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地方選挙の選挙無効訴訟―異議申出・審査申立ての期限と高裁までの手続(AI作成)

地方選挙の選挙無効訴訟では,国政選挙のように選挙の日から30日以内に直接高等裁判所へ訴えるのではなく,まず選挙管理委員会への異議申出を行う。市町村の選挙では,市町村選挙管理委員会の決定に対する都道府県選挙管理委員会への審査申立てを経る。都道府県の選挙では,都道府県選挙管理委員会の決定に対して高等裁判所へ訴える。この手順と期限を区別することが,最初の確認事項である。

第1 選挙無効と当選無効を区別する

1 本記事が扱う選挙

本記事は,都道府県知事,都道府県議会議員,市町村長及び市町村議会議員の選挙について,選挙の全部又は一部の効力を争う手続を扱う。法令の記述は令和8年10月11日に確認した公職選挙法に基づく。

選挙管理の違法を理由に選挙そのものを争う場合には,公職選挙法202条・203条が問題となる。これに対し,特定の当選人の得票数,無効票の判定,被選挙権などを争う場合には,同法206条・207条の当選の効力に関する争訟を検討する。理由だけで機械的に振り分けず,何の効力を争い,どのような結果を求めるかを確認する必要がある。

2 国政選挙・当選無効訴訟との関係

衆議院議員又は参議院議員の選挙の効力を争う204条訴訟では,選挙の日から30日以内に直接,高等裁判所へ提訴する。地方選挙の異議申出や審査申立てと混同してはならない。国政選挙の原告・被告と一票の格差訴訟は,選挙無効訴訟の総合解説で説明している。

当選の効力を争う場合の期限は,当選の告示を起点とする。選挙の効力を争う202条の選挙日を起点とする期限とは異なる。詳しくは,当選無効訴訟とは―選挙無効訴訟との違い,提訴できる人・期限・手続を参照されたい。

ただし,両制度は完全に切り離されているわけではない。公職選挙法209条は,当選の効力に関する争訟でも,選挙が205条1項の無効要件を満たす場合には,選挙の全部又は一部を無効とすることを定めている。

第2 市町村の選挙―市町村選管,県選管,高裁の順に進む

1 選挙の日から14日以内に異議を申し出る

公職選挙法202条1項により,選挙の効力に不服がある選挙人又は公職の候補者は,選挙の日から14日以内に,文書で,その選挙に関する事務を管理する市町村選挙管理委員会へ異議を申し出ることができる。

電話での相談,苦情のメール,警察への相談又は情報公開請求が,当然にこの法定の異議申出となるわけではない。期限内に所定の申立てとして提出・受領されたことを確認し,提出文書と受領の記録を保管する必要がある。

2 市町村選管の決定に不服なら21日以内に審査を申し立てる

市町村選挙管理委員会への異議申出に対する決定に不服がある者は,202条2項により,決定書の交付を受けた日又は215条による告示の日から21日以内に,文書で,その都道府県の選挙管理委員会へ審査を申し立てることができる。

ここで起点となるのは,最初の選挙の日ではない。決定書の交付日と告示日を確認する必要がある。決定を口頭で聞いた日だけで計算せず,決定書,交付の記録及び告示をそろえて期限を確認する。

3 県選管の裁決に不服なら30日以内に高裁へ提訴する

公職選挙法203条1項により,都道府県選挙管理委員会の裁決に不服がある者は,その都道府県選挙管理委員会を被告として,高等裁判所へ提訴する。出訴期間は,裁決書の交付を受けた日又は215条による告示の日から30日以内である。

203条2項は,選挙の効力に関する訴訟を,都道府県選挙管理委員会の決定又は裁決に対してのみ提起できると定めている。市町村選管の決定から県選管への審査申立てを飛ばして高裁に訴える手順ではない。

第3 都道府県の選挙―県選管の決定から高裁へ進む

1 最初の異議申出は都道府県選管に行う

都道府県知事又は都道府県議会議員の選挙では,選挙の効力に不服がある選挙人又は公職の候補者が,選挙の日から14日以内に,文書で,当該選挙に関する事務を管理する都道府県選挙管理委員会へ異議を申し出る。

202条2項の審査申立ては,市町村選管に異議を申し出た場合の制度である。県選管がした異議申出の決定について,もう一度県選管への審査申立てを行う段階はない。

2 県選管の決定に対する出訴期間は30日である

県選管の決定に不服がある者は,県選管を被告として,決定書の交付を受けた日又は215条による告示の日から30日以内に,高等裁判所へ訴える。

管轄は公職選挙法217条により,当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会の所在地を管轄する高等裁判所の専属管轄である。地方裁判所を第一審とする通常の行政訴訟とは異なる。

3 二つの経路と期限の一覧

段階市町村の選挙都道府県の選挙
最初の異議申出選挙日から14日以内に市町村選管へ文書提出選挙日から14日以内に県選管へ文書提出
審査申立て市町村選管の決定書交付日又は告示日から21日以内に県選管へこの段階はない
高裁への提訴県選管の裁決書交付日又は告示日から30日以内県選管の決定書交付日又は告示日から30日以内
高裁訴訟の被告都道府県選挙管理委員会都道府県選挙管理委員会

