とツイートを行った。
もっとも,この戒告は,被懲戒者の審査請求に基づき,令和4年5月17日付の日弁連の裁決で取り消され,被懲戒者は懲戒しないこととされました(自由と正義2022年7月号163頁~164頁の裁決の公告)。単位弁護士会の懲戒処分が日弁連で取り消されることがある一例です。
裁決の理由の要旨によれば,日弁連は,ツイートが「弁護士報酬の支払いを不履行にする者」を対象とするもので懲戒請求者を具体的に名指ししていないこと,ツイートには自己の愚痴や不満の感情を発散させるための手段という面も認められること,「タヒね」等は軽薄で下品な表現であるものの,いまだ懲戒処分を行うことが相当とまでは言えないこと,弁護士といえども私的な発言は表現の自由の対象として広く許されるべきであり,過去の処分例との公平性を考慮することも重要であることなどを挙げています。
ただし,原弁護士会の判断は相当であるとの少数意見があったことも付記されています。
第2 侮辱・名誉毀損の法的責任(概要)
SNS上の暴言は,懲戒とは別に,民事・刑事の責任を生じさせることがあります。要点だけを挙げると,次のとおりです。

事実を摘示しないで公然と人を侮辱した場合,侮辱罪が成立します(刑法231条)。侮辱罪の法定刑は,令和4年の刑法改正で引き上げられ,現在は「1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
刑法230条の2第1項は,公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,真実であることの証明があったときは罰しないとしています。同条2項・3項には,公訴が提起されていない人の犯罪行為や公務員等に関する事実についての特則があります。最高裁平成22年3月15日決定(平成21年(あ)第360号,刑集64巻2号1頁)は,インターネットの個人利用者による表現行為の場合も,他の場合と同様に,摘示した事実を真実と誤信したことについて確実な資料,根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り名誉毀損罪は成立しないとし,より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきではないとしています。本人が真実だと思っているという事情だけで,名誉毀損罪が成立しないと判断することはできません。
自己の正当な利益を擁護するためやむをえず他人の名誉を損なう言動をした場合は,その他人が行った言動に対比して,方法・内容において適当と認められる限度を超えない限り,違法性を欠くとされています(最高裁昭和38年4月16日判決参照。学界誌の記事をめぐる民事の名誉毀損の事案です。)。

民事の侮辱(名誉感情の侵害)が違法となる基準や,侮辱罪の法定刑引上げの経緯など,より詳しい整理は,別記事「陳述書の作成が違法となる場合に関する裁判例」の該当箇所を参照してください。
第3 表現の自由と萎縮効果
令和元年9月9日付の東京弁護士会の意見書(「裁判官の市民的自由を萎縮させない対応を求める意見書」)には,次の記載があります。
いかなる表現行為が「許容される限度を逸脱」するのかが示されないでされる制約は,許容される表現行為の予測可能性を奪い,裁判官の表現行為に萎縮的効果を与えるものである。そのことは,一般市民との合理的な差異の不明確性とも相まって,一般市民の表現活動にも予測可能性を奪うおそれがあり,一般市民の表現活動についても萎縮効果を与えることにつながりかねない懸念がある。
表現の自由については,市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)19条が,すべての者が意見を持つ権利と表現の自由についての権利を有するとしつつ,その行使には特別の義務・責任が伴い,法律により,他の者の権利・信用の尊重や公の秩序等の目的のために必要とされる一定の制限を課すことができるとしています。
第4 対象弁護士の日弁連総会における発言

(続きを読む...)弁護士のSNS・ネット表現と懲戒(AI作成)

弁護士の表現と名誉毀損(AI作成)

この記事は,弁護士の弁護活動に関する発言(テレビでの懲戒請求の呼びかけなど)が名誉毀損として違法になるかの判断枠組みと,名誉毀損が成立しない場合でも弁護士会の懲戒対象となり得ることを,最高裁判例に即して整理したものです(2026年7月時点の法令・裁判例に基づきます。)。
目次

第1 名誉毀損の違法性が阻却される場合(最高裁平成17年6月16日判決)
第2 名誉毀損が成立しなくても弁護士会の懲戒対象となり得る(最高裁平成23年7月15日判決)
第3 弁護士・弁護士会に求められる説明責任(須藤正彦裁判官の補足意見)
第4 関連論点・関連記事
出典

第1 名誉毀損の違法性が阻却される場合(最高裁平成17年6月16日判決)
名誉毀損が成立するかどうかは,表現が「事実の摘示」か「意見・論評の表明」かで枠組みが分かれます。最高裁平成17年6月16日判決は,先例を引用しつつ,一般論として次のとおり判示しています(番号は引用者が付し,接続の語句と先例の表示は省略しています。)。
① 事実を摘示しての名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには,上記行為には違法性がなく,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される。

② ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,上記意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り,上記行為は違法性を欠くものというべきであり,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される。
同じ日付で出された別事件の上告棄却決定(最高裁平成17年6月16日決定)には,名誉毀損の成立を否定すべきとする裁判官島田仁郎の詳細な反対意見が付されています。
第2 名誉毀損が成立しなくても弁護士会の懲戒対象となり得る(最高裁平成23年7月15日判決)
大阪弁護士会に所属しタレント活動もしていた橋下徹弁護士が,平成19年5月27日放送のテレビのトーク番組において,光市母子殺害事件の弁護団を構成する弁護人に対する懲戒請求を呼びかけた行為について,大阪弁護士会は,平成22年9月17日,意見・論評の域を逸脱すること等を理由に2か月間の業務停止処分としました。

しかし,最高裁平成23年7月15日判決は,原審である広島高裁平成21年7月2日判決(平成20年(ネ)第454号)を破棄した上で,橋下徹弁護士の発言は不法行為法上違法とはいえないと判断しました(第1審被告である橋下徹弁護士が最高裁で逆転勝訴しました。)。

このように,弁護士会の懲戒処分の判断と,最高裁判所の不法行為の成否の判断とが一致しない事例があります。名誉毀損(不法行為)が成立しないと評価される表現であっても,弁護士会は,別途,品位を失うべき非行に当たるかを判断します。

最高裁平成23年7月15日判決は,一般論として,刑事事件における弁護人の弁護活動は被告人の言い分を無視して行うことができないことをその本質とするものであって,被告人の言い分や弁護人との接見内容等を知ることができない場合には,憶測等により当該弁護活動を論難することには十分に慎重でなければならない,と判示しています。

なお,前提となった光市母子殺害事件については,最高裁平成24年2月20日判決が,死刑判決を下した広島高裁平成20年4月22日判決を支持しました。
第3 弁護士・弁護士会に求められる説明責任(須藤正彦裁判官の補足意見)
上記の最高裁平成23年7月15日判決の裁判官須藤正彦の補足意見は,弁護士・弁護士会が批判に対して説明を尽くすべき立場にあることを述べています(改行は引用者が付しています。)。
弁護士は裁判手続に関わって司法作用についての業務を行うなど,その職務の多くが公共性を帯有し,また,弁護士会も社会公共的役割を担うことが求められている公的団体であるところ,主権者たる国民が,弁護士,弁護士会を信認して弁護士自治を負託し,その業務の独占を認め(弁護士法72条),自律的懲戒権限を付与しているものである以上,弁護士,弁護士会は,その活動について不断に批判を受け,それに対し説明をし続けなければならない立場にあるともいえよう。

懲戒制度の運用に関連していえば,前記のとおり,弁護士会による懲戒権限の適正な行使のために広く何人にも懲戒請求が認められ,そのことでそれは国民の監視を受けるのだから,弁護士,弁護士会は,時に感情的,あるいは,無理解と思われる弁護活動批判ないしはその延長としての懲戒請求ないしはその勧奨行為があった場合でも,それに対して,一つ一つ丹念に説得し,予断や偏見を解きほぐすように努めることが求められているといえよう。あるいは,著名事件であるほどにその説明負担が大きくなることはやむを得ないところもあろう。

(続きを読む...)弁護士の表現と名誉毀損(AI作成)

不当な懲戒請求と不法行為責任(AI作成)

目次

第1 懲戒請求権と不法行為責任の関係
第2 最高裁平成19年4月24日判決の判断基準
第3 判断の順序
第4 最高裁判決の事案と結論
第5 田原睦夫裁判官の補足意見
第6 損害と因果関係の立証資料
第7 懲戒手続への答弁と損害賠償請求を分けること
第8 刑法172条との関係
第9 下級審の認容例と資料の確認範囲
第10 出典・関連記事

弁護士に対する懲戒請求が不懲戒又は審査不相当になったとしても,そのことだけで請求者に不法行為責任が生じるわけではない。

最高裁平成19年4月24日第三小法廷判決(平成17年(受)第2126号,民集61巻3号1102頁)は,懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠き,請求者がそれを知り,又は通常人であれば普通の注意により知り得たのにあえて請求するなど,制度の趣旨目的に照らし相当性を欠く場合に,不法行為が成立するとした。

本記事では,最高裁の法廷意見と田原睦夫裁判官の補足意見を分け,不当な懲戒請求に対応した弁護士が保存すべき記録を整理する。

第1 懲戒請求権と不法行為責任の関係

弁護士法58条1項は,何人も,弁護士又は弁護士法人について懲戒事由があると思料するときは,その事由の説明を添えて所属弁護士会に懲戒を求めることができると定める。

この制度は,広く一般の人に懲戒請求権を認め,弁護士会の自律的懲戒権限が適正に行使され,制度が公正に運用されることを期したものである。他方,根拠のない請求は,対象弁護士の名誉・信用を侵害し,弁明の負担を生じさせる。

したがって,「請求できること」と「根拠を欠く請求について民事責任を負わないこと」は同じではない。

第2 最高裁平成19年4月24日判決の判断基準

同最高裁判決は,懲戒請求者が,対象弁護士に懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠について調査・検討すべき義務を負うとした。

その上で,次の事情があるときは,違法な懲戒請求として不法行為を構成すると判示した。

懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠くこと

(続きを読む...)不当な懲戒請求と不法行為責任(AI作成)

弁護士の守秘義務―弁護士法23条・職務基本規程23条と正当な理由(AI作成)

