林地開発許可に関する行政法の問題について,設問の前提を守った模範解答と53項目の評価表を示す。条文,判例の役割及び具体的事実のつながりを確認するための学習用記事である。
第1 この記事の対象と結論
本記事は,令和4年司法試験公法系科目第2問(行政法)を対象とする。法務省の出題の趣旨及び採点実感から独自に53項目を抽出し,5段階の重み付けと模範解答を示す。法務省が公表した項目別採点基準や配点ではない。
答案では,Eの原告適格を否定し,Fの原告適格を肯定する。工事完了後の訴えの利益は,監督処分の相手方に関する限定解釈により否定する。設問2では,Fの違法主張と県の反論を対置し,同意者数と所有面積,認定時の協議・配慮義務及び水確保要件を検討する。
重み5は12項目で,公開表の番号1・5・7・22・23・24・32・35・37・44・46・50である。適用条件と許容される別構成は第4及び第5の解説で示す。
第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方
一つの項目には一つの判定対象を置いた。出題の趣旨は核となる設問構造や法的構成,採点実感は答案の深度と誤りの回避を確認する資料として用いる。表の「必須」「高評価」「負例」「許容分岐」は,重みの数字と独立した区分である。負例は誤った記載の回避を示し,許容分岐は採った構成に応じて適用する。
根拠欄はPDFの通し頁と該当する見出しを示す。「記載なし」は対象関連範囲を実読した結果を意味する。短い根拠語句は抽出文字列と照合した。原告適格についての出題の趣旨3頁は,平成13年判決と森林法各規定からE・Fを検討する指示であり,各具体的規範の評価単位への分解は本記事の分析である。
2 5段階の重み付けの基準
| 重み | 判断基準 |
|---|---|
| 5 | 採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの |
| 4 | 出題の趣旨が検討を求め,採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項 |
| 3 | どちらか一方が明示する中核の理由付け |
| 2 | 一方が軽く触れる補強又は典型的な誤り |
| 1 | 一方が控えめに触れるだけの事項 |
本問の重み4は「両資料が取り上げた」ことを基準とし,すべてを「高く評価した事項」とは表示しない。各段階の件数割当ては行わない。重み5も,条件付きの構成を全答案に要求する意味ではない。
第3 本問の概要
Aは台地状のD山の山頂から中腹にわたる200ヘクタールを造成し,自動車の研究開発・試験施設等を設置する。区域の98%はA,2%はEの所有林であり,E所有林には住民の生活用水用の貯水池も予定される。Eは30キロメートル離れた市外に居住し,D山を水源とする水道水を使わない。Fは200メートル下流の沢沿いに居住し,沢水を飲用・生活用水に使い,過去に浸水被害を受けた。
C市はAの説明会等を契機に水道水源保護条例を制定し,水源保護地域を指定した。Aの申請後に市長が施設を規制対象事業場と認定した。県法務室長の立場から,許可後の取消訴訟における訴訟要件とFの違法主張への反論を検討する。設問1⑴・1⑵・2の公式配点割合は40:20:40である。
設問1⑵はEの同意とFの原告適格を前提とする。設問2では森林法10条の2第2項1号・1号の2の本案基準及び行訴法10条1項の主張制限を論じない。規則・許可基準は適法とし,C市認定が違法で取り消されるべきなら基準②適合となるという前提を守る。
第4 評価項目と重み
1 設問1⑴ E・Fの原告適格
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 自己の権利又は法律上保護された利益の侵害・必然的侵害のおそれという原告適格の定式を示す。【必須】 | 5 | 3頁・公法系第2問(行政事件訴訟法第9条に基づき) | 6頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑴設問1⑴(第9条第1項及び第2項を踏まえ) |
| 2 | 不特定多数者の具体的利益を各人の個別的利益としても保護する法規の趣旨を検討する。【必須】 | 4 | 3頁・公法系第2問(行政事件訴訟法第9条に基づき) | 8頁・公法系第2問・4 採点実感⑵設問1⑴(「不特定多数者の具体的利益を」との記載が欠けている) |
| 3 | 行訴法9条2項に従い法令の趣旨目的・利益の性質・被害態様程度を参酌する。【必須】 | 4 | 3頁・公法系第2問(行政事件訴訟法第9条に基づき) | 6頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑴設問1⑴(第9条第1項及び第2項を踏まえ) |
| 4 | 根拠法の各号の文理から検討を始め,関係法令の検討で代替しない。【必須】 | 3 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 8頁・公法系第2問・4 採点実感⑵設問1⑴(森林法第10条の2第2項各号の文理等に注目) |