表の「県選管」には,東京都,北海道,大阪府及び京都府の選挙管理委員会も含む。決定書等の交付と告示のどちらかを自由に選んで期限を延ばせるという意味ではない。実際の交付・告示の状況,起算及び末日の取扱いを確認し,余裕をもって手続を行う必要がある。

第4 違反があれば必ず選挙が無効になるわけではない

1 205条の二つの要件

公職選挙法205条1項による無効には,選挙の規定に違反することがあることと,その違反が選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあることの双方が必要である。無効の範囲は,選挙の全部又は一部となる。

最高裁昭和27年12月4日第一小法廷判決は,選挙管理機関が管理執行手続の明文の規定に違反した場合,又は明文の規定がなくても選挙の自由公正が著しく阻害された場合を問題とした。同事件では,投票記載場所に候補者名の書かれた紙片が置かれていたことなどから無効とした原判決について,推認と法解釈の誤りを理由に破棄差戻しとしている。紙片があったという事実だけで無効が確定した判例ではない。

2 選管が候補者の政見に介入した裁判例

最高裁昭和51年9月30日第一小法廷判決は,昭和50年の加須市長選挙について,選管が候補者のポスターの政見部分を消すよう求めた行為を扱った。規格違反を是正する権限と,候補者の政見内容に介入することを区別し,後者が選挙の自由公正を著しく阻害したと判断した。

候補者間の得票差は6000票あったが,最高裁は,結果が変わることの確実性までは必要とせず,その可能性があれば足りるとした。上告を棄却し,選挙を無効とした原審の結論を維持している。この判例は当該事実関係についての判断であり,現在の個別の選挙に同じ結論が当然に当てはまるわけではない。

3 違反と結果への影響を対応させて主張する

申立てでは,違反した法規又は自由公正を損なう具体的行為,行為者,日時,場所,対象となった有権者・投票・候補者及び結果への影響を整理する。候補者や運動員に違反の疑いがあると述べるだけで,205条の二つの要件を満たすとは限らない。

一部無効の場合には,当選に異動を生ずるおそれのない者を区分できるとき,205条2項により,その者に限り当選を失わない旨も決定・裁決・判決する。選挙に問題があることと,全員が直ちに当選を失うことも同一ではない。

第5 申立て後の効力,処理期間及び準備資料

1 処理の目標期間は申立人の期限を延長しない

公職選挙法213条は,異議申出の決定を申出から30日以内,審査申立ての裁決を受理から60日以内,訴訟の判決を事件受理から100日以内にするよう努めるものと定めている。訴訟については,他の訴訟の順序にかかわらず速やかに裁判するものとされる。

これらは処理に関する努力義務であり,14日・21日・30日の申立期限や出訴期間を延長する規定ではない。情報公開の回答や資料の収集を待っているだけで,法定の期限が停止するわけでもない。

2 争訟の提起だけでは執行は停止しない

公職選挙法214条により,異議申出,審査申立て又は訴訟の提起があっても,処分の執行は停止しない。提訴したという理由だけで,直ちに当選者が職を失う制度ではない。

無効の結論が再選挙や当選人の決定にどうつながるかは,全部無効か一部無効か,議員の選挙か長の選挙か等によって異なる。長の再選挙は公職選挙法109条,地方議会議員の再選挙は同法110条などの規定と対応させて確認する必要がある。

3 最初の相談時にそろえる資料

まず,選挙名,選挙期日,争う効力,申立人の選挙人又は候補者としての資格,現在の手続段階を整理する。決定書・裁決書,交付を確認できる記録,告示,提出済みの申立書及び受領の記録は,期限と手続の確認に必要である。

違反に関する写真・動画・文書・選管からの指示,撮影・作成日時,関係者の説明,投開票に関する記録,候補者別得票数,影響を受けた範囲などを保管する。現認した事実,伝聞及び推測を分け,資料が何を示すかを説明できるようにする。資料が不足している場合でも,収集の完了を待つ前に法定期限を確認する必要がある。

第6 よくある質問

1 落選した候補者しか異議を申し出られないのか

選挙の効力を争う202条1項は,選挙人又は公職の候補者による異議申出を認めている。国政選挙の当選無効訴訟を定める208条の原告適格と混同しないことが必要である。

2 市町村選管を被告にして高裁へ訴えるのか

203条訴訟の被告は,都道府県選挙管理委員会である。市町村の選挙でも,県選管の裁決に対して訴える。この点は,最初の異議申出の相手方が市町村選管であることと区別される。

3 選挙の日から30日以内なら間に合うのか

地方選挙の最初の異議申出は,選挙の日から14日以内である。高裁への30日の出訴期間は,県選管の決定書又は裁決書の交付日又は告示日を起点とする。国政選挙の204条訴訟の30日を地方選挙の最初の申立てに当てはめてはならない。

第7 出典・関連記事

1 法令及び裁判例

公職選挙法202条,203条,205条,209条,213条から217条,109条及び110条。

最高裁昭和27年12月4日第一小法廷判決・全文(2頁。205条の判断枠組み及び破棄差戻しの理由)。

最高裁昭和51年9月30日第一小法廷判決・全文(8頁。選管の政見介入と結果に異動を及ぼすおそれ)。

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