弁護士に相談したり事件を依頼したりすると,「話した内容や渡した資料はどこまで秘密として守られるのか」「裁判や捜査,国会の場で弁護士が私のことを話してしまうことはないのか」といった疑問を持たれることがあります。この記事では,弁護士の守秘義務の根拠と範囲,守秘義務が例外的に解除される場合,証言や押収を拒める場面,司法修習生が事件記録に触れること,及び依頼者側でも第三者に見せない方がよい文書について,条文と最高裁判例を確認しながら整理します。条文は令和7年6月1日施行の拘禁刑への一本化を含む現行の内容によります。

目次第1 弁護士の守秘義務と秘密漏示罪1 守秘義務の根拠と対象2 秘密漏示罪(刑法134条1項)第2 弁護士の証言拒絶権・押収拒絶権等1 民事裁判での証言拒絶・文書提出拒絶2 刑事裁判での押収拒絶・証言拒絶3 依頼者との通信の傍受禁止と秘匿特権4 国会での証言・書類提出第3 守秘義務が解除される場合1 法律に別段の定めがある場合2 正当な理由がある場合第4 弁護士への相談と秘密保持契約(NDA)1 弁護士への相談と情報開示の許否を分ける2 M&AやNDAひな形での扱い第5 司法修習生等による傍聴・記録の閲覧謄写1 実務修習中の司法修習生の傍聴・記録閲覧2 記録の閲覧謄写と依頼者の同意3 司法修習生と研修医の違い第6 第三者に見せない方がよい文書1 相手方の秘密・プライバシーへの配慮2 検察官開示記録の取扱い第7 事件記録の管理体制と弁護士情報セキュリティ規程出典
第1 弁護士の守秘義務と秘密漏示罪

本記事で扱う弁護士法23条の秘密保持の権利・義務と,弁護士職務基本規程23条の依頼者の秘密を漏らし,又は利用することの禁止は,根拠と対象を区別して確認する必要がある。規程23条,56条及び62条の本文と関連条文は,弁護士職務基本規程の現行条文・条文別索引を参照されたい。

1 守秘義務の根拠と対象
(1) 二つの根拠と「依頼者」の範囲
弁護士の守秘義務には,二つの根拠があります。一つは法律で,弁護士法23条本文は「弁護士又は弁護士であつた者は,その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し,義務を負う。」と定めています。守秘義務が「権利」でもあるのは,後で述べる証言拒絶権など,弁護士が秘密を守るために外部の要求を拒める場面があるからです。この秘密保持の権利・義務は,弁護士の使命に基づく誠実義務(弁護士法1条2項)の一つの内容とも位置づけられ,弁護士という職業の存立を支えるものと理解されています。

もう一つは日本弁護士連合会の会規である弁護士職務基本規程で,同規程23条は「弁護士は,正当な理由なく,依頼者について職務上知り得た秘密を他に漏らし,又は利用してはならない。」と定めています。「漏らす」だけでなく「利用」も禁じられている点が特徴です。

ここでいう「依頼者」は,現に個別の事件を依頼した人に限られません。日弁連「解説弁護士職務基本規程」によれば,次の人も含まれると解されています。

受任には至らなかった相談者
顧問先
事件が終了した過去の依頼者
組織内弁護士(企業などに雇用されて働く弁護士)の雇用主

したがって,相談したものの依頼を見送った場合や,事件がすでに終わっている場合でも,弁護士の守秘義務は続きます。
なお,弁護士の側で依頼を断るときに依頼者へ通知する義務については,弁護士が事件の依頼を断るときの通知義務で説明しています。
(2) 「職務上知り得た秘密」の意味と範囲
弁護士法23条が守るのは「職務上知り得た秘密」です。これは弁護士が職務を行う過程で知り得た秘密という意味で,職務とは関係なく知った秘密は含まれません。例えば,弁護士会の会務活動を通じて知った事柄を漏らしても,この条文の違反にはならないと解されています。大阪高裁平成19年2月28日判決(平成18年(ネ)第2841号・第3319号,判例タイムズ1272号273頁)は,「職務上知り得た」とは弁護士がその職務を行うについて知り得たという意味であり,依頼を受けて法律事務を処理する上で知り得た事項(将来依頼を受ける予定で知り得た事項を含みます。)に守秘義務が及ぶ一方,弁護士会の会務を行う際に知り得た事実には弁護士としての守秘義務は及ばないとしています(判例秘書で判決文を確認しました。)。もっとも,会務で知った情報も,会則・規則上の秘密保持義務の対象になり得ます(会務活動における弁護士の秘密保持義務参照)。

ここでいう「秘密」は,本人が特に秘匿しておきたいと考える性質のもの(主観的な秘密)に限られず,一般の人の立場からみて秘匿しておきたいと考える性質のもの(客観的な秘密)も含むと解されています。例えば,ある人が誰に事件を依頼しているかという委任関係の存否自体も,その人が法的紛争の当事者であることに関わる事実として,秘密に当たり得ます。

秘密の「主体」については議論があります。弁護士職務基本規程23条は「依頼者について」と定めていますが,弁護士法23条は文言上,秘密の主体を依頼者に限定していません。この点について,弁護士の守秘義務は依頼者はもとより第三者の秘密やプライバシーにも及ぶと理解するのが実務の一般的な考え方です。少なくとも,弁護士がその職務であるからこそ取り扱うことができる情報については,職務への信頼を守る観点から,依頼者以外の秘密も守秘義務の対象になると解されています。もっとも,依頼者と同じ信頼関係があるわけではない第三者の秘密をどこまで守るべきかは,後述する「正当な理由」の判断の中で,事案ごとに調整されることになります。
(3) 同じ法律事務所の弁護士も義務を負う
守秘義務を負うのは,直接担当した弁護士だけではありません。弁護士職務基本規程56条は「所属弁護士は,他の所属弁護士の依頼者について執務上知り得た秘密を正当な理由なく他に漏らし,又は利用してはならない。その共同事務所の所属弁護士でなくなつた後も,同様とする。」と定めています。

(続きを読む...)弁護士の守秘義務―弁護士法23条・職務基本規程23条と正当な理由(AI作成)

個人情報漏洩に関する弁護士会の懲戒事例(AI作成)

目次

第1 はじめに——弁護士に課される情報保護の責務

1 なぜ個人情報漏洩が懲戒の重要テーマなのか
2 本稿で扱う「漏洩」の範囲
3 検討の素材と引用の方針

第2 弁護士の情報保護義務を支える法令の体系

1 弁護士法23条——秘密保持義務
2 弁護士職務基本規程の関連条項
3 戸籍・住民票をめぐる法令
4 個人情報保護法と弁護士
5 守秘義務が及ぶ人的範囲

第3 類型1——職務上知り得た秘密の第三者開示

1 秘密保持義務違反の基本構造
2 書面やインターネットで秘密を公開した事例
3 通報者・相談者の情報を漏らした事例
4 相談・聴取で得た情報と立場の利用

第4 類型2——プライバシー情報の暴露とネット公開

1 デジタルタトゥーという新しい危険
2 SNSに氏名・顔写真・属性を掲載した事例

(続きを読む...)個人情報漏洩に関する弁護士会の懲戒事例(AI作成)

学習オフ設定のClaudeコード及びGoogle AI Ultraの利用は弁護士の守秘義務等に違反しないという個人的意見(AIリライト)

第1 この記事の位置づけと結論
第2 用いている環境と設定

1 Claudeコード(Anthropic社)
2 Google AI Ultra(Google社)
3 端末上で動作する形態に固有の情報の出口
4 プランの選択――ゼロ保持と最新機能のどちらを採るか
5 両者を同じ数字で語ることはできない
6 OS組込み型AIは本記事の結論をそのまま適用できない
7 DPAは結論ではなく確認資料の一つである

第3 技術的評価

1 学習への不使用
2 暗号化及び国際認証
3 人間による確認の範囲
4 情報の滞留期間
5 過度な禁止がかえって危険であること

第4 東京弁護士会の選定基準との対照
第5 弁護士職務基本規程との整合性

1 第三者開示に関する評価
2 弁護士情報セキュリティ規程が求める安全管理措置
3 依頼者の同意――委任契約約款

(続きを読む...)学習オフ設定のClaudeコード及びGoogle AI Ultraの利用は弁護士の守秘義務等に違反しないという個人的意見(AIリライト)

日本司法支援センター(法テラス)を利用しなかったことに関して単位弁護士会で戒告となり,日弁連で不懲戒となった事例

目次第1 この事例の結論第2 山梨県弁護士会の戒告と日弁連の不懲戒を分けて読む1 希望した和解条件と説明・協議2 法テラス不利用と具体的な費用負担3 援助申込書の書換えと承諾の認定第3 法テラスを利用しない場合の説明と記録第4 現在の制度運営に関する注意第5 公表資料及び実務家の意見

本件は,依頼者が法テラスの利用を希望していた事件で,山梨県弁護士会が戒告とした後,日本弁護士連合会が原処分を取り消し,不懲戒とした事例である。最終的な懲戒判断は日弁連の不懲戒であり,単位弁護士会の「処分の理由の要旨」だけを現在の確定判断として扱うことはできない。

第1 この事例の結論

この事例から,「資力基準を満たす依頼者について,弁護士はすべての事件で必ず法テラスを利用しなければ懲戒される」という一般的な義務を導くことはできない。他方,依頼者が法テラスの利用を希望し,又は過去の相談・申込書からその希望がうかがわれる場合に,法テラス利用の可否,私選契約との費用差,手続及び選択肢を説明しないまま私選契約を締結すれば,説明義務,適正な事件処理及び依頼者意思の確認が問題となり得る。

弁護士職務基本規程33条は,事案に応じ,法律扶助制度,訴訟救助制度その他の資力の乏しい者の権利保護のための制度を説明し,裁判を受ける権利が保障されるよう努めることを定める。
同規程82条2項は,33条を弁護士の職務の行動指針又は努力目標を定めたものとして解釈し適用することを定めている。

『解説 弁護士職務基本規程』第4版134頁は,資力に欠ける依頼希望者に対しても制度の内容を説明し,可能な限り利用を勧めるべきであり,支払能力の不足を理由とする単純な受任拒絶は33条の趣旨に沿わないと説明する。
他方,制度の説明,援助を利用できるかどうかの審査,弁護士が事件を受任するかどうかは別の問題である。
本件の結論から,一律の法テラス利用義務又は費用免除を導くことはできない。

第2 山梨県弁護士会の戒告と日弁連の不懲戒を分けて読む

山梨県弁護士会は,法テラスを利用できることを説明しないで私選契約を締結した点等を問題とし,戒告とした。これに対し,日弁連は令和2年7月17日発効の裁決で原処分を取り消し,不懲戒とした。

