1 最高裁判所が財務省に提出した,平成30年度新しい日本のための優先課題推進枠説明資料1/2及び2/2には以下の記載があります。
① 49頁の記載
(4) ゲート式金属探知機
<要望要旨>
裁判所では,あらゆる事件の審理が行われ,多種多様な事件関係者が自由に出入りすることができるので,当事者や傍聴人等が,法廷内に凶器を持ち込み,事件関係者や傍聴人に危害を加えるという事件が現実に発生している。
こうした事件を未然に防ぐためには,庁舎入口で所持品検査を実施して,刃物や銃器等の凶器を庁舎内に持ち込ませないことが最も効果的であり,効率良く,迅速にセキュリティチェックを実施するために,ゲート式金属探知機を整備する必要がある。
そこで,以下の各庁にゲート式金属探知機を整備する経費を要望する。
(表部分は省略)
② 50頁の記載
(5) エックス線検査装置
<要望要旨>
当事者や傍聴人等により刃物や銃器等の凶器が庁舎内に持ち込まれることを未然に防ぐため,上記(4)のゲート式金属探知機と併せて,手荷物をまとめて迅速に検査できるエックス線検査装置を整備することにより,裁判所のセキュリティチェックが十全化される。
そこで,以下の各庁にエックス線検査装置を整備するための経費を要望する。
(表部分は省略)
③ 106頁の記載
裁判運営のための司法基盤の充実
(1) ゲート式金属探知機
<要望要旨>
裁判所では,あらゆる事件の審理が行われ,多種多様な事件関係人が自由に出入りすることができるので,当事者や傍聴人等が法廷内に凶器を持ち込み,事件関係者や傍聴人に危害を加えるという事件が現実に発生している。
こうした事件を防ぐためには,入廷前に所持品検査を行い,刃物や銃器等の凶器を持ち込ませないことが効果的であることから,ゲート式金属探知機を使用する必要がある。
とりわけ裁判員裁判においては,一般人である裁判員等が裁判所構内でこうした事件に遭うことがないように必要な機器を整備することは,裁判員制度を実施する裁判所の責務である。
そこで,整備済みのこれらの機器を更新するとともに新規整備に要する経費を要望する。
<整備内訳>
26台(更新6台,新規20台)を地裁本庁及び支部に整備する。
(2) 棒状金属探知機
<要望要旨>
裁判所は,凶器等の持込みが予想される場合に所持品検査を厳格に行う必要があり,ゲート式金属探知機を設置する庁においても,傍聴人等来庁者自身が金属探知機に反応した場合,直ちに触手による身体検査を行うことはトラブルを招くおそれが高く,困難であることから,改めて棒状金属探知機を使用して,それらの発見に努め,警備に万全を期する必要がある。
また,手荷物等の所持品については,所持品の内容物すべてについて開披を求めるのはプライバシー保護の観点から問題であり,時間も要するので,迅速に検査を行うためには棒状金属探知機を使用する必要がある。さらに,短時間かつ少人数を対象とした警備を効率的に行うため,傍聴人等の検査においても,機動性を有する棒状金属探知機を使用する必要がある。
そこで,整備済みの機器を更新するとともに新規整備に要する経費を要望する。
<整備内訳>
80式(1式2本,更新8式,新規72式)を地裁本庁及び支部に整備する。
2 49頁及び50頁では庁舎入口で所持品検査を実施すると書いてあるのに対し,106頁では入廷前に所持品検査を実施すると書いてあります。
3 財務省の理由説明書には以下の記載があります。
諮問庁としての考え方
本件については、財務省(以下「処分庁」という。)に対し、平成31年2月27日付(受付同年3月1日)で「裁判所における所持品検査の必要性について、財務省が作成し、又は取得した文書(平成30年度予算に関するもの)」を開示請求内容とする行政文書開示請求書が提出されたもの。
処分庁において文書探索を行った結果、開示請求内容に該当する文書として、本件対象文書を特定し、平成31年3月27日付で原処分を行ったものである。
この原処分に対して審査請求人より、「裁判所の庁舎入口で一律に所持品検査を行う場合、1箇所当たり年間で数千万円が必要となるところである。そのため、裁判所の庁舎入口で一律に所持品検査を行う必要性を説明する資料として、本件対象文書以外にも対象となる文書が存在する。」旨主張された審査請求があった。
これに対し、「裁判所の庁舎入口で一律に所持品検査を行う必要性を説明」する行政文書があるとすれば、平成30年度分の「概算要求書(裁判所・警察庁・法務省)」及び「概算要求資料(裁判所・警察庁・法務省)」に本件請求に係る文書が編綴されている可能性があると考えられたことから、平成30年度分の「概算要求書(裁判所・警察庁・法務省)」及び「概算要求資料(裁判所・警察庁・法務省)」を対象として実際にその中身を確認する作業を行ったが、請求内容に該当する行政文書の保有は、本件対象文書の他に確認できなかった。
なお、審査請求人からは「裁判所の庁舎入口で一律に所持品検査を行う場合、1箇所当たり年間で数千万円が必要」、「大阪高等。地方・簡易裁判所合同庁舎の場合、所持品検査の費用として平成30年度で1億2199万1038円となっている」とする旨の主張があり、所持品検査は庁舎の管理業務に含まれている可能性があるため、再度の確認作業にあたっては、所持品検査を包含する庁舎の管理業務全体に係る文書についても請求内容に該当する文書の存在がないかという観点から、裁判所の庁舎の維持管理に必要な経費に係る文書も含めて改めて確認作業を実施したが、請求内容に該当する文書は本件対象文書の他に確認できなかった。
上記のことから、原処分は、必要な文書探索を行ったうえで、保有が確認できた本件対象文書の開示決定を行ったものと考える。
4 「裁判所の所持品検査」も参照してください