目次
第1 裁判官の法服の根拠と呼称1 現行規則2 「法服」と「制服」第2 現行法服の制式と素材1 平成4年通達と平成14年改正2 男性用と女性用3 現在確認できる素材4 支給後の取扱い第3 法服を着る場面1 公開法廷と非公開期日2 ラウンドテーブル法廷3 夏季の服装第4 裁判所書記官と裁判員の服装1 裁判所書記官の職服2 裁判員の服装第5 法服の意味と黒色の説明第6 法服の購入契約1 平成28年契約から分かること2 令和7年契約と契約監視第7 明治期から現行法服までの沿革1 明治23年の法服2 戦後の切替え第8 弁護士の法服と現在の服装1 戦前の弁護士職服2 戦後の復活論と現在第9 出典・参考資料1 規則・通達2 公的資料・国会会議録3 歴史資料4 文献
第1 裁判官の法服の根拠と呼称
1 現行規則
裁判官の法服の根拠は,裁判官の制服に関する規則(昭和24年4月1日最高裁判所規則第5号)である。同規則は,裁判官が法廷で制服を着用すること及び制服について必要な事項を最高裁判所が別に定めることを定めている。
同規則は,平成4年7月29日最高裁判所規則第9号により改正されており,その後の改正は国立国会図書館の日本法令索引では確認できない。最高裁判所規則はe-Gov法令検索の収録対象ではないため,本記事では,制定時の官報及び日本法令索引によって規則の本文及び改正経過を確認した。
2 「法服」と「制服」
日常的には「法服」と呼ばれるが,現行の規則及び通達が用いる法令上の名称は「制服」である。したがって,「法服」は一般的な呼称であり,「裁判官制服」は規則・通達・調達資料で用いられる正式な呼称である。本記事では,読者になじみのある「法服」を基本にしつつ,規則,通達又は契約書の内容を説明するときは「制服」と表記する。
第2 現行法服の制式と素材
1 平成4年通達と平成14年改正
法服の色及び形は,「裁判官の制服について」(平成4年7月29日総一第166号事務総長依命通達)によって具体化されている。同通達は,制服を黒色とし,男性用を別紙第1,女性用を別紙第2のとおりとする。
公開されている通達には,平成14年10月31日総一第368号による改正の表示がある。もっとも,今回確認できた公開資料には改正前後対照表又は改正通達の本文が含まれていないため,平成14年改正の具体的内容までは確認できない。
2 男性用と女性用
高部眞規子裁判官は,「法服あれこれ」において,昭和56年に裁判官になった当時は男性用しかなく,女性裁判官も男性用の小さいサイズを着用していたと述べている。
平成4年の通達では女性用法服が設けられ,男性用とは前合わせが逆になり,女性を基準としたサイズ,縦型のポケット及び白いスカーフが採用されたと説明されている。これは着用経験に基づく説明であり,スカーフの使用状況等は個々の裁判官によって異なり得る。
3 現在確認できる素材
平成28年11月4日付け契約書及び仕様書によれば,裁判官制服の表地は,経糸がポリエステル100%,緯糸が再生ポリエステル100%であり,制電性を持たせるため導電性繊維が一定の間隔で配置されている。裏地もポリエステル100%である。
したがって,少なくとも同契約の仕様については,「ナイロン製」ではなく,ポリエステルを基本とし,再生ポリエステル及び導電性繊維を用いた生地である。前記「法服あれこれ」も,現在の生地を化繊のポリエステルとし,以前の法服は羽二重の絹であったと説明している。
4 支給後の取扱い
法服の支給後の取扱いについては,最高裁判所経理局用度課管理係が作成した新任判事補向け文書も公開している。
裁判官制服について(最高裁判所経理局用度課管理係の文書)→73期新任判事補向けの文書 を添付しています。 pic.twitter.com/dhs5kIxX1r
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) November 14, 2021
第3 法服を着る場面
1 公開法廷と非公開期日
裁判官の制服に関する規則は,裁判官が法廷で制服を着用するものとしている。横浜地方裁判所の「教えて!裁判官」8頁も,法服は法廷へ行くときだけ着用し,執務室では着用しないと説明している。
前記「法服あれこれ」によれば,公開法廷では法服を着用する一方,非公開の和解期日及び弁論準備手続期日では着用しないという実務である。
2 ラウンドテーブル法廷
ラウンドテーブル法廷は,裁判官と当事者が円形又は楕円形のテーブルを囲み,話合いをしやすくすることを意図した法廷である。裁判所公刊の「コートに吹く風は」7頁は,簡易裁判所のラウンドテーブル法廷で,当事者が話しやすい雰囲気を作るため,裁判官が法服を着用しない運用を紹介している。
(続きを読む...)裁判官の法服――現行規則,素材,着用場面及び明治以降の沿革(AIリライト)