| 5 | 森林法10条の2第2項1号の災害防止機能と生命身体の個別保護を論証する。【必須】 | 5 | 3頁・公法系第2問(E及びFのそれぞれについて原告適格の存否を検討) | 8頁・公法系第2問・4 採点実感⑵設問1⑴(生命身体の安全と財産権を区別せずに記載) |
| 6 | 同項1号の2の水害防止機能と生命身体の個別保護を論証する。【必須】 | 4 | 3頁・公法系第2問(E及びFのそれぞれについて原告適格の存否を検討) | 8頁・公法系第2問・4 採点実感⑵設問1⑴(生命身体の安全と財産権を区別せずに記載) |
| 7 | 災害水害による生命身体の安全と土地・立木の財産権を区別する。【必須】 | 5 | 3頁・公法系第2問(E及びFのそれぞれについて原告適格の存否を検討) | 8頁・公法系第2問・4 採点実感⑵設問1⑴(生命身体の安全と財産権を区別せずに記載) |
| 8 | Fの下流200メートルでの居住・過去浸水・大規模造成を直接被害のおそれに結び付ける。【高評価】 | 4 | 3頁・公法系第2問(E及びFのそれぞれについて原告適格の存否を検討) | 6頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑴設問1⑴(D山を水源とする水道水の不使用等の事実) |
| 9 | Eの30キロメートル離れた居住を生命身体への直接被害の範囲から評価する。【高評価】 | 4 | 3頁・公法系第2問(E及びFのそれぞれについて原告適格の存否を検討) | 6頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑴設問1⑴(D山を水源とする水道水の不使用等の事実) |
| 10 | 平成13年判決の立木所有者についての財産権保護否定をEに適用する。【必須】 | 3 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 8頁・公法系第2問・4 採点実感⑵設問1⑴(生命身体の安全と財産権を区別せずに記載) |
| 11 | Eの区域内所有権と施行規則4条2号の同意要件の関係を検討する。【許容分岐】(区域内同意要件を取り上げる場合) | 3 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 9頁・公法系第2問・4 採点実感⑵設問1⑴(私法上の権原に何ら影響を及ぼすものではない) |
| 12 | 相当数同意書の目的を施行見込み・事業実現可能性の確認として説明する。【高評価】 | 3 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 9頁・公法系第2問・4 採点実感⑵設問1⑴(事業の実現可能性を確認し) |
| 13 | 開発許可が区域内の私法上の権原を剥奪・制限・付与しないことを説明する。【必須】 | 3 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 9頁・公法系第2問・4 採点実感⑵設問1⑴(私法上の権原に何ら影響を及ぼすものではない) |
| 14 | 平成13年判決による2号の水確保利益の公益保護判断を示す。【必須】 | 3 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 8頁・公法系第2問・4 採点実感⑵設問1⑴(生活用水として本件沢の水を利用する利益が何の利益に当たるか) |
| 15 | Fの飲料水・生活用水利用を生命健康等の具体的利益として位置付け判決射程を検討する。【高評価】 | 3 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 8頁・公法系第2問・4 採点実感⑵設問1⑴(生活用水として本件沢の水を利用する利益が何の利益に当たるか) |
| 16 | 沢の流水利用と水道水利用を完全に同じ利益として扱わない。【負例】 | 2 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 8頁・公法系第2問・4 採点実感⑵設問1⑴(本件沢の流水を用いることと水道水を使用することを、完全に同じ利益) |
| 17 | EがD山を水源とする水道水を使用しない事実を水確保利益の侵害可能性に反映する。【高評価】 | 4 | 3頁・公法系第2問(E及びFのそれぞれについて原告適格の存否を検討) | 6頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑴設問1⑴(D山を水源とする水道水の不使用等の事実) |
| 18 | 1号の「周辺の地域」と1号の2・2号の「依存する地域」の保護範囲の相違を論ずる。【高評価】 | 3 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 6頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑴設問1⑴(「周辺の地域」と同項第1号の2及び第2号所定の「依存する地域」の相違) |
2 設問1⑵ 工事完了後の訴えの利益
