◯本ブログ記事は,「弁護実務修習指導のしおり」(平成29年12月の日弁連司法修習委員会の文書)についてAIで作成した解説です。
目次
第1 はじめに
1 「弁護実務修習指導のしおり」の目的と役割
2 近年の法曹養成制度改革と改訂の経緯
(1) 司法修習の期間と構成の変化
(2) 指導担当弁護士に求められる今日的役割
第2 司法修習委員会の運営にあたり留意すべき事項
1 司法修習生の受託と各弁護士会の責任
(1) 司法研修所長からの委託という法的性格
(2) 日弁連と各弁護士会の役割分担
2 指導担当弁護士の選任と配属の最適化
(1) 選任基準の工夫と多様性の確保
(2) 修習生の個別的事情への配慮
3 個別修習と合同修習の有機的連携
(1) 導入修習を踏まえた合同修習の設計
(2) 選択型実務修習への移行と質の維持
第3 実務修習指導にあたり留意すべき事項
1 適切な修習環境の整備と執務時間
(1) 事務所設備の確保と事務職員との協力
(2) 執務時間の設定と超過修習の制限
2 休日及び自由研究日等の適正な運用
(1) 休日の定義とワークライフバランス
(2) 自由研究日と自宅起案日の峻別
3 欠席承認の手続きと成績への影響
(1) 欠席承認の権限と手続きの流れ
(2) 長期間の欠席に関する報告義務
4 守秘義務と情報セキュリティの徹底指導
(1) 秘密保持義務の法的根拠と具体的事例
(2) 電子データの取り扱いに関する厳格なルール
第4 弁護実務修習の指導内容と実践
1 分野別実務修習における重点指導項目
(1) 事実調査と法的分析の深掘り
(2) 裁判所提出書類及び訴訟外文書の起案指導
(3) 刑事事件における弁護活動の体験
2 弁護士会による指導サポート体制
(1) 複数指導者制度と協力弁護士の活用
(2) 中間ヒアリングによる修習状況の把握
3 実務の周辺領域に関する教育
(1) 事務職員業務と弁護士会活動の見学
(2) 弁護士倫理と報酬体系の理解
第5 成績評価と修習終了に向けた事務手続き
1 実務修習結果簿の管理と検印
(1) 結果簿の意義と記載内容の指導
(2) 検印の適切な実施と返還
2 成績評価資料の適正な作成
(1) 評価基準の透明性と客観性の確保
(2) 選択型実務修習における合否判定の基準
3 修習生の個人データの適切な管理
(1) 個人情報保護法に基づく適正な取り扱い
(2) 司法研修所等へのデータ提供と同意の要否
第6 おわりに
第1 はじめに
1 「弁護実務修習指導のしおり」の目的と役割
司法研修所において弁護教官を務めておりますと,全国の指導担当弁護士の先生方から,修習指導の具体的な「加減」についてのご質問を多く頂戴します。日弁連司法修習委員会が作成した「弁護実務修習指導のしおり」は,指導担当者と各弁護士会の司法修習委員会が共通の視点に立つための極めて重要なガイドラインです。本しおりは,修習生が効果的な弁護実務修習を経験できるよう,長年にわたる指導経験と法曹養成の理念を凝縮したものです。先生方が修習生という「未来の同僚」を育てる際の羅針盤として,最大限に活用されることを願っております。
2 近年の法曹養成制度改革と改訂の経緯
(1) 司法修習の期間と構成の変化
司法修習制度は,法曹養成制度改革に伴い,大きな変遷を遂げてきました。かつての長期間の修習から,現在は1年間という限られた期間の中で,密度の高い教育が求められています。弁護実務修習の期間も2か月間となっており,限られた時間内でいかに「生きた事件」に触れさせ,弁護士としての技法と倫理を体得させるかが喫緊の課題となっています。平成29年の改訂では,これら期間の短縮や選択型実務修習の導入に合わせた事務手続きの整理が行われました。
(2) 指導担当弁護士に求められる今日的役割
現代の指導担当弁護士には,単に法律実務を教えるだけでなく,高度な情報セキュリティ対策やハラスメントへの配慮など,社会情勢の変化に即した多角的な視点が求められています。修習生は法科大学院で理論的基礎を学んでいますが,実務における「事実」の重みや,依頼者との信頼関係の構築という泥臭い部分は,実務修習でしか学べません。先生方の背中を通じて,法曹としての品位と社会的使命を伝えることが,本しおりの究極の狙いです。
