メインコンテンツへスキップ
       

弁護実務修習指導のしおりの解説(AI作成)

第1 はじめに

1 「弁護実務修習指導のしおり」の目的と役割

本記事は,日弁連司法修習委員会の「弁護実務修習指導のしおり」(平成29年12月)を解説し,受入れ弁護士が確認する事務を整理するものです。
同しおりは,指導担当弁護士と各弁護士会の司法修習委員会が共通の視点に立ち,効果的な弁護実務修習を行うために作成された資料です(「はじめに」,PDF2枚目)。

欠席,結果報告,選択型実務修習の事務及び教材管理については,「第79期司法修習生の司法修習に関する事務便覧」(令和8年3月)の記載を補足しています。
平成29年の制度説明と第79期の具体的な運用を分け,各会の当期の指示と併せて確認してください。

2 近年の法曹養成制度改革と改訂の経緯

(1) 司法修習の期間と構成の変化

司法修習制度は,法曹養成制度改革に伴い,大きな変遷を遂げてきました。かつての長期間の修習から,現在は1年間という限られた期間の中で,密度の高い教育が求められています。弁護実務修習の期間も2か月間となっており,限られた時間内でいかに「生きた事件」に触れさせ,弁護士としての技法と倫理を体得させるかが喫緊の課題となっています。平成29年の改訂では,これら期間の短縮や選択型実務修習の導入に合わせた事務手続きの整理が行われました。

(2) 指導担当弁護士に求められる今日的役割

指導担当弁護士は,具体的な事件への取組を通じて,事実を丁寧に調査し,証拠を評価し,依頼者に分かりやすく説明する過程を修習生に示すことができます。
実務修習は,こうした能力や法曹倫理を臨床体験の中で身に付ける重要な機会です。
もっとも,これらが実務修習だけで学ばれると断定するのは適切ではありません。

司法修習委員会の平成16年7月2日「議論の取りまとめ」は,法学教育,司法試験,司法修習に加え,資格取得後の継続教育も視野に入れた法曹養成全体の中で,司法修習の役割を考える必要があるとしています。
指導に当たっては,修習生がそれまでに学んだ内容と司法研修所での修習を踏まえ,個別の臨床体験を振り返る機会を設けることが考えられます。


第2 司法修習委員会の運営にあたり留意すべき事項

1 司法修習生の受託と各弁護士会の責任

(1) 司法研修所長からの委託という法的性格

弁護実務修習は,司法研修所長が各弁護士会に修習を委託することで実施されます。受託の主体は日弁連ではなく,あくまで各単位会であるという点が重要です。裁判所法や司法修習生に関する規則に基づき,各弁護士会は修習生の指導監督について重大な責任を負っています。各会におかれましては,主体的かつ意欲的に指導に取り組む体制を構築していただく必要があります。

(2) 日弁連と各弁護士会の役割分担

日弁連は,司法研修所長からの通知を受け,各弁護士会が行う修習指導の実施に必要な指導監督を行います。日弁連司法修習委員会は,修習生の配属や指導,指導担当弁護士の選定,経費の収支等に関する審議調査を任務としています。このように,全国的な調整は日弁連が担い,具体的な指導の実践は各弁護士会が責任を持つという二段構えの体制になっています。

2 指導担当弁護士の選任と配属の最適化

(1) 選任基準の工夫と多様性の確保

指導担当弁護士の選任については,日弁連としての統一的な基準は設けていません。各弁護士会の実情に合わせた工夫が期待されています。多くの会では,経験年数や年齢に制限を設けるだけでなく,専門分野の偏りがないことや,修習生専用の机を確保できることなどを条件としています。これらは,修習生が落ち着いて実務に専念できる環境を整えるための最低限の配慮といえます。

(2) 修習生の個別的事情への配慮

配属に際しては,効率的で充実した修習を実現するため,修習生の個別的事情を考慮することが望ましい場合があります。交通の便や健康上の理由,喫煙習慣の有無など,一見些細なことに思える事項が,修習の集中力に大きく影響します。特に身体に障がいのある修習生を受け入れる場合は,事務所のバリアフリー対応や介助体制の有無など,細やかな配慮が求められます。

3 個別修習と合同修習の有機的連携

(1) 導入修習を踏まえた合同修習の設計

司法研修所での導入修習では,すでに一定の起案や演習が行われています。各弁護士会の司法修習委員会が行う合同修習は,この導入修習の内容を踏まえた上で,実務現場でしか得られない経験を補完する形で設計されるべきです。重複を避け,より実践的な模擬裁判や講義を実施することが,修習生の満足度向上につながります。