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 19 | 取消訴訟の目的と取消しによって回復すべき法律上の利益を説明する。【必須】 | 4 | 3頁・公法系第2問(開発許可の法効果など、法の仕組みを踏まえ) | 6頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑵設問1⑵(取消訴訟の目的、訴えの利益の意義) |
| 20 | 昭和59年判決の建築確認による工事禁止解除の効果を示す。【必須】 | 4 | 3頁・公法系第2問(最判昭和59年10月26日) | 9頁・公法系第2問・4 採点実感⑶設問1⑵(なぜ本件も最高裁昭和59年判決と同様の帰結となるのか) |
| 21 | 昭和59年判決の完成後検査・是正命令と確認取消しの独立関係を示す。【高評価】 | 4 | 3頁・公法系第2問(最判昭和59年10月26日) | 9頁・公法系第2問・4 採点実感⑶設問1⑵(なぜ本件も最高裁昭和59年判決と同様の帰結となるのか) |
| 22 | 森林法10条の2第1項の許可の効果と工事完了による目的達成を説明する。【必須】 | 5 | 3頁・公法系第2問(開発許可の法効果など、法の仕組みを踏まえ) | 6頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑵設問1⑵(取り消された場合の効果及び監督処分の可否との関連) |
| 23 | 森林法10条の3の監督処分の要件を開発許可取消し後の効果と接続する。【必須】 | 5 | 3頁・公法系第2問(開発許可の法効果など、法の仕組みを踏まえ) | 6頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑵設問1⑵(取り消された場合の効果及び監督処分の可否との関連) |
| 24 | 取消しが監督処分に必要か,不要か,取消しても不能かを論理的に区別する。【高評価】 | 5 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 9頁・公法系第2問・4 採点実感⑶設問1⑵(開発許可を取り消したとしても監督処分はできないのか) |
| 25 | 10条の3の違反者を行為時の無許可開発者に限定し取消後も無許可行為化しないと論ずる。【許容分岐】(限定解釈を採る場合) | 3 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 6頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑵設問1⑵(無許可の開発行為者と限定的に理解) |
| 26 | 10条の2第1項・第2項を一体的に解し取消しなしの監督処分を論ずる。【許容分岐】(一体解釈を採る場合。25番と択一) | 3 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 6頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑵設問1⑵(同法第10条の2第1項と第2項を一体的に捉え) |
| 27 | 平成7年判決の結論を法の仕組みに基づく理由付けにより明確化する。【必須】 | 4 | 3頁・公法系第2問(開発許可の法効果など、法の仕組みを踏まえ) | 9頁・公法系第2問・4 採点実感⑶設問1⑵(なぜ本件も最高裁昭和59年判決と同様の帰結となるのか) |
| 28 | 物理的に元に戻せないことだけから訴えの利益を否定しない。【負例】 | 2 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 9頁・公法系第2問・4 採点実感⑶設問1⑵(工事が完了すれば事実上元に戻すことができない) |
| 29 | 本案上の違法・取消必要性だけから訴えの利益を肯定しない。【負例】 | 2 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 9頁・公法系第2問・4 採点実感⑶設問1⑵(本案の問題と訴えの利益を混同) |
| 30 | 事情判決を訴えの利益消滅の理由に用いない。【負例】 | 2 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 9頁・公法系第2問・4 採点実感⑶設問1⑵(事情判決は本案判決であり) |
| 31 | 行訴法9条1項括弧書だけが訴えの利益を規定すると限定しない。【負例】 | 2 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 9頁・公法系第2問・4 採点実感⑶設問1⑵(同項括弧書だけが訴えの利益を指すと誤解) |
3 設問2 Fの違法主張と県の反論
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 32 | 専門技術的判断・公益考慮・森林の保続培養から知事の裁量の根拠を示す。【必須】 | 5 | 3頁・公法系第2問(公益を考慮しつつ、専門技術的判断を基礎とする) | 7頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑶設問2(開発許可が裁量処分に当たるか及びその場合の違法判断基準) |