原処分は取り消されているが,その理由付けへの評価は問題ごとに異なる。説明・協議の不足についての指摘と,申込書の書換えについての承諾の認定,最終的に不懲戒とした理由を,次のとおり区別して読む必要がある。

1 希望した和解条件と説明・協議
(1) 不懲戒でも説明不足の評価は残っている

『自由と正義』2020年9月号128頁~129頁に掲載された取消裁決の理由の要旨では,社会保険等の遡り加入について,依頼者の希望が弁護士にどの程度正確に伝わっていたかは定かでなく,両者に認識のずれがあったとされている。
そのため,和解条項に入れなかったことを全面的に弁護士の落ち度とするのは相当でないとする一方,交渉結果を伝える以上の説明をしたとは認められず,十分な説明・報告と協議を行わなかった点に関する単位会の22条1項・36条違反の判断は,必ずしも不当ではないとしている。

(2) 報酬放棄による解決は個別の酌量事情である

日弁連は,成功報酬を請求しないことで行き違いが実質的に決着したことを酌んでいる。
これは,報酬を放棄すれば説明不足が常に解消されるという判断ではない。和解前に,金銭の解決条件と非金銭的な希望を分け,どの条項を求めるのか,相手方が応じない場合にどうするのかを確認することが,この事例から得られる実務上の教訓である。

2 法テラス不利用と具体的な費用負担
(1) 説明の証拠と契約条件を個別に評価した

取消裁決の理由の要旨は,委任契約締結時にどのような説明をしたかについて直接的な証拠がないこと,契約書作成の手続に特段の問題が見られないことを挙げている。
さらに,予定された手続に照らして費用が相応の範囲であり,着手金を月額1万円の分割払いとするなど依頼者の状況に配慮していたことも評価している。「説明を省いてよい」と認めた事例ではない。

(2) 慎重さを欠いたことと最終的な不利益を分けた

日弁連は,法テラス利用の可否を検討すべき立場にあったことを否定せず,慎重さを欠いていたと指摘している。
その上で,報酬請求権の放棄を依頼者が受け入れた結果,法テラスを利用しなかったことによる金銭的な不利益が生じていないか,生じてもわずかにとどまることを酌んだ。
受任時には,制度利用の希望,検討した利用条件,私選契約との費用差,選択した理由を記録することが有用である。事後の免除や紛争解決を,受任時の説明の代わりに予定すべきではない。

3 援助申込書の書換えと承諾の認定
(1) 原処分と取消裁決では承諾の認定が異なる

単位会の処分理由の要旨は,承諾を得ずに申込書の相談実施日を記載し,法律相談料を請求したとする。

(続きを読む...)日本司法支援センター(法テラス)を利用しなかったことに関して単位弁護士会で戒告となり,日弁連で不懲戒となった事例

遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する,弁護士会の懲戒例(AIリライト)

目次

第1 総論

1 本記事の結論の要旨
2 遺言執行者が特定の相続人の代理人をすることが許される場合

(1) 解説「弁護士職務基本規程」の記載の変遷
(2) 平成18年の日弁連裁決による制約
(3) 現在の懲戒実務における「特段の事情」

3 遺言執行者が特定の相続人の代理人になれるかを判断する要素

(1) 実質的な判断の必要性
(2) 6つの考慮要素

4 遺言執行者代理人をした後に特定の相続人の代理人をすることが許される場合の取扱い
5 遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する懲戒理由の分類

(1) 利益相反のみを理由とするもの
(2) 職務の中立性・誠実さ・公正さのみを理由とするもの
(3) 両方を理由とするもの
(4) 具体的理由の記載がないもの

6 東弁リブラの連載記載
7 令和元年7月1日施行の改正相続法における取扱い

(続きを読む...)遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する,弁護士会の懲戒例(AIリライト)

兵庫県弁護士会副会長経験者に対する懲戒請求-日弁連の異議申出棄却と三つの争点(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 対象と基準日2 結論第2 事案の概要と手続経過1 三つの懲戒事由2 手続の時系列第3 兵庫県弁護士会懲戒委員会の判断1 消費税の無申告2 免責意見の記載3 任務終了後の元破産者の代理第4 日弁連の異議申出棄却1 異議申出で問題にされたこと2 日弁連懲戒委員会の理由3 議決,決定及び裁決の区別4 全員一致であったかは分からないこと第5 現在の法制度とその後の資料を踏まえた検討1 破産管財人と消費税申告2 免責意見の作成3 破産管財人の任務終了後の受任第6 日弁連議決書の理由の評価1 法的には参照型の理由が示されていること2 説明の十分性は別問題であること3 この事案から一般化できないこと第7 実務上の確認事項1 破産管財人の側2 懲戒請求者・異議申出人の側第8 関連資料1 法令及び制度2 本件の公表文書3 現在の実務を確認する資料第9 関連記事1 懲戒手続2 破産管財人の任務終了後の受任
第1 この記事の対象と結論
1 対象と基準日

本記事は,兵庫県弁護士会の副会長経験者である弁護士に対する懲戒請求について,兵庫県弁護士会が懲戒しない旨の決定をし,日本弁護士連合会がその決定に対する異議申出を棄却した事案を扱うものである。
対象会員,懲戒請求者,破産者その他の個人を特定する氏名等は記載しない。
他方,公表済みの決定書,議決書及び異議申出書から確認できる事案固有の経過と判断は,懲戒制度の理解に必要な範囲で記載する。
法令,国税庁の質疑応答事例及びその後の裁判例・解説については,令和8年9月27日を基準日として確認した。

2 結論

この事案で争われたのは,①破産管財人が破産財団所属不動産の売却に関する消費税の確定申告をしなかったこと,②個人破産事件で免責不許可事由がない旨の意見を提出したこと,③破産管財人の任務終了後,元破産者の訴訟代理人となったことの三点である。
兵庫県弁護士会懲戒委員会は,三点のいずれも弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」には当たらないと議決し,兵庫県弁護士会は平成31年3月28日,対象会員を懲戒しない旨を決定した。
日弁連懲戒委員会は令和元年9月9日,新たに提出された証拠を検討しても原議決に誤りはなく,原決定は相当であるとして異議申出を棄却する旨を議決し,日弁連は同月12日に異議申出棄却の決定をした。
日弁連議決書の理由は,兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書を参照して是認する方式であり,理由が全くないものではない。
しかし,異議申出で具体的に示された反論や追加証拠に対する個別の応答は記載されておらず,判断過程の説明として十分であったかは別に検討する余地がある。
また,この一件の不処分決定から,破産管財人の無申告,簡略な免責意見又は任務終了後の後続受任が一般に許されると理解すべきではない。

第2 事案の概要と手続経過
1 三つの懲戒事由
(1) 破産管財人による消費税の無申告

対象会員は,法人の破産管財人として,平成25年5月及び同年7月に破産財団所属の不動産を売却した。
兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書によれば,対象会員は,管財業務が終了するまでにその売却に関する消費税の確定申告をしなかった。
懲戒請求者は,この無申告が破産管財人としての善管注意義務等に反し,弁護士の品位を失うべき非行に当たると主張した。

(2) 免責不許可事由に関する意見

対象会員は,別の個人破産事件の破産管財人でもあった。
破産債権者は,親族への偏頗弁済の可能性,帳簿類の廃棄,貸金債権の債権者一覧表からの脱落及び銀行借入金の使途不明という四点を指摘し,免責について反対意見を述べた。
対象会員が平成27年5月7日に提出した意見書の記載は,「免責不許可事由はない」という趣旨の簡潔なものであった。
もっとも,その後の債権者集会では,債権者一覧表から脱落した貸金について,金銭の移動は認められるものの返還合意が明確でないため債権として掲げなかった旨が口頭で説明された。
破産裁判所及び抗告審は免責許可の判断を維持し,抗告審は返還合意が明確でないと判断した。

(3) 元破産者の訴訟代理人への就任

懲戒請求者側は平成28年1月28日,元破産者に対し,前記の金銭移動に関係する貸金返還等を求める訴訟を提起した。
対象会員は同年3月9日,元破産者の訴訟代理人となり,第一審及び控訴審で代理した。
第一審は平成29年4月21日,返還合意の存在を認定し,控訴審は同年10月26日に元破産者の控訴を棄却し,平成30年4月10日の上告不受理決定により確定した。

(続きを読む...)兵庫県弁護士会副会長経験者に対する懲戒請求-日弁連の異議申出棄却と三つの争点(AI作成)

弁護士職務基本規程とは―現行条文・条文別索引・主要論点(AIリライト)

目次第1 現行規程の位置付け1 制定・改正と現行版の確認方法2 弁護士法との関係3 現行版で特に注意すべき点4 主要論点から読む5 条文別索引6 よくある質問第2 弁護士職務基本規程の現行本文1 第1章 基本倫理2 第2章 一般規律3 第3章 依頼者との関係における規律4 第4章 刑事弁護における規律5 第5章 組織内弁護士における規律6 第6章 事件の相手方との関係における規律7 第7章 共同事務所における規律8 第8章 弁護士法人等における規律9 第9章 他の弁護士等との関係における規律10 第10章 裁判の関係における規律11 第11章 弁護士会との関係における規律12 第12章 官公署との関係における規律13 第13章 解釈適用指針第3 解釈・適用上の注意1 82条は実質的な解釈を求めていること2 規程違反と懲戒事由とは同一ではないこと3 私法上の効力及び訴訟行為の効力は別に検討すること第4 関連記事1 受任・利益相反・依頼者との関係2 情報・事件記録・事務所の管理3 預り金・報酬・刑事弁護4 相手方・非弁提携・懲戒第5 出典1 現行規程及び法令2 裁判例

調べる内容に応じて,日弁連の公式PDF,条文別索引,主要論点の解説から確認できる。条文の本文と,各論記事の解釈・事例研究を区別して参照されたい。

弁護士職務基本規程は,日本弁護士連合会が弁護士の職務に関する倫理と行為規範を定めた会規である。
本記事は,令和8年10月3日に確認した日弁連公表の現行本文(前文及び本則)を掲載し,条文別索引と論点別の専門記事から,利益相反,守秘義務,説明・報告義務,組織内弁護士,82条及び懲戒・判例上の位置付けを確認できるように整理する。

