メインコンテンツへスキップ

民事訴訟・証拠

文書鑑定(AIリライト)

目次

第1 文書鑑定とは

1 文書鑑定の種類

(1) 筆者識別(筆跡鑑定)
(2) 印影鑑定
(3) 不明文字鑑定
(4) 事務機文字鑑定
(5) 印刷物鑑定

2 民事訴訟における筆跡鑑定の位置づけ

(1) 私的鑑定は「鑑定」ではなく書証である
(2) 自由心証主義のもとでの評価

第2 筆跡鑑定の証明力に関する裁判例

1 伝統的筆跡鑑定方法の証拠能力(最高裁昭和41年2月21日決定)
2 断定的な別人鑑定への慎重論(東京高裁平成12年10月26日判決)
3 鑑定人の側から公表されている見解
4 狭山事件に関する最高裁平成17年3月16日決定

(続きを読む...)文書鑑定(AIリライト)

二段の推定とは──私文書の成立の真正(民事訴訟法228条4項)と実印・認印,立証の実務(AIリライト)

目次

第1 二段の推定とは(意味・根拠・法的性質)

1 二段の推定の意味──一段目と二段目
2 法的根拠──民事訴訟法228条4項
3 リーディングケース(最判昭和39年5月12日)
4 推定の法的性質と立証責任──「反証」で足りる

第2 実印・認印と「本人の印章」

1 「本人の印章」は実印に限らないが,共有・共用の印章は含まない
2 印鑑証明書による印影の一致の立証(実印と認印の差)
3 「実印だから推定力が強い」を無批判に用いない

第3 二段の推定が意味を持つ場面と,推定を破る事情

1 成立の真正と記載内容の信用性は別問題──処分証書と報告文書
2 証明の負担が軽減される程度は限定的
3 第一段目の推定を破る事情の類型(盗用型・冒用型・不自然型)
4 具体的事案で推定の成否が判断された例

第4 作成者の判断能力(意思能力)と文書の成立の真正

1 高齢・判断能力低下の主張の位置づけ
2 意思無能力の抗弁(民法3条の2)
3 形式的証拠力と契約の成立

第5 二段の推定以外に成立の真正を証明する手段の確保

(続きを読む...)二段の推定とは──私文書の成立の真正(民事訴訟法228条4項)と実印・認印,立証の実務(AIリライト)

訴訟提起で原告の住所・氏名を秘匿する方法(AIリライト)

目次

第1 現在の取扱いの結論

1 令和5年2月20日以後の新件
2 令和8年5月21日以後の電子提出
3 旧来の秘匿措置との区別

第2 秘匿決定の対象及び要件

1 秘匿対象者
2 住所等及び氏名等
3 社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれ
4 相手方が秘匿事項を知らないこと

第3 訴え提起時の提出方法

1 訴状と同時に提出する書類
2 訴状の当事者欄
3 秘匿事項届出書面だけは紙で提出すること
4 疎明資料及び漏えい点検
5 手数料及び却下後の処理

第4 秘匿決定だけでは足りない場合

1 秘匿事項届出書面以外の記録

(続きを読む...)訴訟提起で原告の住所・氏名を秘匿する方法(AIリライト)

民事訴訟の送達――補充送達,付郵便送達,公示送達及びシステム送達(AIリライト)

目次

第1 民事訴訟における送達の基本1 送達の意味と本記事の対象2 職権送達,送達事務及び送達実施機関第2 送達場所と交付の方法1 住所等,就業場所及び送達場所の届出2 書記官送達と出会送達3 補充送達と差置送達第3 法人に対する送達1 代表者と送達場所2 支店の受付係への交付と企業の期限管理第4 付郵便送達と住所等調査1 要件と効力発生時期2 住居所及び就業場所の調査第5 公示送達1 公示送達を利用できる場合2 オンライン公告と効力発生時期3 公示送達で被告が欠席した場合の主張立証第6 出力書面による送達とシステム送達1 二つの送達方法2 効力が生じる時点3 届出義務者と無届出時の特例第7 送達の瑕疵と当事者の救済1 補充送達の有効性と再審事由は別であること2 誤った住所等調査と損害賠償3 送達受取人の受領記録の誤りと訴訟行為の追完4 送達報告書の誤記と控訴期間第8 銀行口座情報しか分からない相手への訴え1 名古屋高裁金沢支部平成16年決定2 決定の射程と調査嘱託第9 送達を要しない例外第10 判決・和解調書,外国送達及び関連資料1 判決と和解・放棄・認諾調書2 外国送達3 送達実務に関する裁判所事務連絡第11 出典・参考資料1 法令・規則2 裁判例3 裁判所その他の公的資料4 文献及びウェブ資料
第1 民事訴訟における送達の基本
1 送達の意味と本記事の対象

送達は,訴状,判決その他の訴訟関係書類又は電磁的記録を,法定の方式によって当事者その他の受送達者に告知する手続である。通常の郵送や当事者間の直送とは異なり,どこで誰に交付したか,又はシステム上のどの時点で効力が生じたかが,上訴期間その他の手続期間に影響する。

本記事は,民事訴訟法上の国内送達を中心に,送達場所,補充送達,差置送達,付郵便送達,公示送達及びシステム送達を整理する。令和8年5月21日以後に提起された訴訟等には全面デジタル化後の規定が適用される一方,同月20日以前に提起された事件は原則として従前の規定で処理されるため,係属事件の適用法を最初に確認する必要がある。

2 職権送達,送達事務及び送達実施機関

送達は,特別の定めがある場合を除き,裁判所が職権で行い,送達に関する事務は裁判所書記官が取り扱う(民訴法98条)。書類の送達は,特別の定めがある場合を除き,郵便又は執行官によって行い,郵便による送達では郵便業務従事者が送達をする者となる(同法101条)。裁判所書記官は,所属裁判所の事件について出頭した者に自ら送達することもできる(同法102条)。

郵便による送達では,郵便法49条の特別送達が用いられる。郵便法66条は旧条文の番号であり,現行法上の根拠条文ではない。また,送達をした者が作成する送達報告書の根拠は,現行民訴法100条であり,書面の提出に代えて所定の電子情報処理組織又は記録媒体を用いることもできる。

送達事務を担当する書記官の職務全体や,裁判所事務官との違いは,裁判所書記官とはで説明している。
送達に関する事務を取り扱う職員と,実際に書類を交付する者は,前記の法令上の役割に即して区別する必要がある。

第2 送達場所と交付の方法
1 住所等,就業場所及び送達場所の届出

書類は,受送達者の住所,居所,営業所又は事務所で送達するのが原則である。これらの場所が知れないとき,又はその場所で送達するのに支障があるときは,雇用,委任その他の法律関係に基づく就業場所で送達できる(民訴法103条)。

当事者,法定代理人又は訴訟代理人は,日本国内の送達場所を受訴裁判所へ届け出なければならず,送達受取人を併せて届け出ることもできる。届出後は,原則として届出場所で送達する(民訴法104条)。

2 書記官送達と出会送達

裁判所書記官は,所属裁判所の事件について出頭した者に書類を交付できる。これに対し,国内に住所等を有することが明らかでない者には出会った場所で送達でき,国内住所等が明らかな者又は送達場所を届け出た者には,受領を拒まない場合に出会送達ができる(民訴法105条)。

郵便業務従事者が日本郵便の営業所で受送達者本人に交付する場合も,送達場所で本人に交付する場合と同様に処理される。本人に会えず,補充送達の要件を満たす者が郵便局窓口に出頭した場合には,民訴法106条1項後段による交付が問題となる。

3 補充送達と差置送達

就業場所以外の送達場所で本人に会えないときは,使用人その他の従業者又は同居者で,書類の受領について相当のわきまえがある者に交付できる(民訴法106条1項)。就業場所では,雇用主,その法定代理人又は従業者等が相当のわきまえを有し,受領を拒まない場合に限って補充送達ができる(同条2項)。就業場所で補充送達がされたときは,裁判所書記官がその旨を本人へ通知する(民事訴訟規則43条)。

本人又は住居所等にいる補充送達受領資格者が正当な理由なく受領を拒んだときは,書類を送達場所に差し置くことができる(民訴法106条3項)。もっとも,就業場所にいる雇用主や従業者等が受領を拒んだ場合には同項の差置送達はできないため,住居所等に宛てた付郵便送達を含む別の方法を検討することになる。