| 33 | 裁量権逸脱濫用を違法判断基準として提示する。【必須】 | 4 | 3頁・公法系第2問(公益を考慮しつつ、専門技術的判断を基礎とする) | 7頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑶設問2(開発許可が裁量処分に当たるか及びその場合の違法判断基準) |
| 34 | 許可基準を行政手続法5条の公表された審査基準と位置付ける。【必須】 | 4 | 4頁・公法系第2問(森林法施行規則第4条第2号に規定する「相当数の同意」) | 7頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑶設問2(審査基準(行政手続法第5条)として公表されたもの) |
| 35 | 合理的な不適用理由がない限り公表審査基準に自己拘束されると説明する。【必須】 | 5 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 10頁・公法系第2問・4 採点実感⑷設問2(これを適用しない合理的理由がない限り行政機関を拘束する) |
| 36 | 規則・許可基準が適法という設問の前提を維持する。【負例】 | 2 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 10頁・公法系第2問・4 採点実感⑷設問2(本件許可基準が適法であることを前提) |
| 37 | 面積考慮を施行規則4条2号の「相当数の同意」の文言解釈として検討する。【必須】 | 5 | 4頁・公法系第2問(森林法施行規則第4条第2号に規定する「相当数の同意」) | 10頁・公法系第2問・4 採点実感⑷設問2(森林法施行規則第4条第2号の「相当数の同意」の文言解釈) |
| 38 | 権利者2者,人数3分の2及び残余同意見込みから基準①不適合のFの主張を示す。【必須】 | 4 | 4頁・公法系第2問(森林法施行規則第4条第2号に規定する「相当数の同意」) | 7頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑶設問2(開発許可が裁量処分に当たるか及びその場合の違法判断基準) |
| 39 | Aの所有面積98%・Eの2%を基準不適用の合理的理由として県側から検討する。【必須】 | 4 | 4頁・公法系第2問(開発区域内でAの所有林が占める面積の割合をも考慮) | 10頁・公法系第2問・4 採点実感⑷設問2(森林法施行規則第4条第2号の「相当数の同意」の文言解釈) |
| 40 | Eとの協議状況とE所有地の貯水池等の役割から事業完了見込みを具体的に評価する。【高評価】 | 3 | 4頁・公法系第2問(開発区域内でAの所有林が占める面積の割合をも考慮) | 記載なし(本問関連範囲を実読) |
| 41 | C市認定による土地使用制限と基準②不適合をFの違法主張として示す。【必須】 | 4 | 4頁・公法系第2問(本件許可基準第1-1-②を満たしていない) | 10頁・公法系第2問・4 採点実感⑷設問2(Fの主張とB県の反論の内容を取り違えている) |
| 42 | 認定違法は県側の反論であり,Fの主張と逆転させない。【負例】 | 2 | 4頁・公法系第2問(本件許可基準第1-1-②を満たしていない) | 10頁・公法系第2問・4 採点実感⑷設問2(Fの主張とB県の反論の内容を取り違えている) |
| 43 | 認定が取消されるべきなら基準②適合という前提と県の過去運用に沿って検討する。【必須】 | 3 | 4頁・公法系第2問(B県の運用を踏まえた検討も求められる) | 記載なし(本問関連範囲を実読) |
| 44 | 平成16年判決に沿い重大な権利制限ゆえに協議が重要な手続であると説明する。【必須】 | 5 | 4頁・公法系第2問(最判平成16年12月24日) | 10頁・公法系第2問・4 採点実感⑷設問2(協議等の手続の重要性や配慮義務) |
| 45 | 市が既に進行する事前手続を知って条例を制定した経緯を配慮義務の根拠にする。【高評価】 | 4 | 4頁・公法系第2問(最判平成16年12月24日) | 7頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑶設問2(Aの地位を不当に害することのないよう配慮すべき義務) |
| 46 | 取水量の限定等を促して事業者の地位を不当に害さない配慮義務を示す。【必須】 | 5 | 4頁・公法系第2問(最判平成16年12月24日) | 7頁・公法系第2問・3 答案に求められる水準⑶設問2(Aの地位を不当に害することのないよう配慮すべき義務) |
| 47 | 主張を言い合っただけ・計画阻止意図・協力で枯渇回避可能という事実を配慮義務違反へ当てはめる。【高評価】 | 4 | 4頁・公法系第2問(最判平成16年12月24日) | 10頁・公法系第2問・4 採点実感⑷設問2(協議等の手続の重要性や配慮義務) |
| 48 | 狙い撃ち又は余目町事件型の行政権濫用だけで認定の違法を処理しない。【負例】 | 2 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 10頁・公法系第2問・4 採点実感⑷設問2(余目町個室付浴場業事件) |