第1 現行規程の位置付け
1 制定・改正と現行版の確認方法

弁護士職務基本規程は,平成16年11月10日に会規第70号として制定され,平成17年4月1日に施行された。日弁連の現行規程PDFは,平成26年12月5日改正及び令和3年6月11日改正を掲げており,後者は令和4年11月1日から施行されている。
日弁連の会則・会規等の一覧は,冊子掲載後の改正をウェブ掲載規程へ順次反映すると説明している。したがって,旧版の転載ではなく,同一覧から到達できるPDFを基準に確認する必要がある。

日本弁護士連合会弁護士倫理委員会編著の逐条解説書『解説「弁護士職務基本規程」』は,令和8年9月に第4版が刊行された(法令等は令和8年3月1日現在)。
第3版(平成29年)から9年ぶりの改訂で,その後の懲戒議決例を取り入れ,企業・自治体等が設ける第三者委員会,調査委員会及び公益通報窓口等に関連する懲戒事例について新たに項目を立てている。
同書は,日弁連の公式見解を述べたものではないと自ら明記している。
第3版から第4版への主な変更点は,解説「弁護士職務基本規程」第3版と第4版の比較-規程改正,解釈の変更,新設項目及び削除された記述で整理している。

2 弁護士法との関係

弁護士法22条は,弁護士に所属弁護士会及び日弁連の会則を守る義務を課している。弁護士職務基本規程自体は日弁連の会規であり,国会が制定した法律ではない。
弁護士法56条1項は,法律又は会則への違反,弁護士会の秩序又は信用を害する行為その他品位を失うべき非行を懲戒事由としている。個々の規程違反が懲戒,私法上の効力又は訴訟行為の効力にどのように影響するかは,規程の文言だけで一律に決まるものではなく,具体的事案と適用法令を分けて検討する必要がある。

3 現行版で特に注意すべき点

令和3年改正後の本文では,第8章が「弁護士法人等における規律」とされ,共同法人及び外国法事務弁護士法人に関する文言並びに68条の2の読替表が置かれている。60条の準用関係も旧版とは異なるため,改正前の本文を混在させないよう注意を要する。
現行の82条2項が行動指針又は努力目標として列挙するのは,33条であり,32条ではない。これは日弁連公表PDFの印刷頁31で確認できる。

4 主要論点から読む

調べたい場面から,関連する条文と専門記事を選べる。
条文本文は第2に掲載しており,懲戒,私法上の効力及び訴訟行為の効力の区別は第3で説明する。

調べたいこと関連条文詳しい解説事件を受任してよいか27条・28条利益相反・受任制限秘密を開示してよいか23条守秘義務何を説明・報告するか29条・36条説明義務・報告義務委任契約書はいつ必要か30条弁護士の委任契約書―30条,記載事項,例外及び中途終了時の清算記録を返す・残す・廃棄するには18条・39条・45条弁護士の事件記録の返還・保管・廃棄―18条・39条・45条事件処理が滞った場合35条・36条事件放置と懲戒預り金を管理・返還するには38条・45条預り金の管理と懲戒途中で辞任するには41条~45条辞任と不利益防止事務職員・勤務弁護士を指導監督するには19条・55条・61条事務職員と勤務弁護士の指導監督/事務職員の生成AI利用組織の指示と独立をどう調整するか50条・51条組織内弁護士代理人がいる相手方と直接交渉できるか52条相手方本人との直接交渉義務と努力目標を区別するには82条行動指針・努力目標陳述書・証人準備と虚偽の証拠5条・75条・82条真実義務と虚偽の証拠不当な目的・方法の依頼に対応するには14条・31条・43条不当な依頼と受任後の対応広告・紹介料・非弁提携を確認するには9条~13条業務広告と懲戒/非弁提携の禁止報酬の説明・請求・清算を確認するには24条・29条・30条・44条・45条弁護士報酬の請求と懲戒他の弁護士等への批判・不利益行為70条・71条・73条名誉毀損・侮辱と懲戒弁護士法人の社員・法人の受任制限63条~68条弁護士法人の利益相反国選弁護事件の金品受領・私選への働きかけ49条国選弁護人の金品受領と私選への切替共同事務所の利益相反・弁護士の移籍56条~58条共同事務所の利益相反と弁護士の移籍―弁護士職務基本規程56条・57条・58条別の弁護士への相談・追加依頼・交代40条・41条・72条セカンドオピニオンと弁護士の追加依頼―弁護士職務基本規程40条・41条・72条最善の弁護・接見・防御権の説明46条~48条刑事弁護人の基本義務―弁護士職務基本規程46条・47条・48条と最善の弁護依頼者との貸借・保証25条依頼者との金銭貸借・保証―弁護士職務基本規程25条相手方との利益の授受53条・54条相手方からの利益供与と相手方への利益供与―弁護士職務基本規程53条・54条紛争中の権利・物を譲り受けるには17条係争目的物の譲受け―弁護士職務基本規程17条と弁護士法28条法令・事実調査の範囲を確認するには37条弁護士の法令・事実調査利益相反チェックの記録と共有範囲59条・68条利益相反チェックと事件情報の記録報酬・預り金・事件処理の紛争を解決するには26条・73条弁護士との紛議調停法律扶助・訴訟救助をどう説明するか33条・82条2項法律扶助・訴訟救助の説明と受任判断依頼者の指示と専門判断をどう調整するか20条・21条・22条依頼者の意思と弁護士の専門判断
5 条文別索引

条番号のリンクから,各条文の本文へ移動できる。68条の2を含む。本記事の収録範囲は前文及び本則であり,附則は公式PDFを参照されたい。

1条(使命の自覚) / 2条(自由と独立) / 3条(弁護士自治) / 4条(司法独立の擁護) / 5条(信義誠実) / 6条(名誉と信用) / 7条(研鑽) / 8条(公益活動の実践)

9条(広告及び宣伝) / 10条(依頼の勧誘等) / 11条(非弁護士との提携) / 12条(報酬分配の制限) / 13条(依頼者紹介の対価) / 14条(違法行為の助長) / 15条(品位を損なう事業への参加) / 16条(営利業務従事における品位保持) / 17条(係争目的物の譲受け) / 18条(事件記録の保管等) / 19条(事務職員等の指導監督)

20条(依頼者との関係における自由と独立) / 21条(正当な利益の実現) / 22条(依頼者の意思の尊重) / 23条(秘密の保持) / 24条(弁護士報酬) / 25条(依頼者との金銭貸借等) / 26条(依頼者との紛議)

27条(職務を行い得ない事件) / 28条(同前) / 29条(受任の際の説明等) / 30条(委任契約書の作成) / 31条(不当な事件の受任) / 32条(不利益事項の説明) / 33条(法律扶助制度等の説明) / 34条(受任の諾否の通知)

35条(事件の処理) / 36条(事件処理の報告及び協議) / 37条(法令等の調査) / 38条(預り金の保管) / 39条(預り品の保管) / 40条(他の弁護士等の参加) / 41条(受任弁護士等の間の意見不一致) / 42条(受任後の利害対立) / 43条(信頼関係の喪失) / 44条(処理結果の説明) / 45条(預り金等の返還)

46条(刑事弁護の心構え) / 47条(接見の確保と身体拘束からの解放) / 48条(防御権の説明等) / 49条(国選弁護における対価受領等)

50条(自由と独立) / 51条(違法行為に対する措置) / 52条(相手方本人との直接交渉) / 53条(相手方からの利益の供与) / 54条(相手方に対する利益の供与)

55条(遵守のための措置) / 56条(秘密の保持) / 57条(職務を行い得ない事件) / 58条(同前―受任後) / 59条(事件情報の記録等) / 60条(準用)

61条(遵守のための措置) / 62条(秘密の保持) / 63条(職務を行い得ない事件) / 64条(他の社員等との関係で職務を行い得ない事件) / 65条(業務を行い得ない事件) / 66条(同前) / 67条(同前―受任後) / 68条(事件情報の記録等) / 68条の2(外国法事務弁護士法人の使用人である弁護士への準用) / 69条(準用)

70条(名誉の尊重) / 71条(他の弁護士等に対する不利益行為) / 72条(他の事件への不当介入) / 73条(他の弁護士等との間の紛議) / 74条(裁判の公正と適正手続) / 75条(偽証のそそのかし) / 76条(裁判手続の遅延)

77条(裁判官等との私的関係の不当利用) / 78条(弁護士法等の遵守) / 79条(委嘱事項の不当拒絶) / 80条(委嘱事項の不当拒絶) / 81条(受託の制限) / 82条(解釈適用指針)

6 よくある質問
(1) 弁護士職務基本規程は法律か

日弁連の会規であり,国会が制定した法律ではない。
弁護士法との関係及び違反の法的効果は,第1の2及び第3を参照されたい。

(続きを読む...)弁護士職務基本規程とは―現行条文・条文別索引・主要論点(AIリライト)

弁護士の懲戒請求権が何人にも認められていることの意義(AIリライト)

第1 弁護士法58条1項が「何人も」懲戒請求できると定める理由

1 条文と手続の全体像
2 最高裁判所の補足意見が示す立法趣旨

(1) 裁判官竹内行夫の補足意見
(2) 裁判官須藤正彦の補足意見

3 日弁連が国の検討会で説明した立法趣旨

第2 懲戒請求をする側に生じ得る法的責任

1 虚偽告訴罪(刑法172条)
2 懲戒請求をしたこと自体が懲戒事由となる場合
3 不当な懲戒請求による損害賠償責任

第3 懲戒制度を濫用する意図があると評価された事例

1 懲戒請求者本人の事例
2 懲戒請求者の代理人弁護士の事例

第4 2017年の大量懲戒請求問題-「何人も」の濫用と司法的是正

1 事案の概要

(続きを読む...)弁護士の懲戒請求権が何人にも認められていることの意義(AIリライト)

弁護士の懲戒処分の公告,通知,公表,事前公表及び懲戒処分歴の開示(AIリライト)

第1 公告,通知,公表,事前公表及び処分歴開示の違い

1 五つの制度の区別

2 懲戒処分と公表情報の関係

第2 懲戒処分の公告

1 官報による公告

2 『自由と正義』による公告

第3 懲戒手続に関する通知

1 懲戒処分をした場合の通知先

2 処分に至らない場合を含む手続通知

3 関係官公署等への通知

第4 懲戒処分後の公表

(続きを読む...)弁護士の懲戒処分の公告,通知,公表,事前公表及び懲戒処分歴の開示(AIリライト)