(2) 選択型実務修習への移行と質の維持

修習期間が短縮されたことに伴い,従来の合同講義や模擬裁判を選択型実務修習に移行して実施する会が増えています。一方で,修習の均質性を確保するために,あえて分野別実務修習中に積極的に合同修習を行う会もあります。各会の実情に応じて,質の高い教育機会が提供されるよう調整をお願いいたします。


第3 実務修習指導にあたり留意すべき事項

1 事務所の設備と執務時間のあり方

(1) 事務所設備の確保と事務職員との協力

修習生には専用の机を配置してください。スペースの制約がある場合は事務職員と並んでも構いませんが,修習に専念できる環境が必要です。書籍やOA機器,USBメモリ等についても,事務所備え付けのものを貸与できるようご配慮ください。また,事務職員の方々にも,修習生の立場を正しく理解してもらい,事務所全体で育成を支援する雰囲気作りが大切です。

(2) 執務時間の設定と超過修習の制限

執務時間は原則として指導担当弁護士の事務所の定めに合わせてください。弁護士業務の特性上,夜遅くまでの執務や休日出勤が発生することもありますが,修習生にこれを強制することは控えてください。ただし,夜間の接見や緊急の事件処理など,教育的価値が高い実務については,事前に本人と相談し,兼業日時等の調整を行った上で,なるべく参加できるよう促すことが望ましいでしょう。

2 休日及び自由研究日等の適正な運用

(1) 休日の定義とワークライフバランス

修習生の休日は,土曜日,日曜日,祝日,及び年末年始(12月29日から1月3日)と定められています。法曹として長く活躍するためには,修習期間中から適切な休養と自己研鑽のバランスを学ぶことも教育の一環です。休日の修習を強制しないよう徹底をお願いします。

指導担当弁護士自身のワークライフバランス及び家族時間を確保するための受任・案件管理については,「弁護士が家族との時間を確保するための業務設計-専門分野より重要な8つの確認事項(AI作成)」を参照してください。

(2) 自由研究日と自宅起案日の峻別

「自由研究日」は,出席及び具体的な修習課題を行うことを要しない日として定められるものであり,単なる休暇ではありません。
2024年1月版の司法修習ハンドブック17頁~18頁は,病気その他その日に修習できない事情がある場合を除き,欠席として取り扱わないと説明しています。

「自宅起案日」は,指導担当者が与えた具体的な課題を当日に行い,所定の日に結果を提出することを前提に,出席を要しない日です。
同ハンドブックは,課題等を行うための日であるため,旅行は認められないと説明しています。
外出の有無だけで両者を一律に判断せず,その日の課題と修習可能性を確認してください。

3 欠席承認の手続きと成績への影響

(1) 欠席承認の権限と手続きの流れ

修習生が欠席しようとする場合は,原則として事前に弁護士会会長の承認を受ける必要があります。急病などのやむを得ない理由で事前承認が得られない場合でも,速やかに理由を添えて申請させなければなりません。会長は申請に対し,適宜の方法で結果を通知します。この事務手続きの厳格な運用は,将来の公務遂行や組織人としての規律を学ぶ重要な機会でもあります。

(2) 長期間の欠席に関する報告義務

5日以上引き続き欠席した場合には,医師の診断書等又は修習できない理由を疎明する書面が必要です。
第79期便覧は,配属庁会の長がその書面を添えて司法研修所長へ遅滞なく都度報告し,そのほかの欠席承認結果も修習単位終了後に速やかに報告するとしています(本文10頁,PDF14枚目)。
弁護士会からは地方裁判所長へ欠席承認結果報告の写しを送付します。

5日は報告に関する基準であり,欠席できる上限日数ではありません。
欠席割合による成績への影響はこれとは別に確認する必要があり,平成29年のしおりは,弁護修習で修習を要する日の2分の1を超えて欠席した場合に原則として不可と扱うと説明しています(本文13頁,PDF18枚目)。

4 守秘義務と情報セキュリティの徹底指導

(1) 秘密保持義務の法的根拠と具体的事例

修習生は,修習中に知り得た一切の秘密を漏らしてはならない法的義務を負っています。友人との会話や家族への話であっても,当事者の氏名や具体的な事件内容を出すことは許されません。SNSへの書き込みは特にリスクが高いことを繰り返し強調してください。また,他の庁会で扱った事件の情報が事務所での修習と重なるような場合は,関与を避けさせるなどの配慮が必要です。

(2) 電子データの取り扱いに関する厳格なルール

平成28年に策定された「修習生が取り扱う弁護修習関連の情報のセキュリティに関するルール」を遵守させてください。個人のPCの持込制限や,USBメモリの管理,メール送信時の注意など,技術的な対策も徹底する必要があります。情報漏洩は,修習生本人だけでなく,指導弁護士や弁護士会の社会的信頼を著しく損なうものであることを深く自覚させてください。