第3 法人に対する送達
1 代表者と送達場所

法人が当事者であるときは,法人の代表者が受送達者となる(民訴法37条及び99条)。代表者の住所等に加え,本人である法人の営業所又は事務所も送達場所になる(同法103条1項ただし書)。代表者が受送達者であることと,法人の本店,支店その他の営業所又は事務所が送達場所になることは,区別して理解する必要がある。

法人の営業所又は事務所で代表者本人に会えない場合でも,その場所で勤務し,書類の受領について相当のわきまえがある従業者等に交付すれば,補充送達が成立し得る。形式的な所属だけでなく,当該送達場所との関係,担当業務,年齢及び書類を名宛人へ渡すことを期待できる立場であるかを具体的に検討する。

国が当事者であるときは,国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律1条により法務大臣が国を代表する。
法務省大臣官房訟務部門の「訟務事務入門(第6版)」(平成18年3月)によれば,国を被告とする訴状は裁判所から法務大臣に送達され,法務省から担当の法務局又は地方法務局に事件が移される(PDF34頁~35頁)。
広島高裁平成3年1月31日判決(平成2年(ネ)第84号,判例秘書の判例番号 L04620028)は,国を相手方とする証拠保全手続の呼出状等は法務大臣の住所又は事務所に送達すべきものとし,指定代理人に指定されていない国立病院長への送達は違法であるとした。
最高裁平成3年12月5日第一小法廷判決(平成3年(オ)第652号,判例秘書の判例番号 L04610093)は,この原審の判断を正当として是認し,上告を棄却した。
国側の手続の流れは,国を被告とする訴訟で国側は何をしているかで説明している。

2 支店の受付係への交付と企業の期限管理

(続きを読む...)民事訴訟の送達――補充送達,付郵便送達,公示送達及びシステム送達(AIリライト)

訴訟能力,訴状等の受送達者,審判前の保全処分及び特別代理人(AIリライト)

目次

第1 訴訟能力を判断するための基本区分

1 訴訟能力,行為能力及び意思能力の違い

2 通常の民事訴訟における未成年者及び成年被後見人

(1) 未成年者

(2) 成年被後見人

3 被保佐人及び被補助人

4 後見開始の審判がない意思無能力者

第2 訴状その他の裁判書類の受送達者

1 現行民事訴訟法99条の原則

2 類型別の受送達者

(1) 未成年者及び成年被後見人

(2) 被保佐人及び被補助人

(続きを読む...)訴訟能力,訴状等の受送達者,審判前の保全処分及び特別代理人(AIリライト)

上告審に関するメモ書き(AIリライト)

目次

第1 上告審の全体像

1 上告審は法律審であること
2 上告審となる裁判所——二つの三審構造

(1) 地方裁判所を第一審とする事件(最高裁判所が上告審)
(2) 簡易裁判所を第一審とする事件(高等裁判所が上告審)

3 上告制度の目的

第2 「上告」と「上告受理申立て」の区別

1 最高裁判所に対する不服申立ては二本立てであること
2 上告の理由(民事訴訟法312条1項・2項)

(1) 憲法違反(312条1項)
(2) 絶対的上告理由(312条2項)
(3) 単なる法令違反は上告の理由とならないこと

3 上告受理申立ての理由(民事訴訟法318条1項)

(1) 「法令の解釈に関する重要な事項」を含むこと
(2) 憲法違反・絶対的上告理由は受理申立ての理由とならないこと

(続きを読む...)上告審に関するメモ書き(AIリライト)

即時抗告・執行抗告・再抗告・特別抗告・許可抗告の期限,理由書期限及び執行停止(AIリライト)

目次

第1 結論――抗告期限と理由書期限の早見表

1 最初に確認すべき3点
2 期限管理早見表
3 期間計算の基本

(1) 告知又は送達によって始まる期間
(2) 破産手続の公告によって始まる期間
(3) 末日が休日の場合
(4) 郵送は消印日ではなく到達日が基準となること

第2 抗告制度の全体像

1 抗告の対象
2 通常抗告と即時抗告
3 抗告状の宛先及び提出先
4 令和8年5月21日以後の民事裁判手続のデジタル化

第3 民事訴訟法に基づく即時抗告

1 即時抗告期間は1週間
2 抗告理由を後から提出する場合は抗告後14日

(続きを読む...)即時抗告・執行抗告・再抗告・特別抗告・許可抗告の期限,理由書期限及び執行停止(AIリライト)

地方裁判所において尋問調書の作成が省略される場合(AIリライト)

第1 この記事でいう「尋問調書の作成省略」第2 令和8年5月21日前後の適用関係1 新旧制度を分ける基準2 現行制度と旧制度の対応第3 裁判によらないで訴訟が完結した場合の省略1 省略の要件2 省略される事項と残る事項3 完結を知った日から1週間以内の申出第4 録音・録画を電子調書の記録に代える場合1 規則67条2項の省略との違い2 当事者の意見と同意の要否3 当事者の申出により作る追加の記録第5 録音反訳方式との違い1 規則76条に基づく録音反訳2 補助録音の保存と消去第6 簡易裁判所の省略制度との違い第7 旧様式,国会答弁及び旧法下の裁判例1 旧様式の「調書省略」欄2 録音反訳方式と速記に関する国会答弁3 最高裁昭和26年2月22日判決の射程第8 関連記事出典・参考資料1 法令・規則2 裁判例3 裁判所資料・国会会議録4 文献第1 この記事でいう「尋問調書の作成省略」

地方裁判所の民事訴訟では,証人尋問,当事者尋問又は鑑定人尋問を実施した後に訴訟上の和解等によって訴訟が裁判によらずに完結した場合,裁判長の許可を得て,証人等の陳述部分及び検証の結果の記載又は記録を省略することがある。この取扱いが,実務上「尋問調書の作成省略」又は「調書省略」と呼ばれることがある。

もっとも,民事訴訟法160条は,裁判所書記官が口頭弁論について期日ごとに電子調書を作成することを定めている。民事訴訟規則67条2項が省略の対象とするのは電子調書全体ではなく,証人,当事者本人及び鑑定人の陳述並びに検証の結果の部分であるため,尋問期日の電子調書自体が存在しなくなるわけではない。

第2 令和8年5月21日前後の適用関係1 新旧制度を分ける基準

裁判所の民事訴訟手続デジタル化の説明によれば,令和8年5月21日以後に提起された訴えにはオンライン手続及び電子化された訴訟記録が適用され,同日前に提起された訴えは原則として従前どおり書面により審理される。したがって,新旧制度を分ける基準は尋問日ではなく,原則として訴えの提起日である。

2 現行制度と旧制度の対応

令和8年5月21日以後に提起された訴えでは,民事訴訟法160条の電子調書が作成され,民事訴訟規則67条2項は証人等の陳述及び検証結果の「記録」の省略を定める。同日前に提起された訴えでは,従前の紙の口頭弁論調書が作成され,改正前の同項に基づいて同じ部分の「記載」を省略することがある。

項目
令和8年5月21日以後に提起された訴え
同日前に提起された訴え

基本となる調書
電子調書
紙の調書

規則67条2項による省略
陳述等の記録を省略
陳述等の記載を省略

規則68条1項による代替
録音・録画の電磁的記録をファイルに記録
録音テープ又はビデオテープ等に記録

当事者の申出後に作る文字情報
規則67条1項3号の事項を記録した電磁的記録

(続きを読む...)地方裁判所において尋問調書の作成が省略される場合(AIリライト)

新様式判決とは何か―従来様式との違い,成立経緯と現在の課題(AIリライト)