弁護士の業務停止処分に関する取扱い(AIリライト)

目次

第1 業務停止処分の意義と法的性質

1 業務停止処分とは何か
2 業務停止によって停止される業務の範囲

(1) 依頼者その他関係人の依頼に基づく事務
(2) 官公署の委嘱による事務
(3) 弁理士及び税理士の業務
(4) 弁護士会等の会務活動との関係

3 業務停止の期間とその計算方法
4 業務停止期間中の会費と登録取消し

第2 業務停止処分を受けた場合の取扱い

1 取扱いの基準

(1) 弁護士の場合
(2) 弁護士法人の場合

2 業務停止期間中に取るべき措置の具体的内容
3 訴訟代理人の権限消滅の通知
4 弁護士法人の依頼者による個人受任をめぐる問題

(続きを読む...)弁護士の業務停止処分に関する取扱い(AIリライト)

弁護士の戒告,業務停止,退会命令及び除名,並びに第二東京弁護士会の名簿登録拒否事由(AIリライト)

目次

第1 弁護士に対する懲戒処分の概要(総論)

1 懲戒処分の4種類と根拠規定

(1) 4種類の懲戒処分(弁護士法57条1項)
(2) 懲戒事由(弁護士法56条1項)

2 懲戒処分の法的性質

(1) 広い意味での行政処分
(2) 二重処罰・二重の危険との関係

3 懲戒処分の効力発生時期(告知時説)

(1) 告知の時に効力が生じる
(2) 確定時説から告知時説への変遷
(3) 税理士の懲戒処分との対比

4 懲戒処分の周知・公表・処分歴の開示

(1) 官報公告と「自由と正義」への掲載
(2) 関係官公署等への通知
(3) 公表制度・事前公表制度
(4) 懲戒処分歴の開示制度

(続きを読む...)弁護士の戒告,業務停止,退会命令及び除名,並びに第二東京弁護士会の名簿登録拒否事由(AIリライト)

弁護士職務基本規程82条の行動指針・努力目標-対象条文と懲戒判断(AIリライト)

第1 弁護士職務基本規程82条の位置付け

1 規程全体の実質的な解釈
2 行動指針又は努力目標とされる条文
3 現行条文は33条を列挙していること

第2 現行の対象条文

1 基本倫理
2 依頼者との関係
3 刑事弁護及び組織内弁護士
4 共同事務所,法人,弁護士間及び裁判

第3 形式的違反と懲戒判断との関係

1 努力目標の違反も判断要素になり得ること
2 列挙されない規定の違反も直ちに懲戒とは限らないこと

第4 最高裁判例に現れた職務基本規程の位置付け

1 最高裁平成21年8月12日決定
2 最高裁平成25年4月16日判決

第5 関連記事
第6 出典・参考資料

(続きを読む...)弁護士職務基本規程82条の行動指針・努力目標-対象条文と懲戒判断(AIリライト)

非弁護士との提携の禁止(AIリライト)

目次

第1 総論1 弁護士職務基本規程11条及び大阪弁護士会会則108条2項による規制2 「自己の名義を利用させる」の意義3 11条・12条・13条は別々に確認する4 退職代行業者からの事件周旋と支払名目第2 弁護士法72条から74条までの規定に違反している者の内容1 違反行為の類型と罰則2 弁護士法人制度導入に伴う整理3 自己の法律事件を依頼した者の罪責4 隣接士業との提携が弁護士職務基本規程11条違反となる場合第3 弁護士法72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)1 条文及び前身規定2 「訴訟事件」等の各文言の意義第4 弁護士法73条(譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止)1 条文等2 サービサー法の位置づけ等第5 非弁護士との提携の取締り1 日弁連の規程等による取締り2 大阪弁護士会の場合3 東京弁護士会における注意喚起4 大阪地裁のあゆみ共同法律事務所事件5 東京ミネルヴァ法律事務所事件第6 弁護士法人ベリーベストの懲戒処分に関する文書第7 関連記事その他出典・参考資料法令裁判例公文書・懲戒処分関係資料文献ウェブ資料

第1 総論

1 弁護士職務基本規程11条及び大阪弁護士会会則108条2項による規制

非弁提携の禁止に関しては,「弁護士は,弁護士法第72条から第74条までの規定に違反する者又はこれらの規定に違反すると疑うに足りる相当な理由のある者から依頼者の紹介を受け,これらの者を利用し,又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。」(弁護士職務基本規程11条。なお,同趣旨の規定につき大阪弁護士会会則108条2項)と規定されている。
禁止される提携の対象は,弁護士法27条と異なり,①弁護士法72条ないし74条の規定に違反する者に限らず,「違反すると疑うに足りる相当な理由のある者」にまで広げられているほか,②「事件の周旋」に限らず,「依頼者の紹介」にまで広げられている。

2 「自己の名義を利用させる」の意義

「自己の名義を利用させる」とは,「弁護士某」という名義のほか,氏名だけの利用も含み,「○○法律事務所」という表示についても名義の利用に当たる場合がある。
例としては,大量に処理する報告書,内容証明郵便等に,弁護士の氏名を記載し,更に弁護士の印鑑を弁護士でない者に預けて押捺させる場合がある。

法務省は,産業競争力強化法7条に基づくグレーゾーン解消制度について,令和4年10月14日付けで,契約書レビューサービス及び締結済み契約書のリスク検出機能に関する2件の回答を公表した。
各回答は,照会されたサービスが弁護士法72条本文に違反すると評価される可能性があるとするものであるが,具体的な機能,利用者,対価及び運用条件を前提とする行政上の見解である。
法務省の回答原文と制度の限界は,グレーゾーン解消制度とは及びAI活用に伴う弁護士法72条見直しの動きで整理している。

あまた法律事務所の事務員の求人募集。事務員が依頼者にヒヤリングして依頼の諾否を判断。さらに事務員が解決方法を提案して、訴状や和解書の作成も行う。69期弁護士が2019年7月に設立し、現在弁護士6名、事務員45名。借金減額シミュレーターの広告に頻繁に登場。https://t.co/mYOJbOCIor pic.twitter.com/1rpLlganYG

— はむ弁護士 (@hamhambenben) August 31, 2022

3 11条・12条・13条は別々に確認する

11条の非弁提携,12条の報酬分配,13条の紹介対価は,要件が異なる。
12条・13条の検討は,紹介者が11条に違反する非弁業者である場合だけに限られない。

条文確認する行為注意点11条非弁行為等をする者からの紹介,利用,名義利用違反を疑うに足りる相当な理由がある者も対象となる。12条弁護士等でない者への報酬分配名目と実態を確認し,ただし書の正当な理由等を検討する。13条1項紹介を受けたことへの対価の支払紹介者が弁護士である場合も検討する。13条2項紹介したことへの対価の受領実体のある共同受任の報酬分配と,紹介だけの対価を区別する。

第4版36頁~39頁は,合理的な基準に基づく個別案件の専門職間の協働と,共同経営等を区別し,経費の名目でも収入の一定割合を拠出するなど実質的な報酬分配であれば問題となることを説明する。
同書は13条2項について,実体のある共同受任による報酬分配と,法律事務を行わず紹介だけで対価を得ることを区別する。
共同受任という名称だけで,実際の関与がない紹介料を正当化することはできない。

4 退職代行業者からの事件周旋と支払名目

東京地裁令和8年6月5日判決(令和8年(わ)第10808号・第11937号)は,退職代行業者から85名分の事件周旋を受けて受任した弁護士法人及び代表弁護士について,有罪を言い渡した。
67名分の周旋報酬合計110万5500円を労働組合への賛助金に仮装する虚偽の覚書と,18回の総勘定元帳の虚偽記載も認定している。判決原文の冒頭は6月5日宣告,末尾は同月10日と記載され,本記事では冒頭の宣告日に従う。

非弁護士側の有償の事件周旋と,それを受ける弁護士側の行為を分けて確認することが重要である。
弁護士法27条による事件周旋の受入れの禁止と,職務基本規程11条の非弁提携,12条の報酬分配及び13条の紹介対価の禁止は,要件と効果が異なる。賛助金,広告費又は業務委託料という契約名から,一括して適法性を判断することはできない。

(続きを読む...)非弁護士との提携の禁止(AIリライト)

日弁連の懲戒手続―異議申出・綱紀審査・審査請求の違い(AIリライト)

目次

第1 日弁連の綱紀委員会1 綱紀委員会段階の不懲戒決定にはどう対応するか2 委員の資格と選任3 異議申出の方法第2 日弁連の綱紀審査会1 綱紀審査会へ申し出ることができる場合と期間2 制度創設の経緯3 委員の資格と選任第3 日弁連の懲戒委員会1 懲戒請求者からの異議申出2 対象弁護士等からの審査請求3 委員の資格と選任4 「議決」「決定」「裁決」と議決書の読み方第4 懲戒手続に関する日弁連の規程第5 関連記事第6 出典・参考資料1 法令2 会則・会規3 公的資料

第1 日弁連の綱紀委員会

弁護士会の懲戒手続の結論に不服がある懲戒請求者は,所定の場合に日弁連へ異議を申し出ることができる。
どの機関が審査するかは,原弁護士会の懲戒委員会の審査に付された事案かどうか等によって分かれる。
委員会の判断である「議決」と,弁護士会又は日弁連がその議決に基づいて行う「決定」「裁決」は区別する必要がある。

本記事の制度説明と提出方法は,令和8年10月15日現在の弁護士法及び日弁連の公式案内を基準とする。
最初の懲戒請求は対象弁護士等の所属弁護士会に行い,その流れと綱紀委員会の役割は弁護士会の懲戒手続を参照されたい。

1 綱紀委員会段階の不懲戒決定にはどう対応するか

原弁護士会が綱紀委員会の議決に基づき対象弁護士等を懲戒しない旨の決定をした場合,懲戒請求者は日弁連に異議を申し出ることができる(弁護士法58条4項,64条1項)。
原弁護士会の懲戒委員会の審査に付されていない事案では,日弁連はその綱紀委員会に異議の審査を求める(弁護士法64条の2第1項)。

日弁連の綱紀委員会が,原弁護士会の懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当と議決したときは,日弁連は原決定を取り消して事案を原弁護士会へ送付する(同条2項)。
原弁護士会は,送付を受けた事案についてその懲戒委員会に審査を求めなければならない(同条3項)。