| 49 | 本件認定の処分庁をC市長としB県知事と取り違えない。【負例】 | 2 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 10頁・公法系第2問・4 採点実感⑷設問2(B県知事が本件認定を行ったと事実関係を誤認) |
| 50 | 容量不足を森林法10条の2第2項2号の著しい支障及び基準4-1の両方に接続する。【必須】 | 5 | 4頁・公法系第2問(水確保要件及び本件許可基準第4-1の規定内容) | 10頁・公法系第2問・4 採点実感⑷設問2(法第10条の2第2項第2号及び本件許可基準第4-1) |
| 51 | 水利用実態・必要水量・代替措置の適切さを県の反論に即して論ずる。【必須】 | 4 | 4頁・公法系第2問(水確保要件及び本件許可基準第4-1の規定内容) | 10頁・公法系第2問・4 採点実感⑷設問2(法第10条の2第2項第2号及び本件許可基準第4-1) |
| 52 | 要求容量の技術的困難と過大な費用を水確保要件の解釈適用・裁量審査に位置付ける。【必須】 | 3 | 4頁・公法系第2問(技術的制約とそれに要する費用の問題等) | 記載なし(本問関連範囲を実読) |
| 53 | 法と基準の検討なしに単に裁量逸脱で違法とする結論で終えない。【負例】 | 2 | 記載なし(本問関連範囲を実読) | 10頁・公法系第2問・4 採点実感⑷設問2(法第10条の2第2項第2号及び本件許可基準第4-1) |
4 答案全体
以下は重みを付さない一般的な指摘であり,53項目の集計には含めない。採点実感6~7頁及び11頁が重視するのは,会議録の指示に従った分析,正確な基礎概念・判例理解,具体的事実の評価及び端的な論理的表現である。設問2では県側の反論まで回収し,原告適格だけに紙幅を使い切らない。
判読できる文字で書き,「訴訟係属中」,条・項・号の表記を正確にする。森林法10条の2第2項1号の2を2号,同項2号を3号と取り違えない。法令の長い書写や事実の羅列にとどめず,規範と当てはめを区別する。共同の反対意見を根拠なく各人の個別主張へ分解しない。
5 重みの分布
重み1は0項目,2は10項目,3は13項目,4は18項目,5は12項目である。総数は53項目,重みの単純合計は191である。この合計は公式得点,難易度又は合格可能性を意味しない。
重み5の割合は12/53で約22.6%である。令和8年度の主要7科目ハブと同じく,重み5の件数や割合を他年度にそろえるための調整はしていない。一項目に一つの判定対象を置き,答案の骨格又は評価の分かれ目に当たるかによって判断する。本問は公表済みの出題の趣旨・採点実感から抽出したものであり,公式資料公表前の予想とは根拠と項目の作り方が異なる。重み5の高評価事項や条件付きの構成を,全答案への累積必須事項としない。
重み5の1番は原告適格の定式,5番は災害防止と生命身体,7番は生命身体と財産の区別,22番は許可効果,23番は監督処分との接続,24番は取消しの必要・不要・不能の関係,32番は裁量の根拠,35番は審査基準の自己拘束,37番は「相当数の同意」の文言解釈,44番は協議の重要性,46番は配慮義務,50番は水確保の法定要件と基準の両方を検討する骨格である。24番は比較の深度に関する高評価項目であり,すべての構成を枠内答案へ累積記載する要求ではない。
第5 模範解答
1 答案の前提と表記
試験実施日である令和4年5月11日当時の法令・判例を基準とし,配付法令と会議録の仮定を用いる。答案は約5500字である。Eの適格否定とFの肯定,工事完了後の訴えの利益否定を採る。生活用水に関する判決の射程及び監督処分の別解は解説で区別する。
2 答案
1 設問1(1)について
(1) 判断枠組み
取消訴訟の原告適格は,処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に認められる(行政事件訴訟法9条1項)。これは,当該処分により自己の権利又は法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。法令が不特定多数者の利益を一般的公益に吸収するにとどめず,各人の個別的利益としても保護している場合には,その利益も法律上保護された利益に含まれる。
E及びFは許可の相手方ではないから,同条2項により,森林法の文言だけでなく,趣旨・目的,目的を共通にする関係法令,違法な許可により害される利益の内容・性質,侵害の態様・程度を考慮する。実際の被害発生や許可の本案上の違法まで,原告適格の段階で証明する必要はない。
(2) 災害・水害による生命,身体の安全
森林法10条の2第2項1号及び1号の2は,森林の災害防止及び水害防止機能からみて,周辺地域又は当該機能に依存する地域に災害・水害を発生させるおそれがある場合の許可を禁じている。大規模な造成や伐採により災害が起これば,開発区域に近接する一定範囲の住民に直接被害が及ぶ。その利益は生命,身体の安全という重大なものであり,被害の及ぶ範囲も地形や河川との位置関係から特定できる。したがって,両号は森林の公益的機能の維持とともに,直接被害が予想される地域に居住する者の生命,身体の安全を個別的利益として保護する。最判平成13年3月13日もこのように解している。