目次第1 新様式判決の意味1 法令上の書式名ではないこと2 従来様式判決との違い3 単なる短縮版ではないこと第2 1990年の共同提言1 新しい様式案の公表日2 共同提言が掲げた基本方針3 共同提言の原型第3 修正型の成立と現在の典型的構成1 1992年の大阪報告と1994年の東京報告2 現在の典型的構成3 原型と修正型の違い第4 現行民事訴訟法と電子判決書1 電子判決書の必要的記録事項2 電子化と判決様式は別の問題であること第5 新様式判決の長所と課題1 中心的争点と判断過程を示しやすいこと2 長文化,重複及び理由説示の不足3 全事件に一つの様式を当てはめるものではないこと第6 文書の成立の真正と最高裁判例1 最高裁平成9年5月30日判決2 重要争点である場合の留保第7 争点整理と判決作成の関係1 争点整理結果を要約した書面2 判決準備は争点整理段階から始まること第8 新様式判決を読むときの確認点第9 関連記事第10 出典1 法令・裁判例2 公文書・歴史資料・ウェブ資料3 文献

新様式判決とは,民事判決の「事実」及び「理由」を,請求,事案の概要,争点,当事者の主張及び争点に対する判断を中心に構成し,事件の中心と結論に至る過程を分かりやすく示そうとする判決様式である。

もっとも,「新様式判決」は法令上の用語ではなく,法律が一つの固定書式を指定しているわけではない。

また,現在一般に新様式判決と呼ばれている様式は,1990年(平成2年)の共同提言が示した原型そのものではなく,1992年(平成4年)の大阪報告及び1994年(平成6年)の東京報告を経て定着した修正型である。

本記事では,新様式判決の意味,従来様式との違い,成立後の変化,現在の典型的構成,電子判決書との関係及び理由説示をめぐる最高裁判例を,原典に即して整理する。

第1 新様式判決の意味
1 法令上の書式名ではないこと

現行民事訴訟法は,判決に記録すべき事項を定めているが,「新様式判決」又は「従来様式判決」という名称を用いていない。

これらの名称は,民事判決の事実及び理由をどのような順序と密度で記載するかを区別する実務上の呼称である。

したがって,「新様式」という名称から,新旧の法令が切り替わったとか,従来様式が法的に廃止されたと理解するのは正確でない。

2 従来様式判決との違い

従来様式判決は,当事者の主張を請求原因,請求原因に対する認否,抗弁,抗弁に対する認否,再抗弁などに分け,法律要件及び立証責任の構造に従って「事実」欄へ記載する。

この方式は,訴訟物,攻撃防御方法及び立証責任の所在を確認しやすい反面,法律実務家以外の当事者には事件の全体像と中心的争点が分かりにくく,事実欄と理由欄の記載が重複しやすいとの問題が指摘されていた。

これに対し,新様式判決は,紛争の概要と中心的争点を先に示し,その争点についての認定及び判断を読み進めやすい順序で記載することを目指す。

3 単なる短縮版ではないこと

新様式判決は,法律要件,主要事実,立証責任又は証拠評価を省略してよいという考え方ではない。

共同提言が前提としたのは,充実した審理と的確な争点整理を行った上で,形式的記載や無用な重複を除き,中心的争点については証拠と認定事実の関係を示しながら丁寧に理由を記載することである。

判決が短いかどうかと,理由が十分かどうかは別の問題である。

第2 1990年の共同提言
1 新しい様式案の公表日

東京高等・地方裁判所民事判決書改善委員会及び大阪高等・地方裁判所民事判決書改善委員会は,1990年(平成2年)1月16日,新しい様式の民事判決書案を公表した。

共同提言の本文は,「民事判決書の新しい様式について」として判例タイムズ715号4頁~35頁(PDFビューア1頁~32頁)に掲載されている。

同号の発行日は1990年2月25日であるが,提言案の公表日は同年1月16日であるため,両日を区別する必要がある。

2 共同提言が掲げた基本方針

共同提言4頁~6頁(PDFビューア1頁~3頁)が掲げた基本方針は,次のように要約できる。

① 当事者のための判決であることを重視し,中心的争点とそれに対する判断を,平易で分かりやすい文章によって示す。

② 特殊な文体に習熟していなくても起案できるよう,常識的な文章作成能力で書ける判決書を目指す。

③ 形式的記載と重複記載を除き,事実と理由を一体的に記載することも含めて,簡潔な構成を工夫する。

④ 主文に至る論理過程が分かる記載を確保し,中心的争点については,主張と証拠を示しながら具体的に理由を記載する。

3 共同提言の原型

(続きを読む...)新様式判決とは何か―従来様式との違い,成立経緯と現在の課題(AIリライト)

「2000円上告」の方法と現在の手数料―旧法事件は2000円,新法事件の電子申立ては3100円(AIリライト)

第1 「2000円上告」の対象と現在の結論1 旧法事件と新法事件では手数料が異なる2 利用を検討できるのは数量的に可分な一個の金銭請求である3 申立手数料を抑えても受理要件は変わらない第2 訴訟物の価額10万円の場合の申立手数料1 新法事件と旧法事件の金額2 新法事件の納付方法3 旧法事件の郵便費用第3 上告受理申立てから理由書提出まで1 申立書は原裁判所へ提出する2 申立範囲と訴訟物の価額を一致させる3 上告受理申立て理由書は通知書送達から50日以内である第4 不服申立ての範囲を後から拡張する場合1 最高裁昭和44年7月10日判決2 上告受理申立てに当てはめる場合の注意3 「拡張予定」と別個請求の追加を区別する第5 訴額10万円とする旧法事件の申立書記載例1 この記載例の対象2 記載例第6 委任状と特別授権1 上告受理申立てには特別の委任が必要である2 特別授権がある場合の代理権と提出実務第7 原裁判所による審査の範囲1 受理要件の実質判断は最高裁判所が行う2 形式的な不備は別に審査される第8 申立て前後の確認事項第9 関連記事第10 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 裁判所の手続資料4 文献

第1 「2000円上告」の対象と現在の結論
1 旧法事件と新法事件では手数料が異なる

数量的に可分な一個の金銭請求について,上告受理申立ての対象を控訴審請求額のうち10万円に限定すれば,訴訟物の価額10万円に対応する申立手数料で申立てをすることが考えられる。

ただし,「2000円の収入印紙を貼付する」という説明が当てはまるのは,原則として第一審の訴えが令和8年5月21日より前に提起された旧法事件である。
同日以後に提起された新法事件では,訴訟物の価額10万円の場合,電子申立ての手数料は3,100円であり,紙による申立てが許される場合の手数料は4,700円である。
裁判所の民事事件の手数料額早見表にも,この3区分が掲載されている。

旧法事件か新法事件かは,上告受理申立てをする日ではなく,原則として第一審の訴えを提起した日によって区別する。
具体的な経過措置については,mints対象事件の記事で説明している。

2 利用を検討できるのは数量的に可分な一個の金銭請求である

この方法は,一個の金銭請求のうち10万円の部分だけを当初の不服申立ての範囲とする場面を想定している。
複数の別個の請求を後から追加する場合,金銭請求とは性質が異なる請求を追加する場合又は数量的に分けられない請求には,そのまま利用できない。

申立書,上告受理申立て理由書及び後に提出する範囲拡張の書面では,どの請求のどの部分を不服申立ての対象としているかが一致していなければならない。
単に訴訟物の価額を10万円と記載するだけで,不服申立ての範囲が当然に特定されるわけではない。

3 申立手数料を抑えても受理要件は変わらない

民事訴訟法318条1項によれば,最高裁判所は,判例と相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる事件について,上告審として受理することができる。
申立ての対象を10万円に限定しても,この受理要件は変わらない。

申立手数料を低くした場合に上告受理決定の可能性が上がることを示す公的資料は確認できない。
この方法は費用負担を限定する方法であって,理由の乏しい申立てを適法又は有力にする方法ではない。

第2 訴訟物の価額10万円の場合の申立手数料
1 新法事件と旧法事件の金額

訴訟物の価額10万円の場合の申立手数料は,次のとおりである。

適用手続申立方法申立手数料郵便費用の扱い
旧法事件紙による申立て2,000円別途予納する
新法事件電子申立て3,100円1,100円相当が手数料に含まれる
新法事件許容される紙申立て4,700円2,700円相当が手数料に含まれる

民事訴訟費用等に関する法律3条及び別表によれば,訴訟物の価額10万円に対応する第一審手数料1,000円の2倍が,上告及び上告受理申立ての基礎となる2,000円である。
新法事件では,電子申立てについて1,100円,紙による申立てについて2,700円の郵便費用相当額が加わる。

