第1 国際公法の過去問を探すときの入口
司法試験で国際公法を学ぶ場合の正式な選択科目名は「国際関係法(公法系)」である。本記事は,令和6年~令和8年の第1問・第2問について,ブログに掲載した答案と評価項目の解説を,年度別・論点別に探せるよう整理したものである。
国際公法の意味,国際私法との違い,条約・慣習国際法の基本は,国際公法とは―国際法・国際私法との違いを参照。全科目の年度別の入口は,司法試験の過去問・参考答案一覧にある。
問題文は法務省の公式資料で確認する。ブログの答案,評価項目及び5段階の重み付けは,学習のための独自の整理であり,公式の採点基準・配点・予測得点を示すものではない。
第2 令和6年~令和8年の年度別一覧
| 年度・問題 | 主な論点 | 答案・解説 |
|---|---|---|
| 令和6年・第1問 | 国家承認・自決権・国連の紛争解決 | 模範解答・評価項目 |
| 令和6年・第2問 | 公海衝突・武力の威嚇・国家責任 | 模範解答・評価項目 |
| 令和7年・第1問 | 条約の署名・留保・脱退 | 模範解答・評価項目 |
| 令和7年・第2問 | 国際海峡・国家責任・ITLOS管轄権 | 模範解答・評価項目 |
| 令和8年・第1問 | 外交的保護・犯罪人引渡し・外交官免除 | 参考答案・評価項目 |
| 令和8年・第2問 | 難民・武器供与・ICJ管轄権 | 参考答案・評価項目 |
令和6年と令和7年の記事は,公表された出題の趣旨・採点実感との対応を示している。令和8年の記事は,令和8年9月30日の作成時点で,それらを読まずに問題文と法的資料から作成した参考答案である。各記事の確認範囲と作成時点を確認して読む必要がある。
公式問題PDF:令和6年・選択科目,令和7年・選択科目,令和8年・選択科目
第3 論点別に過去問と個別解説を読む
1 条約法―署名,留保,解釈宣言,脱退
条約法の基本問題をまとめて検討するには,令和7年・第1問が入口となる。署名と条約に拘束されることへの同意を分け,声明の名称だけでなく,法的効果に着目して留保か解釈宣言かを考える。脱退については,条約の規定とウィーン条約法条約上の要件を確認する。
条約と慣習国際法を区別する問題は,令和8年・第2問及びICJ選択条項受諾宣言と留保にもつながる。まず条約上の請求を特定し,別に慣習国際法上の請求が成り立つかを検討する。
2 国家承認,自決権,国連の紛争解決
令和6年・第1問では,国家成立・国家承認と自決権を区別し,安全保障理事会の表決や国連内で利用できる紛争解決の経路を検討する。制度名を並べるだけでなく,当事者,権限,手続上の条件を問題文の事実に対応させることが大切である。
3 海洋法―公海衝突,領海,国際海峡
令和6年・第2問では公海上の衝突後の刑事管轄,令和7年・第2問では海峡の通航制度が問題となる。いずれも,海域,船舶の種類,関係国の条約締約国性を整理してから,適用される規則を確かめる。
個別解説:日本の領海,直線基線,国際海峡の通航制度。
基線の引き方,領海の幅,海峡の通航制度は互いに関連するが,それぞれの判断条件を順に確認する必要がある。
4 国家責任,武力行使,不干渉原則
令和6年・第2問,令和7年・第2問,令和8年・第2問が関連する。適用法,国家への行為の帰属,義務違反,違反後の救済を分けて答案を組み立てる。
武器供与の評価については,ニカラグア事件も参照。反政府勢力の行為が国家に帰属するかという問題と,援助国自身の支援行為が義務違反となるかという問題を混同しないことが必要である。
5 外交的保護,犯罪人引渡し,外交官の免除
令和8年・第1問が関連する。同じ国際的な個人の問題でも,外交的保護を行う国の資格,犯罪人引渡しの義務の根拠,外交官の裁判権免除は別の制度である。
個別解説:外交的保護,犯罪人引渡し,外交官の民事裁判権免除。
国内裁判との接点を確認する場合は,外国国家を被告とする民事訴訟も参照。
6 難民と国際司法裁判所の管轄権
令和8年・第2問では,難民該当性,武器供与の国際法上の評価,ICJの管轄権がそれぞれ問われる。
個別解説:難民条約上の難民,ICJ選択条項受諾宣言と留保。実体法上の義務違反があるかと,裁判所がその請求を審理できるかを分けて検討する。
第4 答案と評価項目の使い方
1 問題文を読んで自分の答案を作る
最初に公式問題を読み,設問ごとの当事者,請求又は反論,前提事実,条約の締約国性を整理する。その上で,自分の答案を作ってからブログの答案・解説と比較するという使い方を提案する。
結論が異なる場合には,結論だけを直すのではなく,採用した規則,事実の評価,例外の要件のどこで分かれたかを確認する。
2 5段階の重みを公式の点数に換算しない
ブログの重み付けは,答案の骨格や評価上の分かれ目を読み取るための整理である。重みの合計を得点とみなしたり,一項目ごとの公式配点に換算したりすることはできない。
令和6年・令和7年の記事では,評価項目と公式資料の対応を確認する。令和8年の記事では,予想される評価項目として読むという違いがある。
3 3年分の論点を出題範囲全体とみなさない
この一覧の対象は令和6年~令和8年の6問である。この期間に取り上げられた論点だけで国際公法の学習範囲が尽くされるわけではない。
法務省のQ&Aは,国際公法の体系に含まれる範囲では国際人権法及び国際経済法も出題範囲から除外されないことを説明している。年度ごとの実施要領・公式案内も確認する必要がある。
参照:法務省・司法試験に関するQ&A
第5 年度別の選択科目記事と公式資料
8科目をまとめて比較する場合は,令和6年の選択科目8科目,令和7年の選択科目8科目,令和8年の選択科目8科目を参照。
国際公法の基礎から確認する場合は,国際公法とは―国際法・国際私法との違いに戻り,必要な個別論点の解説に進める。
本記事は答案を転載したページではなく,既存の答案と解説への索引である。問題文,条約,判例及び公式の出題の趣旨・採点実感の確認先は,各答案記事の資料欄にも示している。