異議の申出を却下又は棄却することを相当とする議決があった場合は,日弁連がその議決に基づいて却下又は棄却の決定をする(同条5項)。
綱紀委員会自体が不懲戒又は異議却下・棄却の決定をするという意味ではない。

2 委員の資格と選任

日弁連の綱紀委員会の委員は,弁護士,裁判官,検察官及び学識経験のある者の中から日弁連の会長が委嘱する。
裁判官は最高裁判所,検察官は検事総長の推薦に基づき,その他の委員は日弁連の総会の決議に基づいて委嘱される(弁護士法70条の3第2項)。
任期は2年であり,補欠の委員の任期は前任者の残任期間である。

委員選任については,日弁連会則34条3号が総会の権限を,同59条6号が総会で委任された事項に関する理事会の権限を定めている。
特定年度の委任内容はその年度の総会決議で確認すべきものであり,これらの条項だけから毎年の白紙委任を認定することはできない。

3 異議申出の方法

不懲戒決定又は処分が不当に軽いことを理由とする異議申出は,弁護士会から決定又は処分の通知を受けた日の翌日から起算して3か月以内に行う(弁護士法64条2項)。
相当の期間内に手続を終えないことを理由とする異議申出には,この3か月の制限は適用されない。

日弁連の異議申出の公式案内では,対象弁護士等が1人の場合は正本1通及び副本2通,計3通を提出し,対象者が1人増えるごとに副本を1通追加する。
新たな資料も同じ通数を用意し,提出方法は郵便,信書便又は持参とされ,ファクシミリ又は電子メールによる申出は認められていない。
既に原弁護士会へ提出した証拠書類等は,再提出する必要がない。

(続きを読む...)日弁連の懲戒手続―異議申出・綱紀審査・審査請求の違い(AIリライト)

弁護士会の懲戒委員会とは―綱紀委員会との違いと審査の流れ(AIリライト)

目次

第1 弁護士会の懲戒委員会とは

1 綱紀委員会とは何か―読み方と手続の流れ
2 懲戒事由と懲戒処分の種類

第2 懲戒手続の開始

1 何人も所属弁護士会に懲戒を求めることができること
2 弁護士会自身による会請求
3 懲戒請求者の手続上の地位

第3 綱紀委員会の調査

1 調査の権限
2 審査相当と審査不相当
3 調査対象と情状
4 対象弁護士等の答弁・弁明

第4 懲戒委員会の審査と弁護士会の決定

1 懲戒委員会が審査する事項
2 対象弁護士等の手続保障
3 刑事訴訟が係属している場合

(続きを読む...)弁護士会の懲戒委員会とは―綱紀委員会との違いと審査の流れ(AIリライト)

弁護士の懲戒処分に対する審査請求と取消訴訟(AI作成)

第1 審査請求から取消訴訟までの全体像

1 所属弁護士会の懲戒処分と日弁連の裁決

2 裁決主義と日弁連による直接懲戒

第2 審査請求及び取消訴訟の期限・当事者・管轄

1 日弁連への審査請求期間

2 取消訴訟の出訴期間

3 原告,被告,管轄及び審級

4 業務停止期間満了後の訴えの利益

第3 裁判所の審査対象と主張立証

1 処分時を基準とする違法性審査

2 懲戒権者の裁量と取消原因

3 手続上の違法と日弁連段階の審査

(続きを読む...)弁護士の懲戒処分に対する審査請求と取消訴訟(AI作成)

弁護士の懲戒手続の除斥期間―3年の起算点と手続開始時(AIリライト)

第1 弁護士法63条の除斥期間

1 弁護士会の懲戒は時効になるのか

2 3年を経過した場合の処理

3 民法上の消滅時効との違い

第2 除斥期間の起算点

1 行為が終了した時が原則であること

2 預り金又は預り品を返還しない場合

3 委任関係が終了した場合

4 複数の行為がある場合

第3 「懲戒の手続を開始する」の意味

1 懲戒請求書の提出時ではないこと

2 平成15年改正による明文化

(続きを読む...)弁護士の懲戒手続の除斥期間―3年の起算点と手続開始時(AIリライト)

弁護士法人アディーレ法律事務所に対する懲戒処分(平成29年10月11日付)(AIリライト)

第1 本件懲戒処分の概要

1 平成29年10月11日の処分

2 本記事で区別する手続

第2 期間限定広告と消費者庁の措置命令

1 三段階の広告表示

2 平成28年2月16日付措置命令

第3 東京弁護士会の懲戒処分

1 法人に対する業務停止2月

2 石丸幸人弁護士に対する業務停止3月

3 法人全体が処分対象となったこと

第4 業務停止の法的効果

(続きを読む...)弁護士法人アディーレ法律事務所に対する懲戒処分(平成29年10月11日付)(AIリライト)

弁護士法人の懲戒事例(AIリライト)

第1 本記事の対象と一覧の読み方第2 弁護士法人に対する懲戒の制度1 法人と個人は別の懲戒対象である2 処分の種類と支店への処分3 移転・解散と懲戒手続の関係第3 平成22年から平成29年までの事例1 アディーレ法律事務所――破産申立事件の処理2 かすが総合――依頼者に対する別事件の受任3 協立法律事務所――広告と事務職員の監督4 片山会――事務職員への対応の委任と事件紹介5 公尽会――事件放置と預り金の未清算6 ひいらぎ綜合法律事務所――面談・説明・和解の協議7 十枝内総合法律事務所――上告期限の徒過8 美咲総合法律税務事務所――職務上請求書の利用目的9 北斗――預り金の管理と破産事件の遅延10 菅谷法律事務所――遺産分割事件等の未清算11 アディーレ法律事務所――広告表示と後続の裁決12 クローザー法律事務所――非弁提携第4 令和2年以降の事例1 ベリーベスト法律事務所――業務停止期間の変更と裁判2 清源法律事務所――職場のセクシュアル・ハラスメント3 あゆみ共同法律事務所――2件の除名公告4 東京ミネルヴァ法律事務所――預り金の不正流用等5 フィード――動産の誤廃棄6 日本橋さくら法律事務所――事件紹介の対価7 フェニックス――官報で確認できる処分内容第5 処分情報を確認するときの留意点第6 出典1 法令2 懲戒処分・裁決・判決確定の公告3 裁判書

第1 本記事の対象と一覧の読み方

本記事は,弁護士法人に対する懲戒処分について,法人名,処分の効力発生日,処分内容及び理由の要旨を整理するものである。
『自由と正義』の懲戒公告を中心に,令和8年8月31日までに確認できた資料を用い,日弁連の裁決による変更・取消しや裁判の結果が確認できるものは,原処分と区別して示す。

以下は確認した事例を選んだ一覧であり,全国の全処分を網羅した統計ではない。
法人名・事務所の構成は原則として公告当時のものであり,過去の業務停止処分の掲載は,その法人が現在も業務停止中であることを意味しない。

法人名・詳細へのリンク原処分の効力発生日原処分の内容アディーレ法律事務所平成22年10月5日戒告かすが総合平成23年1月12日業務停止1月協立法律事務所平成23年3月7日戒告片山会平成23年7月6日業務停止1年公尽会平成23年11月8日除名ひいらぎ綜合法律事務所平成28年12月7日戒告十枝内総合法律事務所平成29年2月10日戒告美咲総合法律税務事務所平成29年3月28日戒告北斗平成29年8月31日業務停止1年6月菅谷法律事務所平成29年10月11日除名アディーレ法律事務所平成29年10月11日業務停止2月クローザー法律事務所平成29年12月26日業務停止1年ベリーベスト法律事務所令和2年3月12日業務停止6月。裁決で3月に変更清源法律事務所令和2年9月17日業務停止6月あゆみ共同法律事務所令和3年2月26日東京弁護士会による除名あゆみ共同法律事務所令和3年3月30日大阪弁護士会による除名東京ミネルヴァ法律事務所令和6年2月17日除名フィード令和6年7月17日戒告日本橋さくら法律事務所令和7年8月7日業務停止1月フェニックス令和8年7月9日業務停止2月

表の法人名はいずれも「弁護士法人」を省略している。
日付は雑誌の発行月や官報の掲載日ではなく,公告に記載された原処分の効力発生日であり,取消しとなった別処分などは各事例の本文で説明する。

第2 弁護士法人に対する懲戒の制度

1 法人と個人は別の懲戒対象である

弁護士法56条は,弁護士と弁護士法人の双方を懲戒の対象とし,原則として所属弁護士会が懲戒を行うと定めている。
したがって,代表弁護士個人の処分を確認しただけでは,法人に対する処分の有無や内容まで確認したことにはならない。

また,法人に対する懲戒と,社員である弁護士個人に対する懲戒では,法人への影響も異なる。
社員が業務停止・退会命令・除名の処分を受けた場合は法定脱退の事由となり,法人自身の除名や社員の欠亡は法人の解散事由となる(弁護士法30条の22第6号,30条の23第1項6号・7号)。

2 処分の種類と支店への処分

弁護士法人に対する懲戒は,次の4種類である(弁護士法57条2項)。
同じ「業務停止」という表示でも,法人全体の業務を停止する処分か,特定の法律事務所の業務を停止する処分かを確認する必要がある。

(続きを読む...)弁護士法人の懲戒事例(AIリライト)

平成29年5月開始の大量懲戒請求事案

1(1) 朝鮮学校への高校授業料無償化の適用,補助金交付等を求める声明を出した全国の弁護士会に対し,平成29年10月12日までの時点で,弁護士会長らの懲戒を請求する懲戒請求書が4万件以上提出されています(毎日新聞HPの「懲戒請求 弁護士会に4万件超 「朝鮮学校無償化」に反発」(平成29年10月12日付)参照)。
そのため,平成29年の懲戒請求件数は,過去最高であった平成19年の9585件(うち,8095件は光市母子殺害事件の弁護団に対する懲戒請求です。)をはるかに超えています。
(2) 平成30年6月12日までの時点で,全国21弁護士会で約13万件に上っているみたいです(週プレNEWSの「弁護士への”不当懲戒請求”13万件を先導した黒幕--『余命三年』の正体とは?」(平成30年6月12日付)参照)。