2 新法事件の納付方法

新法事件の弁護士等には,原則として電子提出義務がある。
電子申立ての方法,提出先及び提出後に保存すべき受付情報については,mintsで控訴・上告・上告受理申立てをする方法の記事で説明している。

民事訴訟費用等に関する法律8条1項では,新法対象手続の手数料は原則として現金で納めることとされている。
収入印紙による納付が認められるのは,紙による申立てが許され,かつ,やむを得ない事由がある場合である。
そのため,新法事件を「収入印紙を貼付する手続」と説明するのは正確でない。

3 旧法事件の郵便費用

旧法事件では,2,000円の申立手数料とは別に郵便費用を予納する。
必要額は裁判所,事件及び送達を受ける相手方の人数等によって確認する必要があるため,過去の特定の裁判所における固定額を現在の一般的な金額として使用すべきではない。

上告と上告受理申立てを同時に行う場合,両者の利益が共通する範囲では,一方について納めた手数料が他方についても納付されたものとみなされることがある。
民事訴訟費用等に関する法律3条4項の適用範囲は,不服申立ての対象が両手続で一致しているかを含め,個別事件ごとに確認する必要がある。

第3 上告受理申立てから理由書提出まで

(続きを読む...)「2000円上告」の方法と現在の手数料―旧法事件は2000円,新法事件の電子申立ては3100円(AIリライト)

陳述書作成の注意点(AIリライト)

民事訴訟で当事者や証人予定者が作成する陳述書は,主尋問を補い,争点を整理し,相手方の反対尋問の準備を可能にする重要な書面です。本稿では,民事訴訟で裁判所に信用される陳述書を作成するための注意点を,作成の基本方針,記載すべき内容,信用性を高める工夫,記憶やあいまいな記憶・伝聞の扱い,事実と意見の区別,弁護士が関与する際の留意点に分けて整理します。刑事訴訟の供述調書ではなく,民事訴訟の陳述書を対象とします。

目次

第1 陳述書とは何か

1 陳述書の意義(書証としての報告文書)
2 陳述書が果たす機能
3 陳述書の限界(作為の可能性と自由心証)

第2 陳述書作成の基本方針

1 直接体験した生の事実を,時系列で,自分の言葉で書く
2 段落ごとに番号を振り,小見出しを付ける
3 動かしがたい事実をつなぐストーリーを示す

第3 記載すべき内容

1 争点に関係する生の事実と背景事情
2 経歴の記載が必要になる場合
3 重要な事実は一通り書いておく
4 都合の悪い事実はフォローとともに書く
5 分量の目安と提出の時期

第4 信用性を高めるための工夫

(続きを読む...)陳述書作成の注意点(AIリライト)

陳述書の機能及び裁判官の心証形成(AIリライト)

陳述書は,証人尋問や当事者尋問に先立って提出される書面で,民事訴訟の事実認定に大きな役割を果たします。もっとも,反対尋問を経ていない陳述書がどこまで信用されるのか,裁判官はどのように心証を形成するのか,という点は,条文だけを読んでも分かりにくいところです。この記事では,陳述書の機能,反対尋問を経ていない陳述書の証明力,裁判官の心証形成の仕組み,陳述書中心の審理への批判と実務の受け止め方,そして陳述書を作成・活用するときの留意点を,最高裁判例と実務文献に即して整理します。

目次

第1 陳述書の意義と機能

1 陳述書とは何か
2 主要な機能——主尋問の代用・補完と証拠開示
3 その他の機能

第2 反対尋問を経ていない陳述書の証明力

1 証拠能力は当然には否定されない
2 反対尋問前の陳述書の証明力は個別に判断される
3 作成者の属性及び反対尋問の機会

第3 裁判官の心証形成の仕組み

1 動かし難い事実とストーリーの整合性
2 心証は数値で表せない
3 心証形成の時点と「心証のなだれ」

第4 陳述書中心の審理への批判と実務の受け止め

1 陳述書で人証に代える運用への懸念
2 直接主義・口頭主義との緊張と反論

(続きを読む...)陳述書の機能及び裁判官の心証形成(AIリライト)

私文書と陳述書の違い―民事訴訟で証明力を判断する基準(AIリライト)

目次

第1 私文書と陳述書の関係

1 陳述書も私文書の一種である

2 成立の真正と記載内容の信用性は別の問題である

第2 一般に信用性が高い私文書

1 類型的に信用性が高い文書

2 それ以外の一般に信用性が高い文書

3 文書の種類だけで結論は決まらない

第3 最高裁昭和45年11月26日判決

第4 陳述書の証明力

1 陳述書の機能

2 陳述書の信用性を慎重に検討する理由

3 陳述書は個々の供述部分ごとに評価する

(続きを読む...)私文書と陳述書の違い―民事訴訟で証明力を判断する基準(AIリライト)

文書提出命令に関する最高裁判例(AIリライト)

本記事は,民事訴訟法219条,220条及び223条を中心に,文書提出命令に関する主要な最高裁判例を条文・除外事由別に整理し,インカメラ手続,即時抗告,申立人側・所持者側の主張立証及び電磁的記録提出命令の実務上の要点をまとめたものです。判例の結論は,対象文書の作成目的,記載内容,所持に至る経緯,証拠調べの必要性及び開示による不利益等の具体的事情によって異なるため,個別事件への適用に当たっては各事案の判示事情も併せて確認する必要があります。

目次
1 民事訴訟法219条(書証の申出)に関する最高裁判例
2 民事訴訟法220条3号(法律関係文書)に関する最高裁判例
3 除外事由としての民事訴訟法220条4号ロ(公務秘密文書)に関する最高裁判例
4 除外事由としての民事訴訟法220条4号ハ(職務上知り得た事実で黙秘すべきもの,技術又は職業の秘密に関する文書)に関する最高裁判例
5 除外事由としての民事訴訟法220条4号ニ「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に関する最高裁判例
6 除外事由としての民事訴訟法220条4号ホ(刑事事件に係る訴訟に関する書類)に関する最高裁判例
7 民事訴訟法223条1項に関する最高裁判例
8 民事訴訟法223条6項(インカメラ手続)に関する最高裁判例等
9 民事訴訟法223条7項(即時抗告)に関する最高裁判例等
9の2 申立て,反論及び企業秘密保護の実務上の要点
10 文書提出命令に関する下級審判例
11 民事訴訟法の条文
12 関連記事その他
1 民事訴訟法219条(書証の申出)に関する最高裁判例
・ 地方公共団体は,その機関が保管する文書について,文書提出命令の名宛人となる文書の所持者に当たります(最高裁平成29年10月4日決定)。
2 民事訴訟法220条3号(法律関係文書)に関する最高裁判例
(1) 総論
・ 刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書について文書提出命令の申立てがされた場合であっても,当該文書が民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当し,かつ,当該文書の保管者によるその提出の拒否が,民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無,程度,当該文書が開示されることによる被告人,被疑者等の名誉,プライバシーの侵害等の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし,当該保管者の有する裁量権の範囲を逸脱し,又は濫用するものであるときは,裁判所は,その提出を命ずることができます(最高裁平成16年5月25日決定)。
・ 公務員の職務上の秘密に関する文書であって,その提出により公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるものについては,民訴法220条3号に基づく提出義務を認めることはできません(最高裁平成16年2月20日第二小法廷決定・平成15年(許)第48号・集民213号541頁)。
・ 捜査に関して作成された書類の写しが民訴法220条1号所定の引用文書又は同条3号所定の法律関係文書に該当し,当該写しを所持する都道府県による提出の拒否が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものであるときは,裁判所は,その提出を命ずることができます(最高裁平成31年1月22日決定)。
(2) 該当する例
・ 警察官が文書提出命令の申立人の住居等において行った捜索差押えに係る捜索差押許可状及び捜索差押令状請求書は,いずれも,当該警察官が所属し,上記各文書を所持する地方公共団体と文書提出命令申立人との間において,民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当します(最高裁平成17年7月22日決定)。
・ 検察官が被疑者の勾留請求に当たって刑訴規則148条1項3号所定の資料として裁判官に提供した告訴状及び被害者の供述調書は,いずれも,上記各文書を所持する国と上記請求により勾留された者との間において,民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当します(最高裁平成19年12月12日決定)。
・  鑑定のために必要な処分としてされた死体の解剖の写真に係る情報が記録された電磁的記録媒体は,民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当します(最高裁令和2年3月24日決定・令和元年(許)第11号・民集74巻3号455頁)。
・ 10(3)記載の取調べ録音録画記録媒体のうち,申立人に係る刑事事件の公判で取り調べられなかった部分は,民訴法220条3号所定の法律関係文書に該当します。また,その部分が取調べの具体的状況及び内容を立証するのに最も適切で,反訳書面や人証では代替が困難であること,供述者のプライバシー保護について訴訟上の和解で合意されていること,申立人について無罪判決が確定し,他の関係者について捜査又は公判が継続していることもうかがわれないことなどの事情の下では,刑訴法47条に基づく国の提出拒否は,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとされました(最高裁令和6年10月16日第二小法廷決定・令和6年(許)第5号・集民271号147頁)。
3 除外事由としての民事訴訟法220条4号ロ(公務秘密文書)に関する最高裁判例
(1) 総論

