◯本記事はAIを利用して作成し,裁判所が公表する決定全文及び現行の民事訴訟法を確認して手直ししたものです。
◯以下の記事も参照してください。
・ 平成21年度から令和6年度までの許可抗告事件の分析(AI作成)
・ 最高裁判所に係属した許可抗告事件一覧表(平成25年分以降),及び許可抗告事件の実情
第1 問題の所在
当事者双方が口頭弁論又は弁論準備手続の期日に連続して出頭しなかった場合,民事訴訟法263条後段により,訴えの取下げがあったものとみなされることがあります。
では,2回目の期日に裁判所が審理継続の必要があるとして期日を延期し,新たな期日を指定した場合はどうなるのでしょうか。最高裁判所令和5年9月27日第三小法廷決定(令和4年(許)第21号)は,期日の延期・続行措置がとられたというだけで同条後段の適用が当然に排除されるわけではないことを示しました。
第2 民訴法263条の仕組み
民事訴訟法263条は,双方不出頭等による訴えの取下げ擬制を二つの場面に分けて定めています。
- 前段:当事者双方が口頭弁論又は弁論準備手続の期日に出頭しないなどの場合に,1か月以内に期日指定の申立てをしないとき
- 後段:当事者双方が連続して2回,口頭弁論又は弁論準備手続の期日に出頭しないなどの場合
後段は,2回目の双方不出頭等が生じた時点で問題となります。前段のように,さらに1か月の期日指定申立期間を待つ仕組みではありません。
第3 最高裁令和5年9月27日決定
1 事案の経過
原告は拘置所に収容されている死刑確定者であり,雑誌記事による名誉毀損等を理由として大阪地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起しました。
原告・被告の双方は,適式な呼出しを受けたにもかかわらず,第1回口頭弁論期日と,その次の第2回口頭弁論期日に連続して出頭しませんでした。第2回期日では,期日を延期し,新たな口頭弁論期日を指定する措置がとられました。その後,原告は東京地方裁判所への移送を申し立てました。
2 原審の判断
原審は,第2回期日で審理を継続する必要があるとして期日の延期と新期日の指定がされた以上,その期日は民訴法263条後段の「期日」に当たらず,訴えの取下げがあったとはみなされないと判断しました。そして,移送申立てを認めました。
3 最高裁の判断
最高裁は,民訴法263条後段の趣旨を,双方の連続不出頭等から訴訟追行が不熱心であるとして,訴訟係属の維持が裁判所の効率的な訴訟運営に支障を生ずることを防ぐ点にあるとしました。
その上で,民訴法には,双方が連続して2回出頭しなかった場合に同条後段の適用を排除し,審理を継続する根拠となる規定は見当たらないと指摘しました。したがって,審理継続の必要を理由に期日を延期して新期日を指定する措置がとられても,直ちに同条後段の適用が否定されるわけではなく,同条後段の「期日」の要件を欠くことにもならないとしました。
本件では,双方が第1回・第2回の各期日に出頭せず,訴状の陳述もされていませんでした。また,原告は訴訟代理人を選任しておらず,第2回期日までに選任の具体的見込みがあったとも認められませんでした。最高裁は,原告に主観的な訴訟追行意思が残っていたとしても,双方不出頭により裁判所の訴訟運営に支障が生じているとして,訴えの取下げ擬制を認めました。その結果,原決定を破棄し,原々決定を取り消した上で,訴訟係属を前提とする移送申立てを却下しました。
第4 決定の射程
この決定から直ちに「双方が2回欠席すれば例外なく取下げ擬制になる」と一般化するのは適切ではありません。最高裁は,期日の延期・新期日の指定だけでは直ちに適用が否定されないと述べた上で,本件の具体的事情を検討しています。
実務上は,少なくとも次の点を分けて確認する必要があります。
- 対象が口頭弁論又は弁論準備手続の期日であるか
- 当事者双方について,出頭・弁論・申述のいずれが欠けたのか
- 2回の期日が連続しているか
- 呼出しが適式であったか
- 訴状その他の書面が陳述された扱いになっているか
- 2回目の期日で,単なる延期・続行以外にどのような訴訟行為がされたか
第5 訴訟代理人の提出前・期日前チェック
- 期日簿だけで判断しない。調書で出頭者,陳述・申述の有無,期日の結果を確認します。
- 「延期されたから係属中」と決めつけない。2回目の双方不出頭等が成立した時点で取下げ擬制が生じ得ます。
- 後続申立ての前提を確認する。移送,訴えの変更その他の申立てをする前に,そもそも訴訟係属が維持されているかを点検します。
- 本人訴訟では出頭障害を早めに具体化する。収容,病気その他の事情がある場合,代理人選任の見込みを含め,期日前に具体的な手当てを検討します。ただし,本決定は個々の手当ての適否まで一般的に判示したものではありません。
第6 まとめ
最高裁令和5年9月27日決定の要点は,双方連続不出頭等があった場合,裁判所が審理継続のため期日を延期し新期日を指定しても,それだけで民訴法263条後段の適用が排除されるわけではないという点です。
期日延期の外形ではなく,調書と訴訟経過に基づいて取下げ擬制の要件を確認する必要があります。後続の申立てや判決の前提となる訴訟係属の有無は,代理人側でも独立して点検すべき事項です。
第7 出典と確認範囲
- 一次資料:最高裁判所令和5年9月27日第三小法廷決定(令和4年(許)第21号)全文
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-92395.pdf - 一次資料:e-Gov法令検索「民事訴訟法」263条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=408AC0000000109 - 二次資料:宮端謙一「令和5年度最高裁民事破棄判決等の実情」判例時報2595号
判旨の確認は裁判所公表の決定全文によっています。判例時報2595号は年度集計及び実務上の位置付けの確認に用い,判例秘書は今回検索していません。