2 日弁連は,平成29年12月25日,全国各地における弁護士会員多数に対する懲戒請求についての会長談話を出しました。

3(1) BLOGOSに「熱心なネトウヨ、実は中高年が中心? 弁護士への不当な懲戒請求、「40代後半から50代が多い。女性も3~4割いる」 」が載っています。
(2) 大量懲戒請求事件につき,一部の弁護士が懲戒請求者に対して損害賠償請求訴訟の提起を予告しています(事実を整えるブログの「弁護士への「大量」不当懲戒請求:余命信者と佐々木・北弁護士の和解の論点」(平成30年6月7日付)参照)。
(3) クローズアップ現代HPに「なぜ起きた?弁護士への大量懲戒請求」(平成30年10月29日放送分)が載っています。

4 弁護士に対する業務妨害(濫用的懲戒請求を含みます。)とその対策については,「弁護士に対する業務妨害と対策――日弁連の宣言,濫用的懲戒請求,国選弁護人の解任及び法律事務所のカスハラ対策」を参照してください。

5 大量懲戒請求を受けた弁護士が懲戒請求者に損害賠償を求めた訴訟の判決で,判例秘書で本文を確認できたものとして,横浜地裁平成31年4月11日判決(平成31年(ワ)第364号,判例秘書の判例番号 L07450407)があり,同一内容の用紙で懲戒請求をした被告6名にそれぞれ33万円の支払を命じています。
同種の事件で,東京高裁令和元年5月14日判決(平成30年(ネ)第5402号,判例秘書の判例番号 L07420152)は,原審が認めた33万円を11万円に変更しています。
これらを含む裁判例は,「弁護士の懲戒請求権が何人にも認められていることの意義」及び「不当な懲戒請求と不法行為責任」で紹介しています。

会務活動における弁護士の秘密保持義務-適用範囲,個別規則及び裁判例(AIリライト)

目次第1 会務で知った情報の取扱いに関する結論1 「会務で知った」という名称だけでは決まらないこと2 確認の順序第2 弁護士法23条と弁護士職務基本規程23条1 弁護士法23条2 弁護士職務基本規程23条3 二つの規定を同じものとして扱わないこと第3 大阪高裁平成19年2月28日判決1 事案の概要2 第1審と控訴審の判断3 判決の射程第4 会務の中に法律事務が含まれる場合1 法律相談その他の対外的活動2 内部の審査,調査及び委員会活動第5 日弁連の特別委員会規則1 規則12条の内容2 個別規則を先に確認する意味第6 違反した場合に問題となる責任1 懲戒責任2 民事責任及び刑事責任第7 綱紀委員会議事録と文書提出命令1 綱紀委員会の議事録は開示されるか―最高裁決定の範囲2 決定全文第8 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 弁護士会等の規程及び公表資料4 文献5 関連記事
第1 会務で知った情報の取扱いに関する結論
1 「会務で知った」という名称だけでは決まらないこと

弁護士会の会務で知った情報であるというだけで,弁護士の秘密保持義務が一律に否定されるわけではない。
まず,情報を取得した具体的な活動が弁護士の法律事務に当たるかを確認し,次に,所属弁護士会又は日本弁護士連合会の会則,会規,規則,委嘱条件その他の個別の根拠を確認する必要がある。

本記事は,令和8年9月23日現在の法令及び公表規程を基準とする。
各弁護士会の非公開又は会員限定の内部規程及び個別の委嘱条件を網羅するものではなく,弁護士会が自らを規律する制度的な前提については,弁護士自治も参照されたい。

弁護士会が運営する活動であっても,担当弁護士が市民の法律相談を受ける場面では,弁護士として法律事務を行っている場合がある。
例えば,東京弁護士会は,公益通報相談窓口のQ&Aにおいて,同会の相談窓口に来たこと及び相談内容について,弁護士法23条に基づく秘密保持義務があると説明している。

2 確認の順序

会務情報を外部に開示し,又は別の目的に利用する前には,少なくとも次の順序で検討する必要がある。
①情報を取得したときの立場と具体的な活動
②相談者,申立人,関係者等との信頼関係及び秘密性
③適用される法令,会則,会規,規則,委嘱条件及び内部決定
④開示先,開示目的,開示範囲及び必要性
⑤本人の同意,法令上の根拠又は権限者の承認の有無
⑥より限定的な代替手段及び情報セキュリティ上の措置

第2 弁護士法23条と弁護士職務基本規程23条
1 弁護士法23条

弁護士法23条は,弁護士及び弁護士であった者について,職務上知り得た秘密を保持する権利と義務を定め,法律に別段の定めがある場合を例外としている。
同条の文言は,秘密の帰属主体を「依頼者」に限定していない。

2 弁護士職務基本規程23条

弁護士職務基本規程23条は,弁護士が,正当な理由なく,依頼者について職務上知り得た秘密を他に漏らし,又は利用することを禁じている。
同条は,秘密の漏えいだけでなく利用も明示的に対象としている。

3 二つの規定を同じものとして扱わないこと

両規定は,対象者,秘密の帰属主体,禁止される行為及び例外の表現が同一ではない。
弁護士法23条は秘密を保持する権利と義務を定めるのに対し,弁護士職務基本規程23条は依頼者についての秘密の漏えい又は利用を規律している。

したがって,会務に弁護士法23条が直接適用されるかという問題と,個別の会則,会規又は規則に基づく秘密保持義務があるかという問題は,分けて検討すべきである。
また,規程違反が直ちに懲戒処分になるわけではないものの,弁護士法56条1項は,法令又は会則への違反,所属弁護士会の秩序若しくは信用を害する行為その他の品位を失うべき非行を懲戒事由としている。

第3 大阪高裁平成19年2月28日判決

(続きを読む...)会務活動における弁護士の秘密保持義務-適用範囲,個別規則及び裁判例(AIリライト)

弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」-判断枠組みと50の懲戒例(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と資料の範囲1 対象2 50例の位置付け第2 「品位を失うべき非行」の判断枠組み1 弁護士法56条1項と懲戒の種類2 最高裁判所が示した考慮事情3 弁護士職務基本規程82条第3 平成24年版ハンドブックに掲載された50例1 表の読み方2 50例と原出典第4 後発の公表例と懲戒しないとされた例1 事件放置と連絡・報告懈怠の公表例2 外形が似ていても懲戒しないとされた例第5 50例を参照するときの確認事項第6 関連記事第7 出典1 法令2 裁判例及び懲戒処分の公表資料3 職能団体の規程4 文献
第1 この記事の対象と資料の範囲
1 対象

弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」は,職務上の行為だけでなく,職務外の行為にも適用され得る懲戒事由である。
本記事は,2026年9月7日現在の法令・会規と公表資料を確認し,AIを用いて判断枠組み,過去の50例,その後の公表例及び懲戒しないとされた境界事例を照合・整理したものである。

2 50例の位置付け

第3の50例は,日本弁護士連合会調査室『弁護士業務ハンドブック』(平成24年)45頁~48頁が,弁護士法56条1項に関する懲戒議決の例として掲げたものを,原出典と対応させて要約したものである。
同書自体が一部の例を紹介する資料であるため,この50例は網羅的な懲戒事由一覧ではない。
また,同種の行為でも具体的事情により結論が異なるため,個々の例を現在の事案に機械的に当てはめることはできない。

第2 「品位を失うべき非行」の判断枠組み
1 弁護士法56条1項と懲戒の種類

弁護士法56条1項は,弁護士又は弁護士法人につき,弁護士法違反,所属弁護士会・日弁連の会則違反,所属弁護士会の秩序・信用を害する行為その他職務の内外を問わず品位を失うべき非行があったときを懲戒事由としている。
同法57条1項が定める懲戒は,戒告,2年以内の業務停止,退会命令及び除名の4種類である。
懲戒事由の全体像は,弁護士の懲戒事由で別途整理している。

2 最高裁判所が示した考慮事情

最高裁平成18年9月14日第一小法廷判決(平成15年(行ヒ)第68号,裁決取消請求事件,集民221号87頁)は,受領した解決金の一部について依頼者に虚偽の報告をし,追加立退料の受領を報告せず秘匿した弁護士に対する業務停止3月の処分が問題となった事件である。
同判決は,非行の内容・程度,被害や社会的影響,弁護士の社会的評価に与える影響,本人に及ぼす影響,弁護士の使命の重要性その他の諸般の事情を総合考慮する判断枠組みを示した。
その上で,非行に当たるか,どの懲戒処分を選ぶかは弁護士会の合理的な裁量に委ねられ,その判断が全く事実の基礎を欠くか,社会通念上著しく妥当性を欠くときに限り,裁量権の逸脱又は濫用として違法となると判断した。

3 弁護士職務基本規程82条

弁護士職務基本規程82条は,同規程の解釈適用に当たり,弁護士の職務の多様性と個別性を考慮し,その自由と独立を不当に侵害することのないよう,実質的に解釈・適用しなければならない旨を定めている。
また,特に同規程5条の刑事弁護活動への解釈適用には,被疑者・被告人の防御権や適正手続の保障などに十分に留意しなければならない旨も定めている。
したがって,行為の外形だけでなく,当時の職務上の地位,受任の範囲,当事者間の利害,主観的態様,被害及び事後対応を具体的に確認する必要がある。

第3 平成24年版ハンドブックに掲載された50例
1 表の読み方

「原出典」欄は,『弁護士業務ハンドブック』45頁~48頁の注記を基に,「同」とされた巻名を補って表示したものである。
事実の要約は一覧性のために簡略化しており,懲戒の可否や量定を確認するときは,当該議決例の事実認定と理由を直接確認する必要がある。

2 50例と原出典

番号
行為の要約
原出典

1
母親が差入営業をする店舗の奥に法律事務所を置いた事例
議決例集第1集241頁・2頁

(続きを読む...)弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」-判断枠組みと50の懲戒例(AI作成)

弁護士の懲戒事由-弁護士法56条の4類型と判断基準(AI作成)

目次

第1 弁護士が懲戒処分を受ける理由は何か第2 四つの懲戒事由の内容1 弁護士法に違反したとき2 弁護士会又は日本弁護士連合会の会則に違反したとき3 所属弁護士会の秩序又は信用を害したとき4 その他,品位を失うべき非行があったとき第3 弁護士職務基本規程と懲戒事由の関係1 個別規定の役割2 形式的違反だけで決めないこと3 行動指針又は努力目標とされる規定第4 懲戒事由該当性と処分の判断基準1 最高裁平成18年9月14日判決2 懲戒しないことが明らかな場合3 具体例を見るときの注意点第5 懲戒判断と私法上・刑事上の評価1 契約等の私法上の効力とは別の問題であること2 民事責任及び刑事責任とも区別されること第6 期間制限と関連記事1 懲戒手続の除斥期間2 懲戒手続等の記事第7 出典1 法令,会則及び会規2 裁判例3 公的機関の解説
第1 弁護士が懲戒処分を受ける理由は何か