(続きを読む...)文書提出命令に関する最高裁判例(AIリライト)

外国送達の方法,送達条約及び公示送達(AIリライト)

目次

第1 外国送達の基本

1 外国送達とは何か

2 国内送達で足りる場合を先に確認すること

3 最初に確認すべき公式情報

第2 外国送達の主な方法

1 領事送達

2 送達条約に基づく中央当局送達

3 民訴条約に基づく指定当局送達

4 外交ルート又は受領国の管轄裁判所等への嘱託

5 送達条約10条(a)の直接郵便送付

第3 国別条件,翻訳及び所要期間

1 ブラジル,フィリピン及びシンガポールの条約加入

(続きを読む...)外国送達の方法,送達条約及び公示送達(AIリライト)

最高裁の既済事件一覧表(民事)―上告・上告受理申立ての月別資料(AI作成)

目次

第1 本記事の掲載対象と,件数表との違い第2 既済事件一覧表(民事の上告事件)1 令和8年2 令和7年3 令和6年4 令和5年5 令和4年6 令和3年7 令和2年8 平成31年→令和元年第3 既済事件一覧表(民事の上告受理申立事件)1 令和8年2 令和7年3 令和6年4 令和5年5 令和4年6 令和3年7 令和2年8 平成31年→令和元年第4 一覧表を読む際の留意点第5 未済事件・行政事件の一覧1 最高裁判所の未済事件一覧表(刑事事件は除く。)2 最高裁判所の既済事件一覧表(行政事件)第6 上告審の説明・掲載資料・関連記事1 従来から掲載している事務処理資料2 その他の関連記事
第1 本記事の掲載対象と,件数表との違い

民事の上告事件及び上告受理申立事件について,最高裁判所の既済事件一覧表を月別に掲載する。
本記事は個別の既済事件の記載を参照するための資料一覧である。資料へのリンクを設けた月と,月名だけを記載した月とを区別されたい。月名のみの表示は,その月の資料を本記事から参照できることを意味しない。
月別の件数や審理期間の集計は最高裁判所事件月表,年別の詳細表は最高裁判所事件統計年表に掲載している。

リンクのない月は本記事に資料を掲載していない月であり,事件がなかったことを意味しない。掲載リンクは平成31年4月から令和8年4月までであり,令和7年12月分並びに令和8年2月分及び3月分へのリンクは掲載していない。

第2 既済事件一覧表(民事の上告事件)
・ 「令和◯年◯月の,最高裁判所の既済事件一覧表(民事の上告事件)」というファイル名です。
1 令和8年
1月分,2月分,3月分,4月分
2 令和7年
1月分,2月分,3月分,4月分,5月分,6月分
7月分,8月分,9月分,10月分,11月分,12月分
3 令和6年
1月分,2月分,3月分,4月分,5月分,6月分
7月分,8月分,9月分,10月分,11月分,12月分
4 令和5年
1月分,2月分,3月分,4月分,5月分,6月分
7月分,8月分,9月分,10月分,11月分,12月分
5 令和4年
1月分,2月分,3月分,4月分,5月分,6月分
7月分,8月分,9月分,10月分,11月分,12月分
6 令和3年
1月分,2月分,3月分,4月分,5月分,6月分
7月分,8月分,9月分,10月分,11月分,12月分
7 令和2年
1月分,2月分,3月分,4月分,5月分,6月分
7月分,8月分,9月分,10月分,11月分,12月分
8 平成31年→令和元年
4月分,5月分,6月分,7月分,8月分,9月分

(続きを読む...)最高裁の既済事件一覧表(民事)―上告・上告受理申立ての月別資料(AI作成)

録音反訳方式による逐語調書―現行法,作成手順及び音声記録の取扱い(AIリライト)

第1 録音反訳方式の意味と本記事の対象

1 現行通達上の定義

2 裁判所の録音と私的録音との区別
3 書記官は法廷の全発言を書き取るのか

第2 民事訴訟における法的根拠と記録方法

1 電子調書の作成と異議

2 録音反訳方式,代替記録及び速記

3 調書記録の省略と簡易裁判所の特則

第3 録音から逐語調書が完成するまで

1 利用の判断と二重録音

2 立会メモ,外部反訳及び書記官の校正
3 尋問では証拠番号・頁・対象箇所を音声でも特定する

第4 「逐語」の意味と反訳基準

(続きを読む...)録音反訳方式による逐語調書―現行法,作成手順及び音声記録の取扱い(AIリライト)

証人が正当な理由なく出頭しなかった場合の取扱い(AIリライト)

目次

第1 証人が正当な理由なく出頭しない場合の取扱い

1 訴訟費用の負担及び過料(民事訴訟法192条)

(1) 制裁の内容
(2) 過料の性質

2 罰金又は拘留(民事訴訟法193条)

(1) 制裁の内容
(2) 刑罰であることの帰結

3 勾引(民事訴訟法194条)

(1) 措置の内容
(2) 要件及び手続

4 鑑定人及び当事者本人尋問との関係

第2 関連記事その他

(続きを読む...)証人が正当な理由なく出頭しなかった場合の取扱い(AIリライト)

訴訟費用とは?いくら・誰が払う・弁護士費用との違い(AIリライト)

目次

第1 訴訟費用の基礎——費目と「弁護士費用は含まれない」こと

1 主な訴訟費用の費目
2 訴訟に必要な費用のすべてが訴訟費用ではないこと
3 100万円の訴訟費用はいくらですか?

第2 令和8年5月の民事裁判IT化で変わった訴訟費用の扱い

1 予納郵券の廃止と郵便費用の手数料一本化
2 手数料の電子納付とオンライン提出義務
3 オンライン申立てと書面申立てで手数料額が異なること

第3 訴えの提起・上訴の手数料と訴額

1 訴額を定めてから手数料を計算する
2 納付方法と手数料の還付

第4 郵便費用と特別送達

1 予納郵券から手数料一本化への移行
2 特別送達の料金(令和6年10月改定)

第5 出頭・尋問と訴訟費用

1 当事者・訴訟代理人の出頭旅費・日当

(続きを読む...)訴訟費用とは?いくら・誰が払う・弁護士費用との違い(AIリライト)

尋問前の心証形成の程度と,尋問による心証形成──民事裁判の心証形成3類型(AIリライト)

民事裁判では,裁判官が証拠調べの結果と口頭弁論の全趣旨をしん酌し,自由な心証によって事実を認定します(自由心証主義。民事訴訟法247条)。そこで実務上しばしば問題になるのが,証人尋問・当事者尋問の前に裁判所はどの程度まで心証を固めているのか,そして尋問によって心証はどのように形成されるのか,という点です。本記事は,この問いを,大阪弁護士会と大阪地方裁判所の懇談会(民事裁判改善に関する若手法曹の懇談会・第21回,平成28年2月9日開催)の議事録に沿って,裁判官の側から示された3つの類型として整理します。

目次

第1 尋問前の心証形成をめぐる問題(総論)
第2 裁判所の心証形成の3類型

1 A類型──動かし難い事実・書証でほぼ心証がとれる事案
2 B類型──尋問前は浮動的で,尋問により心証が変わり得る事案
3 C類型──人証を聞かなければ心証がとれない事案

第3 3類型の割合とその留保
第4 関連記事

第1 尋問前の心証形成をめぐる問題(総論)
証人尋問・当事者尋問が実施されるのは,通常,民事訴訟法164条以下の争点及び証拠の整理手続を経て,争点と証拠が整理された後です。この段階で,裁判所はすでに提出された書証や争いのない事実から一定の心証を得ていることが多く,尋問はその心証を検証し,あるいは補うために行われます。