第2 司法修習委員会の運営にあたり留意すべき事項
1 司法修習生の受託と各弁護士会の責任
(1) 司法研修所長からの委託という法的性格
弁護実務修習は,司法研修所長が各弁護士会に修習を委託することで実施されます。受託の主体は日弁連ではなく,あくまで各単位会であるという点が重要です。裁判所法や司法修習生に関する規則に基づき,各弁護士会は修習生の指導監督について重大な責任を負っています。各会におかれましては,主体的かつ意欲的に指導に取り組む体制を構築していただく必要があります。
(2) 日弁連と各弁護士会の役割分担
日弁連は,司法研修所長からの通知を受け,各弁護士会が行う修習指導の実施に必要な指導監督を行います。日弁連司法修習委員会は,修習生の配属や指導,指導担当弁護士の選定,経費の収支等に関する審議調査を任務としています。このように,全国的な調整は日弁連が担い,具体的な指導の実践は各弁護士会が責任を持つという二段構えの体制になっています。
2 指導担当弁護士の選任と配属の最適化
(1) 選任基準の工夫と多様性の確保
指導担当弁護士の選任については,日弁連としての統一的な基準は設けていません。各弁護士会の実情に合わせた工夫が期待されています。多くの会では,経験年数や年齢に制限を設けるだけでなく,専門分野の偏りがないことや,修習生専用の机を確保できることなどを条件としています。これらは,修習生が落ち着いて実務に専念できる環境を整えるための最低限の配慮といえます。
(2) 修習生の個別的事情への配慮
配属に際しては,効率的で充実した修習を実現するため,修習生の個別的事情を考慮することが望ましい場合があります。交通の便や健康上の理由,喫煙習慣の有無など,一見些細なことに思える事項が,修習の集中力に大きく影響します。特に身体に障がいのある修習生を受け入れる場合は,事務所のバリアフリー対応や介助体制の有無など,細やかな配慮が求められます。
3 個別修習と合同修習の有機的連携
(1) 導入修習を踏まえた合同修習の設計
司法研修所での導入修習では,すでに一定の起案や演習が行われています。各弁護士会の司法修習委員会が行う合同修習は,この導入修習の内容を踏まえた上で,実務現場でしか得られない経験を補完する形で設計されるべきです。重複を避け,より実践的な模擬裁判や講義を実施することが,修習生の満足度向上につながります。
(2) 選択型実務修習への移行と質の維持
修習期間が短縮されたことに伴い,従来の合同講義や模擬裁判を選択型実務修習に移行して実施する会が増えています。一方で,修習の均質性を確保するために,あえて分野別実務修習中に積極的に合同修習を行う会もあります。各会の実情に応じて,質の高い教育機会が提供されるよう調整をお願いいたします。
第3 実務修習指導にあたり留意すべき事項
1 事務所の設備と執務時間のあり方
(1) 事務所設備の確保と事務職員との協力
修習生には専用の机を配置してください。スペースの制約がある場合は事務職員と並んでも構いませんが,修習に専念できる環境が必要です。書籍やOA機器,USBメモリ等についても,事務所備え付けのものを貸与できるようご配慮ください。また,事務職員の方々にも,修習生の立場を正しく理解してもらい,事務所全体で育成を支援する雰囲気作りが大切です。
(2) 執務時間の設定と超過修習の制限
執務時間は原則として指導担当弁護士の事務所の定めに合わせてください。弁護士業務の特性上,夜遅くまでの執務や休日出勤が発生することもありますが,修習生にこれを強制することは控えてください。ただし,夜間の接見や緊急の事件処理など,教育的価値が高い実務については,事前に本人と相談し,兼業日時等の調整を行った上で,なるべく参加できるよう促すことが望ましいでしょう。
2 休日及び自由研究日等の適正な運用
(1) 休日の定義とワークライフバランス
修習生の休日は,土曜日,日曜日,祝日,及び年末年始(12月29日から1月3日)と定められています。法曹として長く活躍するためには,修習期間中から適切な休養と自己研鑽のバランスを学ぶことも教育の一環です。休日の修習を強制しないよう徹底をお願いします。
(2) 自由研究日と自宅起案日の峻別