弁護士法56条1項は,弁護士及び弁護士法人の懲戒事由を,①弁護士法違反,②所属弁護士会又は日本弁護士連合会の会則違反,③所属弁護士会の秩序又は信用を害する行為,④その他職務の内外を問わない品位を失うべき非行という四つの類型で定めている。
前三者に該当しない行為であっても,具体的事情に照らして④に当たることがあり,複数の類型に同時に該当することもある。

「職務の内外を問わず」と定められているため,受任事件の処理だけが審査対象になるわけではない。
もっとも,弁護士に好ましくない行為があれば直ちに懲戒されるという意味ではなく,懲戒事由該当性,懲戒の要否及び処分の種類は,事案ごとに判断される。

本記事は,令和8年9月7日現在の法令等に基づき,懲戒事由とその判断枠組みを説明するものである。
懲戒請求の手続,処分の種類及び処分歴の公表については,第6に掲げる関連記事で扱っている。

懲戒事由に当たるかという実体判断と,綱紀委員会の調査又は懲戒委員会の審査という手続段階は,別に確認する必要がある。
請求を受けた段階や綱紀委員会が審査相当を議決した段階で,懲戒事由の存在又は処分が確定するわけではない。
判断の流れは,弁護士会の懲戒委員会と懲戒手続の記事を参照されたい。

第2 四つの懲戒事由の内容
1 弁護士法に違反したとき

弁護士法には,秘密保持義務,非弁護士との提携の禁止,係争権利の譲受けの禁止等,弁護士の職務及び身分に関する規律が置かれている。
個別行為が弁護士法違反に当たるかは,各条文の要件に即して判断する必要がある。

2 弁護士会又は日本弁護士連合会の会則に違反したとき

弁護士は,所属弁護士会及び日本弁護士連合会の会則を守らなければならない(弁護士法22条)。
日本弁護士連合会会則29条は,弁護士が所属弁護士会及び日本弁護士連合会の会則,会規及び規則を守る義務を定めているため,弁護士職務基本規程を含む各規律の内容を確認することになる。

3 所属弁護士会の秩序又は信用を害したとき

所属弁護士会の組織秩序又は社会的信用を害する行為は,独立の懲戒事由である。
弁護士個人の行為について,所属弁護士会との関係及び信用への影響を具体的に検討する必要がある。

4 その他,品位を失うべき非行があったとき

「品位を失うべき非行」は,個別の禁止規定に形式的に該当する行為だけに限られない。
弁護士の使命,職務の公共性及び社会的信頼との関係から,職務上又は私生活上の行為が実質的に評価される包括的な懲戒事由である。

第3 弁護士職務基本規程と懲戒事由の関係

規程の現行本文,条文別索引及び利益相反・守秘義務等の主要論点は,弁護士職務基本規程の総合記事で確認できる。会則と会規である職務基本規程は,出典と規範の位置付けを区別して参照する。

1 個別規定の役割

弁護士職務基本規程は,依頼者との関係,相手方との関係,共同事務所における規律,非弁護士との関係その他の職務上の行為準則を定めている。
利益相反についても,公職就任中の職務を対象とする同規程81条だけでなく,職務を行い得ない事件を定める同規程27条及び28条等,場面に応じた個別規定を確認する必要がある。

(続きを読む...)弁護士の懲戒事由-弁護士法56条の4類型と判断基準(AI作成)

弁護士の懲戒制度の概要(AI作成)

第1 制度の目的とこの記事の範囲第2 懲戒事由と処分の種類1 懲戒事由2 弁護士に対する4種類の処分3 弁護士法人に対する処分第3 懲戒請求から処分までの流れ1 誰がどこへ請求するか2 綱紀委員会の調査と懲戒委員会の審査3 日弁連が自ら手続を開始する場合第4 懲戒請求者による異議申出1 異議申出の対象と期間2 日弁連綱紀委員会と日弁連懲戒委員会の役割3 綱紀審査会第5 懲戒を受けた弁護士側の不服申立て第6 3年の除斥期間第7 懲戒処分の判断1 懲戒権者の裁量2 行政手続法12条との関係第8 懲戒請求の限界第9 通知,公告及び処分歴情報第10 関連記事第11 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 職能団体の制度案内・運用資料
第1 制度の目的とこの記事の範囲

本記事は,令和8年9月7日現在の弁護士法に基づき,弁護士に対する懲戒制度の目的,懲戒事由,処分の種類,手続,不服申立て及び公表の概要を説明するものである。
個別の弁護士会が定める提出書式その他の運用は異なり得るため,実際に懲戒請求をするときは,提出先となる弁護士会の最新案内も確認する必要がある。

最高裁昭和49年11月8日判決は,弁護士の懲戒制度について,弁護士会又は日本弁護士連合会の自主的な判断に基づき,弁護士の綱紀,信用及び品位等を保持することを目的とする制度であると述べている。
懲戒請求権と異議申出権は,この目的を適正に達成するという公益的見地から認められたものであり,懲戒請求者個人の損害賠償,返金その他の私的救済を実現するための制度ではない。

弁護士会には懲戒制度がある。
弁護士又は弁護士法人について懲戒事由がある場合,原則として所属弁護士会が,綱紀委員会の調査及び必要に応じた懲戒委員会の審査を経て,処分又は不懲戒を決定する(弁護士法56条・58条)。

懲戒委員会の役割や綱紀委員会との違いを知りたい場合は,弁護士会の懲戒委員会と懲戒手続の記事を,委員の資格・人数・選任方法を知りたい場合は,懲戒委員会のメンバーの記事を参照されたい。

第2 懲戒事由と処分の種類
1 懲戒事由

弁護士法56条1項は,①弁護士法又は所属弁護士会若しくは日弁連の会則に違反したとき,②所属弁護士会の秩序又は信用を害したとき,③職務の内外を問わず品位を失うべき非行があったときに,弁護士及び弁護士法人が懲戒を受けると定めている。
懲戒は,原則として対象となる弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会が行う。

2 弁護士に対する4種類の処分

弁護士法57条1項が定める弁護士に対する懲戒処分は,次の4種類である。
①戒告は,規律違反を戒める処分である。
②業務停止は,2年以内の期間,弁護士業務を行うことを禁止する処分である。
③退会命令は,弁護士の身分を失わせるが,弁護士となる資格までは失わせない処分である。
④除名は,弁護士の身分を失わせ,弁護士法7条3号により,処分の日から3年を経過しない間は弁護士となる資格も失わせる処分である。

3 弁護士法人に対する処分

弁護士法人に対しても,戒告,2年以内の業務停止又は法律事務所の業務停止,退会命令及び除名が定められているが,従たる法律事務所だけを有する地域か,主たる法律事務所を有する地域かによって処分の範囲が異なる。
各処分の効果は,弁護士の戒告,業務停止,退会命令及び除名の記事で詳しく説明している。

第3 懲戒請求から処分までの流れ
1 誰がどこへ請求するか

弁護士法58条1項により,何人も,懲戒事由があると思料するときは,その事由の説明を添えて,対象となる弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会に懲戒を求めることができる。
事件の依頼者又は相手方であることは要件ではないが,個人が最初から日弁連へ懲戒請求をすることはできない。

提出方法,書式及び本人確認資料は,提出先の弁護士会の案内を確認することになる。
例えば,大阪弁護士会の案内は,書面による懲戒請求書と本人確認書類の提出を求めている。

2 綱紀委員会の調査と懲戒委員会の審査

所属弁護士会は,懲戒請求を受けたとき,対象となる弁護士等を懲戒の手続に付し,綱紀委員会に事案を調査させなければならない。

(続きを読む...)弁護士の懲戒制度の概要(AI作成)

弁護士に対する懲戒請求事案集計報告(1993年以降の分)(AIリライト)

第1 弁護士に対する懲戒請求事案集計報告(原資料)第2 全国の弁護士に対する懲戒請求・懲戒処分の推移(1993年~2025年)第3 日弁連に対する審査請求等の推移第4 弁護士賠償責任保険の支払実績第5 関連記事出典・参考資料1 裁判例2 公的資料

第1 弁護士に対する懲戒請求事案集計報告(原資料)

日本弁護士連合会(日弁連)は,各弁護士会に対する懲戒請求,日弁連に対する審査請求,異議申出及び綱紀審査申出の件数を毎年集計し,「懲戒請求事案集計報告」として自由と正義誌及び日弁連ウェブサイトで公表している。この公表は毎年3月中旬から下旬にかけて行われ,直近10年分の推移がまとめて掲載されるのが通例である。日弁連ウェブサイトの「基礎的な統計情報」は,2026年8月時点で2010年版から2025年版まで毎年更新されているが,そこに掲載されている懲戒統計のグラフも,新受件数の推移は2008年分から,懲戒処分率の推移は2002年分からしか遡っていない。本記事は,日弁連が毎年公表する当該年分の集計報告を通算し,1993年分から2025年分までを一覧化したものである。1993年から2002年までの分は,現在の日弁連ウェブサイトでは個別の集計報告として公開されておらず,自由と正義誌のバックナンバーによって確認した。

日弁連が公表している各年分の集計報告(2015年分以降,日弁連ウェブサイトで確認できる分)は次のとおりである。

2015年分
2016年分
2017年分
2018年分
2019年分
2020年分
2021年分
2022年分
2023年分
2024年分
2025年分

第2 全国の弁護士に対する懲戒請求・懲戒処分の推移(1993年~2025年)

次の表は,各年の懲戒請求等の新受件数,懲戒処分の内訳及び合計と,処分件数を同年の懲戒審査開始件数で割った参考比率を示す。
この分母は弁護士会段階の懲戒審査開始件数であり,日弁連懲戒委員会の審査開始件数ではない。
また,同じ年に審査を開始した事案が同じ年に処分されたとは限らないため,同一事案群を追跡した処分率や個別事件の成功確率を示すものではない。

令和7年分の原資料の表1では懲戒処分計115件,懲戒審査開始233件であり,115÷233は約49.4%となる。
新受3,049件を分母にする比率とは異なるため,分母・手続段階・暦年を明示して読む必要がある。

(続きを読む...)弁護士に対する懲戒請求事案集計報告(1993年以降の分)(AIリライト)