もっとも,尋問前にどの程度心証が固まっているか,尋問によって心証がどう動くかは,事案によって大きく異なります。懇談会では,この点を裁判官の側から敢えて整理すると,概ね3つの類型に分けられる,という説明がされました。以下では,各類型の内容(第2)と,その割合についての一裁判官の見立て(第3)を紹介します。いずれも一定の類型化であり,個別の事件は複数の要素をあわせ持つことに留意してください。
第2 裁判所の心証形成の3類型
争点整理を終えた段階での心証の固まり方と,尋問が心証形成に果たす役割の違いに着目すると,次の3類型に整理できます。まず全体像を対照し,続いて各類型を説明します。

類型
尋問前の裁判所の心証
尋問の主な役割
典型例

(続きを読む...)尋問前の心証形成の程度と,尋問による心証形成──民事裁判の心証形成3類型(AIリライト)

尋問における留意点――証人・当事者が尋問で気をつけること(AIリライト)

証人尋問や当事者尋問を控えた証人・当事者に向けて,尋問の場での供述のしかたを整理します。主尋問と反対尋問に共通する留意点,反対尋問で特に注意すべき点,証人の態度と供述の信用性の関係,反対尋問をする側の視点までを順に説明します。根拠となる民事訴訟規則の条文は,裁判所ウェブサイトが公開する公式PDFで確認しています。(2019年5月1日公開,2026年7月更新)

目次

第1 尋問に臨む前の心構え
第2 主尋問と反対尋問に共通する留意点

1 質問に対してははっきり答える
2 質問されていないことまで答えない
3 質問の趣旨が分からないときは聞き直す
4 図面の作成・記入を求められることがある

第3 反対尋問で特に気をつけること

1 答えられないことは率直に述べてよい
2 想像で答えない
3 挑発に乗らず,同じ質問には同じ答えを繰り返す
4 文書を示されたら,読んでから答える
5 当事者との利害関係を問われることがある
6 主尋問と反対尋問で態度を変えない

第4 証人の態度と供述の信用性
第5 反対尋問をする側から見た一般的な注意点
第6 関連記事

(続きを読む...)尋問における留意点――証人・当事者が尋問で気をつけること(AIリライト)

民事裁判の宣誓書と宣誓拒絶――証人尋問・当事者尋問の宣誓の仕組み(AIリライト)

民事裁判の証人尋問・当事者尋問では,尋問に先立ち,証人や当事者本人に「宣誓」をさせます。宣誓は,良心に従って真実を述べることを誓わせる手続で,宣誓した者が虚偽を述べれば,証人は偽証罪,当事者本人は過料の対象になります。本記事は,宣誓書の文言と手続,宣誓を拒むことができる場合とその手続(宣誓拒絶),宣誓した後に虚偽を述べた場合の効果を,民事訴訟法・民事訴訟規則・刑法の条文に即して整理します(2026年9月時点の法令によります。証人・当事者本人の宣誓の方式は,令和8年5月21日施行の民事訴訟規則の改正により変わっています。)。

目次

第1 民事裁判の宣誓書とは

1 宣誓の方式――誓う旨を述べる方式と宣誓書
2 証人の宣誓と当事者本人の宣誓――根拠規定の違い

第2 宣誓をさせる場合とさせない場合

1 宣誓が必要的な証人と,宣誓させられない証人
2 尋問の順序と宣誓の位置

第3 宣誓拒絶――拒むことができる場合と手続

1 宣誓を拒むことができる場合
2 拒絶の疎明・裁判・不服申立て
3 宣誓拒絶の実務上の位置づけ

第4 宣誓した後に虚偽の陳述をした場合

1 証人――偽証罪
2 当事者本人――過料

(続きを読む...)民事裁判の宣誓書と宣誓拒絶――証人尋問・当事者尋問の宣誓の仕組み(AIリライト)

証人尋問及び当事者尋問(AIリライト)

目次

第1 証人尋問・当事者尋問とは何か

1 証人尋問と当事者尋問の違い
2 尋問は公開の法廷で行われる

(1) 公開の根拠と趣旨
(2) 公開しなかった場合の効果
(3) 公開の法廷で行われない尋問

第2 尋問前の準備

1 弁護士との打合せと事情聴取
2 尋問の申出(証拠申出書・尋問事項書)
3 尋問で使う文書の提出時期
4 尋問予定時間と出頭の確保
5 当日の服装と持ち物

第3 尋問当日の流れ

1 人定質問と宣誓
2 偽証罪・過料の告知
3 尋問の順序(主尋問・反対尋問・補充尋問)
4 陳述書の成立の真正の確認
5 尋問の雰囲気

(続きを読む...)証人尋問及び当事者尋問(AIリライト)

処分証書及び報告文書とは-意義・具体例・証拠力と最高裁判例(AIリライト)

民事訴訟で提出される文書(書証)は,その記載内容の性質から,処分証書と報告文書に分けられます。両者は証拠としての働きが異なり,とりわけ処分証書は,真正に成立したと認められると,特段の事情がない限り記載どおりの事実が認定されやすいという特徴があります。この記事では,処分証書と報告文書の意義,具体例,証拠力の違いを,最高裁判例と民事事実認定の実務文献に基づいて整理します。現行法令は2026年7月時点のe-Gov法令検索により確認しています。

第1 処分証書と報告文書の区別

1 処分証書の意義

(1) 「よってした」説と「記載した」説
(2) 処分証書の具体例

2 報告文書の意義と具体例

第2 処分証書の証拠力

1 真正に成立すれば原則として記載どおり認定される
2 本人尋問の結果との関係
3 記載どおりに認定されない契約書の類型

第3 報告文書の証拠力

1 領収書等による金員授受の推定
2 弁済を裏付ける複数の書証の評価
3 信用性の高い報告文書と陳述書の違い

第4 契約書の記載をめぐる裁判例

(続きを読む...)処分証書及び報告文書とは-意義・具体例・証拠力と最高裁判例(AIリライト)

証拠説明書の書き方―民事訴訟の書証と立証趣旨の実務(AIリライト)

目次第1 証拠説明書とは1 証拠説明書の意義と根拠条文2 書証と証拠説明書の関係第2 証拠説明書の記載事項1 号証欄2 標目欄3 作成者欄4 作成年月日欄5 原本・写しの別欄6 立証趣旨欄7 記載が望ましいその他の事項第3 立証趣旨の書き方1 立証趣旨に求められること2 具体的な記載例3 避けるべき書き方第4 裁判官から見た証拠説明書1 いつ読まれるか2 控訴審での役割第5 原本・(写し)・写しの区別1 三つの記載の意味2 書証の申出の原則3 写しによる提出が許される場合4 実務上の使い分け第6 証拠の種類別の実務1 電子メール・LINE・SNS2 写真・携行品損害3 動画を記録した媒体(DVD等)4 陳述書5 ウェブページ6 別件の準備書面・上申書・判決書7 USB等の電磁的記録―書証と検証を区別する第7 書証の見せ方の一般的な注意1 書証の該当箇所を特定する2 争点・主要事実・証拠を対応させる3 提出後に証拠の状態を確認する4 書証を出す時期と準備書面での引用第8 参考書式・関連資料第9 出典1 法令2 裁判例3 文献4 ウェブ資料

民事訴訟で書証(文書などの証拠)を提出するときは,証拠説明書を一緒に提出します。この記事では,証拠説明書の意義と根拠条文,号証・標目・作成者・立証趣旨の各欄の書き方,裁判官が証拠説明書をどう使っているか,「原本」「(写し)」「写し」の使い分け,電子メール・動画・陳述書・ウェブページなど証拠の種類ごとの注意点を,条文と実務資料に基づいて整理します。令和8年5月21日に全面施行された民事訴訟手続のデジタル化によって加わった論点,すなわち,証拠を書証として出すか電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べ(民事訴訟法231条の2)として出すかという経路の区別と,電子証拠説明書については,別稿「mints後の証拠説明書」で扱います。証拠を提出した後の申出,採否,取調べ及び記録確認までを含め,2026年9月16日時点の法令・実務に基づく内容です。