「自由研究日」は,修習生の自主性を尊重して定められたものであり,単なる休暇ではありません。住所を終日不在にするような場合は欠席扱いとなります。一方,「自宅起案日」は,指導担当者が具体的な課題を与え,自宅での学習を前提に出席を要しない日とするものです。これらはいずれも修習の質を高めるための制度であり,安易な「休み」として扱われないよう,適切な課題設定と指導をお願いします。
3 欠席承認の手続きと成績への影響
(1) 欠席承認の権限と手続きの流れ
修習生が欠席しようとする場合は,原則として事前に弁護士会会長の承認を受ける必要があります。急病などのやむを得ない理由で事前承認が得られない場合でも,速やかに理由を添えて申請させなければなりません。会長は申請に対し,適宜の方法で結果を通知します。この事務手続きの厳格な運用は,将来の公務遂行や組織人としての規律を学ぶ重要な機会でもあります。
(2) 長期間の欠席に関する報告義務
特に5日以上引き続き欠席した場合には,医師の診断書や修習不能な理由を明らかにする書面の提出が必要です。弁護士会はこれを司法研修所長に報告しなければなりません。欠席日数が修習期間の2分の1を超えた場合は,原則として成績評価が「不可」となるルールがありますので,指導担当者は修習生の健康状態や出席状況を常に把握しておく必要があります。
4 守秘義務と情報セキュリティの徹底指導
(1) 秘密保持義務の法的根拠と具体的事例
修習生は,修習中に知り得た一切の秘密を漏らしてはならない法的義務を負っています。友人との会話や家族への話であっても,当事者の氏名や具体的な事件内容を出すことは許されません。SNSへの書き込みは特にリスクが高いことを繰り返し強調してください。また,他の庁会で扱った事件の情報が事務所での修習と重なるような場合は,関与を避けさせるなどの配慮が必要です。
(2) 電子データの取り扱いに関する厳格なルール
平成28年に策定された「修習生が取り扱う弁護修習関連の情報のセキュリティに関するルール」を遵守させてください。個人のPCの持込制限や,USBメモリの管理,メール送信時の注意など,技術的な対策も徹底する必要があります。情報漏洩は,修習生本人だけでなく,指導弁護士や弁護士会の社会的信頼を著しく損なうものであることを深く自覚させてください。
第4 弁護実務修習の指導内容と実践
1 分野別実務修習における重点指導項目
(1) 事実調査と法的分析の深掘り
「弁護実務修習ガイドライン」に沿って,可能な限り「生きた事件」を素材とした指導をお願いします。法律相談や事情聴取,接見に立ち会わせる前には,何を聴き取り,どのような証拠を集めるべきか,あらかじめ検討させてください。終了後は,修習生にまず意見を述べさせ,その後に指導担当者としての法的分析を共有するという対話型の指導が効果的です。
(2) 裁判所提出書類及び訴訟外文書の起案指導
訴状,答弁書,準備書面などの裁判書類だけでなく,請求書,契約書,示談書といった訴訟外の法律文書も起案させてください。単に文書を作成させるだけでなく,なぜその表現を選んだのか,法的なリスクをどう回避しているのかという思考プロセスを言語化させることが重要です。添削の際は,指導担当者のこだわりだけでなく,実務上の標準的な作法を伝えるよう心がけてください。
(3) 刑事事件における弁護活動の体験
刑事弁護は修習生にとって関心の高い分野です。最低1件は体験させるよう努めてください。起訴前の接見や勾留に関する意見書の起案,さらには公判への立ち会いを通じて,被告人の権利を守るという弁護士の職責を体感させることが望まれます。担当事件がない場合は,後述するサポート制度を活用して,他事務所の事件を修習させることも検討してください。
2 弁護士会による指導サポート体制
(1) 複数指導者制度と協力弁護士の活用
一人の指導担当弁護士だけで全カリキュラムをカバーするのは負担が大きい場合があります。修習期間を分割して複数の弁護士が指導する「複数指導者制度」や,特定の事件(刑事事件など)についてのみ別の弁護士の下で修習する「協力弁護士・里親弁護士制度」の活用は非常に有効です。
(2) 中間ヒアリングによる修習状況の把握