Fは開発区域の外縁から200メートル下流の沢沿いに居住し,過去の集中豪雨で住居が浸水している。200ヘクタールに及ぶ山林の伐採,盛土・切土は地盤の安定と保水力を低下させ,工事も長期に及ぶ。従前にも水害があった地域であることは,開発による危険の増加を否定する事情ではなく,Fへの直接被害の可能性を基礎付ける。数十年に一度の豪雨でも生命身体への被害は重大であるから,Fの原告適格は肯定される。
また,1号の「周辺の地域」は開発する森林との地理的な近接性に着目するのに対し,1号の2の「依存する地域」は森林の水害防止機能に依存する水系等の関係から定まる。単なる距離だけで一律に画するものではなく,近接していなくても機能に依存する地域が含まれ得る。Fは沢の下流で過去に浸水しており,いずれの観点からも保護範囲に入る。
これに対し,EはD山から30キロメートル離れた市外に居住しており,その居住地に災害が直接及ぶ事情は示されていない。開発区域外の土地の土砂流失や立木の育成悪化は財産上の被害であり,居住者としての生命身体の利益と同一ではない。同判決は周辺の立木所有者について,両号が財産権まで個別的に保護するとは解していない。したがって,この点からEの原告適格は認められない。
(3) Eの開発区域内の所有権と同意
もっとも,Eは単なる周辺立木所有者と異なり,開発区域の2パーセントを所有し,そこでは伐採や貯水池の設置が予定される。施行規則4条2号は開発を妨げる権利を持つ者の相当数の同意を証する書類を要求し,許可基準も残余の権利者の同意見込みを要求する。この点から,区域内所有者の権利保護を含むと解してEの適格を肯定する余地はある。
しかし,これらの同意要件は,開発行為が確実に完了することを確保し,途中放置による森林機能の毀損を防ぐ趣旨である。全員の同意を許可要件とせず,相当数で足りるとする点も,許可そのものが各所有者の権利処分を代替する制度でないことを示す。許可を受けてもAにEの土地を使用する私法上の権原が生じるわけではなく,Eは所有権に基づいて無断の伐採等を拒むことができる。同意手続が財産権を個別に保護するという解釈は可能であるものの,許可による直接の権利侵害と公益的な事業確実性審査を区別すべきであり,本件ではこれを根拠としたEの適格も否定する。
(4) 水の確保に関する利益
同項2号は,水源かん養機能に依存する地域の水の確保に著しい支障を及ぼすおそれを審査する。平成13年判決は,同号が水確保という公益的見地から審査する規定であり,周辺住民等の個別的利益を保護する趣旨を含まないと判示している。その事案の取水者は農業を営む者であった。ただし,Fは沢の水を飲料水・生活用水として利用しており,単なる農業上の経済利益と異なって生命健康に直結する。2号の「依存する地域」は水源かん養機能への依存関係によって定まる。Fは水道による間接的給水ではなく,開発区域から流れる沢の水を直接飲用等に用いる。水源枯渇がその生命健康に及ぼす具体的な危険を踏まえ,同判決の公益保護判断がこの場合にも妥当するかを検討すべきである。
許可基準第4-1は飲用水等の必要な水量を確保するための具体的な措置を要求する。これを同条2項2号及び行訴法9条2項と併せて解すれば,特定の森林に飲用・生活用水を依存し,その確保が著しく妨げられる住民の生命健康に関する利益を個別的に保護するとの解釈も相当である。Fは開発区域から流れる沢を日常使用しており,この利益からも適格を肯定し得る。他方,EはD山を水源とする水道水を使用せず,この点から適格を肯定できない。以上より,Eは否定,Fは肯定と考える。Fは生命身体への災害被害から適格が認められ,飲用水についての独立の肯定解釈を採らなくても,その結論は変わらない。
2 設問1(2)について
(1) 取消しにより回復すべき利益
取消訴訟は違法な処分の効力を除去して権利利益を回復することを目的とする。Fの原告適格は前提であるが,取消判決によって回復する客観的な法律上の利益が,口頭弁論終結時にも必要である。行訴法9条1項はこれを含む法律上の利益を要求し,括弧書は処分の効果消滅後にも回復すべき利益が残る場合を明示している。森林法10条の2第1項は無許可の開発行為を禁止し,206条1号は違反者を処罰する。許可はこの事前禁止を解除するものであり,完成した施設の使用や営業を継続的に許容する免許ではない。工事が完了すれば,工事を適法に実施できるという効果は目的を達している。
最判平成7年11月9日は林地開発工事完了後の取消訴訟等の利益を否定した。最判昭和59年10月26日も,建築確認の効果は工事の禁止解除にとどまり,完成後の検査・是正命令は建築物の実体的な適法性により判断され,確認を取り消しても是正命令を発すべき拘束力が生じないとして,工事完了後の利益を否定する。
(2) 森林法10条の3による復旧との関係
ただし,建築基準法と森林法の仕組みは同じではない。森林法10条の3の復旧命令は公益上必要な場合に発せられるが,相手方は無許可開発者,許可条件違反者,不正手段により許可を得た者に限られる。Fは,許可を取り消せばAが無許可開発者となり,復旧命令を通じて水源機能等を回復できるから,訴えの利益が残ると主張できる。復旧命令が裁量的であることだけで,その発動の法的障害を除く利益まで否定するのは適切でない。