第1 証拠説明書とは
1 証拠説明書の意義と根拠条文
証拠説明書とは,提出する書証について,文書の標目(タイトル),作成者,立証趣旨などを一覧にして裁判所と相手方に示す書面です。根拠は民事訴訟規則137条1項です。同項は,文書を提出して書証の申出をするときは,その写しとともに,「文書の記載から明らかな場合を除き,文書の標目,作成者及び立証趣旨を明らかにした証拠説明書」を提出しなければならない,と定めています。

提出時期は書証の申出をするときまでが原則ですが,やむを得ない事由があるときは裁判長の定める期間内に提出すれば足ります(同項ただし書)。相手方への送付は,裁判所を経由せず直接送る「直送」によります。令和6年最高裁判所規則第14号による改正後の同条2項は,写し及び証拠説明書について直送をしなければならないと定めており,「直送をすることができる」とされていた改正前と異なり,直送によるかどうかを当事者が選択する余地はありません。また,委任を受けた訴訟代理人は,写しについても,民事裁判書類電子提出システム(mints)を使用して画像情報を提出することになります(同条3項・4項,民事訴訟法132条の11第1項1号)。戸籍謄本や登記事項証明書のように,標題から証明すべき事実が明らかな文書は証拠説明書を要しないこともありますが,標題から通常推認される事実と異なる事実を立証する目的であれば,立証趣旨を記載しておくべきです。
2 書証と証拠説明書の関係
書証とは,証拠となるべき文書をいいます。民事訴訟規則55条2項は,訴状には,立証を要する事由につき「証拠となるべき文書の写し(以下『書証の写し』という。)」で重要なものを添付しなければならないと定めており,ここから書証が「証拠となるべき文書」を指すことが読み取れます。もっとも同項は,書証そのものを定義した規定ではなく,訴状の添付書類を定めた規定である点に注意が必要です。訴状に添付する重要書証の写しの提出は,規則137条1項の写しの事前提出を兼ねますが,訴状の記載と併せても文書の趣旨が判然としない場合は,原則どおり証拠説明書の提出が求められます。
第2 証拠説明書の記載事項
1 号証欄
証拠には,提出する当事者に応じて頭文字を付け,提出順に番号を付します。民事訴訟では,原告が提出する書証は「甲」,被告が提出する書証は「乙」を頭に付けるのが通例です(独立当事者参加人などが提出するものには「丙」を用います)。準備書面等の文章中では「甲第1号証」などと表記することがあります。

これに対し,改正民事訴訟法適用事件の証拠説明書の号証欄,mintsの証拠番号欄,証拠データ右上及びファイル名では,裁判所の記載要領に従い,英数字を半角とした3桁の「甲001」を用います。文章中の呼称と入力値を区別し,同じ提出データ群の中で「甲1」「甲001」等を混在させないことが重要です。

番号は1つの文書に1つ付すのが原則ですが,関連する文書には枝番号を用います。準備書面等の文章中では「甲第2号証の1」などと表記する一方,証拠説明書,mints,証拠データ右上及びファイル名では「甲002-1」などと記載します。電子メールや会話記録のように一連のやり取りが多数ある場合も,枝番号で区切ると引用や照合がしやすくなります。号証・枝番・ファイル名の具体的な付け方は「mintsで証拠を提出する方法-甲001・枝番・ファイル名・提出前チェック」で説明しています。
2 標目欄
文書の題名を記載します。「実施許諾契約書」という題名の文書であれば「実施許諾契約書」と記載します。同じ題名の文書が複数あるときは,「令和○年○月○日付け実施許諾契約書」のように作成年月日等で特定します。定まった題名がない文書は,「『○○』と題する文書」「『△△』から始まる文書」など,一応の題名や書き出しによって特定します。
3 作成者欄
作成者は,文書に記載された内容どおりの思想を有する主体を指します。実際に文字を書いた人(清書した事務員など)ではなく,その文書の内容が誰の意思・認識を表しているかで判断します。会社の業務として作成された文書であれば会社名義とすることが多いものの,個々の従業員の思想が問題となる場合はその者を作成者とすべき場面もあります。

作成者が複数になる文書には注意が必要です。引用の多い電子メールやLINEなど,発言者が入り混じる文書では,該当部分ごとに作成者を明らかにする必要があります。作成者が分からない中傷ビラのような文書について,作成者欄に「不明」と記載する例が見られますが,そもそもそのような文書を書証として提出できるか,書証ではなく検証物として取り調べを求めるべきかなど,提出の可否・方法をあらかじめ検討しておくべきです。

偽造文書を提出する場合の作成者欄は,立証の目的によって書き方が変わります。当該文書が偽造されたものであるとして偽造の事実そのものを立証するために提出する場合は,偽造された文書の存在を立証すれば足りるため,作成者欄に偽造者名まで記載する必要はありません。これに対し,偽造者自身の意思・思考内容を立証するために提出する場合(例えば民法117条に基づき無権代理人の責任を追及する場合)は,その文書は偽造者の意思に基づいて真正に作成された文書という位置づけになるため,作成者欄に当該偽造者を具体的に特定して記載する必要があります。
4 作成年月日欄
作成年月日は,突き詰めると曖昧になりやすい欄です。会議録のように,会議の数日後に作成されると,会議の年月日と作成の年月日がずれることがあります。書証の作成日が記載されていない場合や,記載があってもそれが真実の作成日でない疑いがある場合には,証拠説明書でその点を明らかにしておくのが望ましいといえます。第三者が作成したウェブページを参考資料として提出する場合で作成日が分からないときは,印刷日を記載しておけば足ります。
5 原本・写しの別欄
提出するのが原本か写しかを記載します。「原本」「(写し)」「写し」の三つの記載は法的な意味が異なり,実務上とくに重要ですので,第5でまとめて説明します。もっとも,裁判所が公表している証拠説明書の書式は,号証・標目・作成年月日・作成者・立証趣旨・備考という欄の構成であり,原本・写しの別の欄はありません。mintsの下では,標目欄に「原本」「写し」を加えるかどうかによって,その号証を書証として取り調べるのか電磁的記録として取り調べるのかを示す扱いになっています(別稿「mints後の証拠説明書」参照)。
6 立証趣旨欄

(続きを読む...)証拠説明書の書き方―民事訴訟の書証と立証趣旨の実務(AIリライト)

尋問の必要性等に関する東京高裁部総括の講演での発言

目次第1 尋問の必要性等に関する東京高裁部総括の講演での発言第2 講演を現在の実務に用いる際の注意1 講演中の数値と制度上の要件を区別する2 尋問によって何を証明するかを具体化する3 尋問の採否に関する裁量とその限界4 不採用を争うために記録しておく事項5 追記部分の出典6 唯一の証拠方法でも,未実施・再尋問・実施障害を区別する第3 関連記事

第1 尋問の必要性等に関する東京高裁部総括の講演での発言
・ 29期の富田善範東京高裁14民部総括判事(当時)は,平成28年2月8日の講演「現代の民事裁判における裁判所の役割」(平成27年度司法研修所特別研究会7(現代社会における法と裁判)2/2参照)において,尋問の必要性等に関して以下の発言をしています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。