修習期間の中間で,司法修習委員会が電話や書面で状況をヒアリングする取り組みを行っている会もあります。修習内容に偏りがないか,トラブルが生じていないかを早期に把握することで,必要に応じた指導の軌道修正やサポートが可能になります。
3 実務の周辺領域に関する教育
(1) 事務職員業務と弁護士会活動の見学
戸籍や住民票の取り寄せ,供託手続き,内容証明の発信など,事務職員が担う実務的な手続きも,一度は自ら経験させてください。これらは将来,独立・開業した際にも不可欠な知識です。また,弁護士会の委員会や常議員会を傍聴させることで,弁護士の自治という側面を学ばせることも有意義です。
(2) 弁護士倫理と報酬体系の理解
弁護士職務基本規程等の倫理規範については,節目節目で繰り返し指導してください。具体的なジレンマが生じる場面での振る舞いこそが,最大の教育材料となります。また,報酬の決め方についても,適切に説明できる能力は実務家として不可欠です。透明性の高い報酬説明のあり方についても,ぜひ伝えていただきたいポイントです。
第5 成績評価と修習終了に向けた事務手続き
1 実務修習結果簿の管理と検印
(1) 結果簿の意義と記載内容の指導
修習生が携行する「実務修習結果簿」は,自らの修習内容を記録する大切な書類です。これは司法研修所が修習状況を分析する貴重な資料にもなります。指導担当者は,修習生が修習事項をもれなく,かつ正確に記載しているかを確認し,適宜修正を指示してください。
(2) 検印の適切な実施と返還
各分野の修習終了時には,指導担当者が内容を確認の上,検印を押し,速やかに本人へ返還してください。結果簿は次の修習先へ持参するものですので,事務処理の遅滞がないよう注意が必要です。
2 成績評価資料の適正な作成
(1) 評価基準の透明性と客観性の確保
成績評価は「優・良・可・不可」の4段階で行われます。事実調査能力,法的分析能力,表現能力など,指導要綱(甲)に定められた観点を踏まえて作成してください。評価の客観性を保つため,委員会での審議を経て最終決定を行うなどの工夫が求められます。評価結果は修習生の将来を左右する重要なものであることを認識し,厳正かつ公平な評価をお願いします。
(2) 選択型実務修習における合否判定の基準
選択型実務修習の評価は,原則として「合否のみ」の判定です。立案した修習計画が適切に履行されていれば「合格」となります。特筆すべき優秀な成績や,逆に履修態度に重大な問題がある場合には,所定の報告書に詳細を付記してください。
3 修習生の個人データの適切な管理
(1) 個人情報保護法に基づく適正な取り扱い
修習生の身上報告書などは,指導・監督以外の目的に使用してはなりません。個人情報保護法の趣旨を踏まえ,厳重に管理してください。事務所内での共有についても,修習の事務に関わる「従業者」としての範囲内にとどめる必要があります。
(2) 司法研修所等へのデータ提供と同意の要否
弁護士会が司法研修所へ提供するデータは「法令に基づく場合」に該当するため,本人の同意は不要と解されています。しかし,選択型実務修習で外部機関(民間企業など)へ提供する場合は,あらかじめ本人から同意を得る手続きが必要です。
第6 おわりに
司法修習は,法曹としての「型」を作る極めて重要な時期です。先生方が日々向き合っておられる一つ一つの事件が,修習生にとっては一生の記憶に残る貴重な教材となります。
2026年現在,裁判手続きのIT化が急速に進展し,デジタル・フォレンジックや生成AIの活用など,法律実務の風景は激変しています。しかし,どれほど技術が進化しても,証拠に基づいて真実を探求し,依頼者の権利を擁護するという弁護士の使命が変わることはありません。
指導担当の先生方におかれましては,最新の知見を取り入れつつ,変わらぬ法曹の魂を次世代へと繋いでいただけることを,心より期待しております。本しおりを常に傍らに置き,情熱を持って後進の育成にあたっていただければ幸いです。
ご指導,何卒よろしくお願いいたします。
弁護実務修習指導のしおりを掲載しています。https://t.co/Ctk0N0C6LU pic.twitter.com/oQwBArsyn1
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) February 21, 2026