しかし,同条の「前条第1項の規定に違反した者」は,開発行為をする時点で許可を受けずに行為をした者を意味すると解する。適法に存在する許可に従って工事をした者を,後の取消しだけで過去に遡って無許可開発者とすることは,事前規制と制裁の仕組みに適合しない。許可自体の瑕疵と,行為時の無許可・条件違反・不正取得を区別すべきである。取消判決の拘束力も復旧命令の独自の要件を補うものではない。
したがって,許可を取り消しても,それだけでAを同条の違反者として復旧命令を発し得る関係は生じない。本件では工事完了後に取消しにより回復する利益はなく,Fの訴えの利益は否定される。これは自然環境の回復が物理的に不可能だからという理由ではなく,許可の効果と復旧命令の法的要件による結論である。
3 設問2について
(1) 裁量と許可基準の位置付け
法10条の2第2項は各号に該当しないと認めるときは許可しなければならないとするから,要件充足後に公益一般を理由として不許可にする効果裁量はない。他方,森林機能への影響や将来の支障の予測には専門技術的判断が必要であり,同条3項が保続培養等への留意を求めることから,知事には要件判断に一定の裁量が認められる。
本件許可基準はその判断を具体化する行政手続法5条の審査基準であり,法規命令のような対外的拘束力を持たない。しかし,公表された合理的基準に従うことは公平・予測可能性と適正な判断過程を確保する。これを適用しない合理的な理由がない限り,設定・公表した知事は同基準に自己拘束される。合理的理由なく基準から逸脱した場合,裁量権の逸脱・濫用となり得る(行訴法30条)。規則と基準の適法性は前提とする。
(2) Eの同意欠如
Fは,基準第1-1-①が権利者の3分の2以上の同意及びその他の者の同意見込みを要求するのに,権利者A・EのうちEが同意しておらず,同意の見込みも不明であるとして違法を主張する。A自身の施行意思を同意に相当するものと数えても2名中1名であり,人数要件を満たさない。
B県は,まず施行規則4条2号の「相当数の同意」の解釈として,面積割合を考慮できると反論する。「数」という文言は人数を基本とするが,同号の趣旨は全員の私法上の権利処分の代替ではなく,開発行為の実現見込みを確保する点にある。所有面積は,残余権利者の不同意が事業完了に与える影響を測る事情となり,規則が抽象的な相当数としている以上,人数のみにより機械的に判定するのでなく面積も併せて考慮する余地がある。その上で,審査基準の人数割合に自己拘束されるのが原則であるとしても,こうした目的に沿う特別の事情が合理的な不適用理由になると主張する。Aは区域の98パーセントを所有し,E所有林は2パーセントにすぎない。森林の機能に関係するのは実際の開発区域であるから,面積割合を考慮すること自体は不合理ではない。A・Eは協議中であり,全員の同意を申請時に求めることは申請者に過度な負担を課す,とも述べられる。
しかし,基準はまさにその負担を考慮して人数3分の2と残余の同意見込みを定めている。面積と人数は異なり,98パーセントという数字だけで人数要件を充足したとはいえない。また,Eの区域にはFの生活用水を確保する貯水池等が予定され,面積が小さくても計画の完了と公益的機能の確保に重要である。Eの同意見込みが不明なままでは,面積だけを理由とした逸脱の合理性は弱く,許可は裁量権の逸脱・濫用と評価される危険が高い。
(3) 本件認定による使用制限
Fは,認定により条例8条が施設の設置を禁止するから,土地使用制限に抵触しないことを求める基準第1-1-②に反すると主張する。県には,市町村の土地使用制限処分を違法と評価して開発を許可した過去の運用がある。県は,本件認定が違法で取り消されるべきなら同基準に適合するという設問の前提に従い,この運用との整合性も踏まえて認定の違法を反論として主張する。
条例7条の協議は単なる形式的な接触ではない。認定は事業者に重大な権利制限と罰則を伴うため,事業の必要と水源保護の必要を調和させる重要な手続である。C市はAが既に指針に基づく事前手続を進めていたことを知り,それを契機として条例を制定した。市長はAの立場を踏まえ,十分な協議を尽くし,取水・貯水量の限定や計画の変更を促すなど,Aの地位を不当に害さないよう配慮すべきである。最判平成16年12月24日が同様の新条例に基づく認定について示した配慮義務の理由が妥当する。
本件では双方が主張を言い合っただけで協議が終わり,市長は計画の阻止を意図して認定した。県も丁寧な協議とAの協力で枯渇を避けられるとみている。審議会の意見を聴いたことや水源保護目的が正当であることだけで,協議を尽くす義務を代替できない。県は配慮義務違反による認定の違法を有力に主張できる。ただし,具体的に十分な改善提案等を行いAが拒絶したとの事情があれば評価は異なる。本問では認定の公定力一般や県が他庁の違法を主張できるかは検討せず,指定された前提を維持する。
(4) 貯水池の容量不足
Fは,容量が足りず必要な生活用水が得られないから,法10条の2第2項2号及び基準第4-1に反すると主張する。県は,法が禁ずるのは水確保への「著しい支障」であり,従前と全く同じ水量をあらゆる時点で保障する制度ではないこと,必要な水量は実際の利用状況と代替供給の可能性を踏まえて判断することを反論できる。