1(1) 私は訟務に2回,合計13年行っておりました。現場の法廷に立つ訟務検事としても6年ぐらいはやっております。ですから,国の立場ではありますけれども,当事者の心理といいますか,やり方というものもよく分かるところがあります。
(2)   皆さん御承知のように,民事裁判は,当事者主義によって成り立っており,当事者に主張立証を任せれば自分に有利な主張立証をどんどん出してくるであろうから,当事者主義によって訴訟資料は充実するはずだと,民事訴訟法を習った段階ではそのように理解していました。
   現実はどうかというと,代理人をやってみると分かるのですが,率直に言って,当事者双方は,本来裁判所が審理の対象とすべき証拠のせいぜい2,3割ぐらいしか出してきません。
   その原因は何かというと,明らかに自分に有利な証拠はもちろん出しますが,明確に有利な書証というのはそんなにあるわけではありません。
   多くの資料は,自分にとって有利にもなるが, 不利にもなります。そうすると,少しでも不利になりそうなものは自分からは自主的に出さないのです。これが当事者の心理なのです。
(3)   ですから,訴訟段階で最初に出てくる書証は,客観的資料である登記簿とか,戸籍とかそういうものは出ますし,契約書があれば契約書が出てくる。
   しかし,それ以外のものというのは, なかなか普通の民事事件では出てこないことになります。しかも,事件のポイントになるところは余り書面化されていないことも多いわけです。
(4)   このようなことから,私は,民事裁判はミステリー小説ではないかと思っています。要するにぽつん,ぽつんと書証がありますが,その書証をつなぐものが直接ないのです。
   特に訴訟の最初の段階では余り出てこないものですから,裁判官には事実関係がよく分からないわけです。
   このように書証をつなぐものがはっきりしないとなれば,事件のストーリー,全貌は少しも浮かび上がってこないということになります。
(5)   ある先輩の裁判官は,これをクロスワードパズルと言っておられましたが,いずれにしてもこのミステリー小説のような状態をどう理解し解明していくかというのがなかなか難しいということになります。
   しかも,当事者は事実がどういうものかを知っています。代理人が全部知っているかどうか分かりませんが,当事者は真実というものを知っているわけです。代理人は少なくとも裁判所よりはよく知っています。
   そして,裁判所には分からないと思いますが,当事者同士では共通の事実認識も結構あります。6,7割は少なくとも当事者間で共通の事実認識があって,最後の少しは違ってくるかもしれませんが,代理人も当事者本人から話を聞けば,大体事件の全貌は浮かび上がってきます。
   ところが,これを裁判において,裁判所に説明する段階になると,お互いの見合いになってしまうわけです。
   とりあえず,必要最小限度の主張立証をして,相手の出方を見ながら,ここは反論しなければいけないというところだけは一所懸命反論しますが,それ以外の部分については,自分にとって有利か不利か分からないとなると, 急に身構えて主張立証を出し渋ってしまうのが当事者の心理です。
(6)   このような当事者主義に任せているとどういう結果になるかというと,当事者は一応の主張はするが,非常に資料が乏しく,何でこういう紛争になったのかとか,いろいろな経緯,動機とか背景事情とか,そういったものを余り出してこないことになります。
   そして,現にそういった当事者の主張立証が不足している事件がすごく増えているように思います。
   私は,民事裁判においては,このように当事者だけに主張立証を任せている限りはそうなりやすいことをよく考えておかなければならないと思います。
2(1) 私は,昨年6月に知財高裁から高裁民事部に移りまして,平成21年以来久しぶりに民事事件をやっているのですが,このような統計と歩調を合わせたように,原審で人証を調ぺていない,そして本人尋問すらしていない事件が以前に比べて目立って増えています。
   さらには陳述書すら出ていないという事件も増えております。
(2)   そういう事件では,一審の記録を見ると,書証以外は当事者の主張だけなのです。そうすると,その紛争に至った経緯とか動機とか背景事情は主張の中には少し述べられていますが,証拠上は全くないわけです。
   例えば,契約書はあるが,その契約書の成立等を争っていても,当事者が陳述書を出さないまま終結になっている事件が結構目につきます。
   そうすると,契約書をつくったけれども,これはこういう趣旨だったというようなことについては主張があるだけですので,裁判所の判断は,抽象的にそういう主張を認めるに足る証拠がないとか,あるいはこういう契約書がある以上,そういうことはないはずだとか,そういう判決になっていることが多いのです。
   しかし,そういう事件だと,高裁としては,この事件の実態がよく分からないということになります。その結果,当部の主任裁判官の合議メモでは,事件の経緯が分からないから,主張をやり直させなければならないとか,まずは陳述書を出させ,尋問しなければならないという意見が多くなっております。
   さすがに高裁段階で全部尋問するわけにもいかないので,ー応,事情を聞くために弁論準備や和解にすればいろいろ話をしてくるので,それによって,かなりの事件が和解で終わりますが,それだけではすまないので,今は,月に1,2件は証拠調べをするという状態です。

(続きを読む...)尋問の必要性等に関する東京高裁部総括の講演での発言

最高裁判所に係属した許可抗告事件一覧表(平成25年分以降),及び許可抗告事件の実情

目次
1 最高裁判所に係属した許可抗告事件一覧表
2 毎年度の「許可抗告事件の実情」
3 許可抗告は5日の不変期間内にする必要があること等
4 許可抗告の制度趣旨
5 「法令の解釈に関する重要な事項」の意義
6 判例委員会において取り上げられた判示事項・判決要旨の位置づけ等
7 関連記事その他

* 「(AI作成)平成21年度から令和6年度までの許可抗告事件の分析」も参照してください。
* 申立期間,許可の判断枠組み及び理由書の組立ては,「許可抗告理由書の書き方―5日・14日の期限と『法令の解釈に関する重要な事項』(AI作成)」で整理しています。
* 以下の「許可抗告事件の実情」は,最高裁判所調査官等が執筆した年次論考であり,裁判所の公式見解又は個々の決定理由そのものと同一ではありません。個別事件で援用するときは,法令及び対象決定の原文を優先して確認する必要があります。

1 最高裁判所に係属した許可抗告事件一覧表
(令和時代)
令和 元年分,令和 2年分,令和 3年分,
令和 4年分,令和 5年分,令和 6年分,
令和 7年分,
(平成時代)
平成25年分,平成26年分,平成27年分
平成28年分,平成29年分,平成30年分
* 「最高裁判所に係属した許可抗告事件一覧表(令和3年分)」といったファイル名です。

なんせ許可抗告という握りつぶし制度が…

— ありふれたろいやー (@OrdinaryLaywer) August 11, 2024

2 毎年度の「許可抗告事件の実情」
(1) 以下のとおり判例時報に掲載されています。

(続きを読む...)最高裁判所に係属した許可抗告事件一覧表(平成25年分以降),及び許可抗告事件の実情

民事事件担当裁判官の協議会及び事務打合せの資料

目次
1 民事事件担当裁判官の協議会及び事務打合せの資料
令和6年度分(事務打合せ)
令和5年度分(事務打合せ)
令和4年度分(事務打合せ)
令和3年度分(協議会)
令和2年度分
◯協議会
◯ウェブ会議の方法による事務打合せ
令和元年度分(開催なし。)
平成30年度分(事務打合せ)
平成29年度分(協議会)
平成28年度分(協議会)
平成27年度分(事務打合せ)
平成26年度分(協議会)
2 関連記事その他

1 民事事件担当裁判官の協議会及び事務打合せの資料
* 「令和5年度民事事件担当裁判官等事務打合せ(令和5年9月)協議結果要旨」といったファイル名で掲載しています。
令和6年度分(事務打合せ)
・ 協議結果要旨(令和6年10月)
→ アンケート結果が含まれています。
令和5年度分(事務打合せ)
・ 協議結果要旨(令和5年9月)
・ 協議結果要旨(令和6年2月)
令和4年度分(事務打合せ)
・ 協議結果要旨(令和4年9月)
→ 統計資料が含まれています。
・ 協議結果要旨その1(令和5年2月)
→ 改正民事民事訴訟法に関する事項です。

(続きを読む...)民事事件担当裁判官の協議会及び事務打合せの資料

最高裁判所における民事事件の口頭弁論期日(AIリライト)

第1 最高裁判所の民事口頭弁論の位置付け

1 書面審理が通常であること
2 上告棄却決定,不受理決定及び上告棄却判決の区別
3 口頭弁論期日の指定は破棄の法的な予告ではないこと

第2 口頭弁論期日の指定から期日まで

1 期日の調整及び呼出し
2 答弁書,弁論要旨等の準備
3 民事裁判手続のデジタル化後の注意点

第3 口頭弁論期日で行われること

1 実質的な口頭説明
2 裁判官からの質問
3 口頭弁論後の審議及び判決
4 口頭弁論の意義

第4 口頭弁論を経た上告棄却判決

1 確認できる公表例

(1) 一覧の読み方
(2) 確認例

2 併合事件及び併行事件の結果に関する注意
3 一覧の限界

(続きを読む...)最高裁判所における民事事件の口頭弁論期日(AIリライト)