第4 弁護実務修習の指導内容と実践

1 分野別実務修習における重点指導項目

(1) 事実調査と法的分析の深掘り

「弁護実務修習ガイドライン」に沿って,可能な限り「生きた事件」を素材とした指導をお願いします。法律相談や事情聴取,接見に立ち会わせる前には,何を聴き取り,どのような証拠を集めるべきか,あらかじめ検討させてください。終了後は,修習生にまず意見を述べさせ,その後に指導担当者としての法的分析を共有するという対話型の指導が効果的です。

(2) 裁判所提出書類及び訴訟外文書の起案指導

訴状,答弁書,準備書面などの裁判書類だけでなく,請求書,契約書,示談書といった訴訟外の法律文書も起案させてください。単に文書を作成させるだけでなく,なぜその表現を選んだのか,法的なリスクをどう回避しているのかという思考プロセスを言語化させることが重要です。添削の際は,指導担当者のこだわりだけでなく,実務上の標準的な作法を伝えるよう心がけてください。

(3) 刑事事件における弁護活動の体験

刑事弁護は修習生にとって関心の高い分野です。最低1件は体験させるよう努めてください。起訴前の接見や勾留に関する意見書の起案,さらには公判への立ち会いを通じて,被告人の権利を守るという弁護士の職責を体感させることが望まれます。担当事件がない場合は,後述するサポート制度を活用して,他事務所の事件を修習させることも検討してください。

2 弁護士会による指導サポート体制

(1) 複数指導者制度と協力弁護士の活用

一人の指導担当弁護士だけで全カリキュラムをカバーするのは負担が大きい場合があります。修習期間を分割して複数の弁護士が指導する「複数指導者制度」や,特定の事件(刑事事件など)についてのみ別の弁護士の下で修習する「協力弁護士・里親弁護士制度」の活用は非常に有効です。

(2) 中間ヒアリングによる修習状況の把握

修習期間の中間で,司法修習委員会が電話や書面で状況をヒアリングする取り組みを行っている会もあります。修習内容に偏りがないか,トラブルが生じていないかを早期に把握することで,必要に応じた指導の軌道修正やサポートが可能になります。

3 実務の周辺領域に関する教育

(1) 事務職員業務と弁護士会活動の見学

戸籍や住民票の取り寄せ,供託手続き,内容証明の発信など,事務職員が担う実務的な手続きも,一度は自ら経験させてください。これらは将来,独立・開業した際にも不可欠な知識です。また,弁護士会の委員会や常議員会を傍聴させることで,弁護士の自治という側面を学ばせることも有意義です。

(2) 弁護士倫理と報酬体系の理解

弁護士職務基本規程等の倫理規範については,節目節目で繰り返し指導してください。具体的なジレンマが生じる場面での振る舞いこそが,最大の教育材料となります。また,報酬の決め方についても,適切に説明できる能力は実務家として不可欠です。透明性の高い報酬説明のあり方についても,ぜひ伝えていただきたいポイントです。


第5 成績評価と修習終了に向けた事務手続き

1 実務修習結果簿の管理と検印

(1) 結果簿の意義と記載内容の指導

修習生が携行する「実務修習結果簿」は,自らの修習内容を記録する大切な書類です。これは司法研修所が修習状況を分析する貴重な資料にもなります。指導担当者は,修習生が修習事項をもれなく,かつ正確に記載しているかを確認し,適宜修正を指示してください。

(2) 検印の適切な実施と返還

各分野の修習終了時には,指導担当者が内容を確認の上,検印を押し,速やかに本人へ返還してください。結果簿は次の修習先へ持参するものですので,事務処理の遅滞がないよう注意が必要です。

2 成績評価資料の適正な作成

(1) 評価基準の透明性と客観性の確保

成績評価は「優・良・可・不可」の4段階で行われます。事実調査能力,法的分析能力,表現能力など,指導要綱(甲)に定められた観点を踏まえて作成してください。評価の客観性を保つため,委員会での審議を経て最終決定を行うなどの工夫が求められます。評価結果は修習生の将来を左右する重要なものであることを認識し,厳正かつ公平な評価をお願いします。

(2) 選択型実務修習における合否判定の基準

選択型実務修習の評価は,原則として「合否のみ」の判定です。立案した修習計画が適切に履行されていれば「合格」となります。特筆すべき優秀な成績や,逆に履修態度に重大な問題がある場合には,所定の報告書に詳細を付記してください。