必要な措置の適切さには専門技術的な評価と公益的な判断が含まれ,Fの要求する容量の技術的困難と過大な費用も考慮できる。しかし,採算が悪いから生活に必要な水量を欠いてよいという効果裁量ではない。Fは沢水を飲用にも使用し,開発は保水力の低下と濁水増加を招く。Eの同意を得たとしても貯水池の容量不足は別の問題であり,県は水利用の実態,渇水時の必要量,導水路等の代替措置,費用と実現可能性を具体的に調査して反論すべきである。必要水量に重大な不足が生じるなら高費用だけで許可を正当化できず,著しい支障を生じない合理的対策を示せる場合に限り県の反論は成り立つ。
以上
3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説
(1) 答案と評価項目の対応
答案1は表1~18,答案2は19~31,答案3は32~53に対応する。負例項目は誤った構成を避ける形で反映し,26番の不採用の一体解釈は下記で説明する。
(2) 原告適格の利益と地域の分解
平成13年判決は,災害・水害による生命身体の安全を個別に保護する一方,周辺土地の所有権等の財産権や2号の水確保利益について同じ判断をしていない。Eの区域内所有権についても,許可が私法上の権原を変えないことを押さえる。平成9年判決は都市計画法の開発許可に関する直接判示であり,森林法の同意要件への参照は制度趣旨の共通性に基づく。
18番は「周辺」と「依存」の違いを示す高評価事項である。Fの飲用水については,判決事案の農業用水利用との違いと生命健康への具体的な侵害を論じて2号の個別保護を肯定する構成を採った。これは平成13年判決の直接判示ではなく,本件の利益の性質による射程の検討である。この構成を採らなくても,Fは1号・1号の2から原告適格を得る。
(3) 工事完了と監督処分
22・23・24番は,工事が終わったという事実だけでなく,許可の法的効果と取消後に何ができるかを接続する。答案は25番の限定解釈を採る。別に26番の構成として,森林法10条の2第1項と第2項を一体的に捉え,許可基準に適合しない開発については,許可を取り消さなくても10条の3の監督処分が可能と解する説明も採点実感6頁に示される。この場合も取消しが復旧の必要条件でないことから利益消滅を説明する。両構成を混ぜず,取消しが必要なのか,不要なのか,取消しても監督不能なのかを区別する。
(4) 同意者数,面積及び自己拘束
35・37番は別の段階である。施行規則の「相当数」の解釈では,人数以外に所有面積を考慮できるかを文言と事業実現可能性から論ずる。その上で,具体化した公表審査基準の人数割合に従う原則と,例外的な不適用の合理的理由を検討する。98%という数字だけで3分の2の人数要件を満たしたことにはならない。小面積でも貯水池の設置に不可欠な区域であることが,県の反論の限界になる。
(5) 認定への協議・配慮義務
44・46番は,認定の重大な権利制限と,既に進む手続を知って後から条例を制定した事情から,協議を尽くして事業者の地位を不当に害さない義務を導く。単に狙い撃ちである,行政権濫用であるとするだけでは十分ではない。平成16年判決の論理と本件の手続経緯を対応させる。認定の違法は県の反論であり,Fの主張を逆転させない。
(6) 水確保要件と答案の限界
50番では,水確保に「著しい支障」があるかと,基準第4-1の必要水量・適切な措置の両方を論じる。技術的制約と費用は関連事情であるが,生活に必要な水量の著しい不足を,費用だけで許容する結論にはできない。問題文は具体的な必要水量,対策費用及び代替水源を確定していないため,県の反論が成立する条件を示す。
設問が除外した災害・水害基準の本案適合性,行訴法10条1項の主張制限,規則・基準の適法性は論じない。原告適格の深掘りが設問2を圧迫しないよう,配点割合を踏まえて答案を調整する。
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第7 出典及び確認状態
1 公式資料
問題PDFは物理頁5~12の第2問,出題の趣旨は3頁の〔第2問〕以降と4頁の本問末尾まで,採点実感(公法系科目)は6~11頁の第2問関連全部を確認した。出題の趣旨の他科目及び採点実感の第1問は本問の根拠に用いていない。
2 法令
森林法,施行規則,仮想のC市条例及びB県基準は問題の配付資料に従う。行政事件訴訟法は平成29年4月1日施行版の9・30・33条,行政手続法は平成30年4月1日施行版の5条をe-Govの法令データ及び沿革で確認した。リンク先の現行表示と試験当時の版を区別する。
3 裁判例
最判平成13年3月13日・民集55巻2号283頁(全6頁)
最判平成7年11月9日・集民177号125頁(全1頁)
最判昭和59年10月26日・民集38巻10号1169頁(全3頁)
最判平成16年12月24日・民集58巻9号2536頁(全5頁)
最判平成9年1月28日・民集51巻1号250頁(全5頁)
4 確認状態
問題・公式関連範囲・上記判決の法廷意見及び対象法令の原文は確認した。評価項目への分解,重み付け,本件事実の評価及び判例射程の判断は本記事の独自分析である。公式資料が述べる答案評価と,法令・判決が直接確認する命題を区別する。Fの具体的必要水量・費用及びEの同意見込みは問題文から確定できず,答案の条件として残る。