3 修習生の個人データの適切な管理

(1) 個人情報保護法に基づく適正な取り扱い

平成29年のしおりは,身上報告書等の個人情報が,指導・監督及び司法修習の各種事務手続のために提出されたものであることを踏まえ,その目的と個人情報保護の趣旨に沿って慎重に取り扱うよう求めています(本文13頁,PDF18枚目)。
事務所内での共有も,修習事務との関係,共有する項目及び必要な範囲を確認してください。

(2) 司法研修所等へのデータ提供と同意の要否

平成29年のしおり13頁~14頁は,修習生の個人データの提供先を,司法研修所,司法修習委員会委員・個別指導担当弁護士,裁判所・検察庁・弁護士会以外の選択型修習先に分けて説明しています。
同しおりでは,研修所への提供及び修習事務に関わる委員・指導担当弁護士への提供について本人の同意を不要とする一方,外部の選択型修習先への提供では応募時に同意を得る扱いとされています。

これは当時の照会・回答等と旧法の条番号を前提にした説明です。
現在の個人情報保護法上の適用関係をこの記載だけで一律に判断せず,提供先,利用目的,提供項目及び当期の同意取得手続を確認してください。


第6 受入れ時・修習中・終了時の事務確認

1 受入れ時に確認する事項

受入れ時には,修習期間,初日の集合時刻・場所,合同修習等の日程,指導担当者,弁護士会の事務担当窓口を確認してください。
第79期便覧では,各修習単位の開始時に,その単位を監督する配属庁会が緊急連絡先の届出を受け,変更があった場合も同様に扱います(本文10頁,PDF14枚目)。
本人の緊急連絡先と,欠席や兼業等の相談を受けたときの連絡経路を別々に確認しておくと,連絡の遅れを防ぎやすくなります。

2 修習中に確認する事項

① 欠席の申請・承認・本人への通知と,弁護士会から司法研修所への報告を区別してください。
② 原稿作成,講演,取材等について兼業該当性や修習専念義務に疑義がある場合は,司法研修所へ報告し,研修所又は配属庁会の指示があるまで活動を行わないよう伝えてください。
③ 災害で登庁が困難な場合は,無理に登庁させず,課題を与えた自宅学修等の取扱いと連絡手段を確認してください。
④ 教材として配布された修習記録は,実在事件に基づくため秘扱いとし,使用後に全て返却させてください。

これらは第79期便覧の本文10頁~11頁,15頁~17頁に記載された取扱いです。
事務所の依頼者から預かった事件記録と,司法研修所が教材として配布した修習記録とは,管理元と返却先も区別して確認してください。

3 修習終了時に確認する事項

本人が作成する実務修習結果簿は,内容を確認して検印し,本人に返して次の修習先へ持参させてください。
配属庁会の長が司法研修所長へ提出する実務修習結果報告書は,この結果簿とは別書類です。
第79期便覧では,分野別実務修習結果報告書の期限を各単位終了後1か月以内とし,第1~第3クールは1か月半以内としています(本文11頁・13頁,PDF15枚目・17枚目)。

指導担当弁護士から弁護士会への評価資料の提出期限は,弁護士会側の取りまとめに必要な時間もあるため,当期の会の案内を確認してください。
研修所への報告期限を,指導担当弁護士が会へ資料を提出する期限と同じものとして扱わないことが必要です。

選択型実務修習では,提供先によるレポートの確認・返還と結果意見書の送付,ホームグラウンドの指導担当弁護士による資料の集約,弁護士会会長による合否判断・研修所への報告を別々に確認してください(本文15頁,PDF19枚目)。
具体的な流れは,選択型実務修習の案内及び実務修習結果簿を参照してください。

第7 出典・参考資料

① 日本弁護士連合会司法修習委員会「弁護実務修習指導のしおり」(平成29年12月)。「はじめに」(PDF2枚目),本文1頁~14頁(PDF5枚目~19枚目)。
② 司法研修所事務局「第79期司法修習生の司法修習に関する事務便覧」(令和8年3月)。本文10頁~17頁(PDF14枚目~21枚目)。
③ 司法研修所「司法修習ハンドブック」(2024年1月)。本文17頁~18頁(PDF23枚目~24枚目)。

④司法修習委員会「議論の取りまとめ」(平成16年7月2日)2頁~5頁。
法曹養成全体における司法修習の位置づけ及び指導目標についての参照資料であり,平成29年の「しおり」そのものではありません。

平成29年のしおりは当時の説明資料であり,第79期の事務手続は同便覧によって補っています。
具体的な様式,提出期限,情報の取扱いは,当期に配布された資料及び所属弁護士会の指示を確認してください。